商標取消審判
2022-300733
イイベサーホワイトライスパワー、イイベサーホワイトライス、イイベサー、イーベサー、ホワイトライスパワー、ホワイトライス、ライスパワー、ライス、パワー
- 審判番号
- 2022-300733
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2018-123277
- 登録番号
- 6146418
- 請求日
- 2022年08月09日
- 審決日
- 2023年11月09日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 創研
- 【請求人代理人】弁理士法人 津国
- 【請求人代理人】津国 肇
- 【請求人代理人】山村 大介
- 【請求人代理人】岡村 百佳
- 【請求人】勇心酒造 株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人 津国
- 【請求人代理人】津国 肇
- 【請求人代理人】山村 大介
- 【請求人代理人】岡村 百佳
- 【被請求人】株式会社 天美
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T131 .3 -Z (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法51条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第51条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6146418号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第6146418号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6146418号商標(以下「本件商標」という。)は、「いいべさーホワイトライスパワー」の文字を標準文字で表してなり、平成30年10月1日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類」を指定商品として、令和元年5月24日に設定登録されたものである。
第2 本件使用商標
商標権者(被請求人)が使用したと請求人が主張する商標は、以下の1ないし4に記載した態様のものである。
1 「IIBESA」(審決注:「A」の文字にはマクロン記号が付されている。以下同じ。)の欧文字を1段目に、「いいべさー」の平仮名を2段目に、黒色の横長長方形に白抜きで表した「ホワイトライスパワー」の片仮名を3段目に、「プレミア美容乳液」の文字を4段目に、「From Aomori」の欧文字を5段目に表した態様からなるもの(別掲1 甲2 18ページ。以下「本件使用商標1」という。)。
2 「いいべさー」の平仮名を1段目に、「ホワイトライスパワー」の片仮名を2段目に、「プレミア美容乳液」の文字を3段目に表した態様からなるもの(別掲2 甲2 19ページ。以下「本件使用商標2」という。)。
3 「IIBESA」(審決注:「A」の文字にはマクロン記号が付されている。以下同じ。)の欧文字を1段目に、「いいべさー」の平仮名を2段目に、黒色の横長長方形に白抜きで表した「ホワイトライスパワー」の片仮名を3段目に、「プレミア化粧水」の文字を4段目に、「From Aomori」の欧文字を5段目に表した態様からなるもの(別掲3 甲2 20ページ。以下「本件使用商標3」という。)。
4 「いいべさー」の平仮名を1段目に、「ホワイトライスパワー」の片仮名を2段目に、「トリートメント」の片仮名を3段目に、「ミルク・クレンジング」の文字を4段目に表した態様からなるもの(別掲4 甲2 22ページ。以下「本件使用商標4」といい、本件使用商標1ないし4をまとめて「本件使用商標」という。)。
第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
1 引用商標
請求人が、本件商標の取消しの理由に引用する商標は、請求人が、請求人の業務に係る商品「化粧品」(以下「請求人使用商品」という。)に使用していると主張する商標であり、「ライスパワー」の文字からなるものである(以下「引用商標」という。)。
2 取消理由
(1)概略
本件審判請求は、令和4年1月28日判決言渡しの「令和2年(ワ)第31138号商標権侵害差止等請求事件(以下「甲事件」という。原告は株式会社創研(以下「請求人A」という。))」及び「令和3年(ワ)第6132号不正競争行為差止等請求事件(以下「乙事件」という。原告は勇心酒造株式会社(以下「請求人B」という。以下「請求人A」及び「請求人B」をまとめて「請求人」という。))」において勝訴した原告(請求人)が、その後行手続として請求するものである。なお、当該訴訟に係る判決(甲1。以下「当該判決」という。)について被告(被請求人)は控訴をしておらず、当該判決は確定している。
商標権者は、本件使用商標を、本件商標の指定商品「化粧品」に含まれる商品である「美用乳液」、「化粧水」及び「ミルククレンジング」(以下「本件使用商品」という。)に使用することにより、請求人の業務に係る商品と混同のおそれを生じさせている。
