特許拒絶査定不服審判
2022-013781
柔軟な光ファイバリボンの製造方法および光ファイバリボン
- 審判番号
- 2022-013781
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-539075外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月02日
- 審決日
- 2023年09月07日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】プリズミアン ソチエタ ペル アツィオーニ
- 【請求人代理人】森下 賢樹
- 分類
- P18 .121-Z (G02B) / P18 .537-Z (G02B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-539075「柔軟な光ファイバリボンの製造方法および光ファイバリボン」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 7月18日国際公開、WO2019/137628、令和 3年 7月 8日国内公表、特表2021-516769〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)1月15日が国際出願日の出願であって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。
令和3年 1月15日 :手続補正書
同年12月27日付け:拒絶理由通知書
令和4年 3月22日 :意見書、手続補正書
同年 5月20日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月31日 :原査定の謄本の送達)
同年 9月 2日 :審判請求書、手続補正書
第2 令和4年9月2日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年9月2日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正は特許請求の範囲を補正するものであるところ、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
光ファイバリボンの製造方法であって、
縦長の光ファイバアセンブリを与えるために、複数の光ファイバを供給するステップを備え、
前記複数の光ファイバは、互いに平行に隣接して配置され、
前記複数の光ファイバの各々は、中心から周辺に向かって、ガラスコア、ガラスクラッド、第1の被覆、第2の被覆と、一部硬化した第1の硬化性樹脂によって形成された外側層と、を備え、
第2の硬化性樹脂を、ディスペンサから前記光ファイバアセンブリの表面に与えるステップをさらに備え、
前記第2の硬化性樹脂は、前記複数の光ファイバのうち隣接する2本の光ファイバの間に接着を形成するために配置された、直線的に引き延ばされた連続的な複数の滴を形成し、
前記複数の光ファイバの各々に関し、前記第2の硬化性樹脂の滴が与えられた前記光ファイバアセンブリを、前記第2の硬化性樹脂の滴を硬化し、前記外側層の一部硬化した前記第1の硬化性樹脂の硬化を完了するための硬化ステーションに通すステップをさらに備え、
前記複数の滴のうちの2つの連続する滴は、前記第2の硬化性樹脂の移行部によって接続され、
前記移行部は、上から見たときジグザグ状または鋸歯状をなすことを特徴とする製造方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和4年3月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
光ファイバリボンの製造方法であって、
縦長の光ファイバアセンブリを与えるために、複数の光ファイバを供給するステップを備え、
前記複数の光ファイバは、互いに平行に隣接して配置され、
前記複数の光ファイバの各々は、中心から周辺に向かって、ガラスコア、ガラスクラッド、第1の被覆、第2の被覆と、一部硬化した第1の硬化性樹脂によって形成された外側層と、を備え、
第2の硬化性樹脂を、ディスペンサから前記光ファイバアセンブリの表面に与えるステップをさらに備え、
前記第2の硬化性樹脂は、前記複数の光ファイバのうち隣接する2本の光ファイバの間に接着を形成するために配置された、直線的に引き延ばされた連続的な複数の滴を形成し、
前記複数の光ファイバの各々に関し、前記第2の硬化性樹脂の滴が与えられた前記光ファイバアセンブリを、前記第2の硬化性樹脂の滴を硬化し、前記外側層の一部硬化した前記第1の硬化性樹脂の硬化を完了するための硬化ステーションに通すステップをさらに備えることを特徴とする製造方法。」
2 本件補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1における「複数の滴」について、「前記複数の滴のうちの2つの連続する滴は、前記第2の硬化性樹脂の移行部によって接続され、前記移行部は、上から見たときジグザグ状または鋸歯状をなす」との限定を付加するものである。そして、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正後の請求項1には「前記移行部は、上から見たときジグザグ状または鋸歯状をなすこと」と記載されているところ、当該「移行部」は「前記複数の滴のうちの2つの連続する滴」を「接続する」ものであり、そのような「移行部」が「ジグザグ状または鋸歯状をなす」とは、どのような形態を含むのかが不明であるが、本願の明細書等には「ジグザグ状または鋸歯状をなす」ように配置されるものは「滴」であることが定義されている(【0013】)ことを踏まえると、前記記載における「前記移行部」は、「前記滴」の明らかな誤記であると解される。前記の明らかな誤記を正した上で、本件補正発明を上記1(1)に記載された事項により特定されるとおりのものと認定する。
(2)引用文献の記載事項及び引用発明等の認定
ア 引用文献1
(ア)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に発行された特開2016-75746号公報(2016年5月12日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審で付した。以下同じ。)
a 【請求項8】
