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特許拒絶査定不服審判

2022-013486

遊技機

審判番号
2022-013486
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-065634外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年08月26日
審決日
2023年02月28日
公報発行日
2023年05月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019- 65634「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月 8日出願公開、特開2020-162821〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 7項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成31年3月29日の出願であって、令和3年6月30日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月13日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月12日付けで拒絶の理由が通知され、令和4年1月28日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年5月13日付け(送達日:同月26日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年8月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明について

1 本願発明

本願の請求項1及び2に係る発明は、令和4年1月28日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである(符号A等は、合議体が分説をして付した。また、それぞれの符号により分説された事項を、以下では「特定事項A」等という。)。

本願発明

「【請求項1】
A 遊技板の前面を流下する遊技球が取り込まれて横方向に転動する転動ステージと、
B 前記転動ステージの後縁部から起立する後側規制壁と、
C 前記転動ステージの前縁部から起立する前側規制壁と、
D 前記前側規制壁を部分的に切除してなり、遊技球を前記転動ステージから排出するための少なくとも1つの排出口と、を備える遊技機において、
D1 前記後側規制壁と前記排出口との間には、
前記後側規制壁から遊技球の半径以上離れた境界位置より前側に形成され、横方向から転動してくる遊技球に対して前記横方向への転動を規制して前記排出口へと案内する排出ガイド部と、
D2 前記境界位置より後側に形成されて、横方向から転動してくる遊技球に対して前記排出ガイド部より容易に前記横方向に転動することを許容する転動許容部とが、前後に並べて設けられ、
D11 前記排出ガイド部は、後側から前記排出口に向かって幅広となる縦溝を有すると共に、遊技球に下側から横方向の2箇所で当接する1対の当接部を有する
E 遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含んでいる。

(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

引用文献1:特開2014-104073号公報

3 引用文献1に記載された発明

原査定の拒絶理由において引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-104073号公報には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。以下同様。)。

