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特許拒絶査定不服審判

2022-014952

液位検出装置の取付構造

審判番号
2022-014952
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-045753外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年09月21日
審決日
2023年10月18日
公報発行日
2024年01月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .575-Z (G01F) / P18 .121-Z (G01F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018- 45753「液位検出装置の取付構造」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月27日出願公開、特開2018-205299〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成30年3月13日(優先権主張 平成29年6月5日)の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。

令和4年 1月17日付け:拒絶理由通知書

同年 3月14日 :意見書、手続補正書の提出

同年 7月29日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(同年 8月 2日 :原査定の謄本の送達)

同年 9月21日 :審判請求書、手続補正書の提出

同年12月20日 :前置報告書
令和5年 2月 8日 :上申書の提出

第2 令和4年9月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年9月21日にされた手続補正を却下する。

[補正の却下の決定の理由]

1 本件補正の内容

令和4年9月21日にされた補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正を含むものであって、そのうち請求項1についてする補正は、次の(1)に示す本件補正前(令和4年3月14日に提出された手続補正書による補正後をいう。)の請求項1の記載を、後記(2)に示す本件補正後の請求項1の記載に補正することを含むものである。なお、下線は補正箇所を示す。

(1) 本件補正前の請求項1

「【請求項1】
タンク内に貯留された液体の液位を検出する液位検出装置の取付構造であって、
前記液位検出装置は、前記タンク側に設けられた取付部の取付面に装着される装置本体と、前記装置本体に回動可能に設けられて前記タンク内に貯留された液体の液位の変動によって回動するホルダと、を備え、
前記取付面は、前記装置本体が挿し込まれることで前記装置本体の両側部を係止する一対の係止部と、前記係止部に対する前記装置本体の挿し込み方向の前方側に形成された一対の突起部と、を有し、
前記装置本体は、幅方向に配列されて前記挿し込み方向の前方側へ延在された一対のフックを有し、
前記フックは、前記突起部を前記装置本体の幅方向の内側から係止する爪部を有するとともに、前記装置本体における前記ホルダの可動領域よりも厚さ方向の前記取付面側に形成され、
前記装置本体は、前記フックに対して厚さ方向の前方側に隙間をあけて配置された当接部を有し、前記フックが前記装置本体の厚さ方向の前方側へ弾性変形された際に前記当接部に当接することで過度な変形が抑制される
ことを特徴とする液位検出装置の取付構造。」

(2) 本件補正後の請求項1

「【請求項1】
タンク内に貯留された液体の液位を検出する液位検出装置の取付構造であって、
前記液位検出装置は、前記タンク側に設けられた取付部の取付面に装着される装置本体と、前記装置本体に回動可能に設けられて前記タンク内に貯留された液体の液位の変動によって回動するホルダと、を備え、
前記取付面は、前記装置本体が挿し込まれることで前記装置本体の両側部を係止する一対の係止部と、前記係止部に対する前記装置本体の挿し込み方向の前方側に形成された一対の突起部と、を有し、
前記装置本体は、幅方向に配列されて前記挿し込み方向の前方側へ延在された一対のフックを有し、
前記フックは、前記突起部を前記装置本体の幅方向の内側から係止する爪部を有するとともに、前記装置本体における前記ホルダの可動領域よりも厚さ方向の前記取付面側に形成され、基端部及びその近傍が、前記装置本体の前記厚さ方向において前記可動領域にラップしており、
前記装置本体は、前記フックに対して厚さ方向の前方側に隙間をあけて前記可動領域にラップして配置された当接部を有し、前記フックが前記装置本体の厚さ方向の前方側へ弾性変形された際に前記当接部に当接することで過度な変形が抑制される
ことを特徴とする液位検出装置の取付構造。」

2 本件補正の目的について

(1) 本件補正のうち、請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1の発明特定事項について、次のア及びイの限定をするものである。

ア 本件補正前に特定されていた「フック」について、基端部及びその近傍が、前記装置本体の前記厚さ方向において前記可動領域にラップしていることを限定すること。

イ 本件補正前に特定されていた「当接部」について、当接部が、前記可動領域にラップして配置されることを限定すること。

(2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。

(3) よって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3 独立特許要件について

本件補正のうち請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討を行う。

(1) 本件補正発明

本件補正発明は、前記1(2)の本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(2) 各引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定

ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定

(ア) 引用文献1に記載された事項

原査定の拒絶の理由において引用された特開2010-48780号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。下線は合議体が付したもので、後記(ウ)の引用発明の認定において、引用発明の認定に直接用いる記載に付してある。

a 【0001】

「【0001】
本発明は、液面検出装置の取付け構造に関するものである。」

b 【0016】~【0019】、【図1】

「【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明による液面検出装置の取付け構造を、自動車に搭載される燃料レベルゲージに適用した場合を例に図面に基づいて説明する。なお、図中の互いに同一若しくは均等である部分に、同一符号を付している。
【0017】
(第1実施形態)
図1において、燃料レベルゲージ1は、燃料タンク20内の燃料Aの液面位置A1,A2を検出するものであり、燃料タンク20内に配設されたサブタンク10に取付けられる。サブタンク10は、燃料タンク20内の燃料Aを燃料タンク20の外部のエンジンへ送出する燃料ポンプを内蔵している。
【0018】
フランジ部21がサブタンク10の上端に設けられ、フランジ部21を燃料タンク20の開口22に嵌合させて、燃料タンク20に、ねじ留め等により固定することによって、サブタンク10が燃料タンク20に固定される。なお、図1では、サブタンク10を模式的に小さく示している。
【0019】
燃料レベルゲージ1は、本体部5と、燃料Aの液面に浮くフロート2と、本体部5に対して回動可能な回転部4と、フロート2と回転部4とを連結してフロート2の上下運動を回転部4の回転運動に変換するアーム3と、回転部4に内蔵されたマグネットと、マグネットの磁束と交差するように本体部5に内蔵されたホールIC等の磁電変換素子とを備える。燃料レベルゲージ1は、磁電変換素子により磁電変換素子と交差するマグネットの磁束密度を測定することによって液面位置A1,A2を検出する。」
「【図1】
[図:0001405411000001.jpg]
」

c 【0020】~【0023】、【図2】、【図3】

「【0020】
図2と図3に示すように、本体部5には、嵌合部6、被掛止部7、ストッパ8とが形成される。嵌合部6は、後述する被嵌合部11(図4)と嵌合するように、本体部5の幅方向D1の両端51に形成される。両端51に形成された嵌合部6は、それぞれ、嵌合部6の中間部に形成されている凹部61によって、嵌合方向D2において分断されている。
【0021】
被掛止部7は、本体部5の両端51よりも内側であって、嵌合部6が被嵌合部11と嵌合する嵌合方向D2(図2と図3)において、本体部5の先端に形成される。被掛止部7は、本体部5の先端から延出するように形成され、被掛止部7の先端には、後述する掛止部12(図4)と掛止する被掛止爪71が形成される。ストッパ8は、本体部5の先端に、被掛止部7と並行して延出するように、壁状に形成される。
【0022】
嵌合部6、被掛止部7およびストッパ8は、樹脂成形により、本体部5と一体的に形成される。
【0023】
なお、図2において、円形状部分53は、回転部4が、本体部5に対して回転自在に装着される部分である。アームストッパ541,542は、アーム3の回転部4側の端部の回転角度範囲を規制するものであり、これにより、本体部5に対する回転部4の回転角度範囲を規制している。アームストッパ541は、回転角度範囲が大きい場合のものであり、アームストッパ542は、回転角度範囲が小さい場合のものである。」
「【図2】
[図:0001405411000002.jpg]
」
「【図3】
[図:0001405411000003.jpg]
」

