特許拒絶査定不服審判
2024-009150
遊技機
- 審判番号
- 2024-009150
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-082859外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年06月03日
- 審決日
- 2025年03月05日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .161-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条の2
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条の2、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 82859「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 2月28日出願公開、特開2023- 26742〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年5月20日の出願であって、令和5年11月2日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月27日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和6年3月4日付け(送達日:同月12日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年6月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 令和6年6月3日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年6月3日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正であって、令和5年12月27日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
(本件補正前の請求項1)
「【請求項1】
遊技を進行することが不能な進行不能状態に制御可能であって、発射ハンドルを操作することによって遊技球を発射させることが可能であり、変動ゲームを実行するにあたって行われる大当り抽選において大当りに当選した場合に変動ゲームが終了した後に大当り遊技を付与することが可能な遊技機において、
遊技を進行することに伴って表示内容が更新され得る情報表示部と、
主制御部と、
前記主制御部からの制御情報に基づき所定の処理を実行可能な副制御部と、
発射駆動回路と、を備え、
前記発射駆動回路は、前記発射ハンドルの操作に基づいて、遊技球の発射に係る発射制御を実行可能な発射制御手段としての機能を有し、
前記主制御部は、
特別条件の成立を契機として前記進行不能状態に制御可能な不能状態制御手段としての機能と、
前記情報表示部の表示内容を制御可能な情報表示部制御手段としての機能と、を有し、
変動ゲームが実行されているときにおいて前記特別条件が成立して前記進行不能状態に制御された場合、当該進行不能状態では、前記発射ハンドルを操作したとしても遊技球が発射されず、
前記情報表示部の表示内容は、前記進行不能状態に制御されたとしても当該進行不能状態に制御されたことを契機として更新されないことを特徴とする遊技機。」とあったものを、
(本件補正後の請求項1)
「【請求項1】
遊技を進行することが不能な進行不能状態に制御可能であって、発射ハンドルを操作することによって遊技球を発射させることが可能であり、変動ゲームを実行するにあたって行われる大当り抽選において大当りに当選した場合に変動ゲームが終了した後に大当り遊技を付与することが可能な遊技機において、
遊技を進行することに伴って表示内容が更新され得る情報表示部と、
主制御部と、
前記主制御部からの制御情報に基づき所定の処理を実行可能な副制御部と、
発射駆動回路と、を備え、
前記発射駆動回路は、前記発射ハンドルの操作に基づいて、遊技球の発射に係る発射制御を実行可能な発射制御手段としての機能を有し、
前記主制御部は、
特別条件の成立を契機として前記進行不能状態に制御可能な不能状態制御手段としての機能と、
前記情報表示部の表示内容を制御可能な情報表示部制御手段としての機能と、を有し、
前記副制御部は、
電力供給の開始に伴って特定可動体の初期動作に関する制御を行う機能と、
前記進行不能状態に制御されていることを特定可能な特定演出の実行に関する制御を行う機能と、を有し、
前記特別条件は、遊技媒体の付与に伴って変化可能な値が規定値に達することによって成立するようになっており、
変動ゲームが実行されているときにおいて前記特別条件が成立して前記進行不能状態に制御された場合、当該進行不能状態では、前記発射ハンドルを操作したとしても遊技球が発射されず、
前記情報表示部の表示内容は、前記進行不能状態に制御されたとしても当該進行不能状態に制御されたことを契機として更新されず、
前記特定演出は、前記進行不能状態に制御された後に電力供給が遮断された場合であって、その後、電力供給が開始されたことに伴って前記進行不能状態に制御されるときにおいて、実行可能であり、
電力供給が開始されたことに伴って前記進行不能状態に制御されるとき、前記特定演出が実行された後のタイミングにおいて前記特定可動体の初期動作を実行可能であることを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(下線は、補正箇所を示すために合議体が付した。)。
2 本件補正の目的
(1) 本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「副制御部」について、「前記副制御部は、電力供給の開始に伴って特定可動体の初期動作に関する制御を行う機能と、前記進行不能状態に制御されていることを特定可能な特定演出の実行に関する制御を行う機能と、を有」することを限定し、さらに「特定演出」と「特定可動体」に関して、「前記特定演出は、前記進行不能状態に制御された後に電力供給が遮断された場合であって、その後、電力供給が開始されたことに伴って前記進行不能状態に制御されるときにおいて、実行可能であり、
