2022-017890
包装体スリーブおよび外側包装体を備えるバンドル
- 審判番号
- 2022-017890
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-534186外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月08日
- 審決日
- 2024年08月21日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エスアイジー サービシズ アクチェンゲゼルシャフト
- 【請求人代理人】越川 隆夫
- 分類
- P18 .575-Z (B65D) / P18 .121-Z (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1 手続の経緯
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本願は、2018年(平成30年)11月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年12月22日 ドイツ(DE))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概略は次のとおりである。
(令和4年 7月 8日 :原査定の謄本の送達)
第2 令和4年11月8日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年11月8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は補正箇所である。)
「- 複合材料の複数の包装体スリーブ(10)と、- 前記包装体スリーブ(10)を囲繞する、外側包装体(15)と、を備え、- 各包装体スリーブ(10)が表側(12)および裏側(13)を有し、- 各包装体スリーブ(10)の前記表側(12)と前記裏側(13)とが、前記包装体スリーブ(10)がそれに沿って偏平に折り畳まれる折山(F)によって互いから区切られ、- 各包装体スリーブ(10)が、前記包装体スリーブ(10)の両側に配置される2つの開口部を有し、- 各包装体スリーブ(10)が、前記複合材料の2つの縁部をつなげて筒状の包装体スリーブ(10)を形成する、長手方向シーム(11)を有する、前記包装体スリーブ(10)および前記外側包装体(15)を備えるバンドル(14)であって、前記外側包装体(15)はプラスチック材料フィルム(17)から生産されることと、前記プラスチック材料フィルム(17)は、積み重ね方向(S)に延びる溶着シーム(18)を少なくとも1つ有することと、且つ、前記プラスチック材料フィルム(17)は、破断点伸びが少なくとも100%の延伸性、及び収縮値が少なくとも5%の収縮性を有することと、且つ、前記プラスチック材料フィルム(17)は、機械読取り可能なコードから成る印刷物を備え、前記印刷物は、製品情報、生産情報、または製品追跡情報を含み、その代わりにまたはそれに加えて、前記バンドル(14)の位置決めおよび/または把持および/または開口部に関する情報を含むことを特徴とする、バンドル(14)。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和4年3月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「- 複合材料の複数の包装体スリーブ(10)と、- 前記包装体スリーブ(10)を囲繞する、外側包装体(15)と、を備え、- 各包装体スリーブ(10)が表側(12)および裏側(13)を有し、- 各包装体スリーブ(10)の前記表側(12)と前記裏側(13)とが、前記包装体スリーブ(10)がそれに沿って偏平に折り畳まれる折山(F)によって互いから区切られ、- 各包装体スリーブ(10)が、前記包装体スリーブ(10)の両側に配置される2つの開口部を有し、- 各包装体スリーブ(10)が、前記複合材料の2つの縁部をつなげて筒状の包装体スリーブ(10)を形成する、長手方向シーム(11)を有する、前記包装体スリーブ(10)および前記外側包装体(15)を備えるバンドル(14)であって、前記外側包装体(15)はプラスチック材料フィルム(17)から生産されることと、前記プラスチック材料フィルム(17)は、実質的に積み重ね方向(S)に延びる溶着シーム(18)を少なくとも1つ有することと、且つ、前記プラスチック材料フィルム(17)は、破断点伸びが少なくとも100%の延伸性、及び収縮値が少なくとも5%の収縮性を有することとを特徴とする、バンドル(14)。」
2 補正の適否
