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特許拒絶査定不服審判

2022-018174

遊技機

審判番号
2022-018174
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-186043外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年11月11日
審決日
2023年08月21日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-186043「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 4月18日出願公開、特開2019- 58410〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 20項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成29年9月27日の特許出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。

令和 2年 9月25日 :手続補正書、上申書の提出
令和 3年 8月26日付け:拒絶理由通知書

同年 9月27日 :意見書の提出

令和 4年 2月25日付け:拒絶理由通知書

同年 4月18日 :意見書の提出

同年 8月 8日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

同月23日 :原査定の謄本の送達
同年11月11日 :審判請求書の提出

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明は、令和2年9月25日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである(なお、記号A等は、分説するため合議体が付した。記号A等が付された事項を以下「構成A」等という。)。

「A 第一遊技領域および第二遊技領域を含む遊技領域が構築された遊技盤と、
B 遊技者に対して前記第一遊技領域に遊技球が進入するような遊技を促す状態であって第一抽選を経て大当たり当選を目指す状態である第一遊技状態、および当該第一遊技状態よりも遊技者に有利な遊技状態であり遊技者に対して前記第二遊技領域に遊技球が進入するような遊技を促す状態であって第二抽選を経て大当たり当選を目指す状態である第二遊技状態を含む遊技状態を制御する遊技状態制御手段と、
C 遊技者に対し、遊技状態に応じた遊技を行うよう報知する遊技態様報知手段と、
D 前記第二抽選に用いられる第二当否判定情報を、所定数を限度として記憶する記憶手段と、
を備え、
E 前記遊技状態制御手段によって遊技状態が前記第二遊技状態から前記第一遊技状態に変化したとき、当該変化が発生した後、前記記憶手段に記憶された全ての前記第二当否判定情報に基づく前記第二抽選の結果が報知されるのに要する時間以上である一定時間が経過するまでは、どのような状況にあっても前記遊技態様報知手段による報知が行われないように設定されている
F ことを特徴とする遊技機。」

第3 原査定の拒絶の理由の概要

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

・請求項1

・引用文献等1、2

<引用文献等一覧>

1.特開2017-113477号公報

2.特開2011-45422号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献1

原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-113477号公報(平成29年6月29日公開)(以下「引用文献1」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。