よって、本件商標は、商標法第51条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)商標権者による指定商品についての登録商標に類似する商標の使用について
本件使用商品は、本件審判請求に係る指定商品である「化粧品」(以下「本件指定商品」という。)に含まれる。
(3)商標権者の故意について
ア 被請求人(商標権者)は、平成30年7月から9月にかけて請求人Bのもとを訪れたうえで、請求人Bに対して,被請求人の素材を使用した商品のOEM取引について打診を行った(甲6)。しかし、請求人Bは、OEM取引を行うか否かについては、厳格な基準をもって判断していることもあり、被請求人の申し出を断った。かかる事情・経緯に鑑みれば、被請求人は、請求人の商品や「ライスパワー」関連商標等について知識があり、認識していたことは疑いを入れない。
イ 上記アの事実は、当該判決において、「被告が平成30年頃に原告勇心酒造を複数回訪問しており(争いのない事実),原告各表示が原告商品の商品等表示であると認識していたといえる」(甲1)と認定されている。
ウ 上述のように、請求人BにOEM取引を断られた被請求人は、平成30年10月1日に本件商標を登録出願し、令和元年5月24日に設定登録を受けたうえで、遅くとも令和元年6月から、本件使用商標を、本件使用商品に付し、インターネットを通じて販売し、販売のために広告・展示していた(甲7)。
エ 上記アないしウの事情及び経緯からすれば、「商標権者(被請求人)が指定商品について登録商標に類似する商標を使用するに当たり、右使用の結果、他人である請求人の業務に係る商品と混同を生じさせることを認識していた」といえることは明らかである。
オ さらには、甲事件の訴訟提起前に、請求人Aは、裁判所に対し仮処分命令申立を行い、同申立てを認める決定がなされたが、これに対し被請求人は保全異議申立てを行って争う姿勢を見せ(後に取下げ)、その後当該訴訟たる本訴が提起され、当該判決において差止め及び廃棄請求について、「被告は、被告商品の全ての販売、広告をやめており、差止め及び廃棄の必要性はないなどと主張するが、被告は、原告各表示と被告各表示の類似性を否定するなど不競法2条1項1号の不正競争に該当する行為を否認していることなどに照らせば、被告が被告各表示を使用することの差止め及び被告各商品等の廃棄を命じる必要性があると認めることができる。」(甲1)と判示されていることからしても、商標権者(被請求人)による当該不正使用行為についての故意性・悪意性が推認されるものである。
(4)他人の商品との混同について
ア 本件使用商標は、上段と下段に分離されていること、また、「いいべさー」が平仮名で「ホワイトライスパワー」が片仮名という書体の相違もあいまって、需要者が上段と下段を分離して看取し、「ホワイトライスパワー」のみを単独の標章・表示として捉えることはごく自然である。
イ 本件使用商標中「ホワイト」の部分は、本件指定商品の分野においては、商品の色彩を表示するもの、又は肌の美白効果を謳う品質や効能表示に用いられるものとして広く一般に使用されていることから、商標としての識別力は認められないか、あるいは極めて弱い。このことは、特許庁における過去の審決・決定において同様の趣旨が認定されていることからも明らかである(甲8)。
また、当該判決においても、「化粧品類の取引においては、一般に、『ホワイト』とは、その商品の色彩を表示するもの又は肌の美白効果を謳う品質や効能表示に用いられるものとして、広く使用されているといえ、このような化粧品類の取引の実情に鑑みれば、『ホワイト』の部分は、その商品の品質、効能、色彩を表示するものと理解し得るものといえる」と認定されており(甲1 29ページ25行目~30ページ3行目)、商品「化粧品」との関係において、「ホワイト」の部分には、商標としての識別力は認められないか、あるいは極めて弱いことは明らかである。
ウ 上記ア及びイからすれば、当該「ホワイトライスパワー」における要部は「ライスパワー」であり、これは請求人が使用する商標「ライスパワー」と同一であることから、被請求人が使用する「ホワイトライスパワー」と請求人が使用する「ライスパワー」は、商標全体として類似する。
エ 引用商標の周知性について、当該判決では、「遅くとも被告各商品が販売された令和元年6月時点において、原告各表示は、需要者である化粧品に関心を有する一般消費者の間では、原告勇心酒造の出所を示すものとして広く認識されていた周知の表示と認めるのが相当である。そして、原告商品の販売は、その後も継続していたと認められるから、本件口頭弁論終結時(令和3年11月30日)においても、原告各表示は、原告勇心酒造の出所を示すものとして周知の表示であった認めるのが相当である」と認定しており(甲1 27ページ9行目~15行目)、これを背景として、「本件においては、『ホワイトライスパワー』のうち、『ライスパワー』の部分が周知の表示として需要者に強い印象を与え、このこととの関係において、『ホワイト』の部分は、その『ライスパワー』の品質、効能、色彩を示すものと理解し得て、その場合には識別力を有しないか、又は識別力の弱い部分であるというべきであり、一般の消費者は、『ライスパワー』部分に着目するといえる」と認定している(甲1 30ページ4行目~9行目)。
