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特許拒絶査定不服審判

2022-021307

遊技機

審判番号
2022-021307
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-156753外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年12月28日
審決日
2023年07月25日
公報発行日
2023年10月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-156753「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 2月27日出願公開、特開2020- 28520〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成30年8月23日の出願であって、令和3年8月12日に上申書及び手続補正書が提出され、令和4年7月22日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月30日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年10月11日付け(送達日:同月18日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年12月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和4年12月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

本件補正を却下する。

[理由]

1 本件補正について

本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲は、

(補正前:令和4年9月30日に提出した手続補正書でした手続補正)

「【請求項1】
複数の表示演出を実行可能な表示手段と、
遊技者が操作可能な操作手段と、を備える遊技機であって、
第1の背景画像を前記表示手段に表示する第1の表示演出がおこなわれ、
続きを表示(全12行)
前記第1の表示演出がおこなわれているときに、大当たりを表す第1の大当たり図柄配列を前記表示手段に表示する第2の表示演出がおこなわれ、
前記第2の表示演出における前記第1の大当たり図柄配列は、前記第1の表示演出の前記第1の背景画像の手前に表示され、
前記第1の表示演出がおこなわれているときに、第2の背景画像を前記表示手段に表示する第3の表示演出がおこなわれ、
前記第3の表示演出における前記第2の背景画像は、前記第1の表示演出における前記第1の背景画像の手前に配置され、
前記第1の表示演出がおこなわれているときに、前記操作手段を表す画像を前記表示手段に表示する第4の表示演出がおこなわれる場合と、前記第4の表示演出がおこなわれない場合とがあり、
前記第3の表示演出がおこなわれているときに、大当たりを表す第2の大当たり図柄配列を前記表示手段に表示する第5の表示演出がおこなわれ、
前記第5の表示演出における前記第2の大当たり図柄配列は、前記第3の表示演出の前記第2の背景画像の手前に表示される、
ことを特徴とする遊技機。」から、

(補正後:令和4年12月28日に提出した手続補正書でした手続補正)

「【請求項1】
A 複数の表示演出を実行可能な表示手段と、
B 遊技者が操作可能な操作手段と、を備える遊技機であって、
C1 第1の背景画像を前記表示手段に表示する第1の表示演出がおこなわれ、
続きを表示(全13行)
C2 前記第1の表示演出がおこなわれているときに、大当たりを表す第1の大当たり図柄配列を前記表示手段に表示する第2の表示演出がおこなわれ、
C21 前記第2の表示演出における前記第1の大当たり図柄配列は、前記第1の表示演出の前記第1の背景画像の手前に表示され、
C3 前記第1の表示演出がおこなわれているときに、第2の背景画像を前記表示手段に表示する第3の表示演出がおこなわれ、
C31 前記第3の表示演出における前記第2の背景画像は、前記第1の表示演出における前記第1の背景画像の手前に配置され、
C4 前記第3の表示演出がおこなわれているときに、前記第2の背景画像の表示を維持した状態で前記第1の大当たり図柄配列の表示を消す第4の表示演出がおこなわれ、
C5 前記第1の表示演出がおこなわれているときに、前記操作手段を表す画像を前記表示手段に表示する第5の表示演出がおこなわれる場合と、前記第5の表示演出がおこなわれない場合とがあり、
C6 前記第3の表示演出がおこなわれているときに、大当たりを表す第2の大当たり図柄配列を前記表示手段に表示する第6の表示演出がおこなわれ、
C61 前記第6の表示演出における前記第2の大当たり図柄配列は、前記第3の表示演出の前記第2の背景画像の手前に表示される、
B ことを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために合議体が付した。また、符号A等は分説のため合議体が付し、分説した事項を、以下「特定事項A」等という。)。

2 補正の適否

(1)本件補正

本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正は、発明を特定するために必要な事項である「第3の表示演出」について、「前記第3の表示演出がおこなわれているときに、前記第2の背景画像の表示を維持した状態で前記第1の大当たり図柄配列の表示を消す第4の表示演出がおこなわれ、」という限定を加えることに付随して、本件補正前の「第4の表示演出」を「第5の表示演出」と改めるとともに、本件補正前の「第5の表示演出」を「第6の表示演出」と改めるものである。

(2)補正目的

上記(1)の本件補正は、全体として、補正前の発明特定事項に限定を加えるものであって、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

(3)新規事項

本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面の【0423】~【0429】、図76、図77の記載からみて新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 本件補正発明の独立特許要件についての検討

上記2(2)のとおり、本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正は、全体として特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正であるから、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、前記第2の1に、補正後として示したとおりである。

(2)引用発明、周知技術

ア 引用文献等1に記録された事項、引用発明

原査定の拒絶理由において引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献等1(新台グンダムにさらば諭吉[Zガンダム]このごみ229養分パチ,YouTube[online][video],2018年01月12日,<URL:https://www.youtube.com/watch?v=6Edoud8POH4>,[2022年7月22日検索])に係るYouTubeの動画を視聴することで、引用文献等1には、次の事項が記録されていると認定することができる。ここで、例えば、「<5分4秒>」は、動画の再生開始からの経過時間を示すものであり、以下の同様の「分秒」に係る記載も同じである。

(ア)引用文献等1において、動画に係る画像の左上に、「YouTube」と表示され、画像の直下に「【Zガンダム】」と表示され、さらにその右側に、「パチ」と表示されることが看取され、さらにその下方に「2018/01/12」と表示されていることが看取される。0分4秒の画像に「今回の機種は」と表示され、0分9秒の画像に「CRフィーバー機動戦士Zガンダム」、「大当り確率(低確率時) 1/319.7」と表示されるとともに、株式会社SANKYOのHPにて製品を紹介する「SANKYOヒストリー」の「2018.1 フィーバー機動戦士Zガンダム」の欄において、「大当たり確率 1/319.7」であるスペックを有する「CRフィーバー機動戦士Zガンダム」(URL:https://www.sankyo-fever.jp/history/machine_detail/id_698.php)という機種が紹介されていることを考慮すると、引用文献等1に記録されている動画は、2018年1月12日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、2018年1月に販売された「CRフィーバー機動戦士Zガンダム」という機種のパチンコ機に係る動画像である(認定事項ア)。

また、引用文献等1に記録されている動画であるパチンコ機の機種名を特定するために参照した動画に係る画像は次のとおりである。

a <0分4秒>

[図:0001402606000001.jpg]

b <0分9秒>

[図:0001402606000002.jpg]

