2023-019220
遊技機
- 審判番号
- 2023-019220
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-070519外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年11月13日
- 審決日
- 2024年06月10日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社平和
- 【請求人代理人】弁理士法人青海国際特許事務所
- 分類
- P18 .161-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条の2
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条の2、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
本願は、令和4年4月22日の出願であって、令和5年7月7日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月14日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同月20日付け(送達日:同月26日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年11月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年11月13日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである(下線は、補正箇所を明示するために当審合議体が付した。)。
「【請求項1】遊技価値の使用に係る値と、遊技価値の獲得に係る値と、に基づいて値を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された算出値が規定値に到達すると所定のフラグを立て、前記所定のフラグが立っていることに基づいて遊技の進行を制限する進行制限手段と、画像を表示可能な演出制御手段と、続きを表示(全12行)を備え、前記所定のフラグが立っている状態で電断された第1の状態と、前記所定のフラグが立っていない状態で電断された第2の状態があり、前記第1の状態および前記第2の状態のいずれにおいても電源を投入すると前記算出手段は初期化され、前記第1の状態で電源を投入しても前記所定のフラグはクリアされない場合があり、前記演出制御手段は、前記所定のフラグが立っていることに基づいて遊技の進行を制限すると、前記遊技の進行を制限したことを示す第1画像を表示することがあり、前記算出値が前記規定値に到達する前の所定値に到達すると、前記算出値が前記規定値に到達する可能性があることを示す第2画像を表示することがあり、前記第1画像の占有面積は前記第2画像の占有面積より大きい遊技機。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の令和5年9月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】遊技価値の使用に係る値と、遊技価値の獲得に係る値と、に基づいて値を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された算出値が規定値に到達すると所定のフラグを立て、前記所定のフラグが立っていることに基づいて遊技の進行を制限する進行制限手段と、画像を表示可能な演出制御手段と、続きを表示(全12行)を備え、前記所定のフラグが立っている状態で電断された第1の状態と、前記所定のフラグが立っていない状態で電断された第2の状態があり、前記第1の状態および前記第2の状態のいずれにおいても電源を投入すると前記算出手段は初期化され、前記第1の状態で電源を投入しても前記所定のフラグはクリアされない場合があり、前記演出制御手段は、前記所定のフラグが立っていることに基づいて遊技の進行を制限すると、前記遊技の進行を制限したことを示す第1画像を表示することがあり、前記算出値が前記規定値に到達する可能性があることを示す第2画像を表示することがあり、前記第1画像の占有面積は前記第2画像の占有面積より大きい遊技機。」
2 本件補正の適否について
(1)本件補正の目的
本件補正は、補正前の請求項1に記載の「前記算出値が前記規定値に到達する可能性があることを示す第2画像を表示することがあり、」を「前記算出値が前記規定値に到達する前の所定値に到達すると、前記算出値が前記規定値に到達する可能性があることを示す第2画像を表示することがあり、」と補正することで、「前記算出値が前記規定値に到達する可能性があることを示す第2画像を表示すること」の条件が「前記算出値が前記規定値に到達する前の所定値に到達する」ことであることを特定し、併せて、明細書の【0007】の記載をこれに整合させるものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正による請求項1についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
(2)新規事項の追加の有無