本件補正の請求項1の記載の補正は、請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「プラスチック材料フィルム」について、「前記プラスチック材料フィルム(17)は、機械読取り可能なコードから成る印刷物を備え、前記印刷物は、製品情報、生産情報、または製品追跡情報を含み、その代わりにまたはそれに加えて、前記バンドル(14)の位置決めおよび/または把持および/または開口部に関する情報を含む」と限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下検討する。
(1)補正発明
補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載及び引用発明等
ア 引用文献1
(ア)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された特開2006-123937号公報(平成18年5月18日発行。以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】【0007】本発明の課題は、このような不都合を解消することにあり、偏平状に折り畳んだカートン容器製函用の角筒状カートンスリーブの収納包装及び開封作業における作業性を良くするとともに、カートン容器製函業者などに納入するための一括包装用ケースを、安価に製函することができ、また低コストにて収納包装できるカートンスリーブ収納包装方法を提供することにある。【課題を解決するための手段】【0008】本発明は、偏平状に折り畳んだカートン容器製函用の角筒状カートンスリーブを複数枚重ね合わせて集積しテープにて結束したスリーブ結束体Aと、発泡プラスチックシートにより製函された繰り返し使用可能な一括包装ケースBとにより構成され、該一括包装ケースB内に複数の前記スリーブ結束体Aを一括収納包装することを特徴とするカートンスリーブ収納包装方法である。【発明の効果】【0009】本発明のカートンスリーブ収納包装方法によれば、偏平状に折り畳んだカートン容器製函用の角筒状カートンスリーブを複数枚重ね合わせて集積しテープにて結束した複数個のスリーブ結束体Aを、発泡プラスチックシートにより製函された繰り返し使用可能な一括包装ケースB内に収納して一括包装して、カートン容器製函業者などに納入することができるものである。」
「【0014】図1(b)は、カートン容器製函用の前記角筒状カートンスリーブ1を、対向する一対の折目a、aにて偏平状に折り畳んだカートンスリーブ1を、所定枚数(例えば50~100枚程度)重ね合わせて集積し、テープ10にて結束したスリーブ結束体Aである。」
「【図1】[図:0001418473000001.jpg]」
「【0020】図3は、角筒状カートンスリーブ1の包装順序を説明する斜視図であり、図3(a)に示すように、角筒状カートンスリーブ1を対向する一対の折目a、aにて偏平状に折り畳んだ偏平状のカートンスリーブ1を、所定枚数(例えば100枚)に重ね合わせて集積して集積体を形成する。【0021】続いて、必要に応じて、図3(b)に示すように、その集積体を二つの折目cにて上向きコの字型に三つ折りしたトレーシート11上に載置する。【0022】その後、図3(c)に示すように、その集積体の外側周囲にテープ10を巻回して、100枚ずつ偏平状のカートンスリーブ1を結束したスリーブ結束体Aを、適宜個数、順次形成する。【0023】なお、必要に応じて、図3(d)に示すように、その結束体Aの外側からシュリンクフィルム12を被覆して包装することができる。【0024】このようにして偏平状のカートンスリーブ1の集積体を結束した、図1(b)又は図3(c)又は図3(d)に示す複数個の結束体Aは、図2に示す一括包装ケースB内に整列して収納ほ包装されるものである。」
「【図3】[図:0001418473000002.jpg]」
(イ)引用文献1に記載された発明
上記(ア)によると、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。
「角筒状カートンスリーブ1を対向する一対の折目a、aにて偏平状に折り畳んだ偏平状のカートンスリーブ1を、所定枚数に重ね合わせて集積して集積体を形成し、その後、その集積体の外側周囲にテープ10を巻回して、所定枚数の偏平状のカートンスリーブ1を結束したスリーブ結束体Aを、適宜個数、順次形成し、その結束体Aの外側からシュリンクフィルム12を被覆して包装した、包装された複数個の結束体A。」(以下「引用発明」という。)
イ 引用文献2
(ア)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用された特開昭52-74494号公報(昭和52年6月22日発行。以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
