2022-018717
流れ制限の検出のための自動制御
- 審判番号
- 2022-018717
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-207805外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月21日
- 審決日
- 2025年07月09日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
- 【請求人代理人】奥山 尚一
- 【請求人代理人】中村 綾子
- 【請求人代理人】森本 聡二
- 【請求人代理人】田中 祐
- 分類
- P18 .121-WZ (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本願は、2008年(平成20年)5月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2007年5月11日 (AU)オーストラリア、2007年8月17日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2010-506776号の一部を、平成25年12月9日に新たな特許出願とした特願2013-253936号の一部を、平成27年9月3日に新たな特許出願とした特願2015-173467号の一部を、平成29年9月29日に新たな特許出願とした特願2017-190847号の一部を、令和元年11月18日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし40に係る発明は、令和6年11月1日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし40に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】コントローラを備えた、睡眠からの覚醒を検出する装置であって、前記コントローラは、センサからの信号を受信して呼吸流れの指標を生成し、前記呼吸流れの指標に基づいて覚醒を示す指標を計算し、ここで、該覚醒を示す指標は、換気の増加を表す換気率であり、該換気率は、現在の息に関する換気の、直前の期間に基づく換気に対する比率である値を含むものであり、該直前の期間に基づく換気は、時定数を有するフィルタによって生成された換気の指標であり、計算した覚醒を示す前記指標に基づく覚醒事象の発生を示すものである、装置。」
第3 当審において通知した拒絶理由の概要
当審において令和6年4月30日付けで通知した拒絶理由は以下の理由を含むものである。
(進歩性)本願発明は、その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 引用文献の記載、引用発明
1 引用文献1の記載
(1)上記引用文献1には、以下の事項が記載されている。(和訳、下線は、当審が付した。)
(ア)「Apparatus suitable for performing the invention is shown in Fig. 1. An impeller 1 is coupled to an electric motor 2 which is connected to a servo 3 and directed by a controller 4. The controller 4 includes a microprocessor, data storage, and memory programmed with algorithms in accordance with the invention. Thus, the controller or processor is configured and adapted to implement the methodology described in more detail herein and may include integrated chips, a memory and/or other instruction or data storage medium. Programmed instructions either may be coded on integrated chips in the memory of the device or may be loaded as software.The impeller, motor and controller assembly form the blower. ・・・ A number of sensors are provided within the blower to monitor, among other things,flow 10,pressure 11,snore 12,motor speed 13 and motor current 14. Various devices are known in the art that can serve as these types of sensors.(本発明を実行するのに適した装置が図1に示されている。インペラ1が電動機2に結合されており、電動機2は、サーボ3に接続されるとともに、コントローラ4によって管理される。コントローラ4は、マイクロプロセッサと、データ記憶装置と、本発明に係るアルゴリズムがプログラムされたメモリとを有している。したがって、コントローラまたはプロセッサは、ここで詳細に説明する方法論を実施するように構成されて適合されており、集積チップ、メモリおよび/または他の命令またはデータ記憶媒体を含んでいてもよい。プログラム命令は、デバイスのメモリ内の集積チップでコード化されても良く、あるいは、ソフトウェアとしてロードされてもよい。・・・インペラ、モータ、コントローラアセンブリはブロワを形成している。・・・特に流量10、圧力11、いびき12、モータ速度13、モータ電流14を監視するため、ブロワ内には多数のセンサが設けられている。これらのタイプのセンサとして役立ち得る様々なデバイスは技術的に周知である。)」(明細書第6ページ第2-15行)
