特許拒絶査定不服審判
2022-011890
遊技機
- 審判番号
- 2022-011890
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-123786外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年08月01日
- 審決日
- 2023年03月28日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社大一商会
- 分類
- P18 .161-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条の2
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条の2、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-123786「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成31年1月17日出願公開、特開2019-5238〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯の概要
本願は、平成29年6月25日の特許出願であって、その手続の経緯は、概略、次のとおりである。
令和3年 1月18日 :上申書、手続補正書の提出
令和3年 6月11日付け:拒絶理由通知書
令和3年 7月30日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年11月10日付け:拒絶理由(最後)通知書
令和4年 1月13日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 5月10日付け:令和4年1月13日付け手続補正についての補正の却下の決定、拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和4年 8月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和4年8月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年8月1日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正により、令和3年7月30日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
遊技領域が形成された遊技盤を備え、遊技者による発射操作によって発射された遊技球が前記遊技領域に設けられた始動口に入球することにより図柄の変動表示を行い、該図柄の変動表示結果として当り結果を導出する場合に、所定の遊技利益を付与する遊技機であって、
前記遊技盤に設けられた特定操作部に対する操作に基づいて、当り確率に関する設定値を決定可能な設定モードを発生させる設定モード発生手段と、
前記設定値を表示可能な設定値表示手段と、
遊技に使用した遊技球の数を用いて計算されるベース値を表示可能なベース値表示手段と、
を備え、
前記設定値表示手段により表示される前記設定値と、前記ベース値表示手段により表示される前記ベース値は、遊技に関する演出が行われる演出表示装置とは異なる特定表示装置に表示され、
前記特定表示装置にて前記設定値が表示されている場合には、前記特定表示装置にて前記ベース値が表示されないものであり、
前記設定モード中は、前記ベース値の計算が行われないものであり、
さらに、
前記設定モードの終了後に外部に対して所定の報知を行う終了後報知実行手段を備え、
前記終了後報知実行手段による報知は、前記設定モードが終了してから一定期間後に解除される
ことを特徴とする遊技機。」は、
審判請求時に提出された手続補正書(令和4年8月1日提出)の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
遊技領域が形成された遊技盤を備え、遊技者による発射操作によって発射された遊技球が前記遊技領域に設けられた始動口に入球することにより図柄の変動表示を行い、該図柄の変動表示結果として当り結果を導出する場合に、所定の遊技利益を付与する遊技機であって、
前記遊技盤に設けられた特定操作部に対する操作に基づいて、当り確率に関する設定値を決定可能な設定モードを発生させる設定モード発生手段と、
前記設定値を表示可能な設定値表示手段と、
遊技に使用した遊技球の数を用いて計算されるベース値を表示可能なベース値表示手段と、
を備え、
前記設定値表示手段により表示される前記設定値と、前記ベース値表示手段により表示される前記ベース値は、遊技に関する演出が行われる演出表示装置とは異なる特定表示装置に表示され、
前記特定表示装置にて前記設定値が表示されている場合には、前記特定表示装置にて前記ベース値が表示されないものであり、
前記設定モード中は、前記ベース値の計算が行われないものであり、
さらに、
前記設定モードの終了後に外部に対して所定の報知を行う終了後報知実行手段を備え、
前記終了後報知実行手段による報知は、前記設定モードが終了してから一定期間後に解除されるものであり、
さらに、前記設定モードが終了すると、前記ベース値と前記設定値の何れとも異なる態様の特別表示が前記特定表示装置にて表示される
ことを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために合議体が付した。)。
2 補正の適否
2-1 補正の目的及び新規事項について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「特定表示装置」における「表示」について、「前記設定モードが終了すると、前記ベース値と前記設定値の何れとも異なる態様の特別表示が前記特定表示装置にて表示される」と限定することを含む補正である。
そして、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
さらに、本件補正の補正事項は、願書に最初に添付した明細書及び図面の【1164】、【1193】の記載に基づくものであり、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
2-2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A~Kは、分説するために合議体が付した。)
「【請求項1】
A 遊技領域が形成された遊技盤を備え、遊技者による発射操作によって発射された遊技球が前記遊技領域に設けられた始動口に入球することにより図柄の変動表示を行い、該図柄の変動表示結果として当り結果を導出する場合に、所定の遊技利益を付与する遊技機であって、
B 前記遊技盤に設けられた特定操作部に対する操作に基づいて、当り確率に関する設定値を決定可能な設定モードを発生させる設定モード発生手段と、
C 前記設定値を表示可能な設定値表示手段と、
D 遊技に使用した遊技球の数を用いて計算されるベース値を表示可能なベース値表示手段と、
を備え、
E 前記設定値表示手段により表示される前記設定値と、前記ベース値表示手段により表示される前記ベース値は、遊技に関する演出が行われる演出表示装置とは異なる特定表示装置に表示され、
F 前記特定表示装置にて前記設定値が表示されている場合には、前記特定表示装置にて前記ベース値が表示されないものであり、
G 前記設定モード中は、前記ベース値の計算が行われないものであり、
さらに、
H 前記設定モードの終了後に外部に対して所定の報知を行う終了後報知実行手段を備え、
I 前記終了後報知実行手段による報知は、前記設定モードが終了してから一定期間後に解除されるものであり、
J さらに、前記設定モードが終了すると、前記ベース値と前記設定値の何れとも異なる態様の特別表示が前記特定表示装置にて表示される
K ことを特徴とする遊技機。」
(2)先願の記載事項及び先願発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の特許出願であって、本願の出願後に出願公開された特願2017-123746号(特開2019-5223号)(出願日:平成29年6月23日、出願人:サミー株式会社、発明者:加藤高大)(以下「先願」という。)には、「ぱちんこ遊技機」に関し、次の事項が図面とともに記載されている(下線は合議体が付した。)。
ア 記載事項
(ア)
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような遊技機は従来から多く存在しているため、更なる斬新な遊技性が実現されるような機種の開発が望まれているという課題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本態様に係るぱちんこ遊技機は、
遊技球が入球可能な第一始動口(例えば、第1主遊技始動口A10)と、
遊技球が入球可能な第二始動口(例えば、第2主遊技始動口B10)と、