(1)記載事項等

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ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技領域を流下する遊技球を受け入れ、該受け入れた遊技球を転動させた後に下方に落下させる転動面を有するステージを備える遊技機に関する。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のパチンコ遊技機では、ステージにおける遊技者側の前辺に誘導された遊技球はそのまま落下するだけであるので、ステージ上を転動する遊技球の動きが単調となり遊技の興趣が向上しないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ステージ上を転動する遊技球の動きにより遊技の興趣を向上することができる遊技機を提供することを目的とする。」
イ 「【図面の簡単な説明】
【0011】
・・・
【図6】ステージの転動面の傾斜方向を示す平面図である。
【図7】(A)はステージを示す平面図、(B)は(A)のA-A断面図、(C)は(A)のB-B断面図、(D)は(A)のC-C断面図、(E)は(A)のD-D断面図である。
・・・
【図10】(A)は転動面上における遊技球の転動態様の一例を示す斜視図、(B)は平面図である。
【図11】図10に続く転動態様を示す図である。
・・・」
ウ 「【0075】
また、遊技盤6(遊技領域7)の略中央位置には、演出表示装置9を透視可能とするための略円形の透視用開口(図示略)が形成されており、この透視用開口には略円環状のステージ飾り枠11が前面側から嵌合されている。遊技盤6(遊技領域7)の略中央位置にステージ飾り枠11が設けられることで、遊技領域7における左側には左遊技領域が設けられるとともに、右側には右遊技領域が設けられる。尚、この透視用開口(図示略)の下方位置には、特別可変入賞球装置20や可変入賞球装置15等を設けるための開口が各々形成されている。
・・・
【0081】
続きを表示(全15行)
ステージ飾り枠11の下部には、遊技球が左右方向に往復転動可能なステージ300が設けられており、このステージ300には、ステージ飾り枠11の左側下部に設けられたワープ通路490を介して遊技領域7を流下する遊技球が誘導されるようになっている。詳しくは、ステージ飾り枠11の左側下部にはワープ通路490の流入口491が遊技領域7に臨むように形成されているとともに、遊技領域7における流入口491の近傍位置には障害釘(図示略)が配設されており、遊技領域7を流下する遊技球の一部が流入口491に誘導されるようになっている。また、流入口491からワープ通路490に流入した遊技球は、ワープ通路490の流出口492(図9参照)からステージ300に流出されるようになっている。
・・・
【0083】
尚、以下の説明においては、ステージ300について、パチンコ遊技機1を正面から見た場合を基準として、上下、左右、前後方向を示すものとする。また、図6(B)は図6(A)、図6(D)は図6(C)を陰影表現することにより転動面の起伏状態を示した斜視図である。また、図8(B)~(I)中の矢印は転動面の傾斜方向を示している。
【0084】
図4及び図5に示すように、ステージ300は、平面視横長帯板状をなすとともに、左右方向の中央位置から左右側に向けてそれぞれ上方に向けて湾曲するように形成されるステージ板301と、ステージ板301の前辺から下方に垂下される前面板302と、ステージ板301の後辺から上方に立設される背面板303(図9~図12参照)と、から構成され、これらステージ300を構成する各板301~303は、透光性を有する合成樹脂材(透光性部材)にて形成されている。
【0085】
ステージ板301は、遊技球の直径(約11mm)よりも長い前後幅寸法L1(約25mm)を有し遊技球が前後に転動可能とされるとともに、左右方向に向けて所定長さを有しており、ステージ飾り枠11を遊技盤6に取り付けた状態において、遊技盤面6aに対し略直交するとともに該遊技盤面6aに沿って左右方向に延設されるとともに、前辺から落下した遊技球がステージ飾り枠11の下方の遊技領域7に落下するように、少なくとも前辺が遊技盤面6aと同じかそれよりも前側に位置するようになっている。
・・・
【0088】
また、前面板302における左右端部には、前辺304Fよりも上方に突出する落下防止壁305L,305Rが形成されており、前辺304Fにおける左右端部からの遊技球の落下が防止されている。また、背面板303(図9~図12参照)の上部は、後辺304Bの上方に突出する落下防止壁307として長手方向にわたり形成されており、後辺304Bからの遊技球の落下が防止されている。尚、落下防止壁305L,305R、307は、ステージ板301上の遊技球に当接可能な高さを有している。」
エ 「【0097】
図6~図8に示すように、転動面301Aは、左右方向の略中央位置に形成される第1誘導部321と、第1誘導部321の左右側に隣接して形成される第2誘導部322L,322Rと、第2誘導部322L,322Rの左右側に隣接して形成される第3誘導部323L,323Rと、第3誘導部323L,323Rの左右側に隣接して形成される第4誘導部324L,324Rと、第4誘導部324L,324Rの左右側に隣接して形成される第5誘導部325L,325Rと、から構成されている。
・・・
【0099】
続きを表示(全11行)
第1誘導部321は、1球の遊技球を通過可能な左右幅寸法を有し、平面視略縦長長方形状の前部の左右幅寸法が前後方向の中央位置から前方に向けて漸次幅広となるように、後辺304Bから前辺304Fにかけて形成されている。第1誘導部321の転動面301Aは、後辺304Bから前側に向けて下方に傾斜する第1傾斜面321Aと、第1傾斜面321Aよりも傾斜角度が大きく、該第1傾斜面321Aの前端から前辺304Fにかけて形成される第2傾斜面321Bと、により形成されている(図8(B)参照)。
【0100】
また、第1傾斜面321Aの途中から第2傾斜面321Bの途中にかけて直線状のガイド溝330が凹設されている。ガイド溝330は、第1誘導部321の左右幅寸法よりも幅狭に形成され、その開口左右側縁に遊技球の下部左右が当接するように形成されている。また、第2傾斜面321Bは下方に傾斜することで、その左右側に形成される第2誘導部322L,322Rとの間に上下方向の段差が生じることにより、第2傾斜面321Bの左右側にはガイド壁331が形成されている。つまり、前側に向けて漸次深さが大きくなるように形成されている。
【0101】
これにより、第1誘導部321の第1傾斜面321Aにより後側から前側に向けて誘導されてきた遊技球は、ガイド溝330によって誘導されるとともに、第2傾斜面321Bにおいては左右のガイド壁331により前方に誘導されるため、左右にふらつきなく、かつ、左右側からの後続球に邪魔されることなく前方に誘導されるようになっている。
【0102】
このように構成される第1誘導部321は、ステージ飾り枠11の下方に設けられた第1始動入賞口13aの直上に位置するように配設される(図1参照)。よって、第1誘導部321により前側に向けて誘導されて前辺304Fから落下した遊技球は、第1誘導部321以外の誘導部から落下したときよりも高確率で第1始動入賞口13aに入賞するようになっている。」
オ 「【0119】
次に、このように構成されたステージ300における遊技球の転動態様の一例について、図9~図11に基づいて説明する。
【0120】
図9に示すように、ワープ通路490の流出口492は、左側の第5誘導部325Lの左前側端部に設けられている。ワープ通路490は、流入口491から流出口492に向けて下方に傾斜するように設けられているため(図示略)、遊技球は自然流下により流出口492から勢いよく流出する。流出した遊技球は、第5誘導通路325Lにより前辺304Fに沿って右側に向けて誘導された後、第4誘導部324Lとの段差に差し掛かったところで後側に向けて誘導される。
【0121】
そして、高低差が小さい後辺304Bに沿って右側に転動し、第1誘導部321を越えて反対側(右側)の第5誘導部325R辺りまで転動する。ここで、逆傾斜であることにより、遊技球は自重により左側に向けて折り返し戻り始める。遊技球に勢いがあった場合や後続球に押されるなどした場合には、この左右の往復転動を複数回繰り返す(図9中矢印参照)。
・・・
【0123】
その後、例えば、後辺304Bに沿うように転動している遊技球が第1誘導部321に差し掛かったときにそれを乗り越える勢いがない場合は、第1誘導部321により前側に向けて誘導され、前辺304Fの略中央位置から下方に落下される。この場合、直下には第1始動入賞口13aがあるため、落下した遊技球は高い確率で第1始動入賞口13aに進入(入賞)する(図9(A)参照)。」

