商標取消審判
2022-300198
イオス、イイオオエス
- 審判番号
- 2022-300198
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1985-076702
- 登録番号
- 2310134
- 請求日
- 2022年03月04日
- 審決日
- 2023年02月09日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】伊東 邦子
- 【被請求人】キヤノン 株式会社
- 【被請求人代理人】水野 勝文
- 【被請求人代理人】和田 光子
- 【被請求人代理人】保崎 明弘
- 【被請求人代理人】鈴木 亜美
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 大山 健
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T132 .1 -Y (10510)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第2310134号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第2310134号商標(以下「本件商標」という。)は、「EOS」の欧文字を横書きしてなり、昭和60年7月25日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年5月31日に設定登録され、同13年6月5日に商標権の存続期間の更新登録がされ、その後、指定商品について、同14年4月17日に、第5類「医療用腕輪」及び第10類「医療用機械器具」のほか、第1類、第9類及び第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がされ、さらにその後、同23年5月17日及び令和3年4月16日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
なお、本件審判請求の登録日は、令和4年3月24日である。
また、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成31年(2019年)3月24日ないし令和4年(2022年)3月23日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第5類「医療用腕輪」及び第10類「医療用機械器具」(以下「取消請求商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが取消請求商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は、取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)請求に係る指定商品についての使用に該当しないこと
被請求人は答弁書とともに、乙第2号証ないし乙第7号証を提出し、取消請求商品である第10類「医療用機械器具」について、本件商標を使用している旨主張する。
しかしながら、商標の使用は、商品についてなされることが必要であり、その商品についての識別表示として機能しなければならないところ、これらの証拠は、商標が、取消請求商品についての識別表示として使用されていることを立証するものでなく、その証拠価値において、脆弱かつ不備なものである。以下に、その理由を述べる。
ア 乙第2号証及び乙第3号証について
乙第2号証は、指定商品「医療用機械器具」に含まれる商品である「眼底カメラ」の一機種である「CR-2 AF」の製品カタログの写しである。
そこでまず、乙第2号証について検討するに、カタログの表紙左上より、「Canon」の欧文字、右上に同「Canon」の文字より大きく「CR-2 AF」の文字、その下段に小さく「Digital Retinal Camera」の欧文字、その下段に小さく「眼底検査に真価を発揮するEOSテクノロジー」、そして、その文字の下部に該文字より約3倍の大きさの文字で「無散瞳デジタル眼底カメラ」が表記されてなるものである。
被請求人は、この表紙の構成態様に関し、商標(1)「眼底検査に真価を発揮するEOSテクノロジー」及び、カタログの裏表紙に記載の商標(2)「CR-2 AF 専用デジタルカメラユニットby Canon EOS camera technology」をもって本件商標を商品「眼底カメラ」について使用している旨主張する。
