2022-015393
被写体を撮像するためのシステムおよび方法
- 審判番号
- 2022-015393
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-154654外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月28日
- 審決日
- 2023年06月26日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
- 【請求人代理人】小倉 博
- 【請求人代理人】澤木 亮一
- 分類
- P18 .121-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 22項目
第1.手続の経緯
本願は、令和元年8月27日(パリ条約による優先権主張 2018年8月31日(以下「優先日」という。)、(US)アメリカ合衆国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
同年 5月26日付け:拒絶査定
同年 9月28日 :審判請求書、手続補正書の提出
また、令和4年9月28日に提出された手続補正書による補正を以下「本件補正」という。
第2.本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。ここで、各構成単位冒頭の「A1」、「1A」などは分説のために当審で付した分説番号であり、以下該各構成単位を該分説番号をもとに「構成A1」、「構成1A」などという。また、下線部は請求人が本件補正による補正箇所を示すために付したものに対応する。
「 【請求項1】A1 撮像のためのシステム(10)であって、B1 掃引角度(φ)によって画定された経路(22)に沿って連続的に進行しながら、X線源(14)を停止せずにX線(20)を照射して前記X線(20)を被写体(12)に透過させるように動作する前記X線源(14)と、C1 前記被写体(12)を通過した前記X線(20)を受信するように動作する検出器(16)と、続きを表示(全11行)D1 前記X線源(14)および前記検出器(16)を介して前記被写体(12)に関する予備データ(56)を取得し(54)、E1 前記予備データ(56)からモーションブラーアーチファクトのリスクを軽減する少なくとも1つの取得パラメータ(60)を決定し(58)、F1 前記取得パラメータ(60)に少なくとも部分的に基づいて前記X線源(14)および前記X線検出器(16)を介して前記被写体(12)の1つまたは複数の投影(64)を取得する(62)ように動作するコントローラ(18)とを備え、G1 前記コントローラ(18)は、前記X線源(14)のアノード材料に基づいて前記少なくとも1つの取得パラメータ(60)を決定する、H1 システム(10)。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和4年1月14日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】1A 撮像のためのシステム(10)であって、1B 掃引角度(φ)によって画定された経路(22)に沿って連続的に進行しながら、X線(20)を被写体(12)に透過させるように動作するX線源(14)と、1C 前記被写体(12)を通過した前記X線(20)を受信するように動作する検出器(16)と、続きを表示(全11行)1D 前記X線源(14)および前記検出器(16)を介して前記被写体(12)に関する予備データ(56)を取得し(54)、1E 前記予備データ(56)から少なくとも1つの取得パラメータ(60)を決定し(58)、1F 前記取得パラメータ(60)に少なくとも部分的に基づいて前記X線源(14)および前記X線検出器(16)を介して前記被写体(12)の1つまたは複数の投影(64)を取得する(62)ように動作するコントローラ(18)とを備え、1G 前記コントローラ(18)は、前記X線源(14)のアノード材料に基づいて前記少なくとも1つの取得パラメータ(60)を決定する、1H システム(10)。」
2.補正の適否
(1)本件補正に含まれる補正事項
本件補正は、特許請求の範囲について、以下に挙げる補正事項を含むものである。
ア 補正事項1
本件補正前の請求項1の構成1Bで特定される「X線源(14)」の「動作」について、本件補正後の請求項1の構成B1で、「X線源(14)を停止せずにX線(20)を照射」するものに特定する補正。
イ 補正事項2
本件補正前の請求項1の構成1Eで特定される「少なくとも1つの取得パラメータ(60)」について、本件補正後の請求項1の構成E1で「モーションブラーアーチファクトのリスクを軽減する」ものに特定する補正。
(2)新規事項の有無についての検討
ア 補正事項1について
本件出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)の【0012】には「また本明細書で使用する場合、「連続掃引」および/または「連続掃引走査」という用語は、X線源が対応するX線検出器に対して経路に沿って連続的に移動する、すなわち、投影がX線源を停止せずに経路に沿った1つまたは複数の位置で取得される、撮像システムを介して画像を取得する方法を指す。」なる記載があり、【0014】には「X線源14は、開始位置34および終了/停止位置36(両方とも交換可能であってもよい)を有する掃引角度φによって画定された経路22に沿って連続的に進行しながら、X線20(図2)を被写体12(図2)に透過させるように動作する。」なる記載がある。
よって、補正事項1は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
イ 補正事項2について
当初明細書等の【0037】には、「したがって、理解されるように、被写体の予備スキャン/事前スキャン中に取得された情報を活用することによって、本発明のいくつかの実施形態は、モーションブラーアーチファクトのリスクを軽減するために連続掃引スキャンの最適化された取得パラメータを提供し、これにより、連続スキャントモシンセシスのスキャン時間の高速化、パルス/被曝時間の延長、および/または取得時間の短縮が可能になる。」なる記載がある。
よって、補正事項2は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(3)補正の目的についての検討
