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特許拒絶査定不服審判

2024-011660

磁気流量計用の連続適応型デジタルコイルドライバ

審判番号
2024-011660
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-507760
請求日
2024年07月12日
審決日
2025年10月16日
公報発行日
2026年04月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】マイクロ モーション インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 道祖土 新吾
  • 審判官 喜々津 徳胤
  • 審判官 井海田 隆
分類
P18 .575-Z (G01F) / P18 .121-Z (G01F) / P18 .113-Z (G01F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-507760「磁気流量計用の連続適応型デジタルコイルドライバ」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 3月11日国際公開、WO2021/045922、令和 4年10月12日国内公表、特表2022-543479〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)8月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年9月5日、米国 2019年9月30日、米国)を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和4年 2月 7日 :翻訳文の提出 令和5年 3月30日付け:拒絶理由通知書 同年 6月29日 :意見書、手続補正書の提出 同年 9月28日付け:拒絶理由通知書(最後) 令和6年 1月 4日 :意見書、手続補正書の提出 同年 3月27日付け:補正の却下の決定 同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年 4月 2日 :原査定の謄本の送達) 同年 7月12日 :審判請求書、手続補正書の提出 同年 9月 6日付け:前置報告書 令和7年 1月27日 :上申書の提出 以下、2019年(令和元年)9月5日を「優先日」という。 第2 令和6年7月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年7月12日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和6年7月12日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和5年6月29日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「【請求項1】 流体の流れを測定するための磁気流量計であって、 前記流れを受け取る流管アセンブリであって、前記流体中に流量を表す起電力を発生させる磁場を生成するコイル電流を受け取るための第1及び第2のコイルワイヤを有するコイルを有する、流管アセンブリと、 前記起電力を検知して、前記流量を示す出力を生成するように構成された起電力センサと、 コマンド入力に応答して前記コイルの前記第1及び第2のコイルワイヤにコイル電流を供給するように構成された電流供給回路と、 制御アルゴリズムの関数として前記電流供給回路に前記コマンド入力を供給するデジタル制御回路と、 を備え、 前記コマンド入力は、前記コイル電流が前記コイルを通過する方向を制御するパルス波変調(PWM)信号を含む、 た磁気流量計。」 (2) 本件補正後 「【請求項1】 流体の流れを測定するための磁気流量計であって、 前記流れを受け取る流管アセンブリであって、前記流体中に流量を表す起電力を発生させる磁場を生成するコイル電流を受け取るための第1及び第2のコイルワイヤを有するコイルを有する、流管アセンブリと、 前記起電力を検知して、前記流量を示す出力を生成するように構成された起電力センサと、 コマンド入力に応答して前記コイルの前記第1及び第2のコイルワイヤにコイル電流を供給するように構成された電流供給回路と、 制御アルゴリズムの関数として前記電流供給回路に前記コマンド入力を供給するデジタル制御回路と、 を備え、 前記コマンド入力は、前記コイル電流が前記コイルを通過する方向を制御するパルス波変調(PWM)信号を含み、 前記制御アルゴリズムは、環境変化や経年変化を含む変化に起因する、取り付けられた前記流管アセンブリの変化に応じて前記コマンド入力を電流プロファイルの関数として制御するように構成され、 前記デジタル制御回路は、前記コイルのインピーダンスを特定するように構成されたインピーダンス特定アルゴリズムを含み、前記コマンド入力は、前記特定されたインピーダンスの関数であり、 前記インピーダンス特定アルゴリズムは、前記コイルのインピーダンスの特定に使用するために、前記コイルを流れる電流に関連する電流フィードバック信号を受け取り、特定された前記コイルのインピーダンスに基づいて、前記制御アルゴリズムのパラメータを応答的に制御する、 磁気流量計。」 2 補正の目的 (1) 本件補正のうち請求項1についてする補正は、次のアからオの事項からなる。 ア 「制御アルゴリズム」について、「環境変化や経年変化を含む変化に起因する、取り付けられた前記流管アセンブリの変化に応じて前記コマンド入力を電流プロファイルの関数として制御するように構成され[る]」点を限定すること。 イ 「デジタル制御回路」について、「前記コイルのインピーダンスを特定するように構成されたインピーダンス特定アルゴリズムを含[む]」点を限定すること。 ウ 「コマンド入力」について、「前記特定されたインピーダンスの関数であ[る]」点を限定すること。 エ 「インピーダンス特定アルゴリズム」について、「前記コイルのインピーダンスの特定に使用するために、前記コイルを流れる電流に関連する電流フィードバック信号を受け取り、特定された前記コイルのインピーダンスに基づいて、前記制御アルゴリズムのパラメータを応答的に制御する」点を限定すること。 オ 「た磁気流量計。」から「磁気流量計。」に誤記を訂正すること。 (2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 (3) したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮及び同項3号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものに該当する。 3 独立特許要件の判断 本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (1) 本件補正発明 ア 本件補正発明の認定と分説 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Iまでに分説する。また、参考図として、本願の【図4A】、【図6】に部材名を記入したものを掲載する。 <本件補正発明の分説> X 流体の流れを測定するための磁気流量計であって、 A 前記流れを受け取る流管アセンブリであって、前記流体中に流量を表す起電力を発生させる磁場を生成するコイル電流を受け取るための第1及び第2のコイルワイヤを有するコイルを有する、流管アセンブリと、 B 前記起電力を検知して、前記流量を示す出力を生成するように構成された起電力センサと、 C コマンド入力に応答して前記コイルの前記第1及び第2のコイルワイヤにコイル電流を供給するように構成された電流供給回路と、 D 制御アルゴリズムの関数として前記電流供給回路に前記コマンド入力を供給するデジタル制御回路と、 を備え、 E 前記コマンド入力は、前記コイル電流が前記コイルを通過する方向を制御するパルス波変調(PWM)信号を含み、 F 前記制御アルゴリズムは、環境変化や経年変化を含む変化に起因する、取り付けられた前記流管アセンブリの変化に応じて前記コマンド入力を電流プロファイルの関数として制御するように構成され、 G 前記デジタル制御回路は、前記コイルのインピーダンスを特定するように構成されたインピーダンス特定アルゴリズムを含み、 H 前記コマンド入力は、前記特定されたインピーダンスの関数であり、 I 前記インピーダンス特定アルゴリズムは、前記コイルのインピーダンスの特定に使用するために、前記コイルを流れる電流に関連する電流フィードバック信号を受け取り、特定された前記コイルのインピーダンスに基づいて、前記制御アルゴリズムのパラメータを応答的に制御する、 X 磁気流量計。 <参考図> 【図4A】 [図:0001433634000001.jpg] 【図6】 [図:0001433634000002.jpg] イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本開示の実施形態は、磁気流量計に関し、より具体的には、流量測定に用いられる磁場を生成するために使用される電流を制御するための技術に関する。 …(中略)… 【0003】 例示的な流量測定技術には、機械的回転の関数として流量を測定するタービン装置と、ベルヌーイ効果又は流量制限の圧力損失の関数として流量を測定するピトーセンサ及び差圧装置と、振動効果の関数として流量を測定する渦及びコリオリ装置と、熱伝導率の関数として流量を測定する質量流量計と、が含まれる。磁気流量計は、機械的効果や熱力学的効果ではなく、電磁的相互作用に依存するファラデーの法則に基づいて流れを特徴付けることによって、これらの技術とは区別される。特に、磁気流量計は、プロセス流体の導電性と、流体が磁場領域を流れるときに誘起される起電力(EMF)とに依存する。 【0004】 従来の磁気流量計は、センサ部及びトランスミッタ部を含む。トランスミッタ部は、センサ部のコイルを介して電流を駆動し、導管部全体に磁場を発生させるコイルドライバを含む。この磁場によって、流れに、流速に比例する起電力又は電位差(電圧)が誘導される。磁気流量計は、センサ部で検出される電圧差に基づいて流量を測定する。 【0005】 流量計内の電流供給回路は、磁気コイルに交流電流を印加するために使用される。供給回路は、第1及び第2のコイルワイヤの一方を供給導線(supply conductor)に接続する第1及び第2のスイッチを有するHブリッジトランジスタ回路を含む。ブリッジ回路の第3及び第4のスイッチは、第1及び第2のコイルワイヤの他方を第2の供給導線に接続する。制御回路が、第1、第2、第3、及び第4のスイッチの導通を周期的に交替させて、コイル電流の極性を反転させる。誘導性負荷に印加される交流電流は制御が困難であり、流量測定に誤差をもたらす可能性がある。」 