商標拒絶査定不服審判
2024-005656
アツラエノイエ、アツラエノウチ、アツラエノ、アツラエ
- 審判番号
- 2024-005656
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-024049
- 請求日
- 2024年04月04日
- 審決日
- 2025年02月14日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】Atelier SAKURA有限会社
- 【請求人代理人】アポロ弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 滝口 裕子
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T18 .16 -Z (W363742)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 24049拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年2月21日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年8月15日付け :拒絶理由通知書
令和5年9月25日 :意見書の提出
令和5年12月19日付け:拒絶査定
令和6年4月4日 :審判請求書の提出
令和6年11月5日付け :審尋
令和6年12月15日付け:意見書の提出
2 本願商標
本願商標は、「あつらえの家」の文字を横書きしてなり、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の売買、土地の売買の代理又は媒介」、第37類「建設工事,建築一式工事,建設工事に関する助言」及び第42類「建築物の設計」を指定役務として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「あつらえの家」の文字を表してなるところ、その構成中の「あつらえ」の文字は「特に注文して作ってもらうこと。また、そのもの。」の意味を有する語であり、本願指定役務を扱う業界において、「あつらえの家」の文字は、注文住宅について「こだわりの家」のイメージを訴える宣伝文句として使用されている実情が認められる。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、単に注文住宅について「こだわりの家」のイメージを訴える宣伝文句・広告用の語句であると認識するにすぎないから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における審尋
当審において、令和6年11月5日付け審尋により、別掲1ないし別掲3の事実を示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の合議体の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
(1)別掲1について
「あつらえ」は、和英辞典(sakuradict)における認定レベルにおいて最も難しいとされるN1レベルであり、また、「誂え」は日本語検定1級で出題される文字である。
(2)別掲2(1)について
「あつらえ」よりも「注文住宅」の方が分かりやすいものとして引用されている。
(3)別掲2(2)について
あつらえの家の文字を、かぎ括弧で括って表記されており、「あつらえの家」の文字が、「宣伝文句・広告用の語句」であるならば、かぎ括弧で括る必要はない。また、限定的な地域における使用にすぎない。
(4)別掲2(3)について
本願商標の指定役務とは、全く無関係の「浴槽」についての記事である。
(5)別掲2(4)について
「あつらえ」の対象となるのは「お家」ではなく、「収納」である。
(6)別掲2(5)について
従業員数10名の会社のウェブサイトに「あつらえの家」の表示が確認できたとしても、そのアクセス数も全く不明であり、実際の工事現場でも使用されていたか不明である。
(7)別掲2(6)ないし(13)及び別掲3について
本願商標「あつらえの家」が使用されている例は1件も確認することができない。
6 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第6号について
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品又は役務の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成25年1月10日判決(平成24年(行ケ)第10323号))。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第6号の該当性について
本願商標は、「あつらえの家」の文字を横書きしてなるところ、その構成中の「あつらえ」は別掲1のとおり、「注文して作らせること。」を意味する語として、「家」は「居住用の建物。うち。」(「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)を意味する語として、いずれも広く一般に親しまれた語である。
また、別掲2によれば、本願の指定役務を含む分野において、「顧客の好みに合わせて注文して作られた家」ほどの意味合いで「あつらえの家」「あつらえた家」「あつらえる家」等の語が多数使用されている実情がある。
さらに、別掲3によれば、本願の指定役務を含む分野において、「顧客の好みに合わせて注文して作られた〇〇」ほどの意味合いで「あつらえの〇〇」「あつらえた〇〇」の語が多数使用されている実情もある。