「第1図は本発明方法により包装した包装体の1実施例を示す斜視図、第2図は本発明方法により包装した包装体の他の実施例を示す斜視図である。図面中、1は包装物を収縮包装により包装した熱収縮フィルム、2は包装物を包装する前に熱収縮フィルム1の端部を熱融着してチューブ状となした際に、熱融着により形成されたシール部であり、このシール部2は少なくとも1条以上設けられており、先端を少し残して重ね合わせて融着したものであつても、あるいは先端一杯に突き合わせて融着したものであつてもよい。3はチューブ状の熱収縮フィルム1内に1個または多数個の包装物を入れて加熱して熱収縮フィルム1を収縮させて収縮包装した際に、チューブ状の熱収縮フイルム1の上下の開口部がそれぞれ開口して残つたフイルム基材端部、4は収縮包装した熱収縮フイルム1のシール部2にまたがつて且シール部2の一部を囲む如く熱収縮フイルム1に1箇所以上附設した開封用切込部であり、この開封用切込部4は包装体を開封する際に、指先でつかんで引張り熱収縮フイルム1をシール部2に沿つて引き裂いて開封するためのものであり、その形状は半円形状、コ字状、U字状、V字状などの指先でつかんで引張りやすい形状および大きさのものであればよい。」(2ページ右上欄12行~左下欄16行)
「かかる包装体を包装する本発明に係る簡易開封用の収縮包装方法を説明する。本発明方法は熱収縮フイルム1の端部を熱融着したシール部2を少なくとも1条以上有するチューブ状の熱収縮フイルム1内に包装物を入れて加熱し、熱収縮フイルム1を収縮させて収縮包装によつて包装した後、シール部2にまたがつて且つシール部2の一部を囲む如く熱収縮フイルム1に開封用切込部4を1箇所以上設けるのである。」(2ページ右下欄13行~3ページ左上欄1行)
「[図:0001418473000003.jpg]」(第1図)
「[図:0001418473000004.jpg]」(第2図)
(イ)引用文献2に記載された事項
上記(ア)によると、引用文献2には、次の事項が記載されていると認められる。
「熱収縮フィルムの端部を熱融着したシール部を少なくとも1条以上有するチューブ状の熱収縮フィルム内に多数個の包装物を入れて加熱し、熱収縮フィルムを収縮させて収縮包装によつて包装すること。」(以下「引用文献2記載事項」という。)
ウ 周知技術について
(ア)引用文献4
新たに引用する国際公開第2017/202919号(平成29年11月30日公開。以下「引用文献4」という。)には次の事項が記載されている。(翻訳は、引用文献4の日本語ファミリー文献である特表2019-517398号公報による。)
a 「本発明の目的の少なくとも1つは、実施形態1の方法によって達成され、本方法は、方法ステップとして、a)シート状複合体の内面からシート状複合体の外面まで一連に相互に重ね合わされた層として、i)内側ポリマー層と、ii)バリア層と、続きを表示(全18行)iii)キャリア層と、を備えるシート状複合体を設けるステップであって、シート状複合体が、第1の長手方向縁部および別の長手方向縁部を含み、第1の長手方向縁部が、別の長手方向縁部に対向して位置し、シート状複合体が、第1の長手方向縁部から別の長手方向縁部までの方向に、以下の順序で、i.第1の長手方向折り目と、ii.第2の長手方向折り目と、iii.第3の長手方向折り目と、iv.第4の長手方向折り目と、を含むステップと、b)第1の長手方向折り目に沿って第1の長手方向折り畳みを生成し、第3の長手方向折り目に沿って第3の長手方向折り畳みを生成し、第1の長手方向折り畳みが第1の内角によって特徴付けられ、第3の長手方向折り畳みが第3の内角によって特徴付けられるステップと、c)第2の長手方向折り目に沿って第2の長手方向折り畳みを生成し、第4の長手方向折り目に沿って第4の長手方向折り畳みを生成し、第2の長手方向折り畳みが第2の内角によって特徴付けられ、第4の長手方向折り畳みが第4の内角によって特徴付けられるステップと、d)第1の長手方向縁部を別の長手方向縁部に接触させて接合させることによって長手方向継ぎ目を得るステップと、を含み、第1の内角、第2の内角、第3の内角、および第4の内角がそれぞれシート状複合体の内面上にある。この方法では、方法ステップb)における第1の長手方向折り畳みおよび第3の長手方向折り畳みの生成は、連続的であってもよいし、時間的に重なり合っていてもよく、または同時であってもよい。さらに、方法ステップc)における第2の長手方向折り畳みおよび第4の長手方向折り畳みの生成は、連続的であってもよいし、時間的に重複していてもよいし、同時であってもよい。好ましくは、方法のステップd)において、第1の平坦な折り畳み状態で容器前駆体が得られる。・・・第1の平坦な折り畳み状態では、第2の内角および第4の内角がそれぞれ15度以下、好ましくは10度以下、より好ましくは8度以下、より好ましくは5度以下、より好ましくは3度以下、より好ましくは1度以下、最も好ましくは0度であり、第1の内角および第3の内角がそれぞれ165度以上、好ましくは170度以上、より好ましくは172度以上、好ましくは174度以上、より好ましくは176度以上、より好ましくは178度以上、最も好ましくは180度である。」(明細書5ページ11行~6ページ24行)
