商標取消審判
2023-300550
タッチ
- 審判番号
- 2023-300550
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2011-005801
- 登録番号
- 5424719
- 請求日
- 2023年07月31日
- 審決日
- 2024年07月10日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 E-セレクト
- 【請求人代理人】林 裕己
- 【被請求人】キヤノン 株式会社
- 【被請求人代理人】阿部 琢磨
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 大山 健
- 審判官 鈴木 雅也
- 分類
- T132 .1 -Z (X09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5424719号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5424719号商標の指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5424719号商標(以下「本件商標」という。)は、「TOUCH」を標準文字で書してなり、平成23年1月31日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を含む、第9類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年7月8日に設定登録がされ、その後、令和3年6月25日に存続期間の更新登録がされた。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年8月23日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間(2020年(令和2年)8月23日~2023年(令和5年)8月22日)を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」(以下「取消請求商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
以下の理由により、被請求人の答弁は、成り立たない。
(1)デジタルカメラ「EOS Kiss X10」における使用について
乙第2号証及び乙第3号証によれば、デジタルカメラ「EOS Kiss X10」の背面にはタッチパネルが搭載され、タッチパネル上に表示されるボタンを押下してON/OFFに設定することにより、シャッターを有効/無効にすることができ、これをONに設定しておけば、画面をタッチしてピントが合った後、そのままシャッターを切ることができるものであり、すなわち、タッチパネル上のタッチ操作でシャッターを切るという製品の機能を、被請求人は「タッチシャッター」と呼んでいるが、これは単に商品の品質や効能を表示するものにすぎず、識別性がないものである。そして、ウェブページの打ち出しや製品マニュアルにおいて商品の各機能を説明する際に、当該機能の項目にてそのタイトルとして商品の品質や効能を表示するために「タッチシャッター」が用いられたにすぎず、商標的な態様として他の部分と比較して独立して目立つような態様で使用したものではない。
そして、「タッチシャッター」は、一般的に用いられる片仮名のフォントで同書、同大、等間隔に書され、外観視覚上まとまりよく一体に表され、これより生ずると認められる「タッチシャッター」の称呼も冗長でなく無理なく一気一連に称呼し得るものであるから、一体不可分の用語として理解される。実際に、乙第2号証では、「ライブビュー撮影中、「タッチシャッターON」の状態・・・・」、乙第3号証では、「タッチシャッターで撮影する」、「タッチシャッター機能を設定する」及び「(タッチシャッター:する)」のように説明され、「タッチシャッター」の用語は一体不可分の用語として使用されている。
よって、「タッチシャッター」から「タッチ」部分を要部として分離観察することはできないから、「タッチシャッター」の使用が本件商標の使用であるとはいえない。
(2)デジタルカメラ「PowerShot G1 X Mark III」における使用について