本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0517】~【0551】、及び図面の【図44】~【図48】等の記載に基づくものであり、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
3 独立特許要件について
上記2(1)のとおり、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明を以下に再掲する(符号A等は、分説するために当審合議体が付した。以下、符号により分説された事項を「構成A」等という。)。
「【請求項1】A 遊技価値の使用に係る値と、遊技価値の獲得に係る値と、に基づいて値を算出する算出手段と、B 前記算出手段により算出された算出値が規定値に到達すると所定のフラグを立て、前記所定のフラグが立っていることに基づいて遊技の進行を制限する進行制限手段と、C 画像を表示可能な演出制御手段と、続きを表示(全13行)を備え、D 前記所定のフラグが立っている状態で電断された第1の状態と、前記所定のフラグが立っていない状態で電断された第2の状態があり、E 前記第1の状態および前記第2の状態のいずれにおいても電源を投入すると前記算出手段は初期化され、F 前記第1の状態で電源を投入しても前記所定のフラグはクリアされない場合があり、G 前記演出制御手段は、H 前記所定のフラグが立っていることに基づいて遊技の進行を制限すると、前記遊技の進行を制限したことを示す第1画像を表示することがあり、I 前記算出値が前記規定値に到達する前の所定値に到達すると、前記算出値が前記規定値に到達する可能性があることを示す第2画像を表示することがあり、J 前記第1画像の占有面積は前記第2画像の占有面積より大きいK 遊技機。」
(2)先願
ア 記載事項
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原査定で先願1として引用され、本願の出願日前の特許出願であって、本願の出願後に出願公開がされた特願2021-199728(特開2023-85609)(出願日:令和3年12月9日、出願公開日:令和5年6月21日、出願人:サミー株式会社、発明者:谷口 侑磯、金枝 涼介、岡本 浩一、中村 一紀)(以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。)。
「【0046】<表示装置32>表示装置32は、フロントパネルPS2の上方に設けられている。画像を表示可能な装置であり、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、プロジェクタなど様々な装置を用いることができる。サブ制御基板1000と電気的に接続され、様々な演出画像のほか、遊技中にストップスイッチ13の押し順や目押し位置を指示する遊技指示画像(押し順のみを表示する場合は押し順ナビ画像(押し順画像、操作順番画像、操作順画像とも称す)、目押し位置のみを表示する場合は目押しナビ画像(目押し画像、操作位置画像とも称す)、又は押し順且つ押し位置を表示する場合及び押し順や押し位置の上位概念として操作態様ナビ画像(操作態様画像とも称す)と称する場合がある。)、エラー発生時のエラー画像等を表示する。また、機種によっては表示装置32を搭載しないスロットマシンPS1もある。・・・続きを表示(全40行)【1337】<電源投入時からの差数を記憶する差数カウンタについて>本実施形態の遊技機においては、電源投入時を起点として払出メダル数(払出数、払出遊技媒体数、付与数、付与メダル数、付与遊技媒体数、獲得数、獲得メダル数、獲得遊技媒体数、払出点、付与点、獲得点、又はOUT数と称する場合がある。)から投入メダル数(投入数、ベット数、ベット枚数、掛け枚数、掛け数、賭数、投入点、ベット点、又はIN数と称する場合がある。)を減算した値(差数)を遊技毎に算出し、この差数の累積値(総差数)を記憶可能な差数カウンタを所定のRWM領域に備えている。差数カウンタの値が所定値(例えば、19000)を超えた場合は遊技の進行を停止する処理(以下、「打ち止め処理」とも称す)を実行する。なお、差数カウンタの値が所定値を超えたか否かを判断する処理を差数カウンタ判断処理と称する。また、打ち止め処理を実行する前の差数カウンタの更新、及び判断に関する処理を含めて打ち止め監視処理と称する。・・・【1341】例えば、電源投入時を起点とした総払出メダル数が50001、電源投入時を起点とした総投入メダル数が31000となった或る遊技では、差数カウンタの値が19000を超えるため、当該或る遊技で打ち止めフラグ記憶領域に打ち止め条件を満たしたことを示す情報を記憶し、打ち止め処理を実行可能とする。【1342】打ち止めフラグ記憶領域とは、主制御基板のRWM領域内の1つである。例えば、電源投入時を起点として遊技媒体の差数が19000を超えた場合には、打ち止めフラグ記憶領域に打ち止め条件を満たしたことを示す情報として所定値(例えば、「1」や「255」等の予め定めた数値)を記憶する。【1343】そして、打ち止めフラグ記憶領域に打ち止め条件を満たしたことを示す情報が記憶されていた場合には、打ち止め処理を実行可能とする。【1344】なお、打ち止めフラグ記憶領域に記憶された情報は、設定変更を伴わない電源投入(通常の電源ON)、通常の電源OFF(電源スイッチのオフ)だけでは初期化されない。