b 「図9は、本発明の容器前駆体900の上面図(直立)である。容器前駆体900は、シート状複合体201から成り、その層構造は図7の断面図に示す。この場合、シート状複合体201は、単一容器1100の製造用のブランクである。容器前駆体900は、第1の長手方向縁部208と、シート状複合体201を横切る方向に対向する別の長手方向縁部209とを含む。第1の長手方向縁部208は、別の長手方向縁部209にシールされる。これにより、容器前駆体900の長手方向継ぎ目210が形成される。この容器前駆体900の長手方向継ぎ目210は、容器前駆体900の壁領域のほぼ中央を貫通している。他の本発明の容器前駆体900の場合、長手方向継ぎ目210は、代わりに、長手方向折り畳みに沿って、すなわち、容器前駆体900の長手方向縁部1001に沿って延びることができる。第1の長手方向縁部208から別の長手方向縁部209までシート状複合体201にわたって、シート状複合体201は、第1の長手方向折り目204、第2の長手方向折り目205、第3の長手方向折り目206、および第4の長手方向折り目207を含む。その中で、第1の長手方向折り畳みは第1の長手方向折り目204に沿って延び、第2の長手方向折り畳みは第2の長手方向折り目205に沿って延び、第3の長手方向折り畳みは第3の長手方向折り目206に沿って延び、そして第4の長手方向折り畳みは第4の長手方向折り目207に沿って延びる。長手方向折り畳みはそれぞれ、製造される密封容器1100内に長手方向縁部1001を形成することを意図している。第1の長手方向折り畳みは第1の内角901によって特徴付けられ、第2の長手方向折り畳みは第2の内角902によって特徴付けられ、第3の長手方向折り畳みは第3の内角903によって特徴付けられ、および第4の長手方向折り畳みは第4の長手方向角904によって特徴付けられる。同時に、第1の内角901および第3の内角903はそれぞれ177度であり、第2の内角902および第4の内角904はそれぞれ3度である。したがって、本発明による容器前駆体900は、平坦に折り畳まれた状態にある。平坦に折り畳まれた容器前駆体900を成形1403することにより、スリーブ構造を形成することができる。成形1403は、図14に示すように、第1の長手方向折り畳みから第4の長手方向折り畳みまでを同時に実行することができる。容器前駆体900は、図1の方法100によって得ることができる。図10は、成形1403後の図9の容器前駆体900の側面図(直立)である。したがって、図10の容器前駆体900はもはや平坦に折り畳まれた状態にない。さらに、図10に示す側面図では、図9と比較して、シート状複合体201のキャリア層704に孔1005が見える。孔1005は、シート状複合体201の内面202上の孔カバー層1006として、接着促進層703、バリア層702、および内側ポリマー層701で覆われている。また、追加の折り目1002も示されている。追加の折り目1002に沿って折り畳んでシート状複合体201の該当部分を接合することによって、密封容器1100の上部領域1003および基部領域1004を形成することができる。また、ここには、第4の長手方向折り目207に沿って第4の長手方向折り畳みから形成された長手方向縁部1001も示されている。」(明細書45ページ27行~47ページ4行)
c 「[図:0001418473000005.jpg]」(図2)
d 「[図:0001418473000006.jpg]」(図9)
e 「[図:0001418473000007.jpg]」(図10)
(イ)引用文献5
新たに引用する特表2016-500389号公報(平成28年1月12日公表。以下「引用文献5」という。)には次の事項が記載されている。
「【技術分野】【0001】本発明は、概してコポリエステルベースのシュリンクフィルムに関する。」
「【0076】【表5】[図:0001418473000008.jpg]」
「【0077】【表6】[図:0001418473000009.jpg]」
「【0078】【表7】[図:0001418473000010.jpg]」
「【0079】【表8】[図:0001418473000011.jpg]」
