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商標取消審判

2023-300333

アツフトマキキョーリョクボーチューコー、アツフトマキキョーリョクボーチューカ、アツフトマキ、コーフトマキ、キョーリョクボーチューコー、キョーリョクボーチューカ

審判番号
2023-300333
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2022-093473
登録番号
6655786
請求日
2023年05月22日
審決日
2024年07月18日
公報発行日
2024年10月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ライオンケミカル 株式会社
  • 【請求人代理人】森 治
  • 【被請求人】紀陽除虫菊 株式会社
  • 【被請求人代理人】杉本 勝徳
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 大森 友子
  • 審判官 小俣 克巳
分類
T131 .3 -Y (W030521)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法51条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第51条第1項
データ出所
審決公報(XML)

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上記当事者間の登録第6655786号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6655786号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和4年8月12日に登録出願、第3類「防虫効果又は害虫忌避効果を有する芳香剤,防虫効果又は害虫忌避効果を有する香料,防虫効果又は害虫忌避効果を有する薫料」、第5類「蚊取線香,害虫忌避剤,防虫剤,薬剤,はえ取り紙,防虫紙」及び第21類「蚊取線香立て,虫よけ線香立て,蚊取線香皿,虫よけ線香皿,蚊取線香燃焼器,虫よけ線香燃焼器,香炉」を指定商品として同年12月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第51条第1項の規定により本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由(要旨)を、以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第37号証を提出した。 1 本件商標権者(被請求人)は、故意に、指定商品中、第5類「防虫剤」について本件商標に類似する商標を使用して、他人(請求人)の業務に係る商品との混同を生じさせている。 2 本件商標権者による使用商標の使用について (1)本件商標について 本件商標は、その文字部分の上段に「厚」、「太」及び「巻」の語と、その下段に「厚」、「太」及び「巻」の語よりやや小さく「強力防虫香」の語とを二段併記してなり、これらの文字部分の右側に煙がでているような渦巻状の線香のイラストの図形を配置してなるものを、モノクロで商標登録されたものである(甲1)。 (2)本件商標の使用態様について 本件商標権者による本件商標の実際の使用態様を示す商標(以下、使用商標1ないし使用商標3(枝番号を含む。)をまとめて「使用商標」という。)は、以下のとおりである。 ア 使用商標1(甲2) 使用態様 別掲2のとおり 使用商品 「防虫剤(防虫香)」 イ 使用商標2の1(上面)及び使用商標2の2(正面)(甲3) 使用態様 別掲3のとおり 使用商品「防虫剤(防虫香)」 ウ 使用商標3の1(上面)及び使用商標3の2(正面)(甲4) 使用態様 別掲4のとおり 使用商品 「防虫剤(防虫香)」 (3)使用商標と本件商標について ア 使用商標1、使用商標2の1及び使用商標3の1は、本件商標中「厚太」の文字部分の背景のみを(同列の「巻」の文字部分の背景は変えずに)、ピンク、グリーン又はブルーの他とは異なるカラーで塗りつぶし、さらに、使用商標2の2及び使用商標3の2においては、「厚太」の文字のみを(同列の「巻」の文字の色は他の文字の色と同じで)、グリーン又はブルーのカラーで表示するようにしている。 このように、モノクロで商標登録された本件商標に対して、使用商標は、いずれも「厚太」の文字部分の背景や文字のみを異なるカラーで表示することにより、「厚太」の文字が強調され、使用商標に接した、需要者、取引者は、自然と「厚太」の文字を、商標の要部として認識する態様とされている。