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特許拒絶査定不服審判

2023-010879

電子レンジ用パウチ

審判番号
2023-010879
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-163766
請求日
2023年06月29日
審決日
2025年08月12日
公報発行日
2025年10月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】大日本印刷株式会社
  • 【請求人代理人】藤枡 裕実
審判長/審判官
  • 審判長 岩谷 一臣
  • 審判官 長清 吉範
  • 審判官 葛原 怜士郎
分類
P18 .121-Z (B65D) / P18 .575-Z (B65D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2021-163766「電子レンジ用パウチ」拒絶査定不服審判事件〔令和4年1月11日出願公開、特開2022-2984〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年2月9日に出願された特願2017-22235号の一部を、令和3年10月4日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和 3年10月 6日 :上申書の提出 令和 4年 7月11日付け:拒絶理由通知書 同年 9月15日 :意見書、手続補正書の提出 同年10月14日付け:拒絶理由通知書 同年12月23日 :意見書、手続補正書の提出 令和 5年 3月31日付け:補正の却下の決定 同年 3月31日付け:拒絶査定 (同年 4月 4日 :拒絶査定の謄本の送達) 同年 6月29日 :審判請求書の提出 同日 :手続補正書の提出 同年11月10日 :上申書の提出 第2 手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年6月29日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。なお、下線部は補正箇所を示す。 「【請求項1】 蒸通機構を備え、底部ガセット部を有するパウチであって、 表面フィルムと、裏面フィルムと、前記表面フィルムと前記裏面フィルムとの間に位置する底面フィルムと、前記表面フィルムと前記裏面フィルムを接合する側部シール部と、を有し、 前記側部シール部は、前記蒸通機構に近い側の第1側部シール部と、前記蒸通機構から遠い側の第2側部シール部と、で構成され、 前記第2側部シール部が第1部分と、前記第1部分の上側に位置する第2部分を含み、 前記第2部分のシール幅が前記第1部分のシール幅より大きく、前記第2部分において、前記蒸通機構と対向する位置より下方に切欠き、切り込み、傷痕群のいずれかの開封手段が設けられており、前記第1側部シール部には、切欠き、切り込み、傷痕群のいずれの開封手段も設けられておらず、 前記第2部分の長手方向の長さが前記第1部分の長手方向の長さより長く、 前記第2部分のシール幅は、前記蒸通機構より下方における前記第1側部シール部の幅より大きく、 前記蒸通機構は、蒸気抜けさせるための未シール部と、当該未シール部と収容部を隔離するための隔離シール部と、を含み、 前記隔離シール部のシール幅は、前記第1側部シール部のシール幅より小さい、電子レンジ用パウチ。」 (2) 本件補正前の特許請求の請求項1の範囲 本件補正前の、令和4年9月15日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 蒸通機構を備え、底部ガセット部を有するパウチであって、 表面フィルムと、裏面フィルムと、前記表面フィルムと前記裏面フィルムとの間に位置する底面フィルムと、前記表面フィルムと前記裏面フィルムを接合する側部シール部と、を有し、 前記側部シール部は、前記蒸通機構に近い側の第1側部シール部と、前記蒸通機構から遠い側の第2側部シール部と、で構成され、 前記第2側部シール部が第1部分と、前記第1部分の上側に位置する第2部分を含み、 前記第2部分のシール幅が前記第1部分のシール幅より大きく、前記第2部分において、前記蒸通機構と対向する位置より下方に切欠き、切り込み、傷痕群のいずれかの開封手段が設けられており、前記第1側部シール部には、切欠き、切り込み、傷痕群のいずれの開封手段も設けられておらず、 前記第2部分の長手方向の長さが前記第1部分の長手方向の長さより長い、電子レンジ用パウチ。」 