(イ)5分4秒から5分16秒の期間のうち、特定の時点における画像を示しつつ、当該期間における動画像から看取される事項を以下に示す。なお、以下に示す画像は、2023年6月17日に再度抽出を行った。

a <5分4秒>

[図:0001402606000003.jpg]

(a)5分4秒の画像に表示されているものは、パチンコ機の表示装置の画面であるといえ、引用文献等1には、パチンコ機が表示装置を備えることが記録されている(認定事項イ)。

(b)5分4秒から5分16秒にかけて、パチンコ機の表示装置の画面全体に、背景となる動画(以下「背景動画」という。)が継続的に表示されていることが記録されている(認定事項ウ)。

b <5分5秒>

[図:0001402606000004.jpg]

5分5秒のタイミングで、パチンコ機の表示装置の画面の左上に「8、8、8」図柄が表示され、画面全体に継続的に表示される背景動画には毛髪が水色であるキャラクタが発言をしている様子が表示されるとともに、当該「8、8、8」図柄のうち、右側の「8」図柄の右下側が、キャラクタの毛髪の一部を隠していることが看取されることから、

引用文献等1には、パチンコ機の表示装置の画面の左上に「8、8、8」図柄が、画面全体に継続的に表示される背景動画の前側に表示されることが記録されている(認定事項エ)。

c <5分7秒>

[図:0001402606000005.jpg]

(a)5分7秒のタイミングで、パチンコ機の表示装置の画面の左上に表示された「8、8、8」図柄の後ろ側に、当該「8、8、8」図柄を囲む内部が黒色の略方形の枠が表示されるとともに、当該枠の上方に「昇格チャンス」という文字が表示され、当該枠の下方にボタンを模した画像が表示され、そのボタンを模した画像の前側に「連打」及び「PUSH」という文字が表示されていることが看取される。

また、当該枠、「昇格チャンス」という文字、ボタンを模した画像、「連打」及び「PUSH」という文字のいずれも、画面全体に継続的に表示される背景動画の前側に表示されることが看取される。

(b)上記(a)を踏まえると、当該「8、8、8」図柄を囲む内部が黒色の略方形の枠は、「8、8、8」図柄の背景となっているといえるから、引用文献等1には、パチンコ機の表示装置の画面全体に継続的に表示される背景動画の前側に、引き続き、「8、8、8」図柄が表示されるとともに、「8、8、8」図柄の後ろ側に、当該「8、8、8」図柄を囲む内部が黒色の略方形の枠(以下「背景となる略方形の枠」という。)が表示され、当該背景となる略方形の枠の上方に「昇格チャンス」という文字が表示され、当該背景となる略方形の枠の下方にボタンを模した画像が表示され、そのボタンを模した画像の前側に「連打」及び「PUSH」という文字が表示されることが記録されている(認定事項オ)。

(c)また、上記(a)のように、パチンコ機の表示装置の画面に、ボタンを模した画像の前側に「PUSH」という文字が表示されているところ、パチンコ機の分野において、ボタンを模した画像を表示すること、あるいは、「PUSH」という表示が行われることは、遊技者に操作ボタンの操作を促す指示であることは技術常識であるから、引用文献等1に記録されたパチンコ機は、操作ボタンを備えていると認められる(認定事項カ)。

d <5分7秒>

[図:0001402606000006.jpg]

(a)5分7秒のタイミングで、パチンコ機の表示装置の画面に、引き続き背景となる略方形の枠が表示されるとともに、背景となる略方形の枠の内部で、閃光が拡がった後に「8、8、8」図柄が揺れ動いて、その後さらに閃光が拡がって当該枠の内部を覆い図柄が見えない状態となり、その後、5分14秒にかけて、閃光がやや収まって揺れ動いている図柄がぼんやりと見える状態となった後、再度閃光が拡がって図柄が見えない状態となる遷移を繰り返す表示がされることが看取される。

(b)上記(a)を踏まえると、引用文献等1には、パチンコ機の表示装置の画面に、引き続き背景となる略方形の枠が表示されるとともに、背景となる略方形の枠の内部で、閃光が拡がった後に「8、8、8」図柄が揺れ動いて、その後さらに閃光が拡がって当該枠の内部を覆い図柄が見えない状態となり、その後、閃光がやや収まって揺れ動いている図柄がぼんやりと見える状態となった後、再度閃光が拡がって図柄が見えない状態となる遷移を繰り返す表示がされることが記録されている(認定事項キ)。

e <5分14秒>

[図:0001402606000007.jpg]

5分14秒のタイミングで、パチンコ機の表示装置の画面の左上に表示された背景となる略方形の枠の内部に、「8、8、8」図柄が見える状態で表示されることが看取されることから、

引用文献等1には、パチンコ機の表示装置の画面の左上に表示された背景となる略方形の枠の内部に、再び、「8、8、8」図柄が見える状態で表示されることが記録されている(認定事項ク)。

(ウ)引用発明

上記(ア)、(イ)より、引用文献等1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記録されていると認められる(符号a等は、本願補正発明の分説に概ね対応させて合議体が付した。)。

引用発明

「a 表示装置と(認定事項イ)、
b 操作ボタンと、を備えた(認定事項カ)「CRフィーバー機動戦士Zガンダム」という機種のパチンコ機であって(認定事項ア)、
c1 表示装置の画面全体に、背景動画が継続的に表示され(認定事項ウ)、
c2、c21 表示装置の画面の左上に「8、8、8」図柄が、画面全体に継続的に表示される背景動画の前側に表示され(認定事項エ)、
c3、c31、c5 表示装置の画面全体に継続的に表示される背景動画の前側に、引き続き、「8、8、8」図柄が表示されるとともに、「8、8、8」図柄の後ろ側に、当該「8、8、8」図柄を囲む内部が黒色の略方形の枠(以下「背景となる略方形の枠」という。)が表示され、当該背景となる略方形の枠の上方に「昇格チャンス」という文字が表示され、当該背景となる略方形の枠の下方にボタンを模した画像が表示され、そのボタンを模した画像の前側に「連打」及び「PUSH」という文字が表示され(認定事項オ)、
c4 表示装置の画面に、引き続き背景となる略方形の枠が表示されるとともに、背景となる略方形の枠の内部で、閃光が拡がった後に「8、8、8」図柄が揺れ動いて、その後さらに閃光が拡がって当該枠の内部を覆い図柄が見えない状態となり、その後、閃光がやや収まって揺れ動いている図柄がぼんやりと見える状態となった後、再度閃光が拡がって図柄が見えない状態となる遷移を繰り返す表示がされ(認定事項キ)、
c6、c61 パチンコ機の表示装置の画面の左上に表示された背景となる略方形の枠の内部に、再び、「8、8、8」図柄が見える状態で表示される(認定事項ク)、
b 「CRフィーバー機動戦士Zガンダム」という機種のパチンコ機(認定事項ア)。」