乙第5号証及び乙第6号証によれば、デジタルカメラ「PowerShot G1 X Mark III」の背面にはタッチパネルが搭載され、タッチパネルに表示された画像に対してオートフォーカス(AF)したい箇所を指でタッチしてAF枠を指定し、このAF枠を指でタッチしたままスライドさせてタッチ位置をタッチパネル上で移動させる、すなわち、ドラッグさせてAF枠を移動させることができる機能を、被請求人は「タッチ&ドラッグAF」と呼んでいるが、これは単に商品の品質や効能を表示するものにすぎず、識別性がないものである。実際に、乙第5号証では、「液晶モニターに触れてAFフレームを移動させることができるタッチ&ドラッグにも対応、・・・・」と説明され、「タッチ&ドラッグAF」は単に商品の品質や効能を表示するための用語を「&」で繋げて表示したものにすぎない。そして、ウェブページの打ち出しや製品カタログにおいて商品の各機能を説明する際に、当該機能の項目にてそのタイトルとして商品の品質や効能を表示するために「タッチ&ドラッグAF」が用いられただけであり、商標的な態様として他の部分と比較して独立して目立つような態様で使用したものではない。
また、「タッチ&ドラッグAF」は、一般的に用いられる片仮名のフォントで同書、同大、等間隔に書され、外観視覚上まとまりよく一体に表され、これより生ずると認められる「タッチ&ドラッグAF」の称呼も冗長でなく無理なく一気一連に称呼し得るものであるから、一体不可分の用語として理解される。
よって、「タッチ&ドラッグAF」から「タッチ」部分を要部として分離観察することはできないから、「タッチ&ドラッグAF」の使用が本件商標の使用であるとはいえない。
(3)デジタルカメラ「EOS R」における使用について
乙第7号証及び乙第8号証によれば、デジタルカメラ「EOS R」の背面にはタッチパネルが搭載され、タッチパネルに表示された画像に対してオートフォーカス(AF)したい箇所を指でタッチしてAF枠を指定し、このAF枠を指でタッチしたままスライドさせてタッチ位置をタッチパネル上で移動させる、すなわち、ドラッグさせてAF枠を移動させることができる機能を、被請求人は「タッチ&ドラッグAF」と呼んでいるが、これは単に商品の品質や効能を表示するものにすぎず、識別性がないものである。実際に、乙第7号証では、「タッチパネルの操作でピント位置を調整できるタッチ&ドラッグAF。ピントの位置を指で指定する[絶対位置]と、現在のピント位置から指をスライドさせた方向に移動させた分だけピント位置を動かす[相対位置]に対応しています。」と説明され、「タッチ&ドラッグAF」は単に商品の品質や効能を表示するための用語を繋げて表示したものにすぎない。そして、ウェブページの打ち出しや製品カタログにおいて商品の各機能を説明する際に、当該機能の項目にてそのタイトルとして商品の品質や効能を表示するために「タッチ&ドラッグAF」が用いられただけであり、商標的な態様として他の部分と比較して独立して目立つような態様で使用したものではない。
また、「タッチ&ドラッグAF」は、一般的に用いられる片仮名のフォントで同書、同大、等間隔に書され、外観視覚上まとまりよく一体に表され、これより生ずると認められる「タッチ&ドラッグAF」の称呼も冗長でなく無理なく一気一連に称呼し得るものであるから、一体不可分の用語として理解される。
よって、「タッチ&ドラッグAF」から「タッチ」部分を要部として分離観察することはできないから、「タッチ&ドラッグAF」の使用が本件商標の使用であるとはいえない。
(4)デジタルカメラ「EOS RP」における使用について
乙第9号証及び乙第10号証によれば、デジタルカメラ「EOS RP」の背面にはタッチパネルが搭載され、タッチパネルに表示された画像に対してオートフォーカス(AF)したい箇所を指でタッチしてAF枠を指定し、このAF枠を指でタッチしたままスライドさせてタッチ位置をタッチパネル上で移動させる、すなわち、ドラッグさせてAF枠を移動させることができる機能を、被請求人は「タッチ&ドラッグAF」と呼んでいるが、これは単に商品の品質や効能を表示するものにすぎず、識別性がないものである。実際に、乙第10号証では、「タッチパネルの操作でピント位置を調整できるタッチ&ドラッグAFを採用。ピントの位置を指で指定する[絶対位置]と、現在のピント位置から指をスライドさせた方向に移動させた分だけピント位置を動かす[相対位置]に対応。」と説明され、「タッチ&ドラッグAF」は単に商品の品質や効能を表示するための用語を繋げて表示したものにすぎない。そして、ウェブページの打ち出しや製品カタログにおいて商品の各機能を説明する際に、当該機能の項目にてそのタイトルとして商品の品質や効能を表示するために「タッチ&ドラッグAF」が用いられただけであり、商標的な態様として他の部分と比較して独立して目立つような態様で使用したものではない。
