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特許拒絶査定不服審判

2022-010913

高作動圧力用途のための圧力センサモジュール

審判番号
2022-010913
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-569781外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年07月13日
審決日
2023年05月29日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019-569781「高作動圧力用途のための圧力センサモジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月20日国際公開、WO2018/231520、令和 2年 8月13日国内公表、特表2020-524270〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)5月30日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張 2017年6月16日 米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和 2年 2月13日 :翻訳文の提出 令和 3年11月17日付け:拒絶理由通知書 令和 4年 2月18日 :意見書、手続補正書の提出 同年 3月 9日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月15日 :原査定の謄本の送達) 同年 7月13日 :審判請求書、手続補正書の提出 同年 9月 2日付け:前置報告書 同年11月11日 :上申書の提出 第2 令和4年7月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年7月13日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 本件補正の内容 令和4年7月13日にされた補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであって、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、後記の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含む。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前の請求項1 「【請求項1】 差圧センサモジュールであって、 センサ室入口を有するセンサ室を画定するベースであって、一対のプロセス流体圧力入口をさらに有する、ベースと、 前記センサ室内部に配設された差圧センサであって、第1の圧力を受けるように前記第1の圧力と前記センサ室内部の差圧センサ外部のセンサ室圧力との間の差を示す信号を提供するように構成された入口を有する、差圧センサと、 実質上同平面に配設され、各々が夫々のプロセス流体圧力入口を封止する、一対の隔離ダイヤフラムと、 前記隔離ダイヤフラムのうちの一方と、前記差圧センサの入口とに動作可能に結合された第1の流体通路と、 前記隔離ダイヤフラムのうちの他方と、センサ室入口とに動作可能に結合された第2の流体通路であって、前記隔離ダイヤフラムのうちの他方及びセンサ室と流体連通する充填流体を含む第2の流体通路と、 前記第1の流体通路と、前記第2の流体通路とに流体的に結合された過圧防護ダイヤフラムであって、少なくとも1つの前記隔離ダイヤフラムよりも大きい変位を有する過圧防護ダイヤフラムと、 を備える、差圧センサモジュール。」 (2) 本件補正後の請求項1 「【請求項1】 差圧センサモジュールであって、 センサ室入口を有するセンサ室を画定するベースであって、一対のプロセス流体圧力入口をさらに有する、ベースと、 前記センサ室内部に配設された差圧センサであって、第1の圧力を受けるように前記第1の圧力と前記センサ室内部の差圧センサ外部のセンサ室圧力との間の差を示す信号を提供するように構成された入口を有する、差圧センサと、 実質上同平面に配設され、各々が夫々のプロセス流体圧力入口を封止する、一対の隔離ダイヤフラムと、 前記隔離ダイヤフラムのうちの一方と、前記差圧センサの入口とに動作可能に結合された第1の流体通路と、 前記隔離ダイヤフラムのうちの他方と、センサ室入口とに動作可能に結合された第2の流体通路であって、前記隔離ダイヤフラムのうちの他方及びセンサ室と流体連通する充填流体を含む第2の流体通路と、 前記第1の流体通路と、前記第2の流体通路とに流体的に結合された過圧防護ダイヤフラムであって、いずれの前記隔離ダイヤフラムよりも大きい変位を有する過圧防護ダイヤフラムと、を備え、 過圧がいずれかのプロセス流体圧力入口に加えられたとき、前記過圧防護ダイヤフラムが、差圧センサを保護するように構成される、 差圧センサモジュール。」 2 本件補正の目的 本件補正は、本件補正前の請求項1の「前記第1の流体通路と、前記第2の流体通路とに流体的に結合された過圧防護ダイヤフラムであって、少なくとも1つの前記隔離ダイヤフラムよりも大きい変位を有する過圧防護ダイヤフラムと、を備える、」という記載を、本件補正後の請求項1の「前記第1の流体通路と、前記第2の流体通路とに流体的に結合された過圧防護ダイヤフラムであって、いずれの前記隔離ダイヤフラムよりも大きい変位を有する過圧防護ダイヤフラムと、を備え、過圧がいずれかのプロセス流体圧力入口に加えられたとき、前記過圧防護ダイヤフラムが、差圧センサを保護するように構成される、」という記載に補正することにより、本件補正前の請求項1の発明特定事項である「過圧防護ダイヤフラム」について、「少なくとも1つの前記隔離ダイヤフラムよりも大きい変位を有する」とされていた構成を「いずれの前記隔離ダイヤフラムよりも大きい変位を有する」という構成に限定して「過圧がいずれかのプロセス流体圧力入口に加えられたとき、前記過圧防護ダイヤフラムが、差圧センサを保護するように構成される」ものに限定するものである。 そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 よって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3 独立特許要件についての当審の判断 本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討を行う。 (1) 本件補正発明 ア 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるものである。 イ(ア) なお、請求項1には、次に示す部分にやや不明瞭な記載があるので、以下少し検討する。 「前記センサ室内部に配設された差圧センサであって、第1の圧力を受けるように前記第1の圧力と前記センサ室内部の差圧センサ外部のセンサ室圧力との間の差を示す信号を提供するように構成された入口を有する、差圧センサ」 (イ) 上記記載は、語句の修飾関係がやや複雑であり、「第1の圧力を受けるように…」の部分は、どの記載を修飾するのか分かりにくい。 ウ そこで、明細書の段落【0022】及び図5を参酌すると、次のように記載されている。 「【0022】 図5は、本発明の実施形態が特に有用である差圧センサの拡大図である。…(中略)…図示されるように、台座304は、センサ取り付け面306の通路312と流体連通する開口310を含む。開口310は、基準圧力または低圧側圧力が、差圧センサ300の内部314にアクセスすることを可能にする。図5に示されるように、差圧センサ300の実質的にすべての外面の周囲で、高圧側圧力が、基準圧力(内部314に流体的に結合されている)に対して作用し、センサダイヤフラムを撓ませる。(後略)」 「【図5】 [図:0001403256000001.jpg] 」 エ 前記明細書及び図面の記載を参酌すると、「第1の圧力を受けるように」及び「前記第1の圧力と前記センサ室内部の差圧センサ外部のセンサ室圧力との間の差を示す信号を提供するように」は、いずれも「構成された」を修飾することが理解できる。 オ ここで、本願の国際公開における請求項1の前記記載に相当する箇所の記載は、次のとおりとなっており、上記エの理解と整合する。 「a differential pressure sensor disposed within the sensor chamber and having an inlet configured to receive a first pressure and provide a signal indicative of a difference between the first pressure and a sensor chamber pressure external to the differential pressure sensor within the sensor chamber;」 カ そうすると、請求項1における前記イ(ア)に摘記した記載は、よりこなれた日本語しては、次のように記載すべきものであったと認められる。 「前記センサ室内部に配設された差圧センサであって、第1の圧力を受けて、前記第1の圧力と前記センサ室内部の差圧センサ外部のセンサ室圧力との間の差を示す信号を提供するように構成された入口を有する、差圧センサと、」 キ しかし、修飾関係を前記エのとおり理解することにより、その記載の意味を理解できるから、前記アのとおり本件補正発明を認定する。 (2) 引用発明及び技術常識の認定 ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定 (ア) 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された文献である特開平5-346363号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。下線は合議体が付した。以下同様である。 a 段落【0001】~【0004】 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明はオリフィス等により、二点間に発生した圧力差(差圧)を測定する差圧伝送器に係わり、特に、二箇所の系内圧力が流体を介して伝達される受圧部の構成に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の開示例としては、公開特許公報昭和60-237337号及び、米国特許4,135,408号があるので、これらを参考にしながら説明する。 【0003】いずれの開示例においても、3枚のダイアフラムで仕切られた部屋を2つ設けている受圧部と、この受圧部から離れた場所に、或いは前記受圧部内に圧力を電気に変換する微小変位形の差圧検出部を有している。これらの部分は、前記受圧部内と差圧検出部に形成されている部屋と流体通路を介して連通している。この内部には封入液が満たされており、外気とは完全隔離され、独立に密封されている構成をとっている。 【0004】プロセスから導入された各圧力は低剛性の受圧ダイアフラムと受圧部部材とで形成される各受圧室に伝達し、前記低剛性の受圧ダイアフラムと過大圧の保護機構を構成するために設けられているもう一つのダイアフラム(中心ダイアフラムと称す)と受圧部部材とで形成される隔離室間に形成された流体通路を介して前記隔離室内に伝達する。さらに、隔離室内の圧力は差圧検出部と隔離室間に形成されたもう一つの流体通路を介して、差圧検出部の圧力/電気変換素子(例えば半導体圧力センサ)の表裏に伝達する。これによって、差圧に対応した電気信号が得られる。次に、この各圧力の差が大きくなると(過大圧)、前記低剛性の受圧ダイアフラムは前記受圧室内に設けられているストッパー部に着座するので、封入液の移動がなくなる。また、一端ストッパー部に着座してしまうと、それ以後の過大圧に対しても封入液の移動がない。このため、半導体圧力センサには所定の圧力しか発生せず、過大圧より保護されて破損することはない。前述の如く、この機構は一般には過大圧保護機構と呼ばれており、半導体圧力センサの如き微小変位形の圧力/電気変換素子を採用した差圧伝送器の受圧部には必須の構成要件である。」 b 段落【0023】~【0026】 「【0023】図1は、本発明の差圧伝送器受圧部の一実施例を示す断面図である。図1に示された差圧伝送器受圧部は第一部材10と第二部材11から構成されている。前記第一部材10の一方の端面には、非常に低剛性の高圧側受圧ダイアフラム12と低圧側受圧ダイアフラム13が同方向に、並列的に設けられ、これらのダイアフラム12,13と対向する前記第一部材10の面には受圧ダイアフラムと同形状の波形状の波形面が形成されており、それぞれの受圧ダイアフラム12と13の周辺を前記第一部材10に溶接接合することにより、受圧部の第一部材と受圧ダイアフラム間に2つの受圧室、すなわち高圧側受圧室14と低圧側受圧室115が形成される。また、前記第一部材10のもう一方の面には、中心ダイアフラム16がその外周部付近を円周上に溶接接合され、この溶接された前記中心ダイアフラム16の第一部材10の他方の面側に接合部材30が設けられる。