「【請求項8】
並列した複数の光ファイバ心線を有し、隣り合う該光ファイバ心線間において長手方向に沿って間欠的に連結部と非連結部が形成された間欠型光ファイバテープ心線の製造方法であって、
前記光ファイバ心線の周囲に被覆用樹脂を施すステップと、
前記光ファイバ心線と前記被覆用樹脂との間の単位面積当たりの密着力に比べて前記被覆用樹脂との単位面積当たりの密着力が高い連結用樹脂を、前記被覆用樹脂の周囲に長手方向に沿って間欠的に塗布することにより、前記連結部及び前記非連結部を形成するステップと、
を有する、間欠型光ファイバテープ心線の製造方法。」
b 【0006】~【0012】
「【0006】
また、特許文献4に記載のような間欠型テープ心線の製造方法としては、次の3つの方法が挙げられる。第1の方法は、隣り合う光ファイバ心線間の長手方向に所定長だけ接着性樹脂又は被覆樹脂が付与された連結部と、所定長だけ接着性樹脂又は被覆樹脂が付与されていない非連結部とを交互に形成する方法である。接着性樹脂又は被覆樹脂の付与は塗布により行われる。第2の方法は、複数本の光ファイバ心線の全長に紫外線硬化樹脂を塗布した後、長手方向に間欠的に紫外線(UV)照射を行い、紫外線硬化樹脂の硬化部分(連結部)と未硬化部分(非連結部)とを交互に形成する方法である。第3の方法は、まずテープ心線を形成し、そのテープ心線の共通被覆の長手方向にカッター刃等の樹脂取り除き用部材で切込みを形成し、連結部と非連結部とを交互に形成する方法である。
・・・(略)・・・
【0008】
特許文献1~4に記載のような従来のテープ心線は、一般的に250μmの光ファイ単心線の上にテープ被覆を施しており、約300μmの厚みでオーバーコートされている。一方で、光ファイバによる家庭向けデータ通信サービス(FTTH:Fiber To The Home)の中間分岐において、テープ心線から光ファイバ単心線を単心分離し、単心コネクタに接続する作業がある。
【0009】
しかしながら、単心コネクタは250μmの光ファイバ単心線用に製造されており、約300μmの厚みがあるテープ心線に単心コネクタを接続するためには、テープ被覆を完全に取り除かないとコネクタ接合部分に入らなくなる。また、もし被覆カスが残留したまま取り付けを行うと、単心コネクタでの突き当て不足が生じる可能性がある。
【0010】
また、特許文献4に記載のような間欠型テープ心線を採用した場合には単心分離性や光ケーブル内への収納性の点で向上するものの、そのような間欠型テープ心線を製造するためには上述した第1~第3の方法を採用することになり、次のような問題が生じ得る。
【0011】
第1,第2の方法では、光ファイバ単心線とテープ樹脂の接触面積が小さくなり、光ケーブル製造時の光ファイバ単心線とテープ樹脂の剥離を防止してケーブル製造性を向上させるために、両者の密着力を高める必要がある。そして、密着力を高めたことにより、単心コネクタに加工する際にテープ樹脂を完全に取り除くことが難しいという問題が生じ得る。第3の方法では、完全にテープ樹脂が取り除けない場合や、樹脂取り除き用部材の挿入位置がズレて光ファイバ単心線を傷つけてしまう場合が生じ得る。
【0012】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、光ファイバ心線間において長手方向に沿って間欠的に連結部と非連結部が形成された間欠型光ファイバテープ心線において、ケーブル製造性及び単心分離性を向上させることにある。」
c 【0025】
「【0025】
(8)本発明の他の形態に係る間欠型光ファイバテープ心線の製造方法は、並列した複数の光ファイバ心線を有し、隣り合う上記光ファイバ心線間において長手方向に沿って間欠的に連結部と非連結部が形成された間欠型光ファイバテープ心線の製造方法であって、上記光ファイバ心線の周囲に被覆用樹脂を施すステップと、上記光ファイバ心線と上記被覆用樹脂との間の単位面積当たりの密着力に比べて上記被覆用樹脂との単位面積当たりの密着力が高い連結用樹脂を、上記被覆用樹脂の周囲に長手方向に沿って間欠的に塗布することにより、上記連結部及び上記非連結部を形成するステップと、を有するものである。これにより、ケーブル製造性及び単心分離性を向上させた間欠型光ファイバテープ心線を製造することができる。」
d 【0027】~【0036】、【図1A】
「【0027】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る間欠型光ファイバテープ心線(間欠型テープ心線)及びその製造方法の具体例について説明する。
【0028】
本実施形態に係る間欠型テープ心線は、並列した複数の光ファイバ心線を有し、隣り合う光ファイバ心線間において長手方向に沿って間欠的に連結部と非連結部が形成されている。上記光ファイバ心線は、(a)複数本並列した光ファイバ単心線であるか、若しくは、(b)1本の光ファイバ単心線であるものとする。上記(a)の場合、多心化を容易に行うことができ、上記(b)の場合、各心線について単心分離を一様に行うことができる。なお、上記光ファイバ単心線の代わりに、マルチコア光ファイバ心線を採用することもでき、その場合の単心分離とは1本のマルチコア光ファイバ心線への分離を指す。
【0029】
ここで、光ファイバ単心線は、ガラスファイバにファイバ被覆を施した光ファイバ素線とも言われているもの、或いはそのファイバ被覆の外面に着色層を施したものを含めた単心の光ファイバを指す。マルチコア光ファイバ心線とは、ファイバ軸方向に延在する複数のコアが共通のクラッドで覆われたものにファイバ被覆を施したものを指し、さらにその外面に着色層を施したものであってもよい。
【0030】
以下の説明では、上記(a)の光ファイバ心線、上記(b)の光ファイバ心線として、それぞれ光ファイバ単心線を複数本用いる例、1本用いる例を挙げて説明するが、光ファイバ単心線の代わりにマルチコア光ファイバ心線を適用した場合でも同様である。
【0031】
まず図1A,図1Bを参照しながら、本実施形態に係る間欠型テープ心線の一構成例を説明する。図1Aは、本発明の実施形態に係る間欠型テープ心線の一構成例を示す図で、図1Bは、他の構成例を示す図である。
【0032】
