2022-016246
解析処理システム
- 審判番号
- 2022-016246
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-076492外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年10月12日
- 審決日
- 2023年09月12日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コニカミノルタ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人光陽国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1 手続の経緯
本願は、平成30年4月12日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明は、令和5年7月13日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。下線部は補正箇所を示す。
「 放射線撮影の検査オーダー情報に基づいて実施した検査の情報を記録する記録装置であって、少なくとも各検査において発生した写損の情報と撮影部位の識別情報とを記録する記録手段を備える記録装置と、前記記録装置の記録手段によって記録されたデータを解析する解析処理装置と、を備え、前記解析処理装置は、所定期間に前記記録手段によって記録された前記各検査において発生した写損の情報に基づいて、前記所定期間における撮影部位ごとの写損に関するパフォーマンス値を算出し、前記算出した算出結果に基づいて、撮影部位ごとの撮影件数と写損率を同時に表示する、解析処理システム。」
第3 当審において通知した拒絶理由
当審において通知した、令和5年5月18日付け拒絶理由のうち、理由2(進歩性)の概要は、次のとおりである。
この出願の下記の請求項1~8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である引用文献1~3記載の発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項1~5に係る発明に対して引用文献1
・請求項6~8に係る発明に対して引用文献1~3
引 用 文 献 等 一 覧
引用文献1.大橋洋介ほか3名、“放射線部門管理支援サービス「ASSISTA Management」の開発”、富士フイルム研究報告、富士フイルム株式会社、平成29年3月27日発行、第62号、16~19頁
引用文献2.特開2007-44272号公報
引用文献3.特開2018-27159号公報
第4 引用文献と引用発明
1.引用文献1について
(1)引用文献1の記載
引用文献1は、以下のとおりの記載がある。(下線は当審が付与した。)
「1. はじめに近年,医療現場におけるデジタル化は急激に進行しており,X線撮影の領域においてもCR(Computed Radiography)やDR(Digital Radiography)の普及が進み,ワークフローが大きく改善されてきた。CR/DRではアナログフィルムでの撮影とは異なり,デジタル処理であるが故に撮影線量や再撮影等の状況が把握しづらくなっている。また,先進国においては病院の収益性改善や患者サービスレベル改善が重要なテーマとなっており,放射線科においても生産性向上が強く求められつつある。そこでわれわれは,当社CR/DR撮影装置の画像処理ユニット(コンソール)に蓄積された撮影実績を集約し,検査実績や写損状況,撮影条件などをグラフ/リストで可視化し分析できるサービス「ASSISTA Management」を開発した。2. サービス概要・特徴続きを表示(全25行)Fig.1にASSISTA Managementのシステム構成を示す。病院内の各撮影室の撮影実績は,各撮影室のコンソールから院内に設置されたASSISTA Management用の管理PCへと集約される。集約された撮影実績は,匿名化により個人情報が削除された上で,リモートメンテナンス用のセキュア回線を通じてクラウド上に構築されたサーバヘアップロードされる。アップロードされた撮影実績は,管理PCよりWebブラウザを通じてグラフ/リストの形で可視化され,さまざまな切り口で分析することができる。2.1 分析機能ASSISTA Managementには,大きく分けて「検査実績分析」,「撮影条件分析」,「写損分析」,「撮影機器稼働分析」の四つの分析機能が存在する。以下,各分析機能について説明する。2.1.1 検査実績分析検査実績分析では,検査数・撮影数を曜日毎,時間帯毎,性別毎,依頼科毎,撮影室毎などの切り口で分析することができる。これにより,X線撮影業務の繁閑を可視化し,人員配置/シフトを最適化することができ,患者待ち時間短縮への貢献が期待できる。