商標取消審判
2025-300885
サンキ
- 審判番号
- 2025-300885
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2005-052860
- 登録番号
- 4985318
- 請求日
- 2025年10月29日
- 審決日
- 2026年05月21日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アリスリー 株式会社
- 【請求人代理人】保科 敏夫
- 【被請求人】三喜工業株式会社
- 【被請求人代理人】村山 靖彦
- 【被請求人代理人】眞島 竜一郎
- 【被請求人代理人】藤森 三奈
- 審判長/審判官
- 審判長 板谷 玲子
- 審判官 大橋 良成
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T132 .1 -Y (Y28)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第2号、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4985318号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4985318号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成17年6月13日に登録出願、第28類「運動用具」を含む、第9類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同18年9月8日に設定登録され、その後、商標権一部取消し審判により、第9類に属する一部商品について取り消すべき旨の審決がされ、同26年12月11日にその確定審決の登録がされた。
そして、本件審判の請求の登録は、令和7年11月12日にされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和4年11月12日~令和7年11月11日)を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第28類「運動用具」についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書及び令和8年1月19日付けの審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年2月8日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第28類「運動用具」(以下「請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の答弁書における主張は、次の3点に集約される。
ア 第1点:「運動用具に対する使用1」に基づく、運動用具についての登録商標の使用の証明
イ 第2点:「運動用具に対する使用2」に基づく、特定の「リングビー」の継続的販売の証明
ウ 第3点:「「リングビー」の商品が運動用具であること」の証明
(2)弁駁の基本的な考え方
被請求人の主張中、第2点は、いわゆる要証期間から外れた時期についての話題であるので、反論する意味を見いださない。
また、第3点についても、異論はあるが、ここでは反論しない。なぜなら、二段書きの「RINGBEE/リングビー」についての、商標権者による登録例(甲3)にあるように、商品“リングビー”については、‘おもちゃ’及び‘運動用具’の両面性をもつからである。
ここでの弁駁は、第1点に集中して行う。
(3)「運動用具に対する使用1」に対する弁駁
ア 被請求人は、本人による、パッケージに本件商標が付された「リングビー」の販売に基づいて、登録商標の使用を証明しようとしている。すなわち、パッケージに入った「リングビー」について、乙第5号証ないし乙第7号証を挙げている。
乙第5号証はパッケージの表側、乙第6号証はその裏側、そして、乙第7号証は、パッケージ上部の部分拡大図を示す、と理解される。
イ これらを見るとき、商品“リングビー”(正しくは、フライングディスクと理解すべきである。なぜなら、「リングビー」は登録商標であり、物品としては、一般的なフライングディスクに属するからである。)には、商品自体の表の表面上下二個所に‘リングビー/RINGBEE’の表記がある。
その上、パッケージ上部の厚紙ヘッダーに同様の‘RINGBEE/リングビー’の表記がある。