イ 周知技術

(ア)引用文献2に記載の技術

原査定で周知技術を示す文献として引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-50691号公報(以下「引用文献2」という。)には、次のa~eに示した事項が記載され、fに示した技術(以下「引用文献2に記載の技術」という。)が記載されている(下線は合議体が付した。以下同様。)

a 「【0014】
(ぱちんこ遊技機の基本構成)
まず、本発明の実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の基本構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかるぱちんこ遊技機の一例を示す説明図である。図1に示すように、本実施の形態のぱちんこ遊技機100は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の下部位置には、発射部が配置されている。
・・・
【0016】
遊技盤101の略中央部分には、画像表示部104が配置されている。画像表示部104としては液晶表示器(LCD:Liquid Crystal Display)などが用いられる。・・・」
b 「【0202】
VRAM444に格納された表示用データは、画像表示部104に対して出力されて、画像表示部104の表示画面上において重畳表示される。また、たとえば、表示制御処理プログラム442bは、表示画面上において、同一位置に背景画像と演出図柄が重なる場合などには、画像を階層構造に重ねたレイヤを設定する。たとえば、下層のレイヤには背景画像を設定し、その上の階層に演出図柄を設定し、さらにその上の階層に予告画像を設定することにより、演出図柄を背景画像よりも手前に、予告画像を演出図柄より手前に、見えるように表示させる。」
c 「【0212】
ボタンゲーム演出は、遊技者による演出ボタン118の押下に応じて、たとえば最大8回、その都度、ボタンゲーム図柄を、見かけ上、停止表示させる連打演出である。・・・
・・・
【0343】
続きを表示(全15行)
(ボタンゲーム処理)
つぎに、図36を用いて、図34-1のステップS3410に示したボタンゲーム処理について説明する。図36は、ボタンゲーム処理の処理内容を示すフローチャートである。図36に示すボタンゲーム処理において、演出統括部403aのCPU431は、変動演出パターン選択処理(図34-2参照)において選択された変動演出パターンを参照する(ステップS3601)。そして、参照した変動演出パターンに基づいて、ボタンゲーム演出を実行するか否かを判定する、ボタンゲーム実行判定処理をおこなう(ステップS3602)。
・・・
【0348】
(ボタンゲーム実行判定処理において用いられるテーブルの一例)
まず、図37-1を用いて、ボタンゲーム実行判定処理(図36のステップS3602参照)において用いられるボタンゲーム実行判定テーブルについて説明する。図37-1は、ボタンゲーム実行判定テーブルを示す説明図である。
【0349】
図37-1において、ボタンゲーム実行判定テーブル3711~3713は、変動演出パターンと、最終的に出現させるボタンゲーム図柄である最終図柄とを対応づけたものである。ボタンゲーム実行判定テーブル3711は、ハズレ時に用いられるものである。ボタンゲーム実行判定テーブル3711において、変動演出パターンEp1によるノーマルハズレ演出では、ボタンゲーム演出を実行する割合は、たとえば「1/50」になっている。ノーマルハズレ演出における最終図柄は、ガセ図柄である。つまり、ノーマルハズレ演出では、50変動に1回の割合で、ガセ図柄のみ出現するボタンゲーム演出が実行されるようになっている。
・・・
【0397】
まず、図44-1~図44-4において、(1)に示すように、変動演出が開始されると、演出図柄Ez1~Ez3が表示されるとともに、所定時間経過後に、ボタンゲーム演出の開始を示す演出画面4411が表示される。そして、(2)に示すように、演出ボタン118の押下を促す演出画面4412が表示される。・・・」

d 【0349】に、「図37-1において、ボタンゲーム実行判定テーブル3711~3713は、変動演出パターンと、最終的に出現させるボタンゲーム図柄である最終図柄とを対応づけたものである。・・・」と記載され、図37-1より、ボタンゲーム実行判定テーブルは、変動演出パターンと、最終図柄とを対応づけたテーブルであり、ボタンゲーム実行割合として、1/50、1/20又は1/10のいずれかの値が割り振られていることが看取されるから、引用文献2には、変動演出パターンと、最終的に出現させるボタンゲーム図柄である最終図柄とを対応づけたものであり、ボタンゲーム実行割合として、所定の値が割り振られたボタンゲーム実行判定テーブルを有することが記載されている(認定事項ケ)。

「
[図:0001402606000008.jpg]
」

e 【0397】に、「まず、図44-1~図44-4において、・・・そして、(2)に示すように、演出ボタン118の押下を促す演出画面4412が表示される。・・・」と記載され、図44-1の(2)において、「連打」という文字の下方にボタンを模した画像が表示されていることが看取されるので、引用文献2には、演出ボタン118の押下を促す表示として、ボタンを模した画像が表示されることが記載されているといえる(認定事項コ)。

「
[図:0001402606000009.jpg]
」

f 引用文献2に記載の技術

「遊技盤101の略中央部分には、画像表示部104が配置されている(【0016】)ぱちんこ遊技機100(【0014】)において、
画像表示部104の表示画面上において、下層のレイヤには背景画像を設定し、その上の階層に演出図柄を設定し、さらにその上の階層に予告画像を設定することにより、演出図柄を背景画像よりも手前に、予告画像を演出図柄より手前に、見えるように表示させ(【0202】)、
遊技者による演出ボタン118の押下に応じて、たとえば最大8回、その都度、ボタンゲーム図柄を、見かけ上、停止表示させる連打演出であるボタンゲーム演出が行われ(【0212】)、
変動演出パターンと、最終的に出現させるボタンゲーム図柄である最終図柄とを対応づけたものであり、ボタンゲーム実行割合として、所定の値が割り振られたボタンゲーム実行判定テーブルを用いて(【0349】、図37-1、認定事項ケ)ボタンゲーム演出を実行するか否かを判定する(【0343】)ものであって、
演出ボタン118の押下を促す表示として、ボタンを模した画像が表示される(【0397】、図44-1、認定事項コ)技術。」