前記接合部材30の一端には、前記中心ダイアフラム16の溶接部より内側に突起状の形状部31を有している。この突起形状部は前記中心ダイアフラム16の差圧測定時の運動支点となるので、前記溶接部には過大な歪が発生しなく高寿命化が図られる。さらに、接合部材301は前記第一部材10と嵌合して、その外周部を溶接接合される。この時、接合部材30と中心ダイアフラム16間に空間が生じ、この空間が高圧側隔離室17となる。前記高圧側隔離室17と前記高圧側受圧室14は、前記第一部材10に形成されている高圧側第一連通路19により直列的に接続している。また、前記中心ダイアフラム16の他方の面には、前記第一部材10内に設けられた第一の凹部101と中心ダイアフラム間で低圧側隔離室18が形成される。この低圧側隔離室18と前記低圧側受圧室15は、前記第一部材10に形成されているもう一つの低圧側第一連通路20により直列的に接続している。これらの構成により、受圧部の第一部材10内で、プロセス圧力を受圧部内に連通させる高圧側と低圧側の各部屋と、各通路が形成される。 【0024】前記接合部材30の高圧側隔離室17を形成している他方の面には、半導体圧力または複合機能形差圧センサの如き微小変位形の圧力/電気変換素子部組100の一方の面が面するように設けられ、前記接合部材30の一端を円周上に溶接接合(C部)され、第一の測定室(高圧側測定室)1001が形成される。この高圧側測定室には、前記高圧側隔離室17と、前記接合部材30に設けられた微小な穴21(高圧側第二連通路)を介して連通する。このため、前記高圧側受圧室14の圧力は、高圧側隔離室17を直列的に経由して、高圧側測定室1001に伝達され、高圧側の圧力測定経路が達成される。 【0025】一方、前記圧力/電気変換素子部組100は、受圧部部材を構成する他の第二部材11の第一の凹部112に挿入され、かつ前記第二部材11の内部に設けられた機械的接触部111により機械的に位置ずれを起こさないように、位置決めされ、かつ、前記第二部材11の他方の面にて(前記高圧側測定室1001の反対方向面)溶接接合される(e部)。圧力が印加された時、この機械的接触部111は、前記圧力/電気変換素子部組100の抜け止めとして動作するので、溶接部(e部)には過大な歪が発生しない。このため、前記溶接部(e部)は単なる気密封止を目的とする一般のアルゴンアーク溶接等の接合法で十分である。また、前記第二部材11には、前記圧力/電気変換素子部組100を挿入する凹部112以外に、もう一つの凹部113が設けられており、かつその延長上に前記第一部材10との接合面を有している。この凹部113には、前記第一部材10内に既に形成されている高圧側隔離室17と低圧側隔離室18の各部屋部分が挿入されており、これらの部屋を包込んだ構成になる。この時、前記高圧側隔離室17を形成するのに設けられた接合部材30は、圧力印加時に、静水圧状態となっている。このため、前記第一部材10との接合部(b部)には、圧力印加時にも、過大な歪が発生しなく、気密封止を目的とする一般のアルゴンアーク溶接等の接合法で十分である。また、前記第二部材11の第二凹部113以外の領域には、前記第一部材10との接合を可能にするための接合面を有しており、この接合面は前記凹部形状の延長上にあり、溶接にて固着接合される(d部)。この接合面の接合時に、前記第二部材11の第一の凹部112と前記圧力/電気変換素子部組100との嵌合によって形成される微小空間と、前記第二部材11の第二の凹部113と前記第一部材10内に設けられた各隔離室を包込むように嵌合された時にできる微小空間とが連通して、圧力/電気変換素子部組100のもう一方の測定室(低圧側測定室)に至る連通路(低圧側第二連通路の一部)が外気と密閉され、圧力を伝達できるようになる。この嵌合の際に形成された前記低圧側第二連通路の一部は、前記第一部材10内と前記中心ダアフラム16とで形成された低圧側隔離室18の一部分に設けられた少なくとも1つ以上の微小穴22(低圧側第二連通路の一部)によって連通する。したがって、前記低圧側受圧室15の圧力は、低圧側隔離室18を直列的に経由して、低圧側測定室(図3に示されているように、この部屋は圧力/電気変換素子部組の内部に形成されている。)に伝達され、低圧側の圧力測定経路が達成される。 【0026】かかる構成により形成される前記各部屋と前記各通路には、圧力を伝達するための非圧縮性封入液、例えばシリコンオイルが封入される。この封入液は、前記第一部材10内の前記高圧側第一連通路19と低圧側第一連通路20に、それぞれ直交するように設けられた液封入口311,321より注入され、シールピン31,32で封止される。」 c 段落【0029】 「【0029】図1における二つの継手フランジ41,42は、プロセス圧力を前述の受圧部の高圧側シールダイフラム12と低圧側シールダイフラム13に導くために設けられる一種の圧力容器であり、通称フランジと呼ばれている。この継手フランジ41,42は、前記各シールダイフラム12,13面を覆うようにして、高圧側と低圧側にそれぞれ別々に設けられ、シール部材45,46を介して、前記受圧部の第一部材10のシールダイフラム位置の近傍に密着接合する。前記継手フランジ41,42のそれぞれの締め付けボルト43,44は、前記シール部材の密着面の他方の面から、継手フランジ41,42に設けられた二つのボルト通し穴(図示せず)を貫通して、なおかつ、前記各シールダイフラムの近傍でそれらに干渉しないようにして、前記受圧部材の第一部材10内に設けられたそれぞれに二つずつ設けた穴105,106を介して、前記第一部材10内の穴105,106とその軸を同じ軸上に設けられた、前記第二部材11内のそれぞれのねじ穴1151,1161にねじ込まれる。この時、前記シール部材45,46は前記締め付けボルトの軸力により圧縮される。このため、前記継手フランジ41,42と前記第一部材の各シールダイアフラム12,13間の空間で形成される高圧側圧力導入室411と、低圧側圧力導入室421が完全に気密封止され、プロセスの各圧力を各シールダイアフラム面に負荷することができる。さらに、これらの締め付けボルトは前記第一部材10と前記第二部材11との接合面(図1のd部)に圧縮力を与えている。したがって、前記接合部d部には、圧力印加時も過大な歪が発生しないので、単なる気密封止を目的としたアルゴンアーク溶接或いはレーザ溶接等の一般的な接合法で十分である。」 d 図1 「 [図:0001403256000002.jpg] 」 e 段落【0032】~【0034】 「【0032】図3は前記圧力/電気変換素子部組の詳細を示した断面図である。図3において、81は単結晶シリコンから成る複合機能形の差圧センサチップである。