電力供給が開始されたことに伴って前記進行不能状態に制御されるとき、前記特定演出が実行された後のタイミングにおいて前記特定可動体の初期動作を実行可能である」ことを限定することを含むものである。
(2) 本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「特別条件」について、「前記特別条件は、遊技媒体の付与に伴って変化可能な値が規定値に達することによって成立するようになって」いることを限定することを含むものである。
(3) 上記(1)及び(2)からみて、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
3 新規事項の追加の有無について
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)における【0032】、【0094】、【0104】、【0151】、【0165】~【0169】、【0175】、【0213】、【0232】、【0233】、図7及び図12等の記載に基づくものであり、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
4 独立特許要件の判断
上記2で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討する。
(1) 本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(符号A等は、分説するため合議体が付した。以下「A」等が付された事項を「特定事項A」等という。)。
(本願補正発明)
「【請求項1】
A 遊技を進行することが不能な進行不能状態に制御可能であって、発射ハンドルを操作することによって遊技球を発射させることが可能であり、変動ゲームを実行するにあたって行われる大当り抽選において大当りに当選した場合に変動ゲームが終了した後に大当り遊技を付与することが可能な遊技機において、
B 遊技を進行することに伴って表示内容が更新され得る情報表示部と、
C 主制御部と、
D 前記主制御部からの制御情報に基づき所定の処理を実行可能な副制御部と、
E 発射駆動回路と、を備え、
E1 前記発射駆動回路は、前記発射ハンドルの操作に基づいて、遊技球の発射に係る発射制御を実行可能な発射制御手段としての機能を有し、
C 前記主制御部は、
C1 特別条件の成立を契機として前記進行不能状態に制御可能な不能状態制御手段としての機能と、
C2 前記情報表示部の表示内容を制御可能な情報表示部制御手段としての機能と、を有し、
D 前記副制御部は、
D1 電力供給の開始に伴って特定可動体の初期動作に関する制御を行う機能と、
D2 前記進行不能状態に制御されていることを特定可能な特定演出の実行に関する制御を行う機能と、を有し、
F 前記特別条件は、遊技媒体の付与に伴って変化可能な値が規定値に達することによって成立するようになっており、
G 変動ゲームが実行されているときにおいて前記特別条件が成立して前記進行不能状態に制御された場合、当該進行不能状態では、前記発射ハンドルを操作したとしても遊技球が発射されず、
H 前記情報表示部の表示内容は、前記進行不能状態に制御されたとしても当該進行不能状態に制御されたことを契機として更新されず、
I 前記特定演出は、前記進行不能状態に制御された後に電力供給が遮断された場合であって、その後、電力供給が開始されたことに伴って前記進行不能状態に制御されるときにおいて、実行可能であり、
J 電力供給が開始されたことに伴って前記進行不能状態に制御されるとき、前記特定演出が実行された後のタイミングにおいて前記特定可動体の初期動作を実行可能である
K ことを特徴とする遊技機。」
(2) 先願
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の特許出願であって、本願の出願後に出願公開された特願2021-117208(特開2023-13204)(出願日:令和3年7月15日、出願公開日:令和5年1月26日、出願人:株式会社大一商会、発明者:市原高明、坂根渉)(以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。)。
「【0145】
球発射ユニット550は、遊技盤5の遊技領域5aに遊技球Bを発射するためのものであり、球送ユニット700から送られた遊技球Bを受取る球入口550aと、発射された遊技球Bが外部へ放出される球発射口550bと、遊技球Bを排出するための球排出口550cと、を有している。球発射ユニット550は、扉枠3の前面右下隅のハンドル160の回動角度に応じた強さで遊技球Bを打込むことができる。球発射ユニット550は、本体枠ベース501のベース壁部501bの前面の上部において、左右方向中央よりも右側で不透光の庇部501pの下方に設けられている球発射ユニット取付部501iに取付けられる。」
「【0416】
球送ユニット700は、球揚上ユニット650により揚上された遊技球Bを一つずつ球発射ユニット550へ供給するためのものである。球送ユニット700は、本体枠ベース501におけるベース壁部501bの後側に設けられている球送ユニット取付部501kに取付けられる。球送ユニット700は、ベース壁部501bと循環球経路ユニット600との間に挟まれるように、ベース壁部501bの上面から上方へ臨むと共に、上方へ着脱可能に取付けられる。」
「【0447】
[4-8.枠基板ユニット]
本体枠4における枠基板ユニット730について、主に図17及び図18、図58乃至図60等を参照して説明する。図58は、外枠に対して本体枠を開くと共に裏カバー及び枠基板ユニットを開いた状態で示す斜視図である。図59は、外枠及び本体枠における枠基板ユニットの部位を拡大して示す説明図である。図60は、枠基板ユニットを開いた状態で本体枠の後側を示す参考写真である。枠制御基板740は、詳細は後述するが、持ち球数表示部140での持ち球数の表示、計数ボタンスイッチ180に操作による精算処理、球発射ユニット550、球揚上ユニット650、球送ユニット700、等の制御や、循環球経路ユニット600における遊技球Bの管理(監視)、等を行うためのものである。」
「【0496】
周辺制御基板1510は、演出表示装置1600の後側に取付けられている。周辺制御基板1510は、主制御基板1310から送られた信号に基づいて、演出表示装置1600に演出画像を表示させたり発光演出や可動演出等を実行させたりするものである。」
「【0952】
[10.遊技内容]