また、打ち止めフラグ記憶領域に記憶された情報は、有利区間の終了に伴うRWMクリアによって初期化されない。なお、設定変更を伴わない電源投入とは、例えば、設定キースイッチがオフの状況下で電源スイッチがオンとなることが該当する。・・・【1354】換言すると、打ち止め処理によって、次回遊技を実行するための操作ができない(遊技の進行を停止とも称す)ようにしている。このように、打ち止め処理を実行している状態を、打ち止め状態、コンプリート機能の作動と称することもある。・・・【1359】差数カウンタに記憶されている値は、打ち止め状態である状況下や、打ち止め状態でない状況下における電源投入時に初期化されるよう構成されている。本実施形態では、差数カウンタの初期値が0であり初期値から加算していくため、電源投入時の初期化とは差数カウンタの値を0にすることであるが、差数カウンタの初期値を19000として減算していくカウンタとした場合は電源投入時の初期化とは差数カウンタの値を19000にすることとなる。なお、電源投入時とは、通常の電源投入時の他に、設定変更を伴う電源投入時、RWM異常を伴う電源投入時を含むものである。また、差数カウンタに記憶されている値は有利区間の終了条件(例えば、有利区間中のMYが2400を超えたことや、有利区間中の遊技回数が所定回数に達したこと等)を満たしたときに実行するRWMの初期化処理では初期化されないようになっている。・・・【1413】<差数カウンタに基づいたサブ制御手段の処理について>メイン制御手段は差数カウンタの値に関する情報をサブ制御手段に送信可能となるよう構成されている。これにより遊技の進行が停止する前に遊技者に対して報知を実行することができる。【1414】例えば、後100枚の差数で19000枚を超える場合に、液晶表示器に「残り100枚」というエンディング表示、又は音声を実行することが考えられる。そして差数が更新されて残り差数が少なくなる度に「残り90枚」や「残り85枚」等エンディング表示も更新する。そして差数が19000枚を超えた場合は「コンプリート」、「Congratulations」等の祝福表示、又は音声の実行により遊技者に達成感を与えることができる。・・・【1435】<作動予告報知状態における演出態様>作動予告報知状態における表示装置への表示態様としては、図85のような態様が考えられる。図85では、作動予告報知状態でもなく、打ち止め状態でもない状態である通常状態(主制御手段で管理している遊技状態としてCZ、AT、非AT等様々な遊技状態を含む)における演出画像として、ライオンと女の子のキャラクタ表示と、ハートのエフェクト表示と、「今日は楽しかったね」という台詞表示と、「TOTAL:18000枚」という総獲得数表示と、が行われている。また、作動予告報知状態(主制御手段で管理している遊技状態としてCZ、AT、非AT等様々な遊技状態を含む)における演出画像として通常状態で表示している演出画像に加えて「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」という残り差数表示が行われている。また、打ち止め報知状態(遊技の進行が停止している状態)における演出画像として通常状態、及び作動予告報知状態で表示していた演出画像は表示されず、代わりに黒塗りの背景と、「コンプリート機能が作動しました」という打ち止め表示(打ち止め処理に関する報知、打ち止め報知)と、が行われている。なお、通常状態における総獲得数表示は、常に表示する必要はなく総獲得数が所定の閾値(例えば、図85で示す18000や、試験用IF基板に向けて試験中断要求信号を送信する値である18900等)以上となったときに表示するようにしている。【1436】作動予告報知状態では、残り差数表示により、総獲得数表示の全部と女の子のキャラクタ表示の一部とエフェクト表示の全部が視認できなくなっている。ただし、残り差数表示の表示領域は全画面の表示領域の50%よりも小さいため実行している演出画像は遊技者が概ね把握できるようになっている。なお、図85では、残り差数表示の透過度(透明度)を0%にしているため、残り差数表示よりも後ろのレイヤの表示は視認できないが、残り差数表示の透過度を10%から90%の間の任意の値にしてもよい。これにより、残り差数表示と演出画像を双方とも把握できるようになる。・・・【1444】<打ち止め報知状態における演出態様>打ち止め報知状態では、ライオンと女の子のキャラクタ表示と、エフェクト表示と、台詞表示と、総獲得数表示と、の全部が視認できなくなっている。また、残り差数表示の代わりに打ち止め表示が行われている。図85では、打ち止め表示は表示装置の表示領域の中央に表示されているが演出画像は表示されていない(打ち止め表示の透過度は0%になっている)ため、表示領域の上側や下側を含むいずれの箇所に表示してもよい。【1445】また、打ち止め報知状態における打ち止め表示は、全画面の表示領域の50%以上であってもよい。ただし、他の情報を表示する場合(サブスイッチの操作でメニュー画面が表示可能な旨の表示や注意喚起表示)は、打ち止め報知状態における打ち止め表示は、全画面の表示領域の50%から90%の間の任意の値にすることが望ましい。」
イ 先願発明