d 【0024】、【0025】、【図4】~【図6】

「【0024】
サブタンク10には、図4と図5に示すように、本体部5の嵌合部6と嵌合する被嵌合部11と、図4と図6に示すように、本体部5の被掛止部7と掛止する掛止部12が形成される。被嵌合部11は、両端51に形成された嵌合部6に対応させて、サブタンク10において図4の左右方向に2個形成される。被嵌合部11には、図4と図5に示すように、本体部5の嵌合部6が嵌合する被嵌合溝111が形成され、図4に示すように、被嵌合部11の中間部には、凹部112が形成される。
【0025】
掛止部12は、図6(b)に示すように、幅方向D1と嵌合方向D2の両方に垂直な方向D3に弾性変形するように、且つ、図6(a)に示すように、被掛止爪71と掛止するように形成される。掛止部12は、サブタンク10に対して支持部122で固定され、支持部122に対して片持ち梁状に形成される。掛止部12が被掛止爪71と掛止することにより、被嵌合部11から嵌合部6が抜けることが、つまり、図6(a)において、サブタンク10に対して本体部5が上方に抜けることが、防止される。なお、図6(a)において、サブタンク10に対する本体部5の下方への動きは、掛止部12の支持部122と被掛止部7の先端との当接により、規制される。」
「【図4】
[図:0001405411000004.jpg]
」
「【図5】
[図:0001405411000005.jpg]
」
「【図6】
[図:0001405411000006.jpg]
」

e 【0026】、【図7】

「【0026】
サブタンク10から燃料レベルゲージ1(本体部5)を取り外すためには、図7に示すように、掛止部12をD3方向に弾性変形させる必要があるが、掛止部12をD3方向に弾性変形させるための持ち手部分121(図4)が、掛止部12の先端側に形成される。このとき、ストッパ8は、掛止部12が過変形しないように、掛止部12の弾性変形を所定の変形以下に制限する。被掛止爪71との掛止が外れるように掛止部12を弾性変形させたときに、掛止部12とストッパ8との隙間Lが確保できるように、且つ、掛止部12がストッパ8に当接した状態で、掛止部12が折損しないように、被掛止部7、ストッパ8および掛止部12の各形状、各寸法、各配置および各材料を設定する。なお、被嵌合部11と掛止部12は、樹脂成形により、サブタンク10と一体的に形成される。」
「【図7】
[図:0001405411000007.jpg]
」

f 【0038】~【0042】、【図10】~【図13】

「【0038】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、被掛止部7が、燃料レベルゲージ1(本体部5)の両端51よりも内側であって、嵌合方向D2において燃料レベルゲージ1(本体部5)の先端に形成され、掛止部12が、サブタンク10に形成されたが、これに限らない。第2実施形態では、図10に示すように、掛止部12Aを、本体部5Aの幅方向D1の両端51よりも内側であって、嵌合方向D2において本体部5Aの先端に形成し、図11に示すように、被掛止部7Aを、サブタンク10に形成することも可能である。本実施形態でも、掛止部12Aの過変形を防止するストッパ8は、図10と図12に示すように、本体部5Aの先端に形成されるが、被掛止部7Aの代わりに掛止部12Aと並行して延出するように、壁状に形成される。
【0039】
続きを表示(全11行)
掛止部12Aは、図13(b)に示すように、幅方向D1と嵌合方向D2の両方に垂直な方向D3に弾性変形するように、且つ、図13(a)に示すように、掛止部12Aの掛止爪122Aが被掛止部7Aと掛止するように形成される。掛止部12Aの掛止爪122Aが被掛止部7Aと掛止することにより、被嵌合部11から嵌合部6が抜けることが、つまり、図13(a)において、サブタンク10Aに対して本体部5Aが上方に抜けることが、防止される。なお、図13(a)において、サブタンク10Aに対する本体部5Aの下方への動きは、図10に示す本体部5Aの位置決め段差52と、図11に示す被嵌合部11の端部113との当接によって、規制されるようにする。
【0040】
燃料レベルゲージ1(本体部5A)をサブタンク10Aに取り付ける作業では、本体部5Aの位置決め段差52が被嵌合部11の端部113に当接するまで、嵌合部6を被嵌合部11の被嵌合溝111に嵌合させるように、サブタンク10Aに対して燃料レベルゲージ1(本体部5A)を、嵌合方向D2にスライドさせる。
【0041】
このスライド中に、図13(b)に示すように、掛止部12Aは、被掛止部7Aによって図中の左方向へ弾性変形し、本体部5Aの位置決め段差52と被嵌合部11の端部113とが当接した時点で、弾性変形がなくなった状態となって、図13(a)に示すように、掛止部12Aの掛止爪122Aが被掛止部7Aと掛止する。掛止部12Aの掛止爪122Aが被掛止部7Aと掛止して、燃料レベルゲージ1がサブタンク10Aに取り付けられて、取り付ける作業が終了する。なお、掛止部12Aが、被掛止部7Aによって円滑に弾性変形するように、掛止爪122Aに傾斜部分122Bを形成している。
【0042】
取り外す作業では、図10に示す持ち手部分121Aを持って、図13(b)に示すように、掛止部12AをD3方向に弾性変形させて、掛止部12Aの掛止爪122Aと被掛止部7Aの掛止を外す。この掛止を外した状態で、嵌合部6を被嵌合部11から外すように、サブタンク10Aに対して燃料レベルゲージ1を、嵌合方向D2と反対方向にスライドさせて、サブタンク10から燃料レベルゲージ1を取り外す。掛止部12AをD3方向に弾性変形させる作業では、掛止部12Aの弾性変形が、ストッパ8によって、所定の変形以下に制限されて、掛止部12Aが折損しないようになっているため、この作業で、掛止部12Aの折損を防止できる。」
「【図10】
[図:0001405411000008.jpg]
」
「【図11】
[図:0001405411000009.jpg]
」
「【図12】
[図:0001405411000010.jpg]
」
「【図13】
[図:0001405411000011.jpg]
」

(イ) 認定事項

a 認定事項1A

段落【0040】の「嵌合部6を被嵌合部11の被嵌合溝111に嵌合させるように、サブタンク10Aに対して燃料レベルゲージ1(本体部5A)を、嵌合方向D2にスライドさせる」との記載を含む段落【0038】~【0040】の記載事項を踏まえると、【図13】(a)(b)から、次の事項(以下「認定事項1A」という。)が見て取れる。

[認定事項1A]