ア 補正事項1について
補正事項1は、本件補正前の請求項1の発明特定事項である「被写体(12)に透過させるよう」な「動作」について、「X線源(14)を停止せずにX線(20)を照射して」と限定するとともに、「被写体(12)に透過させる」「X線(20)」が「X線源(14)を停止せずに」「照射し」た「X線(20)」に特定されるものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 補正事項2について
補正事項2は、本件補正前の請求項1の発明特定事項である「少なくとも1つの取得パラメータ(60)」について、「モーションブラーアーチファクトのリスクを軽減する」ものに限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、補正事項2は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ 上記ア、イのとおり、補正事項1,2は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。
3.独立特許要件についての検討
(1)本件補正発明について
本件補正発明は、上記1.(1)に分説番号と共に記載した請求項1のとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
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ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶理由において引用文献1として提示された、本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2017/0065238号明細書には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。
(ア)明細書の記載事項
a [0026]
「In a single or multiple embodiments, the tomosynthesis image acquisition parameters that are tailored to or customized for the measured breast characteristics include the extent of the tomosynthesis imaging arc, the number of projection images, the gantry angular velocity or overall gantry sweep time, and/or per-projection-image exposure time window (exposure window) to provide one or more of improved image quality and reduced imaging dose. The ability to dynamically vary acquisition or processing methods provides for patient and breast customization, thereby providing one or more of (i) improved image quality, and thus an improved ability to identify and assess potential pathologies and abnormalities, and (ii) lower radiation dose, and thus a reduced the risk of long-term adverse health effects due to lifetime accumulated radiation exposure.
(当審訳:単一又は複数の実施形態において、測定された乳房特性に合わせた又はカスタマイズされたトモシンセシス画像取得パラメータは、トモシンセシス撮像円弧の範囲、投影画像の数、ガントリ角速度又は全体のガントリ掃引時間、及び/又は投影画像毎の露出時間ウィンドウ(露出ウィンドウ)などを含み、改善した画質及び低減した撮像量のうちの一つ又は複数を提供する。取得又は処理方法を動的に変化させる能力は、患者及び乳房のカスタマイズを提供し、それによって、(i)改善された画質、したがって潜在的な病理及び異常を識別及び評価する能力の向上、及び(ii)低い放射線量、したがって生涯累積放射線被曝による長期有害健康影響のリスクの低減、の1又は複数を提供する。)
b [0064]
「For example, embodiments may be used to improve image quality in a breast tomosynthesis system by dynamically varying operating parameters of the tomosynthesis system in response to physical characteristics of the breast to be imaged (determined during image acquisition in real-time during a scan of the same patient), such as the breast thickness or the breast density. 」
(当審訳:例えば、実施形態は、乳房の厚さや乳房密度など、撮像される乳房の物理的特性(同じ患者のスキャン中にリアルタイムで画像取得中に決定される)に応じてトモシンセシスシステムの動作パラメータを動的に変化させて、乳房トモシンセシスシステムにおける画像品質を改善するために使用することができる。)
c [0065]