図1Aで例示する間欠型テープ心線1では、複数本(この例では2本)並列した光ファイバ単心線11の周囲に被覆用樹脂(1次被覆)12を施すことでテープ心線(この例では2心テープ心線)が形成されており、さらにそのテープ心線が複数(この例では2つ)並列されている。つまり、この例では、上記(a)の光ファイバ心線に被覆用樹脂12を施した例として2心テープ心線を挙げ、その2心テープ心線を2枚並列して、4心のテープ心線を形成している。ここで、被覆用樹脂12は、紫外線硬化樹脂(以下、第1の紫外線硬化樹脂と言う)を硬化させたものであることが好ましいが、これに限ったものではない。
・・・(略)・・・
【0036】
また、図1Aでは、テープ幅方向で見ると、連結部13と非連結部14とが交互に配される部分(長さXで示す部分)と、非連結部14だけが配される部分(長さYで示す部分)とが、長手方向に所定のピッチで交互に現れるような例を挙げている。例えば、Xが40mm、Yが60mmなどとなる。但し、X,Yの値や、連結部13と非連結部14の配置のパターンはこの例に限ったものではない。また、図1Aでは、より好ましい例として、幅方向に中央に位置する2番線と3番線との境界に対して線対称となるような間欠パターンを挙げて説明するが、これに限ったものではない。」
「【図1A】
[図:0001407203000001.jpg]
」
e 【0039】~【0040】、【図1B】
「【0039】
以上、上記(a)の光ファイバ心線を採用した例として、被覆用樹脂12が2本の光ファイバ単心線11毎に施され且つ連結用樹脂が2心テープ間に施された例を挙げたが、上記(b)の光ファイバ心線を採用した場合も同様に適用できる。
【0040】
具体的には、図1Bに示す間欠型テープ心線1aのように、隣り合う上記(b)の光ファイバ心線(光ファイバ単心線11)の間に第2の紫外線硬化樹脂等の連結用樹脂を塗布して連結部13を形成し、塗布していない部分を非連結部14のまま残せばよい。この間欠型テープ心線1aは、光ファイバ単心線11を4つ並列して4心テープ心線を形成している。なお、連結部13と非連結部14の配置のパターンは図1Bに示す例に限ったものではなく、後述する例においても同様である。」
「【図1B】
[図:0001407203000002.jpg]
」
f 【0041】~【0048】、【図3A】
「【0041】
本実施形態に係る間欠型テープ心線1,1aを製造する製造方法としては、本実施形態の特徴部分である単位密着力の条件を満たしさえすれば、従来技術として上述した第1,第2の方法を用いることができる。以下、間欠型テープ心線1の製造方法の一例として、連結用樹脂に第2の紫外線硬化樹脂を用い第2の方法を採用した例について、図2~図5を参照しながら説明する。
【0042】
図2は、2心テープ心線を製造する製造装置の一構成例を示す図である。また、図3Aは図2の製造装置における製造方法の詳細(テープ樹脂被覆方法)を説明するための模式図で、図3Bはその方法で用いるダイスの一例を示す図である。図4Aは、図2の製造装置で製造された2心テープ心線を2本並列させた様子を示す図で、図4Bは、図4Aに示した2本の2心テープ心線の長手方向に垂直なB-B断面を示す図である。図5は、図4Aに示した2本の2心テープ心線から図1Aの間欠型テープ心線を製造する製造方法を説明するための模式図である。
【0043】
まず、2心テープ心線を製造する方法について説明する。図2に示すように、サプライ装置20内に、N個のリール22、N個のダンサローラ23、及びガイドローラ24が設けられている。Nはテープ心線の心線数であり、2心テープ心線10aを製造する場合にはN=2である。各リール22には光ファイバ単心線11がそれぞれ巻かれている。
【0044】
光ファイバ単心線11は、各リール22からそれぞれ繰り出されて、ダンサローラ23によりそれぞれ数十gfの張力が与えられ、ガイドローラ24を通過するときに一つの配列面上に並べられる。さらに、直上ガイドローラ25で更に集線されて、塗布装置26へ送られる。
【0045】
塗布装置26には、図3A,図3Bに示すようなニップル26a及びダイス26bが装着されている。ニップル26aは長円形の出線穴を有するものとし、ダイス26bは、光ファイバ単心線11の単位で第1の紫外線硬化型樹脂が塗布されるように、N本(この例では2心)の光ファイバ単心線がそれぞれ通過する穴が離間して設けられている。ダイス26bの穴の径は、テープ厚に合わせて決めておけばよい。
【0046】
このような塗布装置26に光ファイバ単心線11を送通し、後段で所定の張力で引っ張る。これにより、送通された光ファイバ単心線11はニップル26aでガイドされて所望の配列となり、ファイバ被覆が露出した状態でダイス26bに送られ、被覆用樹脂12としての第1の紫外線硬化型樹脂が光ファイバ単心線11の周りに塗布される。この第1の紫外線硬化型樹脂は、加圧式の樹脂タンク27より供給される。第1の紫外線硬化型樹脂が周囲に塗布された状態では、図3Aに示すように各光ファイバ単心線11に施された被覆用樹脂12は互いに離間している。
【0047】
従来から一般的に用いられる1つ穴のダイスでは、心線に加わる張力によって光ファイバ心線同士を接触した状態で被覆させるが、図3Bに示すようなダイス26bを用いることで、各光ファイバ単心線11間のピッチを拡げた状態で、つまり心線単位で、第1の紫外線硬化型樹脂を塗布させることができる。なお、間欠型テープ心線1aを製造する際には、光ファイバ単心線11に被覆用樹脂12をオーバーコートすればよい。
【0048】
そして、第1の紫外線硬化型樹脂が塗布されたN本(この例では2本)の被覆用樹脂12付きの光ファイバ心線は、ダイス26bから出線した直後に互いに被覆用樹脂12の部分が接触するように集められ、紫外線照射装置28においてUVランプ28aから紫外線が照射されて、硬化される。硬化した第1の紫外線硬化型樹脂は被覆用樹脂12となり、N心のテープ心線(この例では図4Aに示すような2心テープ心線10a)が形成されることになる。」
「【図3A】
[図:0001407203000003.jpg]
」
g 【0052】~【0055】、【図5】
「【0052】
そして、図4A,図4B,図5に示すように製造された2本の2心テープ心線10a,10bを並列しておき、図5で示すような塗布装置50で第2の紫外線硬化樹脂53を塗布し、2台目の紫外線照射装置で硬化させることで、間欠型テープ心線1を製造することができる。
【0053】