「厚太」の文字を殊更強調した態様に変更することは、使用上普通に行われる程度の変更とは認められず、本件商標権者は、故意に、指定商品中、第5類「防虫剤」について、「厚太」の文字を強調した、引用商標に類似する商標を使用しているといえる。 イ 使用商標の「厚太」の文字に続く、「巻」の文字は、本件商標の指定商品「防虫剤」の形態(渦巻状(「蚊取線香」の一般的な形態))を表す語であって、自他識別力が小さいものであることから、「厚太」の文字と「巻」の文字との結合性は弱く、「厚太」の文字が分離解釈され易いものであるといえる。 (4)請求人と引用商標について ア 請求人について 請求人は、明治18年4月に創業し、昭和14年4月に設立された株式会社で、資本金は約1億円であり、医薬部外品(殺虫剤・入浴剤)、化粧品(浴用料)、芳香・消臭剤、洗浄剤及びその他日用品等の製造販売の業務を行っている(甲5)。 イ 引用商標について 請求人が所有する登録第6243789号商標(以下「引用商標」という。)(甲6)は、別掲5のとおり、漢字の「厚太」の文字に、その読み仮名である平仮名の「あつぶと」の文字を併記してなり、平成31年3月1日に登録出願、第5類「薬剤,はえ取り紙,防虫紙」及び第21類「蚊取線香立て,虫よけ線香立て,蚊取線香皿,虫よけ線香皿,蚊取線香燃焼器,虫よけ線香燃焼器,香炉」を指定商品として、令和2年4月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 また、引用商標は、請求人が考案した造語であり、その自他識別力の有無は、特許庁が認めたところである。 (5)引用商標に係る商品の取引の実績について 請求人は、2021年12月21日の製造開始から現在まで、約1年4ヶ月間継続して引用商標を「蚊取線香」(OEM商品を含む。)に使用してきたものであり、請求人の製造に係る「厚太」シリーズの「蚊取線香」(以下「請求人使用商品」という。)は、10種類以上にも及ぶものである(甲7~甲13)。 (6)引用商標の周知・著名性の獲得 ア 請求人使用商品の販売数及び売上金額について 請求人使用商品の販売数は、販売開始の2021年は、約7万個、2022年は、約17万個、2023年は、4月末時点で約11万個(通年で約32万個(予定))であり、合計約35万個(2023年末で、合計約56万個(予定))である。 また、売上金額は、2021年は、約2.6千万円、2022年は、約8千万円、2023年は、約1億5千万円(予定)であり、合計約2億5千円である。(甲14)。 請求人使用商品は、販売開始してから現在までの間に、売上が年々倍近く伸びていることから、当該商標には、請求人の販売する蚊取線香のブランドとしての信用が確実に蓄積されてきているといえる。 イ 使用地域及び使用規模について 請求人は、請求人使用商品を、店頭のみならず、請求人の通信販売ウェブサイト(甲15)、「Amazon」、「楽天市場」のECサイト(甲16、甲17)並びに全国で836店舗あるホームセンターグループ「DCM」の店頭及びそのウェブサイト(甲18)で販売していることから、使用地域及び使用規模は、日本全国である。 ウ 広告宣伝の方法について (ア)請求人は、請求人使用商品のテレビCMを2022年5月23日から放送を開始し、各地の放送局での番組中に合計146回放送している(甲19、甲20)。 (イ)請求人は、ライオンケミカル公式YouTubeチャンネルにおいて、2022年6月23日から当該テレビCMと同様の動画を公開しており、2023年3月現在、再生回数は343回を記録している(甲21)。 (ウ)請求人は、ラジオ番組において、商品紹介の放送を10回行っている(甲22、甲23)。 (エ)請求人は、Twitter、Instagram等のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を使用して、積極的にキャンペーンの告知や投稿をすることにより、幅広い需要者への浸透が図られている(甲24~甲36)。 (オ)請求人は、雑誌「わくわく紀州路Vo1.36」(発行日:2022年3月24日)へ宣伝広告(甲37)の掲載を行った。 当該雑誌(フリーペーパー)の発行部数は、6万部であり、和歌山県和歌山市、岩出市及び田辺市のショッピングセンターや和歌山県内の官公庁など約500か所に雑誌を設置し、無料配布することにより、幅広い年齢層への浸透を図っている。 エ 上記アないしウの結果、引用商標は、短期間で周知・著名性を獲得したものである。 (7)商品又は役務の出所の混同の該当性について ア 使用商標と引用商標の類似性について 使用商標の要部は、「厚太」の文字部分であり、また、使用商標からは、「アツブト」の称呼が生ずるものである。 他方、引用商標は、漢字の「厚太」の文字からなり、「アツブト」の称呼が生ずるものである。 そうすると、使用商標と引用商標とは、実質的に同一の商標である。 また、使用商標の使用商品「防虫剤(防虫香)」は、引用商標の指定商品「蚊取線香」と類似の商品である。 イ 本件商標権者は、請求人の努力によって周知・著名性を獲得した引用商標の取引上の信用にフリーライドして、引用商標と実質的に同一の使用商標を、引用商標と同一の商品に使用したものであり、使用商標は、請求人の業務に係る商品と誤認、混同を生じさせている。 また、引用商標は、本件商標権者による本件使用行為が行われ始めた時点では、日本において既に周知となっていたことから、本件使用行為により請求人の業務に係る商品と出所の混同を生じるものであった。 ウ 本件商標権者は、本件商標をモノクロで商標登録したにも関わらず、その構成中「厚太」の文字部分の背景や文字のみを異なるカラーで表示することにより、「厚太」の文字を殊更強調した態様に意図的に変更を行っていることは明らかである。 そして、当該行為は、使用商標に接する需要者からすれば、「厚太」の文字部分に注目するよう視線を誘導させるものであり、モノクロで商標登録した本件商標に引用商標と実質的に同一の顧客誘因力を生じさせるように擬装する極めて悪意のある行為といえる。 このように、本件商標権者は、本件商標を使用せずに、本件商標を引用商標と同一の態様にあえて近づけるように、変更を加えた使用商標の使用を開始したものであり、引用商標の周知性に鑑みれば、本件商標の使用行為により、請求人使用商品と出所の混同を生ずるおそれがあることについて故意であったことは明白である。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由(要旨)を以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む)を提出した。 1 本件商標 本件商標は、「厚太巻」の文字を大きくして1文字ずつ正方形の枠で囲い、その下部に「強力防虫香」の文字を小さく表示し、その8文字を矩形枠で囲んだ右横に渦巻き線香の先端が燃焼している状態を図案化し配置した商標である。 2 使用商標 使用商標を考察すると、「厚太」の文字部分と「渦巻き線香の先端が燃焼している部分」を包装箱のデザイン上で地色とは別の色彩で表示している。 3 本件商標権者の行為の正当性 本件商標権者は、たまたま包装箱の中の商品を消費者に分かりやすく表示したに過ぎず、当該行為は商標法第51条第1項の趣旨に該当しない。 よって、一部地色の変更にすぎない表示が、引用商標と類似することはなく、両者はあくまで非類似の商標である。 4 引用商標について 「厚太」とは「厚くて太い」ことに他ならない、一般的な商品の品質に近い商標であることは間違いない。「厚くて太い」用語の「くて」と「い」を除外した漢字の意味はそのまま本来の意味を示している。 請求人は、引用商標は使用することにより需要者に広く認識されるに至ったと主張するが、引用商標は特別な識別力も顕著性もなく、商品の品質、形状を表しているおそれのある商標であり、請求人の使用の結果、甲各号証から判断しても特定の者の商標であると認識されるに至っているとは言えないのである。 したがって、渦巻き線香の燃焼状態を図案化した特徴的な図形を有する本件商標と、「厚太」の文字のみからなる引用商標とは、たとえ本件商標の一部である「厚太」部分の地色を変色したところで混同することはない。 5 本件商標権者の使用が不正使用でないことについて 識別力のある図形を有する本件商標のうちデザイン上「厚太」文字の地色を変更したところで、観念が引用商標と紛らわしくなることはなく、称呼も「アツブト」とはならず「アツブトマキ」のままであることに変わりはない。更に一部地色を変更しても外観が引用商標に類似するものでもない。 本件商標の「厚太」部分の地色の変色によっても、両商標の類否には何ら影響を及ぼすことはなく、本件商標と引用商標が需要者をして混同を起こさせることはない。 6 小括 上記のとおり、本件商標権者はデザイン上と包装箱の中の商品の品質・形状を分かり易くするために包装箱の一部地色を変更したのであり、他の登録商標と紛らわしくさせようとする不正使用ではないことは明らかである。本件商標の要部は「厚太巻」を枠で囲った図形と渦巻き線香の図形との組み合わせである。 7 むすび 上記の説明および証拠によって明らかなように、引用商標と使用商標が需要者をして混同を起こすものではなく、両者は明らかに非類似の商標である。 