「Parameters that may be varied in response to physical characteristics may include, but are not limited to, exposure parameters (including number of acquired projection images, duration of exposure, voltage or current used for exposure, etc.) and/or motion parameters (such as sweep angle, sweep speed, etc.). For example, existing tomosynthesis imaging systems are designed to obtain a fixed number of projection images as the x-ray source moves along a sweep angle (e.g., between -15 and +15 degrees) over a predetermined time period which is based on an exposure window for each projection image. In existing systems such parameters are fixed, regardless of any differences in the physical characteristics of the breast being imaged. According to certain embodiments, particular acquisition parameters related to certain physical characteristics of the imaged breast are dynamically modified in order to improve image quality. For example, when imaging a large or very radiodense breast, the x-ray tube current mAs for each of the projections may need to be large so as to adequately penetrate the breast. As the mAs are increased, however, focal spot blurring caused by the longer exposures can degrade image quality.」
(当審訳:物理的特性に対応して変化させることができるパラメータには、露出パラメータ(取得投影画像の数、露出時間、露出に使用する電圧又は電流等を含む)及び/又は運動パラメータ(掃引角度、掃引速度等)があるが、これらに限定されない。例えば、既存のトモシンセシス撮像システムは、各投影画像に対する露出ウィンドウに基づく所定の時間期間にわたってX線源が掃引角度(例えば、-15度から+15度の間)に沿って移動すると、固定数の投影画像を取得するように設計されている。既存のシステムでは、そのようなパラメータは、撮像される乳房の物理的特性の違いに関係なく、固定されている。特定の実施形態によれば、画質を向上させるために、撮像される乳房の特定の物理的特性に関連する特定の撮影パラメータが動的に変更される。例えば、大きな乳房や非常に放射線不透過性な乳房を撮影する場合、乳房を十分に透過させるために、各投影のX線管電流mAsを大きくする必要があることがある。しかし、mAsを大きくすると、露光時間が長くなるため、焦点ブラーが発生し、画質が劣化することがある。)
d [0067]
「FIG. 1 illustrates an embodiment of an image acquisition device or system in the form of a tomosynthesis acquisition system that is configured, programmed or adapted to modify at least one acquisition parameter in response to breast density or thickness characteristics. In the illustrated embodiment, the system includes a gantry 100 and a data acquisition work-station 102. Gantry 100 includes a housing 104 supporting a tube arm assembly 106 rotatably mounted thereon to pivot about a horizontal axis 402 and carrying an x-ray tube assembly 108.」
(当審訳:FIG. 1は、乳房密度又は厚さ特性に応答して少なくとも1つの取得パラメータを修正するように構成、プログラム又は適応されたトモシンセシス取得システムの形態の画像取得装置又はシステムの一実施形態を示す図である。図示された実施形態では、システムはガントリー100とデータ収集ワークステーション102を含む。ガントリー100は、水平軸402を中心に旋回するようにその上に回転可能に取り付けられたチューブアームアセンブリ106を支持し、X線管アセンブリ108を担持するハウジング104を含む。)
e [0068]
「A detector subsystem may include a rotation mechanism 408 for rotating components of detector subsystem 117 (such as x-ray receptor 502) about axis 402 to accommodate different operations modes, and couple/uncouple mechanism 410 to selectively couple or uncouple tube arm assembly 106 and compression arm assembly 110 to and from each other, and tube arm assembly 106 and detector subsystem 117 to and from each other. 」
