商標拒絶査定不服審判
2025-008577
リテールカンパニー、リテール
- 審判番号
- 2025-008577
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-124849
- 請求日
- 2025年06月03日
- 審決日
- 2026年01月08日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社
- 【請求人代理人】田中 尚文
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 正和
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 吉岡 めぐみ
- 分類
- T18 .16 -Z (W07111620212930323536373940414243)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-124849拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年11月9日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 5月 8日付け:拒絶理由通知書
令和6年 9月 5日 :意見書、手続補正書の提出
令和7年 2月19日付け:拒絶査定
令和7年 6月 3日 :審判請求書の提出
令和7年 9月25日付け:審尋
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、上段に「Retail Company」の欧文字と、下段に「リテールカンパニー」の片仮名を、普通に用いられる方法で上下二段に表してなり、第7類、第11類、第16類、第20類、第21類、第29類、第30類、第32類、第35類ないし第37類及び第39類ないし43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和5年11月9日に登録出願されたものである。
なお、本願の指定商品及び指定役務は、原審における令和6年9月5日受付の手続補正書により、別掲2のとおりの商品及び役務(以下、「原審補正商品及び役務」という。)に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標の構成中「Retail(リテール)」の文字は、「小売り」の意味を、「Company(カンパニー)」の文字は、「人の集まり、一団、仲間、会社、商社、商会」などの意味を有するものである。そして、「リテールカンパニー」の文字は「小売り事業を主とする会社」を表す語として一般に使用されている。そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する需要者(取引者)は「小売り事業を主とする会社の商品・役務」ほどの意味合いを認識するにとどまり、自他商品役務の識別標識であるとして、認識し得ないというのが相当である。したがって、本願商標は、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」にあたり、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における審尋
当審において、令和7年9月25日付けで通知した審尋により、別掲3ないし別掲5の証拠を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答
請求人は、上記4の審尋に対し、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号の趣旨について
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品又は役務の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。
そして、同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10270号同22年1月27日判決、平成24年(行ケ)第10323号同25年1月10日判決、平成25年(行ケ)第10142号同年11月14日判決)。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、上段に「Retail Company」の欧文字と、下段にその読みと認められる「リテールカンパニー」の片仮名を普通に用いられる方法で上下二段に横書きしてなるところ、その構成中の「Retail」及び「リテール」の文字は、「小売り。小口の取引や融資。」の意味を、「Company」及び「カンパニー」の文字は、「会社,商社,商会。」の意味を有する語として(いずれも、「広辞苑 第七版 岩波書店」)、いずれも広く親しまれた語であることから、両語を組み合わせてなるものであると容易に理解できるものであり、全体として、「小売を業とする会社」、あるいは、「小口の取引や融資を業とする会社」ほどの意味合いが認識されるものである。
そして、原審の拒絶理由通知書の参考情報3及び参考情報5に加えて、別掲3によれば、原審説示のとおり、原審補正商品及び役務の分野において、「Retail Company」及び「リテールカンパニー」の文字が、「小売り事業を主とする会社」を表すものとして、一般に使用されている事実が認められる。
また、原審の拒絶理由通知書の参考情報1及び参考情報2に加えて、別掲4及び別掲5によれば、原審補正商品及び役務の分野において、「リテールカンパニー」の文字が、「小売企業を対象とするサービスを提供している会社あるいは部門」を称する語として、あるいは、「小口の顧客向けサービスを提供している会社あるいは部門」を称する語として、一般に使用されている実情も認められる。
以上のことを総合的に判断すると、本願商標中の「Retail Company」及び「リテールカンパニー」の文字(語)は、その構成文字全体から、「小売を業とする会社」、「小口の取引や融資を業とする会社」、「小売り事業を主とする会社」、「小売企業を対象とするサービスを提供している会社あるいは部門」又は「小口の顧客向けサービスを提供している会社あるいは部門」ほどの意味合いを認識、理解させるものであり、これを、原審補正商品及び役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「前記の会社あるいは部門の商品又は役務」であることを理解し、認識するにとどまるというのが相当である。
そうすると、このように認識され、かつ、一般に使用されている「Retail Company」及び「リテールカンパニー」の文字は、原審補正商品及び役務との関係では、特定人による独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用されるものであって、自他商品及び役務の識別力を欠くため、商標としての機能を果たし得ないものというべきである。
したがって、本願商標は、これを原審補正商品及び役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができないものとして、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の上段及び下段の要素は、それぞれ同書・同大で極めてまとまりよく表されていることから一体的にみるべきものであり、構成中の「Retail(リテール)」及び「Company(カンパニー)」の文字は、いずれも複数の意味合いを有するため、全体として「小売り事業を主とする会社」程の意味合いが容易に理解されるものではない。
また、「リテールカンパニー」の文字が「小売り事業を主とする会社」を表すものとして一般に使用されている実情はなく、本願商標は自他商品及び役務の識別標識としての機能を十分に発揮するものであって、商標法第3条第1項第6号に該当するものではない旨主張する。
しかしながら、商標全体から生じる意味合いが、多義的、抽象的であるとしても、必ずしも、そのことをもって本願商標が自他識別力を有しないとの判断を左右する理由となるものではない。
そして、(2)のとおり、本願商標の構成中の「Retail(リテール)」及び「Company(カンパニー)」の文字が、いずれも広く親しまれている語であることからすれば、通常の理解力を有する者であれば、本願商標から、「小売を業とする会社」、「小口の取引や融資を業とする会社」、「小売り事業を主とする会社」、「小売企業を対象とするサービスを提供している会社あるいは部門」又は「小口の顧客向けサービスを提供する会社あるいは部門」ほどの意味合いを容易に認識できるというのが相当である。
また、原審補正商品及び役務に関する分野における上記(2)のとおりの本願商標の構成文字の使用の事実や実情からすると、上記(2)のとおりに判断するのが相当である。
イ 請求人は、「Retail」又は「リテール」の文字を含む構成からなる商標の登録例を挙げ、それらと同様に、本願商標も登録を認められるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様(他の文字との組み合わせから生じる意味合い等を含む。)が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、本件判断が左右されるものではない。
ウ 小括
したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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