「本体部5Aは、サブタンク10Aの表面に取り付けられていること。」

b 認定事項1B

(a) 前記aに示した段落【0040】の記載を踏まえると、【図10】から、次のi)及びii)の事項が見て取れる。

i) 「本体部5Aの左右両側に嵌合部6が設けられていること。」

ii) 「嵌合方向D2は、正面視で上から下に向かう方向であること。」

(b) 前記aに示した段落【0040】の記載及び上記(a)を踏まえると、【図11】から、次の事項が見て取れる。

「サブタンク10Aの表面に一対の被嵌合部11が形成され、前記被嵌合部11の下側、すなわち嵌合方向D2の前方側に被掛止部7Aが形成されること。」

(c) 前記aに示した段落【0040】の記載及び前記(a)並びに第1実施例についての記述である段落【0024】の「被嵌合部11の中間部には、凹部112が形成される」との記載及び【図4】を踏まえると、第2実施例のものにおいても、次の事項が見て取れる。

「被嵌合部11の中間部には、凹部112が形成されていること。」

(d) 前記aに示した段落【0040】の記載及び上記(b)を踏まえると、【図13】(a)(b)から、次の事項が見て取れる。

「サブタンク10Aの表面に形成される被掛止部7Aは、突起形状であること。」

(e) 前記(a)~(d)をまとめると、引用文献1には次の事項(以下「認定事項1B」という。)が記載されていると認められる。

[認定事項1B]

「本体部5Aの左右両側に嵌合部6が設けられており、((a)i))
嵌合方向D2は、正面視で上から下に向かう方向であり、((a)ii))
サブタンク10Aの表面に一対の被嵌合部11が形成され、前記被嵌合部11の下側、すなわち嵌合方向D2の前方側に被掛止部7Aが形成されており、((b))
被嵌合部11の中間部には、凹部112が形成されており、((c))
サブタンク10Aの表面に形成される被掛止部7Aは、突起形状であること。((d))」

c 認定事項1C

(a) 【図1】と【図5】を見比べることにより、次の事項が見て取れる。

「正面から見て、回転部4が回動する位置よりも背面側(サブタンク10側)に、本体部5の嵌合部6及びサブタンク10の被嵌合部11が位置すること。」

(b) さらに【図1】と【図5】に【図3】及び【図6】を加えて見比べることにより、次の事項が見て取れる。

「掛止部12の正面側と被嵌合部11の正面側は同じ高さになること。」

したがって、【図1】、【図5】、【図3】及び【図6】から、次の事項が見て取れる。

「本体部5Aにおける回転部4が回動する位置よりも背面側に、本体部5Aの掛止部12が位置すること。」

(c) そして、【図3】と【図12】を見比べることにより、次の事項が見て取れる。

「本体部5Aの掛止部12Aは、本体部5の嵌合部6の正面側の高さより背面側に位置すること。」

(d) 前記(a)から(c)までの検討結果を踏まえると、次の事項(以下「認定事項1C」という。)が見て取れる。

[認定事項1C]

「本体部5Aにおける回転部4が回動する位置よりも背面側に、本体部5Aの掛止部12Aが位置すること。」

d 認定事項1D

(a) 段落【0039】には「掛止部12Aは、図13(b)に示すように、幅方向D1と嵌合方向D2の両方に垂直な方向D3に弾性変形するように…(中略)…形成される。」という記載がある。

段落【0039】の前記記載を踏まえると、【図13】(a)(b)から、次の事項が見て取れる。

「幅方向D1と嵌合方向D2の両方に垂直な方向D3において、掛止部12Aと重なるようにストッパ8が位置し、前記ストッパ8と前記掛止部12の間に隙間をあけていること。」

(b) また、【図13】(b)から、次の事項が見て取れる。

「掛止部12Aが、方向D3において掛止爪122Aが被掛止部7Aに掛止する方向と反対側に弾性変形すること。」

(c) 段落【0026】には、第1実施形態について次の記載がある。

「掛止部12がストッパ8に当接した状態で、掛止部12が折損しないように、被掛止部7、ストッパ8および掛止部12の各形状、各寸法、各配置および各材料を設定する」

上記事項が実施形態2の掛止部12A、ストッパ8及び被掛止部7Aについても同様であることは自明である。

したがって、引用文献1には、次の事項が記載されていると認められる。

「掛止部12Aがストッパ8に当接した状態で、掛止部12Aが折損しないように、被掛止部7A、ストッパ8および掛止部12Aの各形状、各寸法、各配置および各材料が設定されていること。」

(d) 前記(a)~(c)をまとめると、引用文献1には次の事項(以下「認定事項1D」という。)が記載されていると認められる。

[認定事項1D]

「幅方向D1と嵌合方向D2の両方に垂直な方向D3において、掛止部12Aと重なるようにストッパ8が位置し、前記ストッパ8と前記掛止部12の間に隙間をあけており、((a))
前記掛止部12Aが、前記方向D3において掛止爪122Aが被掛止部7Aに掛止する方向と反対側に弾性変形するものであり、((b))
掛止部12Aがストッパ8に当接した状態で、掛止部12Aが折損しないように、被掛止部7A、ストッパ8および掛止部12Aの各形状、各寸法、各配置および各材料が設定されていること。((c))」

(ウ) 引用発明の認定

前記(ア)において摘記した事項及び前記(イ)において認定した事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明]

「液面検出装置の取付け構造であって、(【0001】)
自動車に搭載される燃料レベルゲージに適用したものであり、(【0016】)
燃料レベルゲージ1は、燃料タンク20内の燃料Aの液面位置A1,A2を検出するものであり、燃料タンク20内に配設されたサブタンク10に取付けられており、(【0017】)
前記燃料レベルゲージ1は、本体部5と、燃料Aの液面に浮くフロート2と、本体部5に対して回動可能な回転部4と、フロート2と回転部4とを連結してフロート2の上下運動を回転部4の回転運動に変換するアーム3と、回転部4に内蔵されたマグネットと、マグネットの磁束と交差するように本体部5に内蔵されたホールIC等の磁電変換素子とを備えるものであって、燃料レベルゲージ1は、磁電変換素子により磁電変換素子と交差するマグネットの磁束密度を測定することによって液面位置A1,A2を検出するものであり、(【0019】)
続きを表示(全20行)
前記本体部5Aは、サブタンク10Aの表面に取り付けられており、(認定事項1A)
燃料レベルゲージ1(本体部5A)をサブタンク10Aに取り付ける作業では、本体部5Aの位置決め段差52が被嵌合部11の端部113に当接するまで、嵌合部6を被嵌合部11の被嵌合溝111に嵌合させるように、サブタンク10Aに対して燃料レベルゲージ1(本体部5A)を、嵌合方向D2にスライドさせるものであり、(【0040】)
本体部5Aの左右両側に嵌合部6が設けられており、
嵌合方向D2は、正面視で上から下に向かう方向であり、
サブタンク10Aの表面に一対の被嵌合部11が形成され、前記被嵌合部11の下側、すなわち嵌合方向D2の前方側に被掛止部7Aが形成されており、
被嵌合部11の中間部には、凹部112が形成されており、
サブタンク10Aの表面に形成される被掛止部7Aは、突起形状であり、(認定事項1B)
掛止部12Aは、前記本体部5Aの幅方向D1の両端51よりも内側であって、前記嵌合方向D2において前記本体部5Aの先端に形成されており、(【0038】)
前記掛止部12Aの掛止爪122Aが前記被掛止部7Aと掛止するように形成されており、(【0039】)
前記本体部5Aにおける前記回転部4が回動する位置よりも背面側に、前記本体部5Aの前記掛止部12Aが位置し、(認定事項1C)
前記掛止部12Aの過変形を防止するストッパ8が本体部5Aの先端に形成され、(【0038】)
前記幅方向D1と前記嵌合方向D2の両方に垂直な方向D3において、前記掛止部12Aと重なるよう前記ストッパ8が位置し、前記ストッパ8と前記掛止部12との間に隙間をあけており、
前記掛止部12Aが、前記方向D3において前記掛止爪122Aが前記被掛止部7Aに掛止する方向と反対側に弾性変形するものであり、
掛止部12Aがストッパ8に当接した状態で、掛止部12Aが折損しないように、被掛止部7A、ストッパ8および掛止部12Aの各形状、各寸法、各配置および各材料が設定されており、(認定事項1D)
前記掛止部12Aを前記D3方向に弾性変形させる作業では、前記掛止部12Aの弾性変形が、前記ストッパ8によって、所定の変形以下に制限されて、前記掛止部12Aが折損しないようになっているため、この作業で、前記掛止部12Aの折損を防止できる、(【0042】)
液面検出装置の取付け構造。(【0001】)」

