商標拒絶査定不服審判
2022-012764
アキヤゼロ、アキイエゼロ、アキヤ、アキイエ、ゼロ
- 審判番号
- 2022-012764
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-104203
- 請求日
- 2022年08月15日
- 審決日
- 2023年08月23日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サワ建工株式会社
- 【請求人代理人】網野 友康
- 【請求人代理人】網野 誠彦
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 冨澤 武志
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T18 .16 -Z (W3637)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-104203拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年8月23日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和4年3月17日付け:拒絶理由通知書
令和4年4月21日 :意見書の提出
令和4年5月12日付け:拒絶査定
令和4年8月15日 :審判請求書及び手続補足書の提出
2 本願商標
本願商標は、「あき家ZERO」の文字を横書きしてなり、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の貸借希望者の募集の代行,土地又は建物の売買又は賃貸に関するコンサルティング及び情報の提供」及び第37類「建設工事,屋根工事,外壁工事,塗装工事,防水工事,電気設備工事,水道設備工事,ガス設備工事,外構工事,エクステリア設置工事,耐震補強工事,内外装のリフォーム工事,台所・浴室等のリフォーム工事,マンションのリフォーム工事,改修工事,建築物の修繕工事,建造物の解体工事,建設工事に関する助言,改修工事に関する助言及びコンサルティング,建築設備の運転・点検・整備」の役務を指定役務として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「あき家ZERO」の文字を普通に用いられる方法で、横書きで表してなり、その構成中、「あき家」の文字は、「空き家」の一部平仮名表記であり「人の住んでいない家。居住者のいない貸家。」等の意味を有し、「ZERO」の文字は、「(数・量・価値などが)全く無いこと。皆無。」等の意味を有する語(株式会社岩波書店 広辞苑第七版)である。
さらに、本願指定役務を取り扱う業界において、空き家の管理、活用、流通に関する取り組みは広く行われており、「空き家ゼロ」の文字は、空き家の管理、活用、流通に関する取り組み程の意味合いで普通に使用されている実情がある。
そうすると、本願商標を、その指定役務に使用した場合、これに接する需要者は、空き家の管理、活用、流通に関する取り組み程の意味合いを認識し、指定役務の説明、特性、優位性、質を表すものと理解することから、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を有せず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
4 当審における審尋
当審において、令和5年6月1日付けの審尋により、請求人に対し、本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について、請求人に対し、当審における合議体の暫定的見解を通知し、相当の期間を指定して意見を求めたところ、請求人は、同月30日に回答書を提出した。
5 審尋に対する回答書の概要
審尋では、「本願商標を役務の宣伝文句やスローガンの一種であると認識する」としているところ、「商標審査基準」の「商品又は役務の宣伝広告以外を認識させる事情」の例示に沿って、本願商標が宣伝文句等としてのみ認識されるか否かについて検討する。
(1)「指定商品又は指定役務との関係で直接的、具体的な意味合いが認められないこと」について
「空き家ゼロ」の文字については、「人の住んでいない家が全くない」という状態を表すものであって、指定役務との関係において、宣伝広告の内容を直接的、具体的に認識させるものではない。「空き家ゼロ」は、「空き家ゼロを目指す」といったように他の語と結合することによって初めて「人の住んでいない家が全くない状態を目指す」といった宣伝広告の内容を認識させるものであり、宣伝文句やスローガンとして機能するものである。
また、本願商標の構成及び態様はあくまでも「あき家ZERO」であり、「空き家ゼロ」ではないが、「空き家ゼロ」であっても、以上のとおり指定役務との関係で宣伝広告等としての直接的、具体的な意味合いが認められるとはいえない。
(2)「出願人が出願商標を一定期間自他商品・役務識別標識として使用しているのに対し、第三者が出願商標と同一又は類似の語句を宣伝広告として使用していないこと」について
「あき家ZERO」は空き家活用サービスの名称として、2021年9月から出願人が使用しているものであるが、第三者が「あき家ZERO」を宣伝広告として使用している事実は存在しない。また、「空き家ゼロ」の場合であっても、「空き家ゼロ」に他の語を結合して宣伝広告的に使用している例は見受けられるものの、「空き家ゼロ」単独では宣伝文句やスローガンとして成り立ってはいない。
したがって、出願人は出願商標「あき家ZERO」を一定期間自他役務識別標識として使用しているのに対し、第三者が出願商標「あき家ZERO」と同一又は類似の語句を宣伝広告として使用している事実は存在しない。