2 補正の適否 本件補正における請求項1に関する補正の内容について検討する。 本件補正における請求項1において追加された「前記第2部分のシール幅は、前記蒸通機構より下方における前記第1側部シール部の幅より大きく、前記蒸通機構は、蒸気抜けさせるための未シール部と、当該未シール部と収容部を隔離するための隔離シール部と、を含み、前記隔離シール部のシール幅は、前記第1側部シール部のシール幅より小さい、」という事項については、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である第2側部シール部における第2部分のシール幅、及び蒸通機構に関してその構成をさらに特定する補正であって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)の【請求項1】に記載したとおりのものである。 (2) 引用文献の記載事項及び発明等 ア 引用文献1 (ア) 引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された特開平11-278556号公報(平成11年10月12日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(以下、下線は当審において付与。また、「・・・」は、省略を示す。)。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電子レンジ用包装袋に関し、さらに詳しくは、食品等の内容物を包装袋に入れたままの状態で電子レンジにより解凍、加熱する際に適度の通気性を有し、破袋することのない電子レンジ用包装袋に関する。」 「【0030】図1は本発明にかかる包装袋の第1の実施形態の平面図であって、包装袋1Aは周縁部が熱接着されたスタンディングパウチであって、該包装袋1Aの隅角部(図上の左上隅角部)を形成する互いに交わる端縁熱接着部2、3の前記端縁熱接着部2から突出する突出熱接着部5が前記端縁熱接着部3との間に空間を形成するように設けられ、前記空間を覆うと共に前記突出熱接着部5の先端との間に隙間が形成されるように前記端縁熱接着部3から延びる突出熱接着部6が形成され、前記端縁熱接着部2、3と前記突出熱接着部5と前記突出熱接着部6とで囲まれた小空間部4が形成されている。このように構成することにより、包装袋1Aは前記突出熱接着部5、6により小空間部4とその他の大空間部8に2分割されると共に前記隙間が前記小空間部4と前記大空間部8とを繋ぐ連通口7となる。また、前記連通口7は前記小空間部4の角隅部側に包装袋1A内の空気を抜く通気口を設けた際に、該通気口に前記連通口7から前記大空間部8の空気が直線的に流れないように構成され、前記大空間部8に内容物が収容された包装袋1Aを電子レンジで解凍や加熱等の調理を行った際に内容物が突沸したとしても、突沸したものが直接通気口から外部へ吹き出すことがないようになっている。 【0031】また、前記小空間部4を横断するように前記端縁熱接着部3の周縁辺から通気口形成用切目9が形成されると共に、前記通気口形成用切目9の一方の端部と前記端縁熱接着部3の前記周縁辺との交点にV字形状の通気口形成用切欠10が設けられている。 ・・・ 【0032】一方、前記通気口形成用切欠10を設けた前記端縁熱接着部3を構成する辺と対向する辺の対向する位置に幅広に構成された熱接着部11が形成されると共に、前記熱接着部11の周縁辺にV字形状の開封口形成用切欠20が形成され、前記V字形状の開封口形成用切欠20から前記V字形状の通気口形成用切欠10が設けられている前記端縁熱接着部3まで開封口形成用切目19が形成されている。さらに前記V字形状の開封口形成用切欠20が設けられた前記熱接着部11に前記V字形状の開封口形成用切欠20を挟むようにエンボス部30、30が形成されている。 【0033】ところで、前記熱接着部11を幅広に構成したのは、包装袋1Aを電子レンジで解凍や加熱等の調理をした場合に包装袋1Aが熱くなり手指で持ち難くなるのを防止するためであるが、この構成は必要に応じて設ければよい。」 「【0036】次に、前記包装袋1Aを使用する場合について説明すると、まず、通気口形成用切欠10から通気口形成用切目9に沿って引き裂いて通気口を設け、その後に通気口を設けた包装袋1Aを電子レンジに入れて解凍や加熱等の調理を行い、解凍や加熱等が完了して後に、開封口形成用切欠20から開封口形成用切目19に沿って引き裂いて開封口を設け、開封口から内容物を食器等に取り出す。開封口を設ける開封口形成用切欠20が通気口を設けた側と相対する位置に形成されていることにより、手指が汚れることなく、また、水蒸気等の吹き出しで熱い思いをすることもなく、内容物を取り出すことができる。」 