所定の入球口(例えば、第2主遊技始動口B10)に取り付けられた、開放状態及び閉鎖状態に変位可能な可変部材であって、開放状態に変位したときには所定の入球口(例えば、第2主遊技始動口B10)に遊技球が入球可能又は閉鎖状態と比較して入球容易であり、閉鎖状態に変位したときには所定の入球口(例えば、第2主遊技始動口B10)に遊技球が入球不能又は開放状態と比較して入球困難に構成されている可変部材(例えば、第2主遊技始動口電動役物B11d)と、
閉状態と開状態とを採り得る可変入賞口(例えば、第1大入賞口C10、第2大入賞口C20)と、
第一主遊技識別情報を表示可能な第一主遊技識別情報表示部(例えば、第1主遊技図柄表示部A21g)と、
第二主遊技識別情報を表示可能な第二主遊技識別情報表示部(例えば、第2主遊技図柄表示部B21g)と、
遊技の進行を制御する主遊技部(例えば、主制御基板M)と、
演出を表示可能な演出表示部(例えば、演出表示装置SG)と、
演出表示部への演出表示を制御する副遊技部(例えば、副制御基板S)と
を備え、
主遊技部(例えば、主制御基板M)は、
第一始動口(例えば、第1主遊技始動口A10)への入球に基づき、第一乱数を取得する第一乱数取得手段と、
第一乱数取得手段が取得した第一乱数に基づき、第一主遊技識別情報表示部(例えば、第1主遊技図柄表示部A21g)にて第一主遊技識別情報を変動表示した後、第一主遊技識別情報を停止表示するよう制御する第一主遊技識別情報表示制御手段と、
第二始動口(例えば、第2主遊技始動口B10)への入球に基づき、第二乱数を取得する第二乱数取得手段と、
第二乱数取得手段が取得した第二乱数に基づき、第二主遊技識別情報表示部にて第二主遊技識別情報を変動表示した後、第二主遊技識別情報を停止表示するよう制御する第二主遊技識別情報表示制御手段と、
第一主遊技識別情報又は第二主遊技識別情報が所定グループに属する停止表示態様にて停止表示された後、可変入賞口(例えば、第1大入賞口C10、第2大入賞口C20)への所定個数の入球があるか又は所定期間が経過するまで可変入賞口(例えば、第1大入賞口C10、第2大入賞口C20)を遊技者にとって有利な状態とし得る単位遊技を複数回実行する特別遊技を実行可能であり、第一主遊技識別情報又は第二主遊技識別情報が特定グループに属する停止表示態様にて停止表示された後、可変入賞口(例えば、第1大入賞口C10、第2大入賞口C20)への特定個数の入球があるか又は特定期間が経過するまで可変入賞口(例えば、第1大入賞口C10、第2大入賞口C20)を遊技者にとって有利な状態とし得る単位遊技を一回実行する可変入賞口開放遊技を実行可能である特別遊技制御手段と、
副遊技部(例えば、副制御基板S)側で実行される演出表示に際して必要な遊技情報を副遊技部側へ送信する遊技情報送信手段と
を備え、・・・」
(イ)「【0010】
以下の実施形態は、従来の第1種ぱちんこ遊技機を二つ混在させたような機種(第1種第1種複合機)である。但し、これには何ら限定されず、他の遊技機(例えば、従来の第1種、第2種、第3種、一般電役等のぱちんこ遊技機)に応用された場合も範囲内である。尚、本実施形態は、あくまで一例であり、各手段が存在する場所や機能等、各種処理に関しての各ステップの順序、フラグのオン・オフのタイミング、各ステップの処理を担う手段名等に関し、以下の態様に限定されるものではない。また、上記した実施形態や変更例は、特定のものに対して適用されると限定的に解すべきでなく、どのような組み合わせであってもよい。例えば、ある実施形態についての変更例は、別の実施形態の変更例であると理解すべきであり、また、ある変更例と別の変更例が独立して記載されていたとしても、当該ある変更例と当該別の変更例を組み合わせたものも記載されていると理解すべきである。・・・
【0011】
(本実施形態)
ここで、各構成要素について説明する前に、本実施形態に係るぱちんこ遊技機の特徴(概略)を説明する。以下、図面を参照しながら、各要素について詳述する。
・・・
【0013】
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係るぱちんこ遊技機の前面側の基本構造を説明する。ぱちんこ遊技機は、主に遊技機枠と遊技盤D35で構成される。以下、これらを順に説明する。
・・・
【0018】
次に、遊技盤D35は、外レールD32と内レールD34とにより区画された遊技領域D30が形成されており、透明板D16を介して遊技盤D35上(遊技領域D30上)を流下する遊技球の位置を確認できるようになっている。遊技領域D30は、左打ち領域DL10と右打ち領域DR10とに大別される。そして、当該遊技領域D30には、図示しない複数の遊技釘及び風車等の機構や各種一般入賞口の他、左打ちルートML10、右打ちルートMR10、第1主遊技始動口A10、第2主遊技始動口B10、補助遊技始動口H10、第1大入賞口C10、第2大入賞口C20、第1主遊技図柄表示装置A20、第2主遊技図柄表示装置B20、演出表示装置SG、補助遊技図柄表示装置H20、センター飾りD38、可動体役物YK、右一般入賞口用ランプLP10、左一般入賞口P10、右一般入賞口P20、サブ入力ボタンSB及びアウト口D36が設置されている。尚、本実施形態においては、左打ちルートML10を第1流下ルートと称することがあり、右打ちルートMR10を第2流下ルートと称することがある。以下、各要素を順番に詳述する。」
(ウ)
「【0032】
次に、第1大入賞口C10は、第1主遊技図柄(特別図柄)又は第2主遊技図柄(特別図柄)が大当り図柄停止した場合に開状態となる、横長方形状を成しアウト口D36の右上方に位置した、主遊技に対応した入賞口である。・・・
【0033】
次に、第2大入賞口C20は、第1主遊技図柄(特別図柄)又は第2主遊技図柄(特別図柄)が大当り図柄で停止した場合に開状態となる、横長方形状を成しアウト口D36の右上方に位置した、主遊技に対応した入賞口である。・・・」
(エ)
「【0048】
次に、図2を参照しながら、ぱちんこ遊技機の背面側における基本構造を説明する。ぱちんこ遊技機は、ぱちんこ遊技機の全体動作を制御し、特に第1主遊技始動口A10(第2主遊技始動口B10)へ入球したときの抽選等、遊技動作全般の制御(即ち、遊技者の利益と直接関係する制御)を行う主制御基板Mと、遊技内容に興趣性を付与する演出表示装置SG上での各種演出に係る表示制御等を行うサブメイン制御部SMと、主に演出表示を実行するサブサブ制御部SSと、所定のエラー発生時に点灯してエラー発生を報知するエラーランプSS3と、賞球タンクKT、賞球レールKR及び各入賞口への入賞に応じて賞球タンクKTから供給される遊技球を上球皿D20へ払い出す払出ユニットKE10等を備える賞球払出装置(セット基盤)KEと、所定のエラーを解除するためのエラー解除スイッチKH3aと、賞球払出ユニットKE10による払出動作を制御する賞球払出制御基板KHと、払出に係るエラーの発生状況を表示(例えば、7セグ表示)するエラー表示器KH3と、払出ユニットKE10による払出動作を制御する賞球払出制御基板KHと、上球皿D20の遊技球(貯留球)を遊技領域D30へ1球ずつ発射する発射装置D42と、発射装置D42の発射動作を制御する発射制御基板D40と、ぱちんこ遊技機の各部へ電力を供給する電源供給ユニットEと、ぱちんこ遊技機の電源をオン・オフするスイッチである電源スイッチEa等が、前枠D14裏面(遊技側と反対側)に設けられている。
【0049】
また、主制御基板M上には、第1主遊技始動口A10、第2主遊技始動口B10、左一般入賞口P10、右一般入賞口P20、第1大入賞口C10、第2大入賞口C20、等の入賞口への遊技球の入球状況を表示し得る入球状態表示装置J10が設けられており、4桁の8セグメント表示器が横一列に整列されて取り付けられている。尚、同図における入球状態表示装置J10は、主制御基板Mの遊技機の裏側方向の面に設けられており、遊技場側が所持している鍵で扉ユニットD18を解錠して扉ユニットD18を開放し、扉ユニットD18(遊技盤)の裏面に取り付けられた基板類を確認する必要があるので、遊技者は確認することができないよう構成されている。尚、入球状態表示装置J10に表示する前記入球状況の一例としては、総アウト個数による区間情報やベース比率(『(低確払出個数÷低確アウト個数)×100』で算出される値)等が挙げられる。尚、ステップ1550‐10の処理を実行するROM・RAM領域と、ステップ1000‐1~ステップ3500の処理を実行するROM・RAM領域とを異なる(互いにアドレスが重複していない)領域となるよう構成してもよい。」
(オ)
「【0056】
