2022-019464
速沸具(ハヤワイター)
- 審判番号
- 2022-019464
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-075169外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月14日
- 審決日
- 2023年09月04日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】市川 興一
- 分類
- P18 .113-Z (F24C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成31年3月25日の出願であって、その後の手続の概要は以下のとおりである。
令和元年5月22日に手続補正書の提出
令和4年4月5日付けで拒絶理由通知
令和4年10月5日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和4年11月14日に拒絶査定不服審判の請求
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。
「五徳の一部に熱効率を良くする為、空気対流制限部材を設けた、速沸具(ハヤワイター)である。」
第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
理由1(新規性)
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2(進歩性)
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について
(1)本願発明は、引用文献1に記載された発明である。
また、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができた発明である。
(2)本願発明は、引用文献2に記載された発明である。
また、本願発明は、引用文献2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができた発明である。
<引用文献等一覧>
第4 引用文献等
1 引用文献1
(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、次の事項及び図面が記載されている。
なお、下線は当審において付したものである(以下、同様。)。
「この実用新案はガスコンロの熱効率を高めるガスコンロ用火力リングに関するものである。従来、ガスコンロのガスバーナーは、燃焼炎の大気えの熱拡散と風の影響による熱損失を保護する装置が設けられていない。本案はこれらの欠点をのぞくため、考案されたもので、これを図面について説明すれば(イ). 円筒状の火力リング(1)の上側円周面にゴトク(3)と装着する、ノッチ(2)を設け金属、又は陶器製を含む、耐熱材料にてつくる。(ロ). 火力リング(1)をガスコンロのしる受け(6)にのせ、ゴトク(3).と火力リング ノッチ(2).と組合せ装置する。本案は以上の構成であるから、第3図のように、しる受け(6)に火力リング(1)をのせゴトク(3)と組合せ装着し、ゴトク上に調理具(8)をのせ、ガスバーナーヘッド(5)とバーナーキャップ(4)にてなるガスバーナーに点火すれば、火力リングにより燃焼炎(9)の広がりと燃焼炎熱の大気えの拡散、燃焼炎の風の影響を防止し、ガスコンロの使用目的に対する燃焼熱の集中と熱効率を高めることとなる。尚ガス器具の危険防止の上から、火力リングの直径と高さは、バーナーキャップの直径と一定の関係比をもって定められる。」(明細書第1頁第13行~第2頁末行)
「[図:0001403465000001.jpg]」(第1図)
「[図:0001403465000002.jpg]」(第2図)
「[図:0001403465000003.jpg]」(第3図)
(2)上記(1)から認められること
上記(1)の「(イ). 円筒状の火力リング(1)の上側円周面にゴトク(3)と装着する、ノッチ(2)を設け金属、又は陶器製を含む、耐熱材料にてつくる。
(ロ). 火力リング(1)をガスコンロのしる受け(6)にのせ、ゴトク(3).と火力リング ノッチ(2).と組合せ装置する。」との事項、「しる受け(6)に火力リング(1)をのせゴトク(3)と組合せ装着し、ゴトク上に調理具(8)をのせ」との事項及び第1図~第3図の図示内容によれば、引用文献1には、ゴトク(3)の調理具(8)をのせる部分に、円筒状の火力リング(1)を設置したことが記載されていると認められる。
そして、ゴトク(3)の調理具(8)をのせる部分に、円筒状の火力リング(1)を設置したことより、ゴトク(3)に円筒状の火力リング(1)が組み合わされたものとなるから、組合せ装置を構成しているものと認められる。
(3)引用発明1
上記(1)及び(2)から、本願発明に倣って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「ゴトク(3)の調理具(8)をのせる部分に、ガスコンロの熱効率を高めるため、燃焼炎(9)の広がりと燃焼炎熱の大気への拡散、燃焼炎の風の影響を防止する、耐熱材料にてつくられた円筒状の火力リング(1)を設置した、組合せ装置。」
2 参考文献
(1)参考文献1