しかしながら、上記商標(1)及び商標(2)は、いずれも商品「眼底カメラ」について本件商標「EOS」を使用しているとはいえない。
すなわち、商品「眼底カメラ」の識別表示として機能しているものは、これら「Canon」及び「CR-2 AF」の標章というべきであって、同表紙に小さく付記的に表示された「眼底検査に真価を発揮するEOSテクノロジー」という商標(1)ではないし、ましてやその構成中の一部である「EOS」の文字でもない。
また、同カタログの表紙を除く1頁目ないし6頁目には「EOS」の文字の一切の記載がなく、かろうじて、同カタログの裏表紙における「主な仕様」と題した表中に、商標(2)「CR-2 AF 専用デジタルカメラユニットby Canon EOS camera technology」が「付属デジタルカメラ」の説明として記載されている。
これは、機種「CR-2 AF」には、専用のデジタルカメラユニットが搭載されており、そのカメラユニットには、キヤノン株式会社の製造販売するEOSカメラの技術が使用されているという程度の説明がなされているにすぎない。
つまり、商標(2)は、「眼底カメラ」に付属する「デジタルカメラ」の仕様を説明した付記的表示にすぎず、商標的使用態様ではないから、取消請求商品についての商標の使用とはいえない。
次に、乙第3号証は、商品「眼底カメラ」の一機種「CR-2 AF」を撮影した写真であり、被請求人は、製品に商標(3)「EOS Camera Technology」が付されたことをもって、本件商標を商品「眼底カメラ」について使用している旨主張する。
しかしながら、製品全体を撮影した左上写真から明瞭に認識されるのは、まず「Canon」の欧文字及び「CR-2 AF」にすぎず、右上及び左下の拡大写真によってようやく「CR-2 AF」の下段に付記された「Digital Retinal Camera」の欧文字及び「EOS Camera Technology」の欧文字が認識される。商標(3)が付された位置は、黒色の付属専用デジタルカメラユニットの支持部分であり、これは、商標(3)が、単に「眼底力メラ」に付属するデジタルカメラに被請求人の製造販売するEOSカメラ技術が使用されているということを記述しているにすぎないと考えるのが自然である。
上記製品本体に付された「Digital Retinal Camera」の欧文字は、「デジタル眼底カメラ」を意味する語句であることから、商品「眼底カメラ」の識別表示は、むしろ「CR-2 AF」であることは明らかである。
イ 乙第4号証ないし乙第6号証について
乙第4号証ないし乙第6号証は、それぞれ、眼底カメラの一機種「CR-2 Plus AF」の製品カタログの写し、同機種に関するウェブサイトの打ち出し、及び同機種の写真である。
被請求人は、カタログの裏表紙及びウェブサイト中に記載の商標(4)「CR-2 Plus AF 専用デジタルカメラユニットby Canon EOS camera technology」、及び、製品に付した商標(5)「EOS Camera Technology」をもって、本件商標を商品「眼底カメラ」について使用している旨主張する。
しかしながら、上記商標(4)及び商標(5)も、商品「眼底カメラ」についての「EOS」の使用とはいえない。
商標(4)「CR-2 Plus AF 専用デジタルカメラユニットby Canon EOS camera technology」は、上記商標(2)と同様に、「眼底カメラ」に付属する商品「デジタルカメラ」の仕様を説明しているにすぎず、商品「眼底カメラ」の識別表示として機能していないから、取消請求商品についての本件商標「EOS」の使用とはいえない。
商標(5)「EOS Camera Technology」は、上記商標(3)と同様の理由により、商品「眼底カメラ」についての識別表示として使用されているものでなく、商品「眼底カメラ」の機能を付記的に表示したものにすぎない。
ウ 乙第7号証について
乙第7号証は、眼底カメラの一機種「CX-1」の製品カタログの写しである。
被請求人は、カタログの5頁目に記載の商標(6)「EOS カメラテクノロジー」、裏表紙に記載の商標(7)「CX-1 専用デジタルカメラユニットby Canon EOS camera technology」、及び製品に付した商標(8)「EOS Camera Technology」をもって、本件商標を商品「眼底カメラ」について使用している旨主張する。
しかしながら、上記商標(6)ないし商標(8)は、いずれも商品「眼底カメラ」についての識別表示とはいえない。
