2022-017441
処理装置、処理方法、マーキング方法、及び、造形方法
- 審判番号
- 2022-017441
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-559454外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年10月31日
- 審決日
- 2023年12月19日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-WZ (B23K) / P18 .121-WZ (B23K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 17項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)12月12日を国際出願日とする出願であって、出願後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
第2 本願発明
本願の請求項1~12に係る発明(このうち請求項1に係る発明を、以下「本願発明」という。)は、令和5年10月5日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載した事項により特定されるとおりのものであって、このうち、請求項1は以下のとおりである。(下線は、上記補正の補正箇所に付したものである。)
「【請求項1】物体の表面にエネルギビームを照射して前記表面に溶融池を形成するエネルギビーム照射部と、前記溶融池に造形材料を供給する材料供給部とを有する造形装置と、前記物体と前記溶融池との位置関係を変更する変更装置と、制御装置とを備え、前記制御装置は、前記物体と前記溶融池との第1方向における位置関係を変更しつつ前記溶融池に前記造形材料を供給することによって前記第1方向に沿って造形面上に造形される構成層の、前記エネルギビームの照射方向である第2方向の高さを、前記構成層の前記第1方向での位置に基づいて変えることによって、前記造形面の形状に基づいて、前記構成層の前記第2方向の高さが前記構成層において連続的に変化するように、前記造形装置及び前記変更装置を制御する処理装置。」
第3 当審拒絶理由通知
1 理由の概要
当審拒絶理由通知において、本願発明に対して通知した拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
ア (新規性)本願発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
イ (進歩性)本願発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
2 引用文献
第4 引用文献1の記載事項及び引用発明等
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1 引用文献1の記載事項
当審拒絶理由通知において通知した引用文献1には、以下の記載事項及び図面がある。(下線部は、当審が付した。)
「【0001】本発明は、金属粉の供給量を制御する積層造形に関する。・・・【0004】続きを表示(全52行)一般的に、プログラム指令経路に一致する(平行となる)加工面が得られる加工物が高精度な加工物とされる。しかし、加工ヘッドからレーザを照射するとともに金属粉を吹き付け、溶解層を積層するパウダスプレー方式の積層加工では、加工ヘッドの移動する速度や金属粉を吹き付ける面の凹凸によってプログラム指令経路どおりの加工面が得られないことがある。【0005】図1は、屈曲するように進む加工ヘッドの経路の一例を模式的に示す図である。図1には、経路N1を直進した後、向きを変えて経路N2に屈曲する加工ヘッドの経路がXY座標(平面)で示されている。経路N1から経路N2に曲がるコーナーでは、加工ヘッドの速度の減速が行われる。図2は、加工速度の変化によってプログラム指令経路どおりの加工面が得られなかった例を模式的に示す図である。図2に示すように、コーナーで加工ヘッドの移動する速度が減速すると、単位面積当たりに供給される金属粉が多くなり、その部分だけ溶解層が厚くなってしまう。