「【0038】図2は本発明にかかる包装袋の第2の実施形態の平面図であって、包装袋1Bは図1の第1の実施形態の包装袋1Aにおいて端縁熱接着部2、3にそれぞれ設けた突出熱接着部5、6を逆の位置にして設けると共に、通気口形成用切欠10、通気口形成用切目9、引き裂き防止壁40の設ける位置をこれに伴って変更した以外は第1の実施形態と同じであり説明は省略する。」 「【0044】図7は図1~6の包装袋の層構成を示す断面図であって、包装袋1A~1Fは、15μmの2軸延伸ポリアミドフィルム(ナイロンー6フィルム)からなる外層50と60μmのポリプロピレンからなる内層60との2層の積層体70から構成されている。図7の積層体70は外層50と内層60とを周知のドライラミネーション法で作製したが、周知のTダイ押し出しラミネーション法で作製してもよく、その場合は必要に応じてアンカーコート剤を用いることができる。この積層体70を包装袋1A~1Fにするには、周知のスタンディングパウチ製袋機で積層体70の内層60の面を対向させて重ね合わせて胴部にすると共に、底部(図1、2において下方部)に前記積層体70からなる底材の内層60を前記胴部を形成する積層体70の内層60と対向するようにV字状に折り重ねて前記胴部を形成する積層体70の内層60間に挿入し、その周縁部を所定形状の熱板で熱接着することにより作製することができる。」 「【図2】 [図:0001427179000001.jpg] 」 (イ) 引用文献1の記載から認定できる事項 a 【図2】の記載から、スタンディングパウチの熱接着された周縁部が、両側部が熱接着された部分(以下、【図2】において、左側の熱接着された部分を「第1側部熱接着部」、右側の熱接着された部分を「第2側部熱接着部」という。)を含むことが看取される。加えて、【図2】から、「第1側部熱接着部」が、端縁熱接着部3を構成する辺であることが看取される。 b 【図2】の記載から、上記aで示した「第2側部熱接着部」は、幅広に構成された「熱接着部11」と、「熱接着部11」の下側に位置し当該「熱接着部11」よりも幅の狭い接着部(以下「下部接着部」という。)から構成されていることが看取される。 c 【0030】~【0032】、【0036】、【0038】、及び【図2】の記載を踏まえれば、「スタンディングパウチ」が、「通気口形成用切欠10から通気口形成用切目9に沿って引き裂いて形成される通気口によって形成され、パウチ内の空気を放出する機構」を備えていると認められる。 d 【図2】の記載から、「開封口形成用切欠20」は、「連通孔7」、及び上記cで示した「通気口形成用切欠10から通気口形成用切目9に沿って引き裂いて形成される通気口によって形成され、パウチ内の空気を放出する機構」よりも下方に設けられていることが看取される。 (ウ) 引用文献1に記載の発明 上記(ア)及び(イ)から、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「包装袋1Bは周縁部が熱接着された電子レンジ用包装に用いるスタンディングパウチであって、該包装袋1Bの隅角部を形成する互いに交わる端縁熱接着部2、3の前記端縁熱接着部3から突出する突出熱接着部5が前記端縁熱接着部2との間に空間を形成するように設けられ、前記空間を覆うと共に前記突出熱接着部5の先端との間に隙間が形成されるように前記端縁熱接着部2から延びる突出熱接着部6が形成され、前記端縁熱接着部2、3と前記突出熱接着部5と前記突出熱接着部6とで囲まれた小空間部4が形成され、 前記小空間部4を横断するように前記端縁熱接着部2の周縁辺から通気口形成用切目9が形成されると共に、前記通気口形成用切目9の一方の端部と前記端縁熱接着部2の前記周縁辺との交点にV字形状の通気口形成用切欠10が設けられ、 前記端縁熱接着部3を構成する辺と対向する辺の対向する位置に幅広に構成された熱接着部11が形成されると共に、前記熱接着部11の周縁辺にV字形状の開封口形成用切欠20が形成され、 通気口形成用切欠10から通気口形成用切目9に沿って引き裂いて形成される通気口によって形成され、パウチ内の空気を放出する機構を備え、 包装袋1Bは、積層体70の内層60の面を対向させて重ね合わせて胴部にすると共に、底部に底材をV字状に折り重ねて設け、 スタンディングパウチの熱接着された周縁部が、第1側部熱接着部及び第2側部熱接着部を含み、 第1側部熱接着部が、端縁熱接着部3を構成する辺であり、 第2側部熱接着部が、熱接着部11と、熱接着部11の下側に位置し当該熱接着部11よりも幅の狭い下部接着部から構成され、 開封口形成用切欠20が、連通孔7、及び通気口形成用切欠10から通気口形成用切目9に沿って引き裂いて形成される通気口によって形成され、パウチ内の空気を放出する機構より下方に設けられた、スタンディングパウチ。」 