特許拒絶査定不服審判
2025-003961
流量スイッチ、およびそれを用いた電動ポンプ
- 審判番号
- 2025-003961
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-056467
- 請求日
- 2025年03月12日
- 審決日
- 2026年06月04日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】鎌田 健司
- 【請求人代理人】廣田 智之
- 審判長/審判官
- 審判長 後藤 亮治
- 審判官 谷垣 圭二
- 審判官 三笠 雄司
- 分類
- P18 .121-Z (G01F) / P18 .575-Z (G01F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 56467「流量スイッチ、およびそれを用いた電動ポンプ」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月13日出願公開、特開2022-153773〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年3月30日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和6年 7月22日付け:拒絶理由通知書
同年 9月27日 :意見書、手続補正書の提出
同年12月12日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月17日 :原査定の謄本の送達)
令和7年 3月12日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和7年3月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年3月12日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和7年3月12日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正を含むものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年9月27日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「【請求項1】
リードスイッチを内部に備えたベース部と、
前記ベース部に接続固定され、内側に流路を形成するように環状に設けられたパドルケースと、
前記パドルケースの内側の前記流路部分に回動可能に保持されたパドルとを有し、
前記パドルは、
前記パドルケースに保持され、回動中心軸となるパドル回転軸と、
前記流路を遮るように設けられる水受け部と、
前記リードスイッチを起動させるスイッチ起動手段を内包するスイッチ保持部と、
前記パドル回転軸に固定され、前記水受け部が前記流路を閉じる側に付勢するスプリングとを有し、
前記スイッチ保持部は、前記水受け部の回動により、前記パドルケースから突出した位置と、前記パドルケース内を行き来するよう移動し、
前記水受け部を前記パドル回転軸より下方に、前記スイッチ保持部を前記パドル回転軸より上方に配置し、
前記水受け部が前記流路を閉じた状態において、前記水受け部と前記スイッチ保持部の重力は前記流路を閉じる方向に働くことを特徴とする流量スイッチ。」
(2) 本件補正後
「【請求項1】
リードスイッチを内部に備えたベース部と、
前記ベース部に接続固定され、内側に流路を形成するように環状に設けられたパドルケースと、
前記パドルケースの内側の前記流路部分に回動可能に保持されたパドルとを有し、
前記パドルは、
前記パドルケースに保持され、回動中心軸となるパドル回転軸と、
前記流路を遮るように設けられる水受け部と、
前記リードスイッチを起動させるスイッチ起動手段を内包するスイッチ保持部と、
前記パドル回転軸に固定され、前記水受け部が前記流路を閉じる側に付勢するスプリングとを有し、
前記スイッチ保持部は、前記水受け部の回動により、前記パドルケースから突出した位置と、前記パドルケース内を行き来するよう移動し、
前記水受け部を前記パドル回転軸より下方に、前記スイッチ保持部を前記パドル回転軸より上方に配置し、
前記水受け部が前記流路を閉じた状態において、前記水受け部と前記スイッチ保持部とマグネットである前記スイッチ起動手段の重力は前記流路を閉じる方向に働くことを特徴とする流量スイッチ。」
2 補正の目的
本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された「流路を閉じる方向に働く」「重力」について、「水受け部」と「スイッチ保持部」の重力に加えて、「マグネットである前記スイッチ起動手段」の重力も働くことを限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
3 独立特許要件の判断
本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に示した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成E(枝番含む)までに分説する。また、参考図として、本願の【図3】及び【図5】に部材名を記入し抜粋したものを掲載する。