【0006】図3は、直線的に進む加工ヘッドの経路の一例を模式的に示す図である。図3には、直線的な経路N3が示されており、加工ヘッドは一定の速度で経路N3に沿って移動する。図4は、金属粉を吹き付ける面の凹凸によってプログラム指令経路どおりの加工面が得られない例を模式的に示す図である。図4に示すように、表面が凹んでいる部分では得られる加工面も凹んでしまい、表面が膨らんでいるところでは得られる加工面も膨らんでしまう。このように、直線的な経路N3を一定の速度で進むような場合でも、金属粉を吹き付ける面に凹凸があればプログラム指令経路どおりの加工面が得られなくなる。【0007】特許文献1や特許文献2に開示されるような従来の技術では、上記のプログラム指令経路どおりの加工面が得られない状況に十分に対応できなかった。例えば、特許文献2には、得ようとする立体造形物の表層側の部位では粉末材料の供給速度を小さくし、得ようとする立体造形物の内層側の部位では粉末材料の供給速度を大きくすることが記載されているが、加工速度の変化や表面の凹凸が考慮されていなかった。【0008】本発明は、レーザ照射を行うとともに吹き付ける金属粉の供給量を制御し、プログラム指令経路どおりの高精度な積層造形加工物を得ることができる積層造形加工方法及び積層造形加工装置を提供することを目的とする。・・・【0020】図5は、本発明の一実施形態に係る積層造形加工装置1の加工ヘッド10を模式的に示す図である。本実施形態の積層造形加工装置1は、レーザ4の照射と同時に金属粉5を吹き付けるパウダスプレー方式の加工ヘッド10によって硬化層を形成する積層造形加工に用いられる。本実施形態の加工ヘッド10は、金属粉5の供給量を調整可能に構成されており、後述の制御装置20の制御によってレーザ照射時に吹き付ける金属粉5の供給量が調整される。【0021】図6は、積層造形加工装置1の電気的な接続関係を模式的に示すブロック図である。図6に示すように、積層造形加工装置1は、上述の加工ヘッド10と、加工ヘッド10が接続されるファイバレーザ装置40と、加工ヘッド10を移動させる加工ヘッド移動装置11と、ギャップセンサ12と、積層造形加工装置1の各種の制御を行う制御装置20と、を備える。【0022】ファイバレーザ装置40は、レーザ4を出力するためのファイバレーザ発振器であり、加工ヘッド10に接続される。ファイバレーザ装置40は、後述する制御装置20に電気的にされており、当該制御装置20によって制御される。【0023】加工ヘッド移動装置11は、複数のサーボモータ15を有するアーム型のロボットであり、先端に加工ヘッド10が装着される。複数のサーボモータ15は、サーボアンプ(図示省略)を介して後述する制御装置20に接続されている。複数のサーボモータ15は、左右方向の移動軸としてのX軸、前後方向の移動軸としてのY軸、加工ヘッド10の上下方向の移動軸としてのZ軸にそれぞれ対応しており、加工ヘッド10を三次元的に移動させることが可能となっている。なお、加工ヘッド移動装置11は、アーム型のロボットに限られず、加工ヘッド10を移送させる適宜の手段を用いることができる。なお、図2では、3個のサーボモータ15が図示されているが、サーボモータ15の数や配置が限定されるわけではなく、事情に応じて適宜変更することができる。・・・【0025】制御装置20は、レーザ照射及び加工ヘッド10の移動を制御する機能を有するCNC(数値制御装置)である。・・・【0027】数値制御部21は、インターフェース(図示省略)を介して設定されるプログラム指令経路に基づいて加工ヘッド10が移動するように加工ヘッド移動装置11の軸方向及び配置の異なる各サーボモータ15を制御する数値制御装置として機能する。プログラム指令経路は、積層する加工面に対する経路であるが、加工対象や加工目的に応じて設定される加工ヘッド10の経路でもあり、加工ヘッド10は、このプログラム指令経路に平行する移動軌跡となる。・・・【0029】金属粉供給量設定部23は、加工ヘッド10の速度及び加工ヘッド10から金属粉を吹き付ける面までの実距離Gに基づいて金属粉供給量Moutを設定する。金属粉供給量Moutの設定方法について説明する。