(1)「【実施例1】
【0022】
図1乃至図3に示すように、実施例1のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えており、遊技盤2は遊技機枠50から着脱自在に構成されている。図3は、遊技盤2を遊技機枠50から取り外した状態のものを示す。遊技機枠50は、装飾面を有する前面枠51と、遊技盤2等を取り付ける本体枠52と、パチンコ遊技機1をホールの島設備に取り付けるための外枠53と、を有して構成されており、前面枠51、本体枠52及び外枠53は、一側端側で軸支され夫々開閉可能に構成されている。
・・・
【0025】
遊技盤2には、発射ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、装飾用の盤面ランプ5が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技釘16が突設されている。また、レール部材4の先端には球戻り防止片6が設けられており、一旦遊技領域へ誘導された遊技球が発射装置側へ戻るのを防止することができる。」
(2)「【0043】
このように各種入球口等が配されている遊技領域3を、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bと、に分けることができる。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちといい、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本パチンコ遊技機1では、遊技開始の際は左打ちにて第1始動口20への入球を狙う。一方、第1始動口20への入球に基づく当否判定において当りとなり遊技状態が変化した際には、右打ちにてゲート28、第2始動口21、第1大入賞口30、及び第2大入賞口35への入球を狙うこととなる。そして、第1始動口、第2始動口、第1大入賞口、第2大入賞口、及び一般入球口に遊技球が入球した場合には、夫々の入球口において予め定められた数の遊技球(「賞球」ともいう)が払い出される。
・・・
【0053】
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20又は第2始動口21への遊技球の入球があると、その入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう)を取得し、取得した各種情報は、主制御部のRAMに形成される特図保留記憶部(図示せず)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入球であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部(図示せず)に記憶され、第2始動口21への入球であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部(図示せず)に記憶される。各々の特図保留記憶部に記憶可能な特図保留の数には上限が設定されており、本実施例1における上限値は、第1特図保留記憶部が「4」、第2特図保留記憶部が「1」となっている。これら第1特図保留記憶部及び第2特図保留記憶部を、夫々「第1取得情報記憶手段」及び「第2取得情報記憶手段」ともいい、総じて「取得情報記憶手段」ともいう。尚、各々の特図保留記憶部に記憶可能な特図保留の数(上限値)は、遊技機設計の段階で遊技性や仕様等を考慮して任意に設定可能で、第1特図保留記憶部と第2特図保留記憶部とで上限値を同じとしたり、第1特図保留記憶部の上限値を第2特図保留記憶部の上限値よりも多くしたり、第2特図保留記憶部の上限値を第1特図保留記憶部の上限値よりも多くしたりすることが可能である。
【0054】
特図保留記憶部に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の変動表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する特別図柄当否判定用乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の変動表示を実行することをいう。従って、本パチンコ遊技機1では、第1始動口20又は第2始動口21への遊技球の入球に基づく特別図柄の変動表示がその入球時にすぐに実行できない場合、すなわち特別図柄の変動表示の実行中や特別遊技の実行中である場合であっても、所定個数を上限として、その入球に対する特別図柄当否判定の権利を留保することが可能となっている。」
(3)「【0060】
次に図2及び図5に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。本実施例1のパチンコ遊技機1は、特別図柄当否判定や普通図柄当否判定や遊技状態の移行など、遊技進行や遊技利益に関する制御を行う主制御基板80(「主制御部」ともいい、「遊技制御部」ともいう)、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板90(「サブ制御部」ともいい、「演出制御部」ともいう)、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110(「払出制御部」ともいう)、画像表示装置7に表示される演出図柄8、演出表示器102に表示される図柄、演出第1特図保留表示器103a、及び演出第2特図保留表示器103b等の表示制御を行う画像制御基板100(画像制御部)等を備えている。」
(4)「【0087】
ここで、本実施例1のパチンコ機1の遊技仕様について簡単に説明しておく。本実施例1のパチンコ機1では、通常状態(非時短状態)にて遊技球が第2始動口21に入球する頻度は時短状態よりも低くなっていることから、通常状態(非時短状態)にて遊技を進める場合、左打ち(遊技領域の左側領域に遊技球を発射)にて第1始動口20への入球を狙うこととなる。つまり、特図1の当否判定を主体的に行いつつ遊技を進行させることとなる。そして、特図1の当否判定の結果が大当りとなり、その大当りが「特図1大当りA(4R時短大当り)」となれば、当該大当りに係る大当り遊技の終了後の遊技状態が時短状態となる。時短状態では、遊技球が第2始動口21に入球する頻度が通常状態よりも高くなる(且つ第2始動口への入球頻度が第1始動口への入球頻度よりも高くなる)ことから、時短状態にて遊技を進める場合、右打ち(遊技領域の右側領域に遊技球を発射)にて第2始動口21への入球を狙うこととなる。つまり、特図2の当否判定を主体的に行いつつ遊技を進行させることとなる。そして、特図2の当りには、特図1の当りでは発生し得ない「15R時短大当り」や「15R時短大当りを発生可能な小当り」が存在し、また、特図1の小当り(特図1小当りA,B)に係る小当り遊技でのV通過により発生する大当り(以下「V大当り」ともいう)は「4R非時短大当り」しか存在せず特図1のV大当りを経て時短状態が発生することはない。このことから、本実施例1のパチンコ機1では、第2始動口21に遊技球が入球して行われる特図2の当否判定において当りとなる方が遊技者にとって有利となる可能性が高い(時短状態の発生可能性が高い)といえる。よって、第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能の作動中(時短状態)においては、開放延長機能が作動しない通常状態(非時短状態)に比べ遊技を有利に進めることが可能となるので、遊技者は時短状態(右打ち)での遊技を期待することとなる。」
(5)「【0097】
普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放延長機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、第2始動口21が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球の入球頻度が高くなる(「高頻度状態」ともいう)。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当りを狙うことができる。
【0098】
高ベース状態(高頻度状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能及び開放回数増加機能のうち少なくとも一つの機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも第2始動口が開放され易く(入球頻度が高く)なっていればよい。また、高ベース状態は、特別図柄の時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。この様な高ベース状態を発生する機能を「高ベース発生機能」ということもできる。
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【0099】
本実施例1のパチンコ遊技機1では、「特図1大当りA、D」又は「特図2大当りA、B、D」となった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は時短状態且つ高ベース状態となる(図6参照)。この遊技状態を「時短高ベース状態」ともいう。時短高ベース状態は、所定回数(例えば100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、大当りに当選してその大当り遊技が実行されるか、小当りに当選してその小当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過してV大当りとなりその大当り遊技が実行されることにより終了する。また、「特図1大当りB、C」又は「特図2大当りC」となった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は非時短状態且つ低ベース状態となる(図6参照)。この遊技状態を「非時短低ベース状態」ともいう。尚、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の(初期状態の)遊技状態は非時短低ベース状態(通常状態)である。
【0100】
さらに、「特図2小当りA、B、D」となって小当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過してV大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は時短高ベース状態となり(図6参照)、「特図1小当りA、B」又は「特図2小当りC」となってその小当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過してV大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は非時短低ベース状態となる(図6参照)。尚、小当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過しなかった場合(V大当りとならなかった場合)、小当り遊技終了後の遊技状態は原則、小当り遊技開始前と同じ状態となる。但し、時短高ベース状態にて当該時短高ベース状態が終了することとなる最終回(本実施例では100回目)の特別図柄の変動表示で小当り図柄が停止表示され、これに係る小当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過しなかった場合(V大当りとならなかった場合)には、小当り遊技終了後の遊技状態は非時短低ベース状態となる。
【0101】
高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域(右側領域)3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。第2始動口は、右遊技領域に発射した遊技球が入球可能であって、左遊技領域に発射した遊技球が入球不能な位置に配置されている。尚、ゲート28も右遊技領域に発射した遊技球が入球可能な位置に配置されている。そして、高ベース状態では、低ベース状態と比べて第2始動口21が開放されやすくなっており、左遊技領域に遊技球を発射して第1始動口20を狙うよりも、右遊技領域に遊技球を発射して第2始動口21へ狙って発射する方が始動口への入球可能性が高くされている。そのため、普通図柄当否判定の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入球させるべく右打ちを行う。これにより高ベース状態では、左打ちをするよりも右打ちをする方が、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができ、遊技者に有利である。この状態(高ベース状態)のとき、主制御部80によって表示制御される発射方向表示器47(「第1発射報知手段」ともいう)が所定の態様で点灯制御され、右遊技領域へ発射すべきことを報知するものとされる。また、本実施例では、大当り遊技や小当り遊技においても、右打ちにより遊技を行うため、発射方向表示器47は、右遊技領域へ発射すべきことを報知するものとされる。