(ウ)引用文献6
新たに引用する登録実用新案第3077126号公報(平成13年5月11日発行。以下「引用文献6」という。)には次の事項が記載されている。
「【0001】【考案の属する技術分野】本考案はシュリンクパックに関する。さらに詳しくは、印刷された表示がしわにならずに視認しやすいシュリンクパックに関する。」
「【0016】以上の構成により、図1のシュリンクパックを、包装対象(たとえばアイライナーなどの化粧品または筆記具など)にかぶせたのち、熱風を吹きつけるなどしてシュリンクフィルム1を熱収縮させれば、包装対象に密着して包装を行なうことができるが、シュリンクフィルム1のバーコード3および成分表示部4が印刷されている部分は、耐熱フィルム2によって補強されているため熱収縮しない。したがって、バーコード3および成分表示部4などの所定の表示は視認しやすくなる。また、バーコード3の読取り不良も生じなくなる。」
「【図1】[図:0001418473000012.jpg]」
(エ)引用文献7
新たに引用する特開平9-254935号公報(平成9年9月30日公開。以下「引用文献7」という。)には次の事項が記載されている。
「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、シュリンク包装用の装置とそれを用いたシュリンク包装方法に関する。詳しくは、内容表示やバーコードのように、歪むと支障を来す内容が印刷されているシュリンクフィルムを用いて、シュリンク包装する際に好適に用いることのできる包装装置、及び包装方法に関する。」
「【0004】また、近年商品管理に頻繁に用いられているバーコードのごとき印刷は、多少の歪みであっても、機械による情報の読みとりが不可能となる。よって、シュリンク包装を行う場合、通常バーコードの印刷はシュリンクフィルムには行わず、(1)被包装物である商品に直接印刷を行ったり、(2)粘着性シール等に印刷してこれを包装体に貼り付けたりしていた。しかしながら、(1)被包装物である商品に直接バーコードを印刷する場合、商品の販売形態や価格に変更があった場合(例えば5個分の値段で6個パックのティッシュペーパーを売る場合)、バーコードの内容を書き換えることができないので、十分な商品管理ができなくなっていた。また、(2)粘着性シールにバーコードを印刷してこれを包装体に貼り付ける場合、シールの貼り付けに手間がかかっていた。」
「【0019】さらに、本発明によるシュリンク包装装置、及びこれを用いた包装方法は、シュリンクフィルムに直接バーコードの印刷をすることを可能とするため、バーコードを印刷したシールを貼り付けるなどの手間がかからない。また、販売形態や販売価格が変更しても、変更に伴う再包装の際に、別のバーコードが印刷されたフィルムを用いると、新たな販売形態や販売価格の情報を商品に付与することができるので、気軽にセット販売やセール価格での販売ができる。」
(オ)引用文献8
新たに引用する特開2009-233859号公報(平成21年10月15日公開。以下「引用文献8」という。)には次の事項が記載されている。
「【0003】一方、コンベヤライン10により再利用可能な搬送容器であるバケット(通い箱)11が搬送され、該バケット11にはICカード12が取り付けられている。該カード12には、各顧客に対応して付された当該カード自身の番号や、作業者に与えられるべきピッキング指示に関する情報や、さらにはバケット11が搬送されるべき方向に関する情報等、システム内で該バケットを搬送しかつピッキング作業を行うに必要なすべての情報が格納されているとともに、それらの情報を表示する機能を有している。」
「【0008】上述のシステムでは、バケットに取り付けられたICカードで記録された情報を読み取ることは可能であるが、作業者が当該ICカードの内容を直接見ることはできないので、ICカードに加えて、当該ラベルに作業者が読取り可能な情報(文字情報)を印刷する装置もあった。また、図11におけるバケットに取り付けられたICカードを使用せずに、バスケットに貼付されたラベルにバーコード(2次元バーコードを含む)を印刷して、当該バーコードをバーコードリーダによって読取ることによって、バーコードを解析してハンドリングを行う装置もあった。」
(カ)周知技術1
引用文献4(上記(ア)a、b)の記載から、次の事項は周知技術であると認められる。
「包装体スリーブの材料として複合材料を使用すること。」(以下「周知技術1」という。)
(キ)周知技術2
引用文献4(上記(ア)a~e)の記載から、次の事項は周知技術であると認められる。
「長手方向継ぎ目により複合材料の2つの縁部をつなげて包装体スリーブを形成し、当該包装体スリーブを筒状に成形後に2つの開口部を有すること。」(以下「周知技術2」という。)