需要者は、それらの表記を商標として把握することになるであろう。
ウ また、パッケージ上部の厚紙ヘッダーの裏側には、「発売元:Sanki 三喜工業株式会社 www.ringbee.jp/」という表記がある。
その表記中の若干図形化した「Sanki」は、本件商標の表記と極めて似ている。被請求人が、「パッケージに本件商標が付された「リングビー」」という表現をしていることから、被請求人は、この「発売元:Sanki 三喜工業株式会社 www.ringbee.jp/」の中の「Sanki」の表記に基づいて本件商標の使用を主張していると解する。
エ しかし、そのような「Sanki」の表記に基づく使用の主張は誤っていると考える。なぜなら、発売元の表記に伴う、「Sanki 三喜工業株式会社 www.ringbee.jp/」の表記は、結合表記として、少なくとも「Sanki 三喜工業株式会社」として、「Sanki」と「三喜工業株式会社」とは分離することは妥当でないからである。
その点、その「発売元:Sanki 三喜工業株式会社 www.ringbee.jp/」のすぐ上の部分に、郵便番号、住所、電話およびFAX番号を伴っていることから、「Sanki 三喜工業株式会社」は製品の連絡先を示す会社である三喜工業株式会社を表示したものと理解されると考えるのが妥当である。
この点、別の事例ではあるが、参考までに関連した事例を提出する(甲4)。
オ 「Sanki 三喜工業株式会社」と本件商標とは、その構成はもちろんのこと、称呼、観念を異にするものであるから、両者を社会通念上同一のものとはいえないと考える。
(4)まとめ
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の第28類「運動用具」についての登録を取り消すべきである。
第3 被請求人の主張
1 被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証(枝番号を含む。なお、以下、証拠の表記に当たっては、枝番号を有する証拠において枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。
2 答弁の理由
商標権者は、請求に係る指定商品について、本件商標を要証期間に日本国内において使用している。
(1)運動用具に対する使用1
まず、商標の使用事実を簡潔に時系列で説明して、その後、その事実に関連する証拠を示して説明する。以下の「リングビー」とは薄い円盤状の運動用具である。
ア 時系列
(ア)2023年1月19日にファクシミリにて、E社が、商標権者に「リングビー オレンジ」を60個、「リングビー 黄」を60個、「リングビー 青」を60個注文した。
(イ)2023年2月1日に、商標権者が、運送業者を用いて、E社に対して「リングビー」を30個ずつ収めた段ボール箱を6箱発送した。「リングビー」のパッケージ背面のヘッダー(厚紙部分)には登録商標が表れる。
(ウ)2023年2月2日に、E社が「リングビー」を受領した。E社の担当者は、「リングビー」の検品を行い、写真を撮影した。
(エ)2023年2月6日に、E社の担当者が、商標権者に対して、検品結果と次回納品時のお願いをメールした。
イ 証拠及び説明
(ア)a 上記ア(ア)に関して、下記証拠(a)、(b)及び(c)を示す。
(a)商標権者が2023年1月19日にファクシミリで受信したE社からの発注書(乙1)
(b)E社が作成した上記(a)の発注書データについて、データのプロパティと共に並べて表示した状態の画面のプリントスクリーン(E社の担当者が作成したものである。乙2)
(c)2025年12月26日金曜日11:15にE社の担当者が商標権者のK氏に送ったeメール(乙3)
b E社の担当者は、上記a(b)を作成して、商標権者に、同(c)の2025年12月26日金曜日11:15のeメールで送付した。添付ファイル中「リングビー_20230119発注書_プロパティ.jpg」が上記a(b)である。
なお、すべてのeメールは、個人情報保護のため黒塗りする箇所を含む。
(イ)上記ア(イ)に関して、証拠として、運送業者の発送伝票(令和5年2月1日付け)(乙4)を示す。
伝票の品名には「リングビー(スポーツ遊具)」と記載されている。商標権者からE社に「リングビー」を収めた箱が6箱発送されたことが分かる。
(ウ)a 上記ア(ウ)に関して、下記証拠(a)ないし(f)を示す。
(a)E社が検品の際に撮影した「リングビー」(表)の写真(乙5)
