商標拒絶査定不服審判
2022-017829
エリー
- 審判番号
- 2022-017829
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-133816
- 請求日
- 2022年11月07日
- 審決日
- 2023年12月15日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】エリーパワー株式会社
- 【請求人代理人】長谷川 芳樹
- 【請求人代理人】黒川 朋也
- 【請求人代理人】浜田 廣士
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 青野 紀子
- 分類
- T18 .261-WY (W070912) / T18 .262-WY (W070912) / T18 .263-WY (W070912)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-133816拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「エリー」の文字を標準文字で表してなり、第7類、第9類及び第12類に属する別掲1のとおりの商品を指定商品として、令和3年10月27日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年5月11日付けで拒絶理由の通知がされ、同年6月24日に意見書が提出され、同年8月3日付けで拒絶査定がされたもので、これに対して、同年11月7日に拒絶査定不服審判の請求書が提出されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)ないし(3)に掲げるとおりであり、これらの商標権は、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5955499号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:ELI
登録出願日:平成28年8月19日
設定登録日:平成29年6月16日
指定商品及び指定役務:第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),電子管,半導体素子,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム」並びに第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
(2)登録第5964331号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:ELI(標準文字)
登録出願日:平成28年2月1日
設定登録日:平成29年7月14日
指定商品:第12類「自動車,電気自動車,船舶・航空機・鉄道車輌・自動車・二輪自動車用座席,自動車用車体,自動車用シャシー,自動車用扉,ゴルフカート(乗り物),スクーター(乗物),二輪自動車・自転車」
(3)登録第6221543号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:令和元年10月21日
設定登録日:令和2年1月31日
指定商品及び指定役務:第9類「眼鏡,携帯電話機用スタンド,携帯電話機・スマートフォン用のケース又はカバー,タブレットコンピューター用のケース又はカバー,CD又はDVD用のケース,電気通信機械器具,電気通信機械器具の部品及び附属品,電子応用機械器具及びその部品」、第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」並びに第1類、第4類、第7類、第8類、第11類、第16類ないし第21類、第27類、第37類、第40類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標と引用商標とは、「エリー」の称呼を共通にするものであり、観念については比較できないものであるが、両者が外観上別異のものとして格別強い印象を与えるとまではいえないというのが相当であって、それらの外観の差異は、例えば時と所を異にしてみた場合、称呼における類似性をしのぐほどの特段の差異を取引者・需要者に印象付けるとはいい難いというべきであり、両者の外観、称呼及び観念を総合的に考察すると、本願商標と引用商標は互いに紛れるおそれのある類似する商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、上記1のとおり、「エリー」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般的な辞書等に載録がなく、特定の意味合いを有しない造語と理解されるものである。
したがって、本願商標は、その構成文字に相応して、「エリー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1及び引用商標2について
引用商標1及び引用商標2は、上記2(1)及び(2)のとおり、「ELI」の文字を横書きしてなるところ、当該文字は、「エリ:イスラエルの士師(judge)で祭司」の意味(「ランダムハウス英和大辞典第2版」株式会社小学館)を有する英語として辞書に載録されているものの、我が国において、当該文字がそのような意味を有する既成の語として一般に広く知られているとはいい難いものであるから、特定の意味を有しない造語と理解されるというのが相当である。
そうすると、一般的には、商標が、それ自体あまり知られていない欧文字からなる場合、我が国において広く親しまれている英語風又はローマ字風の読み方に倣って称呼されるとみるのが自然であるから、引用商標1及び引用商標2よりは、「ELI」の構成文字に相応して、「イーエルアイ」又は「エリ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標3について