ここで、発射装置D42は、遊技者が発射ハンドルD44を直接操作したことが検出(タッチ検出)された場合に発射ハンドルの操作量に基づいて発射強度(発射位置)を決定し、遊技領域D30の任意の位置に向けて遊技球を1球ずつ発射できるように構成されており、連続して遊技球を発射する場合でも遊技球が1分間に100個を超えて発射できないようにカウンタやタイマ等により一定間隔(例えば599.9ms/1個)で遊技球が発射されるように構成されている。換言すると、確率変動遊技状態等の遊技状態や特別遊技の実行有無等の遊技の状態に関係することなく、常時一定間隔で遊技球の発射が行われる(発射速度が相違しない)ように構成されており、これにより、遊技の状態にかかわらず遊技者の発射技量が適切に反映されるようになっている。詳述すると、遊技者が右打ちを所望する場合には、右打ちを実行可能な発射強度に対応する位置に発射ハンドルD44を操作することにより右打ちを実行可能であり、遊技者が左打ちを所望する場合には、左打ちを実行可能な発射強度に対応する位置に発射ハンドルD44を操作することにより左打ちを実行可能となっており、特別遊技の実行中であるか否かなど遊技の状態に拘わらず、常時発射ハンドルD44の操作に基づく発射強度にて遊技球を発射可能に構成されているのである。」
(カ)
「【0618】
(第6実施形態)
尚、本実施形態においては、遊技機の主遊技図柄の当否当選確率等に対応する設定値を1種類のみ設ける構成としているが、このような設定値を複数設ける構成としてもよい。そこでこのような設定を複数設ける構成を第6実施形態とし、以下、本実施形態との相違点について詳述する。
・・・
【0620】
はじめに、第6実施形態に係るぱちんこ遊技機は、主遊技図柄の当否当選確率等を異ならせるための設定値を複数備えるために、設定変更手段として、設定変更用のキースイッチ及び設定変更ボタンを設けている。以下、本例における設定変更用の装置として、設定変更用のキースイッチと設定変更ボタンを用いて説明するが、これに限らず、ディップスイッチ等の一般的な入力装置を採用してもよい。また、特定の管理者のみが設定変更を行うことを可能にする観点より、設定変更用のキーを用いるのが好適だが、その他にも、パスワードの入力、生体認証、等のセキュリティ性能の高い認証システムを利用して設定変更を可能とするように構成してもよい。
・・・
【0622】
以下では、電源投入時における、設定変更に係る処理について、図124aを用いて説明する。
【0623】
まず、図124aは、第6実施形態に係る、主制御基板Mが行う一般的な処理の流れを示したメインフローチャートである。遊技機の電源投入後、ステップ1001(第6)で、主制御基板Mは、設定キースイッチの操作がなかったか否かを判定する。ステップ1001(第6)でYESの場合、ステップ1002の処理に移行する。ステップ1001(第6)でNOの場合(設定キースイッチの操作が有った場合)、主制御基板Mは、ステップ1003(第6)の処理(後述する、設定変更処理)を実行し、ステップ1004の処理に移行する。
・・・
【0626】
なお、本例では、図124の右上に示すイメージ図のように、設定キー差込口(及び、設定キー差込口に一対一で対応する設定変更用のキースイッチ)及び設定変更ボタンを主制御基板Mの遊技機の裏側方向の面(より詳細には、本例では、入球状態表示装置J10の周辺)に設置しているが、他の部分に配置することも可能である。また、設定変更に設定キーを利用する場合、設定キーを保持する特定の管理者のみが設定変更を行うことを意味するため、通常、遊技中に設定変更が行われることはない。すなわち、設定変更が可能な状態では、遊技機前面に設定値を表示させる方が設定変更をスムーズに行う点において利便性が高い一面もある。この場合、遊技機に設けられている既存の発光手段(例えば、図1の特別図柄表示装置(第1主遊技図柄表示装置A20や第2主遊技図柄表示装置B20))を兼用し、設定変更中、または、設定確認中のみ設定値を表示させるようにすることで、設定値の確認を容易にすることができる。」
(キ)
「【図124a】
[図:0001398045000001.jpg]
」
(ク)
「【0629】
次に、設定変更等の操作方法と設定変更・設定表示の作用の概要について簡単に説明する。設定値の確認を行う際には、まず、開閉蓋SKCを付勢力に抗して所定角度開放し、設定キースイッチSK1の設定キー差込口に設定キー(鍵)を挿入してキーを右方向に回転させる。この操作により、7セグメントLEDで形成された設定値表示装置に、現在の設定値(例えば設定値の範囲が1~6であれば該当する数値)が表示され、設定表示モードであることを示すためにセグメントDP(ドット)が表示される。なお、本実施例においては、遊技機が起動している際には、設定値の表示は可能であるものの、設定値の変更処理はできないように構成されている。
【0630】
一方、設定値の変更を行う際には、まず、電源スイッチEa(図2参照)を操作して電源をオフにし、その後、開閉蓋SKCを付勢力に抗して所定角度開放し、設定キースイッチSK1の設定キー差込口に設定キー(鍵)を挿入してキーを右方向に回転させる。そして、再度電源スイッチEa(図2参照)を操作して電源をオンにする。この操作により、7セグメントLEDで形成された設定値表示装置に、現在の設定値(例えば設定値の範囲が1~6であれば該当する数値)が点滅表示され、設定変更モードであることを示すためにセグメントDP(ドット)が消灯表示される。この状態で、設定変更ボタンSK2を押圧操作すると、現在の設定値に+1ずつされた新たな設定値が一時記憶され、記憶された設定値が設定値表示装置に表示される。管理者は、任意の設定値となるように設定変更ボタンSK2を操作する。なお、本実施例では、電源投入時の設定値が「1」であれば、設定変更ボタンSK2を1回押圧操作する毎に「1」「2」・・・「5」「6」「1」のように変更される。そして、設定変更ボタンの操作により、任意の設定値に変更(設定値表示装置に任意の設定値が表示)した状態で設定キースイッチSK1に挿入されているキーを左方向に回転させると、設定変更処理が完了し、所定時間(例えば1000ms)設定値表示装置に、現在の設定値が点灯表示されるとともにセグメントDP(ドット)が点灯表示された後、双方の表示が消灯する。
【0631】
図125は、第6実施形態に係る、設定変更処理の流れを示したフローチャートである。設定変更処理が開始されると、ステップ1003-1で、設定変更処理が開始したことを示すコマンドをセットし、サブ制御手段に対して送信する。これにより、サブ制御手段は、液晶ディスプレーにおいて「設定変更モード中」等の表示を行うことができる(図140)。また、同時に、外端信号(セキュリティ信号)として外部端子板への出力を行う。ステップ1003-2で、設定値が正常な範囲(「1」~「6」)にあるか否かを確認し、YESの場合、ステップ1003-4の処理に移行する。ステップ1003-2でNOの場合、すなわち、設定値が「1」~「6」以外の異常な値と判断された場合には、ステップ1003-3で最低出玉率である「1」をセットし、ステップ1003-4の処理に移行する。ステップ1003-4では、特別図柄表示装置に設定変更中であることを示す表示態様(例えば、全点灯)でLEDを点灯させ、同時に、設定表示装置に現在の設定値を表示する。次に、ステップ1003-5で、設定変更ボタンの入力があるか否かを確認し、NOの場合、ステップ1003-11の処理に移行する。ステップ1003-5でYESの場合、ステップ1003-6で設定変更ボタンによって切り替えられた設定値データを取得し、ステップ1003-7の処理に移行する。ステップ1003-7では、現在の設定値が最大値でないか否かを確認し、YESの場合、ステップ1003-9の処理に移行し、設定値に1を加算する。ステップ1003-7でNOの場合、すなわち、設定値が最大の「6」であると判断された場合には、ステップ1003-8で最低出玉率である「1」をセットするとともに、ステップ1003-9の処理に移行し、設定値に1を加算する。続いて、ステップ1003-10で設定値データの更新を行い、ステップ1003-11で設定キー信号の立下りがあるかどうかを確認する。ステップ1003-11では、設定キー信号の立下りがない場合、ステップ1003-5の処理に移行し、設定キー信号の立下りが確認されるまでステップ1003-5の処理からステップ1003-11の処理を繰り返す。ステップ1003-11でYESの場合、すなわち設定キースイッチが設定変更を行う前の状態に戻ったと判断された場合、ステップ1003-12で特別図柄表示装置のLEDを全消灯することで、設定変更中であることを示す表示態様をクリアした後、ステップ1003-13で、設定変更処理が終了したことを示すコマンドをセットし、サブ制御手段に対して送信する。これにより、サブ制御手段は、液晶ディスプレーにおいて表示中の「設定変更モード中」を非表示にするとともに、外部端子板への出力を停止する。ステップ1003-13の処理が終了した後は、本処理のステップ1004の処理に移行し、RAMクリアを実行する。また、本実施形態の処理フローにおいては、設定変更ボタンによって切り替えられた設定値が設定キー信号の立下りによって確定される処理となっているが(ステップ1003-11)、これに限らず、いずれかのメイン操作(図示しない、玉貸しボタンや、ハンドルのセンサ、等)を行うことで設定値を確定させるようにしてもよい。さらにいうと、盤面に設けられた各種スイッチの入力情報(各種ゲート、始動口、アタッカー、等)によって設定値を確定させるようにしてもよく、この場合には、遊技者が各種スイッチに触れることができないことより、不正な設定変更を防止することができるとともに、このように設定変更において複雑な手順を採用することで、不正な設定変更を予防する役目もある。また、全体の処理を通して、RAMで管理する設定値データとして「1」~「6」を用いて説明したが、それぞれ、設定値データ「0」~「5」に置き換えて処理を行ってもよい。このようにすることで、RAM異常によりRAMクリアが発生した際、設定値データを管理するRAMの値に「0」がセットされることによる異常判定(ステップ1003-2でNO)を回避することができる。設定値データを「0」~「5」で管理すると、「0」は設定値データとして扱われているため、異常と判断されることがない。さらに、設定値データを利用して何らかの抽選を行う場合(例えば、先読みテーブル等において設定値毎に異なるデータを選択する場合)、テーブル選択におけるオフセット処理が行いやすい利点もある。具体的に、設定値データを「1」~「6」で管理する場合、テーブル選択のオフセットデータとしてそのまま使用する際には、開始アドレスを-1する等の処理を行う必要があるが、設定値データを「0」~「5」で管理する場合、そのままの値をオフセットデータとして使用することができる。実際に、設定値データを設定表示装置に表示する際には、設定値データに1加算することで「1」~「6」として表示する。