複合機能形差圧センサチップ81は中空の固定台82を介してハウジング84に取り付けらける。固定台82は複合機能形差圧センサチップ81のハウジング84との電気絶縁およびハウジング84との線膨張係数の相違による熱歪の低減を考慮して、前記シリコンと線膨張係数の近似したセラミックス(例えばSiC,SiN)あるいはFe-Ni合金が望ましい。しかし、入手不可能の場合はその材料選択時に前記シリコンとの線膨張係数との相違を無視しても、実用的精度は達成できる。固定台82とセンサチップ81との接合面側には接合層820を有する。接合層820は固定台82の接合表面を低融点ガラス等の酸化物ソルダーでグレイズ化して形成するか、あるいは金属ソルダー、あるいはAu-Sn,Au-Si合金層又はAuの薄膜をスパッタ法、あるいは蒸着法により形成することができる。または、有機質あるいは無機質のバインダーでも形成できる。かかる接合層820を固定台82のセンサチップ81の接合面側に設けることにより、センサチップ81を、低温で容易に接合できる。またその接合層は薄いので接合歪の影響を極力低減できる。 【0033】複合機能形差圧センサチップ81は(100)面のn形単結晶シリコンであり、その一方の面のほぼ中央に、円形又は多角形の薄肉部811を有する。一方、センサチップ81の他方の面は中央に孔829を有する固定台82とで形成される凹部813を形成する。この凹部813に検出すべき差圧の一方(低圧側圧力)を前記固定台に設けた孔829と前記ハウジング84に設けられた孔843を介して導入する。これにより、前記薄肉部811は差圧に感応する起歪体となり、差圧検出用の感圧ダイアフラムとして動作する。差圧感圧ダイアフラム811の上面(高圧側)には(100)面におけるピエゾ抵抗係数が最大となる〈110〉軸方向に、P形抵抗体(ゲージ抵抗)8111~8114がそれぞれ結晶軸に対して平行又は直角方向に熱拡散法あるいはイオン注入法により形成される。前記各抵抗体8111~8114の配置位置は、差圧印加時に差圧感圧ダイアフラム811上に発生する半径方向,周方向の歪が最大になる固定部近傍に配置する。また、これらの抵抗の配置方向としては、8111と8113を半径方向とし、8112と8114を接線方向とし、これらの抵抗をブリッジ回路に結線することにより大きな差圧信号を得ることができる。差圧感圧ダイアフラム811の形状と肉厚は感応する差圧に応じて所望の形状と肉厚に設定され、異方性ウェットエッチング、あるいはドライエッチングによって形成される。 【0034】センサチップ81に圧力が加わった時、差圧感圧ダイアフラム811上の抵抗体8111~8114は、ダイアフラムの上面(前記高圧側測定室側)と凹部813(前記低圧側測定室側)の圧力差(差圧)により発生する歪を受け、ピエゾ抵抗効果により抵抗が変化する。」 f 段落【0037】 「【0037】複合機能形差圧センサチップ81からの差圧,静圧,温度の各信号はリード線817を介してハウジング84に設けられたハーメチックシール部841の端子842により、前記受圧部の第二部材11の一方の面(前記第二部材の第二凹部と反対側)にそれぞれ取り出される。さらに、これらの信号は前記第二部材11の電気信号取り出し口に設けられた第三の凹部114内の電気信号処理ユニット1141(例えば記憶素子,A/Dコンバータ,マルチプレクサを含んだ信号処理回路であり、本受圧部の特性を特徴ずけるための信号処理ユニット)に送られ、さらに、増幅器(図示せず)に送られて正規化された信号になる。」 g 図3 「 [図:0001403256000003.jpg] 」 h 引用文献1の記載から読み取れる事項 (a) 図1、図3及び段落【0023】、【0029】、【0032】の記載から、「第一部材10」、「第二部材11」、「接合部材30」、「継手フランジ41,42」及び「ハウジング84」(以下、これらの部材を併せて「構成部材」という。)によって、「複合機能形差圧センサチップ81」及び「固定台82」を格納する空間(以下「センサ格納空間」という。)が画定されていることが読み取れる。 (b) 図1及び段落【0024】の記載から、前記センサ格納空間は、前記接合部材30に設けられた「微小な穴21」からなる入口を有することが読み取れる。 (c) 図1及び段落【0023】の記載から、高圧側受圧ダイアフラム12と低圧側受圧ダイアフラム13が、実質上同平面に配列されており、また各々が二つの継手フランジ41,42からの流路を封止して、高圧側受圧室14及び低圧側受圧室15に圧力を伝達するものであることが読み取れる。 (d) 図1及び段落【0023】の記載から、中心ダイアフラム16の両面側にそれぞれ高圧側隔離室17と低圧側隔離室18が形成されていることが読み取れる。 (e) 図1、図3及び段落【0024】、【0026】、【0033】の記載から、前記センサ格納空間の高圧側(図3では上側となる高圧側測定室空間)には、シリコンオイルなどの非圧縮性封入液が封入され、微小な穴21、高圧側隔離室17、高圧側第一連通路19、高圧側受圧室14、高圧側受圧ダイアフラム12、継手フランジ41を介して導入される外部からのプロセス圧力が当該空間内において均一に伝達されることにより、前記センサ格納空間内の高圧側測定室側圧力が、複合機能形差圧センサチップ81の上面、側面、及び固定台82の一部に均等に印加されることが読み取れる。 i 従来の技術に関する記載についての検討 前記aの段落【0004】において、従来の技術として「中心ダイアフラム」が「過大圧の保護機構を構成するために設けられている」ことが説明されている。引用文献1において、前記「中心ダイアフラム」の目的、機能に関し何らかの変更がなされるといった記載も示唆も無いことから、当該説明は前記bの段落【0023】に記載されている、実施例の「中心ダイアフラム16」においても同様にあてはまるものであることは明らかである。 (イ) 引用発明の認定 前記(ア)a~gにおいて摘記した事項及び前記(ア)hの引用文献1の記載から読み取れる事項を前記ア(i)の検討を踏まえて総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「差圧伝送器受圧部であって、(段落【0023】) 微小な穴21からなる入口を有するセンサ格納空間を画定する、第一部材10、第二部材11、接合部材30、継手フランジ41,42及びハウジング84からなる構成部材であって、前記継手フランジ41,42は、プロセス圧力を受圧部の高圧側シールダイアフラム12と低圧側シールダイアフラム13に導くものである、構成部材と、(段落【0029】、前記hの引用文献1の記載から読み取れる事項(a)~(b)) 前記センサ格納空間に格納された、複合機能形差圧センサチップ81及び固定台82であって、(前記hの引用文献1の記載から読み取れる事項(a)) 前記複合機能形差圧センサチップ81は、凹部813を形成し、この凹部813に検出すべき差圧の一方(低圧側圧力)が前記固定台に設けた孔829と前記ハウジング84に設けられた孔843を介して導入され、(段落【0033】) 前記複合機能形差圧センサチップ81に圧力が加わった時、差圧感圧ダイアフラム811上の抵抗体8111~8114は、ダイアフラムの高圧側測定室側と低圧側測定室側の圧力差(差圧)により発生する歪を受け、ピエゾ抵抗効果により抵抗が変化するものであり、(段落【0034】) 前記複合機能形差圧センサチップ81からの差圧信号はリード線817を介してハウジング84に設けられたハーメチックシール部841の端子842により、前記受圧部の第二部材11の一方の面にそれぞれ取り出され、(段落【0037】) 前記高圧側測定室は、高圧側隔離室17と、前記接合部材30に設けられた微小な穴21(高圧側第二連通路)を介して連通し、高圧側受圧室14の圧力は、高圧側隔離室17を直列的に経由して、高圧側測定室に伝達され、高圧側の圧力測定経路が達成され、(段落【0024】)、 前記センサ格納空間内の高圧側測定室側圧力が、複合機能形差圧センサチップ81の上面、側面、及び固定台82の一部に均等に印加され、 実質上同平面に配列され、各々が二つの継手フランジ41,42からの流路を封止して、高圧側受圧室14及び低圧側受圧室15に圧力を伝達する高圧側受圧ダイアフラム12及び低圧側受圧ダイアフラム13と、(前記hの引用文献1の記載から読み取れる事項(c)) 低圧側受圧室15の圧力を、低圧側隔離室18を直列的に経由して、低圧側測定室に伝達する、低圧側の圧力測定経路と、(段落【0025】) 過大圧の保護機構を構成するために設けられている中心ダイアフラムであって、両面側にそれぞれ高圧側隔離室17と低圧側隔離室18が形成されている中心ダイアフラムと、(段落【0004】、【0023】、前記hの引用文献1の記載から読み取れる事項(d)) を有し、 前記各部屋と前記各通路には、圧力を伝達するための非圧縮性封入液が封入される、(段落【0026】) 差圧伝送器受圧部。」 イ 引用文献5及び引用文献6に記載された事項と技術常識1の認定 (ア) 引用文献5に記載された事項 原査定において引用された文献である特開2013-181949号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている。 a 段落【0001】~【0002】 「【0001】 この発明は、圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムを用いた差圧発信器に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来より、工業用の差圧発信器(伝送器)として、圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムを用いた差圧発信器が用いられている。この差圧発信器は、高圧側および低圧側の受圧ダイアフラムに加えられる各測定圧を、圧力伝達媒体としての封入液によってセンサダイアフラムの一方の面および他方の面に導き、そのセンサダイアフラムの歪みを例えば歪抵抗ゲージの抵抗値変化として検出し、この抵抗値変化を電気信号に変換して取り出すように構成されている。」 b 段落【0004】~【0008】 「【0004】 図2に従来の差圧発信器の概略構成を示す。この差圧発信器100は、センサダイアフラム(図示せず)を有するセンサチップ1をメータボディ2に組み込んで構成される。センサチップ1におけるセンサダイアフラムは、シリコンやガラス等からなり、薄板状に形成されたダイアフラムの表面に歪抵抗ゲージが形成されている。メータボディ2は、金属製の本体部3とセンサ部4とからなり、本体部3の側面に一対の受圧部をなすバリアダイアフラム(受圧ダイアフラム)5a,5bが設けられ、センサ部4のセンサ室4a内にセンサチップ1が設けられている。 【0005】 メータボディ2において、センサ室4a内に設けられたセンサチップ1と本体部3に設けられたバリアダイアフラム5a,5bとの間は、大径のセンタダイアフラム6により隔離された圧力緩衝室7a,7bを介してそれぞれ連通され、センサチップ1とバリアダイアフラム5a,5bとを結ぶ連通路8a,8bにシリコーンオイル等の圧力伝達媒体9a,9bが封入されている。 【0006】 なお、シリコーンオイル等の圧力媒体が必要となるのは、センサダイアフラムに対する計測媒体中の異物付着を防ぐこと、センサダイアフラムを腐食させないため、耐食性を持つ受圧ダイアフラムと応力(圧力)感度を持つセンサダイアフラムとを分離する必要があるためである。 【0007】 この差圧発信器100では、図3(a)に定常状態時の動作態様を模式的に示すように、プロセスからの測定圧P1がバリアダイアフラム5aに印加され、プロセスからの測定圧P2がバリアダイアフラム5bに印加される。これにより、バリアダイアフラム5a,5bが変位し、その加えられた圧力P1,P2がセンタダイアフラム6により隔離された圧力緩衝室7a,7bを介し、圧力伝達媒体9a,9bを通して、センサチップ1のセンサダイアフラムの一方の面および他方の面にそれぞれ導かれる。この結果、センサチップ1のセンサダイアフラムは、その導かれた圧力P1,P2の差圧ΔPに相当する変位を呈することになる。 【0008】 これに対して、例えば、バリアダイアフラム5bに過大圧Poverが加わると、図3(b)に示すようにバリアダイアフラム5bが大きく変位し、これに伴ってセンタダイアフラム6が過大圧Poverを吸収するように変位する。そして、バリアダイアフラム5bがメータボディ2の凹部10bの底面(過大圧保護面)に着底し、その変位が規制されると、バリアダイアフラム5bを介するセンサダイアフラムへのそれ以上の差圧ΔPの伝達が阻止される。バリアダイアフラム5aに過大圧Poverが加わった場合も、バリアダイアフラム5bに過大圧Poverが加わった場合と同様にして、バリアダイアフラム5aがメータボディ2の凹部10aの底面(過大圧保護面)に着底し、その変位が規制されると、バリアダイアフラム5aを介するセンサダイアフラムへのそれ以上の差圧ΔPの伝達が阻止される。この結果、過大圧Poverの印加によるセンサチップ1の破損、すなわちセンサチップ1におけるセンサダイアフラムの破損が未然に防止される。」 c 図2、図3 「【図2】 [図:0001403256000004.jpg] 」 「【図3】 [図:0001403256000005.jpg] 」 (イ) 引用文献6に記載された事項 原査定において引用された文献である特開平9-145518号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の事項が記載されている。 