引用商標3は、別掲2のとおり、地球儀をモチーフとしたと思われる緑色の図形(以下「引用3図形部分」という。)の右側に、大きく顕著に表された「ERI」の緑色の欧文字(以下「引用3上段文字部分」という場合がある。)を配し、その下段に、緑色の小さな文字で表された「Eco Research」の文字、さらに、その下段に「Institute Ltd.」の文字(以下「Eco Research」及び「Institute Lid.」の文字を併せて「引用3下段文字部分」という場合がある。)を配した構成よりなるものである。
そして、引用商標3は、その構成中の、引用3図形部分、引用3上段文字部分及び引用3下段文字部分は、これらが重なることなく配置され、また、その態様及び文字の大きさにおいて顕著な差異があるから、それぞれが、視覚上、分離して観察されるものといえ、これらをそれぞれ分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものではない。
そこで、引用3図形部分は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであるから、これよりは直ちに特定の称呼及び観念は生じないものであり、引用3上段文字部分は、引用3下段文字部分中の「Eco」、「Research」及び「Institute」の頭字語である「E」、「R」及び「I」を結合したものと認識する場合があるとしても、「ERI」の欧文字は、特定の意味合いを想起させる語でなく、「Eco Research Institute」の文字も特定の意味合いを想起させる語でないことから、引用3上段文字部分と引用3下段文字部分との間に観念的な関連性は見いだせない。
そうすると、引用商標3は、その構成全体をもって、まとまりある具体的な意味合いを認識させるものではなく、他に、引用商標3を構成する、引用3図形部分、引用3上段文字部分及び引用3下段文字部分とを常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情も見いだせないことから、引用3下段文字部分と比べて、太字で大きく顕著に表されている引用3上段文字部分を要部として抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、引用商標3は、構成文字全体より生じる「イーアールアイエコリサーチインスティチュートエルティーディー」又は「エリエコリサーチインスティチュートエルティーディー」の称呼のほか、要部である「ERI」の文字に相応して「イーアールアイ」又は「エリ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
(3)本願商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標と引用商標1及び引用商標2との類否について
本願商標と、引用商標1及び引用商標2との類否を検討すると、両商標は、それぞれ上記(1)及び(2)アのとおりの構成よりなるところ、外観においては、片仮名と欧文字という文字種の相違を有するものであり、両者は明確に区別できるものであるから、相紛れるおそれのないものである。
次に、称呼においては、本願商標は、「エリー」の称呼が生じるのに対し、引用商標1及び引用商標2は「イーエルアイ」又は「エリ」の称呼が生じるところ、「エリー」と「イーエルアイ」との比較においては、それぞれの音構成や音数が明らかに異なることから、両商標は、称呼上、聞き誤るおそれはないものである。
また、「エリー」と「エリ」との比較においては、語尾における長音の有無に差異を有するものであって、両称呼は共に長音を含め3音又は2音という極めて短い音構成からなるものであることからすると、語尾における長音の有無の差異が両称呼全体に及ぼす影響は小さくなく、それぞれを一連に称呼しても、その音調、音感が異なり、両称呼は相紛れるおそれはないものである。
さらに、観念において、両商標は、いずれも特定の観念を生じないから、観念において比較することができないものである。
してみれば、本願商標と、引用商標1及び引用商標2とは、観念において比較し得ないものの、外観において明らかに相違し、称呼において、聞き誤るおそれがないものであるから、これらを総合的に勘案すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
イ 本願商標と引用商標3との類否について
本願商標と、引用商標3との類否を検討すると、両商標は、それぞれ上記(1)及び(2)イのとおりの構成からなるところ、外観においては、両商標は、図形の有無の差異及び構成する文字種・文字数等の差異より明らかに区別できるものである。
次に、称呼においては、本願商標は、「エリー」の称呼が生じるのに対し、引用商標3は、その構成文字全体から「イーアールアイエコリサーチインスティチュートエルティーディー」又は「エリエコリサーチインスティチュートエルティーディー」及び「ERI」の文字より「イーアールアイ」又は「エリ」の称呼を生じるところ、本願商標より生じる「エリー」の称呼と、引用商標3より生じる「イーアールアイエコリサーチインスティチュートエルティーディー」、「エリエコリサーチインスティチュートエルティーディー」及び「イーアールアイ」の称呼との比較においては、それぞれの音構成や音数が明らかに異なることから、両商標は、称呼上、聞き誤るおそれはないものである。
そして、本願商標より生じる「エリー」の称呼と引用商標3より生じる「エリ」の称呼との比較においては、上記アと同様に、両称呼は相紛れるおそれはないものである。
さらに、観念において、両商標は、いずれも特定の観念を生じないから、観念において比較することができないものである。
してみれば、本願商標と引用商標3とは、観念において比較し得ないものの、外観において明らかに相違し、称呼において、聞き誤るおそれがないものであるから、これらを総合的に勘案すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
ウ 小括
上記ア及びイのとおり、本願商標は、引用商標とは類似する商標ではないから、本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)まとめ
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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