特許拒絶査定不服審判
2025-000654
付け替え容器
- 審判番号
- 2025-000654
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-126023
- 請求日
- 2025年01月17日
- 審決日
- 2026年06月18日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社吉野工業所
- 【請求人代理人】及川 周
- 【請求人代理人】仁内 宏紀
- 【請求人代理人】大浪 一徳
- 【請求人代理人】山口 洋
- 審判長/審判官
- 審判長 一ノ瀬 薫
- 審判官 佐藤 秀之
- 審判官 長清 吉範
- 分類
- P18 .113-Z (B65D) / P18 .121-Z (B65D) / P18 .537-Z (B65D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2021-126023「付け替え容器」拒絶査定不服審判事件〔令和5年2月9日出願公開、特開2023-20583〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年7月30日の出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 7月19日付け:拒絶理由の通知
同年 9月18日 :意見書及び手続補正書の提出
同年10月 7日付け:拒絶査定(謄本送達日:同月22日)
令和7年 1月17日 :審判請求書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~4に係る発明は、令和6年9月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
内容物が収容されるとともに、内容物の減少に伴い減容する収容空間を有する容器本体と、
前記容器本体の口部に装着された内部材と、
を備えるとともに、前記容器本体内の内容物を吐出孔から吐出する吐出器が前記口部に取り付けられる付け替え容器であって、
前記内部材は、
前記容器本体内に連通する連通孔と、
前記連通孔を開放可能に閉塞する閉塞部と、
を有し、
前記吐出器は、下方に突出するとともに、前記吐出器が前記口部に取り付けられることで前記閉塞部に当接して前記閉塞部を破断することにより前記連通孔を開放する破断突部を有し、
前記吐出器が前記口部に取り付けられて前記内部材に当接することにより、前記連通孔を通過する前記容器本体内の内容物の前記吐出器の外部への漏出を抑制するシール部が、前記連通孔が開放された後に前記破断突部の外側に設けられる、
付け替え容器。」
第3 原査定における拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない、というものを含む。
引用文献1:特開2018-203373号公報
第4 当審の判断
1 引用文献1の記載事項及び引用発明
(1) 引用文献1の記載事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は当審において付与した。「・・・」は省略を示す。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、付け替え容器に関する。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の吐出容器では、内容物の使用後に、吐出器を他の容器本体に付け替えて再利用することが考えられる。
しかしながら、吐出容器を使用しているときには、吐出器のシリンダが容器本体内に位置していることから、吐出器を付け替えるときに、シリンダの外周面に内容物が付着した状態となる。その結果、付け替え操作の過程で内容物が手に付着するおそれがある。
また、付け替えに際し、新しい容器本体を開封してから、この容器本体の口部に吐出器を取り付けるまでの間、容器本体内の内容物が外気にさらされるおそれがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、吐出器への内容物の付着を抑え、かつ、吐出器を付け替えるときに内容物が外気にさらされるのを抑えることを目的とする。」
「【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
・・・
【0022】
内部材4は、図1に示すように、容器本体2の口部2a内に配設されている。内部材4は、後述する吐出器5のシリンダ72(図2参照)が収容される収容筒部11と、収容筒部11の下端部に連設され、容器本体2内と収容筒部11内とを連通する二段筒状を呈する連通筒部12と、連通筒部12の内側に嵌合されて収容された内嵌筒13と、連通筒部12内に嵌合された吸上筒部14と、を備えている。」
「【0055】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る第3の実施形態の付け替え容器1Eを、図12から図15を参照して説明する。
なお、この第3の実施形態においては、第1の実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0056】
本実施形態に係る付け替え容器1Eでは、図12に示すように、容器本体2が、いわゆる二重容器ではない。容器本体2は、内容器6および外容器7を備えるのに代えて、底部2bと、底部2bから上方に延びる本体筒2iと、を備えている。本体筒2iは、胴部2cおよび口部2aを形成している。口部2aは、本体筒2iの上端部によって形成されている。本体筒2i内には、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容する前述の収容空間10が設けられている。
・・・
【0058】