上記アの記載事項を総合すると、先願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、以下の発明(以下「先願発明」という。)が記載されていると認められる(符号ab等は、本件補正発明の符号A等に概ね対応させて合議体が付した。また、引用箇所の段落番号を併記した。以下、符号を付した事項を「先願発明構成ab」等という。)。
「ab 払出メダル数から投入メダル数を減算した値(差数)を遊技毎に算出し、この差数の累積値(総差数)を記憶可能な差数カウンタを備え、差数カウンタの値が19000を超えると、打ち止めフラグ記憶領域に打ち止め条件を満たしたことを示す情報を記憶し、打ち止めフラグ記憶領域に打ち止め条件を満たしたことを示す情報が記憶されていた場合には、遊技の進行を停止する打ち止め処理を実行し(【1337】、【1341】、【1343】)、de 打ち止め処理を実行している状態を、打ち止め状態、コンプリート機能の作動と称することもあり(【1354】)、差数カウンタに記憶されている値は、打ち止め状態である状況下や、打ち止め状態でない状況下における電源投入時に初期化されるよう構成され(【1359】)、f 打ち止めフラグ記憶領域に記憶された情報は、設定変更を伴わない電源投入(通常の電源ON)、通常の電源OFF(電源スイッチのオフ)だけでは初期化されず(【1344】)、cghij 表示装置32は、サブ制御基板1000と電気的に接続され、様々な演出画像を表示し(【0046】)、後100枚の差数で19000枚を超える場合に、作動予告報知状態における演出画像として通常状態で表示している演出画像に加えて「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」という残り差数表示が行われ(【1414】、【1435】)、差数が19000枚を超えた場合は、打ち止め報知状態(遊技の進行が停止している状態)における演出画像として通常状態、及び作動予告報知状態で表示していた演出画像は表示されず、代わりに黒塗りの背景と、「コンプリート機能が作動しました」という打ち止め表示(打ち止め処理に関する報知、打ち止め報知)と、が行われ(【1414】、【1435】)、残り差数表示の表示領域は全画面の表示領域の50%よりも小さく(【1436】)、打ち止め表示は、全画面の表示領域の50%以上であってもよい(【1445】)、k 遊技機(【1337】)。」
(3)対比・判断
本件補正発明と先願発明とを対比する。
ア 構成Aについて
先願発明構成abの「メダル」が、本件補正発明の「遊技価値」を体現するものであることを踏まえると、先願発明構成abの「投入メダル数」、「払出メダル数」、「払出メダル数から投入メダル数を減算した値(差数)」の「累積値」である「総差数」は、それぞれ本件補正発明の「遊技価値の使用に係る値」、「遊技価値の獲得に係る値」、「遊技価値の使用に係る値と、遊技価値の獲得に係る値と、に基づい」た「値」に相当するから、先願発明構成abの「払出メダル数から投入メダル数を減算した値(差数)を遊技毎に算出し、この差数の累積値(総差数)を記憶可能な」「差数カウンタ」は、本件補正発明の「遊技価値の使用に係る値と、遊技価値の獲得に係る値と、に基づい」た「値」「を算出する」「算出手段」に相当する。
したがって、先願発明は、本件補正発明の構成Aに相当する構成を備える。
イ 構成Bについて
先願発明構成abの「総差数」、及び「19000」は、それぞれ本件補正発明の「算出値」、及び「規定値」に相当し、先願発明構成abの「差数カウンタの値」つまり「総差数」「が19000を超える」ことは、本件補正発明の「前記算出手段により算出された算出値が規定値に到達する」ことに相当する。
また、先願発明構成abの「打ち止めフラグ記憶領域に打ち止め条件を満たしたことを示す情報を記憶」することは、「打ち止め条件を満たしたことを示す情報」は「フラグ」として記憶領域に記憶されるもので「所定のフラグ」に相当するから、本件補正発明の「所定のフラグを立て」ることに相当する。
さらに、先願発明構成abの「打ち止めフラグ記憶領域に打ち止め条件を満たしたことを示す情報が記憶されていた場合(「所定のフラグが立っていること」に相当)には、遊技の進行を停止する打ち止め処理を実行」することは、本件補正発明の「前記所定のフラグが立っていることに基づいて遊技の進行を制限する」ことに相当する。なお、先願発明が「打ち止め処理を実行」する手段を備えることは自明であって、本件補正発明の「進行制限手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
したがって、先願発明は、本件補正発明の構成Bに相当する構成を備える。
ウ 構成Cについて
先願発明構成cghijの「表示装置32」「と電気的に接続され」た「サブ制御基板1000」は、サブ制御基板にて表示装置の画像表示制御が行われることは、遊技機の技術分野における技術常識であることを踏まえると、本件補正発明の「画像を表示可能な演出制御手段」に相当する機能を有する。
したがって、先願発明は、本件補正発明の構成Cに相当する構成を備える。
エ 構成Dについて
先願発明の「打ち止め状態」は、「打ち止め処理を実行している状態」であり、また、「打ち止め処理」は、「打ち止めフラグ記憶領域に打ち止め条件を満たしたことを示す情報が記憶されていた場合」に実行されることを踏まえれば、先願発明構成deの「打ち止め状態である(でない)状況下」は、「打ち止めフラグ記憶領域に打ち止め条件を満たしたことを示す情報が記憶されていた(いない)」状況下であるといえる。