【0102】
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域(左側領域)3Aへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。第1始動口は、左遊技領域に発射した遊技球が入球可能な位置に配置されている。また、第1始動口へは右遊技領域に発射した遊技球が入球不能に配置しても良いし、入球可能に配置しても良い。入球可能に配置する場合には、左遊技領域に遊技球を発射した方が、右遊技領域に遊技球を発射するよりも、第1始動口への遊技球の入球可能性を高くするものとする。また、低ベース状態では、高ベース状態と比べて第2始動口21が開放されにくくなっているため、右遊技領域に発射して第2始動口21への入球を狙うよりも、左遊技領域に発射して第1始動口20への入球を狙って発射する方が、始動口への入球可能性が高くされている。これにより、低ベース状態では、第1始動口20へ遊技球を入球させるべく左打ちを行う方が、右打ちするよりも、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができ、遊技者に有利である。この状態(低ベース状態)のとき、主制御部80によって表示制御される発射方向表示器47が高ベース状態のときとは異なる所定の態様で点灯制御(表示制御)され、左遊技領域へ発射すべきことを報知するものとされる。」
(6)「【0231】
[大当り遊技終了後発射報知処理]
次に、図49を用いて、大当り遊技終了後発射報知処理(S4302)について説明する。大当り遊技終了後発射報知処理は、大当り遊技終了後の発射報知演出(発射方向報知)を制御するための処理である。大当り遊技終了後発射報知処理(S4302)ではまず、第2発射報知フラグがONかどうかを判定する(S5001)。第2発射報知フラグは、当り遊技の終了に際してONにされる(設定される)フラグであり、当り遊技終了後の遊技状態が、予め定めた特別状態である期間はONにされており、特別状態でなくなると、OFFにされる。S5001で、第2発射報知フラグがONでないと判定した場合(S5001でNO)、処理を終える。すなわち、本処理は、第2発射報知フラグがONの場合に行う処理といえる。
【0232】
続きを表示(全21行)
S5001で、第2発射報知フラグがONであると判定した場合(S5001でYES)、次いで高ベース状態であるか否か、すなわち、当り遊技終了後の遊技状態が高ベース状態に設定されているかどうかを判定する(S5002)。S5002で、遊技状態が高ベース状態であると判定した場合(S5002でYES)、前述した様に高ベース状態では右打ちにより遊技を行うので、左打ち報知禁止フラグをONにし(S5003)、S5004の処理に移行する。これにより、高ベース状態において、右打ち遊技が検知されても、左打ち報知演出は実行不能とされる。S5004では、第2右打ち報知演出の実行中かどうかを判定し(S5004)、既に第2右打ち報知演出の実行中であると判定した場合(S5004でYES)、処理を終える。また、第2右打ち報知演出の実行中でないと判定した場合(S5004でNO)、第2右打ち報知演出実行コマンドをセットし(S5005)、処理を終える。つまり、高ベース状態の開始に伴って、左打ち報知演出が実行不能に設定されると共に、所定の右打ち報知演出を実行するものとされる。
【0233】
また、S5005でセットされた第2右打ち報知演出実行コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPUは、図50に示す所定の演出画像を画像制御基板100のROMから読み出して、画像表示装置7の表示画面7a上で発射報知演出(発射方向報知演出)を行う。具体的に、「第2右打ち報知演出(第2発射報知演出)」では、「右側領域の電チューを狙って発射してください」との文字表示等を所定期間表示画面7a上に表示する。「電チュー」とは第2始動口21を指している。また、第2右打ち報知演出は、遊技状態が高ベース状態に設定されることに伴って実行される報知演出であり、高ベース状態の実行中ずっと表示してもよいし、所定条件の成立により、終了してもよい。例えば、ゲート28で遊技球が検知されること等により、実際に右打ちが検知された場合に当該報知演出を終了してもよい。また、高ベース状態において、所定時間経過することや、特別図柄(第2特別図柄)が所定回数変動表示すること等を条件として、報知演出を終了してもよい。また、高ベース状態の開始後、所定期間経過(所定条件成立)に伴って、報知演出の演出態様を変えてもよい。例えば、高ベース状態の開始当初は報知演出を大きく表示し、その後小さく表示してもよい。
【0234】
一方、S5002で、遊技状態が高ベース状態でないと判定した場合(S5002でNO)、次いで第2右打ち報知演出の実行中かどうかを判定する(S5006)。S5002で、遊技状態が高ベース状態でない、すなわち低ベース状態であると判定する場合として、例えば、大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定される非時短大当りの発生を挙げることができる。また、大当り遊技終了後の遊技状態が高ベース状態に設定される時短大当りが発生したものの、高ベース状態において、上限回数(本実施例では100回)の特別図柄当否判定を実行しても、大当り遊技が実行されなかった場合に、低ベース状態に設定される場合をあげることができる。S5006で、第2右打ち報知演出を実行中であると判定するのは、この後者の場合が挙げられる。S5006で、第2右打ち報知演出を実行中であると判定した場合(S5006でYES)、実行中の第2右打ち報知演出を終了させるべく、第2右打ち報知演出終了コマンドをセットし、S5007の処理に移行する。
【0235】
S5007では、第2演出保留の数(第2特図保留の数)が0より多いかどうかを判定する。本実施例1では、第2演出保留記憶部に記憶可能な第2演出保留の上限数は「1」とされているので、第2演出保留があるかどうか(「1」かどうか)ということも可能である。S5007で、第2演出保留記憶部に記憶される第2演出保留の数が0より多い、すなわち、これから第2特別図柄当否判定が実行されると共に第2演出図柄(第2特別図柄)が変動表示すると判定した場合(S5007でYES)、S5009の処理に移行する。また、S5007で、第2演出保留記憶部に保留情報は記憶されていないと判定した場合(S5007でNO)、次いで、第2演出図柄(第2特別図柄)が変動表示中であるかどうかを判定する(S5011)。S5011で、第2演出図柄(第2特別図柄)が変動表示中である、すなわち、これから第2特別図柄当否判定の結果が示されると判定した場合(S5011でYES)、S5009の処理に移行する。この様に、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示中である場合、すなわち、これから、第2特別図柄当否判定の結果が示されることが確定している状態であると、S5009の処理に移行するものとされている。
【0236】
S5009では、左打ち報知禁止フラグをONにし(既にONになっている場合にはONのまま維持し)(S5009)、再チャンスモードフラグをONにし(S5010)、処理を終える。これにより、大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定された場合であっても、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示中である場合には、左打ち報知禁止フラグがONにされる。この特別状態においては、低ベース状態で、右打ちが検知されても、特別に左打ち報知演出は実行されず、特別状態が終了したときの遊技状態が低ベース状態且つ非当り遊技状態であることを条件として、左打ち報知演出を実行可能な状態とする。また、サブ制御部90は、この特別状態においては、右打ち報知演出も実行しないので、左打ち報知演出及び右打ち報知演出の何れの報知演出も実行しない期間とされる。
【0237】
最も、前述の主制御部80で制御する発射方向表示器47(第1発射報知手段)は、遊技状態が低ベース状態であれば、第2特別図柄の保留の有無や、変動表示中かどうかにかかわらず、左打ち遊技を示す表示態様(報知態様)とされる。然しながら、この発射方向表示器47は、図3及び図4に示すように、比較的小型の表示部(LED)によって、右打ち遊技状態又は左打ち遊技状態を示すので、表示画面7aを用いて行う発射報知演出(「第2発射報知手段」ともいう)に比べて、遊技者が認識しづらいものとされている。また、大方の遊技者は、図4に示す主表示器40の表示態様ではなく、図3に示す表示画面7aの表示態様を注視して遊技を行うので、発射方向表示器47の表示態様の変化には気づき難いものとされている。
【0238】
ここで、『大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定された場合であっても、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示中である場合』に、左打ち報知禁止フラグをONにして、右打ちを検知しても左打ち報知を行わないものとしたり、低ベース状態の設定に基づいて、すぐに図50に示す第2左打ち報知演出を実行しないものとしたりしたのは、(保留中又は変動中の)実行が確定している第2特別図柄当否判定に基づいて、再度大当り遊技が発生する可能性があるからである。そして、再度大当り遊技が発生した場合には、右遊技領域(第2遊技領域)へ遊技球を発射する右打ち遊技を行う必要がある。例えば、大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定され、すぐさま第2左打ち報知演出(第4発射報知演出)を実行した場合には、その後保留又は変動中に係る第2特別図柄当否判定の結果に基づいて大当りとなった場合には、極短期間で、再度右打ち報知演出を実行することとなる。この様に、右打ち遊技状態(大当り遊技)の終了後の短期間の間に、一旦左打ち報知演出を行って左打ち遊技を行わせ、再度大当りとなった場合には、再度右打ち報知演出を行って右打ち遊技を行わせるといった、遊技態様(発射方向報知態様)を実行すると、遊技者は煩わしく感じ、遊技興趣を低下させる可能性がある。
【0239】
この様な煩雑な発射報知演出による遊技興趣の低下を防止するため、『大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定された場合であっても、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示中である場合』には、その第2演出図柄の変動表示が全て終了するまでは(第2特別図柄当否判定の結果が表示されるまで)、左打ち報知禁止フラグをONにし、且つ第2左打ち報知演出を実行しないものとしている。これにより、この特別状態においては、低ベース状態で遊技者が右打ち遊技を継続していても、発射を停止していても、左打ち報知演出が実行されることはない。
【0240】
また、この第2演出図柄の変動表示に基づいて大当り遊技が実行される(第2特別図柄当否判定の結果が大当りか、又は小当りとなって特定領域を通過し大当りとなる)場合には、当該大当り遊技中も引き続き、左打ち報知演出が禁止とされる。一方、全ての第2演出保留(第2特図保留)がなくなり、且つ、第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示が終了し、この第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示に基づいて大当り遊技が実行されなかった場合には、左打ち報知禁止フラグをOFFにする処理(S5014)等が実行される。」
(7)「
[図:0001403431000001.jpg]
」
(8)「
[図:0001403431000002.jpg]
」
(9)「
[図:0001403431000003.jpg]
」