また、「タッチ&ドラッグAF」は、一般的に用いられる片仮名のフォントで同書、同大、等間隔に書され、外観視覚上まとまりよく一体に表され、これより生ずると認められる「タッチ&ドラッグAF」の称呼も冗長でなく無理なく一気一連に称呼し得るものであるから、一体不可分の用語として理解される。
よって、「タッチ&ドラッグAF」から「タッチ」部分を要部として分離観察することはできないから、「タッチ&ドラッグAF」の使用が本件商標の使用であるとはいえない。
(5)インクジェットプリンター「TS8530 series」における使用について
乙第11号証によれば、「タッチスクリーン」は、一般的に用いられる片仮名のフォントで同書、同大、等間隔に書され、外観視覚上まとまりよく一体に表されている。そして、「タッチスクリーン」は、goo国語辞典(甲2)に「タッチパネルを備え、画面を指で触れることにより、文字の入力やメニューの選択ができるディスプレー。」と掲載されており、既成語として成立している。
よって、「タッチスクリーン」から「タッチ」部分を要部として分離観察することはできないから、「タッチスクリーン」の使用が本件商標の使用であるとはいえない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)下記理由により、本件審判の請求は、成り立たないものである。
(2)被請求人は、本件商標を、その指定商品中、第9類「電気通信機械器具」に含まれる「デジタルカメラ」、及び第9類「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「インクジェットプリンター」について、要証期間に日本国内において使用している。すなわち、被請求人が製造する「デジタルカメラ」のうち、「EOS Kiss X10」、「PowerShot G1 X Mark III」、「EOS R」、「EOS RP」の4機種、及び「インクジェットプリンター」のうち、「TS8530 series」の1機種について、本件商標を使用している。この事実を立証すべく、「デジタルカメラ」、「インクジェットプリンター」の製品カタログ、製品マニュアル、ニュースリリース及び製品に関するウェブページの打ち出し、ウェブ上の国語辞典での「TOUCH」の検索結果を、乙第2号証ないし乙第13号証として提出する。
ア デジタルカメラ「EOS Kiss X10」における使用について
乙第2号証は、デジタルカメラ「EOS Kiss X10」に関するウェブページの打ち出し、乙第3号証は製品マニュアルの写し、乙第4号証は乙第3号証の製品マニュアルのダウンロードページである。
乙第2号証のウェブページ上の「高速オートフォーカス」の項目において、「タッチシャッター」が他の部分と比較して独立して目立つような態様で表示されており、このように独立して目立つように表示することで「タッチシャッター」と他製品との差別化を図り、消費者の注意をひくための商標として使用している。そして、「デジタルカメラ」について「シャッター」の語は「カメラレンズを開閉する機構の一部」を意味するものとして識別性の乏しい言葉であることに鑑みると、「タッチシャッター」の要部は「タッチ」であり、「タッチシャッター」の使用は本件商標の使用である。
このように、被請求人は、被請求人が製造販売するデジタルカメラのうち、より機能的な画面操作が実現された製品については、他のデジタルカメラと識別可能となるように本件商標を使用している。
乙第3号証には、タイトルの欄に「タッチシャッターで撮影する」と、他の部分と比較して大きく独立した態様で表示されている。
乙第4号証のウェブページ上では、乙第3号証の製品マニュアルの掲載日時について、「2020年11月19日掲載」と表示されている。
したがって、これら乙第2号証ないし乙第4号証により、デジタルカメラ「EOS Kiss X10」について本件商標が要証期間に使用されていることが立証される。
イ デジタルカメラ「PowerShot G1 X Mark III」における使用について
乙第5号証は、デジタルカメラ「PowerShot G1 X Mark III」の製品カタログの写し、乙第6号証は、製品に関するウェブページの打ち出しである。