(ク)周知技術3
通常、包装に付されたバーコードは包装対象に関する情報を含むものであるから、引用文献6(【0016】)、引用文献7(【0004】、【0019】)の記載から、次の事項は周知技術であると認められる。
「シュリンクフィルムにおいて、商品に関する情報を含む機械読み取り可能なバーコードからなる印刷物を備えること。」(以下「周知技術3」という。)
(ケ)周知技術4
引用文献8(【0008】)の記載から、次の事項は周知技術であると認められる。
「搬送技術において、バーコードにハンドリングに関する情報を記録すること。」(以下「周知技術4」という。)
(3)対比
補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「所定枚数」の「カートンスリーブ1」は補正発明の「複数」の「包装体スリーブ(10)」に相当し、以下同様に、「折目a、a」は「折山(F)」に、「シュリンクフィルム12」は「プラスチック材料フィルム(17)から生産される」「外側包装体(15)」に、「包装された複数個の結束体A」は「バンドル(14)」に、それぞれ相当する。
引用発明の「一対の折目a、aにて偏平状に折り畳んだ偏平状」の「カートンスリーブ1」は、表側及び裏側を有することが明らかであり、この場合「折目a、a」は表側と裏側とを区切ることも明らかであるから、引用発明の「カートンスリーブ1」が「角筒状カートンスリーブ1を対向する一対の折目a、aにて偏平状に折り畳んだ偏平状」のものであることは、補正発明の「各包装体スリーブ(10)が表側(12)および裏側(13)を有し、- 各包装体スリーブ(10)の前記表側(12)と前記裏側(13)とが、前記包装体スリーブ(10)がそれに沿って偏平に折り畳まれる折山(F)によって互いから区切られ」ることに相当する。
引用発明の「包装された複数個の結束体A」が、「所定枚数の偏平状のカートンスリーブ1を結束したスリーブ結束体Aを、適宜個数、順次形成し、その結束体Aの外側からシュリンクフィルム12を被覆して包装した」ものであることは、補正発明の「外側包装体(15)」が「前記包装体スリーブ(10)を囲繞」すること、及び「バンドル(14)」が「複数の包装体スリーブ(10)」と「外側包装体(15)」とを備え、「前記包装体スリーブ(10)および前記外側包装体(15)を備える」ことに相当する。
以上のことから、補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「- 複数の包装体スリーブ(10)と、- 前記包装体スリーブ(10)を囲繞する、外側包装体(15)と、を備え、- 各包装体スリーブ(10)が表側(12)および裏側(13)を有し、- 各包装体スリーブ(10)の前記表側(12)と前記裏側(13)とが、前記包装体スリーブ(10)がそれに沿って偏平に折り畳まれる折山(F)によって互いから区切られ、前記包装体スリーブ(10)および前記外側包装体(15)を備えるバンドル(14)であって、前記外側包装体(15)はプラスチック材料フィルム(17)から生産される、バンドル(14)。」
[相違点1]
補正発明は、「包装体スリーブ(10)」が「複合材料」であるのに対して、引用発明は、「カートンスリーブ1」が複合材料であるか不明である点。
[相違点2]
補正発明の「各包装体スリーブ(10)」は、「前記包装体スリーブ(10)の両側に配置される2つの開口部を有」し、また、「前記複合材料の2つの縁部をつなげて筒状の包装体スリーブ(10)を形成する、長手方向シーム(11)を有する」のに対して、引用発明の「カートンスリーブ1」はそのようなものであるか不明である点。
[相違点3]
補正発明は、「前記プラスチック材料フィルム(17)は、積み重ね方向(S)に延びる溶着シーム(18)を少なくとも1つ有する」のに対して、引用発明の「シュリンクフィルム12」はそのようなものであるか不明である点。
[相違点4]
補正発明は、「前記プラスチック材料フィルム(17)は、破断点伸びが少なくとも100%の延伸性、及び収縮値が少なくとも5%の収縮性を有する」のに対して、引用発明の「シュリンクフィルム12」はそのようなものであるか不明である点。
[相違点5]
補正発明は、「前記プラスチック材料フィルム(17)は、機械読取り可能なコードから成る印刷物を備え、前記印刷物は、製品情報、生産情報、または製品追跡情報を含み、その代わりにまたはそれに加えて、前記バンドル(14)の位置決めおよび/または把持および/または開口部に関する情報を含む」のに対して、引用発明の「シュリンクフィルム12」はそのようなものであるか不明である点。
(4)判断
ア 相違点1について
