商標拒絶査定不服審判
2022-011056
ユメヤ、ユメ
- 審判番号
- 2022-011056
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-147598
- 請求日
- 2022年07月15日
- 審決日
- 2024年03月29日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】江上 新之助
- 【請求人代理人】前川 真貴子
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 山田 啓之
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T18 .261-Z (W30) / T18 .262-Z (W30) / T18 .263-Z (W30) / T18 .264-Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第10条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-147598拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年11月30日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年10月8日付け :拒絶理由通知書
令和3年11月22日 :意見書の提出
令和4年4月14日付け :拒絶査定
令和4年7月15日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「夢屋」の文字を標準文字で表してなり、第30類「お好み焼のソース,焼きそばのソース,穀物の加工品,お好み焼,焼きそば,食用粉類」を指定商品として登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
なお、以下(1)及び(2)の登録商標をまとめて「引用商標」という場合がある。
(1)登録第6389586号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲1のとおり
登録出願日:令和2年11月24日
設定登録日:令和3年5月14日
指定役務 :第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
(2)登録第6700450号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:令和2年11月24日
設定登録日:令和5年5月23日
指定役務 :第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品(「中国酒・薬味酒・清涼飲料・果実飲料・飲料用野菜ジュース・ホップ・ビール製造用ホップエキス・海藻類・冷凍野菜・野菜(「茶の葉」を除く。)・糖料作物・茶の葉・冷凍果実・果実・麦芽・サプリメント・乳幼児用飲料及び乳幼児用食品」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
なお、引用商標2は、上記第1の拒絶理由通知書で通知した商願2020-144852号が、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(商願2022-120991号)をされた結果、設定登録されたものである。
第4 当審の判断
1 本願商標
本願商標は、「夢屋」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書類に採録された既成語ではなく、一種の造語と認められるものである。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して「ユメヤ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
2 引用商標
(1)引用商標1は、別掲1のとおり、二重の円の中央に、「夢や」の文字を縦書きしてなり、当該文字の左右には、それぞれ、縦線と葉のような図形が配されているものである。
そして、引用商標1の構成中の「夢や」の文字は、円の中央というひときわ目立つ場所に、黒色の読み取りやすい書体で明瞭に、大きな文字で記載されているから、外観上、その文字部分以外の図形部分と一見して明確に区別して認識できる。
また、当該「夢や」の文字が辞書類に採録された既成語ではなく、一種の造語と認められるものであって、引用商標1の指定役務との関係で出所識別力を有しないと認めるに足る事情がないことを考え合わせると、「夢や」の文字部分は、引用商標1を見る者に強い印象を与えるとともに、その注意を強く引くものであるというのが相当である。
さらに、「夢や」の文字部分と、それ以外の図形部分とが密接な関連性を有しているとは認められない。
これらの事情を総合すると、「夢や」の文字部分と、それ以外の図形部分とが、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認めることはできず、両者はそれぞれ独立して役務の出所識別標識として認識される場合があるというのが相当であるから、「夢や」の文字部分を要部として抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというのが相当である。
したがって、引用商標1は、「夢や」の文字部分に相応して「ユメヤ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標2は、別掲2のとおり、「夢」の文字を内部に有する円図形(以下「円部分」という。)の下に、「ユメヤ」の文字を配してなるところ、円部分と「ユメヤ」の文字部分とは、その構成が明らかに相違する上に、ある程度の間隔を設けて配置され、横幅も不ぞろいであることから、両者は一見して、視覚的に分離して看取されるものといえるのであって、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められない。
また、円部分と「ユメヤ」の文字部分は、いずれも、その指定役務との関係でその質等を表すものとはいえず、他に、引用商標2が常に一体不可分のものとしてのみ認識されるとする事情は見当たらない。
そうすると、引用商標2は、その構成中の円部分と「ユメヤ」の文字部分とが、それぞれ独立して役務の出所識別標識として認識される場合があるというのが相当であるから、「ユメヤ」の文字部分を要部として抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというのが相当である。
したがって、引用商標2は、円部分又は全体から「ユメ」、「ユメユメヤ」の称呼を生じるほか、「ユメヤ」の文字部分に相応して「ユメヤ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
