特許拒絶査定不服審判
2022-010621
タバコ材を処理する方法、タバコ材を処理するための装置、処理されたタバコ材およびその使用
- 審判番号
- 2022-010621
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-548628外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年07月07日
- 審決日
- 2023年05月01日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
- 【請求人代理人】轟木 哲
- 分類
- P18 .121-Z (A24B) / P18 .572-Z (A24B) / P18 .575-Z (A24B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-548628「タバコ材を処理する方法、タバコ材を処理するための装置、処理されたタバコ材およびその使用」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 9月19日国際公開、WO2019/175552、令和 3年 7月 8日国内公表、特表2021-516549〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31年)3月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年3月12日 英国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 7月16日付け:拒絶理由通知書
令和3年10月 7日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 3月 4日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和4年 7月 7日 :手続補正書(受付番号52201589093)、審判請求書、手続補正書(受付番号5201590469)、上申書の提出
令和4年 7月19日 :審判請求書についての手続補正書(方式)の提出
令和4年 7月21日付け:通知書
なお、令和4年7月7日の同日で2回の手続補正書の提出があったものの、令和4年7月7日に提出された上申書によれば、1回目に提出された手続補正書(受付番号52201589093)について、「送信エラーが発生し、審判請求書および外国語書面分割出願は送信されずに、手続補正書のみ受理されました。」との理由で、返戻手続きの申出がされ、同年7月21日に返戻の通知が出された。
第2 令和4年7月7日にされた手続補正(受付番号5201590469)についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年7月7日にされた手続補正(受付番号5201590469;以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
本件補正は、本件補正前に下記(2)のとおりであった特許請求の範囲の記載を、下記(1)のとおり補正するものである。
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)
「 【請求項1】
タバコ出発材料を加熱された面と間欠的に接触させて0~約10%オーブン揮発分(OV)の水分量の処理されたタバコ材を製することを含むタバコ材の処理方法であって、タバコ材が加熱されたスクリュー機構によって撹拌され、及び前記加熱された面との接触により、タバコが局所的に焼かれる又は焦がされるようにタバコ材を急な高温に晒すことを含むタバコ材の処理方法。
【請求項2】
タバコ出発材料は、加熱された面と間欠的に接触するように撹拌されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
加熱された面の温度は、タバコ材と接触する前、少なくとも約100℃~約300℃であることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
加熱された面の温度は、タバコ材と接触する前に少なくとも約120℃~約250℃であり、またはタバコ材と接触する前に少なくとも約150℃~約300℃であることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
タバコ材を加熱された面と接触させることでタバコ材を約120℃~約230℃のピーク温度に加熱することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
加熱された面は加熱された金属面であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
処理されたタバコ材の水分量は、約2%OV以下であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
タバコ出発材料の水分量は、少なくとも約5%OVであることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
タバコ出発材料の水分量は、約5~約25%OVであることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項10】
タバコ出発材料の水分量は、約12~16%OVであることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項11】
タバコ材を加熱された面と少なくとも約1分~約15分間、間欠的に接触させることを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
タバコ材を加熱された面と少なくとも約2分~約10分間、間欠的に接触させることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
タバコ材を加熱された面と少なくとも約2分半~約5分間、間欠的に接触させることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
水とスチームの内の少なくとも1つが処理中にタバコ材にその水分量を多くするために加えられることを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