具体的には、塗布装置50は、インクジェット塗布装置やディスペンサなどで構成され、第1の紫外線硬化樹脂より単位密着力の高い第2の紫外線硬化樹脂53を供給するUV樹脂供給装置51と、そのUV樹脂供給装置51に取り付けられたノズル52と、を有する。そして、塗布装置50は、並列した2本の2心テープ心線10a,10bを図5の紙面垂直方向に引き取りながら、連結部13を形成する位置にノズル52から第2の紫外線硬化樹脂53を噴射して塗布する。その後、図示しない2台目の紫外線照射装置で紫外線を照射して第2の紫外線硬化樹脂53を硬化させることで、連結部13を形成する。
【0054】
なお、2本の2心テープ心線10a,10bの製造用に図2の装置を用意し、それらを並列させるように集約させた位置に塗布装置50や2台目の紫外線照射装置を設けても、つまり1つのライン上で間欠型テープ心線1を製造してもよい。
【0055】
以上、第2の方法を例に挙げて説明したが、第2の紫外線硬化樹脂の代わりに接着性樹脂などを用いる場合には、上記第1の方法により形成すればよい。また、間欠型テープ心線1aについては、2本ではなく1本の光ファイバ単心線11に被覆用樹脂12を施す点が異なるだけで、上記第2の方法を同様に適用できる。」
「【図5】
[図:0001407203000004.jpg]
」
(イ)引用文献1の記載から読み取れる事項の認定
a 引用文献1の【0040】、【0052】、【0055】の記載から、2本の2心テープ心線10a,10bを並列しておき塗布装置50で第2の紫外線硬化樹脂53を塗布し、2台目の紫外線照射装置で硬化させることで、間欠型テープ心線1を製造する方法(【0052】)は、光ファイバ単心線11を4つ並列して4心テープ心線を形成した間欠型テープ心線1a(【0040】)にも適用でき、その際は、2本ではなく1本の光ファイバ単心線11に被覆用樹脂12を施すこと(【0055】)が理解できる。
b 引用文献1の【0052】の記載及び【図4A】、【図4B】から、2本の2心テープ心線10a、10bを並列する際には2心テープ心線10a、10bを平行に並列しておくことがが見て取れる。そして、上記aを考慮すると、光ファイバ単心線11を4つ並列して4心テープ心線を形成した間欠型テープ心線1a(【0040】)を製造する際には、4本の光ファイバ単心線11を平行に並列しておくことが理解できる。
(ウ)引用文献1に記載された発明
上記(ア)で摘記した引用文献1の記載事項及び上記(イ)で認定した事項から、引用文献1には、請求項8に記載された間欠型光ファイバテープ心線の製造方法であって、図1Bに記載される態様に関して、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。(なお、括弧内は認定の根拠とした段落番号などを参考までに示す。以下同じ。)
「並列した複数の光ファイバ心線を有し、隣り合う該光ファイバ心線間において長手方向に沿って間欠的に連結部と非連結部が形成された間欠型光ファイバテープ心線の製造方法であって、
前記光ファイバ心線の周囲に被覆用樹脂を施すステップと、
前記光ファイバ心線と前記被覆用樹脂との間の単位面積当たりの密着力に比べて前記被覆用樹脂との単位面積当たりの密着力が高い連結用樹脂を、前記被覆用樹脂の周囲に長手方向に沿って間欠的に塗布することにより、前記連結部及び前記非連結部を形成するステップと、
を有する、間欠型光ファイバテープ心線の製造方法であって、(【請求項8】)
間欠型テープ心線は、並列した複数の光ファイバ心線を有し、隣り合う光ファイバ心線間において長手方向に沿って間欠的に連結部と非連結部が形成されており、上記光ファイバ心線は、1本の光ファイバ単心線であり、(【0028】)
光ファイバ単心線は、ガラスファイバにファイバ被覆を施した光ファイバ素線のファイバ被覆の外面に着色層を施したものであり、(【0029】)
間欠型テープ心線1aは、隣り合う光ファイバ単心線11の間に第2の紫外線硬化樹脂等の連結用樹脂を塗布して連結部13を形成し、塗布していない部分を非連結部14のまま残し、(【0040】)
間欠型テープ心線1aを製造する際には、光ファイバ単心線11に被覆用樹脂12としての第1の紫外線硬化型樹脂をオーバーコートし、(【0046】、【0047】)
第1の紫外線硬化型樹脂が塗布された被覆用樹脂12付きの光ファイバ心線は、紫外線照射装置28においてUVランプ28aから紫外線が照射されて、硬化され、硬化した第1の紫外線硬化型樹脂は被覆用樹脂12となり、(【0048】)
4本の光ファイバ単心線11を平行に並列しておき、塗布装置50で第2の紫外線硬化樹脂53を塗布し、2台目の紫外線照射装置で硬化させることで、間欠型テープ心線1を製造するものであって、(上記(イ)a及びb)
塗布装置50は、インクジェット塗布装置であり、(【0053】)
光ケーブル製造時の光ファイバ単心線と被覆用樹脂の剥離を防止してケーブル製造性を向上させることができる、(【0011】、【0025】)
間欠型光ファイバテープ心線の製造方法。」
イ 引用文献2
(ア)引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に発行された国際公開第2017/175414号(2017年10月12日公開。以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
a [請求項1]、[請求項2]
「[請求項1]
複数の光ファイバのそれぞれに着色層を形成する着色層形成工程と、
着色層の表面に塗布した連結材を硬化させて連結部を形成することによって、隣接する光ファイバの間を前記連結部で連結した光ファイバテープを形成するテープ化工程と
を有する光ファイバテープの製造方法であって、
前記着色層形成工程において、
着色材を前記光ファイバに塗布し、
表面に未硬化の樹脂が残存するように前記着色材を硬化させて、前記着色層を形成し、
前記テープ化工程において、
未硬化の樹脂が残存した前記着色層の表面に前記連結材を塗布し、
前記連結材を硬化させるとともに、前記着色層の表面の未硬化の樹脂を硬化させる
ことを特徴とする光ファイバテープの製造方法。
[請求項2]
請求項1に記載の光ファイバテープの製造方法であって、
前記着色層形成工程において、
ラジカル重合型の紫外線硬化樹脂で構成された前記着色材を前記光ファイバに塗布し、
酸素阻害により表面に未硬化の樹脂を残存させつつ、前記着色材に紫外線を照射して前記着色層を形成し、
前記テープ化工程において、
未硬化の樹脂が残存した前記着色層の表面に、ラジカル重合型の紫外線硬化樹脂で構成された前記連結材を塗布し、
前記連結材に紫外線を照射して、前記連結材を硬化させるとともに、前記着色層の表面の未硬化の樹脂を硬化させる