引用発明における「カートンスリーブ1」の材料として何を用いるかは、当業者が適宜決め得ることであり、周知技術1を参考にして、相違点1に係る補正発明の構成とすることに格別の困難性はない。
イ 相違点2について
引用発明における「カートンスリーブ1」を周知技術2のような包装体スリーブの形成方法により形成することは当業者が適宜なし得ることであり、また、周知技術2のような形成方法を採用しても、複数のカートンスリーブ1(包装体スリーブ(10))を、シュリンクフィルム12(外側包装体(15))で囲繞するにあたり特段の不都合はないため、引用発明において、周知技術2を参考にして、相違点2に係る補正発明の構成とすることに格別の困難性はない。
ウ 相違点3について
引用文献2記載事項は、補正発明の用語を用いて整理すると、プラスチック材料フィルムは、溶接シームを少なくとも1つ有することといえる。
引用発明と引用文献2記載事項とは、シュリンクフィルムにより複数の収納物を包装するものであるから、引用発明のシュリンクフィルム12として、引用文献2記載事項のものを採用することは、当業者が容易になし得たことである。
その際、溶接シームの延びる方向をいずれの方向とするかは、諸事情を考慮して当業者が適宜決め得ることであり、包装体スリーブの積み重ね方向とすることは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。
エ 相違点4について
シュリンクフィルムの物性については、その強度や収縮性を考慮して当業者が適宜設計し得ることであり、また、シュリンクフィルムにおいて、破断点伸びが少なくとも100%の延伸性を有し、収縮値が少なくとも5%の収縮性を有するものは、例えば、引用文献5(延伸性については【表8】の「例番号」が4~7、12、13の「機械方向破断伸び(%)」を、収縮値については【表5】~【表7】の「TD収縮量(%)」を参照)に示されるように特殊なものではないから、引用発明のシュリンクフィルムとして、破断点伸びが少なくとも100%の延伸性を有し、収縮値が少なくとも5%の収縮性を有するものを採用することに格別の困難性はない。
オ 相違点5について
引用発明において、シュリンクフィルムにいかなる表示をどのように加えるかは、当業者が適宜決め得ることであり、周知技術3のような商品に関する情報を含む機械読み取り可能なバーコードや、周知技術4のようなハンドリングに関する情報を印刷して、相違点5に係る補正発明の構成とすることに格別の困難性はない。
カ 効果について
上記相違点を総合的に勘案しても、補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2記載事項及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
キ 請求人の主張について
(ア)請求人の主張の概要
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請求人は、審判請求書を対象とする手続補正書の3.(2)において、次の主張をしている。
「本願発明は、「プラスチック材料フィルム(17)は、破断点伸びが少なくとも100%の延伸性、及び収縮値が少なくとも5%の収縮性を有する」なる上記特徴点(b)を前提として、「プラスチック材料フィルム(17)は、機械読取り可能なコードから成る印刷物を備え、印刷物は、製品情報、生産情報、または製品追跡情報を含み、その代わりにまたはそれに加えて、バンドル(14)の位置決めおよび/または把持および/または開口部に関する情報を含む」なる上記特徴点(c)を具備するものであるのに対し、引用文献1に記載の発明は、本願発明の前提である延伸性及び収縮性を有するプラスチック材料フィルム(17)すら具備しておらず、そのような前提のプラスチック材料フィルム(17)に対して「製品情報、生産情報、または製品追跡情報や、バンドル(14)の位置決めおよび/または把持および/または開口部に関する情報を含む印刷物」を備えるものでもない。特に、引用文献1に記載の発明は、明細書の記載から、コストを低下させることを目的とするものであり、外装は可能な限り安価でなければならないことが読み取れることから、かかる引用文献1の記載に基づいて当業者が本願発明を想到するには困難性を有するものである。したがって、引用文献1(他の引用文献も同様)に記載の発明は、本願発明の如く「プラスチック素材フィルム(17)が過度に延伸及び収縮することにより、印刷物にしわや歪み等が生じて情報を読み取るのが困難になる不具合を低減することができ、印刷物の情報を円滑且つ確実に読み取ることができる」なる効果を奏することは決してなく、本願発明は、引用文献に基づいて当業者が適宜なし得る設計変更の範囲のことでは決してない。」