加えて、本願商標は、「あつらえの家」の文字を一般的な書体で横書きしてなるものであり、その構成態様に顕著な特徴は認められない。
そうすると、本願商標の各構成文字の語義、及び本願の指定役務等の分野における取引の実情に照らせば、本願商標は、全体として「顧客の好みに合わせて注文して作られた家」ほどの意味合いを容易に認識させるものであって、これをその指定役務に使用するときには、それに接する取引者、需要者に、「顧客の好みに合わせて注文して作られた家」であること、すなわち、本願指定役務の特性、優位性、特徴等を表す宣伝広告であると認識させるにすぎないから、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、「あつらえ」は、和英辞典(sakuradict)の認定レベルで最も難しいとされるN1レベル、「誂え」は日本語検定1級で出題される文字であり、別掲2(1)では「あつらえ」よりも「注文住宅」の方が分かりやすいものとして引用され、別掲2(2)では、あつらえの家の文字をかぎ括弧で括っており、本願指定役務を扱う業界において、本願商標が「こだわりの家」のイメージを訴える「宣伝文句・広告用の語句」として、一般的に使用されている実情も認められない旨主張する。
しかしながら、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かは、本願商標の各構成文字の意味のみで判断するのではなく、指定役務に関連する分野における取引の実情も合わせて総合して判断すべきところ、別掲1ないし別掲3の本願商標の各構成文字の意味及び指定役務に関連する分野における取引の実情に照らせば、本願商標は、上記(2)のとおり、これに接する取引者、需要者に、「顧客の好みに合わせて注文して作られた家」ほどの意味合いを容易に認識させるものであるというのが相当である。
さらに、「あつらえの家」の文字が「注文住宅」と併記され、あるいはかぎ括弧で括られたとしても、本願商標の第3条第1項第6号の該当性の判断を左右するものではない。
イ 請求人は、別掲2(2)、(5)ないし(13)及び別掲3について、ウェブサイト上の「あつらえの家」の文字は、営業エリアが限定的であったり、アクセス数が不明であったり、「あつらえの家」が使用されていないため、本願商標が宣伝文句・広告用の語句として、一般的に使用されているものとはいえない旨主張する。
しかしながら、上記(1)によれば、商標法第3条第1項第6号に該当する標章は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであるところ、上記(2)のとおり、指定役務に関連する分野の取引において「あつらえの家」「あつらえた家」「あつらえる家」等の語が役務の特性、優位性、特徴等を表す宣伝広告として使用されている実情を考慮すれば、本願商標の「あつらえの家」の文字は、自他役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであって、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるというのが相当である。そうすると、別掲の一部の証拠において「あつらえの家」の文字自体が使用されていない、あるいは、使用されている地域が限定的であったとしても、本願商標は同号に該当するというべきである。
ウ 請求人は、別掲2(3)及び(4)は、「浴槽」「収納」についての使用である旨主張する。
しかしながら、別掲2(3)は「自然素材があつらえの家を彩る」、別掲2(4)は「収納まであつらえのお家はそう多くないはず」と記載されており、ともに指定役務に関連するものであって、需要者を共通にするものといえる。
エ 請求人は、「あつらえ」(登録第6740802号商標)については、識別力を認め、本願商標「あつらえの家」については拒絶査定(拒絶審決)されるということは、あまりにも不合理、かつ、不公平である旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務との関係や、その商品及び役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成文字が異なるものであり、指定商品及び指定役務も異なり、取引の実情も異なるなどの点において、本願商標とは、事案を異にするものというべきであるから、「あつらえ」の登録例が存在することをもって、本願商標の登録の適否の判断基準とするのは必ずしも適切ではない。
オ 請求人は、審判請求書において第3号証、第10号証ないし第32号証に係る証拠を提出し、「あつらえの家」を検索したときに、検索結果のトップページに表示される9件中、8件が、本願商標の出願人、若しくは、同人の業務に係る役務についてのウェブサイトにおける使用であり、また、本願商標は、出願人によって、長年にわたり、市場で継続して使用され、その結果、本願商標には、需要者・取引者からの信用が蓄積したとともに、顕著な識別力を獲得したものといえる旨主張する。
しかしながら、本願商標が、静岡や中部地方における広告に使用されていることはうかがえるものの、それらの広告は中部地方に限定されるものであり、また、本願商標を使用した使用数量(売上高等)、使用期間、上記以外の使用地域などは確認できない。
したがって、本願商標が指定役務に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っているものとは認められない。
カ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-005656