ことを特徴とする光ファイバテープの製造方法。」
b [0001]~[0005]
「[0001] 本発明は、光ファイバテープの製造方法、光ファイバテープ及び光ケーブルに関する。
[0002] 特許文献1、2には、並列させた3心以上の光ファイバを間欠的に連結させた光ファイバテープ(間欠連結型光ファイバテープ)が記載されている。また、特許文献3には、チューブに充填材(止水材料)としてジェリーを充填させた光ケーブル(ルースチューブ型光ケーブル)が記載されている。
[0003]特許文献1:特許第4143651号公報
特許文献2:特許第4619424号公報
特許文献3:特許第5260940号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0004] ルースチューブ型光ケーブルから光ファイバテープを取り出したとき、光ファイバの周囲に付着した充填材(ジェリー等)を拭き取る作業が必要となる。但し、間欠連結型光ファイバテープの場合、光ファイバテープに付着した充填材を拭き取る際に、光ファイバを連結する連結部が破壊されてしまい、光ファイバテープが単心光ファイバにバラバラになってしまうことがある。
[0005] 本発明は、連結部の破壊を抑制することを目的とする。」
c [0024]-[0030]、[図3A]
「[0024] 図3Aは、間欠連結型の光ファイバテープ10の一例の説明図である。以下の説明では、光ファイバ11に平行な方向を「長手方向」と呼ぶ。また、間欠連結型光ファイバテープ10を構成する複数の光ファイバ11の並ぶ方向を「テープ幅方向」と呼ぶ。
間欠連結型光ファイバテープ10は、複数の光ファイバ11を並列させて間欠的に連結した光ファイバテープである。隣接する2心の光ファイバ11は、連結部12によって連結されている。隣接する2心の光ファイバ11を連結する複数の連結部12は、長手方向に間欠的に配置されている。また、間欠連結型光ファイバテープ10の複数の連結部12は、長手方向及びテープ幅方向に2次元的に間欠的に配置されている。連結部12は、接着剤(連結材14)となる紫外線硬化樹脂を塗布した後に紫外線を照射して硬化させることによって、形成されている(後述)。なお、連結部12を熱可塑性樹脂で構成することも可能である。隣接する2心の光ファイバ11間の連結部12以外の領域は、非連結部13(分離部)になっている。非連結部13では、隣接する2心の光ファイバ11同士は拘束されていない。これにより、間欠連結型光ファイバテープ10を丸めて筒状(束状)にしたり、折り畳んだりすることが可能になり、多数の光ファイバ11を高密度に収容することが可能になる。但し、間欠連結型光ファイバテープ10の代わりに、テープ幅方向に並ぶ複数の光ファイバ11を一括被覆した通常の光ファイバテープ10を用いてもよい。
・・・(略)・・・
[0030] 本実施形態では、後述するように着色層11Cと連結部12との密着性を向上させることによって、着色層11Cと連結部12との界面における剥離が生じにくい構造となっている。この結果、本実施形態では、連結部12の薄い樹脂層での破壊が抑制され、図4Cに示すように、着色層11Cと連結部12とが密着したまま連結部12の破壊が進行するため、図4Bの参考例と比べて連結部12が破壊されにくくなり、意図せずに光ファイバ11が単心分離してしまうことを抑制できる。なお、本実施形態では、間欠連結型光ファイバテープ10の光ファイバ11を単心分離させるために連結部12を裂いたときには、図4Cに示すように、着色層11Cと連結部12とが密着したまま、連結部12が破壊され、これにより光ファイバ11が単心分離されることになる。」
「[図3A]
[図:0001407203000005.jpg]
」
(イ)引用文献2に記載された技術的事項
上記(ア)で摘記した引用文献2の記載事項から、引用文献2には、間欠型光ファイバテープの製造方法において、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「隣接する光ファイバの間を連結部で連結した光ファイバテープを形成するテープ化工程を有する光ファイバテープの製造方法において、([請求項1])
光ファイバテープは、複数の光ファイバ11を並列させて間欠的に連結した間欠連結型光ファイバテープ10であり、(【0024】)
ラジカル重合型の紫外線硬化樹脂で構成された前記着色材を前記光ファイバに塗布し、酸素阻害により表面に未硬化の樹脂を残存させつつ、前記着色材に紫外線を照射して前記着色層を形成し、
未硬化の樹脂が残存した前記着色層の表面に、ラジカル重合型の紫外線硬化樹脂で構成された前記連結材を塗布し、
前記連結材に紫外線を照射して、前記連結材を硬化させるとともに、前記着色層の表面の未硬化の樹脂を硬化させ、([請求項2])
着色層11Cと連結部12との密着性を向上させることによって、着色層11Cと連結部12との界面における剥離が生じにくい構造とすること。([0030])」
ウ 引用文献3
(ア)引用文献3の記載事項
本審決で新たに引用され、本願の出願前に発行された特開2011-221199号公報(2011年11月4日公開。以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
a 【0001】
「【0001】
本発明は、複数心の光ファイバが同一面内において平行に配列され、隣接する光ファイバが長手方向に間欠的に連結されてなる光ファイバテープ心線、光ファイバテープ心線の製造方法及び光ファイバテープ心線の製造装置に関する。」
b 【0005】~【0006】
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、間欠連結型テープ心線において、単心分離性や一括融着接続性を両立するためには、数十mm~数百mm程度の間隔で連結部を設ける必要がある。この連結部は、例えば、紫外線硬化型樹脂(以下、UV樹脂)や溶融された熱可塑性樹脂を、所定のタイミングでノズルから圧出し、塗布することにより形成される。
しかしながら、上述した間隔で連結部を形成するのは、製造上の問題がある。すなわち、樹脂の塗布工程において加圧のオン/オフ制御を正確に行わなければならないが、どちらの樹脂も粘性があり、応答性が悪いため、高速製造に適しているとはいえない。また、連結部の間隔が数十mm~数百mm程度と狭いと、機械的なオン/オフの繰り返し制御にも制約がかかるため、高速製造の妨げとなり、製造設備も複雑化してしまう。