イ 引用文献2に記載された事項及び引用文献2記載の技術事項の認定 (ア) 引用文献2に記載された事項

原査定の拒絶の理由において引用された実願昭63-92817号(実開平2-14035号)のマイクロフィルム(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。なお、下線は合議体が付した。

a 1頁15行~2頁16行

「〔産業上の利用分野〕
本考案は、自動用の燃料タンクに設備される液面位検出装置に関するものである。
〔従来の技術〕
従来の、フロート式液面検出器は、第5図及び第6図に示すように、タンク1の上面に設けられている開口部2に被着される蓋板3に液面検出器4が取付けられており、更にこの液面検出器4は、ブラケット5と、このブラケット5に取付けられた抵抗板6と、この抵抗板6に摺動する可動接点7と、上記ブラケット5によって回動自在に支持されると共に、基端に前記の可動接点7を固定しているアーム8と、このアーム8の先端に取付けられているフロート9とからなっており、そのアーム8の先端に取付けられているフロート9かタンク1内の液面に追従して移動するフロート位置を抵抗板6による抵抗値で検出してタンク内の液面位置を知ることかできるように構成されている。なお10は液面検出器4の出力端子、11はその出力を基にして動作されるメータである。」

b 3頁17行~4頁12行、第2図

「〔実施例〕
以下に本考案を、第1図乃至第4図に示す実施例に基いて詳細に説明するが、本実施例の構造と、従来例で説明した構造との同一部分は、従来例で使用した符号を付して、その同一構造部分の説明は省略する。
即ち、抵抗線13を巻回している抵抗板6及びフロートアーム8を支持しているブラケット5の周囲を囲む縦長の筒体14が、蓋板3の内側に固着されている。また上記ブラケット5には係止片15と、コネクタ16とが設けられており、この係止片15を、筒体14に設けられている係止部17に係止させることにより、上記コネクタ16は、蓋板3に貫通保持されているコネクタ17に接続されるようになっている。」
「第2図
[図:0001405411000012.jpg]
」

(イ) 認定事項2A

第2図から、次の事項が見て取れる。

「ブラケット5に幅方向に配列する一対の係止片15が形成され、その形状が、正面視で前記ブラケット5の幅方向の内側から係止する爪部を有する一対のフック形状であること。」

(ウ) 引用文献2記載の技術事項の認定

前記(ア)において摘記した事項及び前記(イ)において認定した事項を総合すると、引用文献2には以下の技術事項(以下「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。

[引用文献2記載の技術事項]

「燃料タンクに設備される液面位検出装置において、
液面検出器4は、ブラケット5と、このブラケット5に取付けられた抵抗板6と、この抵抗板6に摺動する可動接点7と、上記ブラケット5によって回動自在に支持されると共に、基端に前記の可動接点7を固定しているアーム8と、このアーム8の先端に取付けられているフロート9とからなっており、(1頁15行~2頁16行)
前記ブラケット5に幅方向に配列する一対の係止片15が形成され、その形状が、正面視で前記ブラケット5の幅方向の内側から係止する爪部を有する一対のフック形状であり、(認定事項2A)
この係止片15を、筒体14に設けられている係止部17に係止させること。(3頁17行~4頁12行)」

ウ 引用文献6に記載された事項及び引用文献6記載の技術事項

(ア) 引用文献6に記載された事項

当審において新たに引用する特開2012-181106号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の事項が記載されている。

a 【0034】、【図1】、【図2】

「【0034】
次に、液面検出装置100の構成について、図1及び図2に基づいて説明する。液面検出装置100は、サブタンク30の周壁33に取り付けられている。液面検出装置100は、サブタンク30の外部に貯留されている燃料の液面91aの高さを検出する。液面検出装置100は、フロート55、マグネットホルダ50、ハウジング40、及びホールIC60を備えている。」
「【図1】
[図:0001405411000013.jpg]
」
「【図2】
[図:0001405411000014.jpg]
」

b 【0039】

「【0039】
以上の構成により、マグネットホルダ50に支持されたフロートアーム56によって、燃料の液面91aに追従して上下移動するフロート55の往復動作は、回転運動に変換されてフロートアーム56およびマグネットホルダ50よりなる一体要素に伝達される。故に、マグネットホルダ50は、燃料タンク90においてサブタンク30の外部に貯留される燃料の液面91aに追従しハウジング40に対して相対回転する。このマグネットホルダ50の相対回転により、ホールIC60に作用する磁界の磁束密度が変化する。すると、ホールIC60の出力部から出力される電圧が変化する。以上により、マグネットホルダ50の回転角度、ひいては燃料の液面91aの高さの検出が実現される。」

c 【0042】、【図3】、【図5】

「【0042】
取付部35は、複数の係止爪35a~35d等によって構成されている。係止爪35a~35dは、窪み底壁部34cに設けられている。係止爪35a及び係止爪35bは、液面検出装置100の取付方向ADに沿って互いに対向して位置している。取付部35にハウジング40が取り付けられることにより、係止爪35a及び係止爪35bは、協働で取付方向ADに沿う方向におけるハウジング40の変位を規制する。係止爪35aは、係止爪35bよりもサブタンク30の開口30aに近接して位置している。係止爪35aは、取付方向ADに位置する係止爪35bに向かって延伸している。係止爪35bは、係止爪35aよりもサブタンク30の開口30aから離間して位置している。係止爪35bは、取付方向ADと反対の方向に位置する係止爪35aに向かって延伸している。係止爪35c及び係止爪35dは、係止爪35a及び係止爪35b間に位置し、取付方向ADと直交する方向において互いに対向して位置している。係止爪35c及び係止爪35dは、窪み底壁部34cから延出している。係止爪35cの基端部分は、窪み底壁部34cの外周面に対して垂直な方向に沿って、窪み底壁部34cから離間する離間方向SDに延びている。係止爪35cの先端部分は、基端部分に対して屈曲されており、係止爪35dに向かって延びている。係止爪35dの基端部分は、窪み底壁部34cから離間方向SDに延びている。係止爪35dの先端部分は、基端部分に対して屈曲されており、係止爪35cに向かって延びている。取付部35にハウジング40が取り付けられることにより、係止爪35c及び係止爪35dは、協働で取付方向ADに直交する方向におけるハウジング40の変位を規制する。」
「【図3】
[図:0001405411000015.jpg]
」
「【図5】
[図:0001405411000016.jpg]
」