<本件補正発明の分説>
A リードスイッチを内部に備えたベース部と、
B 前記ベース部に接続固定され、内側に流路を形成するように環状に設けられたパドルケースと、
C 前記パドルケースの内側の前記流路部分に回動可能に保持されたパドルとを有し、
C0 前記パドルは、
C1 前記パドルケースに保持され、回動中心軸となるパドル回転軸と、
C2 前記流路を遮るように設けられる水受け部と、
C3 前記リードスイッチを起動させるスイッチ起動手段を内包するスイッチ保持部と、
C4 前記パドル回転軸に固定され、前記水受け部が前記流路を閉じる側に付勢するスプリングとを有し、
D 前記スイッチ保持部は、前記水受け部の回動により、前記パドルケースから突出した位置と、前記パドルケース内を行き来するよう移動し、
E 前記水受け部を前記パドル回転軸より下方に、前記スイッチ保持部を前記パドル回転軸より上方に配置し、前記水受け部が前記流路を閉じた状態において、前記水受け部と前記スイッチ保持部とマグネットである前記スイッチ起動手段の重力は前記流路を閉じる方向に働く
X ことを特徴とする流量スイッチ。
<参考図>
【図3】
[図:0001437990000001.jpg]
【図5】
[図:0001437990000002.jpg]
イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、流量スイッチと流量スイッチを用いて起動する電動ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の流量スイッチ104は、下記の手順1~6を繰り返すことにより、スイッチングをしている。図8を参照しながら説明する。
…(中略)…
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような流量スイッチにおいては、スイッチ起動手段としてマグネットが使用されており、水に含まれている鉄分などの異物がパドルの保持部に付着する。スイッチ起動手段に大量の異物が付着すると、見かけのパドル体積が増加し、付着した異物によってパドルがパドルケースに引っかかり、パドルが開閉しなくなる(以下パドルスタックという)。また、パドルに異物が付着すると、パドルと付着物とで成る可動部の重さが大きくなり、パドルの動きが悪くなり、ポンプの起動に影響がある。」
「【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パドルスタック及び、パドル質量の変化を抑制することができ、流量スイッチの誤作動を抑制し、より品質の良いポンプを提供することができる。」
「【0024】
パドル17は、後述するように流路を流れる水流40が水受け部30に圧力をかけることによって、回動する構造である。すなわち、流路に水流40がない時、水受け部30によって流路は閉じられ(図3、図6の状態)、他端側のスイッチ保持部32は、パドルケース16から突出する位置となる。一方、流路に水流40がある場合には、水受け部30を開けて流路が通じることになり、他端側のスイッチ保持部32は、パドルケース16内に位置し、基板19に備えたリードスイッチ20に近づくことになる(図7の状態)。」
「【図3】
[図:0001437990000003.jpg]
」
「【図6】
[図:0001437990000004.jpg]
」
「【図7】
[図:0001437990000005.jpg]
」
「【0028】
スイッチ起動手段21を内包したスイッチ保持部32は流路内に位置しており、スイッチ起動手段21の磁力により、水流40に含まれている鉄分などの異物がスイッチ保持部32に付着してしまう。しかし、スイッチ保持部32は、上述のとおり、水流40のON/OFFによりパドルケース16内に入ったり、パドルケース16から出たりして行き来する。このスイッチ保持部32の出入りの動作により、パドルケース16の壁面とスイッチ保持部32に付着した異物とが擦れ合って異物が剥がれることになる。すなわち、スイッチ保持部32は、パドルケース16のU字形状の長手方向(直線部)の壁面に沿って回動する。そのため、流路が開いているとき、すなわち、パドルケース16からスイッチ保持部32が突出した状態でスイッチ保持部32に付着した異物は、流路が閉じるとき、すなわち、スイッチ保持部32がパドルケース16内に移動する際、パドルケース16の壁面に擦るようにして剥がれていくのである。」
(2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2020-106286号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記イの事項の認定及び後記ウの引用発明の認定で用いた記載に下線を付した。)
(ア) 【0001】~【0011】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、流量スイッチまたは流量スイッチ付き電動ポンプに関するものである。
…(中略)…