(イ)補正発明の構成(相違点4)について
上記オで説示したとおり、引用発明において、商品に関する情報を含む機械読み取り可能なバーコードや、ハンドリングに関する情報を印刷することに、困難性はない。そして、上記エで説示したとおり、引用発明のシュリンクフィルムとして、破断点伸びが少なくとも100%の延伸性を有し、収縮値が少なくとも5%の収縮性を有するものを採用することに格別の困難性はない。
なお、請求人は「引用文献1に記載の発明は、明細書の記載から、コストを低下させることを目的とするもの」と主張しているが、これに関して、引用文献1の【0006】には、プラスチック製ダンボールが高価であることが記載されているものであり、プラスチック製ダンボールを使用しない限りにおいて、必要な構成を備えることを排除しているものでないことは明らかである。
(ウ)請求人が主張する補正発明の作用効果について
請求人が主張する「プラスチック素材フィルム(17)が過度に延伸及び収縮することにより、印刷物にしわや歪み等が生じて情報を読み取るのが困難になる不具合を低減することができ、印刷物の情報を円滑且つ確実に読み取ることができる」なる効果については、本願明細書等に記載も示唆もされたものではない。
なお、補正発明の「前記プラスチック材料フィルム(17)は、機械読取り可能なコードからなる印刷物を備え」るという発明特定事項に関して、本願明細書の【0035】には、「印刷物は、プラスチック材料フィルムに直接またはプラスチック材料フィルムに貼付されるラベルに、印刷されることを提供することができる。」と記載されており、当該記載によると、「印刷物」は「プラスチック材料フィルムに貼付されるラベルに、印刷される」ものであってもよく、すなわち、ラベルに印刷される印刷物がプラスチック材料フィルム(17)に貼着される場合、補正発明において、「プラスチック素材フィルム(17)が過度に延伸及び収縮することにより、印刷物にしわや歪み等が生じて情報を読み取るのが困難になる不具合」は生じるものではなく、請求人が主張する上記効果は、請求項の記載に基づくものではない。
また、補正発明は、「破断点伸びが少なくとも100%の延伸性」を「有する」ものであり、「延伸性」の下限のみ規定され、大きく延伸するものも含むものであり、補正発明において「収縮値が少なくとも5%の収縮性を有する」ものであり、「収縮値」の下限のみ規定され、大きく収縮するものも含むものである。そうすると、補正発明は、「過度に延伸及び収縮する」ものも含むものであり、請求人が主張する効果は補正発明の効果ではない。
(5)小括
したがって、補正発明は、引用発明、引用文献2記載事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本願の請求項1~24に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は、それぞれ令和4年3月18日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~24に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本願発明は、上記第2[理由]1(2)に記載したとおりのものである。
2 原査定の拒絶理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は次のとおりのものである。
本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、本願の請求項2~24に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び引用文献3に記載された事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1 特開2006-123937号公報
2 特開昭52-74494号公報
3 特開2017-56997号公報
3 引用文献の記載、引用発明等
原査定の拒絶理由で引用された引用文献1、2、及びその記載事項等は、上記第2[理由]2(3)に記載したとおりである。
4 対比、判断
本願発明は、上記第2[理由]2で検討した補正発明から、「プラスチック材料フィルム」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する補正発明が、上記第2[理由]2(3)~(5)に記載したとおり、引用発明、引用文献2記載事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明、引用文献2記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-017890