(b)E社が検品の際に撮影した「リングビー」(裏)の写真(乙6)
(c)上記(b)のパッケージのヘッダー(厚紙部分)の部分拡大写真(商標を確認しやすくするために代理人が上記(b)を部分的に拡大したものである。乙7)
(d)上記(b)の写真データについて、データの情報(プロパティ)を表示した状態の画面のプリントスクリーン(E社の担当者が作成したものである。上記(b)の写真の撮影日は、「情報」より「2023年2月2日」であることが分かる。乙8)
(e)E社が検品の際に撮影した「リングビー」が収められた外カートン(段ボール箱)の荷札の写真(乙9)
(f)E社の担当者が、2025年12月16日火曜日15:01に商標権者のK氏に送ったeメール(乙10)
b 上記a(a)、(b)及び(e)は、2023年2月2日にE社によって撮影されて、E社内に保存されていたデータである。
c 上記a(a)、(b)及び(e)は、E社の担当者が、商標権者宛てに、同(f)の2025年12月16日火曜日15:01のeメールで送付した。
d 上記a(a)は同(f)のeメールの添付ファイル「IMG_0l07.JPG」であり、同(b)は同(f)のeメールの添付ファイル「IMG_0l08.JPG」であり、同(e)は同(f)のeメールの添付ファイル「IMG_0l05.JPG」である。
e 上記a(d)は、E社の担当者が作成して、商標権者宛てに上記(ア)a(c)の2025年12月26日金曜日11:15のeメールで送付した(乙3)。添付ファイル中「リングビー_20230202入荷画像_プロパティ.jpg」が上記a(d)である。
f 上記a(e)の写真は、外カートン(段ボール箱)を撮影したものである。
荷札より、「発送日 R5年2月1日(令和5年2月1日)」「荷送人 三喜工業株式会社」「お届先E社」「総個数 6個」であることが分かる。
また、ラベルより上の段ボール箱には「リングビーの青が30個」、下の段ボール箱には「リングビーの青が30個」入っていることが分かる。これは、上記(ア)a(a)のE社の発注書の内容と一致する。
また、段ボール1箱にはリングビーが30個収められていると考えられるところ、上記(イ)の伝票より段ボールの総個数が6箱であることから、リングビーの総数が180個(30個×6箱=180個)と計算できるため、上記(ア)a(a)のE社の発注書の内容と一致する。
(エ)a 上記ア(エ)に関して、下記証拠(a)ないし(c)を示す。
(a)E社の担当者が、2023年2月6日月曜日14:27に商標権者に送ったeメール(乙11)
(b)上記(a)のeメールに添付されていた「230202_リングビー入荷検品.xlsx」(乙12)
(c)商標権者が、2025年12月16日火曜日14:09にE社に送ったeメール(乙13)
b E社の担当者は、「次回納品時のお願い」を上記a(b)のExcelファイルに記載して、同(a)のeメールに添付して商標権者に送付した。
c 上記a(c)は本件審判請求を受けた後に、商標権者が、本件商標の使用証拠に関して、「リングビー」の納品先であるE社に対して送ったeメールである。ここで商標権者のK氏は下記のように述べている。
(a)「該当のロゴ(代理人注釈:本件商標の図形)は御社に納品する際にリングビーを入れているパッケージのヘッダーに印刷されています。」
(b)「この後、2023年2月6日に添付のエクセルファイルをいただきました。これは期間内に該当するのですが、ヘッダーが明確に判明できません。」
d K氏の上記c(a)に対して、E社は否定をせずに、「2023年2月に入荷検品した際の画像をお送りいたします。IMG_0l08(上記(ウ)a(b)の写真)にロゴが映っています。念のため外カートン荷札画像もお送りします。」と審判請求に対する答弁に協力している。「リングビー」のパッケージのヘッダーには、本件商標が印刷されていることは紛れもない事実である。
さらに、E社は、上記(ウ)a(b)(IMG_0l08、乙6)の写真が、2023年2月2日に撮影されたものであることを裏付けるために、同(d)のプリントスクリーン(乙8)を用意し、本答弁のために多大なる協力を行った。
e 上記c(b)に記載されている「2023年2月6日」のeメールとは、上記a(a)のeメール(乙11)のことであり、当該eメールが真正に送られたものであることを裏付けている。また、「2023年2月6日に添付のエクセルファイルをいただきました」の「エクセルファイル」とは、上記a(b)「230202_リングビー入荷検品.xlsx」(乙12)のことを指している。
ウ 小括