カ 図11

「
[図:0001397073000001.jpg]
」

・【0088】に「また、前面板302における左右端部には、前辺304Fよりも上方に突出する落下防止壁305L,305Rが形成されており、前辺304Fにおける左右端部からの遊技球の落下が防止されている。」と、【0097】に「転動面301Aは、左右方向の略中央位置に形成される第1誘導部321と」と記載されていることを踏まえると、

図11から、前面板302の左右方向の略中央位置に形成される第1誘導部321の前方には、前辺304Fよりも上方に突出する落下防止壁305L、305Rが形成されていないことが看取される。

・また、【0102】に「第1誘導部321により前側に向けて誘導されて前辺304Fから落下した遊技球は」と記載されている。

・そうすると、引用文献1には、前面板302の左右方向の略中央位置に形成される第1誘導部321の前方には、前辺304Fよりも上方に突出する落下防止壁305L、305Rが形成されておらず、第1誘導部321により前側に向けて誘導された遊技球が前辺304Fから落下することが記載されていると認められる(認定事項1)。

キ 図6

「
[図:0001397073000002.jpg]
」

・【0101】に「これにより、第1誘導部321の第1傾斜面321Aにより後側から前側に向けて誘導されてきた遊技球は、ガイド溝330によって誘導される」と、【0085】に「ステージ板301は、遊技球の直径(約11mm)よりも長い前後幅寸法L1(約25mm)を有し」と記載されていることと併せ、図中の符号304Bは「後辺304B」を表し、同符号304Fは「前辺304F」を表していることを踏まえると、

図6から、第1誘導部321において、ステージ板301の後辺304Bから前辺304Fに向かう前後幅寸法L1の略半分の位置より前方にガイド溝330が配置されていることが看取される。

・よって、引用文献1には、第1誘導部321において、ステージ板301の後辺304Bから前辺304Fに向かう前後幅寸法L1の略半分の位置より前方にガイド溝330が配置されていることが記載されていると認められる(認定事項2)。

ク 図7

「
[図:0001397073000003.jpg]
」

・【0011】に「【図7】(A)はステージを示す平面図、(B)は(A)のA-A断面図」と記載されていることと併せ、図中の符号331は「左右のガイド壁331」を表していることから、

ステージを示す平面図である図7(A)のA-A断面図である同図(B)から、第1誘導部321は、底面の左右幅寸法が上部の左右幅寸法の略半分であり、左右のガイド壁331及び底面により構成され、底面から上部に向かって左右幅方向が拡幅した略U字形状であることが看取される。

・加えて、【0085】に「ステージ板301は、遊技球の直径(約11mm)よりも長い前後幅寸法L1(約25mm)を有し」と記載され、【0099】に「第1誘導部321は、1球の遊技球を通過可能な左右幅寸法を有し、平面視略縦長長方形状の前部の左右幅寸法が前後方向の中央位置から前方に向けて漸次幅広となるように、後辺304Bから前辺304Fにかけて形成されている。」と記載されていることを併せて考慮すると、

図7(A)、(B)から、第1誘導部321の上部の左右幅寸法(左右のガイド壁331の左右幅方向の間隔)は、ステージ板301の前後幅寸法L1(約25mm)の略半分であることが看取される。

・以上より、引用文献1には、第1誘導部321は、底面の左右幅寸法が上部の左右幅寸法の略半分であり、左右のガイド壁331及び底面により構成され、底面から上部に向かって左右幅寸法(左右のガイド壁331の左右幅方向の間隔)が拡幅する略U字形状であって、第1誘導部321の上部の左右幅寸法(左右のガイド壁331の左右幅方向の間隔)は、ステージ板301の前後幅寸法L1(約25mm)の略半分であることが記載されていると認められる(認定事項3)。

(2)引用発明

上記(1)の記載事項等に基づき、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。」が記載されていると認められる(符号a等は、本願発明の分説A等におおむね対応させて、合議体が付した。)。