(当審訳:検出器サブシステムは、異なる動作モードに対応するために検出器サブシステム117の構成要素(X線受容器502など)を軸402を中心に回転させるための回転機構408と、管アームアセンブリ106と圧縮アームアセンブリ110を選択的に互いに結合または結合解除し、管アームアセンブリ106と検出器サブシステム117を互いに結合または解除する結合/解除機構410を含み得る。)
f [0075]
「Referring to FIG. 2, one embodiment of a process 200 for dynamically setting image acquisition parameters may be implemented or executed by a controller, processor and/or computer of, utilized or accessed by the image acquisition system or components thereof shown in FIG. 1. At step 210 image acquisition parameters are initialized. In particular the acquisition parameters are set to those used to capture an Automatic Exposure Control (AEC) (or “scout”) image of the breast, where a first or scout image (generally, “scout” image) is an x-ray is taken (either at a low dose, or full dose) and the image receptor's image is read by a processor or controller as part of a computer process.」
(当審訳:図2を参照すると、画像取得パラメータを動的に設定するためのプロセス200の一実施形態は、FIG. 1に示す画像取得システムまたはその構成要素のコントローラ、プロセッサおよび/またはコンピュータによって実装または実行され、利用またはアクセスされ得る。ステップ210で、画像取得パラメータが初期化される。特に、取得パラメータは、乳房の自動露出制御(AEC)(又は「スカウト」)画像の撮影に使用されるものに設定され、ここで、第1又はスカウト画像(一般に、「スカウト」画像)は、X線が(低線量、又は全線量のいずれかで)撮影され、コンピュータプロセスの一部としてプロセッサ又はコントローラによって画像受容体の画像が読み取られる。)
g [0076]
「At step 212, the breast is compressed and the scout image is obtained. The computer process uses information from the scout image to identify the breast's radio-density and to calculate the optimal x-ray tube exposure voltage kVp, current mAs, and exposure time for delivering a desired x-ray dose.」
(当審訳:ステップ212で、乳房が圧縮され、スカウト画像が得られる。コンピュータプロセスは、スカウト画像からの情報を使用して、乳房の放射線密度を特定し、所望のX線量を提供するための最適なX線管露出電圧kVp、電流mAs、及び露出時間を計算する。)
h [0078]
「With continuing reference to FIG. 2, at step 214, information associated with the identified mA and exposure time may be used to determine the potential extent of focal spot blur. Should it be determined at step 216 that the potential focal spot blur exceeds a desired threshold, at step 218 at least one acquisition parameter is modified in response to the breast density and/or breast thickness information to either reduce focal spot blur (for example, by increasing mA and reducing the exposure window), compensate for focal spot blur (for example by increasing the number of projection images for varying the sweep angle), or meet some other imaging goal (such as reducing exposure). At step 220 the image is then acquired using the customized acquisition parameters. It can be appreciated that the selection of which acquisition parameter to vary to meet a desired goal (and even the desired goal itself) is can be based on analytical and/or empirical determinations in the design of the system for promoting an optimal balance of high image quality and reduced radiation dose, and may differ depending upon the particular breast composition.」