・・・
【0635】
ここで、前述のように、電源投入時に(所定条件のもとで)行われる設定変更処理においては、設定キースイッチの操作が有った場合、設定キースイッチの操作が終了するまでは次の処理に移行しない一方、設定キー操作判定処理においては、設定キースイッチの操作が有った場合でも、設定キースイッチの操作の終了を待たずに次の処理に移行可能なように構成されている。従って、設定変更処理が実行されている状況(具体的には、設定変更中)と、設定キー操作判定処理において設定キースイッチの操作が有りと判定されている状況(具体的には、設定値表示中)とで実行可能な処理が相違する構成を採り得る。ここで、設定変更中の場合と、設定値表示中の場合とにおいて、各々実行可能な処理の一例を以下の表に示す。尚、表中において、「○」は該当する処理を実行可能であることを示し、「×」は該当する処理を実行不可能であることを示し、「△」は該当する処理が一時停止されることを示す。尚、表中において、「遊技関連入力」とは、例えば、入賞口からのセンサ入力である。また、「異常報知A」とは、例えば、ガラス枠セット・遊技盤D35の枠の開放エラー、衝撃によるエラー等の異常報知である。また、「異常報知B」とは、例えば、磁気、断線・短絡・電源、電波に係る異常報知である。また、「演出制御コマンド」とは、例えば、副制御基板S側へのコマンド送信である。また、「払出制御コマンド」とは、例えば、賞球払出制御基板KHへのコマンド送信である。また、「乱数更新」とは、例えば、普通図柄当り乱数(例えば、補助遊技図柄当選乱数)、普通図柄図柄乱数(例えば、補助遊技図柄停止図柄乱数)、特別図柄図柄乱数(例えば、図柄抽選乱数)、及び特別図柄当りソフト乱数等を更新する処理である。また、「外部出力」とは、例えば、外部端子板へ出力するセキュリティ信号(設定変更中又は設定値表示中である旨の信号)の出力である。また、「メンテナンスモード」とは、副制御基板S側での情報出力に関する各種設定モードである。また、「報知」とは、副制御基板S側での設定変更中又は設定値表示中である旨の報知である。また、「払出」とは、賞球払出制御基板KH側での遊技機の払出し処理である。また、「発射」とは、発射制御基板D40側での遊技球の発射可能又は不可能を意味する。」
(ケ)
「【図125】
[図:0001398045000002.jpg]
」
(コ)
「【0638】
≪設定値表示装置≫
次に、設定値表示装置について説明する。設定変更する際に、設定しようとする設定値を表示するための設定値表示装置を主制御基板Mに備えている。設定値表示装置は、7セグメント表示器であり、「1」~「6」の表示により、設定1~6の6段階を判別可能となっている。尚、本実施形態では、設定値表示装置を、入球状態表示装置J10、RAMクリアボタン等とは別個に備える例を説明したが、これに限らず、入球状態表示装置J10を利用して設定値の表示を行うようにしてもよい。この場合、入球状態表示装置J10には、設定値とベース値との両方が表示されることになるが、設定変更モードの間は設定値を表示するようにし、それ以外の場合には、ベース値を表示するのが望ましい。また、設定変更モードの間もベース値を表示し続けるようにすることも可能であり、その際は、設定値とベース値の表示を、時間、または、いずれかの入力装置の操作によって切り替えることが考えられる。さらに、入球状態表示装置J10の表示態様を変更することで、4桁の7セグにて、設定値とベース値の両方を同時に表示してもよい。
・・・
【0640】
次に、設定値の記憶領域について説明する。
≪設定値の記憶領域≫
第6実施形態におけるRAM領域は、設定値の記憶領域(特定領域)とその他の遊技データ記憶領域(例えば、主遊技側乱数、ラウンド数等)とが構成されており、設定値の記憶領域は、RAM領域の先頭アドレスから記憶するよう構成されている。尚、設定キースイッチによる設定変更及びRAM領域に異常があった場合には、設定値の記憶領域を含め、全てのRAM領域がクリア(初期化)されるが、RAMクリアボタンの操作によるRAMクリアでは、設定値の記憶領域はクリアされず、その他の遊技データ記憶領域のデータのみがクリア(初期化)される。また、RAMクリア時のクリア範囲を指定し易くすることを目的として設定値をRAM領域の先頭アドレスに記憶する例を説明したが、RAM領域のいずれのアドレスに記憶しても問題ない。
・・・
【0646】
<外部出力>
次に、主制御基板MのCPUMCが外部へ出力する情報について説明する。主制御基板MのCPUMCが外部へ出力する情報として、1.設定値、2.設定変更中を示す信号、を出力することが可能である。本実施例においては、1.設定値の外部出力、2.設定変更中を示す情報、の双方とも主制御基板Mからホールコンピュータに出力するよう構成している。なお、設定変更中を示す信号は、設定変更中は継続して出力されており、設定変更終了後の所定時間(例えば、1000ms)まで継続して出力されるよう構成されている。さらに、主制御基板MのCPUMCは、副制御基板SのCPUSC及び賞球払出制御基板のCPUに、設定値コマンド、設定変更開始コマンド、設定変更終了コマンドを送信するよう構成されている。」
(サ)
「【0683】
(第7実施形態)
本実施形態において、入球に係る情報を入球状態表示装置に表示し得るよう構成されている。入球に係る情報の生成・表示等の処理を主制御基板(主制御基板MのCPUMC)にて実行するよう構成した実施形態を第7実施形態として詳述する。
【0684】
<第1ROM・RAM領域における処理>
まず、図127は、第7実施形態における、主制御基板M側のメインフローチャートである。図127における特徴的な処理は、ステップ1001(第7)、ステップ1003(第7)、ステップ1000(第7)、ステップ1005(第7)、ステップ1001‐1(第7)、ステップ1001‐2(第7)、ステップ1018‐1(第7)、ステップ1018‐2(第7)、ステップ1019(第7)、ステップ1992(第7)、ステップ7000(第7)である。はじめに、電源が投入された後、ステップ1001(第7)で、主制御基板MのCPUMCは、設定キースイッチの操作がないか否かを判定する。ステップ1001(第7)でYesの場合、ステップ1000(第7)の処理に移行する。なお、ステップ1001(第7)でYesの場合には、電断時に第1RAM領域にバックアップされている設定値が復元される。他方、ステップ1001(第7)でNoの場合、ステップ1003(第7)で、主制御基板MのCPUMCは、設定変更処理を実行し、ステップ1004の処理に移行する。次に、ステップ1000(第7)で、主制御基板MのCPUMCは、第1ROM・RAM領域における処理として、第2ROM・RAM領域の電源投入時の第2RAM領域確認処理を呼び出す。次に、ステップ1005(第7)で、主制御基板MのCPUMCは、第2ROMのプログラムにより、第1RAM領域に記憶されている設定値を参照し、設定値に対応する第2RAM領域をセットする。したがって、以降の処理は、設定値に対応する第2RAM領域を用いて行われることとなる(例えば、設定値として「1」が設定されている場合、第2RAM領域の設定「1」に対応する記憶領域を用いる)。次に、ステップ1001‐1(第7)で、主制御基板MのCPUMCは、第2ROM・RAM領域における処理として、第2RAM領域に異常があるか否かを判定する(例えば、設定値として「1」が設定されている場合、第2RAM領域の設定「1」に対応する記憶領域に異常があるか否かを判定する)。ステップ1001‐1(第7)でYesの場合、ステップ1001‐2(第7)で、主制御基板MのCPUMCは、第1RAM領域及び第2RAM領域のデータを全てクリアする(例えば、第1RAM領域のデータと、設定値として「1」が設定されている場合、第2RAM領域の設定「1」に対応する記憶領域のデータをクリアする)。