「【0028】 図4A、図4Bのデジタルコイルドライバ構成では、マイクロコントローラ308は、Hブリッジ回路110に印加されるPWMコマンドを使用して、流管102への電流を制御する。さらに、PWMコマンドは、電流センサ310によって検知される電流フィードバックに基づいて決定することができ、制御アルゴリズムは、マイクロコントローラ308にデジタル的に実装される。これは、連続適応型のデジタルコイルドライバ400の図である、図6に示されている。図6の図は、マイクロコントローラ308が、スイッチドライバ114でのマイクロコントローラ回路308によって見られるような電流経路内の他の構成要素と共に、コイル104からの有効負荷である「負荷」402に結合している様子を示している。負荷402を流れる電流は、電流フィードバック404を供給するセンサ310によって検知される。検知された電流フィードバック404は、アナログ-デジタル変換器406を用いてデジタル値に変換され、制御アルゴリズム408及びインピーダンス特定アルゴリズム410に適用される。制御アルゴリズム408は、選択された電流プロファイル412に従って動作し、Hブリッジ110内のスイッチ302A~302Dの動作を制御する。これは、LPF312と共に、図5においてはPWM416として表されている。制御アルゴリズムは、コマンド信号414をPWM416及びインピーダンス特定アルゴリズム410に供給する。インピーダンス特定アルゴリズム410は、デジタル化された電流フィードバック404を、制御アルゴリズム408によって提供されるコマンド信号414と比較することによって、負荷402のインピーダンスを決定する。インピーダンス特定アルゴリズム410によって特定されたインピーダンスに基づいて、インピーダンス特定アルゴリズムは、制御アルゴリズム408によって使用される制御パラメータを調整して、負荷402によって提供される特定のインピーダンスに適応させる。 【0029】 動作中、電源投入時に、コイルドライバに接続された負荷インピーダンスが不明である場合がある。接続された負荷の電気的特性(インピーダンス)を特定するために、マイクロコントローラ408は、最初に、小さな励起信号(電圧)を使用してオープンループ(フィードバック制御なし)で負荷を励起し、電流フィードバックを測定する。電圧と電流との間に非線形関係が存在する非理想的な場合(ほとんどの誘導コイルのコアの材料(inductor core material)はヒステリシス特性を示し、コイル104のインピーダンスはその動作電流の関数である)、マイクロコントローラ308は、所望の動作電流の設定点が達成されるまで印加電圧を増加させ、電流を測定する。次に、インピーダンス特定アルゴリズム410は、既知の技術を使用して「負荷」インピーダンスを計算し、マイクロコントローラは、続いて、制御ループのための最適な調整パラメータ(tuning parameters)を計算する。例えば、コイル104に、ステップ電圧入力を印加することができる。電流センサ110を使用して結果として生じる電流(resultant current)の立ち上がり時間を監視することによって、コイル104のインダクタンスと任意の寄生抵抗の値とを決定することができる。次に、マイクロコントローラ308は、最初に計算された調整パラメータを用いて電流ループを閉じる。流管102のインピーダンスは、環境(流管102の温度など)によって時間と共に変化するが、閉ループで動作している間、インピーダンス特定アルゴリズム410は、流管のインピーダンスを連続的に測定する。新しいインピーダンスをローパスフィルタに通した後、マイクロコントローラは、実装された制御スキームに対する新しい最適な制御ループパラメータを計算する。このようにして、磁気流量計のコイルドライバは、常に最適な性能で動作する。これにより、オーバーシュートが減少し又は実質的に除去され、また、セトリング時間の短縮により高速でのコイル周波数応答を可能にする。 【0030】 このように、マイクロコントローラは、電流フィードバックの知識を使用して、流管のインピーダンスを計算し、電源投入後に(適用された制御法則(control law)のための)最適な調整パラメータを導出する。連続的なインピーダンス測定によって、マイクロコントローラは、例えば、環境条件(例えば、温度)の変化や経年変化に起因する流管のパラメータ(インピーダンス)変化に応じて調整パラメータを調整することによって、この最適な性能を維持することができる。制御法則はマイクロコントローラの内部でデジタル的に実施されるので、マイクロコントローラは適切なPWM信号又はコマンドをデコードし、それらをHブリッジスイッチのスイッチに直接適用して、流管を流れる電流を制御することも可能である。加えて、磁気流量計は、従来の磁気流量計の場合と同様に、予め定義された制御スキームなしで、新しい流管で自動的に作動するように適応させることができる。」 (2) 引用文献2の記載事項及び引用発明の認定 ア 引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2016-169962号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記ウの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。 (ア) 【請求項1】 「【請求項1】 直流電圧が励磁電流供給回路からパルス幅信号により駆動されるスイッチング素子を介して励磁コイルに印加され、前記励磁コイルに流れる励磁電流方向を所定の励磁基本周波数で切り替えるとともに、前記励磁電流の値が一定となるように前記スイッチング素子の開閉デューティを前記励磁基本周波数よりも大きい励磁スイッチング制御周波数でオンオフ制御されるスイッチング制御方式の電磁流量計において、 前記励磁電流の値IEXと前記励磁コイルの印加電圧の平均値VEXaveに基づき、前記励磁コイルの抵抗値Rcoilを、 Rcoil=VEXave/IEX により演算する抵抗値演算手段と、 前記抵抗値演算手段で演算された前記励磁コイルの抵抗値Rcoilがあらかじめ設定されている所定の許容範囲内か否かを判定する抵抗値判定手段、 を備えていることを特徴とする電磁流量計。」 (イ) 【0001】~【0012】、【図10】~【図12】 「【0001】 本発明は、電磁流量計に関し、詳しくは、コイルの絶縁劣化、及び異常状態を診断する機能を備えた電磁流量計に関するものである。 【背景技術】 【0002】 図10は、従来から用いられている電磁流量計の一例を示すブロック図である。導電性流体が流れる導管11の内部には、対向するように一対の電極12、13が設けられるとともに電極12、13の下部にはアースリング14が設けられ、アースリング14は接地されている。」 「【図10】 [図:0001433634000003.jpg] 」 「【0003】 導管11の外周近傍には励磁コイル15が設けられていて、励磁コイル15は励磁回路16で励磁駆動されることにより、導管11の内部に磁場を発生させる。磁場が発生している状態で導管11の内部に導電性流体が流れると、導管11の内部の磁束密度と導電性流体の流速に比例したアナログ電圧が発生することになる。 【0004】 導電性流体の流速に比例したアナログ電圧は電極12、13により検出され、差動増幅回路17を介してA/D変換器18に入力されてデジタル信号に変換され、CPU19に入力される。 【0005】 CPU19は導電性流体の流速を算出するための所定の演算を行い、演算結果を出力回路20に出力する。 【0006】 CPU19には励磁回路16が接続されるとともに、励磁コイル15の絶縁抵抗を検出して励磁コイル15の絶縁劣化を検知する絶縁抵抗検出回路21も接続されている。 【0007】 図11は、励磁コイル15の接続関係を示す構成説明図である。図11において、電流供給部101には、FET106(Q1)とFET108(Q3)の直列回路とFET107(Q2)とFET109(Q4)の直列回路が並列に接続されていて、FET106とFET108の直列回路の接続中点aとFET107とFET109の直列回路の接続中点bには励磁コイル15と電流検出抵抗110の直列回路が接続されている。」 「【図11】 [図:0001433634000004.jpg] 」 「【0008】 電流供給部101に設けられている図示しない直流電圧部は、励磁コイル15に励磁電流を供給する。 【0009】 なお、FET106のゲートにはスイッチSW1(102)が接続され、FET107のゲートにはスイッチSW2(103)が接続され、FET108のゲートにはスイッチSW3(104)が接続され、FET109のゲートにはスイッチSW4(105)が接続されている。 【0010】 スイッチ102~105のオン/オフ駆動のタイミングに応じてFET106~109がオン/オフ駆動され、励磁コイル15に流れる励磁電流の向きが決まる。励磁電流の電流量は電流検出抵抗110により検出される。 【0011】 スイッチ102はFET106に対して短い区間でゲートのオンオフを繰り返す信号を出力し、スイッチ103はFET107に対して短い区間でゲートのオンオフを繰り返す信号を出力する。このゲートのオンオフの時間比/デューティ比により所望の定電流に設定できる。 【0012】 スイッチ104と105はゲートをオンオフするスイッチング制御は行わず、励磁コイル15と電流検出抵抗110の直列回路に流す電流の方向性のみを決めている。」 「【図12】 [図:0001433634000005.jpg] 」 (ウ) 【0014】~【0024】、【図13】 「【0014】 図13は、特許文献1に記載されている絶縁抵抗検出回路の回路例図である。図13において、励磁コイル15の一端はコイルの絶縁抵抗201を介して共通電位点に接続され、励磁コイル15の両端には切換スイッチ205が接続されている。ここで、絶縁抵抗201は、本来絶縁されている励磁コイル15とアース電極間の絶縁抵抗を表している。」 「【図13】 [図:0001433634000006.jpg] 」 「…(中略)… 【0022】 しかし、特許文献1に記載されている従来の構成によれば、励磁コイル15の絶縁劣化を検知するための電子回路を別途設けなければならない。 【0023】 また、励磁コイル15に励磁電流を供給するのにあたっては、百数十ボルトの電圧を印加することから、定格電圧や定格電力が大きい部品を使わなくてはならない。 【0024】 本発明は、このような従来の問題点に着目したものであり、その目的は、特別な電子回路を設けることなく励磁コイルの絶縁劣化を検知でき、励磁コイルの異常の有無を的確に診断できる電磁流量計を提供することにある。」 (エ) 【0032】~【0038】、【図1】~【図4】 「【0032】 以下、本発明について、図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施例を示すブロック図であり、図10と共通する部分には同一の符号を付けている。図1において、CPU19には抵抗値演算部19aと抵抗値比較部19bと抵抗初期値格納部19cが設けられていて、図10に設けられていた絶縁抵抗検出回路21は削除されている。