本実施形態のパチンコ機1による遊技内容について、図84等を参照して説明する。本実施形態のパチンコ機1は、扉枠3の前面右下隅に配置されたハンドル160を遊技者が回転操作することで、循環経路R内に封入されている遊技球Bが、遊技盤5における外レール1001と内レール1002との間を通って遊技領域5a内の上部へと打込まれて、遊技球Bによる遊技が開始される。遊技領域5a内の上部へ打込まれた遊技球Bは、その打込強さによってセンター役物2500の左側、或いは、右側の何れかを流下する。なお、遊技球Bの打込強さは、ハンドル160の回転量によって調整することができ、時計回りの方向へ回転させるほど強く打込むことができ、連続で一分間に最大100個の遊技球B、つまり、0.6秒間隔で遊技球Bを打込むことができる。」
「【0956】
第一始動口2003に遊技球Bが受入れられると、主制御基板1310を介して枠制御基板740において所定個数(例えば、3個)の遊技球Bが、持ち球数に加算されると共に、主制御基板1310において、第一特別図柄(例えば、「ハズレ」、「小当り」、「役物当り」、「2R大当り」、「5R大当り」、「15R大当り」、「確変(確率変更)当り」、「時短(時間短縮)当り」、「確変時短当り」、「確変時短無し当り」、「第二大当り」、等)の抽選が行われる。抽選された第一特別図柄の抽選結果が、「ハズレ」以外であると、遊技者が有利な有利遊技状態が発生する。そして、抽選された第一特別図柄の抽選結果は、所定時間(例えば、0.1~360秒、特別変動時間とも称す)かけて遊技者に示唆される。」
「【0980】
本実施形態では、第一特別図柄の抽選結果や第二特別図柄の抽選結果の示唆を、機能表示ユニット1400と演出表示装置1600とで行っている。機能表示ユニット1400では、主制御基板1310によって直接制御されて特別図柄の抽選結果(第一特別図柄の抽選結果及び第二特別図柄の抽選結果)の示唆が行われる。機能表示ユニット1400での特別図柄の抽選結果の示唆は、複数のLEDを、点灯・消灯を繰返して所定時間点滅させ、その後に、点灯しているLEDの組合せによって特別図柄の抽選結果を示唆する。
【0981】
一方、演出表示装置1600では、主制御基板1310からの制御信号に基づいて、周辺制御基板1510によって間接的に制御され演出画像として特別図柄の抽選結果の示唆が行われる。演出表示装置1600での特別図柄の抽選結果を示唆する演出画像は、複数の絵柄からなる絵柄列を、左右方向へ三つ並べて表示した状態で、各絵柄列を変動させ、変動表示されている絵柄列を順次停止表示させ、停止表示される三つの絵柄列の絵柄が、特別図柄の抽選結果と対応した組合せとなるように夫々の絵柄列が停止表示される。特別図柄の抽選結果が「ハズレ」以外の場合は、三つの絵柄列が停止して各絵柄が停止表示された後に、特別図柄の抽選結果を示唆する確定画像が演出表示装置1600に表示されて、抽選された特別図柄の抽選結果に応じた有利遊技状態(例えば、「小当り」遊技、「大当り」遊技、等)が発生する。」
「【2298】
まず、主制御MPUは、ハンドル160の操作により遊技領域5aに発射される遊技球Bの球数(発射数)を計数している。具体的には、ハンドル160を操作して遊技領域5aに遊技球Bが発射されるときには、球発射台552bから遊技球Bが発射されたことを発射減算センサ554が検知しているが、その遊技球Bの球数(ファール球として処理された球数を除く)を、出玉量A、Bの演算用の「発射数」として計数している。なお、発射数の計数は、別の手法でもよく、例えば、発射減算センサ554とは別のセンサを搭載し、遊技領域5aに進入した遊技球を検知して計数するようにしてもよい。
【2299】
また、主制御MPUは、入賞口への入球により賞球として払い出される(付与される)遊技球Bの球数(払出数)を計数している。具体的には、入球により賞球を払い出す(付与する)対象である入賞口に対応して所定数の遊技球B(例えば、第一始動口2003や第二始動口2004への入球に対して3個など)を払い出す(付与する)ことが予め決められており、入球により賞球を払い出す対象である入賞口に対応する検出センサで検出されたときに、その所定数の遊技球Bの球数を、出玉量A、Bの演算用の「払出数(付与数)」として計数している。例えば、一般入賞口2001へ遊技球Bが入球したときには、15個の遊技球Bを払い出し、普通入賞口2002へ遊技球Bが入球したときには、1個の遊技球Bを払い出し、第一始動口2003や第二始動口2004へ遊技球Bが入球したときには、3個の遊技球Bを払い出し、大入賞口2005や役物入賞口2006へ遊技球Bが入球したときには、15個の遊技球Bを払い出し、それら賞球として払い出される遊技球Bの球数を、出玉量A、Bの演算用の払出数として計数している。なお、本例のパチンコ機1では、実玉での払い出しは伴わないため、賞球個数として付与される遊技球Bの球数が出玉量A、Bの演算用の払出数として計数される。
【2300】
そして、主制御MPUは、計数ボタンスイッチ180の操作により遊技者が精算可能な通常の持ち球数(持ち球数表示部140に表示される持ち球数)とは別に、後述する所定のクリア条件が成立するまでの期間内で発射数と払出数との差分を算出し、その算出結果を出玉量A、Bを算出するための値として「打ち止め用カウンタ」に記憶保持可能になっている。打ち止め用カウンタの値は、内蔵されているRAMの特定領域に格納している。なお、発射数と払出数との差分の算出式としては、「打ち止め用カウンタの値=払出数-発射数」が挙げられる。例えば、打ち止め用カウンタの値が多くなり過ぎている場合には、遊技者の入れ替わりの有無を問わず、パチンコ機1から大量の出玉が付与されていることを把握することができる。また、本例のパチンコ機1では、遊技球Bの発射により遊技者Aの通常の持ち球数を減算するとともに、賞球の払い出しにより遊技者Aの通常の持ち球数を加算して、遊技者Aの通常の持ち球数(持ち球数表示部140に表示される持ち球数)の増減を管理しているが、上述した通り、打ち止め用カウンタの値は、通常の持ち球数とは別にRAMの特定領域に格納(記憶)されて主制御MPUに管理されるものとなっている。この打ち止め用カウンタの値についても、遊技球Bの発射により減算されるとともに賞球の払い出しにより加算されるものであり、この点については、通常の持ち球数の増減を管理する処理と類似している。しかしながら、打ち止め用カウンタの値は、計数ボタンスイッチ180の操作により遊技者が精算可能なものではなく、この点で通常の持ち球数と大きく相違する。以下では、打ち止め用カウンタの値を用いて算出される出玉量A、Bについて説明する。