a 段落【0011】~【0014】 「【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る差圧・圧力発信器の実施の形態を示す断面図である。なお、図中従来技術の欄で示した構成部品等と同一のものについては同一の符号をもって示し、その説明を省略する。同図において、発信器本体2の発信器ボディ9は、両側面に設けられたシールダイヤフラム8と、これらのシールダイヤフラム8によって形成されたダイヤフラム室14に一端がそれぞれ連通する封入液通路31を有し、ダイヤフラム室14および封入液通路31に封入された封入液13を介して各シールダイヤフラム8の変位を半導体圧力センサ11に伝達するように構成されている。したがって、発信器本体2は、図3に示したセンターダイヤフラム6および内室7を備えていない。 【0012】発信器本体2にキャピラリチューブ5を介してそれぞれ接続される低圧側と高圧側の受圧器3は、その検出器ボディ17の一側面に設けられた接液ダイヤフラム15と、この接液ダイヤフラム15と対称な部位となるように他側面に設けられた過負荷保護用ダイヤフラム35をそれぞれ備えている。検出器ボディ17の側面と接液ダイヤフラム15および過負荷保護用ダイヤフラム35によってそれぞれ形成されたダイヤフラム室16,37は、連通路38によって互いに連通しており、またこの連通路38は封入液通路18を介して前記キャピラリチューブ5に接続されている。過負荷保護用ダイヤフラム35のコンプライアンス(外力が加わったときの変形と力の比で、ダイヤフラムの変形し易さ、撓み易さを表す)は、接液ダイヤフラム15のコンプライアンスより小さく設定されている。言い換えれば、過負荷保護用ダイヤフラム35は、接液ダイヤフラム15より撓み難く製作されている。なお、40はキャピラリチューブ5を発信器ボディ9と検出器ボディ11に接続するための接続具、41はキャピラリチューブ5の接続端部を覆う保護カバー、42は信号処理回路、43はカバー10を発信器ボディ9に固定するボルトである。その他の構成は図3に示した従来の差圧・圧力発信器と同様である。 【0013】このような構造からなるリモート・シール型の差圧・圧力発信器において、測定流体の低圧側および高圧側の圧力PL ,PH が低圧側、高圧側の受圧器3の接液ダイヤフラム15にそれぞれ加わると、これらの接液ダイヤフラム15はその圧力に応じて変位する。そのため、ダイヤフラム室16内の封入液20の一部は、連通路38を通ってダイヤフラム室37へ移動する。この時、通常測定時においては、接液ダイヤフラム15が検出器ボディ17の側面に着底せず、ダイヤフラム室16の容積は零にならない。このダイヤフラム室16内の封入液20は、連通路38を通ってダイヤフラム室37に流れ込み、過負荷保護用ダイヤフラム35を変位させる。したがって、この時の圧力のみが封入液20を介して発信器本体2に導かれ、シールダイヤフラム8を変位させる。そして、このシールダイヤフラム8の変位は、封入液13を介して半導体圧力センサ11に導かれ、その差圧が測定される。 【0014】一方、たとえば低圧側受圧器3の接液ダイヤフラム15に測定限界圧以上の過大圧力が加わると、この接液ダイヤフラム15は変位して検出器ボディ17の側面に着底し、ダイヤフラム室16の容積を零にする。そのため、ダイヤフラム室16内の封入液20は全て連通路38を通ってダイヤフラム室37内へ移動し、過負荷保護用ダイヤフラム35を変位させる。過負荷保護用ダイヤフラム35は、コンプライアンスが小さいが、接液ダイヤフラムが通常の弾性域を越えて塑性域に入る状態よりは撓み易いので、十分に変位してダイヤフラム室16内の封入液20をダイヤフラム室37内に受け入れ、過大圧力を吸収する。したがって、過大圧力は発信器本体2側には伝わらず、シールダイヤフラム8および半導体圧力センサ11が破損することはない。高圧側受圧器3の接液ダイヤフラム15に過大圧力が加わった時も同様に、高圧側の過負荷保護用ダイヤフラム37が変位して過負荷を吸収することにより、過大圧力が発信器本体2側に伝わらず、シールダイヤフラム8および半導体圧力センサ11の破損を防止する。」 b 図1 「 [図:0001403256000006.jpg] 」 (ウ) 技術常識1の認定 前記(ア)及び(イ)に摘記した事項に例示されるように、次の事項は当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識1」という)。 [技術常識1] 「差圧発信器(伝送器)のセンタダイアフラム(保護用ダイアフラム)は、低圧側及び高圧側の受圧ダイアフラムが変位することにより伝達される過大圧を自身の変位により吸収してセンサの破損を防止するものであること。」 (3) 対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 引用発明の「差圧伝送器受圧部」は、「複合機能形差圧センサチップ81」を有し、差圧を測定することができるものであるから、「差圧センサモジュール」であるといえる。したがって、「差圧センサモジュール」の発明である本件補正発明と「差圧伝送器受圧部」の発明である引用発明は、「差圧センサモジュール」の発明である点で一致する。 (イ) 引用発明の「微小な穴21からなる入口を有するセンサ格納空間を画定する、第一部材10、第二部材11、接合部材30、継手フランジ41,42及びハウジング84からなる構成部材」は、本件補正発明の「センサ室入口を有するセンサ室を画定するベース」に相当する。 また、引用発明において、前記構成部材の一部である「継手フランジ41,42」が「プロセス圧力を受圧部の高圧側シールダイアフラム12と低圧側シールダイアフラム13に導くものである」ことは、本件補正発明において「ベース」が「一対のプロセス流体圧力入口をさらに有する」ことに相当する。 よって、本件補正発明と引用発明は、「センサ室入口を有するセンサ室を画定するベースであって、一対のプロセス流体圧力入口をさらに有する、ベース」を備える点で一致する。 (ウ)a 引用発明の「前記センサ格納空間に格納された、複合機能形差圧センサチップ81及び固定台82」は、本件補正発明の「前記センサ室内部に配設された差圧センサ」に相当する。 そして、引用発明における「差圧の一方(低圧側圧力)」及び当該圧力が導入される「前記固定台に設けた孔829」は、それぞれ本件補正発明における「第1の圧力」及び差圧センサの有する「入口」に相当する。 