【0030】本実施形態では、基準金属粉供給量Mを加工ヘッド10の実際の移動速度に基づいて算出し、この基準金属粉供給量Mに加工ヘッド10と金属粉を吹き付ける面の実距離Gに基づいて設定された金属粉調整量Aを加えることにより、加工ヘッド10によって実際に供給される金属粉5の量を示す金属粉供給量Moutが設定される。金属粉供給量Moutは、次式によって表すことができる。Mout=M+A・・・(1)Mout:金属粉供給量(Mout>0)M:基準金属粉供給量A:金属粉調整量・・・【0039】金属粉供給量設定部23は、数値制御部21が各軸のサーボモータ15に出力する速度指令値に基づいて加工ヘッド10の速度Fを取得する。この速度Fは、実際のサーボモータ15によって制御される加工ヘッド10の実速度情報であり、プログラム指令経路が屈曲する場合等における速度の減速や加速も反映される。そして、実速度情報としての速度F及び式(2)に基づいて基準金属粉供給量Mを算出する(ステップS103)。【0040】次に、ギャップセンサ12の検出値に基づいて加工ヘッド10と金属粉を吹き付ける面の実距離Gを取得し(ステップS104)、式(3)に基づいて金属粉調整量Aを算出する(ステップS105)。そして、ステップS103で算出した基準金属粉供給量Mと、ステップS105で算出した金属粉調整量Aに基づいて金属粉供給量Moutを算出する(ステップS106)。【0041】以上の処理により、加工ヘッド10の実際に移動する速度が反映されるとともに、加工対象のワーク3の表面の凹凸が反映された値として金属粉供給量Moutが算出され、この金属粉供給量Moutが加工作業で実際に加工ヘッド10から供給される。【0042】次に、金属粉供給量Moutに基づいてレーザ出力の調整を行うレーザ出力制御部24について説明する。レーザ出力制御部24は、実際に供給される金属粉5の量に応じた最適なレーザ出力を設定する。・・・【0050】以上説明した実施形態の積層造形加工方法によれば、以下のような効果を奏する。即ち、積層造形加工方法は、加工ヘッド10の速度を示す速度指令値Fc及び速度指令値Fcに対応する金属粉5の供給量を示す金属粉供給量指令値Mcを設定する設定ステップ(ステップS101~S102)と、実際に移動する加工ヘッド10の速度を示す速度F及び加工ヘッド10と金属粉を吹き付ける面の間の実際の距離を示す実距離Gの両方を取得する取得ステップ(ステップS103~S105)と、プログラム指令経路と加工面が一致するように、速度F及び実距離Gに基づいて金属粉供給量指令値Mcを補正して金属粉供給量Moutを算出する供給量算出ステップ(ステップS106)と、を含む。【0051】これにより、プログラム指令経路と加工面が一致するように、加工ヘッド10の実際の移動速度及び加工ヘッド10と金属粉を吹き付ける面の間の実測距離(実距離G)に応じてワーク3に吹き付けられる金属粉5の供給量が調整されるので、高精度な積層造形加工物を得ることができる。」
図5
「[図:0001407310000001.jpg]」
2 記載事項から理解できる事項
(1)引用文献1の段落【0004】の「加工ヘッドからレーザを照射するとともに金属粉を吹き付け、溶解層を積層するパウダスプレー方式の積層加工」、段落【0020】の「本実施形態の積層造形加工装置1は、レーザ4の照射と同時に金属粉5を吹き付けるパウダスプレー方式の加工ヘッド10によって硬化層を形成する積層造形加工に用いられる。」との記載などから、引用文献1には、加工物の表面(加工面)に金属粉5が供給されると同時に、それらの表面にレーザを照射して溶解層を形成することが記載されているといえる。また、レーザを照射するとともに金属粉を吹き付けることが記載されていることから、溶解層にも金属粉が供給されていることは明らかである。
(2)引用文献1の加工ヘッド10は図5に図示される構造を有するものであり、金属粉5を供給するための金属粉供給部を備えることは明らかである。
(3)引用文献1の段落【0023】等の記載から、加工ヘッド10は加工ヘッド移動装置11によって移動されるものであり、加工ヘッド10をXY平面で移動させることにより、加工物及び金属粉5と溶解層との位置関係が変更されることは明らかである。
(4)引用文献1の段落【0023】の記載、図5の図示内容から、レーザ4がZ軸方向に照射されることは明らかである。