PWM信号取得のために、タイマー19d、またはA/D部19eが設けられる場合もある。」 「【図1】 [図:0001433634000007.jpg] 」 「【0033】 はじめに、スイッチング励磁制御について説明する。図2はスイッチング励磁制御、及びPWM取得タイミングチャートである。スイッチング励磁制御では、電流供給部101の出力電圧をVEX(V)とすると、VEX(V)が常に一定値になるように制御される。電流供給部101の出力電圧は励磁コイル15と電流検出抵抗110の直列回路に印加され、励磁コイル15には励磁電流が流れる。」 「【図2】 [図:0001433634000008.jpg] 」 「【0034】 このとき、電流検出抵抗110を流れる電流量が一定になるようにPWM信号のON/OFF時間が制御され、スイッチング制御される。 【0035】 PWM取得タイミングは、正励磁、負励磁ともにPWMが安定している後半で取得することで、正確にPWM信号のデューティ比を取得することができる。 【0036】 図3は、励磁コイル15の抵抗値の増減によるPWMの変化を示した図である。励磁コイル15の抵抗値が小さい場合はPWM信号のON時間が短くなり、励磁コイル15の抵抗値が大きい場合にはPWM信号のON時間が長くなる。すなわち、励磁コイル15の抵抗値が小さいほど電圧の印加時間は短くて済み、励磁コイル15の抵抗値が大きいほど電圧の印加時間は長くなる。」 「【図3】 [図:0001433634000009.jpg] 」 「【0037】 これは、一定の電流値になるように制御していることから、励磁コイル15の抵抗値が大きいと一定の電流値に到達するまでのも長くなり、PWM信号のON時間も長くなることに基づく。 【0038】 図4は、励磁コイル15の異常時において、励磁電流IEXの流れと増減抵抗値の増減を示した図である。励磁コイルの通常時に対して、励磁コイルがオープンしている場合、励磁コイルの抵抗値は増加する。励磁コイルがショート、または絶縁劣化している場合、励磁コイルの抵抗値は減少する。」 「【図4】 [図:0001433634000010.jpg] 」 (オ) 【0039】~【0045】、【図5】 「【0039】 図5は、励磁コイル15の抵抗値を演算する処理の流れを説明するフローチャートである。はじめに、電流供給部101の電圧値VEXを取得する(ステップS1)。この電圧値は、設計時に決まるものであり、あらかじめ入力しておく。より正確な値を入力したい場合には、直接電圧値を測定して取得してもよい。」 「【図5】 [図:0001433634000011.jpg] 」 「【0040】 続いて、スイッチング制御におけるPWM信号のデューティ比を取得する(ステップS2)。PWM信号は、PWM制御ICや演算増幅器、コンパレータなどから出力されている場合にはCPUで測定して取得する必要がある。 …(中略)… 【0043】 CPUがPWM信号を出力している場合には、直接取得する。 【0044】 ステップS1で取得した電流供給部101の電圧値VEXと、ステップS2で取得したPWM信号のデューティ比に基づき、(1)式で表されるように励磁コイル15に印加している電圧の平均値VEXaveを求める(ステップS3)。 VEXave=VEX×Duty (1) 【0045】 電流検出抵抗110を介して取得した電流値IEXと、ステップS3で求めた電圧の平均値VEXaveを用い、(2)式に基づき励磁コイル15の抵抗値Rcoilを求める(ステップS4)。 Rcoil=VEXave/IEX (2)」 (カ) 【0046】~【0054】、【図8】 「【0046】 図8は、励磁コイル15の異常診断処理の流れを説明するフローチャートである。はじめに、抵抗値比較部19bは抵抗初期値格納部19cから基準となる励磁コイル15の抵抗値RcoilRefを取得する(ステップS1)。」 「【図8】 [図:0001433634000012.jpg] 」 「【0047】 次に、抵抗値演算部19aは、図5のフローチャートに示した処理の流れに基づき、励磁コイル15の抵抗値Rcoilを求める(ステップS2)。 【0048】 抵抗値比較部19bは、これら基準となる励磁コイル15の抵抗値RcoilRefと、励磁コイル15の抵抗値Rcoilを比較し、励磁コイル15の抵抗値Rcoilがあらかじめ設定されている許容範囲を超えていないかを判定する(ステップS3)。 【0049】 コイルオープン許容値Ropenと、励磁コイル15の抵抗値Rcoilと、基準となる励磁コイル15の抵抗値RcoilRefを用い、式(3)が成り立つ場合、コイルオープンになったと判定する。 Rcoil-RcoilRef >Ropen (3) 【0050】 コイルショート許容値Rshortと、励磁コイル15の抵抗値Rcoilと、基準となる励磁コイル15の抵抗値RcoilRefを用い、式(4)が成り立つ場合、コイルショート、または絶縁劣化になったと判定する。 RcoilRef-Rcoil >Rshort (4) 【0051】 許容範囲を超えていない場合には、所定の時間間隔でステップS2に戻り、ステップS2以降の処理を繰り返して実行することにより、励磁コイル15の抵抗値Rcoilを監視する。 【0052】 許容範囲を超えている場合には、次のステップS4に進み、励磁コイル15の抵抗値Rcoilに異常が発生したと判断してアラームを出力する(ステップS4)。 【0053】 スイッチング制御方式の励磁回路では、励磁電流を制御するパルス幅信号よりなるスイッチング信号と、励磁コイル15に印加される電圧を用いることにより、特別な電子回路を設けることなく、励磁コイル15の抵抗値を求めることができる。 【0054】 そして、このようにして求めた励磁コイル15の抵抗値を設置当初や校正時の励磁コイルの抵抗値と比較することにより異常の有無を診断することができ、求めた励磁コイル15の抵抗値を継続的に蓄積監視することにより故障の予兆などを高い確率で把握して故障による測定不能に陥ることを防止改善できる。」 イ 引用文献2の記載から読み取れる事項の認定 (ア) 図10の従来例を踏まえた図1の実施例の構成 a 引用文献2の【0032】には、「図1は本発明の一実施例を示すブロック図であり、図10と共通する部分には同一の符号を付けている。図1において、CPU19には抵抗値演算部19aと抵抗値比較部19bと抵抗初期値格納部19cが設けられていて、図10に設けられていた絶縁抵抗検出回路21は削除されている」と記載されている。 b そして、引用文献2の図10(【0002】~【0006】)の従来から用いられている電磁流量計(以下「従来例」という。)と図1の実施例は、共通の構成要素として「導管11」、「電極12、13」、「アースリング14」、「励磁コイル15」、「励磁回路16」、「差動増幅回路17」、「A/D変換器18」、「CPU19」、「出力回路20」を備えている。 c 前記a及びbを踏まえると、引用文献2の図1の実施例の構成を認定するに当たって、図10の従来例の構成を援用することは、上記実施例を開示する内容に抵触しない限り、差し支えないというべきであり、具体的には、図1の実施例は次の構成を備えているものが認識できる。 「導電性流体が流れる導管11の内部には、対向するように一対の電極12、13が設けられるとともに電極12、13の下部にはアースリング14が設けられ、アースリング14は接地されており、(【0002】) 導管11の外周近傍には励磁コイル15が設けられていて、励磁コイル15は励磁回路16で励磁駆動されることにより、導管11の内部に磁場を発生させ、(【0003】) 磁場が発生している状態で導管11の内部に導電性流体が流れると、導管11の内部の磁束密度と導電性流体の流速に比例したアナログ電圧が発生し、(【0003】) 導電性流体の流速に比例したアナログ電圧は電極12、13により検出され、差動増幅回路17を介してA/D変換器18に入力されてデジタル信号に変換され、CPU19に入力され、(【0004】) CPU19は導電性流体の流速を算出するための所定の演算を行い、演算結果を出力回路20に出力し、(【0005】) CPU19には励磁回路16が接続されること。(【0006】)」 【図10】(再掲) [図:0001433634000013.jpg] 【図1】(再掲) [図:0001433634000014.jpg] (イ) 図11の従来例を踏まえた図1の実施例の構成 a 従来例である図10の「励磁回路16」の機能について (a) まず、従来例である図10の「励磁回路16」の機能について検討すると、引用文献2には次の記載がある。なお、下線は当審において付したものであり、以下同様である。 「【0002】 図10は、従来から用いられている電磁流量計の一例を示すブロック図である。導電性流体が流れる導管11の内部には、対向するように一対の電極12、13が設けられるとともに電極12、13の下部にはアースリング14が設けられ、アースリング14は接地されている。 【0003】 導管11の外周近傍には励磁コイル15が設けられていて、励磁コイル15は励磁回路16で励磁駆動されることにより、導管11の内部に磁場を発生させる。磁場が発生している状態で導管11の内部に導電性流体が流れると、導管11の内部の磁束密度と導電性流体の流速に比例したアナログ電圧が発生することになる。」 (b) 前記(a)において摘記した事項から、図10の「励磁回路16」は「励磁コイル15」を「励磁駆動」させる機能を有することが理解できる。 b 従来例である図11の回路構成の機能について (a) 次に従来例である図11の回路構成の機能について検討すると、引用文献2には次の記載がある。 「【0007】 図11は、励磁コイル15の接続関係を示す構成説明図である。図11において、電流供給部101には、FET106(Q1)とFET108(Q3)の直列回路とFET107(Q2)とFET109(Q4)の直列回路が並列に接続されていて、FET106とFET108の直列回路の接続中点aとFET107とFET109の直列回路の接続中点bには励磁コイル15と電流検出抵抗110の直列回路が接続されている。 【0008】 電流供給部101に設けられている図示しない直流電圧部は、励磁コイル15に励磁電流を供給する。 【0009】 なお、FET106のゲートにはスイッチSW1(102)が接続され、FET107のゲートにはスイッチSW2(103)が接続され、FET108のゲートにはスイッチSW3(104)が接続され、FET109のゲートにはスイッチSW4(105)が接続されている。 【0010】 スイッチ102~105のオン/オフ駆動のタイミングに応じてFET106~109がオン/オフ駆動され、励磁コイル15に流れる励磁電流の向きが決まる。励磁電流の電流量は電流検出抵抗110により検出される。 【0011】 スイッチ102はFET106に対して短い区間でゲートのオンオフを繰り返す信号を出力し、スイッチ103はFET107に対して短い区間でゲートのオンオフを繰り返す信号を出力する。