(当審訳:FIG. 2を引き続き参照すると、ステップ214において、特定されたmA及び露出時間に関連する情報は、焦点ブラーの潜在的な範囲を決定するために使用され得る。ステップ216で、潜在的な焦点ブラーが所望の閾値を超えると判定された場合、ステップ218で、少なくとも1つの取得パラメータが、乳房密度及び/又は乳房厚情報に応答して変更されて、焦点ブラーを低減するか(例えば、mAを増加させて露出ウィンドウを縮小する)、焦点ブラーを補填するか(例えば、掃引角を変えるための投影画像の数を増加する)又は他の何らかの画像化目標(例えば、露出を低減する)を達成するかのいずれかになる。ステップ220では、次に、カスタマイズされた取得パラメータを使用して画像が取得される。所望の目標(さらには所望の目標自体)を満たすためにどの取得パラメータを変化させるかの選択は、高画質と放射線量の低減の最適なバランスを促進するためのシステムの設計における分析的及び/又は経験的な決定に基づいて行うことができ、特定の乳房組成に応じて異なることがあることを理解することができる。)
i [0082]
「Shown in FIG. 4 is an x-ray point source 402 mounted on a gantry (not shown), the system being configured to acquire “N” tomosynthesis projection images over a tomosynthesis imaging arc θT encompassing “N” respective angular locations 404. The tomosynthesis imaging arc θT is traversed in an overall gantry sweep time T. During the continuous angular sweep, the x-ray imaging source 402 is kept off except in an angular interval Δθi around each projection imaging location, ・・・」
(当審訳:FIG. 4に示されているのは、ガントリー(図示せず)に取り付けられたX線点源402であり、このシステムは、N個のそれぞれの角度位置404を包含するトモシンセシス撮像円弧θTにわたってN個のトモシンセシス投影画像を獲得するように構成されている。トモシンセシス撮像円弧θTは、全体のガントリー掃引時間Tで横断される。連続的な角度掃引の間、X線撮像源402は、各投影撮像位置の周りの角度間隔Δθiを除いてオフに保たれ、・・・)
(イ)図面
・FIG. 1
[図:0001404336000001.jpg]
上記(ア)d、eの記載及びFIG. 1によれば、ガントリー100の構成要素として、X線源であるX線管アセンブリ108及び検出器サブシステム117が含まれることが見て取れる。
(ウ)認定事項
(認定事項1)
上記(ア)cの「所定の時間期間にわたってX線源が掃引角度(例えば、-15度から+15度の間)に沿って移動する」なる記載によれば、X線源が掃引角度にて画定された移動範囲に沿って移動するものと解される。
また、上記(ア)cの「例えば、大きな乳房や非常に放射線不透過性な乳房を撮影する場合、乳房を十分に透過させるために、」なる記載によれば、X線源からのX線が被写体である乳房を透過して撮影を行うものと解される。
さらに、上記(ア)iの「ガントリー(図示せず)に取り付けられたX線点源402であり、このシステムは、N個のそれぞれの角度位置404を包含するトモシンセシス撮像円弧θTにわたってN個のトモシンセシス投影画像を獲得するように構成されている。トモシンセシス撮像円弧θTは、全体のガントリー掃引時間Tで横断される。連続的な角度掃引の間、」なる記載によれば、X線源は、トモシンセシス撮像円弧θTにわたってN個それぞれのトモシンセシス投影画像を獲得するように連続的な角度掃引を行うものであるから、掃引の間、X線源は停止していないものと解される。
そうすると、以下の事項を導くことができる。
「X線源が掃引角度にて画定された移動範囲に沿って移動し、X線源からのX線が被写体である乳房を透過して撮影し、トモシンセシス撮像円弧θTにわたってN個のトモシンセシス投影画像を獲得するように、X線源が停止せずに連続的な角度掃引が行われること。」
(認定事項2)
上記(ア)fの「画像取得パラメータを動的に設定するためのプロセス200の一実施形態は、FIG. 1に示す画像取得システムまたはその構成要素のコントローラ、プロセッサおよび/またはコンピュータによって実装または実行され、・・・第1又はスカウト画像(一般に、「スカウト」画像)は、X線が(低線量、又は全線量のいずれかで)撮影され、」なる記載及び上記(ア)gの「ステップ212で、乳房が圧縮され、スカウト画像が得られる。」なる記載によれば、FIG. 1の画像取得システムで被写体である乳房が撮影されてスカウト画像が得られる。
ここで、上記(イ)によれば、FIG. 1の画像取得システムは、X線源であるX線管アセンブリ108及び検出器サブシスステム117を構成要素として含む。
そうすると、画像取得システムの構成要素であるX線源であるX線管アセンブリ108及び検出器サブシステム117を介して、被写体である乳房のスカウト画像が得られるものと解される。
よって、以下の事項を導くことができる。
「X線源及び検出器サブシステムを介して、被写体である乳房のスカウト画像を取得すること。」
(エ)引用発明
上記(ア)~(ウ)によれば、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているといえる。分説番号は本件補正発明の分説番号に概ね対応させて当審で付与した。また各構成単位末尾の括弧内には、引用元となった引用文献1の記載箇所等を示した。
