商標取消審判
2025-300172
パワーボール、パワー、ボール
- 審判番号
- 2025-300172
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2018-059005
- 登録番号
- 6150778
- 請求日
- 2025年02月20日
- 審決日
- 2026年03月12日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】シレネ ソリューションズ リミテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所
- 【被請求人】マルチ-ステイト ロッテリー アソシエーション
- 【被請求人代理人】青木 篤
- 【被請求人代理人】外川 奈美
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大島 康浩
- 分類
- T131 .1 -Z (W1641)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第7号、商標法第70条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6150778号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第6150778号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6150778号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成30年5月7日に登録出願、第16類「宝くじ券用紙」及び第41類「当せん金付証票の発売,当せん金付証票の企画・運営,当せん金付証票の受託発売,当せん金付証票の発売の代理,当せん金付証票の発売に関する情報の提供,宝くじの販売及び当選結果に関する情報の提供,受託による当せん金付証票の作成・売りさばきその他発売及び当せん金品の支払い又は交付」を指定商品及び指定役務として、令和元年6月7日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和7年3月7日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和4年(2022年)3月7日から同7年(2025年)3月6日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人のウェブサイトにおける使用
被請求人は自身のウェブサイト(以下、「本件ウェブサイト」という。)において、宝くじ(以下「本件宝くじ」という。)の抽選日等の販売に関する情報や当選結果に関する情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為が行われていたと主張する。しかし、本件ウェブサイトの言語はすべて英語によって構成されており、乙第2号証及び乙第3号証もすべて英語によって表示されている。被請求人が答弁書において「この宝くじは米国の法律上の問題で全米45の州でのみ購入可能で、かつ、日本の法律上の問題により日本からこれを購入することはできない」と述べているとおり、本件ウェブサイトは米国の需要者を対象としていることは明らかである。被請求人は、日本からも本件ウェブサイトにアクセスすることができるため、本件ウェブサイトに表示された本件商標と社会通念上同一の商標の使用が、日本国内における登録商標の使用に当たると主張する。しかし、インターネット上のサーバーを経由して提供されるウェブサイトが世界各国からアクセス可能であることは当然のことであり、国外における国外の需要者向けのウェブページにおける商標の使用を、インターネットを通じて日本からアクセス可能という事実だけで日本国内の使用と認めるのは甚だ不合理な結果を生ずる。
上記の請求人の主張が正しいことは、知財高裁の判決によっても明らかである(甲2)。加えて被請求人の販売する宝くじは、米国45の州でしか購入ができないこと、及び、日本の法律によって日本国内から本件宝くじの購入が禁じられていることを考慮すれば、本件ウェブサイトは明らかに米国の需要者を対象としたものというべきであり、日本国内での商標の使用とは到底いえない。
なお、被請求人は、「米国の滞在中に日本人が現地でこのくじを購入することは当然可能である。また、このくじは複数回分をまとめて購入することができるので、米国で複数回分のくじを購入し、それを所持したまま帰国した者が、帰国後に本件ウェブサイトを通じて自己が購入したくじの当たり外れを確認することも当然ある」と主張する。しかしながら、被請求人のこのような主張は憶測の域を出ず、そういった需要者が実際にいたと推認できる合理的な根拠は示されていない。仮にそのような需要者がいたと仮定しても、日本国内で販売されている宝くじの購入に関連する対象需要者層と比して、極めて少数であるというのが相当であって、商標法第50条における使用とはいえない。