イ 引用文献2及び引用文献3、並びに周知技術 (ア) 引用文献2の記載 原査定の拒絶の理由で引用文献5として引用された特開2000-281083号公報(平成12年10月10日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、食品をその内部に収容し、使用者が簡易にその食品を温めること等ができる食品包装容器及びこの食品包装容器を自立させるときに用いる自立補助部材が付いている自立補助部材付き食品包装容器に関するものである。」 「【0029】一方、消費者が別の器を準備できないときは、消費者は自立型のレトルトパウチ容器10を上述のように自立させた後、第2の切断部である食器用開封部16を操作することになる。この食器用開封部16は、上記開封部15と同様に自立型のレトルトパウチ容器10の両側端部14、14に設けられた切り欠き部16a、16aと、これら両側端部14、14を結ぶように形成された切断線16bとを有している。この切断線16bは、上記開封部15の切断線15bと同様に、例えば図3に示すように形成されている。また、この食器用開封部16は、上記開封部15より下方であって、且つ、この自立型のレトルトパウチ容器10を自立させた際に配置された上記ベビーフードの上端位置より上方に設けられている。すなわち、この自立型のレトルトパウチ容器10を自立させ、内容物であるベビーフードを下方に移動させた状態で、この食器用開封部16を切断しても、ベビーフードは外部にこぼれることがないような位置に、この食器用開封部16は配置されている。したがって、本実施の形態では、この食器用開封部16は、自立型のレトルトパウチ容器10の略中央部に、図において水平方向に設けられているが、これに限らず、自立型のレトルトパウチ容器10内に収容する食品の種類及び量等によって適宜決定されるものである。」 「【図1】 [図:0001427179000002.jpg] 」 (イ) 引用文献3の記載 原査定の拒絶の理由で引用文献4として引用された実願平4-42861号(実開平6-3849号)のCD-ROM(平成6年1月18日出願公開。以下「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。 「【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は食品の包装用袋と包装体、さらに詳しくは、主として麺類等の食品を包装した包装用袋と包装体に関する。」 「【0017】 5,…は、前記両側縁のシール部3aの外側縁に形成された略V字状の切目で、前記最上部の把持用孔4,4の上側と、中央及び最下部の把持用孔4,4の間との2箇所にそれぞれ形成されている。」 「【0025】 尚、上記実施例では、袋本体1の両側縁に把持用孔4と切目5が形成されているが、この把持用孔4と切目5は必ずしも両側に形成されている必要はなく、図7に示すように袋本体1の一側縁側のみに形成することも可能である。」 「【図7】 [図:0001427179000003.jpg] 」 (ウ) 周知技術 上記(ア)及び(イ)から、以下の事項は周知の技術(以下、「周知技術1」という。)と認められる。 「食品の包装袋において、開封用の切欠を側部の低い位置に設けること。」 ウ 引用文献4 (ア) 引用文献4の記載 当審において新たに引用する特開2015-134615号公報(平成27年7月27日出願公開。以下「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。 「【0139】 図8は、本発明の第2の実施の形態におけるパウチの一例を示す平面図である。図8に示すパウチ1は、胴部110と底部120とをヒートシールして形成されるスタンディング形式のパウチである。 ・・・ 【0142】 (周囲領域) 積層フィルム10からなる一対の主面シート111及び底面シート121によって周囲領域3が画成される。一対の主面シート111と底面シート121とからなる周囲領域3は、内容物を収容する収容空間2を取り囲んでいる。また、周囲領域3には、加熱時に収容空間2内の蒸気を逃がすための蒸気抜き機構6が設けられている。 【0143】 図8に示すように、周囲領域3は、重ねられた積層フィルム10がヒートシールされたシール領域40と、シール領域40によって収容空間2から隔離され、重ねられた積層フィルム10がヒートシールされていない第1未シール領域60と、を有している。 