(10)上記(1)~(9)からみて、引用文献1には、次の発明が記載されている。なお、a等については本願発明のA等に概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「a 左右方向の中央より左側の左遊技領域3Aと、右側の右遊技領域3Bと、に分けることができる(【0043】)遊技領域3が形成されている遊技盤2(【0025】)と、
b 特別図柄当否判定や普通図柄当否判定や遊技状態の移行など、遊技進行や遊技利益に関する制御を行う主制御基板80(【0060】)と、を備え、
左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ち、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちといい、遊技開始の際は左打ちにて第1始動口20への入球を狙い、第1始動口20への入球に基づく当否判定において当りとなり遊技状態が変化した際には、右打ちにてゲート28、第2始動口21、第1大入賞口30、及び第2大入賞口35への入球を狙うこととなり(【0043】)、
「特図1大当りA、D」又は「特図2大当りA、B、D」となった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は時短状態且つ高ベース状態となり、時短高ベース状態は、所定回数(例えば100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、大当りに当選してその大当り遊技が実行されるか、小当りに当選してその小当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過してV大当りとなりその大当り遊技が実行されることにより終了し(【0099】)、
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「特図2小当りA、B、D」となって小当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過してV大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は時短高ベース状態となり、時短高ベース状態にて当該時短高ベース状態が終了することとなる最終回(本実施例では100回目)の特別図柄の変動表示で小当り図柄が停止表示され、これに係る小当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過しなかった場合には、小当り遊技終了後の遊技状態は非時短低ベース状態となり(【0100】)、
低ベース状態では、高ベース状態と比べて第2始動口21が開放されにくくなっているため、第1始動口20へ遊技球を入球させるべく左打ちを行う方が、右打ちするよりも、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができ、遊技者に有利であり(【0102】)、
高ベース状態では、低ベース状態と比べて第2始動口21が開放されやすくなっており、左打ちをするよりも右打ちをする方が、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができ、遊技者に有利であり(【0101】)、
第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能の作動中(時短状態)においては、開放延長機能が作動しない通常状態(非時短状態)に比べ遊技を有利に進めることが可能となるので、遊技者は時短状態(右打ち)での遊技を期待することとなり(【0087】)、
c 当り遊技の終了に際してONにされる(設定される)フラグである(【0231】)第2発射報知フラグがONであると判定した場合、次いで当り遊技終了後の遊技状態が高ベース状態に設定されているかどうかを判定し、遊技状態が高ベース状態であると判定した場合、左打ち報知禁止フラグをONにし、高ベース状態において、右打ち遊技が検知されても、左打ち報知演出は実行不能とされ、
第2右打ち報知演出の実行中かどうかを判定し、既に第2右打ち報知演出の実行中であると判定した場合、第2右打ち報知演出実行コマンドをセットし、高ベース状態の開始に伴って、左打ち報知演出が実行不能に設定されると共に、所定の右打ち報知演出を実行し(【0232】)、第2右打ち報知演出実行コマンドが、コマンド送信処理により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPUは、所定の演出画像を画像制御基板100のROMから読み出して、画像表示装置7の表示画面7a上で発射報知演出を行い(【0233】)、
d 第1始動口20又は第2始動口21への遊技球の入球があると、その入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等の各種情報を取得し、取得した各種情報は、主制御部のRAMに形成される特図保留記憶部に一旦記憶され、第1始動口20への入球であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部に記憶され、第2始動口21への入球であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部に記憶され(【0053】)、所定個数を上限として、その入球に対する特別図柄当否判定の権利を留保することが可能となっており(【0054】)、
e 大当り遊技終了後の遊技状態が高ベース状態に設定される時短大当りが発生したものの、高ベース状態において、上限回数(本実施例では100回)の特別図柄当否判定を実行しても、大当り遊技が実行されなかった場合に、低ベース状態に設定される場合(【0234】)、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る第2演出図柄の変動表示中である場合(【0235】)、左打ち報知禁止フラグをONにし、再チャンスモードフラグをONにし、大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定された場合であっても、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る第2演出図柄の変動表示中である場合には、左打ち報知禁止フラグがONにされ、この特別状態においては、低ベース状態で、右打ちが検知されても、特別に左打ち報知演出は実行されず、特別状態が終了したときの遊技状態が低ベース状態且つ非当り遊技状態であることを条件として、左打ち報知演出を実行可能な状態とする(【0236】)
f パチンコ遊技機1(【0022】)。」(以下「引用発明」という。)