上記のとおり、本件ウェブサイトは日本国内からもアクセスが可能であり、日本で利用可能な検索エンジンで「POWERBALL」を検索すれば、本件ウェブサイトに容易に辿り着くことができる。被請求人は乙第4号証によって、本件ウェブサイトが日本からもアクセスされていると主張する。しかしながら、当該証拠において「Active Users」の総数は「3,729,518人」であるところ、そのうち米国の需要者は約93%(3,466,757人)を占めている。日本の需要者は、1,448人であって、総数に占める割合はわずかに0.4%にすぎないことは、むしろ、本件ウェブサイトが米国の需要者を対象とするものであることを如実に示している。なおかつ、乙第4号証の集計期間と思われる「Mar 10,2025-,Apr 6,2025」の表示は、2025年3月10日から2025年4月6日であり、本件審判の要証期間外の期間を含んでいるため、乙第4号証は証拠として採用することができない。
被請求人は、米国で本件宝くじを購入した需要者が、日本へ帰国後に当選の有無を確認するため本件ウェブサイトを訪れることがあると主張し、宝くじの当選結果に関する情報に標章を付して電磁的方法により提供していると主張するが、当選番号を表示したウェブページ(乙6、乙7)は、本件ウェブサイトにアクセスした需要者であれば誰でも無償で閲覧することができるものであり、宝くじの当選結果に関する情報の提供が独立して商取引の対象となっているとはいえず、米国国内において宝くじの販売という役務が提供された後、購入者が付随的に当選の有無を確認しているにすぎない。商標法上の役務は「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たり得るべきもの」であるが、被請求人のウェブサイトで提供されている当選結果に関する情報の提供は、宝くじの販売後に付随的に行われているものであり、商標法上の役務には該当しない。
また被請求人は、「購入した宝くじが当選した場合は所定の手続を行うことで日本にいても当選金の受け取りは可能である」と主張し、乙第5号証を提出している。しかし、乙第5号証は「宝くじの当選金に税金はかかる?」と題された公認会計士によるオンライン記事であり、海外の宝くじの当選金を受け取った場合、課税対象であることを示しているにすぎない。本件商標の使用とは一切関係がなく、また、日本人が本件宝くじに当選し日本国内において当選金を受け取ったという事実を示したり推認させたりするものでもない。
乙第7号証に関して被請求人は、「使用するブラウザによっては本件ウェブサイトにアクセスすると日本語の広告が合わせて表示されるが、これは日本人が本件ウェブサイトへアクセスすることを前提としているために他ならない」と主張する。しかし、これはユーザーによるブラウザの閲覧履歴に基づいて、自動的に広告スペースに広告が表示される広告配信システムによるものであり、本件ウェブサイト自体の構成とは別の問題である。ユーザーが、日本のウェブサイトを多く閲覧していれば、その履歴がブラウザや端末に保存され、自動的に日本語の広告が表示される仕組みであり、当該広告文が表示されることをもって日本人のアクセスを前提にしているという被請求人の主張は失当である。
(2)新聞や雑誌記事への紹介
被請求人の答弁において、「本件商標が付された宝くじや役務の提供が日本の新聞や雑誌記事にも紹介されることが多くある」と主張しているが、提出された証拠(乙8~乙10)の記事の作成元は、フォーブス・メディア・エルエルシー(乙8)、株式会社朝日新聞社(乙9)、CNN(乙10)であり、被請求人とは無関係の者である。前記記事の作成元が被請求人の使用権者であることは被請求人によって証明されていない。
また、記事の内容は「米宝くじ「パワーボール」の大当たり額が2575億円に、同国史上2番目」(乙8)等と題された、米国における宝くじの当選に関する事実の報道記事であり、本件商標と社会通念上同一の標章が報道記事に表示されていたとしても、商標法第2条第3項第8号における「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」には該当しない。
(3)乙号証について
以下に述べるとおり、被請求人提出の証拠は、いずれも採用できるものではない。
乙第1号証は、ウィキペディアである。ウィキペディアは、世界中のボランティアの共同作業によって執筆及び作成されるフリーの多言語インターネット百科事典であり、編集可能なものであって、事実に反する内容を含んでいることもあるため、証拠として適切ではない。