オ 商品に関しては、本件使用商品は、本件指定商品に含まれることから、同一又は類似するものといえる。
カ 当該判決中の「5争点(5)ウ(混同の有無)」においても、「原告各表示と被告各表示が類似していることに加えて,原告商品及び被告各商品はいずれ化粧品の部類に属し,取引者及び需要者は共通のものといえることなどに照らせば,被告が原告各表示と類似する被告各表示を付して被告各商品の販売等することは,需要者に他人である原告の商品と混同を生じさせる行為といえる」と認定されたうえで(甲1 36ページ2行目~6行目)、「したがって、被告が被告各表示を使用した商品を販売等する行為は、不競法2条1項1号に該当する行為といえる」と判断されている(甲1 36ページ7行目、8行目)。
キ 上記アないしカからすれば、商標権者(被請求人)の行為は、「他人の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたとき」に該当する。
(5)小括
以上より、商標権者(被請求人)の行為は、商標法第51条第1項の適用要件をすべて充足することから、商標の不当な使用によって一般公衆の利益が害されるような事態を防止し、かつ、そのような場合に当該商標権者に制裁を課す同条同項の適用により、本件商標は取り消されるべきである。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の主張に対して何ら答弁していない。
第5 当審の判断
1 商標法第51条第1項について
商標法第51条第1項は、「商標権者が故意に指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用・・・であって・・・他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定している。同項の規定は、商標の不当な使用によって一般公衆の利益が害されるような事態を防止し、そのような場合に当該商標権者に制裁を課す趣旨のものであり、需要者一般を保護するという公益的性格を有するものである(最高裁昭和61年4月22日第三小法廷判決・昭和58年(行ツ)第31号)。
商標法第51条第1項の上記のような趣旨に照らせば、同項にいう「商標の使用・・・であって・・・他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるもの」に当たるためには、使用に係る商標の具体的表示態様が他人の業務に係る商品等との間で具体的に混同を生ずるおそれを有するものであることが必要であるというべきであり、そして、その混同を生ずるおそれの有無については、商標権者が使用する商標と引用する他人の商標との類似性の程度、当該他人の商標の周知著名性及び独創性の有無、程度、商標権者が使用する商品等と当該他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情等に照らし、当該商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものである(知的財産高等裁判所平成24年12月26日判決・平成24年(行ケ)第10187号)。
以下、上記のような観点を踏まえて検討する。
2 本件商標と本件使用商標との類似性について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「いいべさーホワイトライスパワー」の文字からなるものであり、これよりは、「イイベサーホワイトライスパワー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)本件使用商標について
ア 本件使用商標1について
本件使用商標1は、別掲1のとおり「IIBESA」の欧文字を1段目に、「いいべさー」の平仮名を2段目に、黒色の横長長方形に白抜きで表した「ホワイトライスパワー」の片仮名を3段目に、「プレミア美容乳液」の文字を4段目に、「From Aomori」の欧文字を5段目に表した態様からなるものであるが、「IIBESA」の文字は、その直下に書された「いいべさー」を欧文字表記したものと容易に認識できるものである。また、「プレミア美容乳液」の文字は、「最高の美容用の乳液」ほどの意を表すものであり、「From Aomori」の文字は、商品の産地又は販売地が「青森県(市)であること。」を表すものであることから、いずれの文字も、その商品との関係から、識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものである。
そうすると、本件使用商標1の要部は、「IIBESA」、「いいべさー」及び「ホワイトライスパワー」の文字にあるというのが相当であり、当該要部全体からは、「イイベサーホワイトライスパワー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 本件使用商標2について