2 引用文献2

原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-45422号公報(平成23年3月10日公開)(以下「引用文献2」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(1)「【0024】
遊技機1は、遊技球が流下する遊技領域6が形成された遊技盤2を設けており、遊技盤2の遊技領域6の外周部分には、ガラス枠110が備えられている。このガラス枠110には操作ハンドル3が回動可能に設けられている。また、遊技領域6は、遊技盤正面視左側に遊技球が進入する左打ち遊技領域6aと、遊技盤正面視右側に遊技球が進入する右打ち遊技領域6bとによって形成されている。さらに、左打ち遊技領域6aは左打ち進入路6cを有し、右打ち遊技領域6bは右打ち進入路6dを有している。後述する操作ハンドル3の回動操作によって発射された遊技球は、左打ち進入路6cを経由して左打ち遊技領域6aを落下するか、右打ち進入路6dを経由して右打ち遊技領域6bを落下することになる。本実施形態では、左打ち遊技領域6aが第1の遊技領域を構成し、右打ち遊技領域6bが第2の遊技領域を構成する。」
(2)「【0052】
主制御基板101は遊技の基本動作を制御する。この主制御基板101は、メインCPU101a、メインROM101b、メインRAM101cを備えている。メインCPU101aは、各検出スイッチやタイマからの入力信号に基づいて、メインROM101bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信したりする。メインRAM101cは、メインCPU101aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
・・・
【0056】
主制御基板101のメインROM101bには、遊技制御用のプログラムや各種の遊技に決定に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
【0057】
例えば、特別図柄変動の停止結果を大当りとするか否かを判定する際に参照される大当り判定テーブル(図4(a)、図4(b)参照)、普通図柄変動の停止結果を当りとするか否かを判定する際に参照される当り判定テーブル(図4(c)参照)、高確率遊技状態を終了するか否かを判定するための転落判定テーブル(図4(d)参照)特別図柄の停止図柄を決定する図柄決定テーブル(図5参照)、特別図柄に基づいて遊技状態変更フラグを決定する決定テーブル(図6(a)参照)、遊技状態変更フラグと遊技状態バッファにあるデータとに基づいて遊技状態を決定するための大当たり終了時設定データテーブル(図6(b)参照)、大入賞口開閉扉11bの開閉条件を決定する特別電動役物作動態様決定テーブル(図7参照)、長当たり用開放態様決定テーブル(図8(a)参照)、短当たり用開放態様決定テーブル(図8(b)参照)、小当たり用の開放態様決定テーブル(図8(c)参照)、特別図柄の変動パターンを決定する変動パターン決定テーブル(図9参照)、普通図柄が当選したときの第2始動口開放態様決定テーブル(図10参照)等がメインROM101bに記憶されている。これら各種テーブルの具体例は図4~図10において、後述する。」
「【0119】
したがって、「時短遊技状態」においては、「非時短遊技状態」よりも、普通図柄ゲート8を遊技球が通過した場合、第2始動口10が第2の態様に制御されやすくなるため、「時短遊技状態」では、普通図柄ゲート8と第2始動口10が設けられた右打ち遊技領域6bに遊技球を打ち出すことにより、遊技者は遊技球を消費せずに遊技を進行することが可能になり、また、大当たり抽選を行う機会も多くなる。
【0120】
これに対し、「非時短遊技状態」においては、たとえ普通図柄ゲート8を遊技球が通過したとしても、第2始動口10が第2の態様に制御される割合や時間は少ないため、第2始動口10に遊技球が入球することは困難である。そのため、右打ち遊技領域6bに遊技球を打ち出すよりも第1始動口9が設けられた左打ち遊技領域6aに遊技球を打ち出す方が大当たり抽選の機会を得る確率は高くなる。ただし、「時短遊技状態」における第2始動口10の開放制御時間は3.5秒となっているため、「非時短遊技状態」においても、「時短遊技状態」が終了した直後は、第2始動口10の開放が継続している場合があり、このときに左打ち遊技領域6aに遊技球を打ち出してしまうと、第2始動口10への入球機会を自ら放棄してしまうことになるので適切ではない。」
(3)「【0155】
図14を用いて、主制御基板101の報知指定コマンドセット処理を説明する。
【0156】
まず、ステップ120-1において、メインCPU101aは、報知待機中であるか否かを判定する。すなわち、報知待機フラグ記憶領域に記憶された報知待機フラグがオンされているか否かを判定し、報知待機フラグがオンされていれば報知待機中であると判定する。なお、報知待機フラグは、時短遊技状態が終了したときに後述する左打ち報知タイマカウンタをセットするときにセットされ、後述するステップS311-5またはステップS330-6の処理においてオンにセットされる。また、報知待機中である場合とは、時短遊技状態が終了したが、まだ左打ちを促す報知がなされていない場合である。そして、報知待機中であると判定した場合にはステップS120-1に処理を移し、報知待機中ではないと判定した場合には、報知指定コマンドセット処理を終了する。
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【0157】
ステップS120-2において、メインCPU101aは、報知待機時間が経過したか否かを判定する。すなわち、左打ち報知タイマカウンタ=0であるか否かを判定し、左打ち報知タイマカウンタ=0であれば、報知待機時間が経過したと判定する。報知待機時間がしたとは、時短遊技状態が終了して、所定の時間が経過したことを意味する。また、当該所定の時間とは、時短遊技状態中における第2始動口の開放時間(図10参照)と同じ長さの時間となっている。そして、報知待機時間が経過したと判定した場合にはステップS120-3に処理を移し、報知待機時間が経過していないと判定した場合には報知指定コマンドセット処理を終了する。
【0158】
ステップS120-3において、メインCPU101aは、上記ステップS120-2において報知待機時間が経過したと判定された場合は、演出制御基板102に送信する制御コマンドとして、データ「01」を含む報知指定コマンドを生成して演出用伝送データ格納領域にセットする。報知指定コマンドは、液晶表示装置13において、図33に示すような左打ち報知画像60や右打ち報知画像61を表示させるときにセットされるコマンドであり、データ「01」は、左打ち報知画像60の表示を行う場合にセットされる。これにより、時短遊技状態が終了し、所定時間が経過したときに、液晶表示装置13に左打ちを促す報知画像60が表示される。
【0159】
ステップS120-4において、メインCPU101aは、報知待機フラグ記憶領域に記憶されている報知待機フラグをオフにする処理を行う。これにより、報知待機中が解除される。この処理が終了した場合、報知指定コマンドセット処理を終了する。
【0160】
このように、時短遊技状態が終了し、時短遊技状態中における第2始動口の開放時間と同じ3.5秒が経過してから、液晶表示装置13に左打ちを促す報知画像60が表示されるので、報知画像60が表示されるときには、既に第2始動口が第2の態様から第1の態様へと移行されている。そのため、遊技者は、時短遊技状態が終了してからすぐに左打ちを行うことによりまだ開放されている第2始動口への入球機会を逸してしまうということはなく、確実に第2始動口への入球機会を消化してから左打ちへと切り替えることができる。」
(4)「
[図:0001403431000004.jpg]
」
(5)「
[図:0001403431000005.jpg]
」