乙第2号証は、すべて英語によって表示されている。加えて、本件宝くじは米国45の州のみで購入することが可能であり、本件ウェブサイトは米国の需要者を対象に作成されたものである。インターネット上のウェブサイトは世界各国からアクセス可能であり、米国サーバーに設けられた本件ウェブサイトにおける使用を日本国内における使用と認めることができないのは、知財高裁の裁判例からも明らかである。
乙第3号証も、上記の乙第2号証と同じである。
乙第4号証は、本件ウェブサイトが世界各国からアクセス可能であることを示しているにすぎず、インターネット上のウェブサイトであれば当然のことである。また、本件ウェブサイトのユーザーの93%は、米国国内からのアクセスであり、米国の需要者を対象に作成されたウェブサイトであることは明らかである。日本国内からのアクセスはわずかに0.4%にすぎない。なおかつ、要証期間外の期間を含んでいるため、証拠として採用できない。
乙第5号証は、「宝くじの当選金に税金はかかる?」と題されたオンライン記事であり、海外の宝くじの当選金を受け取った場合に課税の対象となることを示しているにすぎない。被請求人による本件商標の使用とは無関係であって、使用の証拠にはならない。
乙第6号証は、すべて英語によって表示されており、乙第2号証と同様である。米国の需要者を対象としていることは、乙第4号証の数字からも明らかである。
乙第7号証も、上記の乙第6号証と同じである。なお、被請求人は、使用するブラウザによっては日本語の広告文章が表示されることをもって、日本の需要者を対象にしたものと主張するが、これはブラウザや端末の閲覧履歴に基づいて広告が自動的に配信されるシステムであり、本件ウェブサイト自体の構成とは別の問題であるから、当該主張は失当である。
乙第8号証は、「米宝くじ「パワーボール」の大当たり額が2575億円に、同国史上2番目」と題されたインターネットニュース記事であり、米国での当選の事実を報道しているものにすぎない。記事を作成したフォーブスは、被請求人と無関係の者であるから、商標法第50条の使用には該当せず、証拠として採用できない。
乙第9号証は、「賞金およそ3千億円が大当たり 米宝くじで史上最高額に」と題されたインターネットニュース記事であり、米国での当選の事実を報道しているものにすぎない。記事を作成した朝日新聞社は、被請求人とは無関係の者であるから、商標法第50条の使用には該当せず、証拠として採用できない。
乙第10号証は、「パワーボールで1510億円の大当たり、当選者はまだ名乗り出ず 米」と題されたインターネットニュース記事であり、米国での当選に関する事実を報道しているものにすぎない。記事を作成したCNNは、被請求人と無関係の者であるから、商標法第50条の使用には該当せず、証拠として採用できない。
(4)むすび
以上のとおり、被請求人が使用証拠として提出したものは、いずれも「宝くじの販売に関する情報の提供」又は「宝くじの当選結果に関する情報の提供」の役務についての使用を立証するものではない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判事件答弁書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1 本件審判請求が成り立たない旨の理由
(1)被請求人が商標法第2条第3項第7号に該当する行為をしていることについて
ア 被請求人による本件商標の使用について
被請求人はアメリカで本件宝くじを販売している(乙1)。
合わせて自身が開設する本件ウェブサイトにおいて、その販売情報や当選番号についての情報を提供している(乙2、乙3)。本件サイトが被請求人の開設するサイトであることは、乙第3号証における記載からも明らかである。
この宝くじは、米国の法律上の問題で全米45の州でのみ購入可能で、かつ、日本の法律上の問題により日本からこれを購入することはできない。
しかし、米国に滞在中の日本人が現地でこのくじを購入することは当然可能である。また、このくじは複数回分をまとめて購入することができるので、米国で複数回分のくじを購入し、それを所持したまま帰国した者が、帰国後に本件ウェブサイトを通じて自己が購入したくじの当たり外れを確認することも当然ある。現に、被請求人のウェブサイトには日本からもアクセスされている事実がある(乙4)。もちろん、購入したくじが当選した場合は所定の手続を行うことで日本にいても当選金の受け取りは可能である(乙5)。
このように、被請求人は米国で宝くじを販売し、その販売情報や当選情報を広く世界に向けて発信しており、それは日本においても同様である。
イ 商標の同一性について
登録商標で使用されている商標と本件ウェブサイト上で使用されている商標は色彩に違いはあるが「色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標」(商標法第70条)であることは明らかであるので、本件ウェブサイトにおいて使用されている商標は登録商標の使用に該当する。