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水流に対するパドルの水受け部の表面積を大きくすることで、水受け部が水から受ける力を効率よくパドルを開く力に変換することができるため、少流量でも 鋭敏に反応して起動できる流量スイッチまたは電動ポンプを提供することができる。
【0011】
…(中略)…
【図7】(a)同パドルの側断面の概略図(b)フラットパドルの側断面の概略図
…(後略)…」
(イ) 【0021】~【0037】、【図3】~【図5】
「【0021】
(実施の形態1)
…(中略)…
【0028】
図3に示すように、流量スイッチ6は、ベース12、パドルケーシング13、パドル14およびカバー15で構成されている。」
「【図3】
[図:0001437990000006.jpg]
」
「【0029】
ベース12は基板16を設けている。
【0030】
基板16は、リードスイッチ17を備えており、リードスイッチ17からの信号に基づいて電動ポンプ1をON/OFFする回路を有している。カバー15はベース12に固定される。
【0031】
パドルケーシング13はベース12に固定される。
【0032】
図4に示すように、パドル14は水受け部19とパドル回転軸20および保持部21を備えている。スイッチ起動手段18は、例えばマグネットなどであり、保持部21に固定される。」
「【図4】
[図:0001437990000007.jpg]
」
「【0033】
パドル14はスプリング30を備えている。
【0034】
水受け部19の底面には水受け縁部22が設けられている。
【0035】
パドル14は、パドル回転軸20を介してパドルケーシング13に接続される。
【0036】
図5に示すように、パドルケーシング13は、液体が流れるパドル流路26を有している。パドル流路26の周囲には流路縁部27が設けられる。なお、パドルケーシング13には、パドル回転軸20を挿入する挿入口28が設けられてもよい。」
「【図5】
[図:0001437990000008.jpg]
」
「【0037】
パドル14がパドルケーシング13に接続された状態において、パドル14の水受け部19は、パドルケーシング13のパドル流路26上に配置される。水受け部19は、パドル流路26を流れる液体の下流側に向かって凹むおわん形状を有している。」
(ウ) 【0038】~【0040】、【図6】
「【0038】
電動ポンプ1が起動していない場合であっても、例えば水道の蛇口などを開くことで、パドル流路26と繋がる水道管の水圧を緩和することより、図6に示す水流23を生じることができる。
【0039】
図6に示すように、水受け部19が水流23による力を受けると、パドル14はパドル回転軸20を中心として開く方向に回転する。そして、パドル14に備えられたスイッチ起動手段18がリードスイッチ17に近づくことでリードスイッチ17が起動する。リードスイッチ17の起動信号は基板16を介してモータ2に伝達され、モータ2が起動する。モータ2が起動するとモータ2の動力は回転軸11を介してインペラ7に伝わり、インペラ7が回転する。このようなステップで電動ポンプ1が起動して、水流23を増加することができる。」
「【図6】
[図:0001437990000009.jpg]
」
「【0040】
パドル14はスプリング30により常に閉じる方向に力が付与されている。そのため水道の蛇口などを閉じることで、水流23が減少し、パドル14はパドル回転軸20を中心として閉じる方向に回転する。そして、パドル14に備えられたスイッチ起動手段18がリードスイッチ17から遠ざかることでリードスイッチ17が停止し、電動ポンプ1は停止する。」
(エ) 【0041】~【0043】、【図7】
「【0041】
図7(a)に本実施形態である水受け部19がおわん形状のパドル14 、図7(b)に水受け部29がフラット形状のフラットパドル24を示す。」
「【図7】
[図:0001437990000010.jpg]
」
「【0042】
図7(b)と比較して、本実施形態である図7(a)の方が水流23に対する水受け部19の表面積を増加することができる。このため、水流23から受ける力を効率よくパドル14を開く力に変換することができる。
【0043】
このため、電動ポンプ1が停止している状態において、パドル流路26に流れる流量が少ない場合であっても、流量スイッチ6が鋭敏に反応し起動できるため、品質の良い流量スイッチ6または電動ポンプ1を提供することができる。」
(オ) 【0044】、【図8】
「【0044】
なお、図8に本実施形態の流量スイッチ6の分解斜視図を示しておく。」
「【図8】
[図:0001437990000011.jpg]
」
イ 引用文献1の記載から読み取れる事項の認定
(ア) 前記アに摘記した事項より、次の事項a~dが読み取れる。なお、認定の根拠となる記載箇所等を括弧内に示した。
a 「リードスイッチ17がベース12内部に設けられていること。」(以下「認定事項1」という。)(【0029】~【0030】、【図3】、【図8】)
b 「パドル14の保持部21がスイッチ起動手段18を内包すること。」(以下「認定事項2」という。)(【0011】、【0032】、【図4】、【図7】)