(6)上記(1)~(5)からみて、引用文献2には、次の事項が記載されている。なお、引用箇所の段落番号等を併記した。

「遊技盤正面視左側に遊技球が進入する左打ち遊技領域6aと、遊技盤正面視右側に遊技球が進入する右打ち遊技領域6bとによって形成されている遊技領域6が形成された遊技盤2を設けた遊技機1において(【0024】)、
「非時短遊技状態」においては、第1始動口9が設けられた左打ち遊技領域6aに遊技球を打ち出す方が大当たり抽選の機会を得る確率は高くなり(【0120】)、「時短遊技状態」においては、第2始動口10が設けられた右打ち遊技領域6bに遊技球を打ち出すことにより、遊技者は遊技球を消費せずに遊技を進行することが可能になり、また、大当たり抽選を行う機会も多くなり(【0119】)、
時短遊技状態が終了したときに左打ち報知タイマカウンタをセットするときにセットされ、オンされていれば報知待機中であると判定する報知待機フラグがオンされていれば、時短遊技状態が終了したが、まだ左打ちを促す報知がなされていない報知待機中であると判定し(【0156】、【0157】)、時短遊技状態が終了して、時短遊技状態中における第2始動口の開放時間と同じ長さの時間となっている所定の時間が経過したか否かを判定し(【0157】)、時短遊技状態が終了し、所定時間が経過したときに、液晶表示装置13に左打ちを促す報知画像60が液晶表示装置13に表示され(【0158】)
遊技者は、時短遊技状態が終了してからすぐに左打ちを行うことによりまだ開放されている第2始動口への入球機会を逸してしまうということはなく、確実に第2始動口への入球機会を消化してから左打ちへと切り替えることができる(【0160】)
遊技機1(【0024】)。」(以下「引用文献2記載の技術事項」という。)

第5 対比

本願発明と引用発明を対比する。

1 構成Aについて

引用発明の構成aの「左遊技領域3A」、「右側の右遊技領域3B」及び「遊技領域3が形成されている遊技盤2」は、それぞれ本願発明の「第一遊技領域」、「第二遊技領域」及び「遊技領域が構築された遊技盤」に相当する。

よって、引用発明の構成aは、本願発明の構成Aに相当する構成を有する。

2 構成Bについて

引用発明の構成bの「入球」すること、「第1始動口20への入球に基づく当否判定」、「当りとな」ること、「非時短低ベース状態」、「第2始動口21」「への入球」「に基づく当否判定」、「時短高ベース状態」及び「主制御基板80」は、それぞれ本願発明の「遊技球が進入する」こと、「第一抽選」、「大当たり当選」、「第一遊技状態」、「第二抽選」、「第二遊技状態」及び「遊技状態制御手段」に相当する。

また、引用発明は、「第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能の作動中(時短状態)においては、開放延長機能が作動しない通常状態(非時短状態)に比べ遊技を有利に進めることが可能となる」ものであるから、「時短高ベース状態」(第二遊技状態)は、「非時短低ベース状態」(第一遊技状態)より有利な遊技状態であるといえる。

よって、引用発明の構成bは、本願発明の構成Bに相当する構成を有する。

3 構成Cについて

引用発明の構成cの「発射報知演出(発射方向報知演出)を行」うこと及び「画像表示装置7」は、それぞれ、本願発明の「遊技状態に応じた遊技を行うよう報知する」こと及び「遊技態様報知手段」に相当する。

よって、引用発明の構成cは、本願発明の構成Cに相当する構成を有する。

4 構成Dについて

引用発明の構成dの「第2特図保留」、「所定個数を上限と」すること及び「第2特図保留記憶部」は、それぞれ本願発明の「前記第二抽選に用いられる第二当否判定情報」、「所定数を限度として記憶する」こと及び「記憶手段」に相当する。

よって、引用発明の構成dは、本願発明の構成Dに相当する構成を有する。

5 構成Eについて

引用発明の構成eの「大当り遊技終了後の遊技状態が高ベース状態に設定される時短大当りが発生したものの、高ベース状態において、上限回数(本実施例では100回)の特別図柄当否判定を実行しても、大当り遊技が実行されなかった場合に、低ベース状態に設定される」とき、「第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されて」おらず「第2特別図柄に係る第2演出図柄の変動表示中で」なくなったとき及び「低ベース状態で、右打ちが検知されても」及び「特別に左打ち報知演出は実行され」ないことは、それぞれ本願発明の「どのような状況であっても」及び「報知が行われないように設定されている」ことに相当する。

また、引用発明では、「大当り遊技終了後の遊技状態が高ベース状態に設定される時短大当りが発生したものの、高ベース状態において、上限回数(本実施例では100回)の特別図柄当否判定を実行しても、大当り遊技が実行されなかった場合に、低ベース状態に設定される」とき(遊技状態が前記第二遊技状態から前記第一遊技状態に変化したとき)に、「第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る第2演出図柄の変動表示中である場合、左打ち報知禁止フラグをONにし、再チャンスモードフラグをONにし、大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定された場合であっても、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る第2演出図柄の変動表示中である場合には、左打ち報知禁止フラグがONにされ、この特別状態においては、低ベース状態で、右打ちが検知されても、特別に左打ち報知演出は実行され」ないことから、「特別に左打ち報知演出は実行され」ないことは、「高ベース状態」から「低ベース状態」に設定された後(本願発明の「当該変化が発生した後」に相当する。)であることは明らかである。

また、引用発明で「特別に左打ち報知演出は実行され」ない時間は、「第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示中である場合」であることから、本願発明とは一定時間ではない点で相違するものの、少なくとも「記憶手段に記憶された全ての第二当否判定情報に基づく第二抽選の結果が報知されるのに要する時間」である点で共通する。

そうすると、本願発明の構成Eと引用発明の構成eとは「前記遊技状態制御手段によって遊技状態が前記第二遊技状態から前記第一遊技状態に変化したとき、当該変化が発生した後、前記記憶手段に記憶された全ての前記第二当否判定情報に基づく前記第二抽選の結果が報知されるのに要する時間が経過するまでは、どのような状況にあっても前記遊技態様報知手段による報知が行われないように設定されている」点で共通する。