(イ)「II. Index of Respiratory Effort Related Arousal or Sleep ArousalTo monitor the effectiveness of the device in treating sleep disordered breathing, an index of sleep arousal or a respiratory effort related arousal is calculated. (As used in the claims at the end of this description, the term arousal index refers to a measure that is a function of the frequency of arousals, be they due to sleep arousals or respiratory effort related arousals.) In one form, the index is calculated from the size of a patient's breath. The size of a patient's breath can be determined by monitoring the flow rate of air with time and integrating to calculate volumes. If a patient exhibits a run or sequence of breaths of a first size followed by a larger breath, this is an indication that he is being aroused from sleep because of inadequate treatment and that more aggressive therapy may be required. For example, a run or sequence of 8 small breaths followed by a large breath can be an indicator that the patient is being aroused from sleep. In one form, a breath would be considered "large" if it was more than twice as large as previous breaths or small breaths. Breaths would be considered "small" if they were less than the average minute ventilation.(II. 呼吸努力関連覚醒すなわち睡眠覚醒の指数睡眠呼吸障害を治療する際のデバイスの効果を監視するため、睡眠覚醒すなわち呼吸努力関連覚醒の指数が計算される。(明細書末にある特許請求の範囲で使用されている覚醒指数という用語は、睡眠覚醒すなわち呼吸努力関連覚醒に起因する覚醒の頻度に応じた指標のことである。)1つの形態において、指数は、患者の呼吸のサイズから計算される。患者の呼吸のサイズは、空気の流量を経時的に監視するとともに、積分して体積を計算することにより決定することができる。患者が第1のサイズの一続きの或いは一連の複数の呼吸を行なった後に大きい呼吸を行なう場合、これは、不十分な治療によりこの患者が睡眠から目覚める兆候であり、また、更に積極的な治療が必要とされる可能性があるという表示である。例えば、一続きの或いは一連の8個の小さい呼吸に続いて大きい呼吸が起こる場合、これは、患者が睡眠から目覚めることの指標となり得る。1つの形態においては、1つの呼吸が前の複数の呼吸すなわち小さい呼吸の2倍を上回れば、「大きい」と見なされる。呼吸が平均換気量よりも少ない場合、これらの呼吸は「小さい」と見なされる。)」(明細書第10ページ第18-32行)
(ウ)「The "large" breath may be considered "large" if it is absolutely a large breath of a predetermined quantity or more simply if it is relatively larger than other breaths of the patient such as one or more of those immediately preceding the large breath, which may be determined from volume.(「大きい」呼吸は、それが所定の量を有する絶対的に大きい呼吸である場合に「大きい」と見なされても良く、あるいは、更に単純に、それが患者の他の呼吸、例えば大きい呼吸の直前の1または複数の呼吸よりも比較的大きい場合に「大きい」と見なされてもよい、ここでこれは体積から決定されてもよい。)」(明細書第11ページ第10-14行)