c 「パドル14が備えるスプリング30は、パドル回転軸20に装着されており、パドル14はスプリング30により常に閉じる方向に力が付与されていること。」(以下「認定事項3」という。)(【0040】、【図4】)
d 「パドルケーシング13の内側に設けられているパドル流路26の周囲にある流路縁部27は、略環状であること。」(以下「認定事項4」という。)(【0036】、【図5】)
(イ) 前記ア(ウ)に摘記した【0039】、【0040】及び認定事項2を踏まえて、【図3】及び【図6】をみると、以下の事項が読み取れる。
「パドル14がパドル回転軸20を中心として開く方向と閉じる方向に回転することにより、保持部21が、パドルケーシング13内の位置と、パドルケーシング13から突出した位置との間を移動すること。」(以下「認定事項5」という。)
(ウ) 前記ア(ウ)に摘記した【0039】を踏まえて、【図3】及び【図6】をみると、以下の事項が読み取れる。
「水受け部19が下から上方向への水流23による力を受けるように、水受け部19と保持部21とが、パドル回転軸20を挟んで略水平方向に配置されていること。」(以下「認定事項6」という。)
ウ 引用発明の認定
前記イにおいて認定した事項及び前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、実施の形態1に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「流量スイッチであって、(【0001】)
流量スイッチ6は、ベース12、パドルケーシング13、パドル14およびカバー15で構成され、(【0028】)
ベース12は、リードスイッチ17を備えた基板16を設けており、(【0029】、【0030】)
リードスイッチ17がベース12内部に設けられ、(認定事項1)
パドルケーシング13はベース12に固定され、(【0031】)
パドルケーシング13は、液体が流れるパドル流路26を有し、パドルケーシング13の内側に設けられているパドル流路26の周囲にある流路縁部27は、略環状であり、(【0036】、認定事項4)
パドル14は、水受け部19とパドル回転軸20および保持部21を備え、(【0032】)
パドル14がパドルケーシング13に接続された状態において、パドル14の水受け部19は、パドルケーシング13のパドル流路26上に配置され、(【0037】)
パドル14の保持部21は、マグネットであって、リードスイッチ17に近づくことでリードスイッチ17を起動するスイッチ起動手段18を内包し、(【0032】、【0039】、認定事項2)
パドル14が備えるスプリング30は、パドル回転軸20に装着されており、パドル14はスプリング30により常に閉じる方向に力が付与されており、(認定事項3)
パドル14は、パドル回転軸20を介してパドルケーシング13に接続され、(【0035】)
パドル14がパドル回転軸20を中心として開く方向と閉じる方向に回転することにより、保持部21が、パドルケーシング13内の位置と、パドルケーシング13から突出した位置との間を移動し、(認定事項5)
水受け部19が下から上方向への水流23による力を受けるように、水受け部19と保持部21とが、パドル回転軸20を挟んで略水平方向に配置される、(認定事項6)
流量スイッチ6。」
(3) 引用文献4、5の記載事項及び周知・慣用技術の認定
ア 引用文献4に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開2009-36149号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
「【0013】
図1に示すように、基台12上にモータ14が設置され、このモータ14にポンプ本体16が設置されている。
…(中略)…
【0017】
延長部30の上部には流量スイッチ32が設けられ、この流量スイッチ32のスイング34が延長部30の内部に配置され、管状の延長部30の内部を流れる水によって回動する。スイング34にはマグネットが取り付けられている。」
「【0035】
次に、ポンプ本体16が運転しているため、気水分離室28を通った水流により流量スイッチ32内のスイング34が回動して上昇し、スイング34内のマグネットにより、流量スイッチ32内の上部にあるリードスイッチ33がONし、ソレノイドコイル61に電流が流れる。すると、基台12上にあるパワーリレー回路60のリレースイッチ62もONになる。
【0036】
次に、ユーザが蛇口を絞るとアキュムレータ38内の圧力が上昇し、圧力スイッチ36はOFFするが、流量スイッチ32がONしたままであるため、モータ14は運転を続ける。
【0037】
次に、ユーザが蛇口をさらに閉じていくと、延長部30内の水量が減り、スイング34の自重によりマグネットが沈降し、流量スイッチ32がOFFし、パワーリレー回路がOFFして、ポンプ本体16が停止する。」
「【図1】
[図:0001437990000012.jpg]
」
イ 引用文献5に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である実願昭52-173175号(実開昭54-97138号)のマイクロフィルム(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。
