商標拒絶査定不服審判
2021-017336
フクトクセンベー、フクトク
- 審判番号
- 2021-017336
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-140460
- 請求日
- 2021年12月16日
- 審決日
- 2023年02月28日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社落雁諸江屋
- 【請求人代理人】宮田 誠心
- 【請求人代理人】宮田 正道
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .261-Z (W30) / T18 .262-Z (W30) / T18 .263-Z (W30) / T18 .264-Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-140460拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は,令和2年11月13日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年4月19日付け:拒絶理由通知書
令和3年5月28日 :意見書,手続補正書の提出
令和3年9月27日付け:拒絶査定
令和3年12月16日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成よりなり,第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,登録出願され,その後,指定商品については,上記1の手続補正書により,「煎餅,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下に掲げるとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5423184号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 福徳大福(標準文字)
指定商品 第30類「大福餅」
登録出願日 平成22年8月4日
設定登録日 平成23年7月1日
(2)登録第5854410号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 福徳ゆべし(標準文字)
指定商品 第30類「ゆべし,餅菓子」
登録出願日 平成27年1月19日
設定登録日 平成28年5月27日
以下,引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号
ア 商標の類否は,同一又は類似の商品に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷・民集22巻2号399頁参照)。
また,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについては,商標の各構成部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合には,その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,原則として許されないが,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などには,商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものと解される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
イ 商標法第4条第1項第11号該当性について
(ア)本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成よりなるところ,その構成文字は,若干崩した書体で表されているものの,一般的な毛書体の域を出ないものであって,「福徳煎餅」の文字を表したと把握できるものである。
そして,本願商標の構成中,「福徳」の漢字は「善行およびそれによって得る福利。」等の,また,「煎餅」の文字は「干菓子の一種。」等の意味を有する語であり(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店発行),これらの文字全体が特定の意味を有する語として知られているとはいえないから,本願商標は,「福徳」の文字と「煎餅」の文字とを結合してなるものと容易に認識し得るものである。
また,本願商標の構成中,「煎餅」の文字部分は,上記意味を有する語であり,その指定商品の分野において,商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものである。
他方,「福徳」の文字は,「善行およびそれによって得る福利。」等の意味を有する語であるが,本願の指定商品との関係において,商品の品質等を表す語として一般に使用されている語ではないことから,取引者,需要者に対して強く支配的な印象を与えるものといえる。
そうすると,本願商標の構成中,「福徳」の文字部分と「煎餅」の文字部分とが,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとは認められないから,本願商標から「福徳」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
したがって,本願商標は,全体の構成文字に相応して生じる「フクトクセンベイ」の称呼のほかに,その要部である「福徳」の文字部分(以下「本願要部」という。)に相応して,「フクトク」の称呼を生じるとともに,「善行およびそれによって得る福利。」の観念を生じるものである。
(イ)引用商標
a 引用商標1
引用商標1は,「福徳大福」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「福徳」の文字は「善行およびそれによって得る福利。」等の,「大福」の文字は「大福餅の略。」等の意味を有する語(前掲書)であるところ,これらの文字全体が特定の意味を有する語として知られているとはいえないから,引用商標1は,「福徳」の文字と「大福」の文字とを結合してなるものと容易に認識し得るものである。
また,引用商標1の構成中,「大福」の文字部分は,上記意味を有する語であり,その指定商品の分野において,商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものである。
他方,「福徳」の文字は,「善行およびそれによって得る福利。」等の意味を有する語であるが,引用商標1の指定商品との関係においては,商品の品質等を表す語として一般に使用されている語ではないことから,取引者,需要者に対して強く支配的な印象を与えるものといえる。
そうすると,引用商標1の構成中,「福徳」の文字部分と「大福」の文字部分とが,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとは認められないから,引用商標1から「福徳」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(本願商標)と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
したがって,引用商標1は,全体の構成文字に相応して生じる「フクトクダイフク」の称呼のほかに,その要部である「福徳」の文字部分(以下「引用1要部」という。)に相応して,「フクトク」の称呼を生じるとともに,「善行およびそれによって得る福利。」の観念を生じるものである。