また、先願発明は「打ち止めフラグ記憶領域に記憶された情報は、設定変更を伴わない電源投入(通常の電源ON)、通常の電源OFF(電源スイッチのオフ)だけでは初期化され」ないものであることを踏まえれば、先願発明構成deの「打ち止め状態である(でない)状況下」「における電源投入時」の当該電源投入前である電断時も、当該電源投入時と同様に「打ち止め状態である(でない)状況下」であったことは明らかである。
よって、先願発明構成deの「打ち止め状態である状況下」に「電源投入」されることは、本件補正発明の「前記所定のフラグが立っている状態で電断された第1の状態」に相当する。
そして、先願発明構成deの「打ち止め状態でない状況下」に「電源投入」されることは、本件補正発明の「前記所定のフラグが立っていない状態で電断された第2の状態」に相当する。
したがって、先願発明は、本件補正発明の構成Dに相当する構成を備える。
オ 構成Eについて
上記エの検討も踏まえると、先願発明構成deの「差数カウンタに記憶されている値は、打ち止め状態である状況下や、打ち止め状態でない状況下における電源投入時に初期化される」ことは、本件補正発明の「前記第1の状態および前記第2の状態のいずれにおいても電源を投入すると前記算出手段は初期化され」ることに相当する。
したがって、先願発明は、本件補正発明の構成Eに相当する構成を備える。
カ 構成Fについて
先願発明構成fの「打ち止めフラグ記憶領域に記憶された情報は、設定変更を伴わない電源投入(通常の電源ON)、通常の電源OFF(電源スイッチのオフ)だけでは初期化され」ないことは、当該「打ち止めフラグ記憶領域に記憶された情報」には、「打ち止め条件を満たしたことを示す情報」が含まれることを踏まえれば、本件補正発明の「前記第1の状態で電源を投入しても前記所定のフラグはクリアされない場合があ」ることに相当する。
したがって、先願発明は、本件補正発明の構成Fに相当する構成を備える。
キ 構成Gについて
上記ウのとおり、先願発明は、本件補正発明の構成Gに相当する構成を備える。
ク 構成Hについて
先願発明は「差数カウンタの値が19000を超えると、打ち止めフラグ記憶領域に打ち止め条件を満たしたことを示す情報を記憶」し「打ち止め処理を実行」するから、先願発明構成cghijの「差数が19000枚を超えた場合」は、打ち止めフラグ記憶領域に打ち止め条件を満たしたことを示す情報を記憶し打ち止め処理を実行する場合であるといえ、本件補正発明の「前記所定のフラグが立っていることに基づいて遊技の進行を制限する」ことに相当する。
また、先願発明構成cghijの「黒塗りの背景と、「コンプリート機能が作動しました」という打ち止め表示」は、「通常状態、及び作動予告報知状態で表示していた演出画像」の「代わりに」表示されるものであって、「通常状態、及び作動予告報知状態で表示していた演出画像」の「代わりに」、「黒塗りの背景と、「コンプリート機能が作動しました」という打ち止め表示」を行うことで、打ち止め処理を実行していることを示しているといえ、当該「黒塗りの背景と、「コンプリート機能が作動しました」という打ち止め表示」は、本件補正発明の「前記遊技の進行を制限したことを示す第1画像」に相当する。
なお、上記相当関係は、原査定で引用文献2として引用された、「液晶搭載機の安全装置(MY95000で作動)の事前報知の手法例」(日本遊技機工業組合,2022年4月6日)の5頁に、黒一色の背景と文字表示を全画面に表示することで、コンプリート機能の作動を報知する態様が示されていることとも整合する。
よって、先願発明構成cghijの「差数が19000枚を超えた場合は、」「黒塗りの背景と、「コンプリート機能が作動しました」という打ち止め表示」「と、が行われ」ることは、本件補正発明の「前記所定のフラグが立っていることに基づいて遊技の進行を制限すると、前記遊技の進行を制限したことを示す第1画像を表示すること」に相当する。
したがって、先願発明は、本件補正発明の構成Hに相当する構成を備える。
ケ 構成Iについて
先願発明構成cghijの「後100枚の差数で19000枚を超える場合」は、総差数が19000に到達する前の18900(本件補正発明の「所定値」)に到達するから、本件補正発明の「前記算出値が前記規定値に到達する前の所定値に到達する」ことに相当する。
また、先願発明構成cghijの「「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」という残り差数表示」は、あと100枚で総差数が19000となること、すなわち、総差数が19000に到達する可能性があることを示しているといえ、本件補正発明の「前記算出値が前記規定値に到達する可能性があることを示す第2画像」に相当する。
よって、先願発明構成cghijの「後100枚の差数で19000枚を超える場合に、」「「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」という残り差数表示が行われ」ることは、本件補正発明の「前記算出値が前記規定値に到達する前の所定値に到達すると、前記算出値が前記規定値に到達する可能性があることを示す第2画像を表示すること」に相当する。