2.1.2 撮影条件分析撮影部位やメニュー毎の撮影条件の統計値と撮影画像を併せて表示することで最適な撮影条件を決定し,患者被ばく線量低減を支援することができる。2.1.3 写損分析撮影部位毎,メニュー毎,撮影技師毎などの切り口で写損数,写損率を分析することで,写損発生頻度の高い撮影を特定することができる。さらに,写損画像と再撮影画像を同時表示し,写損低減のための撮影技術検討に活用することができる。2.1.4 撮影機器稼働分析撮影機器の使用頻度や撮影室の稼働率を年毎,月毎,週毎,曜日毎などの切り口で分析することができ,稼働率の底上げ・平準化を支援することができる。2.2 直感的なユーザ・インタフェースASSISTA Managementでは,統計解析に特別な知識がなくとも直感的に使用できるようユーザ・インタフェースに「ダッシュボード」「ドリルダウン」の二つの要素を取り入れた。2.2.1 ダッシュボードASSISTA Managementにログインした際には,ダッシュボードが表示され,当日の写損状況,検査実績が表示される(Fig.2)。それぞれ撮影室毎,撮影技師毎などの切り口で件数が表示され,時間帯毎の状況も把握できる。これにより,多忙な放射線科の技師長各位がX線撮影の現場において今何が起きているのか画面操作せずに一目で把握することを可能とする。また,より詳細な情報が必要な場合には,各グラフをクリックすることで絞り込み条件や対象期間を変更して詳細な分析ができる。2.2.2 ドリルダウンASSISTA Managementでは,各グラフの特定の表示領域をさらに別の切り口で分析するドリルダウンの機能を提供する。Fig.3では,検査数の分析におけるドリルダウンの操作フローを示す。(1)では曜日毎の検査数を表示している。この中で最も検査数の多い木曜日について依頼科毎の検査数を表示したのが(2)である。(2)において最も件数が多い救急外科について,時間帯毎の検査数を表示したのが(3)である。(3)より,最も検査数の多い木曜日において,最も件数が多いのは緊急外科の検査であり,7時台が最も忙しいことが分析できた。このように,ASSISTA Managementではドリルダウンにより,ユーザの関心事を直感的に絞り込み,データの深掘りや別視点からの分析を簡単な操作で実現することができる。・・・4. まとめこれまで紹介してきたように,ASSISTA Managementでは「ダッシュボード」「ドリルダウン」により,「検査実績分析」,「撮影条件分析」,「写損分析」,「撮影機器稼働分析」などを直感的な操作で実現した。また,スケールアウト設計を用いることで,ユーザ数の増加に合わせた柔軟な拡張を可能とするシステムをクラウド上に構築した。今後の課題として,より病院の収益性改善や患者サービスレベル改善に直結するコンテンツを追加していくことにより,放射線科におけるさらなる生産性向上を実現するサービスを提供していきたい。」
[図:0001404365000001.jpg]
[図:0001404365000002.jpg]
図2は、ダッシュボードが表示された画面のスクリーンショットであって、当該図から、以下の事項が読み取れる。
・画面上段左端に、「Retake Status 6.8%(当審訳:再撮影状況6.8%)」と表示されていること
・その右側に、円グラフが色分け表示され、各色に「5」、「7」、「8」と「shot(当審訳:件)」数が付加されて表示されており、その切り口として「Room(当審訳:撮影室)」、「Body Part(当審訳:撮影部位)」、「Technologist(当審訳:撮影技師)」、「Detector(当審訳:撮影機器)」が表示されて、「Room(当審訳:撮影室)」にハイライトが付加されていることから、撮影部位ごとの切り口による分析が可能なことが図示されていること
・画面下段左端に「Exposure Count by Body Part(当審訳:撮影部位毎の露光数)」として、複数列の棒グラフが表示されていること
[図:0001404365000003.jpg]
(2)引用文献1に記載された発明