内嵌筒13は、窪み部22aおよび連通筒部12内に配置されている。内嵌筒13の突出フランジ部16は、窪み部22aの底面上に配置されている。内嵌筒13の筒部本体15の内周面には、前記シール部17が設けられている。シール部17は、内嵌筒13における栓部材31の上方に配置されている。シール部17は、容器軸O方向に間隔をあけて複数(図示の例では2つ)配置されている。」
「【0063】
次に、上述した付け替え容器1Eに取り付けられる吐出器5Eについて説明する。
図13に示すように、吐出器5Eは、前述したポンプ部51、ポンプキャップ51Aおよび取付キャップ52を備えている。」
「【0071】
次に、付け替え容器1Eに吐出器5Eを取り付ける付け替え操作について説明する。
【0072】
まず、付け替え容器1Eのキャップ3を容器本体2の口部2aから離脱させる。
次に、図14に示すように、吐出器5Eをシリンダ72側から収容筒部11内に進入させるとともに、取付キャップ52を容器本体2の口部2aに螺着する。すると、シリンダ72のうち、吸込筒部84が内部材4の内嵌筒13内に嵌合されるとともに、装着部材82が収容筒部11内に収容される。また、取付キャップ52および付け替え容器1Eを容器軸O周りの締め付け方向に相対回転させて取付キャップ52を口部2aに螺着する過程において、吐出器5Eが付け替え容器1Eに対して下方移動する。
【0073】
これにより、図15に示すように、シリンダ72のうち、吸込筒部84の外周面に内部材4のシール部17が当接しながら、吸込筒部84の下端縁が、栓部材31の係合突部33を下方に向けて押し込み、弱化部32を破断させる。すると、収容筒部11の内周面とシリンダ72の外周面との間を通した容器本体2内と外部との連通が、シール部17によって遮断されつつ、内嵌筒13および連通筒部12が開放される。
以上により、吐出器5Eの付け替え容器1Eへの付け替え操作が完了し、吐出容器8が形成される。
【0074】
その後、吐出器5Eを通して内容物を吐出する場合、オーバーキャップ58を操作してキャップ本体57を開放し、パフ58aを取り出す。そして、例えばパフ58a等で押下ヘッド71を押下すると、ステム73およびピストン79が押下ヘッド71とともに下方移動する。すると、ピストン79が摺動筒部83(シリンダ72)の内周面上を下方に向けて摺動することで、摺動筒部83内が加圧される。これにより、摺動筒部83内の内容物がステム73内および吐出孔71aを通過し、吐出弁92の上端部を押し上げて弾性変形させながら外部に吐出される。」
「【0076】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
・・・
【0078】
係合突部33がなくてもよい。
前記実施形態では、弱化部32が、栓部材31と内嵌筒13とを連結し、弱化部32が、本体筒部18と栓部材31とを間接的に連結しているが、本発明はこれに限られない。例えば、弱化部32が、本体筒部18と栓部材31とを直接的に連結し、栓部材31が、本体筒部18と一体に形成されていてもよい。さらに栓部材31が、弱化部32を介して本体筒部18に直接的にまたは間接的に連結されているのに代えて、本体筒部18(連通筒部12)に離脱自在に嵌合されていてもよい。」
「【図12】
[図:0001438852000001.jpg]
【図13】
[図:0001438852000002.jpg]
【図14】
[図:0001438852000003.jpg]
【図15】
[図:0001438852000004.jpg]
」
(2) 引用発明
上記(1)から、引用文献1には、特に第3の実施形態に着目すると、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている(括弧内は特に参照すべき箇所である。)。
「内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容する収容空間10を有する容器本体2と、(【0056】)
前記容器本体2の口部2aに配設された内部材4と、(【0022】、【0056】)
を備えるとともに、前記内容物を吐出する吐出器5Eの取付キャップ52が容器本体2の口部2aに螺着される付け替え容器1Eであって、(【0063】、【0072】、【0074】)
前記内部材4は、
容器本体2内と収容筒部11内とを連通する二段筒状を呈する連通筒部12の内側に嵌合されて収容された内嵌筒13と、(【0022】)
内嵌筒13における栓部材31であって、吐出器5Eのシリンダ72のうちの吸込筒部84の下端縁によって破断させられる弱化部32と連結している栓部材31と、(【0058】、【0072】、【0073】、【0078】)
を有する、
付け替え容器1E。」
2 対比
本願発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
(1) 引用発明の「内容物」、「収容空間10」、「容器本体2」は、本願発明の「内容物」、「収容空間」、「容器本体」に相当するから、引用発明における「内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容する収容空間10を有する容器本体2」は、本願発明における「内容物が収容されるとともに、内容物の減少に伴い減容する収容空間を有する容器本体」に相当する。
また、引用発明の「口部2a」、「内部材4」は、本願発明の「口部」、「内部材」に相当するから、引用発明における「前記容器本体2の口部2aに配設された内部材4」は、本願発明における「前記容器本体の口部に装着された内部材」に相当する。
そして、引用発明の「付け替え容器1E」は、「容器本体2と、」「内部材4と、」を備えるから、本願発明の「容器本体と、」「内部材と、」を備える「付け替え容器」に相当する。
(2) 引用発明の「前記内容物を吐出する吐出器5E」は本願発明の「前記容器本体内の内容物を吐出孔から吐出する吐出器」に相当し、引用発明の「吐出器5Eの取付キャップ52が容器本体2の口部2aに螺着される」事項は、「吐出器5E」の構成要素が「容器本体2の口部2a」に取り付けられることにほかならないから、本願発明の「吐出器が前記口部に取り付けられる」事項に相当する。そうすると、引用発明における「前記内容物を吐出する吐出器5Eの取付キャップ52が容器本体2の口部2aに螺着される付け替え容器1E」は、本願発明における「前記容器本体内の内容物を吐出孔から吐出する吐出器が前記口部に取り付けられる付け替え容器」に相当する。