(5)引用文献1において、溶解層は冷却されて固化して硬化層となることは明らかであるところ、図5から、ワーク3の表面には凹凸があり、プログラム指令経路と加工面が一致するように、X軸方向に沿ってワーク3の表面上に造形される硬化層の、レーザ4の照射方向であるZ軸方向の厚さは、ワーク3の表面の形状に基づいて、連続的に変化していることが看取できる。
また、制御装置20は、加工ヘッド10(及びファイバレーザ装置40)及び加工ヘッド移動装置11を制御するものであり(段落【0022】~【0023】、【0025】等を参照。)、プログラム指令経路と加工面が一致するように、X軸方向に沿ってワーク3の表面上に造形される硬化層の、レーザ4の照射方向であるZ軸方向の厚さを、硬化層のX軸方向での位置に基づいて変えることによって、ワーク3の表面の形状に基づいて、硬化層のZ軸方向の厚さが、硬化層において連続的に変化するように、加工ヘッド10及び加工ヘッド移動装置11を制御している。
3 引用発明
上記1~2より、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「加工物及び金属粉5の表面にレーザ4を照射して前記表面に溶解層を形成するファイバレーザ装置40と、前記溶解層に金属粉5を供給する金属粉供給部とを有する加工ヘッド10と、前記加工物及び金属粉5と前記溶解層との位置関係を変更する加工ヘッド移動装置11と、制御装置20とを備え、前記制御装置20は、前記加工ヘッド10を移動させて前記加工物及び金属粉5と前記溶解層とのX軸方向における位置関係を変更しつつ前記溶解層に前記金属粉5を供給することによって前記X軸方向に沿ってワーク3の表面上に造形される硬化層の、前記レーザ4の照射方向であるZ軸方向の厚さを、前記硬化層の前記X軸方向での位置に基づいて変えることによって、前記ワーク3の表面の形状に基づいて、前記硬化層の前記Z軸方向の厚さは、前記硬化層において連続的に変化するように、前記加工ヘッド10及び前記加工ヘッド移動装置11を制御する積層造形加工装置。」
第5 当審の判断
1 本願発明と引用発明の対比
(1)引用発明の「加工物及び金属粉5」は本願発明の「物体」に相当し、以下同様に、「レーザ4」は「エネルギビーム」に、「溶解層」は「溶融池」に、「ファイバレーザ装置40」は「エネルギビーム照射部」に、「金属粉5」は「造形材料」に、「金属粉供給部」は「材料供給部」に、「加工ヘッド10」は「造形装置」に、「加工ヘッド移動装置11」は「(位置関係を変更する)変更装置」に、「制御装置20」は「制御装置」に、「X軸方向」は「第1方向」に、「ワーク3の表面」は「造形面」に、「硬化層」は「構成層」に、「レーザ4の照射方向であるZ軸方向」は「エネルギビームの照射方向である第2方向」に、それぞれに相当する。
(2)引用発明の「硬化層の」「厚さ」と、本願発明の「構成層の」「高さ」との相当関係について検討する。
本願明細書の段落【0198】には、造形面に凹凸(又は曲面)がある場合の、本願発明の「構成層の」「高さ」に関連して、
「即ち、造形面CS自体は造形面CS上での位置に応じて異なる高さ(Z軸方向の位置)であってもよい。例えば、図56(a)に示すように、造形面CSが曲面であってもよい。このとき、曲面状の造形面CSの上部に造形される構造層SL#1の上面がXY平面に沿うように、言い換えると、構造層SL#1の上面のZ軸方向の高さが構造層SL#1のX軸方向及びY軸方向の位置によらずに一定となるように、造形物のX軸方向の位置及びY軸方向の位置に応じた高さが異なっていてもよい。また、図56(b)に示すように、造形面CSが凹凸状であってもよい、このときにも、凹凸状の造形面CSの上部に造形される構造層SL#1の上面がXY平面に沿うように、言い換えると、構造層SL#1の上面のZ軸方向の高さが構造層SL#1のX軸方向及びY軸方向の位置によらずに一定となるように、造形物のX軸方向の位置及びY軸方向の位置に応じた高さが異なっていてもよい。」との記載がある。
上記記載からも理解できるように、本願明細書では、構成層(構造層)の「高さ」と、「上面のZ軸方向の高さ」とを使い分けしており、下記図56(a)(b)の図示内容に鑑みれば、本願発明の「構成層の」「高さ」とは、構成層の「厚さ」であると解するのが自然である。