【2301】
出玉量Aは、後述する所定のクリア条件が成立するまでの期間内で打ち止め用カウンタがもっとも多くなった時点での値と、後述する所定のクリア条件が成立するまでの期間内で打ち止め用カウンタがもっとも少なくなった時点での値との差分である。つまり、主制御MPUは、このような打ち止め用カウンタの推移を記憶しておき、打ち止め用カウンタの最大値と最小値の差分を算出し、その算出結果を出玉量Aとして随時更新し、内蔵されているRAMの特定領域に格納している。そして、出玉量Aについては、後述する所定のクリア条件が成立することでクリアし、初期値である0に戻されるものとしている。なお、後述するクリア条件には「持ち球の精算(計数ボタンスイッチ180の操作)」は含まないようにしており、遊技者Aの精算後に遊技者Bが遊技を開始した場合にも、クリア条件が成立していない限りは、遊技者Aと遊技者Bの双方の遊技進行過程における出玉量Aが累積されるかたちで記憶保持される(維持される)ように構成されている。これにより、一の遊技機が一の遊技者に対して想定外に大量の出玉が付与された場合だけでなく、一の遊技機が複数の遊技者に対して想定外に大量の出玉を付与している場合も把握することができる。」
「【2310】
(遊技の制限)
本例のパチンコ機1は、上述した出玉量(出玉量A、B)が特定値に達したときに、以下の3種類の制限パターンのいずれかを実行し、主制御基板1310が打ち止め状態にして遊技の制限を実行可能にしている。なお、出玉量が特定値に達したときには、以降の遊技の制限を実行しているが、遊技状態(高確率状態や時短状態、記憶されている保留数の情報、変動中の図柄に関する情報)などの遊技に関する情報については、クリアしないで保持するようにしている。そして、詳しくは後述するが、遊技に関する情報については、電源遮断後の再投入時において、維持するか又はクリアするかを選択しうるように構成している。
・・・
【2315】
制限パターン3は、出玉量が特定値に達したときに、「遊技停止」と「発射停止」の両方を伴う打ち止め状態を行うパターンである。「遊技停止」と「発射停止」した場合には、遊技者がハンドル160を操作したときに、遊技領域5aへ遊技球の発射ができないだけでなく、仮に始動入賞があったとしても、遊技球の払い出しがなく、特別図柄の変動表示を開始することができず、通常の遊技を行うことができない状態としている。つまり、遊技球の発射が許可されておらず、実行中の主制御基板1310側での遊技(主遊技)も強制的に停止させて、主制御基板1310側での遊技(主遊技)を進行させることができない状態となる。」
「【2343】
図126は、出玉量が特定値に達して遊技が制限された場合におけるパチンコ機の挙動を示すタイムチャートである。ここでは、タイミングt1の時点で、入賞口への入球に基づく賞球の払い出しにより出玉量が特定値に達すると判断したときに、打ち止めフラグがONになったと判断し、打ち止め状態に移行した場合について説明している。また、出玉量が特定値に達したときには、打ち止め状態における遊技の制限として、「遊技停止」と「発射停止」の両方を行う制限パターン3が選択されている。また、打ち止め状態に移行した後、電源遮断後の再投入時において、電源投入パターンとして、電源遮断時の遊技状態を維持するとともに、出玉量および打ち止め状態を維持することとなる電源投入パターンを選択している。
【2344】
図126に示すように、タイミングt1よりも前には、主制御基板1310側での遊技状態を通常状態(打ち止め状態でない状態)に制御し、主制御基板1310側での遊技(主遊技)を進行させることが可能な期間としている。つまり、打ち止め状態でない通常状態では、始動入賞があったときに、特別図柄の変動表示を開始することができ、特別図柄の変動表示が当り図柄で停止表示されたときに、大当り遊技を開始することができるという通常の遊技を行うことができる。
【2345】
また、演出表示装置1600、ランプA(枠飾り部材の各種装飾基板に搭載されているLED)、ランプB(遊技盤5の各種装飾基板に搭載されているLED)、ランプC(機能表示ユニット1400の発光基板に搭載されているLED)、スピーカ、可動体については、タイミングt1よりも前に、通常時の動作を実行するようにしている。なお、ランプCは、主制御基板1310が制御しているのに対し、それ以外の部材は、周辺制御基板1510が制御している。ここで、ランプCについては、遊技の進行に伴い、機能表示ユニット1400における複数のLEDが点灯や点滅を行うようにしている。一方、周辺制御基板1510が動作指示している部材については、特別図柄の変動表示が実行されていないときには、特別図柄の変動表示が開始されることを待機する状態での待機演出(例えば、デモ演出)に対応する動作を実行するようにし、特別図柄の変動表示が実行されているときには、周辺制御基板1510が変動パターンコマンドを受信することに基づいて、変動演出(変動パターンに基づく演出)に対応する動作を実行するようにしている。例えば、周辺制御基板1510が変動パターンコマンドを受信したときには、演出表示装置1600では、装飾図柄の変動表示を含む演出表示(例えば、リーチ演出)などを実行し、ランプA、Bでは、演出表示装置1600で実行される演出表示に連動してLEDが点灯や点滅を行うようにし、スピーカからは、演出表示装置1600で実行される演出表示に連動して音声を出力するようにし、可動体では、演出表示装置1600で実行される演出表示に連動して所定の動作を行うようにしている。
・・・
【2353】
次に、タイミングt1の時点で、入賞口への入球に基づく賞球の払い出しにより出玉量が特定値に達すると判断するが、主制御基板1310がその入賞口への入球を検出したときには、打ち止めフラグをONとし、「遊技停止」と「発射停止」の両方を行う制限パターン3が適用された「打ち止め状態」に移行している。そして、打ち止め状態では、遊技球の発射が不能とされ、主制御基板1310側での遊技(主遊技)を進行させることが不能な打ち止め状態としている。つまり、打ち止め状態では、特別図柄の変動表示や大当り遊技を実行することがなく、仮に始動入賞があったとしても、特別図柄の変動表示を新たに開始することがない。
【2354】