「3 考案の詳細な説明
本考案は瞬間式の湯沸器に用いられ、その開閉でバーナの燃焼を制御する水流検知装置の構成に係わり、目的とする所は検知感度を向上させ、少流量の水流であつても敏感に流水を検出しうるようにした点にあり、以下図示の一実施例に基づき具体的に説明する。
(1)は熱交換器(図示せず)の給水側或るいは給湯側の水路であり、この水路(1)には検知室(2)を介設し、当該検知室(2)内には水路(1)の流入口(3)と対向して圧受部(4)を支点(5)中心に回動自在に設け、圧受部(4)の他端にはマグネット(6)を取着してある。(7)は検知室(2)外に装着した磁気近接スイッチであり、スイッチ(7)はバーナ等の制御回路に挿入されるものである。
又、水路(1)の流入口(3)は検知室(2)内へ若干突出せしめてあり、圧受部(4)は凹設して当該流入口(3)を嵌合すべくキャップ状に形成してある。
本考案は以上の構成よりなり、常時圧受部(4)はマグネット(6)の自重により反時計方向に回転力を与えられて流入口(3)に当接して、流入口(3)を嵌合閉塞せしめている。そこで水路(1)に水を流すと圧受部(4)が流水圧を受けて支点(5)中心に時計方向に回転せられ、マグネット(6)も移動して磁気近接スイッチ(7)を閉成し、例えばバーナを駆動せしめるのである。」
「図面
[図:0001437990000013.jpg]
」
ウ 周知・慣用技術1及び2の認定
前記ア、イに摘記した引用文献4、5の記載事項に例示されるように、以下の技術事項はいずれも、流量スイッチの技術分野における周知・慣用の技術であったと認められる。(以下それぞれ「周知・慣用技術1」、「周知・慣用技術2」という。)
<周知・慣用技術1>
「スイッチをオン/オフするマグネットと受圧部材を有し、水流により回動する流量スイッチを、水平方向の水流に対して適用すること、及び、その際、受圧部材及びマグネットが上下方向に変位すること。」
<周知・慣用技術2>
「水流により上下方向に変位した周知・慣用技術1の流量スイッチに対して、マグネットを含む流量スイッチの自重が流路を閉塞する方向に働くようにすること。」
(4) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Xの観点(流量スイッチ)
「流量スイッチ」の発明である本件補正発明と「流量スイッチ6」の発明である引用発明は、「流量スイッチ」の発明である点において一致する。
(イ) 構成Aの観点(リードスイッチ、ベース部について)
a 構成Aは、「リードスイッチを内部に備えたベース部」を有することである。
b 引用発明の「リードスイッチ17」は、本件補正発明の「リードスイッチ」に相当する。
c 引用発明における「ベース12」は、「リードスイッチ17」が「内部」に「設けられ[る]」ものであるから、本件補正発明の「リードスイッチを内部に備えたベース部」に相当する。
d したがって、本件補正発明と引用発明は、「リードスイッチを内部に備えたベース部」を有する点において一致する。
(ウ) 構成Bの観点(パドルケースについて)
a 構成Bは、「前記ベース部に接続固定され、内側に流路を形成するように環状に設けられたパドルケース」を有することである。
b 引用発明の「パドルケーシング13」及び「パドル流路26」は、それぞれ本件補正発明の「パドルケース」及び「流路」に相当する。
c 引用発明における「パドルケーシング13」は「ベース12に固定され[る]」ものであり、「パドルケーシング13」と「ベース12」が「接続」された状態であることは明らかであるから、引用発明の「パドルケーシング13」は、「ベース12」に「接続固定」されたものといえる。
d また、引用発明において、「流路縁部27」は「略環状」であり、「パドルケーシング13」の「内側」に設けられているところ、当該「略環状」の「流路縁部27」により「パドル流路26」が形成されているから、引用発明の「パドルケーシング13」は、本件補正発明における「内側に流路を形成するように環状に設けられた」構成といえる。
e したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記ベース部に接続固定され、内側に流路を形成するように環状に設けられたパドルケース」を有する点において一致する。
(エ) 構成Cの観点(パドルについて)
a 構成Cは、「前記パドルケースの内側の前記流路部分に回動可能に保持されたパドル」を有することである。
b 引用発明において、「パドル14」は、「パドル回転軸20を介してパドルケーシング13に接続され」るものであり、「パドル14」の「水受け部19」は「パドルケーシング13のパドル流路26上に配置され」ているところ、引用発明の「パドル14」は、「パドルケーシング13」の内側にある「パドル流路26」に対応する部分に支持された状態にあるから、本件補正発明における「前記パドルケースの内側の前記流路部分に」「保持された」構成といえる。
c また、引用発明は、「パドル14がパドル回転軸20を中心として開く方向と閉じる方向に回転する」ことから、引用発明における「パドル回転軸20」を中心とした「回転」は、本件補正発明にいう「回動」に相当し、引用発明の「パドル14」は「回動可能」なものといえる。
d したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記パドルケースの内側の前記流路部分に回動可能に保持されたパドル」を有する点において一致する。
(オ) 構成C0~C4の観点(パドルが有する構成について)
a 構成C0について
(a) 構成C0は、「前記パドルは、」として、後記構成C1~C4に列挙される各構成を有することを示すものである。
(b) そして、引用発明において、「パドル14」は、「パドル回転軸20」、「水受け部19」、「保持部21」及び「スプリング30」を備えるものである。
b 構成C1(パドル回転軸)について
(a) 前記(エ)bにて示したように、引用発明において、「パドル14」は「パドル回転軸20」を介して「パドルケーシング13」に支持される態様で設けられているから、「パドル回転軸20」は「パドルケーシング13」に保持されたものといえる。
(b) また、前記(エ)cにて示したとおり、引用発明における「パドル回転軸20」を中心とした「回転」は、本件補正発明にいう「回動」に相当するから、引用発明の「パドル回転軸20」は、「パドル14」の「回動」の中心となる軸、すなわち、本件補正発明にいう「回動中心軸」に相当する。
(c) したがって、引用発明の「パドル回転軸20」は、本件補正発明の「前記パドルケースに保持され、回動中心軸となるパドル回転軸」に相当する。
c 構成C2(水受け部)について
引用発明の「水受け部19」は、「パドルケーシング13のパドル流路26上に配置され」、「水流23による力を受ける」ものであるところ、「パドル流路26」を遮るように設けられたものであることは明らかであるから、本件補正発明の「前記流路を遮るように設けられる水受け部」に相当する。
d 構成C3(スイッチ保持部)について
引用発明における「スイッチ起動手段18」は、「リードスイッチ17に近づくことでリードスイッチ17が起動」するものであり、「保持部21」は「スイッチ起動手段18を内包」するものであるから、引用発明の「保持部21」は、本件補正発明の「前記リードスイッチを起動させるスイッチ起動手段を内包するスイッチ保持部」に相当する。
e 構成C4(スプリング)について
(a) 引用発明において、「パドル14はスプリング30により常に閉じる方向に力が付与され」るものであり、また、引用発明の「水受け部19」は「パドル14」の一部であって、「パドル流路26」上に配置されるものであるから、当該「スプリング30」は、「水受け部19」が「パドル流路26」を閉じる側に付勢するものといえる。
(b) そして、引用発明の「スプリング30」は「パドル回転軸20に装着されて」、「パドル14はスプリング30により常に閉じる方向に力が付与され」ており、「パドル回転軸20」の軸回りに回転することは許容されているものの、他の場所への移動は規制されていることから、引用発明の「スプリング30」は「パドル回転軸20」に「固定」されているものといえる。
(c) したがって、引用発明の「スプリング30」は、「前記パドル回転軸に固定され、前記水受け部が前記流路を閉じる側に付勢するスプリング」に相当する。
f 前記a~eの検討から、本件補正発明と引用発明の構成C0~C4の観点における一致点は、以下のとおりである。
「前記パドルは、
前記パドルケースに保持され、回動中心軸となるパドル回転軸と、
前記流路を遮るように設けられる水受け部と、
前記リードスイッチを起動させるスイッチ起動手段を内包するスイッチ保持部と、
前記パドル回転軸に固定され、前記水受け部が前記流路を閉じる側に付勢するスプリングとを有し」ている点。
(カ) 構成Dの観点(スイッチ保持部の移動について)
a 構成Dは、「前記スイッチ保持部は、前記水受け部の回動により、前記パドルケースから突出した位置と、前記パドルケース内を行き来するよう移動」するものである。
b 引用発明は、「パドル14がパドル回転軸20を中心として開く方向と閉じる方向に回転することにより、保持部21が、パドルケーシング13内の位置と、パドルケーシング13から突出した位置との間を移動」するものであるが、「水受け部19」及び「保持部21」は「パドル14」の一部であって、前記(エ)cにて示したとおり、「パドル14」は「回動」するものといえるから、引用発明において、「保持部21」は「水受け部19」の「回動」により「移動する」ものといえる。
c また、引用発明の「保持部21」は、「パドル14」の開閉に応じて、「パドルケーシング13から突出した位置」と「パドルケーシング13内の位置」との間を移動するものであるから、それらの位置を「行き来するよう」移動するものにほかならない。
d したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記スイッチ保持部は、前記水受け部の回動により、前記パドルケースから突出した位置と、前記パドルケース内を行き来するよう移動し、」という点において一致する。
(キ) 構成Eの観点(水受け部とスイッチ保持部の配置、重力の働く方向について)