(イ) 認定事項

a 認定事項3A

【図3】より、次の事項(以下「認定事項3A」という。)が見て取れる。

「液面検出装置100のハウジング40の中央下端に、取付部35を構成する係止爪35aが設けられていること。」

b 認定事項3B

(a) 【図5】から、次の事項が見て取れる。

「側面視において、ハウジング40の下端に設けられる前記係止爪35aうちの、液面検出装置100の取付方向ADに沿って伸びる部分のうちの大部分は、マグネットホルダ50の下端より上に位置していることが見て取れる。

(b) 前記(a)を踏まえつつ、【図1】、【図2】及び【図3】を参照すると、次の事項(以下「認定事項3B」という。)が見て取れる。

「前記係止爪35aのうちの、液面検出装置100の取付方向ADに沿って伸びる部分は、ハウジング40の厚さ方向において、マグネットホルダ50の可動領域と重なるところに位置すること。」

(ウ) 引用文献6記載の技術事項の認定

前記(ア)において摘記した事項及び前記(イ)において認定した事項を総合すると、引用文献6には以下の技術事項(以下「引用文献6記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。

[引用文献6記載の技術事項]

「液面検出装置100は、サブタンク30の周壁33に取り付けられ、(【0034】)
前記液面検出装置100は、フロート55、マグネットホルダ50、ハウジング40、及びホールIC60を備え、(【0034】)
前記マグネットホルダ50は、燃料タンク90においてサブタンク30の外部に貯留される燃料の液面91aに追従しハウジング40に対して相対回転するものであり、(【0039】)
液面検出装置100のハウジング40の中央下端に、取付部35を構成する係止爪35aが設けられており、(認定事項3A)
前記係止爪35aのうちの、液面検出装置100の取付方向ADに沿って伸びる部分は、前記ハウジング40の厚さ方向において、前記マグネットホルダ50の可動領域と重なるところに位置すること。(認定事項3B)」

エ 引用文献7~9に記載された事項と周知の設計指針の認定

(ア) 引用文献7に記載された事項

当審において新たに引用する特開平9-210019号公報(以下「引用文献7」という。)には、次の事項が記載されている。

a 【0008】

「【0008】本発明は、以上の点に鑑み、係止爪が必要以上に変形せず、また外力によって破壊してしまうようなことのない、係止装置を提供することを目的としている。」

b 【0019】、【0020】、【図2】

「【0019】ここで、上述した係止爪14aの変形の際に、係止爪14aの上端付近が、保護壁14dに当接することにより、係止爪14aの変形量が規制されることになる。従って、係止爪14aが過度に変形することがないので、係止爪14aの変形方向に対する塑性変形が抑制され得ることになる。
【0020】また、係止爪14aが図(B)に示すように変形方向及び両側で保護壁14dにより包囲されていることにより、バッテリ充電器10の落下等によって、係止爪14aに不用意に外力が加えられようとしても、外力は保護壁14dにより阻止され、係止爪14aには達しない。従って、外力によって係止爪14aが折損等の破壊を生ずるようなことはない。」
「【図2】
[図:0001405411000017.jpg]
」

(イ) 引用文献8に記載された事項

当審において新たに引用する特開昭59-164265号公報(以下「引用文献8」という。)には、次の事項が記載されている。

a 2頁右上欄5~8行

「〔発明の目的〕
本発明は、上述のような点を改良しようとするもので、フィニッシャの係止爪の折損を防止して、安全性を向上することを目的とするものである。」

b 3頁左下欄11行~同頁右下欄1行、第6図

「また、フィニッシャを取付けるに際し、必要以上に係止爪に曲げ応力が作用する状態となっても、保護壁によって折損のおそれがなく、さらに、保護壁は係止爪を囲んでいるので、部品輸送時などにおいて係止爪を保護して損傷を防止することができる。」

「第6図
[図:0001405411000018.jpg]
」

(ウ) 引用文献9に記載された事項

当審において新たに引用する実願昭60-182952号(実開昭62-92688号)のマイクロフィルム(以下「引用文献9」という。)には、次の事項が記載されている。

a 3頁10~19行

「〔問題点を解決するための手段〕
本考案は上記の点に鑑みて、外力を受けても容易に折れることなく、しかもリード線の装着は簡単で作業性のよいリード線のクランプ装置を提供しようとするもので、該目的を達成するためになされた装置は、弾性片の外側近傍に別途保護壁を形成したものである。これにより弾性片はリード線の保持と、リード線装着作業の簡便さの機能を十分にもち、しかも外力からは保護されたものとすることが可能である。」

b 4頁16行~5頁5行、第3図

「 第3図,第4図は第2実施例である。この実施例では一対の保護壁6,7は一対の弾性片1,2の各々を三方より囲むように断面コ字状に形成されており、肉厚はそれ程厚くないものの強固である。しかも先端部内側はテーパ部6a,7aとなっており、弾性片1,2のテーパ部1b,2bと同様にリード線3の装着作業が行い易く配慮されている。勿論、この実施例においても保護壁の高さh、幅wは弾性片1,2の高さH、幅Wより大きいことが好ましい。」

「第3図
[図:0001405411000019.jpg]
」

(エ) 周知の設計指針の認定

前記(ア)~(ウ)に例示されるように、係止爪の折損防止について、次の設計指針は、周知であると認められる。以下、当該設計指針を「周知の設計指針」という。

[周知の設計指針]

「係止爪の周囲を断面がコの字状の保護壁で囲むことにより、不用意な外力による係止爪の折損を防止すること。」

(3) 対比・判断

ア 対比

(ア) 対比分析

以下、本件補正後の請求項1の記載の順に沿って、本件補正発明と引用発明を対比する。

a(a) 次の引用発明の欄に記載した引用発明の各構成は、それぞれ、対応する本件補正発明の欄に記載した次の本件補正発明の構成に相当する。

<引用発明> <本件補正発明>

液面検出装置 液位検出装置

燃料タンク20 タンク

燃料A 液体

液面位置A1,A2 液位

(b) 上記(a)を踏まえると、引用発明の「燃料タンク20内の燃料A」は、本件補正発明の「タンク内に貯留された液体」に相当する。

そして、引用発明における「燃料タンク20内の燃料Aの液面位置A1,A2を検出する」「液面検出装置」は、本件補正発明における「タンク内に貯留された液体の液位を検出する液位検出装置」に相当する。

したがって、「タンク内に貯留された液体の液位を検出する液位検出装置の取付構造」の発明である本件補正発明と、「液面検出装置の取付け構造」の発明である引用発明は、「タンク内に貯留された液体の液位を検出する液位検出装置の取付構造」の発明である点において一致する。

b(a) 引用発明における「本体部5A」は、本件補正発明における「装置本体」に相当する。 そして、引用発明においては、「燃料タンク20内に配設されたサブタンク10Aの表面」に「本体部5A」が取り付けられることから、引用発明の「燃料タンク20内に配設されたサブタンク10A」は、本件補正発明の「取付部」に相当し、引用発明の「サブタンク10Aの表面」は、本件補正発明の「取付部の取付面」に相当するといえる。