3 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標との類否について検討するに、外観においては、本願商標を構成する「夢屋」の文字と、引用商標1の要部である「夢や」の文字及び引用商標2の要部である「ユメヤ」の文字とは、文字種及び書体が相違するものの、商標の使用において、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で漢字を平仮名や片仮名表記にし、デザイン化したり、あるいは、その逆にしたりという変換は普通に行われていることであること、本願商標及び引用商標に係る上記各文字部分は、いずれもさほど特徴的な書体やデザインで表されたものではなく、それらの外形自体が、外観における印象として、需要者の記憶に残るものではないことをも考慮すると、これらの文字の外観の差異は、本願商標及び引用商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、その商品又は役務の出所が別異のものであると認識させるほどの強い印象を与えるものではないというべきである。
また、称呼においては、本願商標と引用商標の各要部とは、いずれも「ユメヤ」の称呼を生じるものであるから、両者は称呼上、同一である。
さらに、観念においては、本願商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないから、観念上、比較することはできない。
以上によれば、本願商標と引用商標とは、観念上比較することができないものであるとしても、両者の外観の差異が強い印象を与えるものではなく、称呼上同一であるから、その外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合すると、両者は、商品又は役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
4 本願商標の指定商品と引用商標の指定役務の類否について
本願商標の指定商品である第30類「お好み焼のソース,焼きそばのソース,穀物の加工品,お好み焼,焼きそば,食用粉類」は、引用商標1の指定役務中の第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び引用商標2の指定役務中の第35類「飲食料品(「中国酒・薬味酒・清涼飲料・果実飲料・飲料用野菜ジュース・ホップ・ビール製造用ホップエキス・海藻類・冷凍野菜・野菜(「茶の葉」を除く。)・糖料作物・茶の葉・冷凍果実・果実・麦芽・サプリメント・乳幼児用飲料及び乳幼児用食品」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下、まとめて「「飲食料品」の小売等役務」という場合があり、また、「小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を「小売等役務」という場合がある。)と類似の商品と認められる。
5 請求人の主張
(1)請求人は、引用商標は小売等役務を指定役務とするサービスマークであるのに対し、本願商標はお好み焼等の商品に使用する商標であるところ、サービスマーク同士であったとしても「ヤ」の標記の違いや、「ユメ」の標記の違いによって誤認や混同が生じることはないのであるから、商品に使用しても需要者等に誤認や混同が生じるおそれはない上に、請求人は、多くの雑誌にも取り上げられている京都にあるお好み焼き屋として周知の店「夢屋」を経営しており、請求人の商品の需要者等は漢字の「夢屋」を識別標識として注意して商品を選択するから、需要者等の識別力は通常よりも高く、漢字2字の「夢屋」ではない「夢や」や「ユメヤ」なるサービスマークの下に販売される商品と誤認・混同するおそれはない旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮すべき取引の実情は、当該商標が現に、当該指定商品に使用されている特殊的、限定的な実情に限定して理解されるべきではなく、当該指定商品についてのより一般的、恒常的な実情、例えば、取引方法、流通経路、需要者層、商標の使用状況等を総合した取引の実情を含めて理解されるべきであるところ(最高裁昭和47年(行ツ)第33号判決、知財高裁平成20年(行ケ)第10285号判決参照)、請求人の主張に係る上記取引の実情は、いずれも、現在の取引の実情の一側面を今後も変化する余地のないものとして挙げているにとどまるものであって、採用できない。
(2)請求人は、本願商標の指定商品と引用商標の指定役務との類否について、お好み焼のソース等の取引においては、製造者は小売業者や卸売業者に商品を販売し,小売業者等によって一般消費者に商品が販売される業態が通常であり、お好み焼のソース等の製造・販売と飲食料品の小売等役務の提供者が同一の事業者によって行われることは通常行われる取引の形態であるとはいえないことなどから、飲食料品店にお好み焼のソース等の商品が売られていたとしても、店で売られているお好み焼のソース等が当該店の事業者が製造していると需要者等が誤認するおそれはないといえるとして、本願商標の指定商品である「お好み焼のソース等」と引用商標1及び2の指定役務である「飲食料品の小売等役務」は互いに非類似である旨主張する。
しかしながら、ある製品の製造業者が当該製品の販売場を持つなどして、当該販売場を置くとともに、同時に、顧客に対する当該製品の品揃え・陳列、接客等のサービスを提供するなどして小売等役務の提供場所とし、当該製品の販売行為を促進して最終的には当該製品の販売行為により収益を上げようとすることは、自然な商業的取引の在り様といえ、これと異なる特殊な事情がない限りは、通常行われることと推認されるものというべきである(知財高裁令和4年(行ケ)第10041号判決参照)。
そして、本願商標の指定商品である「お好み焼のソース,焼きそばのソース,穀物の加工品,お好み焼,焼きそば,食用粉類」は、いずれも食料品といえるものであって、引用商標の指定役務中の「飲食料品」の小売等役務に係る商品に含まれるものであるところ、本願商標の指定商品について、その製造・販売と小売等役務の提供が別事業者によって行われていることが通常であるとするような特殊な事情は認められず、かえって、本願商標の指定商品中の「お好み焼のソース,焼きそばのソース,穀物の加工品」と、それら商品の小売等役務が同一営業主によって行われていることが、別掲3の事実からも確認できる。
(3)したがって、請求人の上記(1)及び(2)の主張は、いずれも採用できない。
6 まとめ
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定役務と類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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