「a1 乳房の撮像のための画像取得システムであって([0064]、[0067])、b1 X線源が掃引角度にて画定された移動範囲に沿って移動し、X線源からのX線が被写体である乳房を透過して撮影し、トモシンセシス撮像円弧θTにわたってN個のトモシンセシス投影画像を獲得するように、X線源が停止せずに連続的な角度掃引が行われ(認定事項1)、c1 検出器サブシステムは、構成要素としてX線受容器502を備え([0068])、d1 コントローラにて実行されるコンピュータプロセスとして、X線源及び検出器サブシステムを介して、被写体である乳房のスカウト画像を取得し([0075]、認定事項2)、e1 前記コンピュータプロセスにおいて、スカウト画像からの情報を使用して、乳房の放射線密度を特定し、所望のX線量を提供するための最適なX線管露出電圧kVp、電流mAs、及び露出時間を計算し、特定されたmA及び露出時間に関連する情報は、焦点ブラーの潜在的な範囲を決定するために使用され、潜在的な焦点ブラーが所望の閾値を超えると判定された場合、少なくとも1つの取得パラメータが変更されて、焦点ブラーが低減され(例えば、mAを増加させて露出ウィンドウを縮小し)([0076]、[0078])、f1 次に、カスタマイズされた取得パラメータを使用して画像が取得され([0078])、g1 上記少なくとも1つの取得パラメータは、乳房密度及び/又は乳房厚情報に応答して変更される([0078])、h1 画像取得システム。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明1を対比する。
ア 構成a1の「画像取得システム」は、乳房の撮像のためのものであるから、構成A1の「撮像のためのシステム(10)」及び構成H1の「システム(10)」に相当する。
イ 構成b1の「X線源」は、「掃引角度にて画定された移動範囲に沿って移動し」、「X線源が停止せずに連続的な角度掃引が行われ」、「X線源からのX線が被写体である乳房を透過して撮影」するものであるから、構成b1の「X線源」は、構成B1の「掃引角度(φ)によって画定された経路(22)に沿って連続的に進行しながら、X線源(14)を停止せずにX線(20)を照射して前記X線(20)を被写体(12)に透過させるように動作する前記X線源(14)」に相当するといえる。
ウ 構成b1によれば、「X線源からのX線が被写体である乳房を透過して撮影」されるから、構成c1の「構成要素としてX線受容器502を備え」る「検出器サブシステム」は、被写体である乳房を透過したX線を受信するものであると解される。
そうすると、構成c1の「検出器サブシステム」は、構成C1の「前記被写体(12)を通過した前記X線(20)を受信するように動作する検出器(16)」に相当するといえる。
エ 構成d1の「X線源」、「検出器サブシステム」及び「被写体である乳房のスカウト画像」は、それぞれ構成D1の「X線源(14)」、「検出器(16)」及び「被写体(12)に関する予備データ(56)」に相当する。
オ 構成e1によれば、スカウト画像からの情報を使用して焦点ブラーの潜在的な範囲が決定され、潜在的な焦点ブラーが閾値を超えると判定された場合に「少なくとも1つの取得パラメータ」が変更されて焦点ブラーが低減されるものであるから、構成e1の「スカウト画像からの情報を使用して」「少なくとも1つの取得パラメータ」を「変更」することは、構成E1の「前記予備データ(56)から」「少なくとも1つの取得パラメータ(60)」を「決定」することに相当するといえる。
また、構成e1の「焦点ブラー」と構成E1の「モーションブラーアーチファクト」はいずれも「ブラー」であるから、構成e1の「焦点ブラーが低減され」と構成E1の「モーションブラーアーチファクトのリスクを軽減する」は、「ブラーを軽減する」点で共通している。
カ 構成f1の「カスタマイズされた取得パラメータ」は、構成e1の「変更」した「少なくとも1つの取得パラメータ(60)」を含む、「取得パラメータ(60)」のことである。
そして、構成f1の「画像」は、「カスタマイズされた取得パラメータを使用して」取得されるので、スカウト画像を取得したシステムで取得されるものと解され、構成f1の「画像」もX線源及び検出器サブシステムを介して取得されるものである。
また、構成b1の「被写体である乳房」の「N個のトモシンセシス投影画像」が構成f1の「画像」に対応するので、構成f1の「画像」は、被写体の1つ又は複数の投影画像であるといえる。
そうすると、構成f1の「カスタマイズされた取得パラメータを使用して画像が取得される」は、構成F1の「前記取得パラメータ(60)に少なくとも部分的に基づいて前記X線源(14)および前記X線検出器(16)を介して前記被写体(12)の1つまたは複数の投影(64)を取得する(62)」に相当する技術事項を備えるといえる。
キ 構成d1の「コントローラ」は、構成F1の「コントローラ」に相当する。
ク 構成g1の「乳房密度及び/又は乳房厚情報」と構成G1の「前記X線源(14)のアノード材料」は、「前記検出器(16)が受信する前記被写体(12)を通過した前記X線(20)の強度に影響を与える情報」である点で共通する。
ケ 上記ア~クによれば、本件補正発明と引用発明1とは、下記(ア)の点で一致し、下記(イ)、(ウ)の点で相違する。
(ア)一致点
「A1 撮像のためのシステムであって、B1 掃引角度によって画定された経路に沿って連続的に進行しながら、X線源を停止せずにX線を照射して前記X線を被写体に透過させるように動作する前記X線源と、C1 前記被写体を通過した前記X線を受信するように動作する検出器と、D1 前記X線源および前記検出器を介して前記被写体に関する予備データを取得し、E1’ 前記予備データからブラーを軽減する少なくとも1つの取得パラメータを決定し、F1 前記取得パラメータに少なくとも部分的に基づいて前記X線源および前記X線検出器を介して前記被写体の1つまたは複数の投影を取得するように動作するコントローラとを備え、G1’ 前記コントローラは、前記検出器が受信する前記被写体を通過した前記X線の強度に影響を与える情報に基づいて前記少なくとも1つの取得パラメータを決定する、H1 システム。」
(イ)相違点1(構成E1)
「少なくとも1つの取得パラメータ」で「ブラーを軽減する」ことについて、本件補正発明は「モーションブラーアーチファクトのリスクを軽減する」ことであるのに対し、引用発明1は、焦点ブラーを低減することである点。
(ウ)相違点2(構成G1)
「前記少なくとも1つの取得パラメータ」の「決定」に係る「前記検出器が受信する前記被写体を通過した前記X線の強度に影響を与える情報」が、本件補正発明は、「X線源(14)のアノード材料」であるのに対し、引用発明1は、「乳房密度及び/又は乳房厚情報」である点。
(4)相違点の検討
ア 相違点1について
引用発明1は、スカウト画像からの情報を使用して、mAを増加させて露出ウィンドウを縮小することで焦点ブラーを低減させるものである。