したがって、先願発明は、本件補正発明の構成Iに相当する構成を備える。
コ 構成Jについて
「背景」は表示領域全体に表示されるものであることを踏まえると、先願発明構成cghijの「黒塗りの背景と、「コンプリート機能が作動しました」という打ち止め表示」は、「表示装置32」の表示領域全体に表示されるものであるといえて、当該「表示装置32」の表示領域全体の面積は、本件補正発明の「前記第1画像の占有面積」に相当する。
また、先願発明構成cghijの「「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」という残り差数表示」は、「通常状態で表示している演出画像に加えて」表示されるものであるから、「表示装置32」の表示領域には、「通常状態で表示している演出画像」と「「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」という残り差数表示」が表示されることとなり、当該「表示装置32」の表示領域のうち「「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」という残り差数表示」が行われている部分の面積は、本件補正発明の「前記第2画像の占有面積」に相当する。
そして、上記「表示装置32」の表示領域全体の面積は、上記「表示装置32」の表示領域のうち「「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」という残り差数表示」が行われている部分の面積より大きいものである。
したがって、先願発明は、本件補正発明の構成Jに相当する構成を備える。
サ 構成Kについて
先願発明構成kの「遊技機」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。
したがって、先願発明は、本件補正発明の構成Kに相当する構成を備える。
シ 上記ア~サより、本件補正発明と先願発明は、構成A~Kの全てにおいて一致し相違点はないから、両者は同一である。
(4)請求人の主張について
ア 審判請求人は、令和5年11月13日提出の審判請求書において、以下のように主張する(符号(ア)、(イ)及び(ウ)は当審合議体が付した。)。
「4-3.引用文献等との対比上述したように、補正後の本願請求項1に係る発明は、g.前記演出制御手段は、h.前記所定のフラグが立っていることに基づいて遊技の進行を制限すると、前記遊技の進行を制限したことを示す第1画像を表示することがあり、続きを表示(全21行)i.前記算出値が前記規定値に到達する前の所定値に到達すると、前記算出値が前記規定値に到達する可能性があることを示す第2画像を表示することがあり、j.前記第1画像の占有面積は前記第2画像の占有面積より大きいことを特徴としている。審査官は、『請求項1に補正で追加された「画像を表示可能な演出制御手段」、「前記演出制御手段は、前記所定のフラグが立っていることに基づいて遊技の進行を制限すると、前記遊技の進行を制限したことを示す第1画像を表示することがあり、前記算出値が前記規定値に到達する可能性があることを示す第2画像を表示することがあり、前記第1画像の占有面積は前記第2画像の占有面積より大きい」について検討する。先願1の図85における、「通常状態」の画像と「作動予告報知状態」の画像とを比較すれば、「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」の文字とそれを囲む枠からなる画像が、本願発明の「第2画像」に相当するものと認められ、「通常状態」の画像と「打ち止め報知状態」の画像とを比較すれば、「コンプリート機能が作動しました」の文字とそれを囲む枠及び一面の黒表示が、本願発明の「第1画像」に相当するものと認められ、後者の画像が前者の画像より面積が大きいことは明らかである。出願人は意見書において、先願1の「コンプリート機能が作動しました」と「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」とを比較し、文字列の占有領域は後者が大きいと主張しているが、請求項1には「遊技の進行を制限したことを示す第1画像」、「算出値が規定値に到達する可能性があることを示す第2画像」と記載されており、各状況にて表示される画像の文字列の部分のみの面積の大きさを比較したものとは認められないから、出願人の主張は請求項1の記載に基づくものでない。』と述べている。出願人は、令和5年9月14日付けで提出した意見書において、「引用文献1の図85を参照すると、本願発明の第1画像に相当する「コンプリート機能が作動しました」の文字列の占有領域は、本願発明の第2画像に相当する「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」の文字列の占有領域より小さく、補正後の本願発明で限定された第1画像の占有面積は第2画像の占有面積より大きい構成については記載や示唆がないだけにとどまらず、大きさの大小関係が逆となっています。」と主張し、引用文献1の「コンプリート機能が作動しました」と「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」とを比較し、文字列の占有領域は後者が大きいことを説明した。