また、演出表示装置1600、ランプA~C、スピーカ、可動体については、タイミングt1から所定時間が経過した後に、進行不能時の動作を実行している。具体的には、演出表示装置1600では、進行不能表示として、「遊技制限中」というメッセージを表示するようにし、ランプA、Bでは、進行不能用の発光として、単色で、LEDが点灯や点滅を行うようにし、スピーカからは、進行不能用の音として、「1日の出玉制限に達したので遊技を制限しています」という音声を出力するようにしている。
・・・
【2366】
次に、打ち止め状態に移行した後、タイミングt2の時点で、電源を遮断し、その後のタイミングt3の時点で、電源を再投入している。本例では、打ち止め状態に移行した後、電源遮断後の再投入時において、電源投入パターンとして、電源遮断時の遊技状態を維持するとともに、出玉量および打ち止め状態を維持することとなる電源投入パターンを選択している。このため、タイミングt3の時点で、電源を再投入した後には、通常状態(打ち止め状態でない状態)に戻すことがなく、タイミングt1~t2と同じく、打ち止め状態を維持している。
【2367】
また、打ち止め状態の態様としては、タイミングt1~t2における打ち止め状態と同じ態様を維持している。つまり、タイミングt3の時点で、電源を再投入した後には、打ち止め状態を維持することから、例えば、主制御基板1310側での遊技(主遊技)を進行させることが不能な期間とし、演出表示装置1600、ランプA~C、スピーカ、可動体については、進行不能時の動作を実行している。これにより、電源遮断後の再投入時において、遊技者やホール管理者に対して、打ち止め状態に復帰した旨を認識させることができる。なお、本例では、図示は省略するが、進行不能時の動作を実行する前に、スピーカから「出玉量、打ち止め状態は維持されています。」という音声を出力するとともに、演出表示装置1600に「出玉量、打ち止め状態は維持されています」というメッセージ画像を一時的に表示するようにしている。また、ランプA~Cについては、電源の再投入時に選択されている電源投入パターンに対応する発光色でLEDが発光するようにしている。なお、スピーカから「出玉量、打ち止め状態は維持されています。」という音声を出力するとともに、演出表示装置1600に「出玉量、打ち止め状態は維持されています」というメッセージ画像を表示する期間については省略するようにしてもよい。
【2368】
なお、タイミングt3の時点で、電源を再投入した後には、演出表示装置1600では、進行不能表示として、「遊技制限中」というメッセージを表示しているが、タイミングt1~t2における打ち止め状態とは、メッセージ内容を変更してもよい。また、「遊技制限中」の表示と同時、あるいはそれに先立って、「出玉量、打ち止め状態は維持されています」という表示を行うようにしており、次の営業日等に電源が投入された際に、前日からの引き続きであることをホール管理者に認識させることができ、突然に打ち止め状態となっている状況でホール管理者が混乱することを抑制できる。
・・・
【2370】
また、打ち止め状態における電源遮断後の再投入でなく、通常の電源投入時においては、可動体については、その可動体が正常に動作するか否かや、初期位置に合わせるための初期動作を行っている。しかしながら、本例では、タイミングt3の時点で、電源を再投入した後において、可動体については、動作を停止しており、初期動作を行っていない。このように、電源の再投入時に打ち止め状態に復帰した場合には、可動体が初期動作を行わないことで、通常状態(打ち止め状態でない状態)に戻されていない旨を認識させることができる。ただし、タイミングt3の時点で、電源を再投入した後において、可動体については、初期動作を行うようにしてもよい。」
「【2420】
本例では、出玉量が特定値に達して遊技の制限を実行するよりも前に、出玉量が特定値に達するまでの残り球数を監視しているが、特別図柄の変動表示中に一般入賞口2001へ遊技球が入球することに基づく賞球の払い出しにより、残り球数が「+0発」になる場合には、出玉量が特定値に達すること打ち止めフラグをONとし、所定のクリア条件が成立するまでの間、打ち止め状態に移行するとともに、進行不能時の動作を実行している。そして、打ち止め状態に移行した時点で、実行中の特別図柄の変動表示が進行しないように変動時間の計時を停止(中断)して、遊技を強制的に停止するようにし、遊技の制限を開始している。ここで、実行中の特別図柄の変動表示が進行しないように変動時間の計時を停止(中断)した場合の機能表示ユニット1400について説明する。機能表示ユニット1400は、第一特別図柄表示器または第二特別図柄表示器におけるLEDが点滅(変動表示中の制御態様)を継続している(変動時間は計時されないのでクリア条件が成立まで点滅し続ける)。ただし、機能表示ユニット1400は、第一特別図柄表示器または第二特別図柄表示器におけるLEDが点滅でなく、全点灯や全消灯してもよい。この場合、第一特別図柄表示器または第二特別図柄表示器のLEDに限らず、機能表示ユニット1400における他のLED(状態表示器、普通図柄表示器、普通保留表示器、第一特別保留数表示器、第二特別保留数表示器、ラウンド表示器などのLED)も全点灯や全点灯や全消灯するようにしている。また、機能表示ユニット1400に打ち止め報知専用のLEDを設ける場合には、その打ち止め報知専用のLEDを点灯し、それ以外のLEDを消灯するようにしてもよい。なお、変動時間の計時を停止(中断)した場合の残りの変動時間については、主制御基板1310に内蔵されているRAMに記憶されている。」
イ 先願発明
上記アから、先願には、以下の発明(以下「先願発明」という。)が記載されていると認められる。
(先願発明)
「ハンドル160を遊技者が回転操作することで、遊技球Bが、遊技領域5a内の上部へと打込まれて、遊技球Bによる遊技が開始され(【0952】)、第一始動口2003に遊技球Bが受入れられると、主制御基板1310において、第一特別図柄の抽選が行われ、抽選結果が、「ハズレ」以外であると、遊技者が有利な有利遊技状態が発生する(【0956】)パチンコ機1(【0952】)であって、