そうすると、引用発明における「燃料タンク20内に配設されたサブタンク10Aの表面」に取り付けられる「本体部5A」は、本件補正発明の「前記タンク側に設けられた取付部の取付面」「に装着される」「装置本体」に相当する。

(b) 引用発明の「回転部4」は、「本体部5Aに対して回動可能」であり、「燃料Aの液面に浮くフロート2と、」「フロート2と回転部4とを連結してフロート2の上下運動を回転部4の回転運動に変換するアーム3」によって、「燃料タンク20内の燃料Aの液面」の「上下運動」が「変換」されて「回転運動」する。 したがって、引用発明の「回転部4」は、「フロート2」及び「アーム3」の運動を支持するための部材を備えていることは自明であり、かかる部材は「ホルダ」であるといえる。

そうすると、引用発明の「本体部5に対して回動可能な回転部4」は、本件補正発明の「前記装置本体に回動可能に設けられて前記タンク内に貯留された液体の液位の変動によって回動するホルダ」に相当する構成を備えているといえる。

(c) 前記(a)及び(b)をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。

「前記液位検出装置は、前記タンク側に設けられた取付部の取付面に装着される装置本体と、前記装置本体に回動可能に設けられて前記タンク内に貯留された液体の液位の変動によって回動するホルダ」を備える点。

c(a) 「サブタンク10Aの表面」に形成された一対の「被嵌合部11」のうち「凹部112」より「嵌合方向D2」の下側の部分は、「嵌合部6を被嵌合部11の被嵌合溝111に嵌合させるように、サブタンク10Aに対して燃料レベルゲージ1(本体部5A)を、嵌合方向D2にスライドさせる」ようになっている。

したがって、引用発明の「嵌合方向D2」は、「本体部5A」を「被掛止部7A」に向けて挿し込む方向である。

また、引用発明の「前記本体部5Aの左右両側に設けられた嵌合部6」は、「一対の被嵌合部11」のうち「凹部112」より「嵌合方向D2」の下側の部分に「嵌合する」ことで、「前記本体部5Aの左右両側」が係止されるものである。

よって、前記a(a)及びb(a)も踏まえると、引用発明の「サブタンク10Aの表面」に形成された一対の「被嵌合部11」のうち「凹部112」より「嵌合方向D2」の下側の部分は、本件補正発明の「前記取付面」が有する、「前記装置本体が挿し込まれることで前記装置本体の両側部を係止する一対の係止部」に相当するといえる。

すなわち、引用発明は、「前記取付面は、前記装置本体が挿し込まれることで前記装置本体の両側部を係止する一対の係止部を有している」ものであるといえる。

(b) 引用発明の「被掛止部7A」は、「突起形状」であるから、突起部であるといえる。 そして、「被掛止部7A」は、「前記サブタンク10Aの表面」の「前記被嵌合部11の下側、すなわち前記嵌合方向D2の前方側」に形成されているから、引用発明の「前記被嵌合部11の下側、すなわち嵌合方向D2の前方側」に形成された「突起形状」の「被掛止部7A」は、前記(a)も踏まえると、本件補正発明の「前記係止部に対する前記装置本体の挿し込み方向の前方側に形成された」「突起部」に相当するといえる。

(c) 前記(a)及び(b)の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の点において共通するといえる。

「前記取付面は、前記装置本体が挿し込まれることで前記装置本体の両側部を係止する一対の係止部と、前記係止部に対する前記装置本体の挿し込み方向の前方側に形成された突起部と、を有する」点。

d(a) 引用発明における、「前記嵌合方向D2において前記本体部5Aの先端に形成」された、「被掛止部7A」を「掛止」する「掛止部12A」は、挿し込み方向の前方側へ延在しているといえるから、「前記挿し込み方向の前方側へ延在された」「フック」であるといえる。

(b) そうすると、引用発明の「前記本体部5Aの幅方向D1の両端51よりも内側であって、前記嵌合方向D2において前記本体部5Aの先端に形成[された]」「掛止部12A」と、本件補正発明の「前記装置本体」が有する、「幅方向に配列されて前記挿し込み方向の前方側へ延在された一対のフック」は、次の点において共通する。

「前記装置本体」が有する「前記挿し込み方向の前方側へ延在された」「フック」である点。

(c) したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において共通する。

「前記装置本体は、前記挿し込み方向の前方側へ延在されたフックを有する」点。

e(a) 引用発明における「前記掛止部12A」の「掛止爪122A」は「突起形状」である「前記被掛止部7A」に掛止するものであるから、引用発明の「掛止爪122A」は、「突起部を係止する爪部」であるといえる。

(b) また、引用発明においては、「前記掛止部12A」が「前前記本体部5Aにおける前記回転部4が回動する位置よりも背面側に」位置するところ、「本体部5A」は「サブタンク10Aの表面に取り付けられ」るものであるから、引用発明は、「本体部5A」の厚さ方向において「前記回転部4が回動する位置」よりも「背面側」すなわちサブタンク10Aの表面側に「前記掛止部12A」が「位置」するものであるといえる。

(c) ここで、引用発明において、「本体部5A」の厚さ方向における「回転部4が回動する位置」は、本件補正発明の「前記装置本体における前記ホルダの可動領域」に相当する。

(d) そうすると、引用発明における、「突起形状」である「前記被掛止部7A」と掛止する「掛止爪122A」が「形成され」るとともに、「前記本体部5Aにおける前記回転部4が回動する位置よりも背面側に」「位置」する「前記掛止部12A」は、本件補正発明の「前記突起部を前記装置本体の幅方向の内側から係止する爪部を有するとともに、前記装置本体における前記ホルダの可動領域よりも厚さ方向の前記取付面側に形成され」た「前記フック」と、次の点において共通する。

「突起部を係止する爪部を有するとともに、前記装置本体における前記ホルダの可動領域よりも厚さ方向の前記取付面側に形成され」た「フック」である点。

(e) したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において共通する。

「前記フックは、前記突起部を係止する爪部を有するとともに、前記装置本体における前記ホルダの可動領域よりも厚さ方向の前記取付面側に形成されている」点。

f(a) 引用発明の「ストッパ8」は、「本体部5Aの先端に形成され」、「前記掛止部12との間に隙間をあけており」、「前記掛止部12Aの弾性変形」を「所定の変形以下に制限」するものである。

(b) そして、引用発明においては、「掛止部12Aがストッパ8に当接した状態で、掛止部12Aが折損しないように、被掛止部7A、ストッパ8および掛止部12Aの各形状、各寸法、各配置および各材料が設定されて[いる]。」

(c) したがって、引用発明の「本体部5A」が有する「ストッパ8」は、「本体部5A」に「前記掛止部12」に対して「隙間をあけて」配置された、「当接部」であるといえる。 そして、引用発明においては、「前記掛止部12A」が「前記本体部5A」の厚さ方向の前方側へ「弾性変形」された際に当接部に当接することで過度な変形を抑制するものであるといえる。

(d) 本件補正発明は、「前記装置本体は、前記フックに対して厚さ方向の前方側に隙間をあけて前記可動領域にラップして配置された当接部を有し、前記フックが前記装置本体の厚さ方向の前方側へ弾性変形された際に前記当接部に当接することで過度な変形が抑制される」ものであるところ、前記(c)を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、次の点において共通するといえる。