b 引用発明において「センサチップ81」は「ダイアフラムの高圧側測定室側と低圧側測定室側の圧力差(差圧)により発生する歪を受け、ピエゾ抵抗効果により抵抗が変化する」ことにより「差圧信号」が取り出されるものである。 c また引用発明の「複合機能形差圧センサチップ81の上面、側面、及び固定台82の一部に均等に印加される」「前記センサ格納空間内の高圧側測定室側圧力」は、本件補正発明の「前記センサ室内部の差圧センサ外部のセンサ室圧力」に相当する。 d そうすると、本件補正発明と引用発明は、「前記センサ室内部に配設された差圧センサであって、第1の圧力を受けるように前記第1の圧力と前記センサ室内部の差圧センサ外部のセンサ室圧力との間の差を示す信号を提供するように構成された入口を有する、差圧センサ」を備える点で一致する。 (エ) 引用発明の「実質上同平面に配列され、各々が二つの継手フランジ41,42からの流路を封止する、高圧側受圧ダイアフラム12と低圧側受圧ダイアフラム13」は、本件補正発明の「実質上同平面に配設され、各々が夫々のプロセス流体圧力入口を封止する、一対の隔離ダイヤフラム」に相当する。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「実質上同平面に配設され、各々が夫々のプロセス流体圧力入口を封止する、一対の隔離ダイヤフラム」を備える点で一致する。 (オ) 引用発明において「前記各部屋と前記各通路には、圧力を伝達するための非圧縮性封入液が封入される」ことを考慮すると、引用発明の「低圧側受圧室15の圧力を、低圧側隔離室18を直列的に経由して、低圧側測定室に伝達する、低圧側の圧力測定経路」は、本件補正発明の「前記隔離ダイヤフラムのうちの一方と、前記差圧センサの入口とに動作可能に結合された第1の流体通路」に相当する。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記隔離ダイヤフラムのうちの一方と、前記差圧センサの入口とに動作可能に結合された第1の流体通路」を備える点で一致する。 (カ) 引用発明において「前記各部屋と前記各通路には、圧力を伝達するための非圧縮性封入液が封入される」ことを考慮すると、引用発明の「高圧側受圧室14の圧力」が「高圧側隔離室17を直列的に経由して、高圧側測定室に伝達され」る「高圧側の圧力測定経路」は、本件補正発明の「前記隔離ダイヤフラムのうちの他方と、センサ室入口とに動作可能に結合された第2の流体通路であって、前記隔離ダイヤフラムのうちの他方及びセンサ室と流体連通する充填流体を含む第2の流体通路」に相当する。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記隔離ダイヤフラムのうちの他方と、センサ室入口とに動作可能に結合された第2の流体通路であって、前記隔離ダイヤフラムのうちの他方及びセンサ室と流体連通する充填流体を含む第2の流体通路」を備える点で一致する。 (キ) 引用発明の「過大圧の保護機構を構成するために設けられている中心ダイアフラム」は、「両面側にそれぞれ高圧側隔離室17と低圧側隔離室18が形成されている」ものであるから、前記(オ)、(カ)を踏まえると、本件補正発明の「前記第1の流体通路と、前記第2の流体通路とに流体的に結合された過圧防護ダイヤフラム」に相当する。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1の流体通路と、前記第2の流体通路とに流体的に結合された過圧防護ダイヤフラム」を備える点で一致する。 イ 一致点及び相違点の認定 前記(ア)の対比分析の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の一致点において一致し、以下の相違点において相違する。 (ア) 一致点 「差圧センサモジュールであって、 センサ室入口を有するセンサ室を画定するベースであって、一対のプロセス流体圧力入口をさらに有する、ベースと、 前記センサ室内部に配設された差圧センサであって、第1の圧力を受けるように前記第1の圧力と前記センサ室内部の差圧センサ外部のセンサ室圧力との間の差を示す信号を提供するように構成された入口を有する、差圧センサと、 実質上同平面に配設され、各々が夫々のプロセス流体圧力入口を封止する、一対の隔離ダイヤフラムと、 前記隔離ダイヤフラムのうちの一方と、前記差圧センサの入口とに動作可能に結合された第1の流体通路と、 前記隔離ダイヤフラムのうちの他方と、センサ室入口とに動作可能に結合された第2の流体通路であって、前記隔離ダイヤフラムのうちの他方及びセンサ室と流体連通する充填流体を含む第2の流体通路と、 前記第1の流体通路と、前記第2の流体通路とに流体的に結合された過圧防護ダイヤフラムと、を備える、 差圧センサモジュール」である点。 (イ) 相違点 本件補正発明においては、「過圧防護ダイヤフラム」が「いずれの前記隔離ダイヤフラムよりも大きい変位を有する」ものであって、「過圧がいずれかのプロセス流体圧力入口に加えられたとき、」「差圧センサを保護するように構成される」のに対し、引用発明に関してはそのような特定が明示されていない点。 (4) 判断 前記相違点について検討する。 ア 引用発明の「中心ダイアフラム」は「過大圧の保護機構を構成するために設けられて」おり、その「両面側にそれぞれ高圧側隔離室17と低圧側隔離室18が形成されている」ものである。そして、前記「高圧側隔離室17」及び「低圧側隔離室18」には、それぞれ「高圧側受圧室14」及び「低圧側受圧室15」の圧力が伝達される。 イ 前記(2)イ(ウ)において「技術常識1」として認定したように「差圧発信器(伝送器)のセンタダイアフラム(保護用ダイアフラム)は、低圧側及び高圧側の受圧ダイアフラムが変位することにより伝達される過大圧を自身の変位により吸収してセンサの破損を防止するものであること」は技術常識である。 ウ したがって、引用発明の「中心ダイアフラム」も、「高圧側シールダイアフラム12」及び「低圧側シールダイアフラム13」を介して導入される「高圧側受圧室14」及び「低圧側受圧室15」の圧力が過大となった場合に、これを自身の変位により吸収し得るように構成すべきこと、すなわち「高圧側シールダイアフラム12」及び「低圧側シールダイアフラム13」の変位により伝達される圧力を吸収し得るように「中心ダイアフラム」の変位をそれらより大きいものとすることは、当業者が当然に考慮すべきことにすぎない。 エ そして、引用発明の「中心ダイアフラム」は「高圧側受圧室14」及び「低圧側受圧室15」に加えられた過圧による「複合機能形差圧センサチップ81」の破損を防止するために設けられたものであるから、過圧防護ダイヤフラムがいずれの前記隔離ダイヤフラムよりも大きい変位を有するようにしたことの結果として「過圧がいずれかのプロセス流体圧力入口に加えられたとき」「差圧センサを保護するように構成される」ことは当然のことである。 