尚、第1RAM領域の更新は第1ROM・RAM制御によってのみに行われ、第2RAM領域の更新は第2ROM・RAM制御によってのみに行われるよう構成されているため、第1RAM領域のクリアは、第1ROM・RAM制御における処理で行われ、第2RAM領域のクリアは、第2ROM・RAM制御における処理で行われる。ここで、第2RAM領域についてイメージ図を用いて説明する。第2RAM領域は、設定値に対応するように設けられており、設定1に対応する第2RAM領域、設定2に対応する第2RAM領域、設定3に対応する第2RAM領域、等が設けられている。つまり、設定1に対応する第2RAM領域には、初期フラグ、表示データ切替フラグ1、表示データ切替フラグ2、通常時賞球数カウンタ値、通常時アウト個数カウンタ値、総アウト個数カウンタ値等が記憶され、設定2、設定3に対応する第2領域にも同様に、初期フラグ、表示データ切替フラグ1、表示データ切替フラグ2、通常時賞球数カウンタ値、通常時アウト個数カウンタ値、総アウト個数カウンタ値等が記憶されるよう構成されている。第1ROM・RAM領域における処理として、ステップ1018の処理を実行した後、ステップ1018‐1(第7)で、主制御基板MのCPUMCは、電源断信号の入力ポートの値をロードする。次に、ステップ1018‐2(第7)で、主制御基板MのCPUMCは、入力ポートの値が電源断の発生を示す値ではないか否かを判定する。例えば、入力ポートの値が0であれば、電源断が発生していないことを示し、入力ポートの値が1であれば、電源断が発生していることを示すよう構成されている。ステップ1018‐2(第7)でYesの場合、ステップ1019(第7)で、主制御基板MのCPUMCは、第2ROM・RAM領域の入球状態表示装置演算処理を呼び出す{つまり、第1ROM・RAM領域におけるメインループ処理(ステップ1018~ステップ1019の処理を繰り返し行う)で入球状態表示装置演算処理を呼び出して(例えば、call命令)、第2ROM・RAM領域で入球状態表示装置演算処理を実行する}。他方、ステップ1018‐2(第7)でNoの場合、主制御基板MのCPUMCは、ステップ1020、ステップ1022の処理を行い、電源が落ちるまで待機する。タイマ割り込み時処理では、ステップ2000~ステップ1990の処理を実行した後、ステップ1992(第7)で、主制御基板MのCPUMCは、第2ROM・RAM領域の入球状態表示装置表示制御処理を呼び出す。尚、ステップ1008のRAMチェック(例えば、電断時に記録されたチェックサムとRAM領域に保存されている情報量との比較を行う)は、第1RAM領域のチェックを行う処理であり、第2RAM領域のチェックを行う処理{詳細は後述するが、第2RAM領域内の特定のデータに異常があるか否かを判定する処理(即ち、ステップ1008における第1RAM領域のチェックとはチェック処理が異なる)}ではない。また、第1ROM・RAM制御における処理である主制御基板側メイン処理及びタイマ割り込み処理において第2ROM・RAM制御における処理が呼び出された後は、第1ROM・RAM領域ではなく、第2ROM・RAM領域を使用して処理が実行される。尚、主制制御基板M側の処理に使用するカウンタ類や制御用データ(レジスタの値等)はバックアップされる構成のため、第1RAM領域に記憶されているデータと同様に、当該実施形態における第2RAM領域に記憶されている全データもバックアップされるように構成されている。また、当該第7実施形態において「クリア」との用語は、ゼロクリアするだけに限られず、初期化することも含む(つまり、遊技開始状態である初期状態に戻すことについて「クリア」の用語を使用する)。
・・・
【0689】
次に、図132は、第7実施形態における、図130のステップ8700のサブルーチンに係る、第2ROM・RAM領域による制御である区間B以降時判定のフローチャートである。まず、ステップ8702で、主制御基板MのCPUMCは、総アウト個数カウンタ値が60000以上であるか否かを判定する(ここで使用した60000の数値は例示であり、遊技球の発射間隔を100個/分とした場合において、遊技球の発射時間が10時間に到達したことの想定値である)。次に、ステップ8702でYesの場合、ステップ8706で、主制御基板MのCPUMCは、表示データ切替フラグ1に2を設定する(表示データ切替フラグ1に2を再設定することも含む)。次に、ステップ8707で、主制御基板MのCPUMCは、当該区間の最終ベース値を記憶する。次に、ステップ8708で、主制御基板MのCPUMCは、カウンタクリアを実行し、次の処理(ステップ8800の処理)に移行する。ここでクリアされるカウンタは、通常時賞球数カウンタ、通常時アウト個数カウンタ、総アウト個数カウンタである。他方、ステップ8702でNoの場合、ステップ8650(第7)で、主制御基板MのCPUMCは、後述するSW集計処理を実行し、次の処理(ステップ8800の処理)に移行する。」
(シ)
「【図127】
[図:0001398045000003.jpg]
」
(ス)
「【0692】
次に、図135は、第7実施形態における、図128のステップ8800のサブルーチンに係る、第2ROM・RAM領域による制御である演算処理のフローチャートである。まず、ステップ8802で、主制御基板MのCPUMCは、区間変更がないか否かを判定する。ステップ8802でYesの場合、ステップ8804で、主制御基板MのCPUMCは、ベース計算を実行する。ここで、ベース値は、{(通常時賞球数カウンタ値÷通常時アウト個数カウンタ値)×100}の式で算出される。次に、ステップ8806で、主制御基板MのCPUMCは、ステップ8804で算出したベース値(入球状態情報)を、現在のベース値(入球状態情報)として入球状態表示装置J10に表示するための表示用に記憶し、次の処理(ステップ8900の処理)に移行する。ここで記憶するベース値(入球状態情報)は、小数点第一位を四捨五入された値を記憶する。他方、ステップ8802でNoの場合も次の処理(ステップ8900の処理)に移行する。
・・・
【0695】
次に、表示内容更新処理のフローチャートについて説明する。まず、ステップ7610で、主制御基板MのCPUMCは、点滅状態の更新を実行する。ここでは、後述するステップ7630にて、第1セグ情報が「点滅」に設定されている場合、第1セグ情報にかかる表示中に点灯と消灯を0.3秒毎に切り替える点滅表示の制御を実行し、後述するステップ7640にて、第2セグ情報が「点滅」に設定されている場合、第2セグ情報にかかる表示中に点灯と消灯を0.3秒毎に切り替える点滅表示の制御を実行する。次に、ステップ7620で、主制御基板MのCPUMCは、第1セグ情報と第2セグ情報の表示切替処理を実行する。例えば、第1セグ情報と第2セグ情報とを5秒毎に切り替える。尚、第1セグ情報及び第2セグ情報は、識別セグと比率セグで構成されており、入球状態表示装置J10の左2つの8セグメント表示器が識別セグ(現在の区間のベース値を表示していることを示す「bL.」又は直前の区間の最終ベース値を表示していることを示す「b6.」が表示される)であり、右2つの8セグメント表示器が比率セグ(「--」又はベース値が表示される)である。」
(セ)
「【図128】
[図:0001398045000004.jpg]
・・・
【図135】
[図:0001398045000005.jpg]
」
(ソ)
「【0700】
次に、図139は、第7実施形態の変形例1における、電気的全体構成図である。第7実施形態の変形例1における特徴は、遊技球の流路イメージ図である。第7実施形態の変形例1では、遊技球のアウト個数を検出するためのセンサが、総排出確認センサC90sの1つだけではなく、第1排出確認センサと第2排出確認センサの2つとなっている。第1排出確認センサは主に、左打ち時に入球する入賞口(第1主遊技始動口A10、一般入賞口)及びアウト口に入球した遊技球を検出するように構成されており、第2排出確認センサは主に、右打ち時に入球する入賞口(第2主遊技始動口B10、第1大入賞口C10、第2大入賞口C20)に入球した遊技球を検出するように構成されている。このように構成された上で、さらに、ステップ8650のSW集計処理において各入賞口を直列で検出するよう構成した場合(つまり、第2大入賞口→第1大入賞口→第2主遊技始動口→第1主遊技始動口→一般入賞口1-4→排出確認センサの順に毎回確認する)、1回のカウンタ加算処理により2球分の加算を行うケースが発生し得る。このときに、区間が変更されることとなる総アウト個数カウンタの値が60000個を超えることがあり得る。この場合、2球分の加算を行った結果を当該区間の最終ベース値として記憶するように構成してもよい。このように、同時に発生した入球及び賞球を同じ区間内のベース値として算出するために、通常時賞球数カウンタ、通常アウト個数カウンタの値を2球分加算することで、当該区間における正確なベース値を算出することが可能となる。
・・・
【0703】