(イ)引用文献3に記載の技術

原査定で周知技術を示す文献として引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-174923号公報(以下「引用文献3」という。)には、次のa~eに示した事項からみて、fに示した技術(以下「引用文献3に記載の技術」という。)が記載されている。

a 第3実施形態について記載された「連打演出」は、【0151】及び【0152】の記載に照らせば、「遊技者が演出中にサブ入力ボタンを連打(複数回の押下)して敵キャラを倒すことができれば成功となる演出」であり、「表示領域に敵キャラが表示されると共に遊技者にサブ入力ボタンの操作を促す画像が表示され・・・遊技者がサブ入力ボタンを連打することによって、・・・連打演出成功となる。また、連打演出成功となる予定の連打演出が実行された場合に、遊技者が所定時間(例えば、3秒)内に当該メーターが上部に到達する回数分サブ入力ボタンを押下しなかった場合には、当該所定時間経過後に敵キャラを倒して連打演出成功となるよう構成されている・・・当該連打演出に成功することにより、実行中の変動において擬似連図柄が1回以上仮停止することが確定的となる。」ものである。

そして、「サブ入力ボタンの操作を促す画像」について、以下に摘記した図34から、連打演出において、ボタンを模した画像及びその画像の上部に「PUSH!!」という文字が表示されるとともに「ボタン連打で敵を倒せば擬似連GET!」という文字が表示されることが看取される。

【図34】の【連打演出イメージ図】における左側の上から5つ目の画像を抜粋

[図:0001402606000010.jpg]

b 一方、第4実施形態は、「以上の実施形態で実施しているような、通常の擬似連演出とは別に、演出態様の異なる擬似連演出を実行し得るよう構成する」(【0155】)ものであるところ、【0156】に、「・・・本例では、変動時間が60秒である場合、ボタン演出{例えば、サブ入力ボタンSBの押下(又は所定時間経過)によって、擬似連図柄が仮停止表示される(擬似連となる)か否かが判明する演出}によって擬似連演出が進行する通常擬似連2とは別に、特殊擬似連2(ストーリー擬似連)が実行され得るよう構成されている。当該特殊擬似連演出においては、通常擬似連演出の際に表示している予告演出(例えば、予告演出1-1、1-2、1-3)及びボタン演出が表示されないと共に、・・・」と記載されている。

c ここで、第4実施形態の説明において比較の対象としている「以上の実施形態で実施している通常の擬似連演出」は、「ボタン演出{例えば、サブ入力ボタンSBの押下(又は所定時間経過)によって、擬似連図柄が仮停止表示される(擬似連となる)か否かが判明する演出}によって擬似連演出が進行する通常擬似連2」である。

そして、上記aで示した第3実施形態が、「遊技者にサブ入力ボタンの操作を促す画像」として「ボタンを模した画像及びその画像の上部に「PUSH!!」という文字が表示されるとともに「ボタン連打で敵を倒せば擬似連GET!」という文字が表示され」、「遊技者がサブ入力ボタンを連打する」か又は「所定時間経過後に敵キャラを倒して連打演出成功となるよう構成され」、「当該連打演出に成功することにより、実行中の変動において擬似連図柄が1回以上仮停止することが確定的となる」もの(以下「第3実施形態の擬似連演出」という。)である。

そうすると、第4実施形態の説明において比較の対象としている「ボタン演出」と、第3実施形態の擬似連演出のいずれも、サブ入力ボタンが操作されるか、又は所定時間経過すると擬似連図柄が仮停止されるか否かが分かるという点で共通していることに加え、引用文献3にはその余に関連する実施形態が記載されていないことを考慮すると、第4実施形態の説明において比較の対象としている「ボタン演出」、すなわち、「以上の実施形態で実施している通常の擬似連演出」は、上記第3実施形態の擬似連演出であると認められる。

d 以上より、引用文献3には、遊技者にサブ入力ボタンの操作を促す画像としてボタンを模した画像及びその画像の上部に「PUSH!!」という文字が表示されるとともに、「ボタン連打で敵を倒せば擬似連GET!」という文字が表示され、遊技者がサブ入力ボタンを連打すること、又は、所定時間経過後に敵キャラを倒して連打演出成功となるよう構成され、当該連打演出に成功することにより、実行中の変動において擬似連図柄が1回以上仮停止することが確定的となるボタン演出を行う第3実施形態の擬似連演出と、ボタン演出を行わない第4実施形態の特殊擬似連演出と、を行うことが記載されていると認められる(認定事項コ)。

e その他、引用文献3には、【0025】に「次に、図2を参照しながら、ぱちんこ遊技機の背面側における基本構造を説明する。ぱちんこ遊技機は、・・・遊技内容に興趣性を付与する演出表示装置2140上での各種演出に係る表示制御等を行う演出制御手段(サブメイン制御部)2320・・・等が、前枠104裏面(遊技側と反対側)に設けられている。」と記載され、【0166】に、「・・・当該変動中の背景演出として「非先読み時用背景」を表示するコマンドをセットし、・・・」と記載されていることからみて、遊技内容に興趣性を付与する演出表示装置2140を備えたぱちんこ機であること、及び、演出表示装置2140上で変動中の背景演出が行われることが記載されていると認められる(認定事項サ)。

f 引用文献3に記載の技術

「遊技内容に興趣性を付与する演出表示装置2140を備えたぱちんこ遊技機において、演出表示装置2140上で変動中の背景演出が行われ(【0025】、【0166】、認定事項サ)
遊技者にサブ入力ボタンの操作を促す画像としてボタンを模した画像及びその画像の上部に「PUSH!!」という文字が表示されるとともに、「ボタン連打で敵を倒せば擬似連GET!」という文字が表示され、遊技者がサブ入力ボタンを連打するか、又は、所定時間経過後に敵キャラを倒して連打演出成功となるよう構成され、当該連打演出に成功することにより、実行中の変動において擬似連図柄が1回以上仮停止することが確定的となるボタン演出を行う第3実施形態の擬似連演出と、ボタン演出を行わない第4実施形態の特殊擬似連演出と、を行う(【0151】、【0152】、【0155】、【0156】、図34、認定事項コ)技術。」

(ウ)周知技術

上記(ア)fに示した引用文献2に記載の技術及び上記(イ)fに示した引用文献3に記載の技術から、

表示装置を備えたパチンコ機の分野において、表示装置に背景画像が表示されるとともに、図柄を停止させる前に、遊技者にボタンの操作を促すためにボタンを模した画像が表示される場合と、ボタンを模した画像が表示されない場合とがある技術は従来周知の技術(以下「周知技術」という。)である。

(3)対比

分説に従い、本件補正発明と引用発明とを対比する。

ア 特定事項Aについて

引用発明の「表示装置」に、「背景動画」(c1)及び「「8、8、8」図柄」(c2、c21)が「表示され」ることは、本件補正発明の「複数の表示演出を実行可能」であることに相当し、引用発明の「表示装置」は、本件補正発明の「表示手段」に相当する。