商標(6)「EOS カメラテクノロジー」は、カタログ4頁目の中央に小題として記載されており、その下の段落には、「キヤノンが培ってきたデジタル一眼レフカメラ技術と眼底カメラ技術の融合により、CX-1専用のデジタルカメラユニットを開発」と記載されている。つまり、商標(6)は、単に、機種「CX-1」専用のデジタルカメラユニットにEOSカメラの技術が使用されているという程度のことを説明した記述的表示にすぎず、商品「眼底カメラ」の識別表示として使用されているとはいえない。
商標(7)「CX-1 専用デジタルカメラユニットby Canon EOS camera technology」もまた、上記商標(2)及び商標(4)と同様に、「眼底カメラ」に付属する別商品「デジタルカメラ」の仕様を説明しているにすぎず、商品「眼底カメラ」の識別表示として機能していないから、取消請求商品についての本件商標「EOS」の使用とはいえない。
商標(8)「EOS Camera Technology」も、上記商標(3)及び商標(5)と同様の理由により、商品「眼底カメラ」についての識別表示として使用されているものではない。
(2)登録商標の使用に該当しないこと
被請求人はまた、乙第2号証ないし乙第7号証を根拠に、本件商標を使用している旨主張するが、いずれも本件商標の使用とは認められない。以下に、その理由を述べる。
ア 乙第2号証及び乙第3号証について
乙第2号証及び乙第3号証は、それぞれ「眼底カメラ」の一機種である「CR-2 AF」の製品カタログの写し及び同機種の写真である。
被請求人は、商標(1)ないし商標(3)をもって本件商標の使用と主張するが、上記商標(1)ないし商標(3)は、いずれも本件商標の使用と認められない。
本件商標は、欧文字「EOS」を横書きで表してなる。
これに対して、商標(1)は、その構成中に「EOS」の文字を有するものの、全体が同書同大で一連一体に表示することによりまとまりよく表されている。さらに、「EOS」は、被請求人が製造販売するカメラ製品の総称として知られていることから、後に続く「テクノロジー」すなわち「技術」を形容し、「EOSテクノロジー」として、「EOSカメラ製品技術」という観念を生ずる一体不可分とみるのが相当である。
したがって、商標(1)は、常に「EOSテクノロジー」一体として理解し、認識されるから、「EOS」の文字のみからなる本件商標とは、外観のみならず、称呼及び観念においても異なる。
商標(2)は、その構成中に「EOS」の文字を有するものの、少なくとも欧文字からなる語句である「by Canon EOS camera technology」については、各単語の間に同一幅のスペースを配して、まとまりよく表されている。さらに、商標(2)は、機種「CR-2 AF」の製品カタログ裏表紙に、「付属デジタルカメラ」の説明として記載されていることから、眼底カメラの一機種「CR-2 AF」に搭載された専用デジタルカメラユニットがキヤノン製EOSカメラの技術を利用したものであるという程度のことを説明するものであり、その構成中の「EOS」は、その前後の単語と組み合わされた語句「by Canon EOS camera technology」として、「キヤノン製EOSカメラの技術を利用した」という観念を生ずる一体不可分とみるのが相当である。
したがって、商標(2)は、常に「by Canon EOS camera technology」一体として理解、認識されるから、「EOS」の文字のみからなる本件商標とは、外観のみならず、称呼及び観念においても異なる。
商標(3)は、その構成中に「EOS」の文字を有するものの、商標全体がすべて欧文字で表され各単語の間に同一幅のスペースを配して、まとまりよく表されている。さらに、「EOS」は、被請求人が製造販売するカメラ製品の総称として知られていることから、後に続く「Camera Technology(カメラの技術)」を形容し、「EOSカメラ製品の技術」という観念を生ずる一体不可分とみるのが相当である。
したがって、商標(3)は、常に「EOS Camera Technology」一体として理解し、認識されるから、「EOS」の文字のみからなる本件商標とは、外観のみならず、称呼及び観念においても異なる。
イ 乙第4号証ないし乙第6号証について
乙第4号証ないし乙第6号証は、それぞれ眼底カメラの一機種「CR-2 Plus AF」の製品カタログの写し、同機種に関するウェブサイトの打ち出し、及び同機種の写真である。
被請求人は、商標(4)及び商標(5)をもって本件商標の使用と主張するが、上記商標(4)及び商標(5)は、いずれも本件商標の使用とは認められない。
商標(4)は、上記商標(2)と同様の理由により、常に「by Canon EOS camera technology」一体として理解し、認識されるから、「EOS」の文字のみからなる本件商標とは、外観のみならず、称呼及び観念においても異なる。