このゲートのオンオフの時間比/デューティ比により所望の定電流に設定できる。 【0012】 スイッチ104と105はゲートをオンオフするスイッチング制御は行わず、励磁コイル15と電流検出抵抗110の直列回路に流す電流の方向性のみを決めている。」 (b) 前記(a)において摘記した事項から、図11の回路構成は、「FET106」~「FET109」及び「スイッチ102~105」を「オン/オフ駆動」することにより、「電流供給部101」から「励磁コイル15」に供給される励磁電流の大きさや向きを制御していることが読み取れる。 【図11】(再掲) [図:0001433634000015.jpg] c 従来例である図10と図11の関係について 前記a、bを踏まえると、引用文献2の図11の回路構成は、図10の「励磁回路16」が担っている「励磁コイル15」を「励磁駆動」させる機能を具体的に実現するための手段であることが読み取れる。 d 実施例である図1と従来例である図10及び図11の関係について (a) 図10の従来例と図1の実施例は、共通の構成要素として「励磁回路16」を備えている。 (b) また、図1の実施例について【0033】~【0035】には次の記載がある。 「【0033】 はじめに、スイッチング励磁制御について説明する。図2はスイッチング励磁制御、及びPWM取得タイミングチャートである。スイッチング励磁制御では、電流供給部101の出力電圧をVEX(V)とすると、VEX(V)が常に一定値になるように制御される。電流供給部101の出力電圧は励磁コイル15と電流検出抵抗110の直列回路に印加され、励磁コイル15には励磁電流が流れる。 【0034】 このとき、電流検出抵抗110を流れる電流量が一定になるようにPWM信号のON/OFF時間が制御され、スイッチング制御される。 【0035】 PWM取得タイミングは、正励磁、負励磁ともにPWMが安定している後半で取得することで、正確にPWM信号のデューティ比を取得することができる。」 (c) 上記記載から、図1の実施例においても、「励磁コイル15」を励磁制御するための構成として、図11の従来例と同様に「電流供給部101」及び「電流検出抵抗110」を備えていることが理解できる。 (d) さらに、図1の実施例では、図11の従来例と同様に、PWM信号のON/OFF時間を制御し、スイッチング制御することにより「励磁コイル15」に供給される励磁電流の大きさや向きを制御している。 (e) そうすると、図1の実施例においても、「FET106」~「FET109」及び「スイッチ102~105」を「オン/オフ駆動」することにより、「電流供給部101」から「励磁コイル15」に供給される励磁電流の制御を行っていることは明らかである。 e 図11の従来例を踏まえた図1の実施例の構成 以上を踏まえると、引用文献2の図1の実施例の構成を認定するに当たって、図11の従来例の構成を援用することは、上記実施例を開示する内容に抵触しない限り、差し支えないというべきであり、具体的には、図1の実施例は次の構成を備えているものが認識できる。 「電流供給部101には、FET106(Q1)とFET108(Q3)の直列回路とFET107(Q2)とFET109(Q4)の直列回路が並列に接続されていて、FET106とFET108の直列回路の接続中点aとFET107とFET109の直列回路の接続中点bには励磁コイル15と電流検出抵抗110の直列回路が接続されており、(【0007】) 電流供給部101に設けられている直流電圧部は、励磁コイル15に励磁電流を供給し、(【0008】) FET106のゲートにはスイッチSW1(102)が接続され、FET107のゲートにはスイッチSW2(103)が接続され、FET108のゲートにはスイッチSW3(104)が接続され、FET109のゲートにはスイッチSW4(105)が接続されており、(【0009】) スイッチ102~105のオン/オフ駆動のタイミングに応じてFET106~109がオン/オフ駆動され、励磁コイル15に流れる励磁電流の向きが決まり、(【0010】) 励磁電流の電流量は電流検出抵抗110により検出され、(【0010】) スイッチ102はFET106に対して短い区間でゲートのオンオフを繰り返す信号を出力し、スイッチ103はFET107に対して短い区間でゲートのオンオフを繰り返す信号を出力し、このゲートのオンオフの時間比/デューティ比により所望の定電流に設定でき、(【0011】) スイッチ104と105はゲートをオンオフするスイッチング制御は行わず、励磁コイル15と電流検出抵抗110の直列回路に流す電流の方向性のみを決めていること。(【0012】)」 (ウ) 引用文献1の記載から読み取れる事項の認定 前記アの摘記事項(イ)の図12、摘記事項(エ)の図2から、引用文献1には、次の技術事項が記載されていると認められる(以下「認定事項1」という。)。 「FET106(Q1)及びFET109(Q4)が駆動されるとき、正励磁となり、FET107(Q2)及びFET108(Q3)が駆動されるとき、負励磁となること。」 ウ 引用発明の認定 前記イにおいて認定した事項及び前記アに摘記した引用文献2の記載事項を総合すると、引用文献2には、実施例(【図1】)に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所等を括弧内に示した。 <引用発明> 「直流電圧が励磁電流供給回路からパルス幅信号により駆動されるスイッチング素子を介して励磁コイルに印加され、前記励磁コイルに流れる励磁電流方向を所定の励磁基本周波数で切り替えるとともに、前記励磁電流の値が一定となるように前記スイッチング素子の開閉デューティを前記励磁基本周波数よりも大きい励磁スイッチング制御周波数でオンオフ制御されるスイッチング制御方式の電磁流量計において、 前記励磁電流の値IEXと前記励磁コイルの印加電圧の平均値VEXaveに基づき、前記励磁コイルの抵抗値Rcoilを、 Rcoil=VEXave/IEX により演算する抵抗値演算手段と、 前記抵抗値演算手段で演算された前記励磁コイルの抵抗値Rcoilがあらかじめ設定されている所定の許容範囲内か否かを判定する抵抗値判定手段、 を備えている電磁流量計であって、(【請求項1】) 導電性流体が流れる導管11の内部には、対向するように一対の電極12、13が設けられるとともに電極12、13の下部にはアースリング14が設けられ、アースリング14は接地されており、(【0002】) 導管11の外周近傍には励磁コイル15が設けられていて、励磁コイル15は励磁回路16で励磁駆動されることにより、導管11の内部に磁場を発生させ、(【0003】) 磁場が発生している状態で導管11の内部に導電性流体が流れると、導管11の内部の磁束密度と導電性流体の流速に比例したアナログ電圧が発生し、(【0003】) 導電性流体の流速に比例したアナログ電圧は電極12、13により検出され、差動増幅回路17を介してA/D変換器18に入力されてデジタル信号に変換され、CPU19に入力され、(【0004】) CPU19は導電性流体の流速を算出するための所定の演算を行い、演算結果を出力回路20に出力し、(【0005】) CPU19には励磁回路16が接続され、(【0006】) 電流供給部101には、FET106(Q1)とFET108(Q3)の直列回路とFET107(Q2)とFET109(Q4)の直列回路が並列に接続されていて、FET106とFET108の直列回路の接続中点aとFET107とFET109の直列回路の接続中点bには励磁コイル15と電流検出抵抗110の直列回路が接続されており、(【0007】) 電流供給部101に設けられている直流電圧部は、励磁コイル15に励磁電流を供給し、(【0008】) FET106のゲートにはスイッチSW1(102)が接続され、FET107のゲートにはスイッチSW2(103)が接続され、FET108のゲートにはスイッチSW3(104)が接続され、FET109のゲートにはスイッチSW4(105)が接続されており、(【0009】) スイッチ102~105のオン/オフ駆動のタイミングに応じてFET106~109がオン/オフ駆動され、励磁コイル15に流れる励磁電流の向きが決まり、(【0010】) スイッチ102はFET106に対して短い区間でゲートのオンオフを繰り返す信号を出力し、スイッチ103はFET107に対して短い区間でゲートのオンオフを繰り返す信号を出力し、このゲートのオンオフの時間比/デューティ比により所望の定電流に設定でき、(【0011】) スイッチ104と105はゲートをオンオフするスイッチング制御は行わず、励磁コイル15と電流検出抵抗110の直列回路に流す電流の方向性のみを決めており、(【0012】) FET106(Q1)及びFET109(Q4)が駆動されるとき、正励磁となり、FET107(Q2)及びFET108(Q3)が駆動されるとき、負励磁となり、(認定事項1) 電流供給部101の出力電圧をVEX(V)とすると、VEX(V)が常に一定値になるように制御され、(【0033】) 電流供給部101の出力電圧は励磁コイル15と電流検出抵抗110の直列回路に印加され、励磁コイル15には励磁電流が流れ、(【0033】) 励磁電流の電流量は電流検出抵抗110により検出され、(【0010】) CPUがPWM信号を出力し、(【0042】、【0043】) 電流検出抵抗110を流れる電流量が一定になるようにPWM信号のON/OFF時間が制御され、スイッチング制御され、(【0034】) CPU19には抵抗値演算部19aと抵抗値比較部19bと抵抗初期値格納部19cが設けられており、(【0032】) 励磁電流を制御するパルス幅信号よりなるスイッチング信号と、励磁コイル15に印加される電圧を用いることにより、特別な電子回路を設けることなく、励磁コイル15の抵抗値を求めることができ、(【0053】) 抵抗値演算部19aは、励磁コイル15の抵抗値Rcoilを求めるものであり、(【0047】) 電流供給部101の電圧値VEXを取得し、(【0039】) スイッチング制御におけるPWM信号のデューティ比を取得し、(【0040】) 電流供給部101の電圧値VEXと、PWM信号のデューティ比に基づき、(1)式で表されるように励磁コイル15に印加している電圧の平均値VEXaveを求め、 VEXave=VEX×Duty (1)、(【0044】) 電流検出抵抗110を介して取得した電流値IEXと、電圧の平均値VEXaveを用い、(2)式に基づき励磁コイル15の抵抗値Rcoilを求め、 Rcoil=VEXave/IEX (2)、(【0045】) 励磁コイルの通常時に対して、励磁コイルがオープンしている場合、励磁コイルの抵抗値は増加し、励磁コイルがショート、または絶縁劣化している場合、励磁コイルの抵抗値は減少し、(【0038】) 求めた励磁コイル15の抵抗値を設置当初や校正時の励磁コイルの抵抗値と比較することにより異常の有無を診断することができ、(【0054】) 抵抗値比較部19bは、抵抗初期値格納部19cから基準となる励磁コイル15の抵抗値RcoilRefを取得し、(【0046】) 抵抗値比較部19bは、基準となる励磁コイル15の抵抗値RcoilRefと、励磁コイル15の抵抗値Rcoilを比較し、励磁コイル15の抵抗値Rcoilがあらかじめ設定されている許容範囲を超えていないかを判定し、(【0048】) 許容範囲を超えていない場合には、励磁コイル15の抵抗値Rcoilを監視し、(【0051】) 許容範囲を超えている場合には、励磁コイル15の抵抗値Rcoilに異常が発生したと判断してアラームを出力する、(【0052】) 電磁流量計。」 (3) 引用文献3の記載事項及び引用文献3技術事項等の認定 ア 引用文献3に記載された事項 原査定と同日付けの補正却下の決定において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特表2016-540985号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものである。 (ア) 【0014】~【0018】、【図1】 「【0014】 図1は、典型的な電磁式流量計10を示しており、この電磁式流量計10は、主要部(流動管装置、即ちセンサ部)10Aと、付属部(トランスミッタ)10Bとを備える。流動管装置10Aは、導管12、絶縁用のライナ14、電極16A、電極16B、並びに直列接続されたコイル18A及びコイル18Bによって形成されるフィールドコイル18を備える。」 「【図1】 [図:0001433634000016.jpg] 」 【0015】 流動管装置10Aの主たる機能は、計測対象の流体の流速に比例する電圧を生成することである。コイル18A及びコイル18Bは、電流が流れることにより駆動されて磁界を生成する。パルス化直流励磁型の電磁式流量計では、コイル駆動電流の方向が周期的に反転されることにより、これらコイル18A及びコイル18Bが生成する磁界の方向が切り替わる。流動管装置10Aの内部を通過するプロセス流体は移動導電体として作用し、磁界によって当該流体中に電圧が誘起される。流動管装置10Aの内周面と面一となるように取り付けられた2つの電極16A及び16Bは、導電性を有したプロセス流体と電気的に直に接することにより、プロセス流体中に生じた電圧を取り出す。 …(中略)… 【0018】 デジタルプロセッサ22は、コイル駆動部24によってコイル18A及びコイル18Bに供給されるパルス化直流コイル駆動電流のパルス周波数を制御する。コイル駆動部24によって供給される電流の波形は、パルス周波数またはコイル駆動周波数と称される周波数を有した矩形波である。この矩形波は、デジタルプロセッサ22によって選定される可変のコイル駆動デューティ比を有するものとすることができる。」 (イ) 【0021】~【0028】 「【0021】 電磁式流量計10は、流動管装置10Aの特性、並びに流動管装置10A及びトランスミッタ10Bの電力定格に基づき、コイル駆動周波数及びコイル駆動電流に、必要に応じてコイル駆動電流のデューティ比を加え、これらの最適な組み合わせを示す動作設定値を自動的に選定する方法を提供する。このようなコイル駆動周波数、コイル駆動電流、及びコイル駆動デューティ比の自動選定は、設置の際に現場で行ってもよいし、トランスミッタの起動の際に自動的に行ったり、流動管装置10A及びトランスミッタ10Bの作動中に、バックグラウンドで継続的に実行したりしてもよい。 …(中略)… 【0024】 流動管装置10Aのゲイン、並びにコイルインダクタンス及びコイル抵抗の計測値からなる流量計パラメータに基づき、トランスミッタ10Bが、コイル駆動電流、コイル駆動周波数、及びコイル駆動デューティ比の設定値を選定できるようにすることにより、流動管装置10Aとトランスミッタ10Bとの個別の組み合わせに適合するように個々に設置を行うことが可能となる。オペレータが選定した性能基準に応じ、トランスミッタ10Bが、コイル駆動電流、コイル駆動周波数、及びコイル駆動デューティ比の設定値を適合させることで、最善の信号対雑音比、最善の省電力性能、または最善(最速)の応答時間といった、所望の性能基準が達成されることになる。 …(中略)… 【0028】 動作設定値の自動選定は、継続的な調整機能として、バックグラウンドで実施することも可能である。これにより、トランスミッタ10Bは、環境条件が変化しても、選定された性能基準について、作動中に最善の性能を維持可能となる。具体的には、作動中に、温度変化により、2つのコイル18A及び18B、並びにこれらコイル18A及び18Bにコイル駆動部14を接続するケーブルの電気抵抗に変化が生じる可能性がある。」 (ウ) 【0033】~【0038】、【図2】 「【0033】 図2は、フィールドコイル18(コイル18A及びコイル18B)並びにデジタルプロセッサ22と共にコイル駆動部24を示すブロック図である。コイル駆動部24は、4つの電界効果トランジスタ32,34,36,38で形成されるHブリッジ回路30、デジタル・アナログコンバータ(DAC)40、電流コントローラ42、クロックロジック回路44、コイル電圧増幅調整回路46、コイル電流増幅調整回路48、及び検出用抵抗50を備える。フィールドコイル18を形成するコイル18A及びコイル18Bは、Hブリッジ回路30のノード52とノード54との間で、直列に接続されている。図2に示すように、コイル18A及びコイル18Bは、ノード52とノード54との間に、コイルインダクタンスL及びコイル抵抗Rを形成する。」 「【図2】 [図:0001433634000017.jpg] 」 「【0034】 デジタルプロセッサ22は、Hブリッジ回路30を介してコイル18A及びコイル18Bに供給される駆動信号におけるコイル駆動電流、コイル駆動周波数、及びコイル駆動デューティ比を制御する。 …(中略)… 【0036】 コイル駆動部24は、コイル電圧を検出するコイル電圧増幅調整回路46、及びコイル電流を検出するコイル電流増幅調整回路48を備えている。コイル電圧増幅調整回路46の入力端子は、Hブリッジ回路30のノード56とノード58とに接続されている。コイル電圧増幅調整回路46の出力信号は、デジタルプロセッサ22の基板実装アナログ・デジタルコンバータ(ADC)の入力端子に供給される。コイル電流増幅調整回路48の入力端子は、Hブリッジ回路30のノード58と接地点とに接続されている。コイル電流増幅調整回路48の入力端子における電圧V2は、コイル電流ICに検出用抵抗50の抵抗値RSを乗じたものに等しく、即ち、V2=IC・RSである。 【0037】 デジタルプロセッサ22は、コイル電圧増幅調整回路46及びコイル電流増幅調整回路48のそれぞれから受け取った信号に基づき、コイル電圧VCを示すデジタル値及びコイル電流ICを示すデジタル値を生成する。これらのデジタル値を用い、デジタルプロセッサ22は、コイル抵抗及びコイルインダクタンスを求める。 【0038】 コイル18A及びコイル18Bが使用する電力は、デジタルプロセッサ22がコイル電圧増幅調整回路46及びコイル電流増幅調整回路48と協働して求めたコイル電流の計測値及びコイル電圧の計測値を用いて算出することが可能である。コイル電流ICは、計算式IC=V2/RSで得られる。コイル電圧VCは、計算式VC=V1-V2で得られる。コイル電流IC及びコイル電圧VCが計測されれば、コイル18A及びコイル18Bの抵抗R(コイル駆動部24をコイル18A及びコイル18Bと接続する配線の抵抗を含む)は、計算式R=VC/ICで算出できる。コイル電流の整定時間は、抵抗Rと主に、デジタルプロセッサ22によるコイルインダクタンスL(コイル18A及びコイル18Bとコイル駆動部24との間の配線によって生じるインダクタンスを含む)の算出に用いられる。」 (エ) 【0039】~【0048】、【図3】 「【0039】 図3は、デジタルプロセッサ22が実行する動作設定値の自動選定処理70を示すフローチャートである。自動選定処理70は、ステップ72で開始される。デジタルプロセッサ22は、入力された流量計パラメータを取得し(ステップ74)、この流量計パラメータには、例えば、コイルインダクタンス、コイル抵抗、流動管装置ゲイン、流動管装置電力定格、トランスミッタ電力定格、コイル電流、電極雑音、磁束密度、及び電極電圧零点移動特性を周波数と関連付けて含めることができる。」 「【図3】 [図:0001433634000018.jpg] 」 「…(中略)… 【0042】 デジタルプロセッサ22は、選定した性能基準を示すようにオペレータに促し(ステップ76)、その性能基準を動作設定値の自動選定に用いる(ステップ78)。この性能基準の選定には、最速応答特性、特定の周波数または特定の要求精度に対する最大信号対雑音比、及び特定の要求信号対雑音比に基づく電力効率などの選択を含めることができる。また、性能基準の選定には、トランスミッタ10Bの作動中におけるバックグラウンドでの継続的な動作設定値の調整を選択的に含めてもよいし、代わりに、オペレータが新たな動作設定値の選定を要求するまでの間、継続的な調整をせずに使用する動作設定値の選定を含めてもよい。 【0043】 受け取った流量計パラメータ及びオペレータが選定した性能基準に基づき、デジタルプロセッサ22は、コイル駆動周波数、コイル駆動電流、及びコイル駆動デューティ比についての動作設定値を算出する(ステップ78)。次に、デジタルプロセッサ22は、コイル駆動部24で適用するコイル駆動周波数の値、コイル駆動電流の値、及びコイル駆動デューティ比の値を動作値として設定する(ステップ80)。 …(中略)… 【0048】 コイル駆動のための設定値は、トランスミッタの製造時点で判っているセンサデータに依存するものではない。コイル抵抗に影響を及ぼす可能性がある温度変化を考慮する必要があれば、当該設定値を継続的に調整することが可能である。」 イ 引用文献3技術事項の認定 前記アに摘記した引用文献3の記載事項から、引用文献3には次の技術事項が記載されていると認められる(以下「引用文献3技術事項」という。)。 <引用文献3技術事項> 「電磁流量計において、励磁コイルを所望の電流特性で駆動するときに、特定したコイル抵抗及びコイルインダクタンスに応じて、PWM信号のデューティ比等のパラメータを制御すること。」 ウ 周知技術1の認定 前記アに摘記した引用文献3の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術1」という。)。 <周知技術1> 「電磁式流量計において、流管に設けるコイルを2つのコイルによって構成すること。」 (4) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 構成Xの観点(磁気流量計) a 構成Xは、「流体の流れを測定するための磁気流量計」の発明であることを特定するものである。 b 引用発明においては、「導管11の外周近傍」に「設けられ[る]」「励磁コイル15」が「導管11の内部に磁場を発生させ」ている状態で、「電極12、13」が「導管11の内部の磁束密度と導電性流体の流速に比例したアナログ電圧」を「検出」することによって、「導管11の内部」に「流れる」「導電性流体の流速を算出」している。 