引用発明

「a、b、c 遊技領域7の略中央位置のステージ飾り枠11の下部に設けられ、ステージ飾り枠11の左側下部に設けられたワープ通路490を介して遊技領域7を流下する遊技球が誘導されるようになっているとともに、遊技球が左右方向に往復転動可能なステージ300を備え(【0075】、【0081】)、
ステージ300は、平面視横長帯板状をなすとともに、左右方向の中央位置から左右側に向けてそれぞれ上方に向けて湾曲するように形成されるステージ板301と、ステージ板301の前辺から下方に垂下される前面板302と、ステージ板301の後辺から上方に立設される背面板303と、から構成され(【0084】)、前面板302における左右端部には、前辺304Fよりも上方に突出する落下防止壁305L、305Rが形成されており、前辺304Fにおける左右端部からの遊技球の落下が防止されていて、また、背面板303の上部は、後辺304Bの上方に突出する落下防止壁307として長手方向にわたり形成されており、後辺304Bからの遊技球の落下が防止されていて(【0088】)、
d 前面板302の左右方向の略中央位置に形成される第1誘導部321の前方には、前辺304Fよりも上方に突出する落下防止壁305L、305Rが形成されておらず、第1誘導部321により前側に向けて誘導された遊技球が前辺304Fから落下する(認定事項1)パチンコ遊技機1において(【0083】)、
d1、d2、d11 ステージ板301は、遊技球の直径(約11mm)よりも長い前後幅寸法L1(約25mm)を有し(【0085】)、転動面301Aは、左右方向の略中央位置に形成される第1誘導部321と、第1誘導部321の左右側に隣接して形成される第2誘導部322L,322Rと、第2誘導部322L,322Rの左右側に隣接して形成される第3誘導部323L,323Rと、第3誘導部323L,323Rの左右側に隣接して形成される第4誘導部324L,324Rと、第4誘導部324L,324Rの左右側に隣接して形成される第5誘導部325L,325Rと、から構成され(【0097】)、
第1誘導部321は、1球の遊技球を通過可能な左右幅寸法を有し、平面視略縦長長方形状の前部の左右幅寸法が前後方向の中央位置から前方に向けて漸次幅広となるように、後辺304Bから前辺304Fにかけて形成され、第1誘導部321の転動面301Aは、後辺304Bから前側に向けて下方に傾斜する第1傾斜面321Aと、第1傾斜面321Aよりも傾斜角度が大きく、該第1傾斜面321Aの前端から前辺304Fにかけて形成される第2傾斜面321Bと、により形成され(【0099】)、
ワープ通路490の流出口492は、左側の第5誘導部325Lの左前側端部に設けられ、流出した遊技球は、第5誘導通路325Lにより前辺304Fに沿って右側に向けて誘導された後、第4誘導部324Lとの段差に差し掛かったところで後側に向けて誘導され(【0120】)、高低差が小さい後辺304Bに沿って右側に転動し、第1誘導部321を越えて反対側(右側)の第5誘導部325R辺りまで転動し、遊技球に勢いがあった場合や後続球に押されるなどした場合には、この左右の往復転動を複数回繰り返して(【0121】)、
その後、後辺304Bに沿うように転動している遊技球が第1誘導部321に差し掛かったときにそれを乗り越える勢いがない場合は、第1誘導部321により前側に向けて誘導され(【0123】)、
第1傾斜面321Aの途中から第2傾斜面321Bの途中にかけて直線状のガイド溝330が凹設され(【0100】)、第1誘導部321において、ステージ板301の後辺304Bから前辺304Fに向かう前後幅寸法L1の略半分の位置より前方にガイド溝330が配置され(認定事項2)、ガイド溝330は、第1誘導部321の左右幅寸法よりも幅狭に形成され、その開口左右側縁に遊技球の下部左右が当接するように形成されていて、また、第2傾斜面321Bは下方に傾斜することで、その左右側に形成される第2誘導部322L、322Rとの間に上下方向の段差が生じて、第2傾斜面321Bの左右側にはガイド壁331が、前側に向けて漸次深さが大きくなるように形成されていることにより(【0100】)、第1誘導部321の第1傾斜面321Aにより後側から前側に向けて誘導されてきた遊技球は、ガイド溝330によって誘導されるとともに、第2傾斜面321Bにおいては左右のガイド壁331により前方に誘導されるため、左右にふらつきなく、かつ、左右側からの後続球に邪魔されることなく前方に誘導されるようになっていて(【0101】)、
第1誘導部321は、底面の左右幅寸法が上部の左右幅寸法の略半分であり、左右のガイド壁331及び底面により構成され、底面から上部に向かって左右幅寸法(左右のガイド壁331の左右幅方向の間隔)が拡幅する略U字形状であって、第1誘導部321の上部の左右幅寸法(左右のガイド壁331の左右幅方向の間隔)は、ステージ板301の前後幅寸法L1(約25mm)の略半分である(認定事項3)、
e パチンコ遊技機1(【0083】)。」