乙第5号証の14頁下部に「タッチ&ドラッグAF」と表示されている。また、裏表紙下部に「製造販売元:キヤノン株式会社」、右下部に「2022年2月現在」と表示されている。
乙第6号証のウェブページ上の「高速撮影」の項目において、「タッチ&ドラッグAF」が、他の部分と比較して独立して目立つような態様で表示されている。
乙第5号証の製品カタログには「2022年2月現在」と表示されていること、乙第6号証は2023年10月16日に打ち出されたことから、デジタルカメラ「PowerShot G1 X Mark III」は2022年2月には製造販売されており、2023年10月まで継続して製造販売されていることが確認できる。
したがって、これら乙第5号証及び乙第6号証により、デジタルカメラ「PowerShot G1 X Mark III」について本件商標が要証期間に使用されていることが立証される。
ウ デジタルカメラ「EOS R」における使用について
乙第7号証は、デジタルカメラ「EOS R」の製品カタログの写し、乙第8号証は製品に関するウェブページの打ち出しである。
乙第7号証の13頁下部に「タッチ&ドラッグAF」と表示されている。また、裏表紙下部に「製造販売元:キヤノン株式会社」、右下部に「2022年11月現在」と表示されている。
乙第8号証のウェブページ上の「高速AF」の項目において、「タッチ&ドラッグAFでのぞきながらAF操作」が、他の部分と比較して独立して目立つような態様で表示されている。
乙第7号証の製品カタログには「2022年11月現在」と表示されていること、乙第8号証は2023年10月16日に打ち出されたことから、デジタルカメラ「EOS R」は、2022年11月には製造販売されており、2023年10月まで継続して製造販売されていることが確認できる。
したがって、これら乙第7号証及び乙第8号証により、デジタルカメラ「EOS R」について本件商標が要証期間に使用されていることが立証される。
エ デジタルカメラ「EOS RP」における使用について
乙第9号証は、デジタルカメラ「EOS RP」の製品カタログの写し、乙第10号証は製品に関するウェブページの打ち出しである。
乙第9号証の5頁下部に「タッチ&ドラッグAF」と表示されている。また、裏表紙下部に「製造販売元:キヤノン株式会社」、右下部に「2022年3月現在」と表示されている。
乙第10号証のウェブページ上の「高速オートフォーカス」の項目において、「タッチ&ドラッグAFでのぞきながらAF操作」が、他の部分と比較して独立して目立つような態様で表示されている。
乙第9号証の製品カタログには「2022年3月現在」と表示されていること、乙第10号証は2023年10月16日に打ち出されたことから、デジタルカメラ「EOS RP」は、2022年3月には製造販売がされており、2023年10月まで継続して製造販売されていることが確認できる。
したがって、これら乙第9号証及び乙第10号証により、デジタルカメラ「EOS RP」について本件商標が要証期間に使用されていることが立証される。
オ インクジェットプリンター「TS8530 series」における使用について
乙第11号証は、インクジェットプリンター「TS8530 series」の製品マニュアルの写し、乙第12号証は製品に関するニュースリリースの打ち出しである。
乙第11号証には、タイトルの欄に「タッチスクリーンの使いかた」と、他の部分と比較して大きく独立した態様で表示されており、下部には「@CANON INC.2021」と表示されている。
乙第12号証のウェブページ上の本文中では「TS8530 series」は、2021年10月14日より順次発売と表示されていることから、乙第11号証の製品マニュアルは2021年10月以降に作成されたことが確認できる。
乙第11号証の製品カタログに「@CANON INC.2021」と表示されていること、乙第12号証は2023年10月16日に打ち出されたことから、インクジェットプリンター「TS8530 series」は、2021年には製造販売がされており、2023年10月まで継続して製造販売されていることが確認できる。
したがって、これら乙第11号証及び乙第12号証により、インクジェットプリンター「TS8530 series」について本件商標が要証期間に使用されていることが立証される。
カ goo国語辞典での「TOUCH」の検索結果について
乙第13号証は、goo国語辞典での「TOUCH」の検索結果である。