本件使用商標2は、別掲2のとおり、「いいべさー」の平仮名を1段目に、「ホワイトライスパワー」の片仮名を2段目に、「プレミア美容乳液」の文字を3段目に表した態様からなるものであるが、「プレミア美容乳液」の文字は、「最高の美容用の乳液」ほどの意を表すものであり、その商品との関係から、識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものである。
そうすると、本件使用商標2の要部は、「いいべさー」及び「ホワイトライスパワー」の文字にあるというのが相当であり、当該要部全体からは、「イイベサーホワイトライスパワー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件使用商標3について
本件使用商標3は、別掲3のとおり、「IIBESA」の欧文字を1段目に、「いいべさー」の平仮名を2段目に、黒色の横長長方形に白抜きで表した「ホワイトライスパワー」の片仮名を3段目に、「プレミア化粧水」の文字を4段目に、「From Aomori」の欧文字を5段目に表した態様からなるものであるが、「IIBESA」の文字は、その直下に書された「いいべさー」を欧文字表記したものと容易に認識できるものである。また、「プレミア化粧水」の文字は、「最高の化粧水」ほどの意を表すものであり、「From Aomori」の文字は、商品の産地又は販売地が「青森県(市)であること。」を表すものであることから、いずれの文字も、その商品との関係から、識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものである。
そうすると、本件使用商標3の要部は、「IIBESA」、「いいべさー」及び「ホワイトライスパワー」の文字にあるというのが相当であり、当該要部全体からは、「イイベサーホワイトライスパワー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
エ 本件使用商標4について
本件使用商標4は、別掲4のとおり、「いいべさー」の平仮名を1段目に、「ホワイトライスパワー」の片仮名を2段目に、「トリートメント」の片仮名を3段目に、「ミルク・クレンジング」の文字を4段目に表した態様からなるものであるが、「トリートメント」の文字は「傷んだ髪の手入れ。ヘア‐トリートメント。」の意味(出典:「デジタル大辞泉」)を有し、「ミルク・クレンジング」の文字は商品「クレンジング乳液」ほどの意を表すものであることから、その商品との関係から、識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものである。
そうすると、本件使用商標4の要部は、「いいべさー」及び「ホワイトライスパワー」の文字にあるというのが相当であり、当該要部全体からは、「イイベサーホワイトライスパワー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と本件使用商標との類似性について
上記(1)及び(2)からすれば、本件商標と本件使用商標の全体とは、構成文字及び構成態様が明らかに異なるものである。
しかしながら、本件商標と本件使用商標の要部とは、その構成文字を共通にし、称呼も同一であるから、観念において異なることはない。
したがって、本件商標と本件使用商標は、類似する商標というのが相当である。
3 混同のおそれについて
(1)本件使用商標の使用について
甲第7号証は、商標権者(被請求人)のウェブサイトの抜粋であるところ、「いいべさーホワイトライスパワー トリートメント ミルク・クレンジング」、「いいべさーホワイトライスパワープレミア化粧水」及び「2020/10/30」の記載(第1葉)、並びに「いいべさー生石鹸・ミルククレンジング 化粧水・美容乳液・美容クリーム」及び「2019/12/11」の記載(第18葉)等があり、また、各商品には、やや不鮮明ではあるものの、本件使用商標と推認される記載がある。
以上からすれば、商標権者は、遅くとも令和元年12月11日時点において、商標権者(被請求人)のウェブサイト上で、本件使用商標を付した本件使用商品を販売することにより、本件使用商標を使用していた(甲7)。
(2)本件使用商標と引用商標との類否について
ア 本件使用商標1及び3は、別掲1及び別掲3の構成よりなるところ、上記第2の1及び3のとおり、3段目に「ホワイトライスパワー」の文字が、黒色の横長長方形に白抜きで表されており、他の文字部分は黒色で表されているものであって、「ホワイトライスパワー」の文字部分のみが他の文字と態様及び色彩が異なることから、本件使用商標1及び3は、必ずしも外観上一連一体の構成からなるものとして認識されるとはいえず、「ホワイトライスパワー」の文字部分のみを抽出して他の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるべきである。
他方、引用商標は、上記第3の1に示したとおり、「ライスパワー」の文字からなるものである。
そして、本件使用商標1及び3の構成中、「ホワイトライスパワー」の文字部分と引用商標を比較したときは、「ホワイトライスパワー」の文字中の「ホワイト」の文字部分は、本件使用商品に係る業界においては、一般に、商品の色彩を表示するもの又は肌の美白効果を謳う品質や効能表示に用いられるものとして広く使用されている実情があり、そのことから、当該文字部分は、その商品の品質、効能、色彩を表示するものと理解し得るものであり、識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものである。