このように、間欠連結型テープ心線は、複雑な製造設備を用いて低線速で製造しなければならないため、複数心の光ファイバを一括被覆した一般的なテープ心線よりも製造コストが高くなるという欠点がある。
【0006】
本発明は、比較的簡単な製造設備により、高線速で間欠連結型テープ心線を製造できる技術を提供することを目的とする。」
c 【0020】、【図1】
「【0020】
間欠連結型テープ心線1では、4心の光ファイバ11a~11dに跨って連結樹脂を連続塗布することにより連結帯12が形成されている。この連結帯12は、長手方向にわたって連続して形成されており、サイン曲線状のように幅方向に往復しながら長手方向に延びる周期形状を有している。連結樹脂には、例えば、UV樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることができる。これらの樹脂を光ファイバ11a~11cの配列面の一方に塗布した後、所定の方法で硬化させることで、連結帯12が形成される。」
「【図1】
[図:0001407203000006.jpg]
」
d 【0037】、【図7】
「【0037】
図7は、間欠連結型テープ心線の変形例について示す図である。
図7に示すように、間欠連結型テープ心線3では、連結帯32aが3心の光ファイバ31a~31cに跨って形成され、光ファイバ31a,31bを連結部321(周期形状の山部分)で連結するとともに、光ファイバ31b,31cを連結部322(周期形状の谷部分)で連結している。また、連結帯32bが3心の光ファイバ31b~31dに跨って形成され、光ファイバ31b,31cを連結部322(周期形状の山部分)で連結するとともに、光ファイバ31c,31dを連結部323(周期形状の谷部分)で連結している。連結帯32a,32bは同一の周期形状を有し、互いに位相がπだけずれているので、両者の重複部分が光ファイバ31b、31cの連結部322となっており、間欠連結型テープ心線3は全体として間欠的に連結されている。」
「【図7】
[図:0001407203000007.jpg]
」
e 【0039】~【0040】
「【0039】
このように、複数の連結帯を組み合わせたり、連結帯の形状を工夫したりすることにより、間欠連結型テープ心線を全体として間欠的に連結することができる。つまり、本発明において、連結帯の本数、形状は特に制限されない。
【0040】
また例えば、上記実施形態では、連結帯の形状を周期形状の一つであるサイン曲線状とした場合について示しているが、矩形波、ジグザグ波又は台形波等の一般的な周期形状、さらにはこれらの周期形状の一部が欠損した形状としてもよい。また、連結帯の形状が周期形状となっていない場合も本発明の技術的範囲に含まれる。」
(イ)引用文献3の記載から読み取れる事項の認定
引用文献3の【図7】及び【0040】から、1つの連結帯32bに含まれる連結部322、323は、サイン曲線状、矩形波、ジグザグ波又は台形波等の一般的な周期形状であることが理解できる。
(ウ)引用文献3に記載された技術的事項
上記(ア)で摘記した引用文献3の記載事項及び上記(イ)で認定した事項から、引用文献3には、光ファイバテープ心線の製造方法において、図7に記載される態様に関して、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「隣接する光ファイバが長手方向に間欠的に連結されてなる光ファイバテープ心線の製造方法において、(【0001】)
連結帯32bが3心の光ファイバ31b~31dに跨って形成され、光ファイバ31b,31cを連結帯の連結部322(周期形状の山部分)で連結するとともに、光ファイバ31c,31dを連結帯の連結部323(周期形状の谷部分)で連結しており、(【0037】、【図7】)
連結樹脂を連続塗布することにより連結帯12が形成されており、連結樹脂には、UV樹脂を用いることができ、(【0020】)
連結帯の形状は、サイン曲線状、矩形波、ジグザグ波又は台形波等の一般的な周期形状であり、(【0040】)
1つの連結帯に含まれる連結部は、サイン曲線状、矩形波、ジグザグ波又は台形波等の一般的な周期形状であり、(上記(イ))
比較的簡単な製造設備により、高線速で間欠連結型テープ心線を製造できること。(【0006】)」
(3)対比
ア 本件補正発明の「光ファイバリボンの製造方法であって、」との特定事項について
引用発明の「間欠型光ファイバテープ心線」は、「並列した複数の光ファイバ心線を有」するものであるから、本件補正発明の「光ファイバリボン」に相当する。
そうすると、引用発明の「間欠型光ファイバテープ心線の製造方法」は、本件補正発明の「光ファイバリボンの製造方法」に相当し、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を満たす。
イ 本件補正発明の「縦長の光ファイバアセンブリを与えるために、複数の光ファイバを供給するステップを備え、」との特定事項について
(ア)引用発明において、「塗布装置50で第2の紫外線硬化樹脂53を塗布」する前の「4本の光ファイバ単心線11」が「並列」されたものは、本件補正発明の「光ファイバアセンブリ」に相当する。また、引用発明の「光ファイバ単心線11」が「縦長」であることは技術常識であることから、「4本の光ファイバ単心線11」が「並列」されたものも「縦長」であることは明らかである。
(イ)引用発明の「4本の光ファイバ単心線11を平行に並列してお[く]」ためには、4本の光ファイバ単心線11を供給する必要があることは当然のことであるから、上記(ア)も踏まえると、引用発明の「4本の光ファイバ単心線11を平行に並列してお[く]」ことは、本件補正発明の「複数の光ファイバを供給するステップ」に相当するステップを備えることは自明である。
(ウ)上記(ア)及び(イ)から、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を満たす。
ウ 本件補正発明の「前記複数の光ファイバは、互いに平行に隣接して配置され、」との特定事項について
引用発明の「4本の光ファイバ単心線11を平行に並列」することは、本件補正発明の「前記複数の光ファイバは、互いに平行に隣接して配置され」ることに相当する。
よって、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を満たす。