乙第13号証のタイトルの欄に「タッチ(touch)」と併記されており、タッチとTOUCHは同様の意味を想起し得るものとして同一の観念である。また、呼称についても本件商標から生じる自然な呼称は「タッチ」であるため、社会通念上の同一性が認められる。
(3)以上により、本件商標が日本国内において、要証期間に「デジタルカメラ」及び「インクジェットプリンター」について、被請求人により実際に使用されていたことが証明される。そして、「デジタルカメラ」は取消請求商品中、「電気通信機械器具」に含まれる商品であり、「インクジェットプリンター」は取消請求商品中、「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる商品であることは明らかである。
2 弁駁に対する意見
合議体は、令和6年2月8日付けの弁駁書副本の送付通知により、相当の期間を指定して、請求人の弁駁(上記第2の2)に対する被請求人の意見を求めたが、応答はなかった。
第4 当審の判断
1 商標法第50条にいう「登録商標の使用」について
商標法上、商標の本質的機能は、自他商品又は役務の識別機能にあると解するのが相当であるから(商標法第3条)、同法第50条にいう「登録商標の使用」というためには、当該登録商標が商品又は役務の出所を表示し、自他商品又は役務を識別するものと取引者及び需要者において認識し得る態様で使用されることを要すると解するのが相当である(知的財産高等裁判所令和3年(行ケ)第10076号同4年2月9日判決)。
2 被請求人及び請求人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(1)被請求人が製造販売するデジタルカメラについて(乙2~乙10)
ア デジタルカメラ「EOS Kiss X10」について(乙2~乙4)
乙第2号証は、被請求人のウェブサイトにおける、デジタルカメラ「EOS Kiss X10」の「高速オートフォーカス」のページを2023年10月16日に出力した出力物であり、「EOS Kiss X10|高速オートフォーカス」の標題下(1葉目)、その5葉目に、「液晶画面に、タッチして撮影[タッチシャッター]」のタイトル下に、「タッチシャッターはON/OFFの切り換えが可能。ONに設定しておけば、画面をタッチしてピントが合った後、そのままシャッターを切ることができます。」の記載があるとともに、「ワンタッチで自分撮りに最適なモードに」のタイトル下に、「ライブビュー撮影中、「タッチシャッターON」の状態で液晶モニターを前に向けると、ライブビュー画面上に、[自分撮り]ボタンが表示されます。表示されたボタンをタッチすると自分撮りに最適な設定にシフト。・・・」の記載がある。
また、乙第3号証は、デジタルカメラ「EOS Kiss X10」の製品マニュアルの抜粋であるところ、その1葉目に、「タッチシャッターで撮影する」のタイトル下、「1 タッチシャッター機能を設定する」との記載があり、その2葉目に、「タッチシャッターの機能は、[(カメラ):タッチシャッター](審決注:「(カメラ)」はカメラを模した図形。)で設定することもできます。」の記載がある。
さらに、乙第4号証は、被請求人のウェブサイトにおける、デジタルカメラ「EOS Kiss X10」の「商品マニュアル」のページを2023年10月16日に出力した出力物であるところ、「EOS Kiss X10 商品マニュアル」の標題下、「商品マニュアル」のタイトル下に、「EOS Kiss X10 活用ガイド 2020年11月19日掲載(PDF:25.4MB)」の記載がある。
イ デジタルカメラ「PowerShot G1 X Mark III」、「EOS RP」及び「EOS R」について(乙5~乙10)
(ア)製品カタログ(乙5、乙7、乙9)
乙第5号証、乙第7号証及び乙第9号証は、それぞれ被請求人が作成した、デジタルカメラ「PowerShot Gシリーズ」、「EOS R」及び「EOS RP」についての製品カタログである。
デジタルカメラ「PowerShot Gシリーズ」の製品カタログ(乙5)の8葉目には、デジタルカメラ「PowerShot G1 X Mark III」について、「内蔵EVF/タッチ&ドラッグAF」のタイトル下に、「より快適な撮影スタイルを。/・・・有機ELを採用したファインダーを内蔵。高解像、広い色域、高コントラストな視野を実現しています。EVFをのぞいたまま、液晶モニターに触れてAFフレームを移動させることができるタッチ&ドラッグAFにも対応。動く被写体の撮影に効果的です。」の記載がある。