図56
「[図:0001407310000002.jpg]」
以上から、引用発明の「硬化層の」「厚さ」は、本願発明の「構成層の」「高さ」に相当するといえる。
2 新規性に関する判断
上記1より、本願発明と引用発明は一致し、相違点はないから、本願発明と引用発明は同一である。
3 進歩性に関する判断
仮に、本願発明における、構成層の「高さ」が、「厚さ」ではなく、構成層の上面の第2方向(Z軸方向)における絶対座標上の高さを意味すると解した場合も、一応検討する。
引用文献1には、上記第4の2(5)に示すように、引用文献1の記載から、プログラム指令経路と加工面が一致するように、硬化層のZ軸方向の厚さ(硬化層の上面の高さ)を制御することが開示されている。そして、上記プログラム指令経路で形成する加工面は、平面に限らず、曲面や凹凸面など、オペレータが設計する加工対象物の形状に応じて適宜設計されるものである(なお、段落【0039】には、「プログラム指令経路が屈曲する場合」との記載もある。)といえる。
そうすると、引用発明において、加工対象の形状に応じて、加工面として曲面や凹凸面を形成するようにプログラム指令経路を設定し、硬化層の上面の高さが、Z軸方向の絶対座標上の高さにおいて連続的に変化するように、加工ヘッド10及び加工ヘッド移動装置11を制御することは、当業者にとって設計事項の範ちゅうにすぎない。
したがって、仮に上記のように解したとしても、本願発明は、引用発明に基づき、当業者であれば容易になし得たものである。
第6 請求人の主張
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1 主張の概要
(1)引用文献1には、「制御装置20が、X方向に沿って造形される硬化層(溶解層)のZ軸方向の高さを硬化層のX方向での位置に基づいて変えるように、加工ヘッド10及び加工ヘッド移動装置11を制御する」という発明とは真逆の、「制御装置20が、X方向に沿って造形される硬化層(溶解層)のZ軸方向の高さを硬化層のX方向での位置に基づいて変えない(高さを一定にする)ように、加工ヘッド10及び加工ヘッド移動装置11を制御する」という発明が記載されているに過ぎない。
(2)引用文献1には、溶解層が造形される面であるワークWの表面の形状に関する情報をあらかじめ取得しておき、当該取得したワークWの表面の形状に関する情報に基づいて、X方向に沿って造形される硬化層(溶解層)のZ軸方向の高さを硬化層のX方向での位置に基づいて変える(硬化層のZ軸方向の高さを連続的に変化させる)ように、硬化層(溶解層)が造形されることは、記載も示唆もされていない。
2 検討
(1)上記1(1)について検討する。
引用発明の「硬化層の」「厚さ」が本願発明の「構成層の」「高さ」に相当するから、本願発明における、構成層の高さの点で、本願発明と引用発明とが相違しないことは、上記第5の1及び2のとおりであり、さらに、本願発明における、構成層の「高さ」が、構成層の上面の第2方向(Z軸方向)における絶対座標上の高さを意味すると解しても、引用発明に基づく設計事項の範ちゅうにすぎないことは、上記第5の3のとおりである。
さらに、本願の請求項11に係る発明では、「前記構成層の、前記造形面と反対側の表面は平面である」と特定されていることに鑑みれば、本願発明は構成層の高さを一定にする実施形態を排除していないとも考えられ、引用発明が、硬化層(溶解層)のZ軸方向の高さを一定にしている点で本願発明と相違している旨の請求人の主張は採用できない。
(2)上記1(2)について検討する。
引用文献1(段落【0029】~【0030】、【0040】~【0042】、【0050】等を参照。)には、「加工ヘッド10と金属粉を吹き付ける面の間の実際の距離を示す実距離G」を取得してから制御を開始することが記載されており、ワークWの表面の形状に関する情報をあらかじめ取得し、当該取得したワークWの表面の形状に関する情報に基づいて制御しているといえるから、請求人の主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-017441