上記イ(ア)a(a)ないし(c)、同(イ)、同(ウ)a(a)ないし(f)及び同(エ)a(a)ないし(c)の各証拠(乙1~乙13)によって、上記ア(ア)ないし(エ)のとおりに「リングビー」の譲渡があり、さらに、「リングビー」は本件商標が付されたパッケージ(乙5、乙6参照)にて納品されていたことが明らかとなる。すなわち、商標権者は、要証期間内に、日本国内で、パッケージに本件商標が付された「リングビー」(運動用具)を販売している。
これは、商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為(商標法第2条第3項第2号)であり、商標の使用に当たる。
なお、E社は、1924年に創業して100年以上の歴史を有する会社であり、顧客や社会からの厚い信頼を得ている企業である(乙14)。そのため、上記のeメールのやり取りの信頼性も高いことを念のために申し添える。
(2)運動用具に対する使用2
ア 上記(1)の運動用具に対する使用1に挙げる以外にも、商標権者は、E社に対して、パッケージのヘッダー部分に本件商標が使用されている「リングビー」を現在も継続的に販売している。
イ まず、E社は、その公式ホームページの記載から明らかなように、学校及び幼稚園などの施設で用いる体育用品を販売している(乙15)。
そして、E社は、商標権者から購入したリングビーを学校などの施設に直接販売したり、E社のオンラインショップを通じて販売している。
その証拠として、E社で取り扱うスポーツ器具をまとめた「E社スポーツ器具総合カタログ2025」を確認する(乙16)。
こちらの127頁に「リングビー」が掲載されている(乙16の4)。
なお、見開きページにおいて127頁の左に位置する126頁の見出しは「投運動応用編」であり、「リングビー」の商品の説明文の「ディスクとボールの中間 どの投げ方でも投げやすい」という記載からも、「リングビー」が投運動を行うための運動用具として販売されていることが分かる。
ウ 次に、E社のオンラインショップを確認する(乙17)。こちらでも、「リングビー」の商品が販売されており、在庫があって注文が可能な状態となっていることが分かる。
そして、E社は、カタログを見て購入した者やオンラインショップの注文者に対して、上記(1)イ(ウ)a(a)及び(b)の写真で示される商品パッケージ(ヘッダーに本件商標が表れるもの)の形で、「リングビー」を学校や一般消費者に譲渡する。
このように、E社が現在も「リングビー」を継続して販売していることから、「リングビー」を製造している商標権者がE社に対して、パッケージのヘッダー部分に本件商標が使用されている「リングビー」を継続して販売していることが分かる。
(3)「リングビー」の商品が運動用具であること
上記(2)で述べたとおり、「E社スポーツ器具総合カタログ2025」(乙16の3、乙16の4)では、「リングビー」は投運動を行うための運動用具として掲載されている。
E社のオンラインショップの「リングビー」の販売ページでは、体操服を着た児童が、校庭で「リングビー」を投げている様子の写真と共に、下記の商品説明がある。
「フライングディスクのようでありながら、ボールのような感覚も楽しめる、新感覚のスポーツ遊具です。柔らかさと適度な硬さを兼ね備えており、安全に遊べるだけでなく、しっかりと飛ばすことができます。」(乙17)
また、「リングビー」を普及させるための団体である日本リングビー協会は、そのスローガンとして下記のとおり記載されている。
「当協会では誰もが簡単に安心して遊ぶことができるリングビーの普及により、子どもから大人まで体を動かすことの楽しさを広く知ってもらい、スポーツの普及・人々の体力・健康の増進に寄与することを目的に活動して参ります。」(乙18)
そして、日本リングビー協会の「出張授業について」の頁によれば、日本リングビー協会が、小学校の体育の授業にて「出張授業」を行い、リングビーの投げ方や、ゲームの仕方を指導していることが分かる(乙19)。「体育」の出張授業であることから、学校側が、「リングビー」によって、児童の身体を鍛えたり、運動能力が高められると判断していることが分かる。
以上のように、「リングビー」は、「フライングディスク」と同様に、投げる、捕るために走る、手足を伸ばしてキャッチする等の動作を通じて、身体を鍛えたり、運動能力を高めることを目的とするものである。よって、「リングビー」は第28類の運動用具に属する。参考までに、「フライングディスク」(類似群24C01)が第28類の運動用具に属することを申し添える。
(4)まとめ