a 構成Eは「前記水受け部を前記パドル回転軸より下方に、前記スイッチ保持部を前記パドル回転軸より上方に配置し、前記水受け部が前記流路を閉じた状態において、前記水受け部と前記スイッチ保持部とマグネットである前記スイッチ起動手段の重力は前記流路を閉じる方向に働く」ことである。
b 引用発明は、「水受け部19と保持部21とが、パドル回転軸20を挟んで略水平方向に配置される」ものであるが、「水受け部19」を「パドル回転軸20」より「下方」に、「保持部21」を「パドル回転軸20」より「上方」に配置したものではない。
c また、引用発明において、「水受け部19」、「保持部21」及び「マグネット」である「スイッチ起動手段18」の重力が、重力の掛かる方向である下方向に働くことは明らかであるが、「水受け部19」が「パドル流路26」を閉じた状態である図6を参照するに、それぞれの重力が、「パドル流路26」を「閉じる方向」に働くものとはいえない。
d したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において相違する。
本件補正発明が「前記水受け部を前記パドル回転軸より下方に、前記スイッチ保持部を前記パドル回転軸より上方に配置し、前記水受け部が前記流路を閉じた状態において、前記水受け部と前記スイッチ保持部とマグネットである前記スイッチ起動手段の重力は前記流路を閉じる方向に働く」ものであるのに対して、引用発明では、「水受け部19と保持部21とが、パドル回転軸20を挟んで略水平方向に配置され」、「水受け部19」が「パドル流路26」を閉じた状態において、「水受け部19」、「保持部21」及び「マグネット」である「スイッチ起動手段18」の重力が、「パドル流路26」を「閉じる方向」に働くものとはいえない点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。
(ア) 一致点
「リードスイッチを内部に備えたベース部と、
前記ベース部に接続固定され、内側に流路を形成するように環状に設けられたパドルケースと、
前記パドルケースの内側の前記流路部分に回動可能に保持されたパドルとを有し、
前記パドルは、
前記パドルケースに保持され、回動中心軸となるパドル回転軸と、
前記流路を遮るように設けられる水受け部と、
前記リードスイッチを起動させるスイッチ起動手段を内包するスイッチ保持部と、
前記パドル回転軸に固定され、前記水受け部が前記流路を閉じる側に付勢するスプリングとを有し、
前記スイッチ保持部は、前記水受け部の回動により、前記パドルケースから突出した位置と、前記パドルケース内を行き来するよう移動する、
流量スイッチ」である点。
(イ) 相違点
本件補正発明が、「前記水受け部を前記パドル回転軸より下方に、前記スイッチ保持部を前記パドル回転軸より上方に配置し、前記水受け部が前記流路を閉じた状態において、前記水受け部と前記スイッチ保持部とマグネットである前記スイッチ起動手段の重力は前記流路を閉じる方向に働く」ものであるのに対して、
引用発明は、「水受け部19と保持部21とが、パドル回転軸20を挟んで略水平方向に配置され」、「水受け部19」が「パドル流路26」を閉じた状態において、「水受け部19」、「保持部21」及び「マグネット」である「スイッチ起動手段18」の重力が、「パドル流路26」を「閉じる方向」に働くものとはいえない点。
(5) 判断
ア 前記相違点について検討する。
(ア) 引用発明では「下から上方向への水流23」に対して「流量スイッチ6」を適用しているものの、引用文献1において、流量スイッチ6が適用される水流に関し、上下方向の水流に限定されるとの記載はなく、流量スイッチ6は、上下方向以外の任意の方向の水流に対しても適用可能なものと解される。
(イ) そして、前記(3)ウにおいて周知・慣用技術1として認定したとおり、「スイッチをオン/オフするマグネットと受圧部材を有し、水流により回動する流量スイッチを、水平方向の水流に対して適用すること、及び、その際、受圧部材及びマグネットが上下方向に変位すること。」は、流量スイッチの技術分野において周知・慣用技術である。
(ウ) また、前記(3)ウにおいて周知・慣用技術2として認定したとおり、「水流により上下方向に変位した周知・慣用技術1の流量スイッチに対して、マグネットを含む流量スイッチの自重が流路を閉塞する方向に働くようにすること。」は、流量スイッチの技術分野において周知・慣用技術である。
(エ) そうすると、前記(ア)及び(イ)より、引用発明の「流量スイッチ6」に適用される水流として、周知・慣用技術1に示された「水平方向」の水流を選択し、その際、「パドル14」及びマグネットである「スイッチ起動手段18」を「上下方向」に変位するように配置することは、当業者が適宜なし得る設計的事項である。かかる配置においては、引用発明の「パドル14」における「水受け部19」、「パドル回転軸20」及び「保持部21」の水流に対する配置関係を踏まえれば、「水受け部19」を「パドル回転軸20」より「下方」に、「保持部21」を「パドル回転軸20」より「上方」に配置したものとなる。
(オ) さらに、前記(ウ)の周知・慣用技術2を踏まえれば、前記(エ)のように「パドル14」を「上下方向」に変位するように配置した場合の具体的態様として、「水受け部19」、「保持部21」及び「マグネット」である「スイッチ起動手段18」の重力が、「パドル流路26」を閉じる方向に働くように構成することも、当業者の通常の創作能力の範囲内のことである。