してみれば、c1及びc2,c21を踏まえると、引用発明のaは、本件補正発明の特定事項Aに相当する。

イ 特定事項Bについて

引用発明において、「操作ボタン」を「備えた」こと、「「CRフィーバー機動戦士Zガンダム」という機種のパチンコ機」はそれぞれ、本件補正発明の「遊技者が操作可能な操作手段」を「備える」こと、「遊技機」に相当する。

してみれば、引用発明のbは、本件補正発明の特定事項Bに相当する。

ウ 特定事項C1について

上記アより、引用発明の「表示装置」が本件補正発明の「表示手段」に相当することに加え、

引用発明の「背景動画」、「表示装置の画面全体に」「継続的に表示され」ることはそれぞれ、本件補正発明の「第1の背景画像」、「前記表示手段に表示することに相当するから、引用発明の「表示装置」において、その「画面全体に、背景動画が継続的に表示され」ることは、本件補正発明の「第1の表示演出がおこなわれ」ることに相当する。

してみれば、引用発明のc1は、本件補正発明の特定事項C1に相当する。

エ 特定事項C2、C21について

上記アより、引用発明の「表示装置」が本件補正発明の「表示手段」に相当することに加え、上記イの検討を踏まえると、引用発明の「画面全体に継続的に表示される背景動画」が「表示される」ときは、本件補正発明の「前記第1の表示演出がおこなわれているとき」に相当し、引用発明の「「8、8、8」図柄」は、いわゆるぞろ目が大当たりとなる図柄配列であることは技術常識であるので、本件補正発明の「大当たりを表す第1の大当たり図柄配列」に相当し、引用発明の「表示装置の画面の左上に「8、8、8」図柄が、」「画面全体に継続的に表示される背景動画」「の前側に表示され」ることは、本件補正発明の「表示手段に表示する第2の表示演出がおこなわれ」ること(特定事項C2)、及び、「前記第1の表示演出の前記第1の背景画像の手前に表示され」ること(特定事項C21)のいずれにも相当する。

してみれば、引用発明のc2、c21は、本件補正発明の特定事項C2、C21に相当する構成を備えている。

オ 特定事項C3、C31について

上記アより、引用発明の「表示装置」が本件補正発明の「表示手段」に相当するとともに、

上記イの検討を踏まえると、引用発明の「画面全体に継続的に表示される背景動画」が「表示される」ときは、本件補正発明の「前記第1の表示演出がおこなわれているとき」に相当することに加え、

引用発明の「「8、8、8」図柄を囲む内部が黒色の略方形の枠」と「背景となる略方形の枠」のいずれも、本件補正発明の「第2の背景画像」に相当するから、

引用発明の「表示装置の画面全体に継続的に表示される背景動画の前側に、」「背景となる略方形の枠」「が表示され」ることは、本件補正発明の「前記第1の表示演出がおこなわれているときに、第2の背景画像を前記表示手段に表示する第3の表示演出がおこなわれ」ること(特定事項C3)、及び、「前記第3の表示演出における前記第2の背景画像は、前記第1の表示演出における前記第1の背景画像の手前に配置され」ること(特定事項C31)のいずれにも相当する。

してみれば、引用発明のc3、c31、c5は、本件補正発明の特定事項C3、C31に相当する構成を備えている。

カ 特定事項C4について

上記オを踏まえると、引用発明の「表示装置の画面全体に継続的に表示される背景動画の前側に、」「背景となる略方形の枠」「が表示され」るときは、本件補正発明の「前記第3の表示演出がおこなわれているとき」に相当するから、

引用発明の「引き続き背景となる略方形の枠が表示される」ことは、本件補正発明の「前記第2の背景画像の表示を維持した状態」に相当し、引用発明の「「8、8、8」図柄が揺れ動いて、その後さらに閃光が拡がって当該枠の内部を覆い図柄が見えない状態とな」ることは、「「8、8、8」図柄」が「見えない状態」であることを意味するから、本件補正発明の「第1の大当たり図柄配列の表示を消す」ことに相当する。

そうすると、引用発明において、「表示装置の画面全体に継続的に表示される背景動画の前側に、」「引き続き背景となる略方形の枠が表示され」、「「8、8、8」図柄が揺れ動いて、その後さらに閃光が拡がって当該枠の内部を覆い図柄が見えない状態とな」ることは、本件補正発明の「第4の表示演出」に相当する。

してみれば、引用発明のc4は、本件補正発明の特定事項C4に相当する。

キ 特定事項C5について

上記アより、引用発明の「表示装置」が本件補正発明の「表示手段」に相当するとともに、

上記イの検討を踏まえると、引用発明の「画面全体に継続的に表示される背景動画」が「表示される」ときは、本件補正発明の「前記第1の表示演出がおこなわれているとき」に相当することに加え、

引用発明の「ボタンを模した画像」は、本件補正発明の「操作手段を表す画像」に相当する。

そうすると、引用発明において、「表示装置の画面全体に継続的に表示される背景動画の前側に、」「背景となる略方形の枠」「が表示され、」「当該背景となる略方形の枠の下方にボタンを模した画像が表示され」ることは、本件補正発明の「第5の表示演出がおこなわれる場合」に相当する。

よって、引用発明のc3、c31、c5と本件補正発明の特定事項C5とは、「前記第1の表示演出がおこなわれているときに、前記操作手段を表す画像を前記表示手段に表示する第5の表示演出がおこなわれる場合」があるという点で共通する。

ク 特定事項C6について

上記アより、引用発明の「表示装置」が本件補正発明の「表示手段」に相当するとともに、

上記オの検討を踏まえると、引用発明の「表示装置の画面全体に継続的に表示される背景動画の前側に、」「背景となる略方形の枠」「が表示され」るときは、本件補正発明の「前記第3の表示演出がおこなわれているとき」に相当することに加え、

引用発明の「再び」「見える状態で表示される」「「8、8、8」図柄」は、本件補正発明の「大当たりを表す第2の大当たり図柄配列」と、大当たりを表す大当たり図柄配列であるという点で共通するから、引用発明のc6、c61と本件補正発明の特定事項C6とは、前記第3の表示演出がおこなわれているときに、大当たりを表す大当たり図柄配列を前記表示手段に表示する第6の表示演出がおこなわれるという点で共通する。

ケ 特定事項C61について

上記オの検討を踏まえると、引用発明の「表示装置の画面全体に継続的に表示される背景動画の前側に、」「背景となる略方形の枠」「が表示され」ることは、本件補正発明の「第3の表示演出」に相当し、