これに対し、審査官は、『請求項1には「遊技の進行を制限したことを示す第1画像」、「算出値が規定値に到達する可能性があることを示す第2画像」と記載されており、各状況にて表示される画像の文字列の部分のみの面積の大きさを比較したものとは認められない』と指摘している。しかしながら、審査官が指摘しているように『文字とそれを囲む枠』という概念で、本願発明の第2画像に相当するとしている引用文献1の「残り差数表示」と、本願発明の第1画像に相当するとしている引用文献1の「打ち止め表示」とを比較したとしても、引用文献1では、「残り差数表示」の占有面積>「打ち止め表示」の占有面積となっており、本願発明の構成とは異なる。(ア) すなわち、審査官は、第2画像については、『「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」の文字とそれを囲む枠からなる画像』といったように有色背景を含めないように解釈しているも拘わらず、第1画像については、『「コンプリート機能が作動しました」の文字とそれを囲む枠及び一面の黒表示』と、根拠を示すこと無しに黒い背景を含め、第1画像の方が第2画像より面積が大きいことは明らかであると認定している。しかしながら、引用文献1の段落1435における「代わりに黒塗りの背景と、「コンプリート機能が作動しました」という打ち止め表示(打ち止め処理に関する報知、打ち止め報知)と、が行われている。」の記載や、段落1444における「図85では、打ち止め表示は表示装置の表示領域の中央に表示されているが演出画像は表示されていない」の記載を参照すると、『一面の黒表示』は、「打ち止め表示」とは異なり、「打ち止め表示」に含めるべきものではない。そうすると、本願発明の第2画像に相当するとしている「残り差数表示」の占有面積>本願発明の第1画像に相当するとしている「打ち止め表示」の占有面積となる。したがって、本願発明における「前記第1画像の占有面積は前記第2画像の占有面積より大きい」構成を有しておらず、本願発明と引用文献1とは異なる。(イ) 仮に、審査官が述べているように、『一面の黒表示』が「打ち止め表示」に含まれるとすると、当然、一面の有色表示(有色背景)も「残り差数表示」に含めるべきである。そもそも、その領域には何ら情報が存在しないことを示す黒表示と、色に応じて、例えば、背景を示す等、何らかの情報を有する場合が多い有色表示を比較したときに、『一面の黒表示』のみ「打ち止め表示」に含まれ、一面の有色表示は「残り差数表示」に含まれないとする根拠が存在しない。ここで、一面の有色表示も残り差数表示に含まれとすると、両者は単に表示装置32の表示可能領域を示すだけとなる。したがって、本願発明における「前記第1画像の占有面積は前記第2画像の占有面積より大きい」構成を有しておらず、本願発明と引用文献1とは異なる。(ウ) なお、引用文献2では、審査官が『遊技機において、コンプリート機能作動中を示す文字の占有領域を、コンプリート機能作動間近を示す文字の占有領域より大きくする』が記載されていると認定しているが、同審査官が、『請求項1には「遊技の進行を制限したことを示す第1画像」、「算出値が規定値に到達する可能性があることを示す第2画像」と記載されており、各状況にて表示される画像の文字列の部分のみの面積の大きさを比較したものとは認められない』と認定しているので、引用文献2は、本願発明を拒絶する根拠とはなり得ない。本願発明では、規定差枚数に到達する可能性があることを示唆するに過ぎない第2画像(例えば、示唆画像)を、遊技者に報知する情報が含まれた画像との表示領域の重複を避けて(本願明細書段落535参照)、遊技者が把握しさえすれば足りる程度に小さく表示する一方で、示唆画像により遊技者に規定差枚数に到達する可能性があることを示唆した後、それでもなお算出値が増加し、規定値に到達することで遊技の進行が制限された(本願明細書段落425参照)場合に表示される第1画像(例えば、作動画像)を大きく強調して表示することで、遊技の進行が制限されていることを確実に遊技者に認識させることが可能となる。」
イ 上記請求人の主張について検討する。
(ア) 上記(ア)の主張について、本件補正発明の「第1画像」と、先願発明の「打ち止め表示」及び「一面の黒表示(黒塗りの背景)」の関係を検討すると、「打ち止め表示」と「一面の黒表示」を合わせた表示(上記(3)クの「黒塗りの背景と、「コンプリート機能が作動しました」という打ち止め表示」)は、文字表示に併せて背景を一面の黒表示とすることで、文字表示による情報に加えて、一面を黒表示とすることにより「通常状態」の画像を表示させないことによっても、打ち止め処理が実行されていることを遊技者に示しているものと理解でき、当該「打ち止め表示」と「一面の黒表示」を合わせた表示は、本件補正発明の「第1画像」に相当するといえる。