第4 当審の判断 商標法第51条第1項は、「商標権者が故意に指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用であつて商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定している。 そこで、請求人の主張に係る使用商標の使用行為が、上記規定に該当するものであるか否かについて、以下検討する。 1 使用商標の使用が、「指定商品についての登録商標に類似する商標又は指定商品に類似する商品についての登録商標に類似する商標」の使用に該当するかについて (1)本件商標と使用商標の類否 ア 本件商標について 本件商標は別掲1のとおり、左上に上下2段に区切り、さらにその上段を3つに区切った長方形を表し、上段の3つの枠内に「厚」、「太」及び「巻」の文字をそれぞれ表示し、その下段の枠内に「強力防虫香」の文字を該「厚太巻」の文字よりも小さく表示し、その右側に渦巻き線香の先端が燃焼している状態と思しき図形を表示したものであり、本件商標の指定商品は、上記第1のとおりである。 イ 使用商標について 本件商標権者が、「防虫剤(防虫香)」(使用商品)に使用していると認められる使用商標は、別掲2ないし別掲4のとおり、左上に上下2段に区切り、さらにその上段を3つに区切った長方形を表し、上段の3つの枠内に「厚」、「太」及び「巻」の文字をそれぞれ表示し、その下段の長方形の枠内に「強力防虫香」の文字を該「厚太巻」の文字よりも小さく表示し、その下方に渦巻き線香の先端が赤色で表され燃焼している状態と思しき図形を表示したものであり、該「厚」及び「太」に係る枠内がピング、緑及び水色で着色されたもの(使用商標1、使用商標2の1及び使用商標3の1)及び左側に黒地に白抜きで上下2段に区切り、さらにその上段を3つに区切った長方形を表し、上段の3つの枠内に「厚」、「太」及び「巻」の文字をそれぞれ表示し、その下段の長方形の枠内に「強力防虫香」の文字を該「厚太巻」の文字よりも小さく表示し、その右側に渦巻き線香の先端が赤色で表され燃焼している状態と思しき図形を表示したものであり、該「厚」及び「太」の文字が緑及び水色で着色されたもの(使用商標2の2及び使用商標3の2)である。 ウ 本件商標と使用商標の類否について 本件商標と使用商標の類否について見るに、本件商標と使用商標1、使用商標2の1及び使用商標3の1とは、色彩の有無及び枠を含む文字と図形の配置に差異があるものの、枠を含めた「厚」、「太」、「巻」及び「強力防虫香」の文字並びに図形の構成を同じくするものである。 また、本件商標と使用商標2の2及び使用商標3の2とは、色彩の有無に差異はあるものの、文字並びに図形の構成及びその配置をほぼ同じくするものである。 したがって、本件商標と使用商標は類似の商標である。 エ 本件商標の指定商品と使用商品について 本件商標の指定商品は、上記第1のとおりであるところ、使用商品「防虫剤(防虫香)」は、本件商標の指定商品と同一又は類似の商品である。 (2)以上より、本件商標と使用商標は類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品は使用商標に係る商品(使用商品)と同一又は類似の商品であるから、使用商品について使用商標を使用することは、「指定商品についての登録商標に類似する商標又は指定商品に類似する商品についての登録商標に類似する商標」の使用に該当する。 2 商品の品質の誤認又は出所の混同を生ずるかについて (1)品質の誤認について 使用商標を使用商品(防虫剤(防虫香))に使用しても商品の品質の誤認が生じるものとは認められない。 (2)出所の混同について ア 引用商標の周知性について 請求人は、2021年12月21日の製造開始から、約1年4ヶ月間継続して引用商標を請求人使用商品に使用し、引用商標は、短期間で周知・著名性を獲得したものである旨主張するので、これについて検討する。 請求人の主張及び同人が提出した証拠によれば以下のとおりである (ア)請求人使用商品は、OEM商品も含めると10種類以上ある(甲7~甲13)。 (イ)請求人使用商品の販売数及び売上金額について 請求人使用商品の販売数は、販売開始の2021年は、約7万個、2022年は、約17万個、2023年は、4月末時点で約11万個である。 また、売上金額は、2021年は、約2.6千万円、2022年は、約8千万円、2023年は、4月末時点で約5千万円である。(請求人主張、甲14)。 (ウ)使用地域及び使用規模について 請求人使用商品は、請求人の通信販売ウェブサイト、「Amazon」及び「楽天市場」のECサイト並びに全国で836店舗あるホームセンターグループ「DCM」のウェブサイトで販売されているところ、請求人の通信販売ウェブサイト、「Amazon」及び「楽天市場」のECサイトでは、他の防虫剤等及び他のメーカーの蚊取り線香等と並んで表示されている(甲15~甲18) (エ)広告宣伝について a 請求人使用商品のテレビCMは2022年5月23日から同年9月25日までに合計146回放送されているところ、その放送エリアは、和歌山県、山口県の一部、福岡県、佐賀県、熊本県等の九州地方である(甲19、甲20)。 b 請求人の公式YouTubeチャンネルにおいて、2022年6月23日から当該テレビCMと同様の動画を公開しており、2023年3月現在、再生回数は343回である(甲21、請求人主張)。 c 請求人使用商品は、2022年4月21日から同年8月5日までに、ラジオ番組において紹介されているところ、当該ラジオ番組の放送エリア及び回数は、大阪、兵庫等の関西地方、和歌山県及び四国地方の一部で4回、山口県、愛媛県、香川県の一部、福岡県等の九州地方で6回である(甲22、甲23)。 d 請求人は、2022年4月18日ないし同年9月22日にTwitter、Instagram等のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)上で、請求人使用商品の広告(フォロー&リツイートキャンペーンを含む。)を行っているところ、フォロー&リツイートキャンペーンにおいては、1回の投稿(広告)に対するリツイート数が、約3000ないし4000であり、リツイートキャンペーンではない広告についてのリツイート数は1ないし30件、「いいね」の数は約10件ないし80件である(甲24~甲36)。 e 請求人使用商品の広告が雑誌「わくわく紀州路Vo1.36」(発行日:2022年3月24日)に掲載された。 当該雑誌(フリーペーパー)の発行・企画・編集はテレビ和歌山であるから、その配布範囲は和歌山県に限定されると推認できるところ、被請求人は、当該雑誌の発行部数は、6万部と主張している(甲37、請求人主張)。 (オ)上記(ア)ないし(エ)によれば、請求人使用商品は2021年12月に製造を開始し、2023年4月末までに35万個を販売し、その売上高は合計15.6千万円であるところ、請求人使用商品である「蚊取り線香」においての売上の多寡は不明である。 また、請求人使用商品のECサイト等での販売は他メーカーの防虫剤と同列に扱われており、請求人使用商品が特に目立つという対応がされているとはいい難い。 そして、テレビ、ラジオ、雑誌における広告は、その放送エリア、配布エリアが、関西地方、四国地方、九州地方等と限定的であり、各地方における放送回数も、さほど多いとはいえず、また、雑誌の配布エリアも和歌山県に限られると推認されるところ、その配布数を裏付ける客観的な証拠の提出はない。 さらに、Youtubeでの広告についても、その再生回数は343回と多いとはいえず、SNSでの広告についても「フォロー&リツイートキャンペーン」であってもリツイート数は多くて4000ほどとさほど多いものとはいえないし、当該キャンペーン以外の広告ではリツイート数や「いいね」の数も少なく、請求人のSNSを閲覧する者の全てが「いいね」やリツイートをするものではないとしても、当該SNSの閲覧数が多いとは推認できない。 以上のことからすると、請求人商標が、2021年から、現在に至るまでのいずれの時点においても、請求人使用商品を表すものとして、我が国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 イ 引用商標と使用商標の類否について (ア)引用商標 引用商標は別掲5のとおり「あつぶと」の平仮名とそれより大きく「厚太」の漢字を2段に書してなるところ、上段の「あつぶと」の平仮名は下段の「厚太」の読みを表すものと無理なく認識されるものである。 また「厚太」の文字は辞書に採録されている語ではないものの、その漢字の構成より「厚くて太い」程度の漠然とした観念を生じるものである。 そうすると、引用商標は、その構成に相応した「アツブト」の称呼を生じ、「厚くて太い」程度の漠然とした観念を生じるものである。 (イ)使用商標 使用商標は、別掲2ないし別掲4の構成からなり、上記1(1)イのとおりであるところ、その構成中の図形部分からは特定の称呼及び観念が生ずるものではなく、また、「強力防虫香」の文字は使用商品(防虫剤(防虫香))の品質を表示する文字と認められるから、商品の識別標識としての称呼及び観念は生じないものである。 