上記「(1)引用文献1の記載事項」によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「X線撮影の領域におけるCR/DR撮影装置の画像処理ユニット(コンソール)に蓄積された撮影実績を集約し、検査実績や写損状況、撮影条件などをグラフ/リストで可視化し分析できるサービス「ASSISTA Management」(1.)のシステム(2.)であって、病院内の各撮影室の撮影実績は、各撮影室のコンソールから院内に設置されたASSISTA Management用の管理PCへと集約され、集約された撮影実績は、クラウド上に構築されたサーバヘアップロードされ、アップロードされた撮影実績は、管理PCよりWebブラウザを通じてグラフ/リストの形で可視化され、さまざまな切り口で分析することができ(2.)、「検査実績分析」、「撮影条件分析」、「写損分析」、「撮影機器稼働分析」の四つの分析機能が存在し(2.1)、検査実績分析では、検査数・撮影数を曜日毎、時間帯毎、性別毎、依頼科毎、撮影室毎などの切り口で分析することができ(2.1.1)、写損分析では、撮影部位毎、メニュー毎、撮影技師毎などの切り口で写損数、写損率を分析することで、写損発生頻度の高い撮影を特定することができ(2.1.3)、撮影機器稼働分析では、撮影機器の使用頻度や撮影室の稼働率を年毎、月毎、週毎、曜日毎などの切り口で分析することができ(2.1.4)、ユーザ・インタフェースに「ダッシュボード」「ドリルダウン」の二つの要素を取り入れており(2.2)、ログインした際には、ダッシュボードが表示され、当日の写損状況、検査実績が表示され、それぞれ撮影室毎、撮影技師毎などの切り口で件数が表示され、時間帯毎の状況も把握でき、より詳細な情報が必要な場合には、各グラフをクリックすることで絞り込み条件や対象期間を変更して詳細な分析ができる(2.2.1)、システム。」
第5 対比
1.本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「X線撮影」は、本願発明の「放射線撮影」に相当し、以下同様に、「検査」は「検査」に相当する。
そして、通常、一人の患者の検査には、1以上の撮影が含まれるものであること、また、引用発明の「検査実績分析」では、「検査数・撮影数を曜日毎、時間帯毎、性別毎、依頼科毎、撮影室毎などの切り口で分析することができ」るものであって、「検査数」と「撮影数」を別々に算出していることから、引用発明においては、各「検査」に含まれる1以上の「撮影」をまとめて、1つの「検査」として、管理しているものといえる。
よって、引用発明の各「検査」に含まれる1以上の「撮影実績」(以下、「各検査の撮影実績」という。)は、本願発明の「検査の情報」に相当する。
したがって、引用発明の「X線撮影」の「各検査の撮影実績」を蓄積する「コンソール」と、本願発明の「放射線撮影の検査オーダー情報に基づいて実施した検査の情報を記録する記録装置」とは、「放射線撮影の検査の情報を記録する記録装置」である点で共通する。
そして、引用発明は、「撮影実績」を分析することで、「写損数,写損率」を分析できることから、引用発明の「各検査の撮影実績」は、「各検査」で発生した「写損」の情報を含むものといえる。
また、引用発明の「撮影実績」は、さまざまな切り口で分析することができ、「撮影室毎」、「撮影技師毎」、「撮影部位毎」などの切り口で分析することができ、「撮影機器の使用頻度」を「年毎、月毎、週毎、曜日毎など」の切り口で分析することができることから、引用発明の「撮影実績」には、「撮影実績」を「撮影部位毎」に仕分けするための識別情報を有するものといえる。
そして、引用発明の「各検査の撮影実績」は、各「検査」に含まれる1以上の「撮影実績」であることから、引用発明の「各検査の撮影実績」は、各「検査」に含まれる1以上の「撮影実績」それぞれに、「撮影部位毎」に仕分けするための識別情報を有するものである。
したがって、引用発明の「コンソール」が、「写損数、写損率」を分析できる「各検査の撮影実績」であって、「各検査」に含まれる1以上の「撮影実績」それぞれの「撮影部位毎」に仕分けするための識別情報を有する「各検査の撮影実績」を蓄積することは、本願発明の「記録装置」が「少なくとも各検査において発生した写損の情報と撮影部位の識別情報とを記録する記録手段を備える」ことに相当する。
してみれば、引用発明の「X線撮影」の「各検査の撮影実績」を蓄積する「コンソール」であって、「写損数、写損率」を分析できる、 「各検査」に含まれる1以上の「撮影実績」それぞれの「撮影部位毎」に仕分けするための識別情報を有する「各検査の撮影実績」を蓄積する「コンソール」と、本願発明の「放射線撮影の検査オーダー情報に基づいて実施した検査の情報を記録する記録装置であって、少なくとも各検査において発生した写損の情報と撮影部位の識別情報とを記録する記録手段を備える記録装置」とは、「放射線撮影の検査の情報を記録する記録装置であって、少なくとも各検査において発生した写損の情報と撮影部位の識別情報とを記録する記録手段を備える記録装置」である点で共通する。
(2)引用発明の「サーバ」は、「Webブラウザを通じて」「管理PC」に、「アップロードされた撮影実績」を、「グラフ/リストの形で可視化」して、「さまざまな切り口で分析すること」を可能とするものであるから、「コンソール」に蓄積された「各検査の撮影実績」を「分析」するものといえる。
また、上記(1)の相当関係に鑑みると、引用発明の「各検査の撮影実績」は、本願発明の「記録装置の記録手段によって記録されたデータ」に相当する。