エ 本件補正発明の「前記複数の光ファイバの各々は、中心から周辺に向かって、ガラスコア、ガラスクラッド、第1の被覆、第2の被覆と、一部硬化した第1の硬化性樹脂によって形成された外側層と、を備え、」との特定事項について
(ア)引用発明の「光ファイバ単心線」は「ガラスファイバにファイバ被覆を施した光ファイバ素線のファイバ被覆の外面に着色層を施したもの」であるところ、本願出願時の技術常識を踏まえると、前記「ガラスファイバ」は、本件補正発明の「ガラスコア、ガラスクラッド」を有するものといえる。
(イ)引用発明の「ファイバ被覆」及び「着色層」は、それぞれ本件補正発明の「第1被覆」及び「第2被覆」に相当する。
(ウ)引用発明の「光ファイバ単心線11」に「オーバーコート」された「被覆用樹脂としての第1の紫外線硬化樹脂」及び「硬化した第1の紫外線硬化型樹脂」からなる「被覆用樹脂12」は、それぞれ本件補正発明の「第1の硬化性樹脂」及び「外側層」に相当する。
(エ)一方で、本件補正発明の「第1の硬化性樹脂によって形成された外側層」について、本件補正発明は「一部硬化した」ものであるのに対して、引用発明は「硬化した」ものである点で、上記特定事項を満たさない。
オ 本件補正発明の「第2の硬化性樹脂を、ディスペンサから前記光ファイバアセンブリの表面に与えるステップをさらに備え、」との特定事項について
引用発明の「インクジェット塗布装置」である「塗布装置50」は、本件補正発明の「ディスペンサ」に相当する。さらに、引用発明の「第2の紫外線硬化樹脂53」は、本件補正発明の「第2の硬化性樹脂」に相当する。
そして、引用発明は、「4本の光ファイバ単心線11を並列しておき、塗布装置50で第2の紫外線硬化樹脂53を塗布」するものであるから、上記イも踏まえると、本件補正発明の上記特定事項を満たす。
カ 本件補正発明の「前記第2の硬化性樹脂は、前記複数の光ファイバのうち隣接する2本の光ファイバの間に接着を形成するために配置された、直線的に引き延ばされた連続的な複数の滴を形成し、」との特定事項について
(ア)引用発明は、「隣り合う光ファイバ単心線11の間に第2の紫外線硬化樹脂等の連結用樹脂を塗布して連結部13を形成」するものであることから、引用発明は本件補正発明の「前記第2の硬化性樹脂は、前記複数の光ファイバのうち隣接する2本の光ファイバの間に接着を形成するために配置され」るとの特定事項を満たす。
(イ)引用発明の「連結部」は「インクジェット塗布装置」により「第2の紫外線硬化樹脂」を塗布して形成されることから、塗布される「第2の紫外線硬化樹脂」は滴状であるといえ、引用発明は、本件補正発明の「前記第2の硬化性樹脂は、」「滴を形成」するとの特定事項を満たす。
(ウ)さらに、引用発明は「隣り合う該光ファイバ心線間において長手方向に沿って間欠的に連結部と非連結部が形成された」ものであることから、「連結部」を形成する前記滴は、長手方向に連続的に滴下されていることは明らかである。そうすると、引用発明は、本件補正発明の「前記第2の硬化性樹脂は、」「直線的に引き延ばされた連続的な複数の滴を形成」するとの特定事項を満たす。
(エ)上記(ア)~(ウ)から、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を満たす。
キ 本件補正発明の「前記複数の光ファイバの各々に関し、前記第2の硬化性樹脂の滴が与えられた前記光ファイバアセンブリを、前記第2の硬化性樹脂の滴を硬化し、前記外側層の一部硬化した前記第1の硬化性樹脂の硬化を完了するための硬化ステーションに通すステップをさらに備え、」との特定事項について
(ア)引用発明の「第2の紫外線硬化樹脂53を塗布し、2台目の紫外線照射装置で硬化させる」ことは、本件補正発明の「前記複数の光ファイバの各々に関し、前記第2の硬化性樹脂の滴が与えられた前記光ファイバアセンブリを、前記第2の硬化性樹脂の滴を硬化」「するための硬化ステーションに通すステップをさらに備え」ることに相当する。
(イ)一方で、引用発明は、硬化ステーションが「前記外側層の一部硬化した前記第1の硬化性樹脂の硬化を完了させるための」ものではない点で上記特定事項を満たさない。
ク 本件補正発明の「前記複数の滴のうちの2つの連続する滴は、前記第2の硬化性樹脂の移行部によって接続され、」との特定事項について
引用発明の「第2の紫外線硬化型樹脂」は「隣り合う該光ファイバ心線間」に塗布されたものであり、本件補正発明の「前記複数の滴のうちの2つの連続する滴」を接続する「前記第2の硬化性樹脂の移行部」を備えていない点で、本件補正発明の上記特定事項を満たさない。
ケ 本件補正発明の「前記移行部は、上から見たときジグザグ状または鋸歯状をなす」との特定事項について
本件補正発明の上記特定事項は、上記2(1)で説示したとおり「前記滴は、」「上から見たときジグザグ状または鋸歯状をなす」ことを意味すると解されるところ、引用発明は、隣り合う光ファイバ心線間において長手方向に沿って間欠的に連結部と非連結部が形成されているものの、上記特定事項を満たすか不明である。
(4)一致点及び相違点の認定
上記ア~ケから、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「光ファイバリボンの製造方法であって、
縦長の光ファイバアセンブリを与えるために、複数の光ファイバを供給するステップを備え、
前記複数の光ファイバは、互いに平行に隣接して配置され、
前記複数の光ファイバの各々は、中心から周辺に向かって、ガラスコア、ガラスクラッド、第1の被覆、第2の被覆と、第1の硬化性樹脂によって形成された外側層と、を備え、
第2の硬化性樹脂を、ディスペンサから前記光ファイバアセンブリの表面に与えるステップをさらに備え、
前記第2の硬化性樹脂は、前記複数の光ファイバのうち隣接する2本の光ファイバの間に接着を形成するために配置された、直線的に引き延ばされた連続的な複数の滴を形成し、
前記複数の光ファイバの各々に関し、前記第2の硬化性樹脂の滴が与えられた前記光ファイバアセンブリを、前記第2の硬化性樹脂の滴を硬化するための硬化ステーションに通すステップをさらに備える、
製造方法。」
<相違点1>
第1の硬化性樹脂について、本件補正発明は、「一部硬化した」状態で「第2の硬化性樹脂をディスペンサから前記光ファイバアセンブリの表面に与え」、さらに、「前記第2の硬化性樹脂の滴を硬化」する「硬化ステーション」で「一部硬化した前記第1の硬化性樹脂の硬化を完了する」のに対して、引用発明は、「硬化した第1の紫外線硬化型樹脂」からなる「被覆用樹脂12」に「第2の紫外線硬化樹脂53を塗布」する点。