ウ 指定役務の同一性について
宝くじを購入する目的は当選金であるから、単に発売日や発売場所に関する情報のみではなく、抽選日についての情報までをまとめて「宝くじの販売に関する情報」というべきであるところ、被請求人は乙第2号証に示すように、本件ウェブサイトにおいて次回の宝くじの販売日や抽選日について情報を発信している。
該行為は指定役務「宝くじの販売及び当選結果に関する情報の提供」中の「宝くじの販売に関する情報の提供」に当たる。
また、本件ウェブサイトでは過去の抽選番号に関する情報も提供されている(乙6)。該行為は指定役務「宝くじの販売及び当選結果に関する情報の提供」中の「宝くじの当選結果に関する情報の提供」に当たる。
エ 日本国内での使用について
本件ウェブサイトは英語でのみ記載されている。また、本件宝くじは米国においてしか発売されていない。とはいえ、前記のとおり、本件宝くじの所持者は日本を含めた全世界に存在し、現に日本からも本件ウェブサイトへのアクセスがあることは既に述べたとおりである。
日本にいる本件宝くじ所持者が日本から本件ウェブサイトにアクセスし、そこで「宝くじの販売及び当選結果に関する情報の提供」を受けている以上、仮にこれが英語で作成されたウェブサイトであり、かつ、宝くじ自体が米国でしか販売されていないとしても、指定役務「宝くじの販売及び当選結果に関する情報の提供」については日本国内においても使用されていると考えるのが相当である。
なお、使用するブラウザによっては本件ウェブサイトにアクセスすると日本語の広告が合わせて表示されるが、これは日本人が本件ウェブサイトへアクセスすることを前提としているために他ならない(乙7)。
オ 要証期間内の使用について
本件ウェブサイトにおいて要証期間内に本件商標が使用されていた事実は、たとえば乙第2号証が要証期間内である2023年2月27日の抽選日についてのものであることや、乙第3号証が2024年6月5日の当選番号、2025年6月8日が次の抽選日であって、当選金が206Millionであることを紹介していることからも明らかである。
カ 小括
このように、被請求人は本件審判請求に係る指定役務中「宝くじの販売及び当選結果に関する情報の提供」に関し、電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に本件商標を表示してこれら役務を提供しているのであり(商標法第2条第3項第7号)、要証期間内に本件商標をその指定役務に使用していたことは明らかである。
(2)被請求人が商標法第2条第3項第8号に該当する行為をしていることについて
ア 前記のとおり、被請求人は本件宝くじを販売しているが、本件商標が付された宝くじや役務の提供が日本の新聞や雑誌記事にも紹介されることが多くある(乙8、乙9)。
こうした記事には、本件商標が付された指定商品「宝くじ」の写真が明確に掲載されているので、言語の問題もなく、これを目にした需要者は、被請求人が、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用していることを直ちに明確に認識することができる。そして、こうした写真や記事等は、日本国の需要者が、本件商標を記憶し、印象付けられ、アメリカを訪れた際等に本件宝くじを購入するきっかけともなる。
したがって、このような記事は単なる事実を伝える新聞・雑誌記事としての役割にとどまらず、日本国の一般需要者に対する、本件商標が付されたくじの宣伝広告の役割も果たすものであり、また本件商標が付された「宝くじの販売及び当選結果に関する情報の提供」に関する広告としての機能をも果たしている。
これらの記事には本件商標と同一の商標が表されており、また、記事の掲載日よりこれらが要証期間内に発行された記事であることは明らかである。
イ 小括
このように、被請求人は本件審判請求に係る指定役務中「宝くじの販売及び当選結果に関する情報の提供」に関する広告に本件商標を付して頒布しており(商標法第2条第3項第8号)、要証期間内に本件商標をその指定役務に使用していたことは明らかである。
第4 審尋
審判長は、被請求人に対し、令和7年9月24日付け審尋において、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に、商標権者又は通常使用権者が、本件商標の指定商品又は指定役務について、本件商標を使用していたことを被請求人が証明しているものとはいえない旨の合議体の暫定的見解及び請求人が提出した同年8月5日付けの弁駁書に対する回答を求めた。
第5 審尋に対する回答
前記第4の審尋に対し、被請求人からの回答はなかった。
第6 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