(3) 引用発明の「内嵌筒13」は、「容器本体2内と」「連通する」「連通筒部12」の内側に嵌合しているから、本願発明の「前記容器本体内に連通する連通孔」に相当する構成を形成していると認められる。そして、引用発明の「栓部材31」は、「内嵌筒13に」位置し、「破断させられる弱化部32と連結している」から、引用発明の「栓部材31」及び「弱化部32」はまとめて、本願発明の「前記連通孔を開放可能に閉塞する閉塞部」に相当する。また、引用発明の「内部材4」が、「内嵌筒13」と「栓部材31」及び「弱化部32」とを有する事項は、本願発明の「前記内部材」が、「連通孔と」「閉塞部と」を有する事項に相当する。
(4) 総合すると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
「内容物が収容されるとともに、内容物の減少に伴い減容する収容空間を有する容器本体と、
前記容器本体の口部に装着された内部材と、
を備えるとともに、前記容器本体内の内容物を吐出孔から吐出する吐出器が前記口部に取り付けられる付け替え容器であって、
前記内部材は、
前記容器本体内に連通する連通孔と、
前記連通孔を開放可能に閉塞する閉塞部と、
を有する、
付け替え容器。」
<相違点>
本願発明は「前記吐出器は、下方に突出するとともに、前記吐出器が前記口部に取り付けられることで前記閉塞部に当接して前記閉塞部を破断することにより前記連通孔を開放する破断突部を有し、
前記吐出器が前記口部に取り付けられて前記内部材に当接することにより、前記連通孔を通過する前記容器本体内の内容物の前記吐出器の外部への漏出を抑制するシール部が、前記連通孔が開放された後に前記破断突部の外側に設けられる」ものであるのに対し、引用発明はそのようなものであるか明らかでない点。
3 判断
(1) 相違点について
以下、上記相違点について検討する。
本願発明は「付け替え容器」を対象とする発明であるところ、「吐出器」は「付け替え容器」とは別の構成であることは文理上明らかである。このことは、本願明細書や先行技術文献である引用文献1において、「付け替え容器」と「吐出器」とが組み合わされることにより「吐出容器」が構成されていることとも整合する。
そして、「付け替え容器」と「吐出器」とが組み合わされて「吐出容器」が構成されるのであるから、「吐出容器」という全体装置に対して組み合わされる「付け替え容器」及び「吐出器」はそれぞれ、サブコンビネーションに当たる。そうすると、本願発明は、サブコンビネーションである「付け替え容器」の発明を、他のコンビネーションである「吐出器」に関する事項を用いて特定しようとするものである。
ここで、相違点に係る本願発明の構成である「前記吐出器は、下方に突出するとともに、前記吐出器が前記口部に取り付けられることで前記閉塞部に当接して前記閉塞部を破断することにより前記連通孔を開放する破断突部を有し、
前記吐出器が前記口部に取り付けられて前記内部材に当接することにより、前記連通孔を通過する前記容器本体内の内容物の前記吐出器の外部への漏出を抑制するシール部が、前記連通孔が開放された後に前記破断突部の外側に設けられる」という事項(以下「本願発明の他のサブコンビネーション特定事項」という。)は、「付け替え容器」の「内部材」が「吐出器」と当接することにより形成される「シール部」の位置と、「吐出器」の「破断突部」との相対的な位置関係を特定するものであるが、当該事項は、本願発明である「付け替え容器」そのものについて具体的な構造や機能を特定するものではない。
そして、引用発明の付け替え容器1Eに組み合わせる吐出器として、例えば、本願明細書で開示されているような吸込筒部の外周にシール筒が形成されているような吐出器を用いる場合を考えてみると、そのような吐出器であれば、引用発明の内部材4の弱化部32を破断した後に、当該吐出器の吸込筒部の外側にあるシール筒が、引用発明における内嵌筒13の内周面に当接することで、容器本体2内と外部との連通は遮断されることになる。すなわち、引用発明の付け替え容器1Eも、上記相違点の本願発明に係る構成のうち、少なくとも付け替え容器についての構造は備えているといえる。
そうすると、引用発明の付け替え容器1Eも、本願発明の他のサブコンビネーション特定事項を充足できる構造を有しているといえるから、上記相違点は実質的な相違点ではない。
(2) 請求人の主張について
請求人は、審判請求書の【請求の理由】3.において、引用文献1には、本願発明の他のサブコンビネーション特定事項が記載されていない旨、主張する。しかしながら、本願発明が「付け替え容器」の発明である以上、上記(1)のとおり、当該事項は相違点にはならない。
また、請求人は、本願発明の「シール部が、前記連通孔が開放された後に前記破断突部の外側に設けられる」という技術思想は存在せず、本願発明はこの構成を採用したことで本願明細書の【0043】~【0044】に記載の効果を奏する旨主張する。しかしながら、上記(1)のとおり、「付け替え容器」としては本願発明と引用発明で違いが生じない。また、本願明細書【0043】~【0044】の効果は、【0014】~【0042】で説明されている吸込筒部の外周にシール筒が形成されている吐出器を用いた実施形態についての効果であるから、当該主張は、「付け替え容器」の発明である本願発明に基づくものではない。
してみれば、請求人の主張はいずれも採用できない。
4 小括
したがって、本願発明と引用発明は同一であるから、本願発明は引用文献1に記載された発明である。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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