6 構成Fについて

引用発明の構成fの「パチンコ遊技機1」は、本願発明の構成Fの「遊技機」に相当する。

よって、引用発明の構成fは、本願発明の構成Fに相当する構成を有する。

上記1~6からみて、本願発明と引用発明とは、

<一致点>

「A 第一遊技領域および第二遊技領域を含む遊技領域が構築された遊技盤と、
B 遊技者に対して前記第一遊技領域に遊技球が進入するような遊技を促す状態であって第一抽選を経て大当たり当選を目指す状態である第一遊技状態、および当該第一遊技状態よりも遊技者に有利な遊技状態であり遊技者に対して前記第二遊技領域に遊技球が進入するような遊技を促す状態であって第二抽選を経て大当たり当選を目指す状態である第二遊技状態を含む遊技状態を制御する遊技状態制御手段と、
C 遊技者に対し、遊技状態に応じた遊技を行うよう報知する遊技態様報知手段と、
D 前記第二抽選に用いられる第二当否判定情報を、所定数を限度として記憶する記憶手段と、
を備え、
E’前記遊技状態制御手段によって遊技状態が前記第二遊技状態から前記第一遊技状態に変化したとき、当該変化が発生した後、前記記憶手段に記憶された全ての前記第二当否判定情報に基づく前記第二抽選の結果が報知されるのに要する時間が経過するまでは、どのような状況にあっても前記遊技態様報知手段による報知が行われないように設定されている
F 遊技機。」で一致し、

以下の点で相違している。

<相違点(構成E)>

「前記遊技態様報知手段による報知が行われないように設定されている」時間に関して、

本願発明では、「前記記憶手段に記憶された全ての前記第二当否判定情報に基づく前記第二抽選の結果が報知されるのに要する時間以上である一定時間が経過するまで」であるのに対して、

引用発明では、「第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る第2演出図柄の変動表示中である場合」であって、一定時間ではない点。

第6 判断

1 相違点について

上記相違点(上記「第5」参照)について判断する。

(1)引用文献2記載の技術事項(上記「第4の2」参照)は、「遊技盤正面視左側に遊技球が進入する左打ち遊技領域6aと、遊技盤正面視右側に遊技球が進入する右打ち遊技領域6bとによって形成されている遊技領域6が形成された遊技盤2を設けた遊技機1」において、「時短遊技状態が終了し」たときに、「所定の時間が経過したか否かを判定し」、「所定時間が経過したときに、液晶表示装置13に左打ちを促す報知画像60が液晶表示装置13に表示」するようにする「遊技機1」であって、遊技状態が変化した後に、遊技者にとって有利な遊技状態が発生(復活)し得る状況下では、その状況が継続し得る長さの所定時間の間(本願発明の「一定時間」に相当する。)、遊技者の発射方法の変更を促す左打ちを促す報知画像を表示しないことで、遊技者にとって「遊技者は、時短遊技状態が終了してからすぐに左打ちを行うことによりまだ開放されている第2始動口への入球機会を逸してしまうということはなく、確実に第2始動口への入球機会を消化してから左打ちへと切り替えることができる」(引用文献2の【0160】参照)という効果を実現するものである。

(2)引用発明と引用文献2記載の技術事項とは、遊技状態に応じて遊技者にとって有利な打ち方を報知する遊技機であるという技術分野で共通し、また、遊技状態が変化した後直ちに有利な打ち方を報知するのでなく、遊技状態が変化した後に遊技者に有利な状態が発生(復活)する可能性があることを考慮し、かかる可能性がある間は遊技者に有利な打ち方を報知しないようにするという課題を解決しようとするものである点でも共通する。

(3)引用発明では、「特別に左打ち報知演出は実行され」ない時間(「前記遊技態様報知手段による報知が行われないように設定されている」時間)は、「第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る第2演出図柄の変動表示中である」ことを判定することによるものであって、一定の時間の経過に着目するものではないところ、遊技機の分野における制御を切り替える契機として、制御を切り替えるべき状態であるかの判定結果以外に、制御を切り替えるまでに要する時間や制御を切り替えるべき条件の成立等、種々のものに着目することは技術常識である。

(4)そうすると、制御負担を軽減するという自明な課題を解決するため、引用発明で「第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示中である」ことを判定しているのに代えて、引用文献2記載の技術事項にみられるように所定時間(一定時間)が経過したことをもって制御を切り替える契機とすることとし、「特別に左打ち報知演出は実行され」ない時間を、「第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示中である」時間以上である一定時間とし、かかる一定時間が経過したことをもって制御を切り替える契機とすることで上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(5)以上のとおり、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の構成となすことは、当業者が引用文献2記載の技術的事項に基づいて容易になし得たことである。

(6)本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用文献2記載の技術事項の奏する効果から、予測することができた程度のものである。