オ したがって、「過圧防護ダイヤフラムがいずれの前記隔離ダイヤフラムよりも大きい変位を有し、過圧がいずれかのプロセス流体圧力入口に加えられたとき、過圧防護ダイヤフラムが、差圧センサを保護する」という前記相違点に相当する構成を引用発明において備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 カ なお、本件補正発明の奏する効果としては、本件補正発明の構成のものとしては当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 キ したがって、本件補正発明は、引用発明及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5) 請求人の主張について ア 請求人の主張内容 (ア) 審判請求書における主張内容 補正後の請求項1は、過圧がいずれかのプロセス流体圧力入口に加えられたとき、過圧防護ダイヤフラムが、差圧センサを保護するように構成される、ことを特徴としている。 そのような構成は、引用文献1~6には全く記載されておらず、また、引用文献1に引用文献2~6を組み合わせても、補正後の請求項1に容易に想到することはできない。 したがって、補正後の請求項1及び請求項1に直接又は間接的に従属する請求項2~17に係る発明は、進歩性を有する。 (イ) 令和4年11月11日に提出された上申書の主張内容 請求人は前記上申書において次のような補正案を示し、当該補正案の請求項1に係る発明は当業者が容易になし得たものではないと主張している。 [補正案] 「差圧センサモジュールであって、 センサ室入口を有するセンサ室を画定するベースであって、一対のプロセス流体圧力入口をさらに有する、ベースと、 前記センサ室内部に配設された差圧センサであって、第1の圧力を受けるように前記第1の圧力と前記センサ室内部の差圧センサ外部のセンサ室圧力との間の差を示す信号を提供するように構成された入口を有する、差圧センサと、 実質上同平面に配設され、各々が夫々のプロセス流体圧力入口を封止する、一対の隔離ダイヤフラムと、 前記隔離ダイヤフラムのうちの一方と、前記差圧センサの入口とに動作可能に結合された第1の流体通路と、 前記隔離ダイヤフラムのうちの他方と、センサ室入口とに動作可能に結合された第2の流体通路であって、前記隔離ダイヤフラムのうちの他方及びセンサ室と流体連通する充填流体を含む第2の流体通路と、 前記第1の流体通路と、前記第2の流体通路とに流体的に結合された過圧防護ダイヤフラムであって、いずれの前記隔離ダイヤフラムよりも大きい変位を有する過圧防護ダイヤフラムと、を備え、 過圧がいずれかのプロセス流体圧力入口に加えられたとき、差圧センサに対する圧力が過圧防護ダイヤフラムによって差圧センサの圧力定格以下に維持されることによって、前記過圧防護ダイヤフラムが差圧センサを保護するように構成される、 差圧センサモジュール。」 イ 請求人の主張に対する当審の判断 (ア) 審判請求書における主張について 前記(4)エにおいて説示したとおり、引用発明の「中心ダイアフラム」は「高圧側受圧室14」及び「低圧側受圧室15」に加えられた過圧による「複合機能形差圧センサチップ81」の破損を防止するために設けられたものであるから、「過圧がいずれかのプロセス流体圧力入口に加えられたとき」「差圧センサを保護するように構成される」ことは当然のことである。 したがって、前記ア(ア)の請求人の主張は、採用することはできない。 (イ) 令和4年11月11日に提出された上申書による補正案について 前記補正案は請求項1に「差圧センサに対する圧力が過圧防護ダイヤフラムによって差圧センサの圧力定格以下に維持されることによって、」との記載を追加するものである。 しかしながら、そもそも「差圧センサ」を過圧から保護する場合、センサに加わる圧力を圧力定格以下に維持すべきことは当業者が当然に配慮すべき範疇のものにすぎない。 したがって、前記ア(イ)の請求人の示した補正案に進歩性は認められない。 (6) 本件補正についてのむすび 以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 よって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~23に係る発明は、令和4年2月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~23に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に摘記した事項により特定されるとおりである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての進歩性欠如の理由は、次のとおりである。 本願発明は、下記の引用文献1、5、6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開平5-346363号公報 引用文献5:特開2013-181949号公報 引用文献6:特開平9-145518号公報 3 引用文献に記載された事項 上記引用文献1には、前記第2の3(2)ア(イ)において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。 また、技術常識1は、前記第2の3(2)イ(ウ)において認定したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は実質的に、本件補正発明の「過圧防護ダイヤフラム」について、「少なくとも1つの前記隔離ダイヤフラムよりも大きい変位を有する」とされていた構成を「いずれの前記隔離ダイヤフラムよりも大きい変位を有する」という構成に限定して「過圧がいずれかのプロセス流体圧力入口に加えられたとき、前記過圧防護ダイヤフラムが、差圧センサを保護するように構成される」ものに限定することを省いたものである(前記第2の2参照)。 そうすると、本願発明の構成を全て含み、当該構成の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の2において説示したとおり、引用発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も、引用発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-010913

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