【0144】 このうち、第1未シール領域60は、電子レンジによる加熱に伴って発生する蒸気によってパウチ内の圧力が高まった際に、収容空間2と連通してパウチ内の蒸気を外部へ逃がすために設けられている。第1未シール領域60は、パウチ1の外縁5から、収容空間2側に張り出している。本実施の形態の第1未シール領域60は、ヒートシールされない重ねられた主面シート111をなす積層フィルム10からなる。従って、第1未シール領域60には、重ねられた積層フィルム10の縁部によって規定される開口61が形成されている。図示する例では、開口61は、重ねられた一対の主面シート111の側縁14によって形成されている。」 「【0152】 図8に示すように、本実施の形態のシール領域40は、一対の主面シート111の上縁13近傍をヒートシールした上部シール領域(図2において二点鎖線で囲まれた領域)41と、一対の主面シート111の側縁14近傍をヒートシールした側部シール領域42と、底面シート121の周縁近傍と主面シート111の下縁15近傍とをヒートシールした下部シール領域43と、を含んでいる。 【0153】 図9に示すように、本実施の形態の側部シール領域42は、当該パウチ1の外縁5に沿って第1未シール領域60の第1縁部63まで延びる第1外縁シール部分45と、当該パウチ1の外縁5に沿って第1未シール領域60の第2縁部64まで延びる第2外縁シール部分46と、を含んでいる。加えて、側部シール領域42は、第1外縁シール部分45と第2外縁シール部分46との間に位置し、第1外縁シール部分45と第2外縁シール部分46よりも収容空間2に向けて張り出した張出部44を含んでいる。 ・・・ 【0155】 図3(当審注:「図3」は「図9」の誤記。)に示すように、張出部44の巾W11は、シール領域40の張出部44以外の部分の巾よりも狭くなっている。従って、シール領域40内の各地点での接合力が等しい場合、シール領域40は、張出部44において最も剥離し易くなる。」 「【図8】 [図:0001427179000004.jpg] 【図9】 [図:0001427179000005.jpg] 」 (イ) 引用文献4に記載の事項 上記(ア)から、引用文献4には以下の事項(以下「引用文献4記載事項」という。)が記載されている。 「スタンディング形式のパウチの蒸気抜き機構6として、パウチ内の蒸気を外部へ逃がすための第1未シール領域60と、収容空間2に向けて張り出した張出部44を含むシール領域40を備え、張出部44の巾W11を、シール領域40の張出部44以外の部分の巾よりも狭くすること。」 (3)本件補正発明について ア 対比 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 引用発明の「底部」は、「底材」を「V字状に折り重ねて設けた」ものであるから、その形状からみて、本件補正発明の「底部ガセット部」に相当する。そうすると、引用発明の「スタンディングパウチ」は、本件補正発明の「底部ガセット部を有するパウチ」に相当する。 (イ) 引用発明の「通気口形成用切欠10から通気口形成用切目9に沿って引き裂いて形成される通気口によって形成され、パウチ内の空気を放出する機構」は、手で引き裂いて形成するものではあるが、「連通孔7」も含め加熱調理による空気を放出するための機構にほかならない。そうすると、当該事項は、本件補正発明の「蒸通機構」に相当する。 (ウ) 引用発明の「スタンディングパウチ」は、「周縁部が熱接着された」ものであるところ、「積層体70の内層60の面を対向させて重ね合わせて胴部にすると共に、底部に底材をV字状に折り重ねて設けた」ものであるから、技術常識を踏まえれば、本件補正発明と同様、「表面フィルムと、裏面フィルムと、前記表面フィルムと前記裏面フィルムとの間に位置する底面フィルムと、前記表面フィルムと前記裏面フィルムを接合する側部シール部と、を有」するものである。 (エ) 引用発明の「第1側部熱接着部」及び「第2側部熱接着部」は、「通気口」が形成される部位を踏まえると、それぞれ本件補正発明の「前記蒸通機構に近い側の第1側部シール部」、及び「前記蒸通機構から遠い側の第2側部シール部」に相当する。 (オ) 引用発明の「熱接着部11」及び「下部接着部」は、それぞれ本件補正発明の「第2部分」及び「第1部分」に相当する。そうすると、引用発明の「第2側部熱接着部が、熱接着部11と、熱接着部11の下側に位置し当該熱接着部11よりも幅の狭い下部接着部から構成され」る構成は、本件補正発明の「前記第2側部シール部が第1部分と、前記第1部分の上側に位置する第2部分を含み、前記第2部分のシール幅が前記第1部分のシール幅より大き」い構成に相当する。 (カ) 引用発明の「開封口形成用切欠20」は、本件補正発明の「切欠き、切り込み、傷痕群のいずれかの開封手段」に相当する。また、引用発明の「開封口形成用切欠20が、連通孔7、及び通気口形成用切欠10から通気口形成用切目9に沿って引き裂いて形成される通気口によって形成され、パウチ内の空気を放出する機構より下方に設けられた」構成は、「前記第2部分において、前記蒸通機構と対向する位置より下方に切欠き、切り込み、傷痕群のいずれかの開封手段が設けられており」に相当する。さらに、引用発明において、「第1側部熱接着部」には特段切欠等は設けられていないから、本件補正発明の「前記第1側部シール部には、切欠き、切り込み、傷痕群のいずれの開封手段も設けられておらず」という構成に相当する。 (キ) 引用発明の「電子レンジ用包装に用いるスタンディングパウチ」は、本件補正発明の「電子レンジ用パウチ」に相当する。 イ 一致点及び相違点 上記ア(ア)~(キ)を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、以下の点で一致し、相違する。 [一致点] 「蒸通機構を備え、底部ガセット部を有するパウチであって、 表面フィルムと、裏面フィルムと、前記表面フィルムと前記裏面フィルムとの間に位置する底面フィルムと、前記表面フィルムと前記裏面フィルムを接合する側部シール部と、を有し、 前記側部シール部は、前記蒸通機構に近い側の第1側部シール部と、前記蒸通機構から遠い側の第2側部シール部と、で構成され、 前記第2側部シール部が第1部分と、前記第1部分の上側に位置する第2部分を含み、 前記第2部分のシール幅が前記第1部分のシール幅より大きく、前記第2部分において、前記蒸通機構と対向する位置より下方に切欠き、切り込み、傷痕群のいずれかの開封手段が設けられており、前記第1側部シール部には、切欠き、切り込み、傷痕群のいずれの開封手段も設けられていない、電子レンジ用パウチ。」 [相違点1] 第2側部シール部について、本件補正発明は「前記第2部分の長手方向の長さが前記第1部分の長手方向の長さより長く」構成されているのに対し、引用発明はそのように特定されていない点。 [相違点2] 第2側部シール部について、本件補正発明は「前記第2部分のシール幅は、前記蒸通機構より下方における前記第1側部シール部の幅より大きく」構成されているのに対し、引用発明では、そのように構成されているか不明である点。 [相違点3] 蒸通機構について、本件補正発明は「蒸気抜けさせるための未シール部と、当該未シール部と収容部を隔離するための隔離シール部と、を含み、前記隔離シール部のシール幅は、前記第1側部シール部のシール幅より小さい」という構成であるのに対し、引用発明は、「未シール部」及び「隔離シール部」を備えていない点。 ウ 判断 以下、相違点について検討する。 (ア) 相違点1について 上記(2)ア(ア)に示したとおり、引用文献1の【0033】には、「前記熱接着部11を幅広に構成したのは、包装袋1Aを電子レンジで解凍や加熱等の調理をした場合に包装袋1Aが熱くなり手指で持ち難くなるのを防止するためである」と記載されているところ、これは、引用発明の「開封口形成用切欠20」を開封するために手指で持つことを考慮して、切り取られる部分の周辺から上部にかけて「熱接着部11」を幅広に構成したものと理解される。 一方、食品の包装袋において、開封用の切欠を設ける位置は、内容物の種類や量に応じて当業者が適宜設計し得ることであるところ(必要であれば、上記(2)イ(ア)に示した引用文献2の【0029】を参照されたい。)、その位置を包装袋の低い位置に設けることは上記(2)イ(ウ)のとおり周知技術である。そうすると、引用発明の「開封口形成用切欠20」をより下方に設け、当該相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が適宜なし得ることである。 (イ) 相違点2について 上記(ア)において示したとおり、引用発明の「熱接着部11」は「開封口形成用切欠20」を開封するために手指で持つことを考慮して幅広に構成されているものであるから、「開封口形成用切欠20」が設けられた第2部分のシール幅を、「開封口形成用切欠20」が設けられていない、すなわち開封するために手指で持つことを考慮する必要性が低い第1側部熱接着部のシール幅より、大きくすることは当業者にとって容易に想到し得たことである。 (ウ) 相違点3について 引用文献4記載事項の「蒸気抜き機構6」は、本件補正発明の表現にならえば、「蒸気抜けさせるための未シール部と、当該未シール部と収容部を隔離するための隔離シール部と、を含み、前記隔離シール部のシール幅は、前記第1側部シール部のシール幅より小さい」ものである。 