本願の出願前における技術常識を示すために、新たに引用する「大森敏明 ほか3名,”ガスコンロの燃焼廃気流モデル”,空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集,2013.9.25~27(長野),第4巻,インターネット<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/shasetaikai/2013.4/0/2013.4_13/_pdf>」(以下、「参考文献1」という。)の第15頁左欄下から3行~同頁右欄2行には、次の事項が記載されている。
「コンロ位置に設けた噴出し口から鉛直上向きに流出した110℃の燃焼ガスは、鍋底に衝突して水平方向に向きを変えて半径方向外向きの流れとなる。鍋のコーナー部に至ると鍋の外形状に沿って方向を上向きに変える。」
(2)参考文献2
本願の出願前における技術常識を示すために、新たに引用する「清輔 隼仁 ほか4名,”CFD によるガスコンロ上の熱上昇気流の再現に関する研究”,空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集,2018.9.12~14(名古屋),第4巻,インターネット<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/shasetaikai/2018.4/0/2018.4_49/_pdf/-char/ja>」(以下、「参考文献2」という。)の第51頁左欄第7行~同頁同欄第10行には、次の事項が記載されている。
「また、鍋底とコンロの離隔距離を実態に合わせると、コンロからの気流が鍋底に衝突し、水平方向の拡散が実態に対して過大になるため、大森らに倣い、便宜的に100mmの間隔を設けている。」
第5 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明1とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
(1)後者の「ゴトク(3)」は、前者の「五徳」に相当し、後者の「ゴトク(3)の調理具(8)をのせる部分」は、前者の「五徳の一部」に相当する。
(2)後者の「ガスコンロの熱効率を高めるため」は、前者の「熱効率を良くする為」に相当する。
(3)前者の「空気対流制限部材」について、本願明細書には、次の記載がある。
「【0003】炎と鍋底の関係を最適に保つ為に五徳が必要である。その五徳が最適であったとしても、空気対流が起こる。その空気対流が必要以上、存在しており熱効率を落している。即ち、余分な空気を暖めているのである。【課題を解決しようとする手段】【0004】五徳の一部に不必要な空気対流を制限する部材を設ける。」
本願明細書における上記の記載によれば、請求項1に係る発明の「空気対流制限部材」が「制限」する「空気対流」がどのようなものであるかを具体的に説明する記載はない。
ここで、上記第4の2(1)及び(2)に摘記した、参考文献1に記載された事項及び参考文献2に記載された事項に示されているように、ガスコンロで鍋等の調理具を使用した場合に、ガスコンロから上向きに流出した燃焼ガスの気流が、調理具の底に衝突し、水平方向に向きを変えて半径方向外向きに流れて拡散することは、本願の出願前に技術常識である(以下、「技術常識」という。)。
してみると、前者の「空気対流制限部材」が「制限」する「空気対流」は、ガスレンジ又カセットコンロ等の五徳に鉄瓶等の調理具が載置された場合に、ガスレンジ又カセットコンロ等から上向きに流出し、調理具の底に衝突し、水平方向に向きを変えて半径方向外向きに流れて拡散する燃焼ガスの気流と解することができる。
一方、後者の「燃焼炎(9)の広がりと燃焼炎熱の大気への拡散、燃焼炎の風の影響を防止する、耐熱材料にてつくられた円筒状の火力リング(1)」は、上記技術常識を考慮すると、その構造上、ガスコンロのゴトク(3)に調理具(8)がのせられた場合に、ガスコンロから上向きに流出し、調理具(8)の底に衝突し、水平方向に向きを変えて半径方向外向きに流れて拡散する、燃焼炎を形成する燃焼ガスの気流を制限しようとするものといえるから、前者の「空気対流制限部材」に相当する。
(4)上記(1)~(3)によると、後者の「ゴトク(3)の調理具(8)をのせる部分に、ガスコンロの熱効率を高めるため、燃焼炎(9)の広がりと燃焼炎熱の大気への拡散、燃焼炎の風の影響を防止する、耐熱材料にてつくられた円筒状の火力リング(1)を設置した」ことは、前者の「五徳の一部に熱効率を良くする為、空気対流制限部材を設けた」ことに相当する。
(5)上記(4)によると、後者の「組合せ装置」は、ガスコンロの熱効率を高めることで、従来と同じ火力でより速く調理具内の内容物の温度を上げることが可能となるから、前者の「速沸具(ハヤワイター)」に相当する。
以上のことから、本願発明と引用発明1とは、次の点で一致し、相違点は、認められない。
[一致点]
「五徳の一部に熱効率を良くする為、空気対流制限部材を設けた、速沸具(ハヤワイター)。」
2 判断
上記1のとおり、本願発明と引用発明1との間に相違点は認められないから、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。
したがって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し、特許を受けることができない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し、特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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