b 引用商標2
引用商標2は,「福徳ゆべし」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「福徳」の文字は「善行およびそれによって得る福利。」等の,「ゆべし」の文字は「米粉・小麦粉・砂糖・みそ・くるみなどをまぜ,ゆずの果汁や皮を加えて,こねて蒸した菓子。」の意味を有する語(前掲書)であるところ,これらの文字全体が特定の意味を有する語として知られているとはいえないから,引用商標2は,「福徳」の文字と「ゆべし」の文字とを結合してなるものと容易に認識し得るものである。
また,引用商標2の構成中,「ゆべし」の文字部分は,上記意味を表す語であり,その指定商品の分野において,商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものである。
他方,「福徳」の文字は,「善行およびそれによって得る福利。」等の意味を有する語であるが,引用商標2の指定商品との関係においては,商品の品質等を表す語として一般に使用されている語ではないことから,取引者,需要者に対して強く支配的な印象を与えるものといえる。
そうすると,引用商標2の構成中,「福徳」の文字部分と「ゆべし」の文字部分とが,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとは認められないから,引用商標2から「福徳」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(本願商標)と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
したがって,引用商標2は,全体の構成文字に相応して生じる「フクトクユベシ」の称呼のほかに,その要部である「福徳」の文字部分(以下「引用2要部」という。)に相応して,「フクトク」の称呼を生じるとともに,「善行およびそれによって得る福利。」の観念を生じるものである。
(ウ)本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標は,それぞれ,上記(ア)及び(イ)の構成よりなるところ,本願要部と引用1要部及び引用2要部(以下,引用1要部と引用2要部をまとめて「引用要部」という。)とを比較すると,両者は縦書きか横書きかにおいて差異を有するとともに,その書体においても異なるものであるが,その構成文字は同一であるから,似通った印象を与えるものである。
そして,称呼及び観念においては,本願要部と引用要部は,ともに「フクトク」の称呼及び「善行およびそれによって得る福利。」の観念を生じるから,両者は称呼及び観念を同一にするものである。
そうすると,本願商標と引用商標とは全体の構成等において相違するものの,本願要部と引用要部は,称呼及び観念を同一にするものであって,外観も似通った印象を与えるものであるから,これらが,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合すれば,両商標は,互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(エ)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本願の指定商品は,引用商標の指定商品と,その生産部門,販売部門,需要者等を共通にする類似の商品である。
(オ)小括
本願商標と引用商標とは,相紛れるおそれのある類似の商標であり,かつ,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品と類似のものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「本願商標及び引用商標の構成各文字は,いずれも同一書体,同じ大きさで,等間隔に,視覚上まとまりよく一体的なものとして看取,認識されるため,その構成全体をもって把握されるとみるのが自然であって,その構成中のいずれかの文字のみが看者に強く印象づけられるとはいい難い」旨を主張している。
しかしながら,前記(1)イ(ア)及び(イ)のとおり,本願商標の構成中「煎餅」の文字,引用商標1の構成中「大福」の文字及び引用商標2の構成中「ゆべし」の文字は,いずれも,それぞれの指定商品の分野において,商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものである一方,上記各商標構成中の「福徳」の文字は,商品の品質等を表す語として一般に使用されている語ではなく,本願商標の構成中「煎餅」の文字,引用商標1の構成中「大福」の文字及び引用商標2の構成中「ゆべし」の文字に比して自他商品の識別力が高いといえるから,たとえ本願商標及び引用商標が視覚上まとまりよく一体的に表されているとしても,当該商標のいずれにおいても「福徳」の文字部分が取引者,需要者に対して強く支配的な印象を与えるというべきである。
イ 請求人は,「請求人が本願商標を商品「煎餅」に長年にわたって現在も使用しており,季節菓子としての特性と共に,その菓子の携帯の特異性により多くの需要者の注目を得て,周知度を高めている」旨を主張し,その証拠方法として,原審において甲第1号証ないし甲第11号証を,当審において甲第12号証にないし甲第67号証を提出している。
そこで,以下検討する。
(ア)Googleのウェブサイトにおける画像検索結果画面において,本願商標と同一の商標が包装袋に表示された商品の画像が複数表示されている(甲1~甲3)。
(イ)複数のウェブサイトやブログ,SNSにおいて,本願商標と同一の商標が包装袋に表示された商品の画像や「福徳煎餅」の文字が掲載されている(甲4~甲67)。
(ウ)以上によれば,本願商標を使用した商品が販売され,購入した者がある程度存在し,当該購入者がブログやSNSで当該商品の紹介をしていることはうかがえるものの,本願商標を使用した請求人の業務にかかる商品(以下「請求人商品」という。)の販売期間,販売場所,市場シェア,売上高,販売数,広告費,広告宣伝の方法・回数等については,客観的な証拠の提出がなく不明であって,本願商標について,具体的な使用事実に基づいて使用状況を把握し,その周知性の程度を客観的に推し量ることができない。
そのほか,当審において,職権で調査するも,本願商標が,請求人商品を表すものとして一体的に把握され,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる事情を見いだすこともできなかった。
したがって,請求人から提出された証拠及び当審における職権調査によっては,本願商標が,我が国において請求人商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識され,周知性を獲得しているとは認めることができないものである。
ウ 請求人は,「現実の取引において引用商標と商品の出所について誤認混同を生じたことがない」旨主張している。
しかしながら,現実に出所混同を生じることは商標法第4条第1項第11号に該当する要件とはされていないから,仮にこれまでに現実の取引において出所混同を生じたことがないとしても,出所混同のおそれを否定することはできない。
エ したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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