商標拒絶査定不服審判
2022-021102
エムエステイ
- 審判番号
- 2022-021102
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-133683
- 請求日
- 2022年12月26日
- 審決日
- 2024年01月11日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社エイシング
- 【請求人代理人】飯塚 信市
- 【請求人代理人】飯塚 健
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 青野 紀子
- 分類
- T18 .261-Z (W0942) / T18 .262-Z (W0942) / T18 .263-Z (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-133683拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第9類及び第42類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和3年10月27日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年4月26日付けで拒絶理由の通知がされ、同年9月1日付け意見書及び手続補正書が提出されたが、同月27日付けで拒絶査定がされたもので、これに対して、同年12月26日に拒絶査定不服審判の請求がされた。
そして、本願の指定商品及び指定役務については、原審における上記手続補正書により、第9類「電子計算機用プログラム,機械学習用の電子計算機用プログラム,人工知能に関する電子計算機用プログラム,集積回路,機械学習機能を実現するための回路及び/又はプログラムを備えた集積回路,人工知能機能を実現するための回路及び/又はプログラムを備えた集積回路,ICチップ,マイクロコントローラー」及び第42類「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,機械学習用の電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,人工知能に関する電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供,機械学習用の電子計算機用プログラムの提供,人工知能に関する電子計算機用プログラムの提供,アプリケーションサービスプロバイダーによる電子計算機用プログラムの提供,アプリケーションサービスプロバイダーによる機械学習用の電子計算機用プログラムの提供,アプリケーションサービスプロバイダーによる人工知能に関する電子計算機用プログラムの提供,インターネットなどの通信ネットワークを利用した電子計算機用プログラムの提供,インターネットなどの通信ネットワークを利用した機械学習用の電子計算機用プログラムの提供,インターネットなどの通信ネットワークを利用した人工知能に関する電子計算機用プログラムの提供」と補正された。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5811250号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成27年6月2日
設定登録日:平成27年12月4日
指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品,コピー機能・ファクシミリ機能・スキャナー機能付きプリンター並びにその部品及び附属品」を含む第9類、第6類、第7類及び第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)登録第6640167号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:令和2年10月22日(商願2020-130918)
設定登録日:令和4年11月14日
指定商品:第9類「コンピュータ端末機,前払式証票(プリペイドカード)又はクレジットカードの支払代金決済用端末機,電子支払代金決済用端末機,POS端末機,電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),電子計算機用プログラム,コンピュータ用端末装置」を含む第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標と引用商標とは、観念上は比較することができないとしても、本願商標及び引用商標の要部である「MST」の文字部分から生ずる「エムエステイ」の称呼を共通とし、書体の多少の違いはあるものの、「MST」の文字から近似した印象を与えるものであって、また、本願の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似のものであるから、これらを総合的に考察すれば、両者は互いに相紛れるおそれのある類似の商標であるとして、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本願商標と引用商標2との類否について
(ア)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、青色の円形の図形(以下「図形部分」という。)とその右側に太字で顕著に「MST」の欧文字を書してなるところ、図形部分と「MST」の欧文字とは、重なり合うことなく表示され、その色彩及び態様の違いから、両者は視覚上明確に分離して看取される。
そして、図形部分は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものである。
また、本願商標の構成中の「MST」の欧文字は、「Mountain Standard Time」(山岳標準時)の略語として辞書に載録されている(「ジーニアス英和辞典第5版」(株式会社大修館書店))ものの、我が国においてその意味が広く一般に知られている語とは認められず、また、本願の指定商品及び指定役務の分野において、特定の意味合いを有する語として知られているとの事情も見いだせない。
そうすると、本願商標は、図形部分と「MST」の文字部分との間に観念上の結びつきを有するものではなく、他にこれらを常に一体不可分のものとしてのみ看取及び把握しなければならない特段の事情も見いだせないものであるから、両者をそれぞれ分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められない。