また、上記の遊技機において、賞球払出動作中にRAMクリア処理(第1RAM領域のクリア処理)が発生する場合(例えば、電源断時にRAMクリアボタンが操作される、ノイズや瞬電による異常な電源断の発生後に電断復帰する)が想定される。例えば、特定数(例えば10個)の賞球払出動作中に、所定数(例えば6個)の払出完了時にRAMクリア処理が発生した場合、残りの賞球数(例えば4個)の記憶情報はクリアされ、残りの賞球数に対する払出が実行されず払出動作が終了することとなるが、入球状態表示装置J10では、特定数分の賞球が加算された値で算出されたベース値が表示される。このように構成することで、ベース値等の入球情報を意図的に調整できないよう構成することができ、入賞口への入球数に基づいて構成な入球情報を生成可能である。」
イ 先願発明
上記アの記載事項、および、先願明細書の「上記した実施形態や変更例は、特定のものに対して適用されると限定的に解すべきでなく、どのような組み合わせであってもよい。」(【0010】)との記載からみて、先願には、第7実施形態を中心に第6実施形態などを組み合わせたものとして次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、a~kについては本件補正発明のA~Kに対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 遊技盤D35、発射装置D42、第1大入賞口C10、第2大入賞口C20、第1主遊技始動口A10(第2主遊技始動口B10)へ入球したときの抽選等の遊技動作全般の制御を行う主制御基板M、サブ制御手段を備えたぱちんこ遊技機(【0013】、【0032】、【0033】、【0048】、【0631】)において、
遊技盤D35には、遊技者が発射ハンドルD44を直接操作することで発射できる遊技球を、その上を流下させる遊技領域D30が形成され(【0018】、【0056】)、
主制御基板Mは、遊技領域D30に設けられた第1主遊技始動口A10(第2主遊技始動口B10)への入球に基づき、第1主遊技図柄表示部A21g(第2主遊技図柄表示部B21g)にて第1主遊技図柄(第2主遊技図柄)を変動表示させた後、第1主遊技図柄(第2主遊技図柄)が大当り図柄で停止した場合に、第1大入賞口C10(第2大入賞口C20)を開状態とする可変入賞口開放遊技を実行可能であり(【0005】、【0018】、【0032】、【0033】)、
b 遊技盤側の裏面に取り付けられた主制御基板Mには、設定キースイッチSK1が設けられ(【0048】、【0049】、【0626】、【0630】)、
主制御基板MのCPUMCは、メインフローチャートにおいて、遊技機の電源投入時に設定キースイッチの操作が有った(ステップ1001でNO)場合、主遊技図柄の当否当選確率に対応して設けられた複数の設定値について、特定の管理者のみが設定変更を行うことが可能な設定変更処理(ステップ1003)を実行し(【0618】、【0620】、【0622】、【0623】、【0684】)、
c~e 主制御基板MのCPUMCは、{(通常時賞球数カウンタ値÷通常時アウト個数カウンタ値)×100}の式でベース値(入球状態情報)を算出するベース計算を実行し(【0692】)、算出したベース値(入球状態情報)を現在のベース値(入球状態情報)として、4桁の8セグメント表示器が横一列に整列されて取り付けられている入球状態表示装置J10に表示し(【0049】、【0692】)、入球状態表示装置J10を利用して設定値の表示も行い(【0638】)、
サブ制御手段は、液晶ディスプレーにおいて「設定変更モード中」等の表示を行い(【0631】)、
遊技球のアウト個数は、総排出確認センサC90sの1つだけではなく、第1排出確認センサと第2排出確認センサの2つのセンサにより検出され(【0700】)、
f~g 主制御基板MのCPUMCは、上記設定変更処理(ステップ1003)において、設定変更処理が開始されると、設定変更ボタンの入力に基づいて設定値データの更新を行う処理(ステップ1003-5~ステップ1003-11)を設定キー信号の立下りが確認されるまで繰り返して実行し、設定変更ボタンの操作により、任意の設定値を入球状態表示装置J10に表示し(【0623】、【0630】、【0631】、【0638】、【0684】)、その後、入球状態表示装置演算処理を呼び出して(ステップ1019)、入球状態表示装置演算処理の演算処理を実行し、タイマ割り込み時処理において、入球状態表示装置表示制御処理を呼び出して(ステップ1992)、算出したベース値を入球状態表示装置J10に表示し(【0684】、【0692】)、
入球状態表示装置J10の左2つの8セグメント表示器が識別セグ(現在の区間のベース値を表示していることを示す「bL.」又は直前の区間の最終ベース値を表示していることを示す「b6.」が表示される)であり、右2つの8セグメント表示器が比率セグ(「--」又はベース値が表示される)であり(【0695】)、
j 設定表示モードにおいて、入球状態表示装置J10に、「1」~「6」の表示により現在の設定値(設定値の範囲1~6のうちの該当する数値)が表示されるとともに、設定表示モードであることを示すためにセグメントDP(ドット)が表示され、
設定変更モードにおいて、入球状態表示装置J10に、現在の設定値(設定値の範囲1~6のうちの該当する数値)が点滅表示され、設定変更モードであることを示すセグメントDP(ドット)が消灯表示された状態で、設定変更ボタンの操作により任意の設定値に変更(設定値表示装置に任意の設定値が表示)した状態で設定キースイッチSK1に挿入されているキーを左方向に回転させると、設定変更処理が完了し、所定時間(例えば1000ms)入球状態表示装置J10に、現在の設定値が点灯表示されるとともにセグメントDP(ドット)が点灯表示された後、双方の表示が消灯し(【0629】、【0630】、【0638】)、
h、i サブ制御手段は、設定変更処理が終了したことを示すコマンドにより、液晶ディスプレーにおいて表示中の「設定変更モード中」を非表示にし(【0631】)、
主制御基板MのCPUMCは、ホールコンピュータに設定変更中を示すセキュリティ信号を、設定変更中は継続して出力し、設定変更終了後の所定時間(例えば、1000ms)まで継続して出力するよう構成された(【0635】、【0646】)、
k ぱちんこ遊技機(【0013】)。」
(3)対比
本件補正発明と先願発明とを、分説に従い対比する。
(a)、(k)
先願発明の「遊技領域D30が形成され」た「遊技盤D35」は、本件補正発明の「遊技領域が形成された遊技盤」に相当する。
そして、先願発明の「遊技者が発射ハンドルD44を直接操作することで発射できる遊技球」が、「その上を流下させる遊技領域D30」「に設けられた第1主遊技始動口A10(第2主遊技始動口B10)へ」「入球」することは、本件補正発明の「遊技者による発射操作によって発射された遊技球が前記遊技領域に設けられた始動口に入球する」ことに相当する。
また、先願発明の「第1主遊技図柄表示部A21g(第2主遊技図柄表示部B21g)にて第1主遊技図柄(第2主遊技図柄)を変動表示させた後、第1主遊技図柄(第2主遊技図柄)が大当り図柄で停止した場合」は、本件補正発明の「図柄の変動表示を行い、該図柄の変動表示結果として当り結果を導出する場合」に相当し、先願発明の「第1大入賞口C10(第2大入賞口C20)を開状態とする可変入賞口開放遊技を実行可能」なことは、本件補正発明の「所定の遊技利益を付与する」ことに相当する。
さらに、先願発明の「ぱちんこ遊技機」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。
したがって、先願発明の構成a、kは、本件補正発明の構成A、Kに相当する。
(b)
先願発明の「遊技盤側の裏面に取り付けられた主制御基板M」に設けられた「設定キースイッチSK1」、「主遊技図柄の当否当選確率に対応して設けられた複数の設定値」は、それぞれ、本件補正発明の「遊技盤に設けられた特定操作部」、「当り確率に関する設定値」に相当することからみて、先願発明の「設定変更ボタンの操作により、任意の設定値に変更した状態で設定キースイッチSK1に挿入されているキーを左方向に回転させると、設定変更処理が完了」することは、本件補正発明の「特定操作部に対する操作に基づいて、当り確率に関する設定値を決定可能な」ことに相当する。
そして、先願発明の「設定変更処理(ステップ1003)」は、本件補正発明の「設定モード」に相当することから、先願発明の「特定の管理者のみが設定変更を行うことが可能な設定変更処理(ステップ1003)を実行」する「主制御基板MのCPUMC」は、本件補正発明の「設定値を設定可能な設定モードを発生させる設定モード発生手段」としての機能を有する。
したがって、先願発明の構成bは、本件補正発明の構成Bに相当する。
(c)
先願発明の「設定値の表示も行」う「入球状態表示装置J10」は、本件補正発明の「設定値を表示可能な設定値表示手段」に相当する。
したがって、先願発明の構成c~eは、本件補正発明の構成Cに相当する。
(d)
先願発明の「総排出確認センサC90sの1つだけではなく、第1排出確認センサと第2排出確認センサの2つのセンサにより検出され」る「遊技球のアウト個数」は、遊技に使用された後に「ぱちんこ遊技機」から、外部に排出される「遊技球」の総数であるから、本件補正発明の「遊技に使用した遊技球の数」に相当する。