4 対比及び判断

(1)対比

分説にしたがい、本願発明と引用発明を対比する。

ア 特定事項Aについて

引用発明の

「遊技領域7を流下する遊技球」、

「誘導されるようになっている」こと、

「遊技球が左右方向に往復転動可能」であること、

「ステージ300」を「構成」する「ステージ板301」はそれぞれ、

本願発明の

「遊技板の前面を流下する遊技球」、

「取り込まれて」いること、

「横方向に転動する」こと、

「転動ステージ」に相当する。

してみれば、引用発明の構成a、b、cは、本願発明の特定事項Aに相当する構成を備えている。

イ 特定事項B、Cについて

(ア)上記アから、引用発明の「ステージ板301」が本願発明の「転動ステージ」に相当することを踏まえると、

引用発明の

「後辺」、

「上方に立設される」こと、

「背面板303」はそれぞれ、

本願発明の

「後縁部」、

「起立する」こと、

「後側規制壁」に相当する。

してみれば、引用発明の構成a、b、cは、本願発明の特定事項Bに相当する構成を備えている。

(イ)さらに、引用発明の

「ステージ板301の前辺から下方に垂下される前面板302おける左右端部」の「前辺304F」、

「上方に突出する」こと、

「落下防止壁305L、305R」はそれぞれ、

本願発明の

「前縁部」、

「起立する」こと、

「前側規制壁」に相当する。

してみれば、引用発明の構成a、b、cは、本願発明の特定事項Cに相当する構成を備えている。

ウ 特定事項D、Eについて

上記イ(イ)から、引用発明の「落下防止壁305L、305R」が本願発明の「前側規制壁」に相当することを踏まえると、引用発明において、「前面板302の左右方向の略中央位置に形成される第1誘導部321の前方には、前辺304Fよりも上方に突出する落下防止壁305L、305Rが形成されて」いないことは、本願発明の「前記前側規制壁を部分的に切除してな」ることに相当する。

また、引用発明の「第1誘導部321の前方に」おいて「第1誘導部321により前側に向けて誘導された遊技球が前辺304Fから落下」する位置は、本願発明の「遊技球を前記転動ステージから排出するための」「排出口」に相当し、引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

してみれば、引用発明の構成dは、本願発明の特定事項Dに相当し、引用発明の構成eは、本願発明の特定事項Eに相当する。

エ 特定事項D1について

(ア)上記イ(ア)から、引用発明の「背面板303」が本願発明の「後側規制壁」に相当し、上記ウから、引用発明の「第1誘導部321の前方に」おいて「前側に向けて誘導された遊技球が前辺304Fから落下」する位置が本願発明の「遊技球を前記転動ステージから排出するための」「排出口」に相当することを踏まえると、引用発明の「第1誘導部321」は、「背面板303」と「前辺304F」との間に位置する、すなわち、本願発明の「前記後側規制壁と前記排出口との間に」位置することに相当する構成であるといえる。

(イ)引用発明は、「第1誘導部321の第1傾斜面321Aにより後側から前側に向けて誘導されてきた遊技球は、ガイド溝330によって誘導されるとともに、第2傾斜面321Bにおいては左右のガイド壁331により前方に誘導されるため、左右にふらつきなく、かつ、左右側からの後続球に邪魔されることなく前方に誘導されるようになってい」るものであるところ、引用発明の「左右にふらつきなく、かつ、左右側からの後続球に邪魔されることなく前方に誘導されるようになっていて」いることは、本願発明の「横方向から転動してくる遊技球に対して前記横方向への転動を規制して前記排出口へと案内する」ことに相当し、引用発明の「第1傾斜面321Aの途中から第2傾斜面321Bの途中にかけて」「凹設され」た「直線状のガイド溝330」及び「第2傾斜面321Bの左右側に」「前側に向けて漸次深さが大きくなるように形成されている」「ガイド壁331」は、本願発明の「排出ガイド部」に相当する。

(ウ)加えて引用発明の「ガイド溝330」は、「第1誘導部321において、ステージ板301の後辺304Bから前辺304Fに向かう前後幅寸法L1の略半分の位置より前方に」「配置され」たものであるところ、当該「ガイド溝330」が位置するもっとも後ろ側となる「第1誘導部321において、ステージ板301の後辺304Bから前辺304Fに向かう前後幅寸法L1の略半分の位置」は、本願発明の「境界位置」に相当する。

また、引用発明の当該「ステージ板301の」「前後幅寸法L1」は、「約25mm」であるから、「ガイド溝330」は、「第1誘導部321において、ステージ板301の後辺304Bから前辺304Fに向かう前後幅寸法L1の略半分の位置」、すなわち、「ステージ板301の後辺304Bから」12~13mmより「前方に」「配置され」ているといえ、一方、引用発明の「遊技球の直径」は「約11mm」であるから、当該「ガイド溝330」が位置するもっとも後ろ側となる「第1誘導部321において、ステージ板301の後辺304Bから前辺304Fに向かう前後幅寸法L1の略半分の位置」は、本願発明の「前記後側規制壁から遊技球の半径以上離れた」位置に相当するといえる。