(エ)「In one embodiment of the invention, the detection of a respiratory effort related arousal may be estimated by examining respiratory irregularities with a short term moving average measure of ventilation from data or a signal from the flow sensor. Peaks or other significant or relative increases in the measure are indicative of arousal events. The short term moving average can be determined by integrating a low pass filtered respiratory airflow signal with a time constant chosen for this purpose.(本発明の一実施形態において、呼吸努力関連覚醒の検出は、流量センサからのデータまたは信号から換気の短期移動平均指標を用いて不規則な呼吸を検査することにより評価されてもよい。指標のピークまたは他の著しい或いは相対的な増大は覚醒事象を示している。短期移動平均は、ローパスフィルタ処理された呼吸気流量信号を、この目的のために選択された時定数をもって積分することにより決定することができる。)」。(明細書第11ページ第18-23行)
(オ)「Optionally, the apparatus may be configured to increase the treatment pressure in response to the detection of an event of sleep arousal or respiratory effort related arousal in accordance with one of the previously described arousal indices.(随意的に、装置は、前述した覚醒指数のうちの1つにしたがった睡眠覚醒または呼吸努力関連覚醒の事象の検出に応じて治療圧力を増大するように構成されていてもよい。)」(明細書第12ページ第19-21行)
(カ)「13. An apparatus for treating sleep disordered breathing comprising:a controller for (a) determining a patient's arousal index for use in an outer loop of a control algorithm, the arousal index being a measure of the frequency of sleep arousals, and (b) monitoring the patient's respiratory airflow signal in an inner loop of said control algorithm to detect an airway obstruction, and ・・・.(請求項13 睡眠呼吸障害を治療するための装置であって、(a)制御アルゴリズムの外側ループにおいて使用する、睡眠覚醒の頻度の指数である、患者の覚醒指数を決定し、(b)気道閉塞を検出するために、前記制御アルゴリズムの内側ループにおいて患者の呼吸気流量信号を監視する、コントローラと、・・・を備える装置。)14. An apparatus for treating sleep disordered breathing in accordance with claim 13 wherein said controller calculates said arousal index from the size of the patient's breath.(請求項14 前記コントローラが、患者の呼吸のサイズから前記覚醒指数を計算する、請求項13に記載の睡眠呼吸障害を治療するための装置。)15. An apparatus for treating sleep disordered breathing in accordance with claim 14 wherein said controller determines the arousal index to be high by monitoring the flow rate over a sequence of breaths and checking whether the sequence is followed by a large breath.(請求項15 前記コントローラが、一連の呼吸にわたって流量を監視するとともに、これらの一連の複数の呼吸の後に大きな呼吸が続くかどうかをチェックすることにより、前記覚醒指数を高いと決定する、請求項14に記載の睡眠呼吸障害を治療するための装置。)16. An apparatus for treating sleep disordered breathing in accordance with claim 15 wherein said controller considers a patient's breath to be large if it is twice as large as previous breaths.(請求項16 前記コントローラが、患者の1つの呼吸が前の複数の呼吸の2倍の大きさである場合に、大きいと見なす請求項15に記載の睡眠呼吸障害を治療するための装置。)」(請求項13-16)
上記(ア)-(カ)より、以下の事項が把握できる。
(キ)上記(ア)、(イ)及び(エ)より、コントローラ4を備えた、呼吸努力関連覚醒の検出を行う装置である。
(ク)上記(ア)、(イ)、(エ)、及び(カ)の記載からみて、コントローラ4は、
流量10を監視する流量センサからのデータから患者の呼吸のサイズを計算により決定し、
患者の呼吸のサイズから、呼吸努力関連覚醒の指数を計算するものであって、
一連の複数の、例えば8個の、小さい呼吸に続いて大きい呼吸が起こる場合、患者が睡眠から目覚めることの指標となり得、これをチェックすることで、呼吸努力関連覚醒の指数を高いと決定するものであり、
ここで、患者の1つの呼吸が、前の複数の呼吸すなわち小さい呼吸の2倍を上回れば、「大きい」と見なす。