「前記装置本体は、フックに対して隙間をあけて配置された当接部を有し、前記フックが前記装置本体の厚さ方向の前方側へ弾性変形された際に前記当接部に当接することで過度な変形が抑制される」点。

ただし、本件補正発明において、「装置本体の厚さ方向の前方側へ弾性変形され[ること]」は、「フック」と「突起部」の「掛止する方向」とは直交する方向であり、引用発明の「装置本体の厚さ方向の前方側へ弾性変形され[ること]」は、「掛止する方向と反対側」すなわち「係止」を解除する方向である点において、本件補正発明と異なる。

(イ) 一致点及び相違点の認定

前記(ア)の対比分析の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次のaに示す一致点において一致し、後記bに示す相違点において相違する。

a 一致点

「タンク内に貯留された液体の液位を検出する液位検出装置の取付構造であって、
前記液位検出装置は、前記タンク側に設けられた取付部の取付面に装着される装置本体と、前記装置本体に回動可能に設けられて前記タンク内に貯留された液体の液位の変動によって回動するホルダと、を備え、
前記取付面は、前記装置本体が挿し込まれることで前記装置本体の両側部を係止する一対の係止部と、前記係止部に対する前記装置本体の挿し込み方向の前方側に形成された突起部と、を有し、
前記装置本体は、前記挿し込み方向の前方側へ延在されたフックを有し、
前記フックは、前記突起部を係止する爪部を有するとともに、前記装置本体における前記ホルダの可動領域よりも厚さ方向の前記取付面側に形成され、
前記装置本体は、前記フックに対して隙間をあけて配置された当接部を有し、前記フックが前記装置本体の厚さ方向の前方側へ弾性変形された際に前記当接部に当接することで過度な変形が抑制される
液位検出装置の取付構造」である点。

b 相違点

(a) 相違点1

フックと突起部が、

本件補正発明においては、「幅方向に配列され」た「一対のフック」と「一対の突起部」とからなり、「フック」の「爪部」は「一対の突起部」を「前記装置本体の幅方向の内側から係止する」ものであり、

「当接部」は、フックが前記装置本体の厚さ方向の前方側へ弾性変形された際に過度な変形を抑制するのに対して、

引用発明においては、「被掛止部7A」及び「掛止部12A」は「一対」ではなく一組であり、前記掛止部12Aの前記掛止爪122Aは、前記被掛止部7Aを本体部5Aの厚さ方向に掛止するものであり、

「ストッパ8」は、「掛止部12A」が、「掛止する方向と反対側」に弾性変形された際に過度な変形を抑制するものである点。

(b) 相違点2

フックと当接部が、

本件補正発明においては、「基端部及びその近傍が、前記装置本体の前記厚さ方向において前記可動領域にラップした」「フック」、及び、「前記可動領域にラップして」配置された「当接部」であるのに対して、

引用発明においては、掛止部12Aの基端部及びその近傍と、ストッパ8が、本体部5Aの厚さ方向において回転部4の可動領域にラップしていない(重なっていない)点。

イ 判断

前記相違点1及び2について検討する。

(ア) 相違点1について

a(a) 引用文献2記載の技術事項は、次のとおりのものである(前記(2)イ(ウ)参照)。

「燃料タンクに設備される液面位検出装置において、
液面検出器4は、ブラケット5と、このブラケット5に取付けられた抵抗板6と、この抵抗板6に摺動する可動接点7と、上記ブラケット5によって回動自在に支持されると共に、基端に前記の可動接点7を固定しているアーム8と、このアーム8の先端に取付けられているフロート9とからなっており、
前記ブラケット5に幅方向に配列する一対の係止片15が形成され、その形状が、正面視で前記ブラケット5の幅方向の内側から係止する爪部を有する一対のフック形状であり、
この係止片15を、筒体14に設けられている係止部17に係止させること。」

(b) すなわち、引用文献2には、燃料タンクに設備される液面位検出装置の取付構造として、液面検出器4が有する、幅方向に配列する一対の係止片15であって、正面視で前記ブラケット5の幅方向の内側から係止する爪部を有する一対のフック形状の係止片15により固定することが記載されている。

(c) 引用発明において、種々のフックによる取付構造の中から選択して変更することは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎないから、引用文献2記載の技術事項に係る前記取付構造に変更することは、当業者が適宜なし得る設計変更にすぎない。

b 前記(2)のエ(エ)で示したように、係止爪の折損防止に関し、「係止爪の周囲を断面がコの字状の保護壁で囲むことにより、不用意な外力による係止爪の折損を防止すること」は、周知の設計指針である。

したがって、掛止部12Aが、掛止する方向と反対側に弾性変形された際だけでなく、それと直交する方向に不用意に弾性変形された際も考慮して、不用意に過度に変形されることを抑制するように断面がコの字状の保護壁に変更することは、当業者が適宜選択できる、設計変更にすぎない。

c 前記a及びbにおいて検討したとおりであるから、引用発明において被掛止部7A及び掛止部12Aの取付け構造について引用文献2記載の技術事項の取付け構造を適用して、「被掛止部7A」及び「掛止部12A」を「一対」のものとして「本体部5A」の幅方向の内側から係止するようにし、その際、周知の設計指針に基づいて、ストッパを「掛止部12A」の周囲を囲む断面がコの字状の保護壁に変更して、相違点1に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(イ) 相違点2について

a(a) 引用文献6記載の技術事項は、次のとおりのものである(前記(2)ウ(ウ)参照)。

「液面検出装置100は、サブタンク30の周壁33に取り付けられ、
前記液面検出装置100は、フロート55、マグネットホルダ50、ハウジング40、及びホールIC60を備え、
前記マグネットホルダ50は、燃料タンク90においてサブタンク30の外部に貯留される燃料の液面91aに追従しハウジング40に対して相対回転するものであり、
液面検出装置100のハウジング40の中央下端に、取付部35を構成する係止爪35aが設けられており、
前記係止爪35aのうちの、液面検出装置100の取付方向ADに沿って伸びる部分は、前記ハウジング40の厚さ方向において前記マグネットホルダ50の可動領域と重なるところに位置すること。」

(b) すなわち、引用文献6には、燃料タンクに設けられた液位検出装置について、「ハウジング40」(「装置本体」に相当する。)に設けられた「係止爪35aのうちの、液面検出装置100の取付方向ADに沿って伸びる部分」が「マグネットホルダ50の可動領域」(「ホルダの可動領域」に相当する。)と重なるところに位置することが記載されている。

そして、このような構造により、上下方向の寸法がコンパクトになっていることは、自明である。

b(a) 引用発明において、上下方向の寸法をコンパクトにすることは、当業者が適宜選択できる自明の設計指針であるから、当該設計指針を選択し、かつ、その具体的手法として、引用文献6記載の技術事項を選択・採用することは、当業者が適宜なし得る設計変更にすぎない。

(b) そうすると、本体部5Aの厚さ方向において「前記本体部5Aにおける前記回転部4」の可動領域に重なる(ラップする)ところに「掛止部12A」の上下方向に伸びる部分を配置することは、当業者が容易になし得る設計変更にすぎない。