以上より、本件商標は、第28類「運動用具」に当たる「リングビー」のパッケージのヘッダー背面に使用されている。
本件商標は、その指定商品中、第28類「運動用具」について、日本国内において要証期間に、商標権者によって使用されている事実が認められるため、登録を取り消されるべきものではないと思料する。よって、本件審判の請求は成り立たない。
第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人の主張及び乙各号証によれば、以下の事実が確認できる。
ア 乙第1号証
乙第1号証は、被請求人が、商標権者がE社から受信した発注書と主張するものであり、上部中央に、表題として「発注書(納品書C)」の記載、その右に、「依頼日:2023/01/19」の記載、その左下に、E社の社名の記載があり、上記表題の左下には、「御中」を伴った商標権者の社名の記載、その下に、「入荷予定日:2023/02/02」の記載があり、さらに、その下に提示された表中には、「品番」及び「品名」がいずれも「ETE006」及び「リングビー」である、「色」が「200 オレンジ」、「400 黄」及び「700 青」の3種類の各商品について、「数量」がいずれも「60」個である旨の記載がある。
イ 乙第4号証
乙第4号証は、被請求人が、商標権者が運送業者を用いてE社に対して「リングビー」を発送した際の発送伝票と主張するものであり、左上の日付の記入欄に、「R5年2月1日」の記載があり、その下の「お届け先」の記入欄に、E社の「野田物流センター」についての千葉県内の住所、及び同社の社名の記載があり、その下の「荷送人」の記入欄に、商標権者の住所及び社名の記載があり、その右上の「品名」の記入欄に、「リングビー(スポーツ遊具)」の記載があり、その右上に、運送業者の社名の記載がある。
ウ 乙第5号証ないし乙第7号証
乙第5号証ないし乙第7号証は、被請求人が、E社が撮影した「リングビー」(表)の写真、同(裏)の写真、及びそのパッケージのヘッダー(厚紙部分)の部分拡大写真と主張するものであり、各写真から、中央に黄色の領域が存在し、その周囲に青色の円環状の領域が存在する円盤状の物体が透明の袋に収容され、当該袋に、「RINGBEE」、「リングビー」等を含む種々の文字や図柄が表示された赤色のボール紙(被請求人のいう「パッケージのヘッダー(厚紙部分)」)がホチキス留めされていることが見て取れる。
そして、乙第5号証の写真からはさらに、上記袋に「ETE006 700青」及び「リングビー」の各文字が記載されたラベルが貼り付けられていることが見て取れる。
また、乙第6号証の写真、及び当該写真を部分的に拡大したものとされる乙第7号証の写真からは、上記ボール紙に、別掲2のとおりの商標が表示されていることが見て取れ、後者の写真からはさらに、当該商標の上に、商標権者のものと一致する住所、電話番号等の記載があり、同左に、「発売元:」の記載があり、同右に、商標権者の社名及び「ringbee」の文字を含むウェブサイトのURLの記載があり、これらの各記載は、いずれも当該商標と近接して配置されていることが見て取れる。
エ 乙第8号証
乙第8号証は、被請求人が、上記ウの乙第6号証の写真について、写真データの情報(プロパティ)を表示した状態の画面のプリントスクリーンと主張するものであり、左側に、乙第6号証と同じ写真が提示され、その上に、「IMG_0108.JPG」の記載があり、右上に、「情報」の記載、その下に、「IMG_0108」の記載、その下に、「2023年 2月 2日」の記載がある。
オ 乙第11号証
乙第11号証は、被請求人が、2023年2月6日にE社の担当者が商標権者に送ったeメールと主張するものであり、上部の「差出人」、「送信日時」等の一覧が記載された領域に、「送信日時」に対応して、「2023年2月6日月曜日 14:27」の記載があり、当該領域の下の領域に、E社の社員から商標権者の「社長」のK氏に対する、「先日、リングビーが入荷しました。」との部分を含むメッセージの記載がある。
カ 乙第17号証
乙第17号証は、被請求人が、E社のオンラインショップと主張するものであり、1葉目において、中央に、子供が青色の円環状の物体を投げる様子が写っている写真が提示され、その左下に、3つのサムネイル画像が提示され、このうち、中央のものは、上記写真のサムネイル画像である一方、最も左側のものは、別の写真のサムネイル画像であり、上記ウの乙第5号証と同じものと推察される、中央に黄色の領域が存在し、その周囲に青色の円環状の領域が存在する円盤状の物体を含む、色違いの3個の物体が写っていることが見て取れる。