なお、請求人は、審査官は根拠を示すことなく、第1画像に黒い背景を含めている旨主張するが、原査定において「先願1の図85における、「通常状態」の画像と「作動予告報知状態」の画像とを比較すれば、「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」の文字とそれを囲む枠からなる画像が、本願発明の「第2画像」に相当するものと認められ、「通常状態」の画像と「打ち止め報知状態」の画像とを比較すれば、「コンプリート機能が作動しました」の文字とそれを囲む枠及び一面の黒表示が、本願発明の「第1画像」に相当するものと認められ、後者の画像が前者の画像より面積が大きいことは明らかである。」とあるとおり(下線は当審合議体が付した。)、「通常状態」の画像と比較したときに、当該「通常状態」の画像との差分となる画像(表示)である、「「コンプリート機能が作動しました」の文字とそれを囲む枠及び一面の黒表示」、及び「「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」の文字とそれを囲む枠からなる画像」が、それぞれ本件補正前の発明(上記「本願発明」)の「第1画像」、及び「第2画像」に相当することが説明されており、かかる請求人の主張は採用できない。
(イ) そして、上記(イ)の主張について、本件補正発明の「第2画像」と、先願発明の「残り差数表示」及び「一面の有色表示(有色背景)」の関係を検討すると、「残り差数表示」(上記(3)ケの「「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」という残り差数表示」)と共に表示される「一面の有色表示」は、「通常状態」の画像であって(先願の【1435】「作動予告報知状態・・・における演出画像として通常状態で表示している演出画像に加えて「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」という残り差数表示が行われている。」参照)、当該「通常状態」の画像は、「作動予告報知状態でもなく、打ち止め状態でもない状態である通常状態」(先願の【1435】)の画像であって、作動予告報知状態に係る画像ではないから、本件補正発明の「第2画像」には相当せず、よって、「残り差数表示」のみが、本件補正発明の「第2画像」に相当するといえる。
上記(ア)、(イ)のとおりであって、請求人の上記主張は採用できず、本件補正発明と、先願発明とに差異は認められない。
なお、先願発明の黒塗りの背景が、本件補正発明の「第1画像」に含まれないものと仮定しても、先願発明の「「コンプリート機能が作動しました」という打ち止め表示」、及び「「まもなくコンプリート機能が作動します 作動まで残り100枚」という残り差数表示」は、それぞれ本件補正発明の「第1画像」、及び「第2画像」に相当し、そして、先願発明は「残り差数表示の表示領域は全画面の表示領域の50%よりも小さく、打ち止め表示は、全画面の表示領域の50%以上であってもよい」ものであるから、本件補正発明の「占有面積」に係る構成は、先願発明も備えており、本件補正発明と先願発明は同一である。
(ウ) また、上記(ウ)の主張について、本件審決は、引用文献2を拒絶の根拠とするものではない。
なお、引用文献2について認定した「文字の占有領域」も画像であるから、本願発明を拒絶する根拠となり得ないものではない。
(5)独立特許要件についてのまとめ
したがって、本件補正発明は、先願発明と同一であり、しかも、本件出願の発明者が先願の発明者と同一ではなく、また本件の出願の時において、本件の出願人が先願の出願人と同一でもない。
よって、本件補正発明は、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 補正の却下の決定についてのむすび
上記3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和5年9月14日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(2)に記載したとおりである。
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、概ね、次のとおりである。
「1.(拡大先願)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)●理由1(拡大先願)について・請求項1・引用文献等1<引用文献等一覧>1.特願2021-199728号(特開2023-85609号)2.「液晶搭載機の安全装置(MY95000で作動)の事前報知の手法例」,「コンプリート機能」に関する技術資料,日本遊技機工業組合,2022年04月06日(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)」
3 先願発明
原査定において先願1として引用された特許出願は、上記第2[理由]3(2)アに記載した先願であり、その願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明は、上記第2[理由]3(2)イに先願発明として示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明の「前記算出値が前記規定値に到達する前の所定値に到達すると、」という限定を除いたものである。
そうすると、本願発明の構成を全て含み、さらに限定したものである本件補正発明が、上記第2[理由]3(3)にて検討したとおり、先願発明と同一であるから、本願発明も、先願発明と同一である。
5 むすび
以上のとおり、本願発明は、先願発明と同一であり、しかも、本件出願の発明者が先願の発明者と同一ではなく、また本件の出願の時において、本件の出願人が先願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-019220