2 引用発明
上記記載を総合すると、引用文献には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
[引用発明]
「コントローラ4を備えた、呼吸努力関連覚醒の検出を行う装置であって、前記コントローラは、流量10を監視する流量センサからのデータから患者の呼吸のサイズを計算により決定し、患者の呼吸のサイズから、呼吸努力関連覚醒の指数を計算するものであって、一連の複数の小さい呼吸に続いて大きい呼吸が起こる場合、患者が睡眠から目覚めることの指標となり得、これをチェックすることで、呼吸努力関連覚醒の指数を高いと決定するものでありここで、患者の1つの呼吸が、前の複数の呼吸すなわち小さい呼吸の2倍を上回れば、「大きい」と見なす、装置。」
第5 対比
1 本願発明と引用発明の対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「コントローラ4」は、本願発明の「コントローラ」に相当し、引用発明の「呼吸努力関連覚醒の検出を行う装置」は、本願発明の「睡眠からの覚醒を検出する装置」に相当する。
(2)引用発明の「流量10を監視する流量センサ」は、本願発明の「センサ」に相当し、引用発明の「患者の呼吸のサイズ」は、本願発明の「呼吸流れの指標」に相当するから、引用発明の「流量10を監視する流量センサからのデータから患者の呼吸のサイズを計算により決定」することは、本願発明の「センサからの信号を受信して呼吸流れの指標を生成」することに相当する。
(3)引用発明の「患者の呼吸のサイズから、呼吸努力関連覚醒の指数を計算する」ことは、その機能から、本願発明の「前記呼吸流れの指標に基づいて覚醒を示す指標を計算」することに相当する。
(4)引用発明の「呼吸」は、本願発明の「換気」に相当する。
引用発明の「一連の複数の小さい呼吸に続いて1つの大きい呼吸が起こる場合、患者が睡眠から目覚めることの指標となり得、これをチェックすることで、呼吸努力関連覚醒の指数を高いと決定するものであり、ここで、患者の1つの呼吸が、前の複数の呼吸すなわち小さい呼吸の2倍を上回れば、「大きい」と見なす」ことは、呼吸努力関連覚醒の指数が、前の複数の呼吸すなわち小さい呼吸に対する大きい呼吸の比率であるから、当該比率は現在の呼吸の、直前の複数の呼吸に対する比率と表現でき、当該比率、すなわち呼吸努力関連覚醒の指数が高いことが呼吸努力関連覚醒を示すことであるから、引用発明の「一連の複数の小さい呼吸に続いて1つの大きい呼吸が起こる場合、患者が睡眠から目覚めることの指標となり得るので、これをチェックすることで、呼吸努力関連覚醒の指数を高いと決定するものであり、
ここで、患者の1つの呼吸が、前の複数の呼吸すなわち小さい呼吸の2倍を上回れば、「大きい」と見なす」ことと、
本願発明の「該覚醒を示す指標は、換気の増加を表す換気率であり、該換気率は、現在の息に関する換気の、直前の期間に基づく換気に対する比率である値を含むものであり、該直前の期間に基づく換気は、時定数を有するフィルタによって生成された換気の指標であり、
計算した覚醒を示す前記指標に基づく覚醒事象の発生を示すものである」こととは、
該覚醒を示す指標は、換気の増加を表す換気率であり、該換気率は、現在の息に関する換気の、直前の期間に基づく換気に対する比率である値を含むものであり、
計算した覚醒を示す前記指標に基づく覚醒事象の発生を示すものであることの限りで一致する。
(5)引用発明の「患者の呼吸のサイズから、呼吸努力関連覚醒の指数を計算するものであって、一連の複数の小さい呼吸に続いて1つの大きい呼吸が起こる場合、患者が睡眠から目覚めることの指標となり得、これをチェックすることで、呼吸努力関連覚醒の指数を高いと決定するものであ」ることは、本願発明の「計算した覚醒を示す前記指標に基づく覚醒事象の発生を示すものである」ことに相当する。
2 一致点及び相違点
本願発明と引用発明は、下記の一致点で一致し、下記の相違点で相違する。
(1) 一致点
「コントローラを備えた、睡眠からの覚醒を検出する装置であって、前記コントローラは、センサからの信号を受信して呼吸流れの指標を生成し、前記呼吸流れの指標に基づいて覚醒を示す指標を計算し、ここで、該覚醒を示す指標は、換気の増加を表す換気率であり、該換気率は、現在の息に関する換気の、直前の期間に基づく換気に対する比率である値を含むものであり、計算した覚醒を示す前記指標に基づく覚醒事象の発生を示すものである、装置。」
(2)相違点
<相違点>
本願発明は、「該直前の期間に基づく換気は、時定数を有するフィルタによって生成された換気の指標であ」るのに対して、引用発明は、一連の複数の小さい呼吸を具体的にどのように取得するのかが明確でない点。
第6 判断
1 相違点について
上記相違点について検討する。
引用文献1の明細書第11ページ第18-23行(上記第4の1(1)(エ))には、一連の複数の小さい呼吸をローパスフィルタ処理された呼吸気流量信号を時定数をもって積分することにより決定される短期移動平均を用いて検査することが記載されており、引用発明において当該記載に従って、一連の複数の小さい呼吸を、時定数を有するローパスフィルタで生成することで、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
2 効果について
本願発明を全体として検討しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献1に記載された事項から当業者が予測できる範囲内のものにすぎず、格別顕著ということはできない。
3 小括
したがって、本願発明は、引用発明と、引用文献1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおりであるから、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2022-018717