また、「EOS R」の製品カタログ(乙7)の7葉目には、「タッチ&ドラッグAFで、のぞきながらAF操作」のタイトル下に「ファインダーをのぞいたまま、タッチパネルの操作でピント位置を調整できるタッチ&ドラッグAF。・・・」の記載がある。
さらに、「EOS RP」の製品カタログ(乙9)の3葉目には、「タッチ&ドラッグAF」のタイトル下に「ファインダーを覗いたまま、液晶モニターをタッチ操作しピント位置を確認、調整できます。」の記載がある。
そして、各製品カタログ(乙5、乙7、乙9)には、それぞれの裏表紙に、「2022年2月現在」、「2022年11月現在」及び「2022年3月現在」の記載がある。
(イ)ウェブサイトの出力物(乙6、乙8、乙10)
乙第6号証、乙第8号証及び乙第10号証は、被請求人のウェブサイトにおける、デジタルカメラ「PowerShot G1 X Mark III」、「EOS R」及び「EOS RP」についてのページを、2023年10月16日に出力した出力物である。
乙第6号証の4葉目には、「EVFを見ながら、タッチパネルでピントを調整「タッチ&ドラッグAF」」のタイトル下、「タッチパネルでの操作が、ファインダー内の映像と連動。EVFを見たまま、AF枠を直感的な操作で移動することが可能です。・・・」との記載があり、同様に、乙第8号証の4葉目及び乙第10号証の3葉目にも、「タッチ&ドラッグAFでのぞきながらAF操作」及び「タッチ&ドラッグAFで覗きながらAF操作」などの記載がある。
(2)インクジェットプリンター「TS8530 series」について(乙11、乙12、甲2)
ア 乙第11号証は、被請求人のウェブサイトにおける、インクジェットプリンター「TS8530 series」のマニュアルを2023年10月16日に出力した出力物であるところ、その1葉目には、「タッチスクリーンの使いかた」の標題下、「プリンターの電源を入れると、タッチスクリーンにホーム画面が表示されます。/タッチスクリーンを指で操作して、コピーやスキャンなどを行うメニューを選びます。」の記載があるとともに、「タッチスクリーンに表示されるアイコン」のタイトル下に「タッチスクリーンに表示された画面によって、両端に使用できる機能のアイコンが表示されます。」との記載がある。また、2葉目には、「タッチスクリーンの基本操作」のタイトル下に「タッチスクリーンに指先で軽く触れたり、触れた指を動かしたりすることで、いろいろな機能や設定などを選ぶことができます。」との記載がある。
乙第12号証は、被請求人による、2021年10月5日付けニュースリリースであり、「キヤノンは、家庭用インクジェットプリンター「PIXUS(ピクサス)」シリーズの新製品として、・・・多機能モデル“TS8530/・・・”の4機種を、2021年10月14日より順次発売します。」との記載がある。
イ 甲第2号証は、「goo辞書」のウェブページの出力物であり、「タッチスクリーン【touch screen】の解説」の見出しの下、「タッチパネルを備え、画面を指で触れることにより、文字の入力やメニューの選択ができるディスプレー。」との記載がある。
(3)上記(1)及び(2)から以下の事実が認められる。
ア 被請求人は、要証期間である2020年11月頃に、「タッチシャッター」の機能を備えたデジタルカメラ「EOS Kiss X10」を販売し、デジタルカメラ「EOS Kiss X10」について、「タッチシャッター」の文字を表示して自社のウェブサイトに広告し、マニュアルを自社のウェブサイトに掲載した(乙2~乙4)。
そして、「タッチシャッター」の機能は、デジタルカメラの画面をタッチしてピントが合った後、そのままシャッターを切ることができる機能であることが理解できる。
イ 被請求人は、2022年2月、同年3月及び同年11月頃に、「タッチ&ドラッグAF」の機能を備えたデジタルカメラ「PowerShot G1 X Mark III」、「EOS RP」及び「EOS R」をそれぞれ販売し、デジタルカメラ「PowerShot G1 X Mark III」、「EOS R」及び「EOS RP」のそれぞれについて、「タッチ&ドラッグAF」の表示を付して、製品カタログを作成するとともに、自社のウェブサイトに広告を掲載した(乙5~乙10)。
そして、「タッチ&ドラッグAF」の機能は、ファインダーをのぞいたまま、液晶モニターに触れてAFフレームを移動させることでピント位置を調整できる機能であることが理解できる。