上記キの検討を踏まえると、引用発明の「背景となる略方形の枠」、「再び、「8、8、8」図柄が見える状態で表示される」ことはそれぞれ、本件補正発明の「第2の背景画像」、「手前に表示される」ことに相当する。

そうすると、引用発明のc6、c61と本件補正発明の特定事項C61とは、前記第6の表示演出における大当たり図柄配列は、前記第3の表示演出の前記第2の背景画像の手前に表示されるという点で共通する。

コ 一致点及び相違点

上記ア~ケより、本件補正発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、次の相違点で相違する。

(一致点)

「A 複数の表示演出を実行可能な表示手段と、
B 遊技者が操作可能な操作手段と、を備える遊技機であって、
C1 第1の背景画像を前記表示手段に表示する第1の表示演出がおこなわれ、
C2 前記第1の表示演出がおこなわれているときに、大当たりを表す第1の大当たり図柄配列を前記表示手段に表示する第2の表示演出がおこなわれ、
続きを表示(全12行)
C21 前記第2の表示演出における前記第1の大当たり図柄配列は、前記第1の表示演出の前記第1の背景画像の手前に表示され、
C3 前記第1の表示演出がおこなわれているときに、第2の背景画像を前記表示手段に表示する第3の表示演出がおこなわれ、
C31 前記第3の表示演出における前記第2の背景画像は、前記第1の表示演出における前記第1の背景画像の手前に配置され、
C4 前記第3の表示演出がおこなわれているときに、前記第2の背景画像の表示を維持した状態で前記第1の大当たり図柄配列の表示を消す第4の表示演出がおこなわれ、
C5’ 前記第1の表示演出がおこなわれているときに、前記操作手段を表す画像を前記表示手段に表示する第5の表示演出がおこなわれる場合と、前記第5の表示演出がおこなわれない場合とがあり、
C6’ 前記第3の表示演出がおこなわれているときに、大当たりを表す大当たり図柄配列を前記表示手段に表示する第6の表示演出がおこなわれ、
C61’ 前記第6の表示演出における大当たり図柄配列は、前記第3の表示演出の前記第2の背景画像の手前に表示される、
B 遊技機。」

(相違点)

・相違点1(特定事項C5)

第1の表示演出がおこなわれているときに、操作手段を表す画像を表示手段に表示する第5の表示演出について、本件補正発明は、「操作手段を表す画像を前記表示手段に表示する第5の表示演出がおこなわれる場合」とは別に、「前記第5の表示演出がおこなわれない場合」「があ」るのに対し、引用発明は、「当該背景となる略方形の枠の下方にボタンを模した画像が表示され」る場合はあるものの、ボタンを模した画像が表示されない場合があるかどうか不明である点。

・相違点2(特定事項C6、C61)

表示手段に表示する第6の表示演出における大当たりを表し、第3の表示演出の第2の背景画像の手前に表示される大当たり図柄配列について、本件補正発明は、「大当たりを表す第2の大当たり図柄配列」であるのに対し、引用発明の「再び」「見える状態で表示される」「「8、8、8」図柄」は、「背景となる略方形の枠」において、「さらに閃光が拡がって当該枠の内部を覆い図柄が見えない状態とな」る前に表示された、本件補正発明の「大当たりを表す第1の大当たり図柄配列」に相当する「「8、8、8」図柄」と同じ図柄である点。

(4)判断

上記相違点について検討する。

ア 相違点1(特定事項C5)について

(ア)上記(2)イ(ウ)に示した周知技術を以下に再掲する。

周知技術

「表示装置を備えたパチンコ機の分野において、表示装置に背景画像が表示されるとともに、図柄を停止させる前に、遊技者にボタンの操作を促すためにボタンを模した画像が表示される場合と、ボタンを模した画像が表示されない場合とがある技術。」

(イ)引用発明と周知技術は、ともにパチンコ機の分野において、表示装置の背景に加えて遊技者にボタンの操作を促すためにボタンを模した画像を表示することにより、図柄が停止する前の演出を行うという点で共通するから「当該背景となる略方形の枠の下方にボタンを模した画像が表示され」る引用発明に上記周知技術を適用して、「表示装置の画面全体に、背景動画が継続的に表示され」ているときに、遊技者にボタンの操作を促すためにボタンを模した画像が表示される場合と、ボタンを模した画像が表示されない場合とがある構成とすることにより、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

イ 相違点2(特定事項C6、C61)について

(ア)判断1

a 特定事項C6、C61における「大当たりを表す第2の大当たり図柄配列」という用語の解釈について検討する。

b 本件明細書の【0426】に、「なお、大当たり時演出4で表示される大当たり図柄配列A81は、大当たり時演出2のときの大当たり図柄配列A81とは異なる大当たり図柄配列であり、大当たり後の遊技状態が確変状態になることを示唆する大当たり図柄配列であるが、これに限られず、大当たり時演出2のときの大当たり図柄配列A81と同じ大当たり図柄配列であってもよい。」と記載されている。

本件補正発明の「大当たりを表す第1大当たり図柄配列」に対応する明細書の記載は、「大当たり図柄配列A81」が「背景画像HK2内に表示され、背景画像HK2よりも手前側(前面側)に表示される」(【0424】)「大当たり時演出2のときの大当たり図柄配列A81」であり、本件補正発明の「大当たりを表す第2の大当たり図柄配列」に対応する明細書の記載は、「再度大当たり図柄配列A81が背景画像HK2上に表示される」(【0425】)「大当たり時演出4で表示される大当たり図柄配列A81」であるから、本件明細書では、「大当たりを表す第1大当たり図柄配列」及び「大当たりを表す第2の大当たり図柄配列」という用語について、両者が異なる大当たり図柄配列であっても、両者が同じ大当たり図柄配列であってもよい旨を定義していると認められる。

c そうすると、引用発明の「再び」「見える状態で表示される」「「8、8、8」図柄」は、「背景となる略方形の枠」において、「さらに閃光が拡がって当該枠の内部を覆い図柄が見えない状態とな」る前に表示された、本件補正発明の「大当たりを表す第1の大当たり図柄配列」に相当する「「8、8、8」図柄」と同じ図柄であることは、上記の「大当たりを表す第1大当たり図柄配列」及び「大当たりを表す第2の大当たり図柄配列」という用語について、両者が同じ大当たり図柄配列であってもよい旨の定義に照らせば、引用発明の「再び」「見える状態で表示される」「「8、8、8」図柄」は、本件補正発明の特定事項C6、C61における「大当たりを表す第2の大当たり図柄配列」に相当するといえる。