商標(5)は、上記商標(3)と同様の理由により、常に「EOS Camera Technology」一体として理解し、認識されるから、「EOS」の文字のみからなる本件商標とは、外観のみならず、称呼及び観念においても異なる。
ウ 乙第7号証について
乙第7号証は、眼底カメラの一機種「CX-1」の製品カタログの写しである。
被請求人は、商標(6)ないし商標(8)をもって本件商標の使用と主張するが、上記商標(6)ないし商標(8)は、いずれも本件商標の使用とは認められない。
商標(6)は、その構成中に「EOS」の文字を有するものの、後に続く「カメラテクノロジー」すなわち「カメラ製品技術」を形容し、「EOS カメラテクノロジー」として、「EOSカメラ製品技術」という観念、及び同カタログ4頁目に記載されるように、「キヤノンが培ってきたEOSデジタル一眼レフカメラ技術」という観念を生ずる一体不可分とみるのが相当である。
したがって、商標(6)は、常に「EOS カメラテクノロジー」一体として理解、認識されるから、「EOS」の文字のみからなる本件商標とは、外観のみならず、称呼及び観念においても異なる。
商標(7)は、上記商標(2)及び商標(4)と同様の理由により、常に「by Canon EOS camera technology」一体として理解し、認識されるから、「EOS」の文字のみからなる本件商標とは、外観のみならず、称呼及び観念においても異なる。
商標(8)もまた、上記商標(3)及び商標(5)と同様の理由により、常に「EOS Camera Technology」一体として理解し、認識されるから、「EOS」の文字のみからなる本件商標とは、外観のみならず、称呼及び観念においても異なる。
(3)商標の使用時期を立証する証拠として不十分であること
被請求人はまた、乙第2号証ないし乙第7号証を根拠に、本件商標が要証期間に使用されている旨主張するが、これら証拠から要証期間に本件商標が使用されたとはいえない。
そもそも、乙第2号証ないし乙第7号証のうち、要証期間の日付を示すものは、乙第2号証、乙第4号証、及び乙第7号証であり、つまり、「眼底カメラ」3機種(「CR-2 AF」、「CR-2 Plus AF」及び「CX-1」)のカタログの裏表紙下部に、それぞれ「2021年7月現在」、「2013年4月現在」、及び「2021年7月現在」と記載されているもののみである。
これらの年月の記載により立証されるのは、それぞれのカタログが作成されたおおよその時期にすぎず、これらのカタログの上述の年月の記載のみをもって、上記カタログが実際に頒布されたことを立証することはできない。
なお、答弁書によれば、製品写真(乙3、乙6)は、いずれも本件審判請求後である2022年4月25日に撮影されたものである。
また、乙第5号証のウェブサイトの打ち出しの右上には、本件審判請求後の日時である「2022/04/26 16:28」が記載されており、これは、同ウェブサイトを印刷した日時を示すものである。
したがって、乙第2号証ないし乙第7号証は、本件商標が要証期間に使用されていることを立証するための証拠として不十分である。
3 結語
以上により、被請求人は、本件商標についての使用事実を立証するために証拠(乙2~乙7)を提出しているが、いずれの証拠も、本件商標の使用の事実を立証するものでなく、その証拠価値において、脆弱かつ不備なものである。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
1 本件商標の使用事実の要点
被請求人は本件商標を、取消請求商品中、第10類「医療用機械器具」に含まれる「眼底カメラ」について、要証期間に日本国内において使用している。すなわち、被請求人が製造する「眼底カメラ」のうち、「CR-2 AF」、「CR-2 Plus AF」、「CX-1」の3機種について本件商標「EOS」が使用されている。この事実を立証すべく、これら「眼底カメラ」の製品カタログ、製品写真、製品に関するウェブサイトの打ち出しを乙第2号証ないし乙第7号証として提出する。
(1)眼底カメラ「CR-2 AF」における使用について
乙第2号証は眼底カメラ「CR-2 AF」の製品カタログの写し、乙第3号証は同製品の写真である。
乙第2号証中、表紙に「眼底検査に真価を発揮するEOSテクノロジー」と表示されており、裏表紙の「主な仕様」中、「付属デジタルカメラ」の欄には「CR-2 AF 専用デジタルカメラユニットby Canon EOS camera technology」と表示されている。