ウ 被請求人は、2021年10月頃に、「タッチスクリーン」を備えたインクジェットプリンター「TS8530 series」を販売し、自社のウェブサイトにおいて、インクジェットプリンター「TS8530 series」について、「タッチスクリーン」の表示を付して、マニュアルを掲載した(乙11、乙12)。
そして、インクジェットプリンター「TS8530 series」における「タッチスクリーン」は、インクジェットプリンター上の、ホーム画面やメニューを表示する表示部の名称であることが理解できる。
また、「タッチスクリーン」の語は、「タッチパネルを備え、画面を指で触れることにより、文字の入力やメニューの選択ができるディスプレー。」を意味する語である(甲2)。
3 上記2からすれば、次のとおり判断できる。
(1)「タッチシャッター」又は「タッチ&ドラッグAF」の表示について
上記2(3)ア及びイのとおり、被請求人の提出した証拠方法(乙2~乙10)から、被請求人が、要証期間に、被請求人の販売するデジタルカメラ(「EOS Kiss X10」、「PowerShot G1 X Mark III」、「EOS RP」及び「EOS R」)について、「タッチシャッター」又は「タッチ&ドラッグAF」の文字を表示して自社のウェブサイトに広告したことや、製品カタログ及びマニュアルを作成したことはうかがえるものの、これらのカタログ及びマニュアルの記載によれば、当該各表示は、デジタルカメラの画面をタッチしてピントが合った後、そのままシャッターを切ることができるとの機能、又はファインダーをのぞいたまま、液晶モニターに触れてAFフレームを移動させることでピント位置を調整できるという機能を表すものというのが相当であって、いずれも商品の機能を表すものにすぎないから、商品の出所を表示し、自他商品を識別するものと認識されるものとはいえない。
そうすると、当該各表示は、商標法第50条にいう「登録商標の使用」に該当しない。
仮に、当該各表示が商標法第50条にいう「登録商標の使用」に該当する余地があるとしても、「タッチシャッター」又は「タッチ&ドラッグAF」と一連一体に表された各表示が「TOUCH」の文字からなる本件商標と同一又は社会通念上同一の商標ということはできない。
(2)「タッチスクリーン」の表示について
上記2(3)ウのとおり、被請求人の提出した証拠方法(乙11、乙12)から、被請求人が、要証期間に、「タッチスクリーン」を備えたインクジェットプリンター「TS8530 series」を販売し、自社のウェブサイトにおいて、「タッチスクリーン」の文字を表示してインクジェットプリンター「TS8530 series」のマニュアルを掲載したことはうかがえるものの、「タッチスクリーン」の語が「タッチパネルを備え、画面を指で触れることにより、文字の入力やメニューの選択ができるディスプレー。」を意味する語であることに鑑みれば、「タッチスクリーン」の表示は、インクジェットプリンター「TS8530 series」の部分(表示部)の名称を表すものというのが相当であって、商品の出所を表示し、自他商品を識別するものと認識されるものとはいえない。
そうすると、当該表示は、商標法第50条にいう「登録商標の使用」に該当しない。
仮に、当該表示が商標法第50条にいう「登録商標の使用」に該当する余地があるとしても、「タッチスクリーン」と一連一体に表された表示が「TOUCH」の文字からなる本件商標と同一又は社会通念上同一の商標ということはできない。
(3)小括
以上から、被請求人の提出した証拠方法によっては、デジタルカメラ及びインクジェットプリンターについて、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を使用したと認めることはできない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消請求商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していた事実を証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、本件審判の請求に係る取消請求商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の取消請求商品に係る登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-300550