(エ)上記(ア)~(ウ)より、引用発明の構成d1、d2、d11は、本願発明の特定事項D1に相当する構成を備えている。

オ 特定事項D2について

(ア)引用発明において「後辺304Bに沿うように転動している遊技球」が「差し掛か」る「第1誘導部321」の後ろ側は、上記エ(イ)の検討を踏まえると、遊技球が、「ガイド溝330によって誘導される」場合と比して相対的に、「左右側からの後続球に邪魔されることなく前方に誘導されるようになってい」ないことは明らかであるから、引用発明の「ワープ通路490の流出口492」から「流出した遊技球」が、「第5誘導通路325Lにより前辺304Fに沿って右側に向けて誘導された後、第4誘導部324Lとの段差に差し掛かったところで後側に向けて誘導され」、「高低差が小さい後辺304Bに沿って右側に転動し、第1誘導部321を越えて反対側(右側)の第5誘導部325R辺りまで転動し、遊技球に勢いがあった場合や後続球に押されるなどした場合には、この左右の往復転動を複数回繰り返」すが、他方、「その後、後辺304Bに沿うように転動している遊技球が第1誘導部321に差し掛かったときにそれを乗り越える勢いがない場合は、第1誘導部321により前側に向けて誘導され」ることは、本願発明の「横方向から転動してくる遊技球に対して前記排出ガイド部より容易に前記横方向に転動することを許容する」ことに相当する構成であるといえる。

(イ)そして、上記エ(ウ)を踏まえると、引用発明の「後辺304Bに沿うように転動している遊技球」が「差し掛か」る「第1誘導部321」が、「ガイド溝330」が位置するもっとも後ろ側となる「第1誘導部321において、ステージ板301の後辺304Bから前辺304Fに向かう前後幅寸法L1の略半分の位置」(本願発明の「境界位置」に相当。)よりもステージ板301上で後ろ側に位置していることは、本願発明の「転動許容部」が、「前記境界位置より後側に形成されて」いることに相当する構成である。

(ウ)上記(ア)、(イ)より、引用発明の構成d1、d2、d11は、本願発明の特定事項D2に相当する構成を備えている。

カ 特定事項D11について

(ア)上記エ(イ)より、引用発明の「直線状のガイド溝330」及び「第2傾斜面321Bの左右側に」「前側に向けて漸次深さが大きくなるように形成されている」「ガイド壁331」が本願発明の「排出ガイド部」に相当するところ、その「左右のガイド壁331」は、「底面から上部に向かって左右幅寸法(左右のガイド壁331の左右幅方向の間隔)が拡幅する略U字形状」である「第1誘導部321」を「構成」するから、本願発明の「縦溝」に相当する。

また、引用発明の「左右のガイド壁331」から構成される「第1誘導部321」が「平面視略縦長長方形状の前部の左右幅寸法が前後方向の中央位置から前方に向けて漸次幅広となるように」「形成され」ていることは、「左右幅寸法」が「左右のガイド壁331の左右幅方向の間隔」を表していることから、本願発明の「後側から前記排出口に向かって幅広となる」ことに相当する。

(イ)上記(ア)に加えて、引用発明の「第1誘導部321は、1球の遊技球を通過可能な左右幅寸法を有し」ているとともに、「第1誘導部321の第1傾斜面321Aにより後側から前側に向けて誘導されてきた遊技球は、ガイド溝330によって誘導されるとともに、第2傾斜面321Bにおいては左右のガイド壁331により前方に誘導されるため、左右にふらつきなく、かつ、左右側からの後続球に邪魔されることなく前方に誘導されるようになって」いることから、引用発明と本願発明の特定事項D11の「排出ガイド部」が「遊技球に下側から横方向の2箇所で当接する1対の当接部を有する」こととは、遊技球を案内する手段を有する点で共通する。

キ 一致点及び相違点

上記ア~カによれば、本願発明と引用発明は、

[一致点]

「A 遊技板の前面を流下する遊技球が取り込まれて横方向に転動する転動ステージと、
B 前記転動ステージの後縁部から起立する後側規制壁と、
C 前記転動ステージの前縁部から起立する前側規制壁と、
D 前記前側規制壁を部分的に切除してなり、遊技球を前記転動ステージから排出するための少なくとも1つの排出口と、を備える遊技機において、
D1 前記後側規制壁と前記排出口との間には、
前記後側規制壁から遊技球の半径以上離れた境界位置より前側に形成され、横方向から転動してくる遊技球に対して前記横方向への転動を規制して前記排出口へと案内する排出ガイド部と、
D2 前記境界位置より後側に形成されて、横方向から転動してくる遊技球に対して前記排出ガイド部より容易に前記横方向に転動することを許容する転動許容部とが、前後に並べて設けられ、
D11’ 前記排出ガイド部は、後側から前記排出口に向かって幅広となる縦溝を有すると共に、遊技球を案内する手段を有する
E 遊技機。」である点で一致し、次の点で一応相違する。

[一応の相違点]

・一応の相違点(特定事項D11)