そうすると、本件使用商標1及び3においては、「ライスパワー」の文字部分が識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。
してみれば、本件使用商標1及び3と引用商標とは、「ライスパワー」の文字を共通にするものであることから、両商標は、その具体的使用態様において、互いに紛れるおそれがある類似の商標というべきである。
イ 本件使用商標2及び4は、別掲2及び4の構成よりなるところ、上記第2の2及び4のとおり、本件使用商標2の全体からは、「イイベサーホワイトライスパワープレミアビヨウニュウエキ」の称呼を生じ、本件使用商標4の全体からは、「イイベサーホワイトライスパワートリートメントミルククレンジング」の称呼を生じるものであり、ともに特定の観念を生じないものである。
また、上記2(2)イ及びエで認定したとおり、本件使用商標2及び4の要部である「いいべさーホワイトライスパワー」の文字からは、「イイベサーホワイトライスパワー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標は、上記第3の1に示したとおり、「ライスパワー」の文字からなるものである。
そして、本件使用商標2及び4と引用商標の外観を比較すると、全体の比較においても、本件使用商標2及び4の要部と引用商標とを比較しても、それぞれの構成文字の文字数等の相違により、明らかに区別し得るものであるから、相紛れるおそれはない。
次に、称呼においては、本件使用商標2及び4の構成全体から生じる「イイベサーホワイトライスパワープレミアビヨウニュウエキ」及び「イイベサーホワイトライスパワートリートメントミルククレンジング」の称呼と引用商標から生じる「ライスパワー」の称呼との比較においても、本件使用商標2及び4の要部から生じる「イイベサーホワイトライスパワー」の称呼と引用商標から生じる「ライスパワー」の称呼との比較においても、構成音数が明らかに相違することから、容易に聴別できるものである。
さらに、観念については、両商標ともに特定の観念を生じないから、観念において比較できない。
そうすると、本件使用商標2及び4と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがあるとはいえないことから、これらを総合して判断すれば、両商標は、商品の出所について混同を生ずるおそれのない非類似の商標といえるものである。
ウ 本件使用商品は「美用乳液」、「化粧水」及び「ミルククレンジング」である一方、請求人使用商品は「化粧品」であるところ、前者はすべて後者に包含される商品であることから、商品の生産・販売部門、原材料、品質、用途、及び需要者の範囲等が一致する同一又は類似の商品である。
(3)小括
上記(1)及び(2)によれば、本件使用商標1及び3と引用商標は類似の商標であるから、本件使用商標1及び3と引用商標が、請求人使用商品と類似の商品である本件使用商品「美用乳液」、「化粧水」及び「ミルククレンジング」に使用された場合には、その商品の出所について混同を生ずるものとみるのが相当である。
してみれば、商標権者(被請求人)が、遅くとも令和元年12月11日に、本件使用商標1及び3を商品「美用乳液」、「化粧水」及び「ミルククレンジング」について使用した行為は、他人(請求人)の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたことに該当する。
しかしながら、商標権者(被請求人)が本件使用商標2及び4を本件使用商品について使用しても、他人(請求人)の業務に係る商品と混同を生ずるものではない。
4 被請求人の故意について
上記3(3)のとおり、本件使用商標1及び3は、これを本件使用商品に使用した場合、当該商品が請求人の業務に係る商品であるとの誤認、混同を生ずるおそれを有するものであるところ、被請求人は、平成30年7月から9月にかけて5回にわたり請求人Bのもとを訪れたうえで、請求人Bに対して,被請求人の素材を使用した商品のOEM取引について打診を行った(甲6)。
その後、被請求人は、平成30年10月1日に本件商標の登録出願をし、登録を受けたうえで、遅くとも令和元年12月11日から、本件使用商標1及び3を本件使用商品に付し、インターネットを通じて販売を行った(甲7)。
以上からすれば、少なくとも、その販売行為に当たっては、本件使用商標1及び3を使用した結果、請求人の業務に係る商品であるとの誤認、混同を生じさせることを認識していたものと認めるのが相当である。
5 結論
以上のとおり、本件商標権者である被請求人は、故意に、指定商品について本件商標に類似する商標の使用をし、他人である請求人の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたものであるから、商標法第51条第1項の規定に基づき、本件商標は、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-300733