(1)乙第2号証、乙第3号証及び乙第6号証は、いずれも被請求人である商標権者のウェブサイト(本件ウェブサイト)のアーカイブである。乙第2号証は2023年3月頃の、乙第3号証及び乙第6号証は2024年頃のアーカイブとみられるところ、これらはすべて英語によるものであり、それぞれ、ページ中に、別掲2のとおりの商標(以下「使用商標」という。)が表示されている。
(2)乙第1号証は、本件宝くじについてのWikipediaの写しとするものであるところ、文中に、「パワーボール(Powerball)はアメリカ合衆国の45州とアメリカ領ヴァージン諸島、プエルトリコ、コロンビア特別区で発売されている数字選択式宝くじ。2020年現在、・・・日本国内では購入できない。」との記載がある。
(3)「Forbes JAPAN」のウェブサイトにおける2023年10月10日付けの記事(乙8)、「朝日新聞」のウェブサイトにおける2022年11月9日付けの記事(乙9)及び「CNN.co.jp」のウェブサイトにおける2023年7月21日付けの記事(乙10)において、それぞれ本件宝くじについて日本語で紹介されるとともに、使用商標を付した本件宝くじのチケットやポスターの写真が掲載されている。
これらの記事情報は、いずれも商標権者により提供されたものではない。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は、別掲1のとおりの構成からなり、使用商標は、別掲2のとおりの構成からなるところ、これらは、いずれも6つ横並びに配置された円形内に、それぞれ「P」「O」「W」「E」「R」「BALL」の文字を表してなるものであり、色彩や文字の書体等において若干の差異を有するとしても、全体の構成をほぼ共通にするものであって、外観において同視されるものといえるから、両者は、社会通念上同一の商標といい得る。
(2)使用役務について
上記1(1)及び(2)によれば、商標権者が本件ウェブサイトにおいて使用商標を使用していること、及び、商標権者が本件宝くじを販売していることは推認し得る。
しかしながら、本件ウェブサイトは、すべて英語によるものであって、その詳細は不明であるから、使用商標が、「宝くじの販売及び当選結果に関する情報の提供」に使用されているものと直ちに認めることはできない。
(3)日本国内における使用行為について
被請求人は、日本にいる本件宝くじ所持者が日本から本件ウェブサイトにアクセスし、そこで「宝くじの販売及び当選結果に関する情報の提供」を受けている以上、これが英語で作成されたウェブサイトであり、かつ、宝くじ自体が米国でしか販売されていないとしても、上記役務については、日本国内における使用である旨主張する。
しかしながら、ウェブサイトが日本からもアクセス可能であることは、インターネットのウェブサイトである以上当然のことであり、明確に日本の需要者を対象としたものとはいえない。そして、本件ウェブサイトがすべて英語によるものであることに加え、本件宝くじが、主にアメリカ合衆国においてのみ購入可能なものであって、日本国内において購入できないものであることも踏まえると、仮に、使用商標が本件ウェブサイトにおいて商品又は役務の広告として表示されているとしても、これが日本国内における使用行為に当たるということはできない。
(4)その他の使用行為について
各種ウェブサイト記事(乙8~乙10)において、本件宝くじについての日本語の紹介とともに、使用商標が表示されているとしても、これらの記事情報は、商標権者により作成、提供されているものではないから、商標権者が商品又は役務に関する広告を行っているものとはいえない。
(5)小括
以上のことからすると、使用商標が、本件商標と社会通念上同一の商標といえるとしても、これが要証期間内に、日本国内において、本件商標の指定商品又は指定役務について使用されたものと認めることができない。
そして、その他、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に日本国内において、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)をその指定商品又は指定役務について使用をしていることを認めるに足りる証拠の提出はない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、指定商品又は指定役務のいずれかについて、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していることを証明したとはいえない。
また、被請求人は、本件商標の指定商品又は指定役務について、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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