d してみれば、引用発明のc6、c61と本件補正発明の特定事項C61とは一致点となり、相違点2で相違するものではない。

(イ)判断2

a 特定事項C6、C61における「大当たりを表す第2の大当たり図柄配列」という用語の解釈について、上記(ア)bに示した、「大当たりを表す第1の大当たり図柄配列」と異なる大当たり図柄配列であっても、「大当たりを表す第1の大当たり図柄配列」と同じ大当たり図柄配列であってもよい旨を定義しているという解釈を採用することなく、大当たり図柄について、それぞれ、「第1の」又は「第2の」と修飾を付して特定する意図は、「大当たりを表す第1の大当たり図柄配列」と「大当たりを表す第2の大当たり図柄配列」とが異なる大当たり図柄配列であることを特定する意図であると解釈した場合について検討する。

b 引用発明において、本件補正発明の「大当たりを表す第1の大当たり図柄配列」に相当する「「8、8、8」図柄」が、それを「囲む」「背景となる略方形の枠」の内部に表示され(c3、c31、c5)、「図柄が見えない状態となり」(c4)、その後、「再び、「8、8、8」図柄が見える状態で表示される」(c6、c61)演出が行われるときには、「当該背景となる略方形の枠の上方に「昇格チャンス」という文字が表示され」ることから(c3、c31、c5)、引用発明の上記の演出は、いわゆる昇格演出の一部であると認められる。

c パチンコ機の分野において、表示された大当たりを表す大当たり図柄配列がいったん見えなくなった後、大当たりの種類が昇格することなく再び同じ種類の大当たりを表す大当たり図柄配列が表示されるか、あるいは、大当たりの種類が昇格してより有利な大当たりを表す大当たり図柄配列が表示されるかのいずれかの演出を行う、いわゆる昇格演出は技術常識である。

d ここで、引用発明において、いわゆる昇格演出として、「「8、8、8」図柄」が、「見えない状態とな」った(c4)後、その後、再び見える状態で表示される図柄について、昇格演出に関わる技術常識を考慮すると、大当たりの種類が昇格することなく再び同じ種類の大当たりを表す大当たり図柄配列が表示されるか、あるいは、大当たりの種類が昇格してより有利な大当たりを表す大当たり図柄配列が表示されるかのいずれかの演出を行うこととなるから、後者の、大当たりの種類が昇格してより有利な大当たりを表す大当たり図柄配列が表示される場合があることは明らかである。そして、後者の場合、引用発明において、「再び」「見える状態で表示される」図柄は、「「8、8、8」図柄」とは異なる、大当たりの種類が昇格してより有利な大当たりを表す大当たり図柄配列(本件補正発明の特定事項C6、C61における「大当たりを表す第2の大当たり図柄配列」に相当。)が表示されることとなる。

e したがって、昇格演出に関わる技術常識を考慮すると、引用発明において、昇格演出を行った結果、「「8、8、8」図柄」とは異なる、大当たりの種類が昇格してより有利な大当たりを表す大当たり図柄配列が表示される構成とすることにより、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得ることである。

ウ 請求人の主張について

(ア)請求人は、審判請求書において、

「4 本願発明が特許されるべき理由
(1)理由1(進歩性)について
(1-1)請求項1に係る発明の概要」において分説した「構成[5] 前記第3の表示演出がおこなわれているときに、前記第2の背景画像の表示を維持した状態で前記第1の大当たり図柄配列の表示を消す第4の表示演出がおこなわれる点、」について、
「引用発明では、「内部が黒色の枠」を表示する演出がおこなわれた後、「「8、8、8」図柄」の表示だけを消すことなく、「内部が黒色の枠」の表示と「「8、8、8」図柄」の表示とが維持され、「内部が黒色の枠」の表示と「「8、8、8」図柄」の表示とを共に消す演出がおこなわれます(引用文献1の再生時間5:20)。その後、「内部が黒色の枠」を表示する演出はおこなわれません。つまり、引用発明では、「内部が黒色の枠」を表示する演出がおこなわれているときに、「内部が黒色の枠」の表示を維持した状態で「「8、8、8」図柄」の表示を消す演出がおこなわれません。
一方、本願発明では、第3の表示演出がおこなわれているときに、「第2の背景画像」の表示を維持した状態で「第1の大当たり図柄配列」の表示を消す第4の表示演出がおこなわれます(本願発明の構成[5])。
つまり、引用発明には、本願発明の第4の表示演出(本願発明の構成[5])に対応する演出がありません。
また、引用文献2、引用文献3、引用文献4のいずれにおいても、本願発明の第4の表示演出(第2の背景画像を表示する第3の表示演出がおこなわれているときに、第2の背景画像の表示を維持した状態で第1の大当たり図柄配列の表示を消す表示演出)に対応する演出の記載がありません。」と主張している。

(イ)合議体の判断

請求人が主張する「本願発明の構成[5]」は、本件補正発明として合議体が分説した特定事項C4であって、特定事項C4は、本件補正により、本件補正前の「第3の表示演出」について、新たに限定を加えた事項である。

そして、上記(2)ア(イ)dに摘記した<5分7秒>の時点の画像において、「(a)5分7秒のタイミングで、パチンコ機の表示装置の画面に、引き続き背景となる略方形の枠が表示されるとともに、背景となる略方形の枠の内部で、閃光が拡がった後に「8、8、8」図柄が揺れ動いて、その後さらに閃光が拡がって当該枠の内部を覆い図柄が見えない状態とな」っていることが看取されることに基づき、引用発明のc4において、「c4 表示装置の画面に、引き続き背景となる略方形の枠が表示されるとともに、背景となる略方形の枠の内部で、閃光が拡がった後に「8、8、8」図柄が揺れ動いて、その後さらに閃光が拡がって当該枠の内部を覆い図柄が見えない状態とな」っていることを認定し、上記(3)カで、本件補正発明の特定事項C4と引用発明との対比を行い、引用発明のc4は、本件補正発明の特定事項C4に相当すると判断している。

したがって、本件補正発明の特定事項C4に対応する構成は、引用発明のc4であるので、請求人の主張を採用することはできない。

エ まとめ

したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 補正の却下の決定についてのむすび

上記3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2の1」「(補正前:令和4年9月30日に提出した手続補正書でした手続補正)」に示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであって、合議体が分説をして以下に再掲する。分説で用いた符号は、本件補正発明と同じ発明特定事項であるA、B、C1、C2、C21、C3及びC31には同じ符号を付した。また、それぞれの符号により分説された事項を、以下では「特定A」等という。