よって、引用発明の「コンソール」に蓄積された「各検査の撮影実績」を「分析」する「サーバ」は、本願発明の「前記記録装置の記録手段によって記録されたデータを解析する解析処理装置」に相当する。
(3)引用発明の「写損数」及び「写損率」はいずれも、本願発明の「写損に関するパフォーマンス値」に相当する。
そして、引用発明において、「ログインした際に」「表示され」る「ダッシュボード」には、「当日の写損状況」が表示され、「それぞれ撮影室毎、撮影技師毎などの切り口で件数が表示され」ることから、引用発明の「ダッシュボード」には、「当日」の「撮影室毎、撮影技師毎などの切り口」の「写損数」が表示されるものである。また、「各グラフをクリックすることで絞り込み条件や対象期間を変更して詳細な分析ができる」ものであるから、「撮影部位毎」の絞り込み条件での「分析」ができるものといえる。
よって、引用発明の「当日」の「撮影部位毎」の絞り込み条件での「分析」を行った「写損数」は、本願発明の「所定期間における撮影部位ごとの写損に関するパフォーマンス値」に相当する。
ここで、これらの「写損数」の「分析」に使用された「各検査の撮影実績」が、「当日」の「コンソール」に「蓄積」された「各検査の撮影実績」であって、各検査において発生された写損の情報を有すること、及び、「サーバ」が「管理PC」に「ダッシュボード」を表示させるために、「サーバ」が、写損の情報を有する「各検査の撮影実績」の数を計数することにより、これらの「写損数」を算出していることは明らかである。
したがって、引用発明の「サーバ」が、「当日」の「コンソール」に「蓄積」された「各検査の撮影実績」に基づいて、引用発明の「当日」の「撮影部位毎」の絞り込み条件での「分析」を行った「写損数」を算出することは、本願発明の「前記解析処理装置は、所定期間に前記記録手段によって記録された前記各検査において発生した写損の情報に基づいて、前記所定期間における撮影部位ごとの写損に関するパフォーマンス値を算出する」ことに相当する。
また、引用発明の算出した「写損数」に基づいて、「当日」の「撮影室毎、撮影技師毎などの切り口」の「写損数」を表示することと、本願発明の「前記算出した算出結果に基づいて、撮影部位ごとの撮影件数と写損率を同時に表示する」こととは、「前記算出した算出結果に基づいて、撮影部位ごとの写損に関するパフォーマンス値を表示する」点で共通する。
(4)引用発明の「「ASSISTA Management」のシステム」は、「コンソール」と「サーバ」を有するものであり、「検査実績や写損状況、撮影条件などをグラフ/リストで可視化し分析できる」ものであるから、本願発明の「記録装置」と「解析処理装置」とを備える「解析処理システム」に相当する。
2.一致点・相違点
上記1によると、本願発明と引用発明の両者は、以下の点で一致し、以下の点で相違する。
<一致点>
「放射線撮影の検査の情報を記録する記録装置であって、少なくとも各検査において発生した写損の情報と撮影部位の識別情報とを記録する記録手段を備える記録装置と、前記記録装置の記録手段によって記録されたデータを解析する解析処理装置と、を備え、前記解析処理装置は、所定期間に前記記録手段によって記録された前記各検査において発生した写損の情報に基づいて撮影部位ごとの写損に関するパフォーマンス値を算出し、前記算出した算出結果に基づいて、撮影部位ごとの写損に関するパフォーマンス値を表示する、解析処理システム。」
<相違点1>
検査に関し、本願発明は「検査オーダー情報に基づいて実施した検査」であるのに対し、引用発明はかかる特定事項が特定されていない点。
<相違点2>
算出結果に基づく表示に関し、本願発明は「撮影部位ごとの撮影件数と写損率を同時に表示する」のに対し、引用発明は、撮影部位毎などの切り口で写損数を表示するとの特定にとどまる点。
第6 当審の判断
1.相違点1について
医療機関における「放射線撮影」の技術分野において、撮影技師による1以上の撮影を含む検査を、検査オーダー情報に基づいて実施することは、引例を挙げるまでもない慣用技術である。
よって、引用文献1には相違点1に係る構成が明示されていないものの、引用発明において、上記慣用技術を適用し、技師による1以上の撮影を含む検査を、検査オーダー情報に基づいて行うことは、当業者が容易になし得たことである。
2.相違点2について
引用発明は、「ログインした際には、ダッシュボードが表示され、当日の写損状況、検査実績が表示され、それぞれ撮影室毎、撮影技師毎などの切り口で件数が表示され、時間帯毎の状況も把握でき、より詳細な情報が必要な場合には、各グラフをクリックすることで絞り込み条件や対象期間を変更して詳細な分析ができる」ものであって、「検査実績分析では、検査数・撮影数を曜日毎、時間帯毎、性別毎、依頼科毎、撮影室毎などの切り口で分析することができ」、「写損分析では、撮影部位毎、メニュー毎、撮影技師毎などの切り口で写損数、写損率を分析することで、写損発生頻度の高い撮影を特定することができ」るものとなっている。
