特許訂正審判
2022-390072
遊技機
- 審判番号
- 2022-390072
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2017-156898
- 登録番号
- 6946844
- 請求日
- 2022年05月26日
- 審決日
- 2022年08月02日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 三洋物産
- 【請求人代理人】弁理士法人トレスペクト
- 【請求人代理人】工藤 洋平
- 審判長/審判官
- 審判長 鉄 豊郎
- 審判官 三田村 陽平
- 審判官 長崎 洋一
- 分類
- P141 .853-Y (A63F) / P141 .841-Y (A63F) / P141 .854-Y (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6946844号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6946844号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第6946844号(以下「本件特許」という。)は、平成29年8月15日の特許出願であって、令和3年9月21日に特許権の設定の登録がなされ、その後、令和4年5月26日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判請求の趣旨は、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という)及び特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という)を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。
1 訂正事項1
訂正事項1に係る訂正は、本件訂正前の本件特許請求の範囲の請求項1に
「前記識別情報は、複数の図柄列で構成され、特定の図柄の組み合わせで表示されることで、前記判定手段による判定結果が前記特定の判定結果であることを示すように構成されており、
前記動的表示手段は、前記複数の図柄列のうち、1の図柄列以外を前記特定の判定結果を示すための組み合わせとなることが可能なリーチ表示態様で表示可能な特定の動的表示態様で前記識別情報を動的表示させることが可能であり、
前記判定手段により判定される前の前記記憶手段に記憶されている前記情報のそれぞれに対応する図柄を前記表示手段に表示させることが可能な図柄表示手段と、
前記図柄が表示される領域であることを示す領域情報を可変させることが可能な図柄表示領域可変手段と、を有し、
前記遊技機は、
前記図柄が表示される領域であることを示す領域情報を前記図柄が表示されていない状態であっても表示可能であり、
所定の可変条件の成立に基づいて前記図柄が表示されていない領域の前記領域情報が可変されることが可能にされており、
前記図柄が表示されていない領域の前記領域情報が可変されている状況下において特定演出を実行することが可能な手段を有し、
前記領域情報が可変されている状態で前記記憶手段に情報が記憶されることが可能であるか遊技者が識別可能にされており、
前記図柄が表示されていない領域の前記領域情報は、前記領域情報の少なくとも一部を非表示にされることで可変されるものであり、
前記特定演出は、前記リーチ表示態様が表示されている期間に前記領域情報が可変されている状況下において実行可能にされており、所定条件の成立に基づいて前記リーチ表示態様で表示されていた前記図柄の組み合わせを可変させることが可能にされており、」と記載されているのを、
「前記識別情報は、複数の識別図柄列で構成され、特定の識別図柄の組み合わせで表示されることで、前記判定手段による判定結果が前記特定の判定結果であることを示すように構成されており、
前記動的表示手段は、前記複数の識別図柄列のうち、1の識別図柄列以外を前記特定の判定結果を示すための組み合わせとなることが可能なリーチ表示態様で表示可能な特定の動的表示態様で前記識別情報を動的表示させることが可能であり、
前記判定手段により判定される前の前記記憶手段に記憶されている前記情報のそれぞれに対応する報知図柄を前記表示手段に表示させることが可能な図柄表示手段と、
前記報知図柄が表示される領域であることを示す領域情報を可変させることが可能な図柄表示領域可変手段と、を有し、
前記遊技機は、
前記報知図柄が表示される領域であることを示す領域情報を前記報知図柄が表示されていない状態であっても表示可能であり、
所定の可変条件の成立に基づいて前記報知図柄が表示されていない領域の前記領域情報が可変されることが可能にされており、
前記報知図柄が表示されていない領域の前記領域情報が可変されている状況下において特定演出を実行することが可能な手段を有し、
前記領域情報が可変されている状態で前記記憶手段に情報が記憶されることが可能であるか遊技者が識別可能にされており、
前記報知図柄が表示されていない領域の前記領域情報は、前記領域情報の少なくとも一部を非表示にされることで可変されるものであり、
前記特定演出は、前記リーチ表示態様が表示されている期間に前記領域情報が可変されている状況下において実行可能にされており、所定条件の成立に基づいて前記リーチ表示態様で表示されていた前記識別図柄の組み合わせを可変させることが可能にされており、」に訂正するものである(下線は、訂正箇所を示すために合議体が付した。以下同様。)。
2 訂正事項2
訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書の【0006】、【0007】に「前記識別情報は、複数の図柄列で構成され、特定の図柄の組み合わせで表示されることで、前記判定手段による判定結果が前記特定の判定結果であることを示すように構成されており、前記動的表示手段は、前記複数の図柄列のうち、1の図柄列以外を前記特定の判定結果を示すための組み合わせとなることが可能なリーチ表示態様で表示可能な特定の動的表示態様で前記識別情報を動的表示させることが可能であり、前記判定手段により判定される前の前記記憶手段に記憶されている前記情報のそれぞれに対応する図柄を前記表示手段に表示させることが可能な図柄表示手段と、前記図柄が表示される領域であることを示す領域情報を可変させることが可能な図柄表示領域可変手段と、を有し、前記遊技機は、前記図柄が表示される領域であることを示す領域情報を前記図柄が表示されていない状態であっても表示可能であり、所定の可変条件の成立に基づいて前記図柄が表示されていない領域の前記領域情報が可変されることが可能にされており、前記図柄が表示されていない領域の前記領域情報が可変されている状況下において特定演出を実行することが可能な手段を有し、前記領域情報が可変されている状態で前記記憶手段に情報が記憶されることが可能であるか遊技者が識別可能にされており、前記図柄が表示されていない領域の前記領域情報は、前記領域情報の少なくとも一部を非表示にされることで可変されるものであり、前記特定演出は、前記リーチ表示態様が表示されている期間に前記領域情報が可変されている状況下において実行可能にされており、所定条件の成立に基づいて前記リーチ表示態様で表示されていた前記図柄の組み合わせを可変させることが可能にされており、」と記載されているのを、
「前記識別情報は、複数の識別図柄列で構成され、特定の識別図柄の組み合わせで表示されることで、前記判定手段による判定結果が前記特定の判定結果であることを示すように構成されており、前記動的表示手段は、前記複数の識別図柄列のうち、1の識別図柄列以外を前記特定の判定結果を示すための組み合わせとなることが可能なリーチ表示態様で表示可能な特定の動的表示態様で前記識別情報を動的表示させることが可能であり、前記判定手段により判定される前の前記記憶手段に記憶されている前記情報のそれぞれに対応する報知図柄を前記表示手段に表示させることが可能な図柄表示手段と、前記報知図柄が表示される領域であることを示す領域情報を可変させることが可能な図柄表示領域可変手段と、を有し、前記遊技機は、前記報知図柄が表示される領域であることを示す領域情報を前記報知図柄が表示されていない状態であっても表示可能であり、所定の可変条件の成立に基づいて前記報知図柄が表示されていない領域の前記領域情報が可変されることが可能にされており、前記報知図柄が表示されていない領域の前記領域情報が可変されている状況下において特定演出を実行することが可能な手段を有し、前記領域情報が可変されている状態で前記記憶手段に情報が記憶されることが可能であるか遊技者が識別可能にされており、前記報知図柄が表示されていない領域の前記領域情報は、前記領域情報の少なくとも一部を非表示にされることで可変されるものであり、前記特定演出は、前記リーチ表示態様が表示されている期間に前記領域情報が可変されている状況下において実行可能にされており、所定条件の成立に基づいて前記リーチ表示態様で表示されていた前記識別図柄の組み合わせを可変させることが可能にされており、」に訂正するものである。
第4 判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的の適否について
本件訂正前の請求項1の記載において、「前記識別情報は、複数の図柄列で構成され、特定の図柄の組み合わせで表示される…」(以下「特定事項ア」という。)における「図柄」と、「…前記情報のそれぞれに対応する図柄を前記表示手段に表示させることが可能な図柄表示手段」(以下「特定事項イ」という。)における「図柄」が、区別されずに用いられていた。
この場合、本件訂正前の請求項1の「前記図柄が表示される領域であることを示す領域情報を可変させることが可能な図柄表示領域可変手段」における「前記図柄」が、上記「特定事項ア」における「図柄」を指すのか、あるいは、上記「特定事項イ」における「図柄」を指すのか明らかでなかった。
同様のことは、本件訂正前の「前記図柄が表示される領域であることを示す領域情報を前記図柄が表示されていない状態であっても表示可能であり」、「所定の可変条件の成立に基づいて前記図柄が表示されていない領域の前記領域情報が可変されることが可能にされており」、「前記図柄が表示されていない領域の前記領域情報が可変されている状況下において特定演出を実行することが可能な手段を有し」、「前記図柄が表示されていない領域の前記領域情報は、前記領域情報の少なくとも一部を非表示にされることで可変されるものであり」、及び、「…所定条件の成立に基づいて前記リーチ表示態様で表示されていた前記図柄の組み合わせを可変させることが可能にされており」の「前記図柄」においてもいえる。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、異なる2つの意味を有する「図柄」のうち、いずれの「図柄」を意味するのか不明瞭な記載があったものを、明瞭にする訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)訂正が本件特許明細書、本件特許の特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
本件特許明細書の
【1427】に「第3図柄表示装置81は9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図238参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中および下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。…」と記載され、