第一特別図柄の抽選結果の示唆は、機能表示ユニット1400と演出表示装置1600で行い、機能表示ユニット1400では、主制御基板1310によって直接制御され、複数のLEDを、点灯・消灯を繰返して所定時間点滅させ、その後に、点灯しているLEDの組合せによって特別図柄の抽選結果を示唆し(【0980】)、一方、演出表示装置1600では、主制御基板1310からの制御信号に基づいて、周辺制御基板1510によって間接的に制御され、複数の絵柄からなる絵柄列を、左右方向へ三つ並べて表示した状態で、各絵柄列を変動させ、変動表示されている絵柄列を順次停止表示させ、停止表示される三つの絵柄列の絵柄が、特別図柄の抽選結果と対応した組合せとなるように夫々の絵柄列が停止表示され、特別図柄の抽選結果が「ハズレ」以外の場合は、三つの絵柄列が停止して各絵柄が停止表示された後に、特別図柄の抽選結果を示唆する確定画像が演出表示装置1600に表示されて、抽選された特別図柄の抽選結果に応じた有利遊技状態が発生するものであり(【0981】)、
主制御基板1310と、主制御基板1310から送られた信号に基づいて、演出表示装置1600に演出画像を表示させたり発光演出や可動演出等を実行させたりする周辺制御基板1510と(【0496】)、
遊技盤5の遊技領域5aに遊技球Bを発射する球発射ユニット550、遊技球Bを一つずつ球発射ユニット550へ供給する球送ユニット700、等の制御を行う枠制御基板740と(【0145】、【0416】、【0447】)、を備え、
所定のクリア条件が成立するまでの期間内で、ハンドル160の操作により遊技領域5aに発射される遊技球Bの球数である発射数と、入賞口への入球により賞球として払い出される遊技球Bの球数である払出数との差分を算出し、その算出結果を「打ち止め用カウンタ」に記憶保持し(【2298】、【2299】、【2300】)、
所定のクリア条件が成立するまでの期間内で打ち止め用カウンタがもっとも多くなった時点での値と、所定のクリア条件が成立するまでの期間内で打ち止め用カウンタがもっとも少なくなった時点での値との差分である出玉量が特定値に達したときに、主制御基板1310が打ち止め状態にして遊技の制限を実行可能にしており(【2301】、【2310】)、
タイミングt1の時点で、入賞口への入球に基づく賞球の払い出しにより出玉量が特定値に達すると判断したときに、打ち止めフラグがONになったと判断し、打ち止め状態に移行する場合(【2343】)、
タイミングt1よりも前には、特別図柄の変動表示を開始することができ、特別図柄の変動表示が当り図柄で停止表示されたときに、大当り遊技を開始することができるという通常の遊技を行うことができ(【2344】)、遊技の進行に伴い、機能表示ユニット1400における複数のLEDが点灯や点滅を行うようにしており、周辺制御基板1510が動作指示している部材については、周辺制御基板1510が変動パターンコマンドを受信することに基づいて、変動パターンに基づく演出に対応する動作を実行するようにしており、可動体では、演出表示装置1600で実行される演出表示に連動して所定の動作を行うようにし(【2345】)、
次に、タイミングt1の時点で、入賞口への入球に基づく賞球の払い出しにより出玉量が特定値に達すると判断すると、遊技球の発射が不能とされ、主制御基板1310側での遊技を進行させることが不能な打ち止め状態に移行し(【2353】)、
タイミングt1から所定時間が経過した後に、演出表示装置1600では、進行不能表示として、「遊技制限中」というメッセージを表示するようにし(【2354】)、
打ち止め状態に移行した時点で、実行中の特別図柄の変動表示が進行しないように変動時間の計時を停止し、機能表示ユニット1400は、変動表示中の制御態様であるLEDの点滅を継続し(【2420】)、
次に、打ち止め状態に移行した後、タイミングt2の時点で、電源を遮断し、その後のタイミングt3の時点で、電源を再投入し、打ち止め状態に移行した後、電源遮断後の再投入時において、電源投入パターンとして、電源遮断時の遊技状態を維持するとともに、出玉量および打ち止め状態を維持することとなる電源投入パターンを選択していることから、タイミングt3の時点で、電源を再投入した後には、タイミングt1~t2と同じく、打ち止め状態を維持し(【2366】)、
タイミングt3の時点で、演出表示装置1600は、進行不能時の動作を実行し、進行不能表示として、「遊技制限中」というメッセージを表示しており(【2367】、【2368】)、
電源投入時においては、可動体については、その可動体が正常に動作するか否かや、初期位置に合わせるための初期動作を行っており、電源の再投入時に打ち止め状態に復帰した場合には、タイミングt3の時点で、電源を再投入した後において、可動体については、初期動作を行うようにする(【2370】)
パチンコ機1(【0952】)。」
(3) 対比
本願補正発明と先願発明とを対比する。
ア 特定事項A、K
先願発明の「遊技球の発射が不能とされ、主制御基板1310側での遊技を進行させることが不能な打ち止め状態に移行」すること、「ハンドル160を遊技者が回転操作することで、遊技球Bが、遊技領域5a内の上部へと打込まれ」ること、は、本願補正発明の「遊技を進行することが不能な進行不能状態に制御可能であ」ること、「発射ハンドルを操作することによって遊技球を発射させることが可能であ」ることに、それぞれ相当する。
また、先願発明の「複数の絵柄からなる絵柄列を、左右方向へ三つ並べて表示した状態で、各絵柄列を変動させ、変動表示されている絵柄列を順次停止表示させ、停止表示される三つの絵柄列の絵柄が、特別図柄の抽選結果と対応した組合せとなるように夫々の絵柄列が停止表示され」ることは、本願補正発明の「変動ゲーム」に相当するといえるから、先願発明の「停止表示される三つの絵柄列の絵柄が、特別図柄の抽選結果と対応した組合せとなるように夫々の絵柄列が停止表示され、特別図柄の抽選結果が「ハズレ」以外の場合は、三つの絵柄列が停止して各絵柄が停止表示された後に、特別図柄の抽選結果を示唆する確定画像が演出表示装置1600に表示されて、抽選された特別図柄の抽選結果に応じた有利遊技状態が発生する」ことは、本願補正発明の「変動ゲームを実行するにあたって行われる大当り抽選において大当りに当選した場合に変動ゲームが終了した後に大当り遊技を付与することが可能」であることに相当する。
そして、先願発明の「パチンコ機1」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
以上のことから、先願発明は、本願補正発明の特定事項A、Kを備える。
イ 特定事項B
先願発明の「複数のLEDを、点灯・消灯を繰返して所定時間点滅させ、その後に、点灯しているLEDの組合せによって特別図柄の抽選結果を示唆」し、「LEDの点滅」が「変動表示中の制御態様である」「機能表示ユニット1400」は、本願補正発明の「遊技を進行することに伴って表示内容が更新され得る情報表示部」に相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の特定事項Bを備える。