本願発明

「【請求項1】
A 複数の表示演出を実行可能な表示手段と、
B 遊技者が操作可能な操作手段と、を備える遊技機であって、
C1 第1の背景画像を前記表示手段に表示する第1の表示演出がおこなわれ、
続きを表示(全12行)
C2 前記第1の表示演出がおこなわれているときに、大当たりを表す第1の大当たり図柄配列を前記表示手段に表示する第2の表示演出がおこなわれ、
C21 前記第2の表示演出における前記第1の大当たり図柄配列は、前記第1の表示演出の前記第1の背景画像の手前に表示され、
C3 前記第1の表示演出がおこなわれているときに、第2の背景画像を前記表示手段に表示する第3の表示演出がおこなわれ、
C31 前記第3の表示演出における前記第2の背景画像は、前記第1の表示演出における前記第1の背景画像の手前に配置され、
CC5 前記第1の表示演出がおこなわれているときに、前記操作手段を表す画像を前記表示手段に表示する第4の表示演出がおこなわれる場合と、前記第4の表示演出がおこなわれない場合とがあり、
CC6 前記第3の表示演出がおこなわれているときに、大当たりを表す第2の大当たり図柄配列を前記表示手段に表示する第5の表示演出がおこなわれ、
CC61 前記第5の表示演出における前記第2の大当たり図柄配列は、前記第3の表示演出の前記第2の背景画像の手前に表示される、
B ことを特徴とする遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含んでいる。

(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献>

1.新台グンダムにさらば諭吉[Zガンダム]このごみ229養分パチ,YouTube[online][video],2018年01月12日,<URL:https://www.youtube.com/watch?v=6Edoud8POH4>,主に5:04~5:37を参照,[2022年7月22日検索]

3 引用文献1に記載の事項

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献等1の記載事項は、上記「第2の3(2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、上記「第2の2(1)」において検討したとおり、本件補正発明において、発明を特定するために必要な事項である「第3の表示演出」について、「前記第3の表示演出がおこなわれているときに、前記第2の背景画像の表示を維持した状態で前記第1の大当たり図柄配列の表示を消す第4の表示演出がおこなわれ、」という限定を省くことに付随して、本件補正発明の「第5の表示演出」を「第4の表示演出」と戻すとともに、本件補正発明の「第6の表示演出」を「第5の表示演出」と戻すものである。

(1)特定事項A、B、C1、C2、C21、C3、C31について

本件補正により補正されていない本願発明の特定事項A、B、C1、C2、C21、C3、C31と引用発明の対比については、引用発明と本件補正発明との対比を行った上記「第2の3(3)ア~オ」において、「本件補正発明」を「本願発明」と読み替えたものとなる。

(2)特定事項CC5、CC6、CC61について

本願発明は、本件補正発明の「第5の表示演出」を「第4の表示演出」と表現を戻すとともに、本件補正発明の「第6の表示演出」を「第5の表示演出」と表現を戻すものであるから、本願発明の特定事項CC5、CC6、CC61と引用発明の対比については、引用発明と本件補正発明との対比を行った上記「第2の3(3)キ~ケ」において、「本件補正発明」を「本願発明」と読み替え、「第5の表示演出」を「第4の表示演出」と読み替えるとともに、「第6の表示演出」を「第5の表示演出」と読み替えたものとなる。

(3)一致点及び相違点

上記(1)、(2)より、本願発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、次の相違点で相違する。

(一致点)

「A 複数の表示演出を実行可能な表示手段と、
B 遊技者が操作可能な操作手段と、を備える遊技機であって、
C1 第1の背景画像を前記表示手段に表示する第1の表示演出がおこなわれ、
C2 前記第1の表示演出がおこなわれているときに、大当たりを表す第1の大当たり図柄配列を前記表示手段に表示する第2の表示演出がおこなわれ、
続きを表示(全11行)
C21 前記第2の表示演出における前記第1の大当たり図柄配列は、前記第1の表示演出の前記第1の背景画像の手前に表示され、
C3 前記第1の表示演出がおこなわれているときに、第2の背景画像を前記表示手段に表示する第3の表示演出がおこなわれ、
C31 前記第3の表示演出における前記第2の背景画像は、前記第1の表示演出における前記第1の背景画像の手前に配置され、
CC5’ 前記第1の表示演出がおこなわれているときに、前記操作手段を表す画像を前記表示手段に表示する第4の表示演出がおこなわれる場合と、前記第4の表示演出がおこなわれない場合とがあり、
CC6’ 前記第3の表示演出がおこなわれているときに、大当たりを表す大当たり図柄配列を前記表示手段に表示する第5の表示演出がおこなわれ、
CC61’ 前記第5の表示演出における大当たり図柄配列は、前記第3の表示演出の前記第2の背景画像の手前に表示される、
B 遊技機。」

(相違点)

・相違点3(特定事項CC5)

第1の表示演出がおこなわれているときに、操作手段を表す画像を表示手段に表示する第4の表示演出について、本願発明は、「操作手段を表す画像を前記表示手段に表示する第4の表示演出がおこなわれる場合」とは別に、「前記第4の表示演出がおこなわれない場合」「があ」るのに対し、引用発明は、「当該背景となる略方形の枠の下方にボタンを模した画像が表示され」る場合はあるものの、ボタンを模した画像が表示されない場合があるかどうか不明である点。

・相違点4(特定事項CC6、CC61)

表示手段に表示する第5の表示演出における大当たりを表す大当たり図柄配列について、本願発明は、「大当たりを表す第2の大当たり図柄配列」であるのに対し、引用発明の「再び」「見える状態で表示される」「「8、8、8」図柄」は、「背景となる略方形の枠」において、「さらに閃光が拡がって当該枠の内部を覆い図柄が見えない状態とな」る前に表示された、本願発明の「大当たりを表す第1の大当たり図柄配列」に相当する「「8、8、8」図柄」と同じ図柄である点。

(4)判断

上記相違点について検討する。

ア 相違点3(特定事項CC5)について

上記「第2の3(4)ア」の、「相違点1(特定事項C5)について」示した判断において、「上記(2)イ(ウ)」を「上記「第2の3」(2)イ(ウ)」と読み替え、「相違点1」を「相違点3」と読み替え、「本件補正発明」を「本願発明」と読み替えたものとなる。

イ 相違点4(特定事項CC6、CC61)について

上記「第2の3(4)イ」の、「相違点2(特定事項C6、C61)について」示した判断において、「C6」を「CC6」と読み替え、「C61」を「CC61」と読み替え、「本件補正発明」を「本願発明」と読み替えるとともに、「相違点2」を「相違点4」と読み替えたものとなる。

ウ まとめ

したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-021307

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