遊技球を案内する手段について、本願発明は、「排出ガイド部」が「遊技球に下側から横方向の2箇所で当接する1対の当接部を有する」のに対し、引用文献1にはその点の明記がなく、引用発明が当該構成を備えていると直ちにはいえない点。

(2)判断

ア 一応の相違点の検討

上記一応の相違点について検討する。

引用発明の「第1誘導部321」は、「上部の左右幅寸法(左右のガイド壁331の左右幅方向の間隔)は、ステージ板301の前後幅寸法L1(約25mm)の略半分」、すなわち、およそ12~13mm程度であって、「底面の左右幅寸法が上部の左右幅寸法の略半分」、すなわち、およそ6~6.5mm程度であるといえ、「底面から上部に向かって左右幅寸法(左右のガイド壁331の左右幅方向の間隔)が拡幅する略U字形状であ」る。

ここで、引用発明において、「第1誘導部321」の底面の「ガイド溝330」「の開口左右側縁に遊技球の下部左右が当接するように形成されてい」ることを考慮すると、「底面の左右幅寸法」がおよそ6~6.5mm程度であり、「上部の左右幅寸法」がおよそ12~13mm程度であれば、「直径」が「約11mm」の「遊技球」は、断面が「拡幅する略U字形状であ」る「第1誘導部321」の「左右のガイド壁331」それぞれに接して、「左右にふらつきなく、」「前方に誘導される」ものと認められる。このことは、前記3(1)エに摘記した【0101】に、「これにより、第1誘導部321の第1傾斜面321Aにより後側から前側に向けて誘導されてきた遊技球は、ガイド溝330によって誘導されるとともに、第2傾斜面321Bにおいては左右のガイド壁331により前方に誘導されるため、左右にふらつきなく、かつ、左右側からの後続球に邪魔されることなく前方に誘導されるようになっている。」と記載されていることからも裏付けられる。

そうすると、引用発明において、「遊技球」が、「左右のガイド壁331」それぞれに接して、「左右にふらつきなく、」「前方に誘導される」ことは、本願発明の「排出ガイド部」が「遊技球に下側から横方向の2箇所で当接する1対の当接部を有する」ことに相当すると認められる。

以上のことから、上記一応の相違点は実質的な相違点ではなく、本願発明は、引用発明である。

イ 請求人の主張について

審判請求書において、請求人は、次の(ア)、(イ)の主張をしている。

(ア)主張1

「3.本願が特許されるべき理由
本願発明は、「排出ガイド部が、後側から前記排出口に向かって幅広となる縦溝を有すると共に、遊技球に下側から横方向の2箇所で当接する1対の当接部を有する」という特徴的な構成を有しています。・・・
これに対し、審査官殿は、「引用文献1の図5、図6も参照すると、ガイド壁331及びそれに囲まれる部分(図6の331、321B付近)は、後側から排出口に向かって幅広となる縦溝であり、・・」という旨の指摘をされました。
しかしながら、引用文献1の縦溝は、後側から排出口に向かって(即ち、前側に向かって)幅広となるものではなく、引用文献1にはこのような技術思想についての記載はありません。具体的には、引用文献1では、図7(B)、図7(C)に示されるように、前方から見ると、縦溝を互いの間に形成する1対のガイド壁331は、断面しか見えない形状であり、内側面(互いに向かい合う面)が見えないものでありますので、溝幅が前後方向で一定になっているか、または、溝幅が前側に向かって狭くなっているものです。なお、詳細には、引用文献1では、縦溝が、「上側」に向かうにつれて幅広になっていると共に、ガイド壁331の高さが前側ほど高くなっています。そのため、上方から見ると(図6等)、ガイド壁331の稜線が、前側に向かって広がっているように見えるのですが、これは、縦溝が前側に向かって幅広になっていることを示すわけではありません(縦溝は、上側に向かって幅広になっているだけです)。なお、図5の斜視図では、縦溝が後側から排出口に向かって幅広となっているか否かは全く不明です。」

(イ)主張2

「また、引用文献1の発明では、縦溝の溝底面であり1対のガイド壁331の間に配置される第2傾斜面321Bが、前下がりになっています。ここで、上述のように溝幅が前後方向で一定となった縦溝では、1対のガイド壁331が遊技球に下側から横方向の2箇所で当接する1対の当接部であるとすると、遊技球が1対のガイド壁331に当接することで、前下がりの溝底面(第1傾斜面321B)からは浮き上がることとなります。そのため、引用文献1の発明において、1対のガイド壁331に遊技球が横方向の2箇所で当接するとすると、遊技球が下り坂を転動できず、本願発明に比べて、遊技球が前側に誘導され難くなります。従って、当業者が、遊技球に下側から横方向の2箇所で当接する1対の当接部を有する構成を1対のガイド壁331に採用することは、通常あり得ないことであり、仮に採用できたとしても、この構成では、本願発明の上述のような顕著な効果を奏し得ません。」