なお、引用発明の「ストッパ8」は、「前記幅方向D1と前記嵌合方向D2の両方に垂直な方向D3」すなわち本体部5Aの厚さ方向において、「前記掛止部12Aと重なるよう」「位置」するものであるから、前記構成において「掛止部12A」と同様に「ストッパ8」は、必然的に付随して、「前記本体部5Aにおける前記回転部4」の可動領域と重なる(ラップする)こととなることは、明らかである。

c したがって引用発明における「回転部4」と「掛止部12A」の位置関係に対して、引用文献6記載の技術事項を適用して、引用発明において、相違点2に係る本件補正発明の構成を有するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(ウ) 総合評価

前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、相違点1は、引用文献2記載の技術事項及び周知の設計指針に基づいて当業者が適宜なし得る設計変更にすぎず、相違点2は、引用文献6記載の技術事項に基づいて当業者が適宜なし得る設計変更にすぎないから、両設計変更を同時に行って、相違点1及び相違点2に係る構成を備えるにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、前記相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。

したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2記載の技術事項、引用文献6記載の技術事項及び周知の設計指針に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4) 請求人の主張について

ア 請求人の主張内容

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請求人は、審判請求書及び令和5年2月8日付け上申書において、概略次のとおり主張している。

本件補正発明は、次の(特徴1)を備えている。

(特徴1)

「装置本体20は、フック41に対して厚さ方向の前方側に隙間G1をあけて可動領域MAにラップして配置された当接部45を有し、フック41が装置本体20の厚さ方向の前方側へ弾性変形された際に当接部45に当接することで過度な変形が抑制されること」

上記特徴1によれば、フックが装置本体の厚さ方向(すなわち、爪部が突出しているフックの所定撓み方向である装置本体の幅方向に対して直交する方向)の前方側へ弾性変形された際にフックが当接部に当接することで、フックの所定撓み方向に対して直交する方向への過度な変形を抑制することができる。

審査官は、前置報告書において、引用文献1の「ストッパ8」(図13等参照)が、本件補正発明の「当接部」に相当すると認定している。しかしながら、引用文献1(図13等参照)では、掛止部12A(フックに相当)が本体部5A(装置本体に相当)の厚さ方向(即ち、爪部が突出している掛止部12Aの所定撓み方向)の前方側へ弾性変形された際に掛止部12Aがストッパ8に当接することで、掛止部12Aの所定撓み方向への過度な変形が抑制される。このように、引用文献1は、本願発明の「フックの所定撓み方向に対して直交する方向への過度な変形を抑制する当接部」に相当する構成を何ら開示していない。

イ 請求人の主張に対する当審の判断

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前記(3)のイ(ア)bにおいて説示したように、「係止爪の周囲を断面がコの字状の保護壁で囲むことにより、不用意な外力による係止爪の折損を防止すること」は、周知の設計指針であるから、係止爪の折損防止のために、係止爪の撓み方向に対して直交する方向に対しても保護壁で過度な変形を抑制することは、当業者が適宜選択・採用できる設計事項にすぎず、当業者が容易に想到し得たものである。

よって、前記請求人の主張は、前記(3)イ(ウ)の結論を左右するものではない。

(5) 令和5年2月8日付け上申書で提示した補正案について

ア 補正案の内容

請求人は、令和5年2月8日付け上申書において、請求項1について次の補正案を提示している。

「[請求項1]
タンク内に貯留された液体の液位を検出する液位検出装置の取付構造であって、
前記液位検出装置は、前記タンク側に設けられた取付部の取付面に装着される装置本体と、前記装置本体に回動可能に設けられて前記タンク内に貯留された液体の液位の変動によって回動するホルダと、を備え、
前記取付面は、前記装置本体が挿し込まれることで前記装置本体の両側部を係止する一対の係止部と、前記係止部に対する前記装置本体の挿し込み方向の前方側に形成された一対の突起部と、を有し、
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前記装置本体は、幅方向に配列されて前記挿し込み方向の前方側へ延在された一対のフックを有し、
前記フックは、前記突起部を前記装置本体の幅方向の内側から係止する爪部を有するとともに、前記装置本体における前記ホルダの可動領域よりも厚さ方向の前記取付面側に形成され、基端部及びその近傍が、前記装置本体の前記厚さ方向において前記可動領域にラップしており、
前記装置本体は、前記フックに対して厚さ方向の前方側に隙間をあけて前記可動領域にラップして配置された当接部を有し、前記フックが前記装置本体の厚さ方向の前方側へ弾性変形された際に前記当接部に当接することで過度な変形が抑制され、
前記装置本体は、幅方向の内側へ変形する前記フックが当接する横変形規制部を有し、
それぞれの前記フックは、長さ方向の中間部に、先端へ向かって前記装置本体の幅方向の内側へ傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部の前記挿し込み方向の後方側の端部の位置と、前記横変形規制部の前記挿し込み方向の前方側の端部の位置とが、前記挿し込み方向において一致しており、
前記フックが幅方向の内側へ変形したとき、前記傾斜部の前記挿し込み方向の後方側の端部が、前記横変形規制部の前記挿し込み方向の前方側且つ幅方向の外側の角部に当接する
ことを特徴とする液位検出装置の取付構造。」

イ 補正案についての合議体の対応について

補正案の請求項1については、特許請求の範囲全体の記載に照らしても、審査段階では現れていなかった複数の種類の構成の組合せを有するものであって、その特許性の評価を的確に行うためには、補正案の請求項1に対して一致点・相違点の抽出を行うべき主引用発明が存在するか否かについて、新たに先行技術調査をし直さなければならない。

したがって、当合議体は、補正案は、新たな先行技術調査の負担なく判断できるような軽微な補正といえるものではなく、分割出願において対応すべきものであると考え、請求人の提示した補正案を新たな審理対象として受け入れるべきではないと判断した。

(6) 小括

以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

よって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明について

本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~5に係る発明は、令和4年3月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の1(1)に摘記した事項により特定されるとおりである。

2 原査定における拒絶の理由の概要

原査定における拒絶の理由のうち、本願発明についての進歩性欠如の理由の要旨は、次のとおりである。

本願発明は、下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

記

引用文献1:特開2010-48780号公報
引用文献2:実願昭63-92817号(実開平2-14035号)のマイクロフィルム

3 引用文献に記載された事項

前記引用文献1には、第2の3(2)ア(ウ)において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。

前記引用文献2には、第2の3(2)イ(ウ)において認定したとおりの引用文献2記載の技術事項が記載されていると認められる。

4 対比・判断

(1) 本願発明は、本件補正発明における前記第2の2(1)のア及びイの限定を省いたものである(前記第2の2(1)参照)。

(2) そうすると、前記第2の3(3)ア(ア)の対比分析における検討結果も踏まえて、本願発明と引用発明を対比すると、本願発明と引用発明の相違点は、前記第2の3(3)ア(イ)のbにおける相違点1であり、両者はその余の点において一致する。

(3) 相違点についての判断

前記相違点1については、前記第2の3(3)イ(ア)で説示したとおり、引用発明、引用文献2記載の技術事項及び周知の設計指針に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

そして、本願発明の奏する作用効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。

したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の技術事項及び周知の設計指針に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-014952

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