してみると、本願商標は、「MST」の文字のみを分離抽出し、この部分のみを引用商標2と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、本願商標は、「MST」の文字に相応して「エムエスティー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標2について
引用商標2は、別掲3のとおり、「MST」の欧文字と「モビリティサービスターミナル」の片仮名とを、上下2段に横書きしてなるところ、上段の「MST」の欧文字と下段の「モビリティサービスターミナル」の片仮名とは、重なり合うことなく離れて配置されており、また、両文字は文字の種類(欧文字か片仮名か)及び大きさを異にするため、これらは、視覚上明確に分離して看取されるものといえる。
そして、引用商標2の構成中「モビリティサービスターミナル」の文字は、「モビリティ」が「可動性。移動性。」の意味を有し、「サービス」が「奉仕。他人のために尽力すること。」の意味を有し、「ターミナル」が「端末装置。」の意味を有するもの(「広辞苑第七版」(株式会社岩波書店))であるから、全体として、「移動式のサービス端末」ほどの意味合いを理解させるところ、引用商標2の指定商品との関係では、自他商品の出所識別標識として機能しないか、機能が弱いものであるといえる。
一方、引用商標2の構成中「MST」の欧文字は、上記(ア)のとおり、特定の意味合いを有する語として知られているものではない上に、「モビリティサービスターミナル」の文字に比べて大きく顕著に表されているものであるから、引用商標2に接する取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。
そうすると、引用商標2は、「MST」の文字のみを分離抽出し、当該文字部分のみを本願商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、引用商標2は、「MST」の欧文字に相応して「エムエスティー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(ウ)本願商標と引用商標2との類否について
本願商標と引用商標2とを比較すると、両者は、全体の外観を異にするとしても、本願商標の構成中の「MST」の欧文字と引用商標2の構成中の「MST」の欧文字とは、つづりを共通にすることからすると、外観上、類似するものである。
次に称呼においては、本願商標の構成中の「MST」の文字から「エムエスティー」の称呼を生じ、引用商標2の構成中の「MST」の文字から「エムエスティー」の称呼を生じるものであるから、両者は、「エムエスティー」の称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、本願商標と引用商標2とは、両者とも特定の観念を生じないものであるから、観念については比較できない。
そうすると、本願商標と引用商標2とは、観念において比較できないとしても、外観において類似し、称呼を共通にするものであるから、これらを総合して考察すれば、本願商標と引用商標2とは、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
イ 本願の指定商品と引用商標2の指定商品との類否について
本願の指定商品及び指定役務中、第9類「電子計算機用プログラム,機械学習用の電子計算機用プログラム,人工知能に関する電子計算機用プログラム,集積回路,機械学習機能を実現するための回路及び/又はプログラムを備えた集積回路,人工知能機能を実現するための回路及び/又はプログラムを備えた集積回路,ICチップ,マイクロコントローラー」は、引用商標2の指定商品中、第9類「コンピュータ端末機,前払式証票(プリペイドカード)又はクレジットカードの支払代金決済用端末機,電子支払代金決済用端末機,POS端末機,電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),電子計算機用プログラム,コンピュータ用端末装置」と同一又は類似する商品である。
ウ 小括
以上によれば、本願商標は、引用商標1との類否を検討するまでもなく、引用商標2と類似する商標であって、かつ、本願商標は、引用商標2の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、引用商標2は、「M」は「モビリティ(Mobility)」の頭文字、「S」は「サービス(Service)」の頭文字、「T」は「ターミナル(Terminal)」の頭文字であり、下段の「モビリティサービスターミナル」は、上段の「MST」の読みを表したものと解することが自然であるから、上下の文字は一体的に看取され、引用商標2からは、全体として「モビリティサービスターミナル」の称呼及び「移動役務用端末又は移動用役務端末」等の観念(意味)が生じる旨主張する。
しかしながら、「MST」の文字が「モビリティサービスターミナル」の頭文字からなる略語として親しまれているという事情は見いだせず、「MST」の文字に接する取引者、需要者が「モビリティサービスターミナル」の略語を表したものと認識するというべき事情も見いだせない。
そうすると、引用商標2は、下段の「モビリティサービスターミナル」の文字が上段の「MST」の読みを表したものということはできず、これを前提とした請求人の主張は採用できない。
イ 請求人は、欧文字3文字からなる文字商標と当該文字列を含む2段併記商標とが併存登録されている旨主張し、本願商標は更にその語頭に図形を備えるものであるから、上記事例よりも更に外観上離れた関係にあるから、本願商標と引用商標2とは類似しない旨主張する。
しかしながら、商標の類否の判断は、対比する商標同士の構成態様と、それらの指定商品及び指定役務との関係から個別かつ具体的に判断をなすべきものであって、本願商標と構成態様が異なる他の商標登録の事例により本件審理の判断が左右されるものではない。
よって、請求人の上記主張は、採用することができない。
ウ 以上のとおり、請求人の上記主張はいずれも採用することができず、その他の請求人の主張も採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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