(カ) 以上のとおり、引用発明において、周知・慣用技術1、2を勘案して、相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 総合評価
前記アにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び周知・慣用技術1、2に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知・慣用技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張内容
請求人は審判請求書において、補正後の請求項1に係る発明の構成によれば、仮にスプリングによって付勢する力が弱くなった場合にも、水受け部とスイッチ保持部とマグネットであるスイッチ起動手段の重力は流路を閉じる方向に働くという効果を有するものである一方、引用文献1にはそのような構成は記載されておらず、引用文献1に示されたものは、スイッチ保持部とマグネットであるスイッチ起動手段の重力は流路を開く方向に働く効果を有するものであるから、本件補正発明は引用文献1から容易に想到し得ない旨主張する。
(イ) 請求人の主張についての検討
請求人の主張は前記相違点に係る構成についてのものであるところ、前記アにおいて示したとおり、引用発明において、周知・慣用技術1を勘案し、「流量スイッチ6」を「水平方向」の水流に適用し、「水受け部19」を「パドル回転軸20」より「下方」に、「保持部21」を「パドル回転軸20」より「上方」に配置したものとすること、さらに、周知・慣用技術2を踏まえ、「水受け部19」と「保持部21」及び「マグネット」である「スイッチ起動手段18」の重力が「パドル流路26」を閉じる方向に働くように構成することは、当業者が容易に想到し得たことであるから、請求人の前記主張は採用できない。
また、請求人が主張する「仮にスプリングによって付勢する力が弱くなった場合にも、水受け部とスイッチ保持部とマグネットであるスイッチ起動手段の重力は流路を閉じる方向に働く」との効果については、本願明細書に記載されたものではなく、採用することはできない。
仮に、請求人主張の効果を参酌して検討したとしても、周知・慣用技術2のとおり、「水流により上下方向に変位した周知・慣用技術1の流量スイッチに対して、マグネットを含む流量スイッチの自重が流路を閉塞する方向に働くようにすること。」こと自体は周知・慣用技術であり、また、引用文献1の【図4】、【図7】に示された「パドル14」の形状をみると、本願同様(本願明細書の【図5】、【図6】参照)に、「水受け部19」と「スイッチ起動手段18」を含む「保持部21」が「パドル回転軸20」を中心として、くの字の形状をなすものであるから、「パドル14」を「上下方向」に沿って配置した場合の効果として、「水受け部19」と「保持部21」とマグネットである「スイッチ起動手段18」の重力が流路を閉じる方向に働くようになることは、当業者が予測し得る範囲のものにとどまる。
以上のとおり、請求人の主張はいずれも採用できない。
エ 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知・慣用技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。
4 本件補正の却下の決定の理由のむすび
前記3(5)エのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に対する拒絶の理由である理由3(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由3(進歩性の欠如) 本願発明は、出願前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
1.特開2020-106286号公報(主たる引用文献)
2.特開昭51-26061号公報(周知技術を示す文献)
3.実願昭51-84279号(実開昭53-3058号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等
引用文献1に記載された事項並びに引用発明及び周知・慣用技術1、2は、前記第2の3(2)ア並びにウ及び同(3)ウにおいて示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明から、「流路を閉じる方向に働く」「重力」について、「マグネットである前記スイッチ起動手段」の重力が働く限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成を全て含み、その構成の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(5)において説示したとおり、引用発明及び周知・慣用技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用発明及び周知・慣用技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-003961