ウ 特定事項C、C1、C2
先願発明の「主制御基板1310」は、「出玉量が特定値に達したときに」、「遊技球の発射が不能とされ、主制御基板1310側での遊技を進行させることが不能な」「打ち止め状態にして遊技の制限を実行可能に」するものであるところ、先願発明の「出玉量が特定値に達したとき」は、本願補正発明の「特別条件」が「成立」したときに相当し、先願発明の「打ち止め状態」は、本願補正発明の「進行不能状態」に相当する。
したがって、先願発明の「主制御基板1310」は、本願補正発明の「特別条件の成立を契機として前記進行不能状態に制御可能な不能状態制御手段としての機能」を「有」する「主制御部」に相当する。
また、先願発明の「主制御基板1310」は、「機能表示ユニット1400」を「直接制御」し、「複数のLEDを、点灯・消灯を繰返して所定時間点滅させ」るものであるから、本願補正発明の「前記情報表示部の表示内容を制御可能な情報表示部制御手段としての機能」「を有」する「主制御部」に相当する。
以上のことから、先願発明は、本願補正発明の特定事項C、C1、C2を備える。
エ 特定事項D、D1、D2
先願発明の「周辺制御基板1510」は、「主制御基板1310から送られた信号に基づいて、演出表示装置1600に演出画像を表示させたり発光演出や可動演出等を実行させたりする」ことから、本願補正発明の「前記主制御部からの制御情報に基づき所定の処理を実行可能な副制御部」に相当する。
そして、先願発明の「可動体」は「周辺制御基板1510が動作指示している部材」であるから、先願発明において「電源投入時に」「可動体が正常に動作するか否かや、初期位置に合わせるための初期動作を行」う主体が「周辺制御基板1510」であることは明らかである。
してみると、先願発明の「周辺制御基板1510」は、本願補正発明の「電力供給の開始に伴って特定可動体の初期動作に関する制御を行う機能」を「有」する「副制御部」に相当する。
また、先願発明の「「打ち止め状態」において「進行不能表示として、「遊技制限中」というメッセージを表示する」ことは、本願補正発明の「前記進行不能状態に制御されていることを特定可能な特定演出」に相当する。
そして、先願発明の「周辺制御基板1510」は、「演出表示装置1600に演出画像を表示させ」るものであるから、「打ち止め状態」において「進行不能表示として、「遊技制限中」というメッセージを表示する」主体が「周辺制御基板1510」であることは明らかであり、先願発明の「周辺制御基板1510」は、本願補正発明の「前記進行不能状態に制御されていることを特定可能な特定演出の実行に関する制御を行う機能」「を有」する「副制御部」に相当する。
以上のことから、先願発明は、本願補正発明の特定事項D、D1、D2を備える。
オ 特定事項E、E1
先願発明の「遊技盤5の遊技領域5aに遊技球Bを発射する球発射ユニット550、遊技球Bを一つずつ球発射ユニット550へ供給する球送ユニット700、等の制御を行う枠制御基板740」は、本願補正発明の「前記発射ハンドルの操作に基づいて、遊技球の発射に係る発射制御を実行可能な発射制御手段としての機能を有」するものといえるから、本願補正発明の「発射駆動回路」に相当する。
以上のことから、先願発明は、本願補正発明の特定事項E、E1を備える。
カ 特定事項F
上記ウより、先願発明の「出玉量が特定値に達したとき」は、本願補正発明の「特別条件」が「成立」したときに相当する。
そして、先願発明の「出玉量」は、「所定のクリア条件が成立するまでの期間内で、ハンドル160の操作により遊技領域5aに発射される遊技球Bの球数である発射数と、入賞口への入球により賞球として払い出される遊技球Bの球数である払出数との差分を算出し、その算出結果を「打ち止め用カウンタ」に記憶保持し、所定のクリア条件が成立するまでの期間内で打ち止め用カウンタがもっとも多くなった時点での値と、所定のクリア条件が成立するまでの期間内で打ち止め用カウンタがもっとも少なくなった時点での値との差分である」から、本願補正発明の「遊技媒体の付与に伴って変化可能な値」に相当する。
してみると、先願発明の「出玉量が特定値に達したとき」は、本願補正発明の「遊技媒体の付与に伴って変化可能な値が規定値に達する」ときに相当し、先願発明においても本願補正発明と同様に「前記特別条件は、遊技媒体の付与に伴って変化可能な値が規定値に達することによって成立するようになって」いるといえる。
よって、先願発明は、本願補正発明の特定事項Fを備える。
キ 特定事項G
先願発明の「タイミングt1よりも前には、特別図柄の変動表示を開始することができ、」「周辺制御基板1510が変動パターンコマンドを受信することに基づいて、変動パターンに基づく演出に対応する動作を実行」しているところ、「タイミングt1の時点で」、「出玉量が特定値に達すると」「打ち止め状態に移行する場合」は、本願補正発明の「変動ゲームが実行されているときにおいて前記特別条件が成立して前記進行不能状態に制御された場合」に相当する。
そして、先願発明の「タイミングt1の時点で」、「出玉量が特定値に達すると判断すると」、「打ち止め状態に移行」し、「遊技球の発射が不能とされ」ることは、本願補正発明の「当該進行不能状態では、前記発射ハンドルを操作したとしても遊技球が発射され」ないことに相当する。
以上のことから、先願発明は、本願補正発明の特定事項Gを備える。
ク 特定事項H
先願発明の「打ち止め状態に移行した時点で、実行中の特別図柄の変動表示が進行しないように変動時間の計時を停止し、機能表示ユニット1400は、変動表示中の制御態様であるLEDの点滅を継続」することは、本願補正発明の「前記情報表示部の表示内容は、前記進行不能状態に制御されたとしても当該進行不能状態に制御されたことを契機として更新され」ないことに相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の特定事項Hを備える。
ケ 特定事項I
先願発明の「打ち止め状態に移行した後、タイミングt2の時点で、電源を遮断」された場合は、本願補正発明の「前記進行不能状態に制御された後に電力供給が遮断された場合」に相当する。
そして、先願発明の「その後の」「タイミングt3の時点で、電源を再投入した後には、タイミングt1~t2と同じく、打ち止め状態を維持」することは、本願補正発明の「その後、電力供給が開始されたことに伴って前記進行不能状態に制御されるとき」に相当する。