<相違点2>
複数の滴のうちの2つの連続する滴について、本件補正発明は「前記第2の硬化性樹脂の移行部によって接続され、」「上から見たときジグザグ状または鋸歯状をなす」のに対して、引用発明は隣り合う光ファイバ心線間において長手方向に沿って間欠的に連結部と非連結部が形成されているものの、前記「移行部」を有しておらず、上から見たときジグザグ状または鋸歯状をなすかどうか不明である点。
(5)判断
ア 相違点1について
引用発明に係る間欠型光ファイバテープ心線の製造方法は、光ケーブル製造時の光ファイバ単心線と被覆用樹脂の剥離を防止してケーブル製造性を向上させるために、前記被覆用樹脂との単位面積当たりの密着力が高い連結用樹脂を塗布するものである。
一方、引用文献2には、間欠連結型光ファイバテープにおいて、未硬化の樹脂が残存した前記着色層の表面に、ラジカル重合型の紫外線硬化樹脂で構成された前記連結材を塗布し、前記連結材に紫外線を照射して、前記連結材を硬化させるとともに、前記着色層の表面の未硬化の樹脂を硬化させることにより、着色層11Cと連結部12との密着性を向上させる技術的事項が記載されている(上記2(2)イ(イ)参照。)。
引用発明の被覆用樹脂12及び連結部13が紫外線硬化型樹脂により形成されていることを踏まえると、引用発明において、引用文献2に記載された前記技術的事項を採用することにより、被覆用樹脂12と連結用樹脂の単位面積当たりの密着力を高くできることは当業者ならばすぐに気がつく事項である。
よって、引用発明において、被覆用樹脂12と連結用樹脂の単位面積当たりの密着力を高くする手段として、引用文献2に記載された技術的事項を採用して、上記相違点1に係る本件補正発明の構成をなすことは、当業者が容易に想到し得るものである。
イ 相違点2について
間欠連結型テープ心線の製造方法において、比較的簡単な製造設備により、高線速で間欠連結型テープ心線を製造する課題は、一般的な課題であり、引用発明においても当該課題を有することは明らかである。
そして、引用文献3には、引用発明と同じ光ファイバを間欠的に連結する連結部を有する間欠型光ファイバテープ心線の製造方法において、連結樹脂を連続塗布することにより形成された、連結部を含む連結帯で光ファイバを連結することにより前記課題を解決しうる技術的事項、前記連結部を、周期形状の山部分や谷部分とすること、すなわち、引用発明と同様に隣り合う該光ファイバ心線間において長手方向に沿って間欠的に連結部と非連結部が形成されたものとする技術的事項、及び、連結部の配置をジグザグ波等の周期形状とする技術的事項が記載されている(上記2(2)ウ(ウ)参照。)。
引用発明において、比較的簡単な製造設備により、高線速で間欠連結型テープ心線を製造するために、引用文献3に記載された技術的事項を採用し、上記相違点2に係る本件補正発明の構成をなすことは、当業者が容易に想到し得るものである。
なお、本件補正発明の「前記移行部は、上から見たときジグザグ状または鋸歯状をなすこと」との記載が「前記滴は、上から見たときジグザグ状または鋸歯状をなすこと」の誤りであると認められることは上記(1)に記載したとおりであるが、仮に請求項1の記載どおりに「前記移行部は、上から見たときジグザグ状または鋸歯状をなすこと」を意味するとしても、引用文献3に記載された技術的事項は、移行部に相当する連結部以外の連結帯の配置もジグザグ波等の周期形状とするものであるから、この場合についても上記相違点2に係る本件補正発明の構成をなすことは、当業者が容易に想到し得るものである。
ウ 本件補正発明の効果について
相違点1及び2を総合的に勘案しても、本件補正発明の作用効果は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて、本件補正発明の構成が奏するものとして当業者が予測することができたものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(6)請求人の主張について
請求人は、本件補正発明の「前記複数の滴のうちの2つの連続する滴は、前記第2の硬化性樹脂の移行部によって接続され、前記移行部は、上から見たときジグザグ状または鋸歯状をなすこと」との特定事項について、当業者が容易に想到し得るものではない旨を主張している。
しかし、上記特定事項は、上記(5)イで説示したとおり当業者が容易に想到し得たものであり、請求人の主張は採用できない。
(7)独立特許要件のまとめ
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
したがって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和4年9月2日にされた手続補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~15に係る発明は、令和4年3月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであり、当該請求項1の記載は上記第2の1(2)に記載したとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の出願前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である上記引用文献1に記載された発明及び上記引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものを含んでいる。
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2の記載事項は、前記第2[理由]2(2)のア及びイに、それぞれ記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明における「前記複数の滴のうちの2つの連続する滴は、前記第2の硬化性樹脂の移行部によって接続され、前記移行部は、上から見たときジグザグ状または鋸歯状をなす」こと、すなわち、前記第2の[理由]2(4)で示した<相違点2>に係る限定事項を省いた発明である。
そして、本件補正発明から<相違点2>に係る限定事項を省いた本願発明は、前記第2の[理由]2(5)アに記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-013781