以上のとおり、本願商標「あき家ZERO」は、その文字構成から「人の住んでいない家が全くない」という状態を認識させる場合があっても、これ単独では役務の宣伝文句やスローガンの一種であると認識されるとはいえず、自他役務の識別標識としての機能を十分に果たし得る商標である。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当せず、登録されるべきものである。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、上記2のとおり、「あき家ZERO」の文字を横書きしてなるところ、その構成中、「あき家」の文字は、「空き家」の一部平仮名表記であり、「人の住んでいない家」、「居住者のいない貸家」の意味を有し、「ZERO」の文字は、「(数・量・価値などが)全く無いこと」、「皆無」等の意味を有する語である(株式会社岩波書店「広辞苑」第七版)。
そうすると、本願商標は、それぞれの構成文字が有する意味より、全体として「人の住んでいない家が全くない」程の意味合いを容易に理解させるものである。
また、別掲のとおり、不動産業界においては、空き家問題対策として、当該物件の売却、リフォーム、賃貸等を通じて空き家をなくすための取組みを行っており、「空き家ゼロ」の文字が、「人の住んでいない家が全くない」程の意味合いをもって、事業等の目的や方針を表すものとして使用されていることが認められる。
以上から、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する需要者は、その構成全体から「人の住んでいない家が全くない」程の意味合いを理解し、役務の宣伝文句やスローガンの一種であると認識するにとどまるというべきである。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるといえるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の構成及び態様はあくまでも「あき家ZERO」であり、「空き家ゼロ」ではないことに加え、「空き家ゼロ」の文字は、「人の住んでいない家が全くない」という状態を表すものであって、指定役務との関係において、宣伝広告の内容を直接的、具体的に認識させるものではなく、また、「空き家ゼロ」は、「空き家ゼロを目指す」といったように他の語と結合することによって初めて「人の住んでいない家が全くない状態を目指す」といった宣伝広告の内容を認識させ、宣伝文句やスローガンとして機能するものである旨主張する。
しかしながら、我が国の商取引においては、例えば、平仮名や漢字からなる商標をその読みに対応した片仮名や欧文字で代替的に表記したり、または、その逆に記載したりすることは一般的に行われていることであるから、「空き家」の文字を「あき家」と一部の漢字を平仮名に置き換えたり、「ゼロ」の片仮名を「ZERO」の欧文字に置き換えて表記することは、何ら特徴的なこととはいえない。
そして、上記(1)で述べたとおり、本願商標から容易に看取される意味合いに加え、別掲で摘示したとおり、不動産業界においては、空き家問題対策として、当該物件の売却、リフォーム、賃貸等を通じて空き家をなくすための取組みを行っている状況下にあるところ、本願商標と近似した構成からなる文字が、事業等の目的や方針を表すものとして使用されている実情が認められることからすれば、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する需要者は、これを「人の住んでいない家が全くない」程の意味合いをもって、当該役務の提供者の経営理念等をうたった宣伝文句やスローガンの一種として認識、理解するというのが相当である。
また、宣伝文句やスローガンは、看者に伝えたい内容を短時間で強い印象として残すべく、より少ない単語で簡潔に表現するよう趣向を凝らす場合が少なくないのであって、必ずしも文法的に整っているかどうかが問題となるものではないから、請求人が例示するような「目指す」の言葉の有無が、上記認定の妨げとなるとはいえない。
イ 請求人は、「あき家ZERO」は空き家活用サービスの名称として、2021年9月から出願人が使用する一方、第三者が「あき家ZERO」を宣伝広告として使用している事実は存在しない旨主張する。
しかしながら、本願商標と同一の文字を請求人以外が使用していないとしても、本願商標と近似した構成からなる文字が、本願商標とほぼ同義の意味合いにおいて、事業等の目的や方針を表すものとして使用されている実情が認められることからすれば、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する需要者は、これを「人の住んでいない家が全くない」程の意味合いをもって、当該役務の提供者の経営理念等をうたった宣伝文句やスローガンの一種として認識、理解するというのが相当であることは、上記(1)で述べたとおりである。
また、上記アで述べたとおり、本願商標について、「空き家」の文字を「あき家」と一部の漢字を平仮名に置き換えたり、「ゼロ」の片仮名を「ZERO」の欧文字に置き換えて表記することは、何ら特徴的なこととはいえない。
ウ したがって、上記の請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、本願の指定役務との関係では、商標法第3条第1項第6号に該当するから、登録することはできない。
審決本文(J-PlatPat)
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