2 請求人の主張について

(1)請求人は、審判請求書の「(3)原査定が取り消されるべき理由」において、以下のとおり主張する。

「(3-1)取消事由1(手続違背)
出願人は、令和4年4月18日付意見書において、本願発明が令和4年2月25日付拒絶理由通知書で示された拒絶理由を包含しない根拠として「○根拠1」、「○根拠2」の主張を行っている。
しかしながら、原査定は、「○根拠1」について、同意見書に記載の「上記の通り、・・・~阻害要因があるというべきである。」までに対する判断を示しておらず、明らかな手続違背(判断遺脱)がある。具体的には次の通りである。
「○根拠1」について、出願人は、副引用発明2の報知待機時間(3.5秒)は、たった一回分の変動時間の最短時間よりも短いのであるから、このような技術事項を、主引用発明1(残っている特図2保留にかかる変動表示が全て終了するまで、左打ち発射報知演出が実行されないようにした遊技機)に適用することに阻害要因があるとする趣旨の主張を行っているが、これについての判断が示されていない。原査定が『引用文献1に記載された発明に、引用文献2に記載された発明を適用する際、左打ちの報知待機期間について、「第2始動口の開放時間」と同じ時間であるという技術事項をそのまま適用する必要はなく、高ベース状態の終了後に遊技者に有利な状態が継続する最大の時間とすれば良い』としていることに照らせば、原査定は副引用発明2を変更した上で主引用発明1に適用することを論じている(「そのまま適用する必要はない」ということは、副引用発明2を変更することを前提としているということである)と認められるが、出願人は副引用発明2そのものを主引用発明1に適用することについて明らかな阻害要因があることを述べているのであるから、それについて何らの見解も示すことなく、いきなり副引用発明2を変更した上で主引用発明1に適用することを論じるのは明らかな判断遺脱である。
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そもそも、主引用発明1に対し、副引用発明2そのものを適用することに明らかに阻害要因があるのであれば、副引用発明2を適用しようとする段階にすら至らないのであり、そうであるにもかかわらず当該阻害要因の有無について何らの見解も示すことなく、いきなり「適用の段階」に飛躍して、副引用発明2変更して主引用発明1に適用するという論理を示すことは、拒絶にするという結論ありきでなされたものであって許されるべきものではないというべきである。
なお、「○根拠2」として、出願人は、主引用発明1に対し副引用発明2そのものを適用することは、主引用発明1の課題解決に反したものであるから阻害要因があることを趣旨とする主張を行っている。これについても、出願人は副引用発明2そのものを主引用発明1に適用することについて明らかな阻害要因があることを述べているのであるから、それについて何らの見解も示すことなく、いきなり副引用発明2を変更した上で主引用発明1に適用することを論じるのは明らかに論理の飛躍であって許されるべきものではない。
(3-2)取消事由2(進歩性判断の誤り1)
上記(3-1)でも述べたが、原査定が『引用文献1に記載された発明に、引用文献2に記載された発明を適用する際、左打ちの報知待機期間について、「第2始動口の開放時間」と同じ時間であるという技術事項をそのまま適用する必要はなく、高ベース状態の終了後に遊技者に有利な状態が継続する最大の時間とすれば良い』としていることに照らせば、主引用発明1から出発して本願発明に到達するためには、副引用発明2を変更する操作(以下、第一操作という)と、当該変更したものを主引用発明1に適用する操作(以下、第二操作という)という二段階の操作が必要であることを認めているといえる。
このように主引用発明から出発して二段階の操作を経なければ本願発明に到達しないのであれば、仮に、上記第一操作および第二操作が容易であるとしても、いわゆる「容易の容易」に当たる(例えば、知的財産高等裁判所 平成27年(行ケ)第10149号 参照)から、本願発明は主引用発明1から容易想到であったとはいえない。
さらに、本件についていえば、副引用発明2そのものを主引用発明1に適用することには明らかな阻害要因がある(上記(3-1)の通り、副引用発明2そのものを主引用発明1に適用することに阻害要因があるとした出願人の主張に対し審査では何等の見解も示していないのであるから、阻害要因の存在を認めているといえる)ところ、副引用発明2を変更する上記第一操作は、主引用発明1の内容を想定しつつ当該阻害要因を回避するような変更を施す操作であるから、相当の困難性を伴うものであるといえ、当該第一操作自体も容易であるとはいえない。
以上の通りであるから、本願発明が主引用発明1から容易想到であるとした原査定の判断には誤りがある。
(3-3)取消事由3(進歩性判断の誤り2)
引用文献2には、以下の記載がある(下線は出願人が付した)。
(イ)請求項1「前記判定手段によって前記第2始動口を前記第2の態様に制御すると判定されたことを条件に、所定の開放時間において前記第2始動口を前記第2の態様に制御する始動口制御手段と、・・・前記時短遊技制御手段が前記時短遊技状態の制御を終了してから前記所定の開放時間と同等の時間が経過したときに、前記第1の遊技領域に向けて遊技球を発射することを促す報知を行う」
(ロ)請求項2「前記始動口制御手段は、前記時短遊技制御手段が時短遊技状態にて遊技の進行を制御しているときは、制御時間記憶手段が記憶する複数の開放時間のうち、最も長い開放時間において前記第2始動口を前記第2の態様に制御し、前記報知手段は、前記時短遊技制御手段が前記時短遊技状態の制御を終了してから、前記最も長い開放時間と同等の時間が経過したときに、前記第1の遊技領域に向けて遊技球を発射することを促す報知を行う」
(ハ)段落0160「このように、時短遊技状態が終了し、時短遊技状態中における第2始動口の開放時間と同じ3.5秒が経過してから、液晶表示装置13に左打ちを促す報知画像60が表示される・・・」
このことからすれば、副引用発明2の特徴は、「報知待機時間を、第2始動口の開放時間と同じ時間とする」ことであるといえる。
そうすると、原査定が示す『「第2始動口の開放時間」と同じ時間であるという技術事項をそのまま適用する必要はなく、』とした点は、副引用発明2の特徴を無にするような変更であるといえるから、当該変更が容易であるとするのは妥当性を欠く。
つまり、副引用発明2が、課題解決のための特徴(請求項1、2にかかる発明の特徴)として、「報知待機時間を、第2始動口の開放時間と同じ時間とする」ことを採用しているのであるから、『「第2始動口の開放時間」と同じ時間であるという技術事項をそのまま適用する必要はな』いとする判断(このような変更が容易であるとする判断)に理由がない。
加えて、副引用発明2は、「報知待機時間を、第2始動口の開放時間と同じ時間」としているからこそ、報知待機時間が一定時間(3.5秒)となっているものであると認められる。つまり、報知待機時間が一定時間であるのは、「報知待機時間を、第2始動口の開放時間と同じ時間」とした結果である(あくまで、「報知待機時間を、第2始動口の開放時間と同じ時間」としたことが前提条件となっている)といえる。
そうすると、原査定がいうように、副引用発明2の『「第2始動口の開放時間」と同じ時間であるという技術事項をそのまま適用』しないのであれば、それはもはや「報知待機時間が一定時間である」という事項を適用していることにはならないのであり、当該適用によって本願発明に到達するという論理が破綻していることは明らかである。
以上の通りであるから、本願発明が主引用発明1から容易想到であるとした原査定の判断には誤りがある。」

(2)請求人の主張について検討する。

ア 上記(3-1)について

請求人は、取消事由1において、出願人は副引用発明2そのものを主引用発明1に適用することについて明らかな阻害要因があると述べているのであるから、それについて何らの見解も示すことなく、いきなり副引用発明2を変更した上で主引用発明1に適用することを論じるのは明らかな判断遺脱であるという旨主張する。

しかし、引用文献2記載の技術事項は、引用文献2の記載に基づいて上記「第4 2(6)」で示したように認定することができ、引用文献2の発明の詳細な説明に記載された事項自体を適用することを前提に副引用発明2そのものを主引用発明1に適用することについて明らかな阻害要因があると論じている請求人の主張は妥当ではなく、また、上記「第6 1」で示したように、引用発明と引用文献2記載の技術事項は、技術分野及び解決しようとする課題の点で共通するところがあり、引用発明に引用文献2記載の技術事項を採用する契機も認められる。

よって、当該取消事由に係る主張は採用することができない。

イ 上記(3-2)、(3-3)について

上記アと同様に、引用文献2の発明の詳細な説明に記載された事項自体を適用することを前提とした請求人の主張は妥当ではなく採用することができない。

ウ 以上のとおり、請求人の主張は、本件の判断に影響を及ぼすものではないから、請求人の上記主張は採用できない。

3 まとめ

以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-018174

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