また、裏表紙下部に「製造販売元:キヤノン株式会社」、右下部に「2021年7月現在」と表示されている。
乙第3号証は、眼底カメラ「CR-2 AF」の製品写真である。同製品上に「EOS Camera Technology」と表示されている。
したがって、これら乙第2号証、乙第3号証により、眼底カメラ「CR-2 AF」について本件商標が要証期間に使用されていることが立証される。
(2)眼底カメラ「CR-2 Plus AF」における使用について
乙第4号証は、眼底カメラ「CR-2 Plus AF」の製品カタログの写し、乙第5号証は同製品に関するウェブサイトの打ち出し、乙第6号証は同製品の写真である。
乙第4号証における、裏表紙の「主な仕様」中、「付属デジタルカメラ」の欄に、「CR-2 Plus AF専用デジタルカメラユニットby Canon EOS camera Technology」と表示されている。
また、裏表紙下部に「製造販売元:キヤノン株式会社」、右下部に「2013年4月現在」と表示されている。
乙第5号証は、眼底カメラ「CR-2 Plus AF」に関するウェプサイト(https://mts.medical.canon/ophthalmic/lineup/cr-2plus-af.html)の打ち出しである。
同ウェブサイト中にも「付属デジタルカメラ」の欄に、「CR-2 Plus AF専用デジタルカメラユニットby Canon EOS camera technology」と表示されており、各ウェブサイトの打ち出しの上部には印刷日時(2022/04/26 16:28)が記載されている。
乙第6号証は、眼底カメラ「CR-2 Plus AF」の製品写真である。同製品上に「EOS Camera Technology」と表示されている。
乙第4号証の製品カタログには「2013年4月現在」と表示されていること、乙第5号証は2022年4月26日にプリントされたことから、同製品は2013年4月には製造販売が開始されており、2022年4月まで継続して製造販売されていることが確認できる。
したがって、これら乙第4号証ないし乙第6号証により、眼底カメラ「CR-2 Plus AF」について、本件商標が要証期間に使用されていることが立証される。
(3)眼底カメラ「CX-1」における使用について
乙第7号証は、眼底カメラ「CX-1」の製品カタログの写しである。
同カタログ中、表紙を含めて5ページ目に、「EOS カメラテクノロジー」と記載されており、裏表紙の「主な仕様」中、「付属デジタルカメラ」の欄には「CX-1専用デジタルカメラユニット by Canon EOS Techno1ogy」と表示されている。
また、裏表紙下部に「製造販売元:キヤノン株式会社」、右下部に「2021年7月現在」と表示されている。
乙第7号証により、眼底カメラ「CX-1」について、本件商標が要証期間に使用されていることが立証される。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は日本国内において、要証期間に、「医療用機械器具」に含まれる「眼底カメラ」について被請求人(商標権者)により実際に使用されている。
第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証によれば、次のことが認められる。
(1)本件商標権者は、少なくとも2013年4月(乙4)、2021年7月(乙2、乙7)に自己の取扱いに係る商品「眼底カメラ」のカタログを制作した。
(2)乙第2号証は、表紙を含めた全8葉からなる「眼底カメラ」のカタログである。
当該カタログの表紙には、「Canon」、「CR-2 AF」等の表示がある筐体にデジタルカメラ及びレバーやスイッチ等の操作部分を有する商品(眼底カメラ)の画像とともに、「Canon」、「CR-2 AF」、「Digital Retinal Camera」、「医療機器認証番号:222AGBZX00219000」、「眼底検査に真価を発揮するEOSテクノロジー」及び「無散瞳デジタル眼底カメラ」の記載がある。
その3葉目には、「充実の基本性能」の一つに「高画質撮影を追求 眼底撮影専用デジタルカメラ搭載」の記載、6葉目には、「専用デジタルカメラを搭載したことで、眼底の暗部・明部の階調をより忠実に再現可能となり、眼底画像から診断に適したより多くの情報を得ることができます。」の記載がある。