そして、先願発明の「算出したベース値」、「入球状態表示装置J10」は、それぞれ、本件補正発明の「計算されるベース値」、「ベース値表示手段」に相当する。
したがって、先願発明の構成c~eは、本件補正発明の構成Dに相当する。
(e)
先願発明の「設定値」、「ベース値」は、それぞれ、本件補正発明の「設定値」、「ベース値」に相当し、また、先願発明において、「入球状態表示装置J10」は、「液晶ディスプレー」と異なるものであることから、先願発明の「入球状態表示装置J10」は、本件補正発明の「設定値表示手段」及び「ベース値表示手段」に相当することに加えて、「遊技に関する演出が行われる演出表示装置とは異なる特定表示装置」にも相当する。
したがって、先願発明の構成c~eは、本件補正発明の構成Eに相当する。
(f)
先願発明は、構成f、gにより、「設定変更処理(ステップ1003)において」「任意の設定値を入球状態表示装置J10に表示し」、「その後、」「入球状態表示装置演算処理の演算処理を実行し、タイマ割り込み時処理において、入球状態表示装置表示制御処理を呼び出して(ステップ1992)、算出したベース値を入球状態表示装置J10に表示」するものであって、「入球状態表示装置J10」における「設定値」の表示と、「ベース値」の表示とは、それぞれ、異なる処理において行われるものであるといえる。
そうすると、先願発明は、本件補正発明の構成Fの「特定表示装置にて設定値が表示されている場合には、特定表示装置にてベース値が表示されないものであ(る)」構成を備えるものである。
(g)
上記(b)より、先願発明の「設定変更処理」は、本件補正発明の「設定モード」に相当する。
そして、先願発明において、「ベース値」を「算出」する「入球状態表示装置演算処理」は、「設定変更処理(ステップ1003)」の実行後に行われるものである。
そうすると、先願発明は、本件補正発明の構成Gの「設定モード中は、ベース値の計算が行われない」構成を備えるものである。
(j)
先願発明は、構成f~gによると、「入球状態表示装置J10」の「左2つの8セグメント表示器」に「識別(現在の区間のベース値を表示していることを示す「bL.」又は直前の区間の最終ベース値を表示していることを示す「b6.」)が表示されるとともに、「入球状態表示装置J10」の「右2つの8セグメント表示器」に「比率(「--」又はベース値)」が表示されるものであり、また、構成jによると、「設定変更処理が完了」した場合に、「入球状態表示装置J10」に「「1」~「6」の表示により現在の設定値(設定値の範囲1~6のうちの該当する数値)が点灯表示されるとともにセグメントDP(ドット)が点灯表示され」るものである。
そうすると、先願発明において、設定変更処理が完了した場合に入球状態表示装置J10に表示される表示態様と、入球状態表示装置J10に表示されるベース値の表示態様とは異なるものである。
したがって、先願発明は、本件補正発明の「設定モードが終了すると、ベース値と異なる態様の特別表示が特定表示装置にて表示される」構成を備えるものである。
よって、先願発明の構成f~g、jと本件補正発明の構成Jとは、「設定モードが終了すると、ベース値と異なる態様の特別表示が特定表示装置にて表示される」ことで共通する。
上記(a)、(k)~(j)より、本件補正発明と先願発明は、
「A 遊技領域が形成された遊技盤を備え、遊技者による発射操作によって発射された遊技球が前記遊技領域に設けられた始動口に入球することにより図柄の変動表示を行い、該図柄の変動表示結果として当り結果を導出する場合に、所定の遊技利益を付与する遊技機であって、
B 前記遊技盤に設けられた特定操作部に対する操作に基づいて、当り確率に関する設定値を決定可能な設定モードを発生させる設定モード発生手段と、
C 前記設定値を表示可能な設定値表示手段と、
D 遊技に使用した遊技球の数を用いて計算されるベース値を表示可能なベース値表示手段と、
を備え、
E 前記設定値表示手段により表示される前記設定値と、前記ベース値表示手段により表示される前記ベース値は、遊技に関する演出が行われる演出表示装置とは異なる特定表示装置に表示され、
F 前記特定表示装置にて前記設定値が表示されている場合には、前記特定表示装置にて前記ベース値が表示されないものであり、
G 前記設定モード中は、前記ベース値の計算が行われないものであり、
J´さらに、前記設定モードが終了すると、前記ベース値と異なる態様の特別表示が前記特定表示装置にて表示される
K 遊技機。」
である点で一致し、次の点で一応相違する。
[一応の相違点1](構成H、I)
本件補正発明は、「設定モードの終了後に外部に対して所定の報知を行う終了後報知実行手段を備え、終了後報知実行手段による報知は、設定モードが終了してから一定期間後に解除されるものであ」るのに対して、先願発明は、「主制御基板MのCPUMC」により、「セキュリティ信号」を「設定変更中は継続して出力し、設定変更終了後の所定時間(例えば、1000ms)まで継続して出力する」が、本件補正発明のような構成を備えるのか不明である点。
[一応の相違点2](構成J)
「特定表示装置にて表示される」「ベース値」と「異なる態様の特別表示」に関して、本件補正発明は、「ベース値と設定値の何れとも異なる態様」の「特別表示」であるのに対して、先願発明は、「設定変更処理が完了」した場合に、「「1」~「6」の表示により現在の設定値が点灯表示されるとともにセグメントDP(ドット)が点灯表示され」、「設定表示モード」と同じ態様で表示されるため、本件補正発明の「設定モードが終了すると、」「設定値」と「異なる態様の特別表示が特定表示装置にて表示される」構成を備えない点。
(4)合議体による判断
ア 一応の相違点1(構成H、I)について
上記一応の相違点1について検討する。
本件補正発明の構成H、Iの「終了後報知実行手段」は、「設定モード」中に行う報知について特定するものではなく、「設定モード」終了後に行う報知を特定するものであるから、「終了後報知実行手段」が行う報知には、「設定モード」中から継続して、「設定モード」終了後も行われる報知、および、「設定モード」終了後に始まる報知の両方が含まれるものと認められる。
そこで、両者の場合について、場合分けして検討する。
(ア)前者の場合(「終了後報知実行手段」が行う報知が、「設定モード」中から継続して、「設定モード」終了後も行われる報知である場合)
先願発明は、「設定変更中である旨の信号であるセキュリティ信号」の「ホールコンピュータ」への「出力」に関して、「設定変更中は継続して出力し、設定変更終了後の所定時間(例えば、1000ms)まで継続して出力されるよう構成され」るものである。
ここで、先願発明の「ホールコンピュータ」に対して「セキュリティ信号」を「出力」すること、「設定変更終了後の所定時間(例えば、1000ms)」は、それぞれ、本件補正発明の「外部に対して所定の報知を行う」こと、「設定モードが終了してから一定期間」に対応する。
そうすると、先願発明の構成h、iは、本件補正発明の構成H、Iに相当することから、上記一応の相違点1は、一致点である。
(イ)後者の場合(「終了後報知実行手段」が行う報知が、「設定モード」終了後に始まる報知である場合)
遊技機の技術分野において、遊技機のランプ、スピーカを介して、遊技機外部の遊技者に対して、設定変更終了後である旨報知する出力手段を備え、出力手段による出力を設定モードの終了後に開始し、一定期間行うことは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2017-86601号公報の【0221】に「特定事象が設定変更の場合、設定変更が終了してから一定時間(たとえば、30秒間)、演出効果LED52をたとえば赤色に点灯し続けるようにしてもよい。これにより、設定変更が終了したとしても、設定変更の終了後から一定時間、設定変更が行われたことを報知することができる。」と記載され、特開2010-187741号公報の【0143】に(「また、設定変更終了報知演出を実行する場合には、演出ランプ430を継続して6秒間中速点滅させ、スピーカ483からは「設定変更しました」の文言を3回出力し、液晶表示装置157上では、設定変更終了という文言を継続して6秒間表示し続ける。」)と記載されている。以下「周知技術1」という。)。
ここで、上記周知技術1の「遊技機のランプ、スピーカ」は、本件補正発明の「終了後報知実行手段」に対応する。
そして、先願発明の構成b、jの「設定変更処理」に上記周知技術1を付加して、ランプやスピーカから設定変更が終了したことの報知を、「設定変更処理」終了後に開始し、一定期間行うことは、上記周知技術1の単なる付加であって、新たな効果を奏するものではないから、課題解決のための具体化手段における微差にすぎない。
したがって、上記一応の相違点1は、実質的な相違点ではない。
イ 一応の相違点2(構成J)について
上記一応の相違点2について検討する。