【1490】に「第3図柄は、「0」から「9」の数字の主図柄により構成されている。また、本実施形態のパチンコ機10においては、後述する主制御装置110(図238参照)により行われる特別図柄の抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。一方、特別図柄の抽選結果が外れであった場合は、同一の主図柄が揃わない変動表示が行われる。」と記載され、
【1491】に「例えば、特別図柄の抽選結果が「大当たりB1」であれば、奇数番号である「1,3,4,7,9」の主図柄のうち、いずれかがぞろ目で揃って停止表示される変動表示が行われる。また、「大当たりA」または「大当たりB2」であれば、偶数番号である「0,2,4,6,8」の主図柄のうちいずれかがぞろ目で揃う変動表示が行われる。…」と記載され、
【1501】に「図210(a)に示すように、主領域Dmで第3図柄(特別図柄)が変動表示されている場合(特別図柄の変動表示期間中である場合)に、第1入球口64または右第2入球口640r、第2入球口640に遊技球が入球すると、入球した特別図柄に対応する保留個数が最大値未満である場合には、保留順序に対応した台座表示の上部に保留図柄が表示される。図210(a)では、保留個数が3個である場合の保留図柄の表示が示されている。」と記載され、
【1611】に「…表示制御装置114は、この表示用保留球数コマンドによって通知された保留球数を基に、第3図柄表示装置81の小領域Ds1に保留球数図柄を表示する。」と記載され、
【1988】に「…音声ランプ制御装置113によって、入賞コマンドに基づいて、遊技者に事前に保留球に対する当否判定結果を報知する予告演出(例えば、保留図柄の色について当否判定結果を報知する色に可変させる、保留球の中の当否判定結果を報知するための報知音を出力する等の演出)を実行させることができる。…」と記載され、
【2377】に「また、上記制御例に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第3図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、縦方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであってもよい。」と記載されている(下線は、合議体が付した。)。
上記記載内容からみて、本件特許明細書には、上記「特定事項ア」に対応する構成として、「「0」から「9」の数字の主図柄により構成されている、識別情報としての第3図柄を、図柄列毎に第3図柄表示装置81の主領域Dmに変動(スクロール)表示させる」こと(【1427】、【1490】、【1491】、【2377】)が記載されている。
また、本件特許明細書には、上記「特定事項イ」に対応する構成として、「表示制御装置114は、第1入球口64または右第2入球口640r、第2入球口640に遊技球が入球すると、入球した特別図柄に対応する保留個数が最大値未満である場合、保留図柄を、第3図柄表示装置81の小領域Ds1の保留順序に対応した台座表示の上部に表示させることで、遊技者に事前に保留球に対する当否判定結果を報知する予告演出(保留図柄の色について当否判定結果を報知する色に可変させる演出)を実行させることができる」こと(【1501】、【1611】、【1988】)が記載されている。
したがって、本件特許明細書には、上記「特定事項ア」に対応する「図柄」として、「識別情報としての図柄」が記載され、上記「特定事項イ」に対応する「図柄」として、「当否判定結果を報知する」「保留図柄」が記載されているといえる。
ゆえに、訂正事項1は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項1は、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合する。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的の適否について
訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正により本件特許請求の範囲の請求項1を訂正することに伴い、明細書の【0006】及び【0007】の記載を、本件特許請求の範囲の記載と整合するように訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)訂正が本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項2は、本件特許請求の範囲の請求項1に対応する明細書の【0006】及び【0007】について、訂正事項1と同様の訂正をするものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正と同様の理由により、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項1に対応する明細書の【0006】及び【0007】について、訂正事項1と同様の訂正をするものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張するものではなく、かつ、実質上特許請求の範囲を変更するものでもなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
3 特許法第126条第7項(独立特許要件)について
上記1~2で検討したとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とする訂正であるので、同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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