そして、上記カタログの8葉目には、「主な仕様」の項に「型式 無散瞳型」、「付属デジタルカメラ CR-2 AF 専用デジタルカメラユニット by Canon EOS camera technology」、「一般的名称 眼底カメラ」、「販売名 デジタル眼底カメラ CR-2」、「クラス分類 管理医療機器、特定保守管理医療器」等の記載がある。また、「サービス&サポート」の項に「製品に関する情報はこちらでご確認いただけます。」の記載の下、「キヤノン医療機器ホームページ」とそのURLの表記及び製造販売元として商標権者の名称が記載されている。さらに、「2021年7月現在」の記載がある。
(3)乙第3号証は、被請求人の主張によれば、2022年4月25日に撮影された眼底カメラ「CR-2 AF」の写真(3枚)であるところ、これらは、上記カタログ(乙2)表紙に掲載された眼底カメラの画像とほぼ同じ外観の眼底カメラ全体を撮影したもの(1枚)及び一部拡大したもの(2枚)である。
当該一部拡大した写真は、「CR-2 AF」の筐体におけるデジタルカメラの接続部分に近接して撮影したものであり、そこには「EOS Camera Technology」の表示がある。
2 上記1によれば、商標権者は、医療機器として認定された「眼底カメラ」に関するカタログ(乙2)を2021年7月現在の内容として制作したものといえる。
また、上記カタログは、その内容が商品の画像、説明、仕様等により構成されているものであり、また、当該カタログには掲載商品についての情報を確認するためにホームページも案内していることもあわせ考慮すれば、当該カタログは、商標権者が製造、販売する眼底カメラ「CR-2 AF」を広告する目的で作成されたものと推認し得るものである。
そして、当該カタログに掲載された「眼底カメラ」の筐体には「眼底撮影専用デジタルカメラ」(以下「使用商品」という。)が搭載されており、その接続部分には「EOS Camera Technology」(以下「使用商標」という。)の表記が認められる。
3 判断
(1)使用商品、使用者、使用行為及び使用時期について
眼底カメラ「CR-2 AF」には、使用商品「眼底撮影専用デジタルカメラ」が搭載されており、当該デジタルカメラは、眼底カメラにおける眼底撮影を専用とするものであって、単なる「デジタルカメラ」ではなく医療用機械器具の一種「眼底カメラ」専用の附属品であることから、使用商品は「医療用機械器具」に含まれる商品である。
そして、使用商品を含む眼底カメラ「CR-2 AF」の製造販売元として、商標権者の名称が記載されているから、使用商標の使用者は商標権者であり、商標権者が使用商品に使用商標を付して使用したといえる。
また、使用商品が搭載された眼底カメラ「CR-2 AF」のカタログ(乙2)は、2021年7月現在の内容を記載しているから、要証期間のものといえる。
(2)使用商標について
使用商標は、「EOS Camera Technology」の文字からなるものであるところ、その構成中、「EOS」の文字は一種の造語として理解されるものであるのに対し、「Camera Technology」の部分は「カメラの技術」といった意味を表す語であって、それぞれ観念的な結びつきはないものといえるから、「EOS」の文字部分が独立した要部として、これに接する取引者、需要者に認識、理解されるといえるものである。
そこで、本件商標と使用商標とを比較すると、本件商標は、前記第1のとおり、「EOS」の文字を横書きしてなり、使用商標の要部は「EOS」の文字であるから、本件商標と使用商標の要部とはその構成文字を同じくするものといえ、同一の称呼を生じ、観念において異なるものということはできない。
そうすると、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。
(3)以上によれば、商標権者は、要証期間に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中「医療用機械器具」の範ちゅうに属する「眼底撮影専用デジタルカメラ」に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものと認めることができる。この行為は、商標法第2条第3項第1号「商品に標章に標章を付する行為」に該当する。
4 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標権者が、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の第5類「医療用腕輪」及び第10類「医療用機械器具」について取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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