そして、引用文献4記載事項は、電子レンジによる加熱時にパウチ内の空気を放出するものであるから、引用発明において、「通気口形成用切欠10から通気口形成用切目9に沿って引き裂いて形成される通気口によって形成され、パウチ内の空気を放出する機構」に代えて、引用文献4記載事項の構成を採用し、上記相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。 (エ) 作用効果について 本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献4記載事項及び周知技術1の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (オ) 審判請求書及び意見書における主張について 審判請求人は、審判請求書において、以下のとおり主張する。 「補正の却下の決定においては、「包装袋の技術分野において、袋の開封位置を収容部の高さ方向の中央近傍の位置に配置することで、収容される内容物の体積が少ない場合等において収納物の取り出しやすさが向上すること」を理由に、引用文献4、5の「袋の開封位置」の構成を引用文献1に適用することが、当業者が容易になし得たことであると判断されている。しかしながら、引用文献4に記載の発明において、「収納物の取り出しやすさが向上する」という課題は、側縁に把手12が設けられことで解決されている(引用文献4の段落〔0009〕、〔0012〕、図1参照)。 また、引用文献5に記載の発明において、「収納物の取り出しやすさが向上する」という課題は、開口部の開口形状を保持するための形状保持部材が設けられることによって解決されている(引用文献5の段落〔0022〕、図1参照)。また、引用文献5の第2の切断部は、この容器で調理済み食品を食するためのものである(引用文献5の段落〔0029〕、図5参照)。 このため、引用文献4、5に記載の発明において、「袋の開封位置」は引用文献1の収容物を取り出すための「開口部形成用切欠20」の開封位置とは無関係である(引用文献1の段落〔0036〕、図2参照)。 従って、当業者が引用文献4、5の「袋の開封位置」という構成を引用文献1に適用する動機は無いと考える。 上述のとおり、当業者が引用文献1と引用文献4、5を組み合わせる動機は無く、従って本願発明は、引用文献1に基づいて当業者が容易に発明することができたものではないと考える。」 また、審判請求人は、令和4年9月15日に提出した意見書において、以下のとおり主張する。 「(3)引用文献との対比 引用文献1には、電子レンジ調理の際に蒸気を逃がす通気口を設けるための通気口形成用切目9を備え、底部ガセット部を有する包装袋1Bであって、表面フィルムと、裏面フィルムと、を有し、通気口形成用切目9より下方に開封口形成用切欠20が設けられている包装袋1Bが記載されている。 本願請求項1に係る発明と引用文献1に記載の発明とを比較すると、本願請求項1に係る発明が、以下の特徴Aを有するのに対し、引用文献1に記載の発明は、有していない点で異なる。 A.蒸通機構から遠い側の第2側部シール部において、第2部分の長手方向の長さが第1部分の長手方向の長さより長い点 本願請求項1に係る発明は、上記特徴Aを有しているため、蒸通機構を有する場合でも、本願明細書にも記載のように「開封位置と内容物の上面との距離を近くすることができ、内容物を取り出しやすくすることができる。」(段落[0030])という効果を有する。 これに対して、引用文献1に記載の発明は、上記特徴Aを有していない。このため、蒸通機構を有する場合に、開封位置と内容物の上面との距離を近くし、内容物を取り出しやすくすることが難しい。」 しかしながら、上記(ア)において検討したとおり、引用発明における「開封口形成用切欠20」を設ける位置は、内容物の種類や量に応じて当業者が適宜設計し得ることであり、「開封口形成用切欠20」をより下方に設けることは、上記(2)イ(ウ)に示した周知技術1を踏まえれば、当業者が適宜なし得ることである。また、スタンディングパウチにおいて、容器で調理済み食品を食するものは例示するまでもなく周知であり、そのようなスタンディングパウチにおける開封用の切欠の配置といった構成を参酌することに、阻害事由は認められない。 そして、上記意見書で主張する効果は、上記(エ)のとおり、引用発明、引用文献4記載事項及び周知技術1の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 加えて、上記意見書で主張する「A.