c ここで、引用発明は「電磁流量計」の発明であり、流速に流体流路の断面積(既知の値)を乗じることにより、体積流量が得られることは技術常識であるから、「導電性流体の流速」から「導管11」の断面積に基づき流量を測定していることは自明である。 d 前記b、cを踏まえれば、引用発明の「電磁流量計」は、本件補正発明の「流体の流れを測定するための磁気流量計」に相当する。 e したがって、本件補正発明と引用発明は、「流体の流れを測定するための磁気流量計」の発明である点において一致する。 (イ) 構成Aの観点(流管アセンブリ) a 構成Aは、「前記流れを受け取る流管アセンブリであって、前記流体中に流量を表す起電力を発生させる磁場を生成するコイル電流を受け取るための第1及び第2のコイルワイヤを有するコイルを有する、流管アセンブリ」を備えることである。 b 流管アセンブリが流れを受け取る観点 (a) 引用発明における「導管11」は、本件補正発明における「流管アセンブリ」に相当する。 (b) また、引用発明において「導管11」は、その「内部に導電性流体が流れる」ものであり、「導管11」外から「導電性流体」を受けることを前提としている。 (c) したがって、引用発明における「導管11」と本件補正発明における「流管アセンブリ」は、「流れを受け取る」点で一致する。 c コイルが有するコイルワイヤの観点 (a) 引用発明における「励磁コイル15」は、本件補正発明における「コイル」に相当する。 (b) 一般にコイルは、電気的に導通するコイルワイヤをらせん状等に巻くことにより形成され、当該コイルワイヤにコイル電流を流すことにより磁場を生成するものである。 (c) そして、このような一般的な理解に基づけば、引用発明における「励磁コイル15」がコイルワイヤを有し、当該コイルワイヤにコイル電流を流すことにより磁場を生成していることは明らかである。 (d) また、引用発明においては、「励磁コイル15は励磁回路16で励磁駆動されることにより、導管11の内部に磁場を発生させ」ているところ、前記(c)を踏まえると、「励磁コイル15」のコイルワイヤは、「磁場を発生させ[る]」ためのコイル電流を「励磁回路16」を通じて受け取っていることが理解できる。 (e) ここで、引用発明においては、「磁場が発生している状態で導管11の内部に導電性流体が流れる」ときの「導管11の内部の磁束密度と導電性流体の流速に比例したアナログ電圧」に基づき、「導電性流体の流速を算出」しているところ、「励磁コイル15」による「磁場」が「導管11の内部の磁束密度と導電性流体の流速に比例したアナログ電圧」を「発生」させることは、本件補正発明において「コイル」による「磁場」が「前記流体中に流量を表す起電力を発生させる」ことに相当する。 (f) したがって、引用発明における「励磁コイル15」と本件補正発明における「コイル」は、「前記流体中に流量を表す起電力を発生させる磁場を生成するコイル電流を受け取るための」「コイルワイヤを有する」点で一致する。 d 流管アセンブリがコイルを有する観点 (a) 引用発明においては、「導管11の内部に磁場を発生させ」るために、「導管11の外周近傍」に「励磁コイル15が設けられてい[る]」。 (b) そして、引用発明において「励磁コイル15」を「導管11の外周近傍」に設置する具体的な態様としては、「導管11」の内周面や外周面等に「励磁コイル15」を設ける態様が当然認識できることから、「導管11」は「励磁コイル15」を有しているといえる。 (c) したがって、引用発明における「導管11」と本件補正発明における「流管アセンブリ」は、「コイルを有する」点で一致する。 e 小括 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Aの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。 (a) 構成Aの観点における一致点 「前記流れを受け取る流管アセンブリであって、前記流体中に流量を表す起電力を発生させる磁場を生成するコイル電流を受け取るためのコイルワイヤを有するコイルを有する、流管アセンブリ」を備える点。 (b) 構成Aの観点における相違点 本件補正発明においては、 「コイルワイヤ」が「第1及び第2のコイルワイヤ」であるのに対して、 引用発明においては、 この点が明らかでない点。 (ウ) 構成Bの観点(起電力センサについて) a 構成Bは、「前記起電力を検知して、前記流量を示す出力を生成するように構成された起電力センサ」を備えることである。 b 引用発明における「導電性流体の流速に比例したアナログ電圧」を「検出」する「電極12、13」は、本件補正発明における「起電力を検知[する]」「起電力センサ」に相当する。 c また、引用発明においては、「電極12、13により検出され[た]」「導電性流体の流速に比例したアナログ電圧」が、「差動増幅回路17を介してA/D変換器18に入力されてデジタル信号に変換され、CPU19に入力され」、「CPU19」により「導電性流体の流速を算出するための所定の演算」が行われている。 d そうすると、引用発明において、「電極12、13により検出され[た]」「アナログ電圧」は、「導電性流体の流速に比例し」、「導電性流体の流速を算出するため」に用いられていることから、引用発明における「電極12、13」が生成する「アナログ電圧」は、本件補正発明における「起電力センサ」が生成する「流量を示す出力」に相当する。 e したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。 「前記起電力を検知して、前記流量を示す出力を生成するように構成された起電力センサ」を備える点。 (エ) 構成Cの観点(電流供給回路について) a 構成Cは、「コマンド入力に応答して前記コイルの前記第1及び第2のコイルワイヤにコイル電流を供給するように構成された電流供給回路」を備えることである。 b 引用発明においては、「電流供給部101に設けられている直流電圧部」が「励磁コイル15に励磁電流を供給し」、「スイッチ102~105のオン/オフ駆動のタイミングに応じてFET106~109がオン/オフ駆動され、励磁コイル15に流れる励磁電流の向きが決ま[る]」。 c そうすると、引用発明における「電流供給部101」、「スイッチ102~105」、「FET106~109」は、全体として「励磁コイル15に励磁電流を供給し」ていることから、本件補正発明における「コイル」の「コイルワイヤにコイル電流を供給するように構成された電流供給回路」に相当する。 d また、引用発明においては、「FET106」、「FET107」の「ゲートのオンオフの時間比/デューティ比により所望の定電流に設定でき」、「電流検出抵抗110を流れる電流量が一定になるようにPWM信号のON/OFF時間が制御され、スイッチング制御され」る。 e 前記b~dを踏まえると、引用発明においては「電流供給部101」、「スイッチ102~105」、「FET106~109」は、全体として「PWM信号」に応答して「励磁コイル15」のコイルワイヤに「励磁電流」を「供給」するように構成されているといえ、引用発明における「PWM信号」は、本件補正発明における「コマンド入力」に相当する。 f そうすると、本件補正発明と引用発明の構成Cの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。 (a) 構成Cの観点における一致点 「コマンド入力に応答して前記コイルのコイルワイヤにコイル電流を供給するように構成された電流供給回路」を備える点。 (b) 構成Cの観点における相違点 本件補正発明においては、 「コイルワイヤ」が「第1及び第2のコイルワイヤ」であるのに対して、 引用発明においては、 この点が明らかでない点。 (オ) 構成Dの観点(デジタル制御回路について) a 構成Dは、「制御アルゴリズムの関数として前記電流供給回路に前記コマンド入力を供給するデジタル制御回路」を備えることである。 b デジタル制御回路が電流供給回路にコマンド入力を供給する観点 (a) 引用発明においては、「励磁回路16」に「接続され」ている「CPU19」が「PWM信号を出力し」ている。 (b) そして、引用発明においては、「電流検出抵抗110を流れる電流量が一定になるようにPWM信号のON/OFF時間」を「制御」し、「スイッチング制御」しており、「スイッチ102はFET106に対して短い区間でゲートのオンオフを繰り返す信号を出力し、スイッチ103はFET107に対して短い区間でゲートのオンオフを繰り返す信号を出力し、このゲートのオンオフの時間比/デューティ比により所望の定電流に設定」している。 (c) そうすると、引用発明においては、「CPU19」が「PWM信号を出力し」、その「PWM信号」が「スイッチ102」、「スイッチ103」を介して「FET106」、「FET107」の「ゲート」に供給されることで、「励磁コイル15」に流れる電流量が一定になるよう「制御」される構成であるから、「CPU19」が「スイッチ102」、「スイッチ103」、「FET106」、「FET107」に「PWM信号」を「出力」していることは明らかである。 (d) したがって、引用発明における「CPU19」は、本件補正発明における「デジタル制御回路」に相当し、前記(エ)に示した相当関係を踏まえると、引用発明において、「CPU19」が「スイッチ102」、「スイッチ103」、「FET106」、「FET107」に「PWM信号」を「出力」することは、本件補正発明において、「デジタル制御回路」が「電流供給回路に前記コマンド入力を供給する」ことに相当する。 c 制御アルゴリズムの関数としてコマンド入力を供給する観点 (a) 引用発明においては、「励磁電流の電流量は電流検出抵抗110により検出され」、「電流検出抵抗110を流れる電流量が一定になるようにPWM信号のON/OFF時間が制御され」る。 (b) ここで、引用発明においては、「検出され」た「電流検出抵抗110を流れる電流量」に応じて、これが一定になるよう「PWM信号のON/OFF時間」を「制御」している。そして、「CPU19」の他に当該「制御」を行う主体は引用文献1に示されておらず、また、「CPU19」が「PWM信号」を「出力」していることを踏まえると、引用発明においては「CPU19」が「PWM信号のON/OFF時間」の「制御」を行っていると解釈するのが相当である。 (c) そして、CPUがアルゴリズムに従って制御を行うことは技術常識であることから、引用発明において、「CPU19」が「PWM信号のON/OFF時間」を決定する制御アルゴリズムを有していることは明らかである。 (d) また、上記制御アルゴリズムは、「検出され」た「電流検出抵抗110を流れる電流量」を入力として受け取り、これが一定になるように「制御」された「ON/OFF時間」を有する「PWM信号」を演算し、出力する処理を行うものであるから、「CPU19」は上記制御アルゴリズムにおいて定められた入力(検出された電流検出抵抗110を流れる電流量)と出力(電流検出抵抗110を流れる電流量が一定となるPWM信号)の関係(すなわち関数)に従って「PWM信号」を「出力」しているといえる。 (e) そうすると、引用発明において、「CPU19」が上記制御アルゴリズムの関数として「PWM信号」を「出力」することは、本件補正発明において、「デジタル制御回路」が「制御アルゴリズムの関数として」「コマンド入力を供給する」することに相当する。 d 小括 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。 「制御アルゴリズムの関数として前記電流供給回路に前記コマンド入力を供給するデジタル制御回路」を備える点。 (カ) 構成Eの観点(コマンド入力について) a 構成Eは、「前記コマンド入力は、前記コイル電流が前記コイルを通過する方向を制御するパルス波変調(PWM)信号を含[む]」ことである。 b 前記(エ)において検討したとおり、引用発明における「PWM信号」は、本件補正発明における「コマンド入力」に相当するところ、引用発明における「PWM信号」が、パルス波変調(PWM)信号であることは明らかである。 c そして、引用発明においては、「FET106(Q1)及びFET109(Q4)が駆動されるとき、正励磁となり、FET107(Q2)及びFET108(Q3)が駆動されるとき、負励磁となり」、「PWM信号」が「FET106」に出力されるものであるのか、「FET107」に出力されるものであるのかに応じて、「励磁コイル15に流れる励磁電流の向きが決ま[る]」ことから、「PWM信号」は、「励磁コイル15に流れる励磁電流の向き」を制御しているといえる。 d したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。 「前記コマンド入力は、前記コイル電流が前記コイルを通過する方向を制御するパルス波変調(PWM)信号」を含む点。 (キ) 構成Fの観点(制御アルゴリズムについて) a 構成Fは、「前記制御アルゴリズムは、環境変化や経年変化を含む変化に起因する、取り付けられた前記流管アセンブリの変化に応じて前記コマンド入力を電流プロファイルの関数として制御するように構成され[る]」ことである。 b 引用発明においては、「励磁コイル15」が「絶縁劣化している場合」に「励磁コイル15」の「抵抗値は減少」するところ、引用発明における「絶縁劣化」は、本件補正発明における「経年変化」に相当する。 c また、「励磁コイル15」の「抵抗値」の「減少」は、「励磁コイル15」と「直列回路」を構成する「電流検出抵抗110に流れる電流量」に影響を与えることから、引用発明においては、制御アルゴリズム(前記(オ)cを参照)が、「抵抗値」の「減少」に応じて「電流検出抵抗110を流れる電流量が一定になるようにPWM信号のON/OFF時間」(すなわち「オンオフの時間比/デューティ比」)を「制御」していることは明らかである。 d また、例えば本件補正後の請求項6に「前記電流プロファイルは、振幅、周波数、波形、及びオーバーシュートのうちの少なくとも1つを含む」と記載されていることを踏まえると、本件補正発明における「電流プロファイル」とは(所望の)電流特性の意味であると解釈するのが相当であり、引用発明における「一定になるよう」「制御」される「電流量」は、本件補正発明における「電流プロファイル」に相当する。 e さらに、前記cにおいて検討したとおり、引用発明においては「励磁コイル15」の「絶縁劣化」による「抵抗値」の「減少」に応じて、「電流検出抵抗110を流れる電流量が一定になるよう」「PWM信号のON/OFF時間」を「制御」しているところ、このことは、制御アルゴリズムが「一定」とする「電流量」(電流プロファイル)を入力として、これに対応する「PWM信号」(コマンド入力)を出力する関数により「制御」を行っているともいえる。 f そうすると、引用発明において、「励磁コイル15」が「絶縁劣化している場合」に、制御アルゴリズムが「電流検出抵抗110を流れる電流量が一定になるようにPWM信号のON/OFF時間」を「制御」することは、本件補正発明において、「制御アルゴリズム」が「環境変化や経年変化を含む変化に起因する、取り付けられた前記流管アセンブリの変化に応じて前記コマンド入力を電流プロファイルの関数として制御する」ことに相当する。 g したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。 「前記制御アルゴリズムは、環境変化や経年変化を含む変化に起因する、取り付けられた前記流管アセンブリの変化に応じて前記コマンド入力を電流プロファイルの関数として制御するように構成され[る]」点。 (ク) 構成Gの観点(インピーダンス特定アルゴリズムについて) a 構成Gは、「前記デジタル制御回路は、前記コイルのインピーダンスを特定するように構成されたインピーダンス特定アルゴリズムを含[む]」ことである。 b 引用発明においては、「CPU19」の「抵抗値演算部19a」が、「電流供給部101の電圧値VEXと、PWM信号のデューティ比に基づき」、「励磁コイル15に印加している電圧の平均値VEXaveを求め」、「電流検出抵抗110を介して取得した電流値IEXと、電圧の平均値VEXaveを用い」、「励磁コイル15の抵抗値Rcoilを求め」ている。 c また、引用発明においては、「CPU19」の「抵抗値演算部19a」が前記bに示した演算を実行するアルゴリズム(以下、「抵抗値演算アルゴリズム」という。)を有していることは明らかである。 d そして、前記(オ)b(d)において検討したとおり、引用発明における「CPU19」は、本件補正発明における「デジタル制御回路」に相当することから、引用発明において「CPU19」の「抵抗値演算部19a」が「励磁コイル15の抵抗値Rcoilを求め」ることは、本件補正発明と「デジタル制御回路」が「コイル」の「インピーダンス」の実部を「特定するように構成されたアルゴリズムを含[む]」点において共通する。 e 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Gの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。 (a) 構成Gの観点における一致点 「前記デジタル制御回路は、前記コイルのインピーダンスの実部を特定するように構成されたアルゴリズムを含[む]」点。 (b) 構成Gの観点における相違点 本件補正発明においては、 「前記デジタル制御回路は、前記コイルのインピーダンスを特定するように構成されたインピーダンス特定アルゴリズムを含[む]」のに対して、 引用発明においては、 「CPU19」が、「励磁コイル15」の「抵抗値Rcoil」(インピーダンスの実部)を特定するように構成された抵抗値演算アルゴリズムを含むが、抵抗値演算アルゴリズムが「励磁コイル15」の「インピーダンスを特定するように構成されたインピーダンス特定アルゴリズム」である点は特定されていない点。 (ケ) 構成Hの観点(コマンド入力について) a 構成Hは、「前記コマンド入力は、前記特定されたインピーダンスの関数であ[る]」ことである。 b 引用発明は、本件補正発明の構成Hに相当する構成を備えていないから、本件補正発明と引用発明は、次の点において相違する。 本件補正発明においては、 「前記コマンド入力は、前記特定されたインピーダンスの関数であ[る]」のに対して、 引用発明においては、 この点が特定されていない点。 (コ) 構成Iの観点(インピーダンス特定アルゴリズムについて) a 構成Iは、「前記インピーダンス特定アルゴリズムは、前記コイルのインピーダンスの特定に使用するために、前記コイルを流れる電流に関連する電流フィードバック信号を受け取り、特定された前記コイルのインピーダンスに基づいて、前記制御アルゴリズムのパラメータを応答的に制御する」ことである。 b 前記(ク)において検討したとおり、引用発明においては、「CPU19」の抵抗値演算アルゴリズムが、「励磁コイル15の抵抗値Rcoilを求め」るために、「電流検出抵抗110を介して」「電流値IEX」を「取得」しているところ、このことは、本件補正発明において「インピーダンス特定アルゴリズム」が「コイル」のインピーダンスの実部の特定に使用するために、「前記コイルを流れる電流に関連する電流フィードバック信号を受け取[る]」点において共通する。 c また、引用発明における「PWM信号のON/OFF時間」は、制御アルゴリズムの制御により調整されるパラメータであることから、本件補正発明における「制御アルゴリズムのパラメータ」に相当する。 d そして、引用発明において、「CPU19」の制御アルゴリズムが「検出され」た「電流検出抵抗110を流れる電流量」が一定になるよう「PWM信号のON/OFF時間」を「制御」することは、本件補正発明と「制御アルゴリズムのパラメータを応答的に制御する」点において共通する。 e 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成Iの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。 (a) 構成Iの観点における一致点 「前記コイル」のインピーダンスの実部の特定に使用するために、「前記コイルを流れる電流に関連する電流フィードバック信号を受け取り、前記制御アルゴリズムのパラメータを応答的に制御する」点。 (b) 構成Iの観点における相違点 本件補正発明においては、 「インピーダンス特定アルゴリズム」が「コイルのインピーダンスの特定に使用するために、前記コイルを流れる電流に関連する電流フィードバック信号を受け取り」、「特定された前記コイルのインピーダンスに基づいて、前記制御アルゴリズムのパラメータを応答的に制御する」のに対して、 引用発明においては、 「CPU19」の抵抗値演算アルゴリズムが「励磁コイル15」の「抵抗値Rcoil」(インピーダンスの実部)を特定するために「電流値IEX」を「取得」しているが、「コイルのインピーダンスの特定に使用するため」に「電流値IEX」を「取得」する点は特定されておらず、 「CPU19」の制御アルゴリズムが「検出され」た「電流検出抵抗110を流れる電流量」に基づいて「PWM信号のON/OFF時間」を「制御」しているが、当該「制御」のアルゴリズムがインピーダンス特定アルゴリズムではなく、また、「制御」が特定された前記コイルのインピーダンスに基づくものでない点。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。 (ア) 一致点 「流体の流れを測定するための磁気流量計であって、 前記流れを受け取る流管アセンブリであって、前記流体中に流量を表す起電力を発生させる磁場を生成するコイル電流を受け取るためのコイルワイヤを有するコイルを有する、流管アセンブリと、 前記起電力を検知して、前記流量を示す出力を生成するように構成された起電力センサと、 コマンド入力に応答して前記コイルの前記コイルワイヤにコイル電流を供給するように構成された電流供給回路と、 制御アルゴリズムの関数として前記電流供給回路に前記コマンド入力を供給するデジタル制御回路と、 を備え、 前記コマンド入力は、前記コイル電流が前記コイルを通過する方向を制御するパルス波変調(PWM)信号を含み、 前記制御アルゴリズムは、環境変化や経年変化を含む変化に起因する、取り付けられた前記流管アセンブリの変化に応じて前記コマンド入力を電流プロファイルの関数として制御するように構成され、 前記デジタル制御回路は、前記コイルのインピーダンスの実部を特定するように構成されたアルゴリズムを含み、 前記アルゴリズムは、前記コイルのインピーダンスの実部の特定に使用するために、前記コイルを流れる電流に関連する電流フィードバック信号を受け取り、 前記制御アルゴリズムのパラメータを応答的に制御する、 磁気流量計。」 である点。 (イ) 相違点 a 相違点1(コイルワイヤの数) 本件補正発明においては、 「コイルワイヤ」が「第1及び第2のコイルワイヤ」であるのに対して、 引用発明においては、 この点が明らかでない点。 b 相違点2(パラメータの応答的制御) 本件補正発明においては、 「前記デジタル制御回路は、前記コイルのインピーダンスを特定するように構成されたインピーダンス特定アルゴリズムを含み」、 「インピーダンス特定アルゴリズム」が、「コイルのインピーダンスの特定に使用するために、前記コイルを流れる電流に関連する電流フィードバック信号を受け取り、特定された前記コイルのインピーダンスに基づいて、前記制御アルゴリズムのパラメータを応答的に制御[し]」、 「前記コマンド入力は、前記特定されたインピーダンスの関数であ[る]」のに対して、 引用発明においては、 「CPU19」が、「励磁コイル15」の「抵抗値Rcoil」を特定するように構成された抵抗値演算アルゴリズムを含むが、抵抗値演算アルゴリズムが「励磁コイル15」のインピーダンスを特定する点は特定されておらず、 「CPU19」の抵抗値演算アルゴリズムが、「励磁コイル15」の「抵抗値Rcoil」を特定するために「電流値IEX」を「取得」しているが、「コイルのインピーダンスの特定に使用するため」に「電流値IEX」を「取得」する点は特定されておらず、 「CPU19」の制御アルゴリズムが「検出され」た「電流検出抵抗110を流れる電流量」に基づいて「PWM信号のON/OFF時間」を「制御」しているが、当該「制御」のアルゴリズムがインピーダンス特定アルゴリズムではなく、また、「制御」が特定された前記コイルのインピーダンスに基づくものでなく、 「PWM信号」が、「励磁コイル15」のインピーダンスの関数である点は特定されていない点。 (5) 判断 ア 相違点1(コイルワイヤの数)について (ア) 「電磁式流量計において、流管に設けるコイルを2つのコイルによって構成すること」は、当業者にとって周知技術である(前記周知技術1を参照)。 (イ) そうすると、引用発明において、磁界の均一性や対称性を向上させるために、引用発明の「励磁コイル15」に前記周知技術1を適用し、前記相違点1に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 相違点2(パラメータの応答的制御)について (ア) 引用発明においては、「励磁コイル15」の「抵抗値」の「減少」が「励磁コイル15」と「直列回路」を構成する「電流検出抵抗110に流れる電流量」に影響を与えるところ、「電流検出抵抗110を介して」「電流値IEX」を「取得」して、「抵抗値」の「減少」に応じて「電流検出抵抗110を流れる電流量が一定になるようにPWM信号のON/OFF時間」を「制御」している(前記ア(キ)c、(コ)bを参照)。 (イ) 一方、引用文献3には、次の引用文献3技術事項が記載されている。 「電磁流量計において、励磁コイルを所望の電流特性で駆動するときに、特定したコイル抵抗及びコイルインダクタンスに応じて、PWM信号のデューティ比等のパラメータを制御すること。」 (ウ) そして、コイル抵抗及びコイルインダクタンスが電流の流れにくさを表す量であることを踏まえれば、引用発明のように電流値に基づいてPWM信号を制御する構成と、引用文献3技術事項のようにコイル抵抗及びコイルインダクタンスに基づいてPWM信号を制御する構成が、所望の電流特性を得るためにPWM制御を行う具体的構成として、適宜選択、置換が可能であることは当業者にとって明らかである。 (エ) さらに、一般にコイル抵抗及びコイルインダクタンスは電流と電圧から特定可能であるところ、引用発明においては、「CPU19」の「抵抗値演算部19a」が、電流と電圧に基づき「励磁コイル15」のインピーダンスの実部である「抵抗値Rcoilを求め」ていることから、引用文献3技術事項を採用する契機はあるというべきである。 (オ) また、コイル抵抗及びコイルインダクタンスを、コイルのインピーダンスとして一体的に扱うことは常套手段である。 (カ) そうすると、引用発明に引用文献3技術事項を適用するにあたり、制御に用いる物理量としてコイルのインピーダンスを選択し、引用発明において、「PWM信号のON/OFF時間」(制御アルゴリズムのパラメータ)を、「電流検出抵抗110を流れる電流量」に応じて制御することに代えて、「励磁コイル15」のインピーダンスを特定し、これに応じて制御するよう構成することは、当業者が適宜なし得ることである。 (キ) この際、「PWM信号」(コマンド入力)は「励磁コイル15」のインピーダンスに応じて制御(決定)されるのであるから、「PWM信号」(コマンド入力)は特定されたインピーダンスの関数であるといえる。 (ク) また、「励磁コイル15」のインピーダンスの特定や、インピーダンスに応じた制御を、「CPU19」のアルゴリズムにより実現する構成とすることは、当業者にとって自明の設計事項にすぎない。 (ケ) したがって、引用発明において、前記相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 ウ 総合評価 前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、引用文献3技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1、2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献3技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 請求人の主張について (ア) 請求人の主張内容 請求人は、審判請求書において、以下のように主張している。 a 引用文献2には、環境変化や経年変化を含む変化に起因する、取り付けられた流管アセンブリの変化に応じて適応制御を行うこと(構成Fに対応)は記載も示唆もされていない。引用文献2のPWMは、環境変化や経年変化を含む変化に起因する、取り付けられた流管アセンブリの変化に応じてPWMを制御するものではなく、これを示唆するような記載や、環境変化や経変変化等に起因する流管アセンブリの変化に対応しないことの問題等を提示するものでもない。 b 引用文献3も、環境変化や経年変化を含む変化に起因する、取り付けられた流管アセンブリの変化に応じてコマンド入力を電流プロファイルの関数として制御すること(構成Fに対応)を開示も示唆もしていない。引用文献3にも、流管の環境変化や経年変化に関する記載は一切存在しない。 c したがって、引用文献2、3のいずれにも、本件補正発明の特徴は開示も示唆もされておらず、引用文献2、3の組み合わせから本件補正発明が容易に想到可能と結論することには無理がある。 (イ) 請求人の主張についての検討 a 請求人の主張について検討すると、本件補正発明の構成Fである「前記制御アルゴリズムは、環境変化や経年変化を含む変化に起因する、取り付けられた前記流管アセンブリの変化に応じて前記コマンド入力を電流プロファイルの関数として制御するように構成され[る]」の「環境変化や経年変化を含む」なる記載は、その直後の「変化」を修飾していると解釈するのが相当である。 b そうすると、本件補正発明には、「環境変化」に「起因する、取り付けられた前記流管アセンブリの変化に応じて前記コマンド入力を電流プロファイルの関数として制御する」ものが含まれている。 c そして、前記(4)ア(キ)において説示したとおり、引用発明における「絶縁劣化」は本件補正発明における「経年変化」に相当するから、構成Fは引用文献2に記載された事項である。 d また、仮に本件補正発明の構成Fが「環境変化」及び「経年変化」に「起因する、取り付けられた前記流管アセンブリの変化に応じて前記コマンド入力を電流プロファイルの関数として制御する」ことを意味していると善解したとしても、例えば温度変化等の環境変化によってコイルを含む流管アセンブリの電気抵抗が変化すること自体、引用文献3(【0028】、【0048】)に記載されているように、本願の優先日前に知られている。 e そうすると、引用発明においても、例えば温度変化する環境において「電磁流量計」を配置し、当該環境変化を考慮した制御を行うことは当業者が容易に想到し得るものであり、仮に前記dのように解釈したとしても、請求人の主張は、前記ウの結論を左右するものではない。 f したがって、請求人の主張は採用することができない。 オ 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献3技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。 4 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記3(5)オのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由である理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、その優先日前に発行された下記の引用文献2に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献2.特開2016-169962号公報(主たる引用文献) 3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等 引用文献2に記載された事項及び引用発明は、前記第2の3(2)ア及び3(2)ウにおいて示したとおりである。 また、周知技術1は、前記第2の3(3)ウにおいて示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、本件補正発明から、前記第2の2(1)のアからオに示した限定等を省いたものである。 そして、前記第2の3(4)及び(5)における対比及び判断を踏まえると、本願発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであることは明らかである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-011660

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