(ウ)請求人の主張について検討する。

・主張1について

前記3(1)エに摘記した【0099】に「第1誘導部321は、1球の遊技球を通過可能な左右幅寸法を有し、平面視略縦長長方形状の前部の左右幅寸法が前後方向の中央位置から前方に向けて漸次幅広となるように、後辺304Bから前辺304Fにかけて形成されている。」と記載され、同【0100】に「また、第2傾斜面321Bは下方に傾斜することで、その左右側に形成される第2誘導部322L,322Rとの間に上下方向の段差が生じることにより、第2傾斜面321Bの左右側にはガイド壁331が形成されている。つまり、前側に向けて漸次深さが大きくなるように形成されている。」とも記載されている。これらの記載に加え、図6の記載も考慮して、引用発明の「第1誘導部321」について、「平面視略縦長長方形状の前部の左右幅寸法が前後方向の中央位置から前方に向けて漸次幅広となるように、後辺304Bから前辺304Fにかけて形成され」ていること、「第2傾斜面321Bの左右側にはガイド壁331が、前側に向けて漸次深さが大きくなるように形成されていること」、及び、「底面の左右幅寸法が上部の左右幅寸法の略半分であり、左右のガイド壁331及び底面により構成され、底面から上部に向かって左右幅寸法(左右のガイド壁331の左右幅方向の間隔)が拡幅する略U字形状であ」ることを認定したものである。

つまり、引用発明の「第1誘導部321」は、「底面から上部に向かって左右幅寸法(左右のガイド壁331の左右幅方向の間隔)が拡幅する略U字形状であ」り、少なくとも前側に位置する「第2傾斜面321Bの左右側にはガイド壁331が、前側に向けて漸次深さが大きくなるように形成されている」とともに「平面視略縦長長方形状の前部の左右幅寸法が前後方向の中央位置から前方に向けて漸次幅広とな」るものでるから、「第1誘導部321」の「上部の左右幅寸法(左右のガイド壁331の左右幅方向の間隔)」が、「後辺304Bから前辺304Fにかけて」「幅広」となるといえる。

以上の検討を踏まえ、上記4(1)カ(ア)で、特定事項D11の「前記排出ガイド部は、後側から前記排出口に向かって幅広となる縦溝を有すると共に」という構成について対比を行い、引用発明と本願発明との一致点と判断したものである。

よって、請求人が主張する主張1を採用することはできない。

・主張2について

主張2は、引用発明と本願発明とに相違点があることを前提とするものであるが、主張1に対して述べたとおり、引用発明と本願発明とに相違点は存在しない以上、主張2を採用することはできない。

なお、溝幅が前後方向で一定となった縦溝では、遊技球が1対のガイド壁331に当接することで、前下がりの溝底面(第1傾斜面321B)からは浮き上がるため、遊技球が下り坂を転動できず、本願発明に比べて、遊技球が前側に誘導され難くなる旨の主張について付加的に検討する。

パチンコ遊技機の分野において、縦溝の左右の壁面により遊技球を2点支持する技術は従来周知の技術であって、例えば、特開2017-184902号公報、特開2001-293205号公報に示されるとおりであるから、遊技球が下り坂を転動できないという主張は当たらない。

よって、請求人が主張する主張2を採用することはできない。

i)特開2017-184902号公報

パチンコ遊技機100のステージ26の球落とし部27について、

球落とし部27の前後方向後ろ側には、遊技球を球落とし部27にまっすぐに向かわせるための誘い込み部27aが形成され、誘い込み部27aは、球落とし部27の後端からステージ26の奥側端部に亘って連なるように形成されていて、

誘い込み部27aは、球落とし部27に向けて直線状に下り傾斜する直線部27aaと、直線部27aaとスロープ部材25の転動面とを互いに接続する接続部27abと、を含んで構成され、直線部27aaは、遊技球の進行方向に対して一定の幅であるのに対し、接続部27abは、前後方向で異なる幅形状になっていて、誘い込み部27aは、球落とし部27に向かう側をカタカナの「ハ」字状に広がってステージ26の前端まで延びるように形成され、誘い込み部27aは、誘い込み部27aに乗った遊技球の底部を浮かせた状態で2点支持するため、遊技球と誘い込み部27aとの間の摩擦が低減され、また、遊技球の振動を低減するとともに遊技球の摺動性を高める技術(【0009】、【0077】、【0078】、図13を特に参照。)。

ii)特開2001-293205号公報

パチンコ機における発射レール13上に遊技球を1個づつ送る球送り手段15へ遊技球を案内する整列部17において、断面が略V字状又は略U字状に形成された案内溝35は、球送り方向の全長に亘って略同一深さに形成しても良いし、上流側から下流側へと徐々に深さが深くなるように形成しても良く、遊技球をその下部の左右方向で2点支持を行う技術(【0001】、【0013】~【0015】、【0021】、【0022】、【0025】、【0034】~【0036】、図6~図8を特に参照。)。

5 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-013486

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