また、引用文献1の図2には、再撮影に関するデータとして、再撮影率と、撮影部位毎の再撮影の件数を表示すると共に、検査実績に関するデータとして、撮影部位毎の露光数を表示するダッシュボードが図示されている。
ここで、撮影部位毎の撮影件数は、撮影部位毎の検査実績を表すものであり、撮影部位毎の写損率は、撮影部位毎の写損数を、撮影部位毎の撮影件数で除算した値であること、引用発明が「撮影部位毎」の「切り口」で「写損数」、「写損率」を分析可能としていることに鑑みれば、引用発明が、「撮影部位毎」の「写損数」、「写損率」のデータに加え、「撮影部位毎」の「撮影件数」のデータを算出し、保持していることは明らかである。
よって、引用発明は、「ダッシュボードに、当日の写損状況、検査実績を表示する」ものであるところ、その具体的内容として、写損状況である写損分析で表示される当日の撮影部位毎の写損数、写損率を表示することに代えて、検査実績である当日の撮影部位毎の撮影件数と、写損状況である写損率を同時に表示すること、あるいは、写損状況である当日の撮影部位毎の写損数、写損率を表示することに加えて、検査実績である当日の撮影部位毎の撮影件数も同時に表示することは、当業者が適宜選択し得た事項に過ぎない。
3.効果について
本願発明の「したがって、撮影室ごと、検査装置ごと、技師ごと、及び/又は撮影部位ごとの予定外イベントの発生状況を含むパフォーマンス値を提供することができるので、管理者は、撮影室ごと、検査装置ごと、技師ごと、及び/又は撮影部位ごとの予定外イベントの発生状況を含むパフォーマンスを容易に把握、管理し、改善策を検討することが可能となる。」(【0079】)との効果は、引用文献1の「写損発生頻度の高い撮影を特定することができる。さらに,写損画像と再撮影画像を同時表示し,写損低減のための撮影技術検討に活用することができる。」(2.1.3)、「多忙な放射線科の技師長各位がX線撮影の現場において今何が起きているのか画面操作せずに一目で把握することを可能とする。また,より詳細な情報が必要な場合には,各グラフをクリックすることで絞り込み条件や対象期間を変更して詳細な分析ができる。」(2.2.1)との効果から、当業者が予測し得る程度のものである。
4.請求人の主張について
請求人は、令和5年7月13日に提出した意見書にて「引用文献1には、撮影部位ごとの撮影件数と写損率を同時に表示することは記載も示唆もされていません。
・・・(中略)・・・
補正後の本発明により、管理者は、撮影部位ごとに、所定期間中において撮影件数に対してどの部位の写損率が高いのかを一見して把握することができ、写損の多い撮影部位の撮影フロー等の改善に努めることが可能となるという、引例からは想到しない効果を奏します。」と述べている。
しかしながら、引用文献1には「ASSISTA Managementにログインした際には,ダッシュボードが表示され,当日の写損状況,検査実績が表示される(Fig.2)。それぞれ撮影室毎,撮影技師毎などの切り口で件数が表示され,時間帯毎の状況も把握できる。」(2.2.1)、「撮影部位毎,メニュー毎,撮影技師毎などの切り口で写損数,写損率を分析することで,写損発生頻度の高い撮影を特定することができる。さらに、写損画像と再撮影画像を同時に表示し、写損低減のための撮影技術検討に活用することができる。」(2.1.3)と記載されており、また、分析に有益な情報を同時に表示することは普通のことであり、また「写損率」を算出するために使用される「撮影件数」は、写損の分析・状況の把握に有益な情報であることは明らかであるから、撮影部位ごとの撮影件数と写損率を同時に表示することは、上記2で説示したとおり、当業者が適宜選択し得た事項に過ぎない。
また、請求人が上記意見書において主張する「所定期間中において撮影件数に対してどの部位の写損率が高いのかを一見して把握することができ、写損の多い撮影部位の撮影フロー等の改善に努めることが可能となる」との効果は、本願明細書に記載したものではないが、上記2で述べた図2に図示された事項、及び、上記3で摘記した記載から、当業者が予測し得た程度のものに過ぎない。
よって、請求人の主張は、上記1、2の判断を左右するものではない。
5.小括
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献1記載の事項及び上記慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献1記載の事項及び上記慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-016246