ここで、上記(2)(ア)aの「投影画像毎の露出時間ウィンドウ(露出ウィンドウ)」なる記載によれば、露出ウィンドウは「投影画像毎の露出時間ウィンドウ」のことであるので、「露出ウィンドウを縮小」は、投影画像毎の露出時間ウィンドウを短くすることを意味するものと解される。
また、画像毎の露出時間が長ければ被写体の動きの影響を受けやすく、露出時間が短ければ被写体の動きの影響を受けにくいことは技術常識である。
そうすると、引用発明1における焦点ブラーを低減されるためにmAを増加させて露出ウィンドウを縮小することは、モーションブラーアーチファクトのリスクを軽減するものといえる。
そして、引用発明1の構成e1における「スカウト画像からの情報を使用して」「少なくとも1つの取得パラメータ」を「変更」して「焦点ブラーが低減され」るようにすることは、「モーションブラーアーチファクトのリスクを軽減する」ものでもあるといえる。
よって、相違点1は実質的な相違点ではない。
仮に、相違点1を実質的な相違点であると取り扱ったとしても、引用発明1の上記(2)(ア)aに「カスタマイズされたトモシンセシス画像取得パラメータは、トモシンセシス撮像円弧の範囲、投影画像の数、ガントリ角速度又は全体のガントリ掃引時間、及び/又は投影画像毎の露出時間ウィンドウ(露出ウィンドウ)などを含み、改善した画質及び低減した撮像量のうちの一つ又は複数を提供する。」なる記載があるように、角度掃引時も含めて「改善した画質」を提供することが示唆されていることから、引用発明1において、上記記載を参酌して、連続的な角度掃引時に発生するブラーであるモーションブラーアーチファクトが発生しにくくなるように「少なくとも1つの取得パラメータ」を決定する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
(ア) 周知文献1
原査定の拒絶理由において引用文献3として提示された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2015-13107号公報には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0014】X線管13は、高電圧発生器23からの高電圧の印加とフィラメント電流の供給とを受けてX線を発生する。発生されたX線は、X線管13に収容された陽極の材質に応じたエネルギースペクトルを有している。高電圧発生器23は、架台制御部21からの制御信号に従う高電圧をX線管13に印加し、架台制御部21からの制御信号に従うフィラメント電流をX線管13に供給する。・・・【0045】図6は、システム制御部63の制御のともに行われる第1実施形態に係る典型的な動作の流れを示す図である。スキャン計画時等のスキャン前においてシステム制御部63は、設定部55に物理情報の設定処理を行わせる(ステップS1)。ステップS1において設定部55は、X線管13から発生されるX線フォトンのエネルギースペクトル(エネルギー分布)及びエネルギー・ビン等の物理情報を設定する。例えば、設定部55は、X線管13内の陽極の材質や管電圧値、管電流値に応じてエネルギースペクトルを設定する。また、設定部55は、例えば、ユーザからの指示に従って、設定されたエネルギースペクトルに複数のエネルギー・ビンを設定する。各エネルギー・ビンは、当該エネルギー・ビンのエネルギー中心値とエネルギー幅とにより規定される。ユーザは、各エネルギー・ビンについてエネルギー中心値とエネルギー幅とを操作部59を介して指定する。設定部55は、指定されたエネルギー中心値とエネルギー幅とに応じてエネルギー・ビンを設定する。エネルギースペクトルとエネルギー・ビンとのデータは、主記憶部61に記憶される。」
(イ) 周知文献2
本願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2015-100711号公報には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0105】そして、陽極211cと陰極211eとの間に高電圧を印加すると熱電子が加速されて陽極のターゲット物質211dに衝突しながらX線を発生させる。陽極のターゲット物質211dとしては、Cr、Fe、Co、Ni、W、Moなどの高抵抗材料が用いられる。発生したX線は、ウィンドウ211iを介して外部に照射され、ウィンドウの材料としてはベリリウム(Be)薄膜が用いられる。・・・【0132】制御部220は、X線撮影に適用される多様な撮影パラメータを制御する。撮影パラメータは露出パラメータ(exposure parameter)ともいい、X線映像装置200で撮影パラメータを自動で制御することを自動露出制御(Auto Exposure Control)という。【0133】撮影パラメータは、管電圧、管電流、露出時間、フィルタの種類、撮影領域(FOV)、フレームレート、パルスレート、ターゲット物質の種類を含むグループから選択される少なくとも1つとすることができる。・・・【0135】制御部220は、映像処理部230の分析結果に基づいて撮影パラメータを決定することができる。例えば、映像処理部230がフレーム映像を分析して対象体の厚さや密度のような特性が判断されると、制御部220はその判断結果に基づいて対象体の特性に適合する管電圧、管電流、露出時間、フィルタ種類、ターゲット物質種類などの撮影パラメータを決定することができる。」
(ウ) 周知文献3
本願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2017-63907号公報には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0039】放射線照射部14の内部には、放射線源であるX線源16が収納されている。X線源16から放射線であるX線を照射するタイミングおよびX線源16におけるX線発生条件、すなわち陽極およびフィルタの材質、管電圧並びに照射時間等は、コンピュータ2により制御される。・・・【0051】ここで、第1および第2の撮影条件について説明する。X線源16は、電子線を出力するフィラメント、電子線が衝突することでX線を発生させるターゲット、およびX線のエネルギスペクトルを調整するフィルタを備える。ターゲットは、複数の異なる陽極物質、例えば、Mo、RhおよびWを有し、これらが選択可能に配置されている。フィルタは、複数の異なる物質、例えば、Mo、Rh、WおよびAlを有し、これらが選択可能に配置されている。