上記エより、先願発明の「「遊技制限中」というメッセージを表示する」ことは、本願補正発明の「特定演出」に相当するから、先願発明の「タイミングt3の時点で、演出表示装置1600は、進行不能時の動作を実行し、進行不能表示として、「遊技制限中」というメッセージを表示」することは、本願補正発明の「前記特定演出は」、「その後、電力供給が開始されたことに伴って前記進行不能状態に制御されるときにおいて、実行可能であ」ることに相当する。
以上のことから、先願発明は、本願補正発明の特定事項Iを備える。
コ 特定事項J
先願発明の「タイミングt3」は、「電源を遮断し」た後、「電源を再投入し、打ち止め状態に移行した」タイミングであり、本願補正発明の「電力供給が開始されたことに伴って前記進行不能状態に制御される」ときに相当する。
そして、先願発明は、「電源を再投入した」「タイミングt3の時点で」、「「遊技制限中」というメッセージを表示し」、「電源を再投入した後において、可動体については、初期動作を行う」ものであるところ、このことは、本願補正発明の「前記特定演出が実行された後のタイミングにおいて前記特定可動体の初期動作を実行可能である」ことに相当する。
以上のことから、先願発明は、本願補正発明の特定事項Jを備える。
サ 一致点・相違点
上記ア~コから見て、本願補正発明と先願発明は、全ての点で一致し、相違するところはない。
よって、本願補正発明は、先願発明と同一の発明である。
(4) 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和6年6月3日付け審判請求書において、以下の旨を主張する。
「(5)先願4との対比
先願4には、通常の電源投入時においては可動体の初期動作が実行される一方、打ち止め状態となった後に電源の再投入が行われた場合には可動体の初期動作が実行されないことが記載されている。つまり、先願4は、本願発明1のように、「電力供給が開始されたことに伴って進行不能状態に制御されるとき、特定演出が実行された後のタイミングにおいて特定可動体の初期動作を実行可能である」ように構成されたものではない。即ち、本願発明1は、先願4に記載された発明と同一でなく、実質的同一でもない。」
上記主張について検討する。
上記(2)イに先願発明として認定したとおり、先願発明は「電源の再投入時に打ち止め状態に復帰した場合には、タイミングt3の時点で、電源を再投入した後において、可動体については、初期動作を行うようにする」ものであり、上記(3)コにおいて検討したとおり、先願発明は、本願補正発明の特定事項Jを備えるものである。
よって、審判請求書における請求人の主張を採用することはできない。
(5) まとめ
したがって、本願補正発明は、先願発明と同一の発明であり、先願明細書等に記載された発明である。また、本件出願の発明者が先願の発明者と同一ではなく、また本件の出願の時に、本件の出願人と先願の出願人とが同一でもない。
よって、本願補正発明は、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
5 補正の却下の決定についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条7項の規定に違反するので、同法第159条1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和5年12月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載した次のとおりのものである(符号A等は、合議体が付した。)。
(本願発明)
「【請求項1】
A 遊技を進行することが不能な進行不能状態に制御可能であって、発射ハンドルを操作することによって遊技球を発射させることが可能であり、変動ゲームを実行するにあたって行われる大当り抽選において大当りに当選した場合に変動ゲームが終了した後に大当り遊技を付与することが可能な遊技機において、
B 遊技を進行することに伴って表示内容が更新され得る情報表示部と、
C 主制御部と、
D 前記主制御部からの制御情報に基づき所定の処理を実行可能な副制御部と、
E 発射駆動回路と、を備え、
E1 前記発射駆動回路は、前記発射ハンドルの操作に基づいて、遊技球の発射に係る発射制御を実行可能な発射制御手段としての機能を有し、
C 前記主制御部は、
C1 特別条件の成立を契機として前記進行不能状態に制御可能な不能状態制御手段としての機能と、
C2 前記情報表示部の表示内容を制御可能な情報表示部制御手段としての機能と、を有し、
G 変動ゲームが実行されているときにおいて前記特別条件が成立して前記進行不能状態に制御された場合、当該進行不能状態では、前記発射ハンドルを操作したとしても遊技球が発射されず、
H 前記情報表示部の表示内容は、前記進行不能状態に制御されたとしても当該進行不能状態に制御されたことを契機として更新されない
K ことを特徴とする遊技機。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含むものである。
3.(拡大先願)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
●理由3について
・請求項1、2
・先願 特願2021-117208号(特開2023-13204号)
3 先願、先願発明
原査定の拒絶の理由に引用された先願は、上記第2[理由]4(2)において先願として引用したものと同じであるところ、その記載事項は、上記第2[理由]4(2)アに摘記したとおりであり、先願発明は、上記第2[理由]4(2)イで認定したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記第2[理由]4で検討した本願補正発明のうち、本件補正により限定された事項(上記第2[理由]2(1)及び(2))である特定事項D1、D2、F、I及びJを削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに本件補正により限定された事項である特定事項D1、D2、F、I及びJを加えたものである本願補正発明が、上記第2[理由]4で検討したとおり、先願発明と同一であるから、本願発明も先願発明と同一である。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-009150