そうすると、使用商標はその「厚」「太」「巻」の文字から「アツブトマキ」の称呼を生じるところ、当該「厚太巻」の文字は、辞書に採録されている語ではないが、その漢字の構成より「厚くて太い巻いたもの」程度の漠然とした観念を生じるものである。 これについて、請求人は構成中の「厚」及び「太」の背景色又は文字の色彩が「巻」の背景色又は文字の色彩と異なるから、「厚」及び「太」の文字が強調され、要部として認識される、並びに「厚」及び「太」の文字と「巻」の文字の結合性が弱く更に「巻」の文字が使用商品との関係で自他商品の識別標識としての機能が弱いから「厚太」の文字が分離抽出される旨主張している。しかしながら、「厚」、「太」及び「巻」の文字は、それぞれが枠内に表示されているものの、同書、同大、同間隔で表され、当該文字から生じる「アツブトマキ」の称呼も冗長ではなく一気に称呼できること、さらに「厚」、「太」及び「巻」の文字全体で「厚くて太い巻いたもの」程度の漠然とした観念を生じるものであるから、「厚」及び「太」の背景色又は文字の色彩が「巻」の背景色又は文字の色彩と異なることのみを持って「厚太」の文字が分離抽出されることはない。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (ウ)引用商標と使用商標の類否について 引用商標と使用商標を比較するに、外観において、両者は、「あつぶと」の平仮名並びに文字を囲む四角の枠、「巻」の文字、「強力防虫香」の文字及びに図形部分の有無により、明確に区別され、引用商標の「厚太」の文字と使用商標の「厚太巻」の文字を比べても「巻」の文字の有無より明確に区別できる。 また、引用商標より生ずる「アツブト」の称呼と使用商標より生ずる「アツブトマキ」の称呼とは音数が明らかに異なるため称呼においても明瞭に聴別できる。 さらに、引用商標は「厚くて太い」程度の漠然とした観念を生じるのに対し、使用商標は「厚くて太い巻いたもの」程度の漠然とした観念を生じるものであるから、観念においても相紛れるおそれはない。 そうすると、引用商標と使用商標とは外観において明確に区別でき、称呼においても明瞭に聴別できることに加え、観念において相紛れるおそれはないものといえるから、両商標は非類似の商標である。 ウ 出所の混同の有無について 上記アのとおり、引用商標は請求人使用商品を表すものとして、我が国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 また、使用商標と引用商標とは、上記イのとおり、非類似の商標である。 したがって、本件商標権者が、使用商標を使用商品に使用しても、これに接する需要者が、請求人の業務に係る商品であるとの誤認を生じさせるおそれはなく、請求人の業務に係る商品と混同を生じるものということはできない。 3 故意について 請求人は、本件商標権者は、本件商標を使用せずに、本件商標を引用商標と同一の態様に敢えて近づけるように、変更を加えた使用商標の使用を開始したものであり、引用商標の周知性に鑑みれば、本件商標の使用行為により、請求人使用商品と出所の混同を生ずるおそれがあることについて故意であったことは明白である旨主張する。 しかしながら、上記2(2)イ(ウ)のとおり、使用商標と引用商標は非類似の商標というべきものであり、かつ、上記2(2)ア(オ)のとおり、引用商標の周知性も認められないものであるから、仮に本件商標権者が請求人商標を知悉していたとしても、直ちに、請求人の業務に係る商品と混同を生じさせる意図を有していたということはできない。 したがって、本件商標権者による使用商標の使用について、商標法第51条第1項所定の「故意」を認めることはできない。 4 むすび 以上のとおり、被請求人である本件商標権者が、故意に本件商標と類似する使用商標を本件商標の指定商品と同一又は類似である使用商品に使用して商品の品質の誤認又は請求人の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたということはできないから、本件商標の登録は、商標法第51条第1項の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-300333

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    共通の条文: 51条1項
  • 2022-300709取消審判 / 2023-11-14 / 請求不成立エイトトーキョー
    共通の条文: 51条1項
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