【0052】撮影条件は、乳房Mに照射するX線のエネルギスペクトル(線質)を調整して適切な放射線画像を得るための条件であり、例えば、X線源16を構成するターゲットの種類、フィルタの種類、およびフィラメントとターゲットとの間に印加される管電圧からなるX線発生条件、並びにグリッド20の有無を表すグリッド条件を含む。なお、撮影条件として、mAs値(管電流×放射線照射時間)を含んでいてもよい。また、グリッドを使用する場合において、グリッドの種類、すなわちグリッド比、グリッド密度、収束型か平行型か、収束型の場合の集束距離、およびインタースペース素材(アルミニウム、ファイバー、またはベークライト等)等が異なると、後述するグリッド特性が異なるものとなる。このため、撮影条件には、グリッドの種類を表すグリッド情報も含まれる。【0053】本実施形態においては、トモシンセシス撮影および単純撮影のそれぞれについての撮影条件のテーブルがストレージ23に記憶されている。図7は撮影条件のテーブルを示す図である。図7に示すように撮影条件のテーブルLUT1は、複数の乳房厚さに対応する撮影条件を規定したものである。具体的には、ターゲットおよびフィルタの種類を示すT/F、管電圧およびグリッドの有無が設定されている。なお、INがグリッド有り、OUTがグリッド無しを表す。テーブルLUT1を参照することにより、例えば、乳房の厚さが45mmの場合、トモシンセシス撮影時には、T/FはW/Al(ターゲットがW、フィルタがAl)、管電圧は32kV、およびグリッド無しが第1の撮影条件として設定される。また、単純撮影時には、T/FはW/Rh(ターゲットがW、フィルタがRh)、管電圧は29kV、およびグリッド有りが第2の撮影条件として設定される。設定された第1および第2の撮影条件は、ストレージ23に記憶される。」
(エ)周知技術の認定
上記(ア)~(ウ)において周知文献1~3の記載を摘記して例示したように、次の技術事項は、周知技術(以下「周知技術」という。)であると認められる。
「X線撮影装置において、管電圧値、管電流値と同様に、陽極の材質もX線源に関する撮影パラメータであること。」
(オ)当審の判断
上記(エ)によれば、X線撮影装置において、管電圧値、管電流値と同様に、陽極の材質(アノード材料)もX線源に関する撮影パラメータであることは周知技術である。
そして、引用発明1に対し、上記周知技術を適用して、X線源に関する撮影パラメータの1つであるアノード材料に基づいて「前記少なくとも1つの取得パラメータ」を「決定」するようにして、相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 本件補正発明の効果について
上記アのとおり、相違点1については、実質的な相違点ではなく、仮に実質的な相違点として取り扱ったとしても引用文献1の記載事項を適用したものに過ぎないから、引用発明1において上記相違点1の構成とすることによる作用効果は、当業者にとって予測可能なものである。
また、上記イのとおり、相違点2については、引用発明1に周知技術を適用したものに過ぎないから、引用発明1において上記相違点2の構成とすることによる作用効果は、当業者にとって周知技術から予測可能なものである。
そして、相違点1ないし2による効果を総合的に判断しても、本件補正発明は、引用発明1及び周知技術と比較して格別な作用効果を奏するものとはいえない。
エ 審判請求書人の主張について
審判請求人は、審判請求書において「本願発明では、上記特徴を有しておりますので、予備データ(56)とアノード材料において最適となる速度/線量と画像品質との間のバランスを設定することを可能にします。
引用文献1-3は、本発明のかかる作用効果を奏することができません。そして、かかる作用効果を考慮すると、引用文献2、3を含む公知技術を引用文献1に適用して本発明に到達することは、引用文献1の当業者にとって困難であったことを示していると思料いたします。」と主張している。
しかしながら、前記ウで述べたように、本願発明の構成及び作用効果は、いずれも引用発明1及び周知技術から当業者が予測し得るものであるから、上記主張を採用することはできない。
(5)小括
したがって、上記において検討したように、本件補正発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4.本件補正についてのむすび
上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年1月14日に提出された手続補正書に記載された特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.1.(2)に記載したとおりのものである。
2.原査定の拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、概略次のとおりである。
(1)理由2.(進歩性):この出願の請求項1~15に係る発明は、引用文献1及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
ア 引用文献等一覧
1.米国特許出願公開第2017/0065238号明細書
2.特開2010-221032号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2015-13107号公報(周知技術を示す文献)
3.引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明1は、前記第2.3.(2)に示したとおりである。
4.対比・判断
本願発明は前記第2.3.で検討した本件補正発明から、「被写体(12)に透過させるよう」な「動作」について、「X線源(14)を停止せずにX線(20)を照射」するとの限定を外し、「被写体(12)に透過させる」「X線(20)」について、「X線源(14)を停止せずに」「照射し」た「X線(20)」との特定を外し、「少なくとも1つの取得パラメータ(60)」について、「モーションブラーアーチファクトのリスクを軽減する」ものとの限定を外したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2.3.(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-015393