また、上記写真の上に、掲載商品のカテゴリーを示す「Home>体つくり>投運動>リングビー」や「Home>学校体育用品>体操・体つくり>リングビー」の記載があり、同写真の右に、「リングビー」の記載、その下に、「品番:ETE006」の記載、その下に、「価格: 3,080円(税込)」の記載、その下に、「フライングディスクのようでありながら、ボールのような感覚も楽しめる、新感覚のスポーツ遊具です。」の記載がある。
さらに、1葉目の下部においては、E社の社名の記載、その下に、東京都内の住所の記載がある。
(2)上記(1)アないしカによれば、次の事実を認めることができる。
ア E社が、「品番」、「品名」及び「色」が「ETE006」、「リングビー」、及び「700 青」である商品を60個、商標権者に対して発注することについて、当該商品の入荷予定日が2023年2月2日とされた、依頼日が2023年1月19日付けの発注書(以下「発注書」という。)が発行された(乙1)。
イ 商標権者が運送業者を利用して「リングビー(スポーツ遊具)」をE社に発送したことについて、令和5年2月1日付けの発送伝票(以下「発送伝票」という。)が発行された(乙4)。
ウ パッケージに収容された、中央に黄色の領域が存在し、その周囲に青色の円環状の領域が存在する円盤状の物体について、当該パッケージに、「ETE006 700青」及び「リングビー」の各文字が記載されたラベルが貼り付けられており、かつ別掲2の商標が表示されており、さらに、当該商標の上に、商標権者の住所や電話番号の記載が、同左に、「発売元:」の記載が、同右に、商標権者の社名及びウェブサイトのURLの記載が、それぞれ当該商標と近接して表示されている(以下、これらの記載を構成する各文字をまとめて「近接文字群」という。)ことを示す2枚の写真(以下、これらをまとめて「本件写真」という。)が撮影され(乙5~乙8)、このうち、当該パッケージに別掲2の商標及び近接文字群が表示されていることを示す写真は、2023年2月2日に撮影された(乙6、乙8)。
エ 発送伝票について、商標権者がE社に「リングビー(スポーツ遊具)」を発送した点は、E社による商標権者に対する発注書に記載されている「品名」が「リングビー」であることと符合しており、発送伝票に記載の日付(令和5年2月1日)が発注書に記載の入荷予定日である2023年2月2日と近接している。
さらに、上記日付の5日後の2023年2月6日に、E社の社員から商標権者の社長に対して、リングビーが入荷した旨を記載した電子メールが送信されている(乙11)。
よって、商標権者は、令和5年(2023年)2月1日に、商品「リングビー」を(発注書のとおり、青色のものについて60個)E社に発送したものと認められる。
オ E社は、同社の住所が東京都内であることを記載したオンラインショップにて、品番が「ETE006」の「リングビー」について、「学校体育用品」、「体つくり」のカテゴリーの下で、子供が青色の円環状の物体を投げる様子が写っている写真及びサムネイル画像を表示し、「フライングディスクのようでありながら、ボールのような感覚も楽しめる、新感覚のスポーツ遊具」であるとの商品説明を記載して販売している(乙17)ところ、当該品番及び商品名は、発注書、及び本件写真から見て取れる物体を収容するパッケージに貼り付けられたラベルのそれぞれに記載されており、さらに、上記サムネイル画像には、本件写真から見て取れる物体と外観が同様の物体が存在している。
よって、E社は、東京都内の会社であり、また、商品「リングビー」は、「学校体育用品」、「体つくり」のカテゴリーの下で販売される「フライングディスクのようでありながら、ボールのような感覚も楽しめる、新感覚のスポーツ遊具」と認められる。
なお、上記オンラインショップにおける子供が青色の円環状の物体を投げる様子が写っている写真は、当該商品を使用する際、本件写真から見て取れる円盤状の物体から中央の黄色の領域を構成する部品を取り外して使用することを示すものと解される。
カ 上記ウのとおり、パッケージに別掲2の商標及び近接文字群が表示されていることを示す写真が2023年2月2日に撮影されているから、商標権者が令和5年(2023年)2月1日に商品「リングビー」をE社に発送した際、そのパッケージには、別掲2の商標及び近接文字群が表示されていたものと推認できる。