遊技機の技術分野において、設定モードが終了すると、表示装置に設定値と異なる態様の特別な表示を行うことは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2010-233715号の【0039】、【0055】、【0123】には、弾球遊技機に適用可能な、「1」~「6」の設定値を表示するセグメント表示装置55に、設定値が確定したことを示す「0」を表示することが記載され、特開2007-117499号の【0029】、【0030】、【0084】には、弾球遊技機に適用可能な、「1」~「6」の設定値を表示する設定値表示部46に、設定値が確定したことを示す「0」を表示することが記載され、特開2006-175001号の【0089】、【0091】には、「1」~「6」の設定値を表示する設定値表示器152に、設定値が確定したことを示す「0」を表示する遊技機について記載されている。以下「周知技術2」という。)。
そして、先願発明における「設定変更処理が完了」した場合に、「4桁の8セグメント表示器」から構成される「入球状態表示装置J10」に「「1」~「6」の表示により現在の設定値(設定値の範囲1~6のうちの該当する数値)が点灯表示されるとともにセグメントDP(ドット)が点灯表示され」ることに代えて、上記周知技術2を採用して、設定モードが終了すると、「ベース値」の表示態様と異なる態様であるとともに、「設定表示モード」中や、「設定変更モード」中における「設定値」の表示態様(設定値の範囲1~6のうちの該当する数値の点灯や点滅)と異なる態様の特別な表示態様の表示(「0」)が行われるようにすることは、単なる周知技術による転換であって、新たな効果を奏するものではないから、課題解決のための具体化手段における微差にすぎない。
したがって、上記一応の相違点2は実質的な相違点ではない。
ウ 請求人の主張について
請求人は、令和4年8月1日付け審判請求書において、次の主張をしている。
「上記した補正後の本願発明は、「さらに、前記設定モードが終了すると、前記ベース値と前記設定値の何れとも異なる態様の特別表示が前記特定表示装置にて表示される」という限定構成を有しております。
こうした限定構成を備える本願発明は、設定モードの終了およびベース値への移行を管理者に明確に示すことができ、設定モードの終了忘れ等を抑制でき、遊技機の信頼性を向上させる、という顕著な効果を奏します。
これに対し、引用文献1(特願2017-123746号)には、ご指摘の事項が確かに開示されているものの、設定変更終了後の制御に関して、段落0630の「・・・そして、設定変更ボタンの操作により、任意の設定値に変更(設定値表示装置に任意の設定値が表示)した状態で設定キースイッチSK1に挿入されているキーを左方向に回転させると、設定変更処理が完了し、所定時間(例えば1000ms)設定値表示装置に、現在の設定値が点灯表示されるとともにセグメントDP(ドット)が点灯表示された後、双方の表示が消灯する。」という記載や、段落0631の「・・・続いて、ステップ1003-10で設定値データの更新を行い、ステップ1003-11で設定キー信号の立下りがあるかどうかを確認する。ステップ1003-11では、設定キー信号の立下りがない場合、ステップ1003-5の処理に移行し、設定キー信号の立下りが確認されるまでステップ1003-5の処理からステップ1003-11の処理を繰り返す。ステップ1003-11でYESの場合、すなわち設定キースイッチが設定変更を行う前の状態に戻ったと判断された場合、ステップ1003-12で特別図柄表示装置のLEDを全消灯することで、設定変更中であることを示す表示態様をクリアした後、ステップ1003-13で、設定変更処理が終了したことを示すコマンドをセットし、サブ制御手段に対して送信する。これにより、サブ制御手段は、液晶ディスプレーにおいて表示中の「設定変更モード中」を非表示にするとともに、外部端子板への出力を停止する。・・・」という記載しかありません。
すなわち、引用文献1は、設定キースイッチSK1に挿入されているキーを左方向に回転させると設定変更処理が完了して、所定時間(例えば1000ms)設定値表示装置に現在の設定値が点灯表示されるものであり、設定変更処理完了に伴い、設定値表示装置に現在の設定値を確定表示することを考慮すると、引用文献1は『設定値の誤設定を抑制する思想』からなるものと考えることが自然であります。
しかしながら、そうした思想に反するように、本願の「前記特定情報と前記設定値の何れとも異なる態様の特別表示」を表示することは、引用文献1に記載の発明から想起し得ないものであり、少なくともこうした相違点は具体化手段の微差ではないと思料します。」(4.拒絶理由1(特許法第29条の2:拡大先願)を解消している旨の説明)
そこで、請求人の上記主張について検討する。
請求人が主張する本件補正発明が奏する効果は、請求人が主張するように、本件補正発明が構成J(「ベース値と設定値の何れとも異なる態様の特別表示が特定表示装置にて表示される」こと)を備えることにより奏される効果であるところ、上記「(4)合議体による判断 イ」において検討したように、先願発明における「設定変更処理が完了」した場合に、「4桁の8セグメント表示器」から構成される「入球状態表示装置J10」に「現在の設定値が点灯表示されるとともにセグメントDP(ドット)が点灯表示され」ることに代えて、上記周知技術2を採用することは、単なる周知技術による転換であって、当業者なら当然に行い得る微差または設計事項にすぎず、それによって新たな効果を奏するものではないから、上記一応の相違点2は、実質的な相違点ではない。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。
(5)まとめ
上記(1)~(4)より、本件補正発明は、先願発明と同一の発明であり、しかも、本願の発明者が先願の発明者と同一であるとはいえず、また、本願の出願時点において、その出願人が先願の出願人と同一であるともいえないので、本件補正発明は特許法第29条の2の規定により特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年7月30日付け手続補正書の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める。
「A 遊技領域が形成された遊技盤を備え、遊技者による発射操作によって発射された遊技球が前記遊技領域に設けられた始動口に入球することにより図柄の変動表示を行い、該図柄の変動表示結果として当り結果を導出する場合に、所定の遊技利益を付与する遊技機であって、
B 前記遊技盤に設けられた特定操作部に対する操作に基づいて、当り確率に関する設定値を決定可能な設定モードを発生させる設定モード発生手段と、
C 前記設定値を表示可能な設定値表示手段と、
D 遊技に使用した遊技球の数を用いて計算されるベース値を表示可能なベース値表示手段と、
を備え、
E 前記設定値表示手段により表示される前記設定値と、前記ベース値表示手段により表示される前記ベース値は、遊技に関する演出が行われる演出表示装置とは異なる特定表示装置に表示され、
F 前記特定表示装置にて前記設定値が表示されている場合には、前記特定表示装置にて前記ベース値が表示されないものであり、
G 前記設定モード中は、前記ベース値の計算が行われないものであり、
さらに、
H 前記設定モードの終了後に外部に対して所定の報知を行う終了後報知実行手段を備え、
I 前記終了後報知実行手段による報知は、前記設定モードが終了してから一定期間後に解除されるものである
K ことを特徴とする遊技機。」
2 原査定の拒絶の理由
(拡大先願)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特願2017-123746号(特開2019-5223号)
2.特開2015-85148号公報
3 先願明細書等に記載された事項および先願発明
原査定の拒絶の理由に(引用文献等1として)引用された先願明細書等の記載事項、および、先願発明の認定については、前記「第2[理由] 2 2-2(2)先願の記載事項及び先願発明」に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記「第2[理由] 2 2-2(1)」で検討した本件補正発明から、構成Jの「特定表示装置」についての限定を省くことを含むものである。
そうすると、本件補正発明は、本願発明の特定事項をすべて含み、さらに他の構成を付加したものであって、前記「第2[理由] 2 2-2(3)対比」における検討内容からみて、本願発明は、先願発明と前記[一応の相違点1](構成H、I)において一応相違し、その余の点で一致する。
そして、前記一応の相違点は、前記「第2[理由] 2 2-2(4)合議体による判断」における検討内容からみて、実質的な相違点ではなく、本願発明は、先願発明と同一の発明である。
5 むすび
上記1~4より、本願発明は、先願発明と同一の発明であり、しかも、本願の発明者が先願の発明者と同一であるとはいえず、また、本願の出願時点において、その出願人が先願の出願人と同一であるともいえないので、本願発明は、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-011890