蒸通機構から遠い側の第2側部シール部において、第2部分の長手方向の長さが第1部分の長手方向の長さより長い点」については、開封手段の位置と直接関連したものでない。すなわち、本件補正発明は、開封手段を蒸通機構と対向する位置よりも下方と特定するのみであるから、開封手段が蒸通機構と対向する位置よりわずかに下方に設けられる態様も含むものである。そうすると、上記Aの構成によって開封位置と内容物の上面との距離が近くなるものでは必ずしもなく、上記意見書で主張する作用効果は請求項に基くものとは認められない。 以上より、審判請求人の上記主張は採用できない。 (カ) 小括 以上のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献4記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 以上のことから、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和4年9月15日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由の概要 本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明、及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開平11-278556号公報 引用文献2:特開2007-137478号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4:実願平4-42861号(実開平06-003849号)のCD-ROM(周知技術を示す文献) 引用文献5:特開2000-281083号公報(周知技術を示す文献) 3 引用文献 (1) 引用文献1、引用文献4、及び引用文献5 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(上記第2[理由]2における引用文献1)の記載事項は、上記第2[理由]2(2)アに記載したとおりである。また、原査定の拒絶の理由で引用された引用文献4(上記第2[理由]2における引用文献3)及び引用文献5(上記第2[理由]2における引用文献2)の記載、及び引用文献4及び引用文献5の記載から認められる周知技術は、上記第2[理由]2(2)イに記載したとおりである。 (2) 引用文献2及び周知技術 ア 引用文献2には、以下の記載がある。 「【0014】 図1は、本発明の電子レンジ用包装袋1の実施例を示す斜視図である。 図1に示すように、本発明にかかる電子レンジ用包装袋1は、胴部を構成する四角形からなる前面2と後面3の底部に、底面4を逆V字状に折り畳んで挿入し、前面2と後面3と底面4の周縁部をそれぞれヒートシールして、胴部シール部5、および、底部シール部6を形成し、内容物を充填後、天部シール部7をヒートシールして密封され、充填した内容物により底面4が前後に拡張して自立できる形態の自立性包装袋である。」 イ 周知技術と認められる事項 上記アから、以下の事項は周知の技術(以下「周知技術2」という。)と認められる。 「電子レンジ用包装袋において、胴部を構成する前面と後面の底部に、底面を逆V字状に折り畳んで挿入し、底部シール部を形成すること。」 4 対比・判断 本願発明は、上記第2[理由]1(1)の本件補正発明から、「第2部分」に関して、「前記第2部分のシール幅は、前記蒸通機構より下方における前記第1側部シール部の幅より大きく」とした限定事項を削除し、「蒸通機構」に関して、「前記蒸通機構は、蒸気抜けさせるための未シール部と、当該未シール部と収容部を隔離するための隔離シール部と、を含み、前記隔離シール部のシール幅は、前記第1側部シール部のシール幅より小さい」とした限定事項を削除したものである。 そして、本願発明と引用発明とを対比すると、上記第2[理由]2(3)アで対比したとおりであって、上記第2[理由]2(3)イに示した相違点1で相違している。 しかしながら、上記相違点1については、上記第2[理由]2(3)ウでの判断のとおりである。 また、引用発明のスタンディングパウチは、「底部に底材をV字状に折り重ねて設け」たものであるが、上記3(2)イに示した周知技術2を踏まえることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。 そうすると、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-010879

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