キ 上記エないしカによれば、商標権者は、令和5年(2023年)2月1日に、そのパッケージに別掲2の商標(以下「使用商標」という。)及び近接文字群が表示された、「フライングディスクのようでありながら、ボールのような感覚も楽しめる、新感覚のスポーツ遊具」である商品「リングビー」(以下「使用商品」という。)を、東京都内のE社に発送し、遅くとも同月2日にはE社が受領していたことが認められる。
2 判断
上記1(2)キの行為について、次のとおり判断できる。
(1)使用商標について
使用商標は、使用商品のパッケージにおいて、近接文字群とともに表示されたものである。
この点につき、近接文字群を構成する各文字のうち、上部の商標権者の住所及び電話番号等の記載は使用商品の発売元の連絡先を、下部の「ringbee」の文字を含むURLの記載は使用商品を紹介するためのウェブサイトを、それぞれ表示するために記載されたものといえる。また、商標権者の社名は使用商品の発売元の会社名(商号)を表示するものとして把握されるというのが相当である。
これに対し使用商標は、これを構成する、「S」がやや図案化された「Sanki」の欧文字と、商標権者の社名との関係よりすれば、同社名の略称の欧文字を図案化して表した標識と解するのが相当であり、それ自体で使用商品の発売元として把握される商標権者の商号とは別個の商標として、独立した出所識別標識として認識されるものであるといえる。
そして、本件商標と使用商標とは、全体の外観において同視し得る構成態様からなるものであり、色彩のみが相違する、社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用商品について
使用商品は、「フライングディスクのようでありながら、ボールのような感覚も楽しめる、新感覚のスポーツ遊具」であり、同商品の販売にあたり「学校体育用品」、「体つくり」のカテゴリーの下で取り扱われているものであるから、その用途等に照らし、請求に係る指定商品である第28類「運動用具」の範ちゅうに属する商品と認められる。
(3)使用者、使用時期及び使用行為について
商標権者は、そのパッケージに使用商標が表示された使用商品を、2023年(令和5年)2月1日に東京都内のE社に発送し、同月2日にはE社が受領していたことが認められる。
そうすると、使用商標の使用者は、商標権者であり、使用商標の使用時期は、要証期間であり、また、使用商品のパッケージに使用商標を付したものを譲渡する行為が日本国内において行われたものといえ、当該行為は、商標法第2条第3項第2号にいう、商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為に該当する。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品の包装に標章を付したものを譲渡する、商標法第2条第3項第2号に該当する行為を行ったことが認められる。
3 請求人の主張について
請求人は、(1)商品自体の表の表面や商品のパッケージ上部にある「リングビー/RINGBEE」及び「RINGBEE/リングビー」の表記が需要者に商標として把握される旨、(2)少なくとも「Sanki」と「三喜工業株式会社」とを分離することは妥当でなく、「Sanki」の表記に基づく使用の主張は誤っている旨主張する。
しかしながら、(1)については、一つの商品に複数の商標が使用されることは一般に行われていることといえるから、「リングビー/RINGBEE」の商標の表示があるとしても、そのことをもって直ちに本件における使用商標の使用が否定されるものではない。また、(2)については、上記2(1)で判断したとおり、使用商標は独立した出所識別標識として認識されるものであるといえ、このことは、一般に取引に際して、商号のほかに当該商号の略称を図案化するなどした商標も使用されている実情にも沿うものである。
なお、請求人は、審決例(甲4)を挙げて、少なくとも「Sanki」と「三喜工業株式会社」とは分離することは妥当でない旨主張するが、当該審決例は、検討対象となる表示について一体として商号を表示したものと理解されることを理由として商標の同一性を否定したものであるから、商標権者の商号と併記されたものについて判断する本件とは事案が異なるものであり、上記の判断を左右するものではない。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
4 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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