水とスチームの内の少なくとも1つは、処理中に繰り返しタバコ材に加えられることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
連続的な工程であることを特徴とする請求項1乃至15いずれか1項記載の方法。
【請求項17】
タバコ出発材料は、刻み葉柄、刻み葉身、葉の状態の葉身、細断された葉身、葉柄繊維、細かな葉柄および長い葉柄からなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする請求項1乃至16いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
処理されたタバコ材の糖分量は、タバコ出発材料の糖分量より約40%~約95%少ないことを特徴とする請求項1乃至17いずれか1項記載の方法。
【請求項19】
処理されたタバコ材の糖分量は、タバコ出発材料の糖分量より約70~約90%少ないことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
処理されたタバコ材のニコチン含有量は、タバコ出発材料のニコチン含有量より約10%~約80%少ないことを特徴とする請求項1乃至19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
処理されたタバコ材のニコチン含有量は、タバコ出発材料のニコチン含有量より約20%~約50%少ないことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
処理されたタバコ材のアンモニア含有量は、タバコ出発材料のアンモニア含有量より約30%~約99%少ないことを特徴とする請求項1乃至21いずれか1項記載の方法。
【請求項23】
処理されたタバコ材のアンモニア含有量は、タバコ出発材料のアンモニア含有量より約50%~約90%少ないことを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
タバコ出発材料は刻み葉柄であり、処理されたタバコの充填値は刻み葉柄出発材料の充填値より少なくとも約5%または少なくとも約15%大きいことを特徴とする請求項1乃至23いずれか1項記載の方法。
【請求項25】
処理されたタバコの充填値は、刻み葉柄出発材料の充填値より少なくとも約30%~約50%大きいことを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項26】
間欠的にタバコ材と接触し、タバコ材を加熱、乾燥させて0~約10%オーブン揮発分(OV)の水分量の処理されたタバコ材にするために設けられた加熱された面を含み、タバコ材が加熱されたスクリュー機構によって撹拌され、及び前記加熱された面との接触により、タバコが局所的に焼かれる又は焦がされるようにタバコ材が急な高温に晒されることを含むタバコ材の処理装置。
【請求項27】
加熱された面の温度は、タバコ材と接触する前、少なくとも約100℃~約300℃であることを特徴とする請求項26記載の装置。
【請求項28】
加熱された面の温度は、タバコ材と接触する前に少なくとも約120℃~約250℃であり、またはタバコ材と接触する前に少なくとも約150℃~約300℃であることを特徴とする請求項27記載の装置。
【請求項29】
タバコ材を加熱された面と接触させることでタバコ材を約120℃~約230℃のピーク温度に加熱することを特徴とする請求項26乃至28いずれか1項記載の装置。
【請求項30】
加熱された面は、加熱された金属面であることを特徴とする請求項26乃至29いずれか1項記載の装置。
【請求項31】
加熱された面は、加熱媒体によって加熱され、加熱媒体は、水、油、スチーム、電気またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項26乃至30いずれか1項記載の装置。
【請求項32】
表面が局所的に焦がされ、又は焼かれて、水分量が0~約10%オーブン揮発分(OV)である処理されたタバコ材。
【請求項33】
請求項1乃至25いずれか1項記載の方法によって得られるまたは得ることができる請求項32記載の処理されたタバコ材。
【請求項34】
処理されたタバコ材は、処理される前のタバコ材と比較して糖分、ニコチンおよびアンモニアからなる群の1つ以上の量が減少していることを特徴とする請求項32または33記載の処理されたタバコ材。
【請求項35】
処理されたタバコ材の糖分量は、タバコ出発材料の糖分量より約40%~約95%または約70%~約90%少ないことを特徴とする請求項34記載の処理されたタバコ材。
【請求項36】
処理されたタバコ材のニコチン含有量は、加熱された面と接触させる前のタバコ材のニコチン含有量より約10%~約80%または約20%~約50%少ないことを特徴とする請求項34または35記載の処理されたタバコ材。
【請求項37】
処理されたタバコ材のアンモニア含有量は、タバコ材が加熱された面と接触する前のタバコ材のアンモニア含有量より約30%~約99%または約50%~約90%少ないことを特徴とする請求項34乃至36いずれか1項記載の処理されたタバコ材。
【請求項38】
タバコ出発材料は、刻み葉柄、刻み葉身、葉の状態の葉身、細断された葉身、葉柄繊維、細かな葉柄および長い葉柄からなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする請求項32乃至37いずれか1項記載の処理されたタバコ材。
【請求項39】
タバコ出発材料は刻み葉柄であり、処理されたタバコの充填値は刻み葉柄出発材料の充填値より少なくとも約5%または少なくとも約15%大きいまたは刻み葉柄出発材料の充填値より約30%~約50%大きいことを特徴とする請求項32乃至38いずれか1項記載の処理されたタバコ材。
【請求項40】
請求項32乃至39いずれか1項記載の処理されたタバコ材を含むタバコ産業製品。
【請求項41】
タバコ産業製品を製造するための請求項32乃至39いずれか1項記載の処理されたタバコ材の使用。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和3年10月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
タバコ出発材料を加熱された面と間欠的に接触させて0~約10%オーブン揮発分(OV)の水分量の処理されたタバコ材を製することを含むタバコ材の処理方法であって、前記加熱された面との接触により、タバコが局所的に焼かれる又は焦がされるようにタバコ材を急な高温に晒すことを含むタバコ材の処理方法。
【請求項2】
タバコ出発材料は、加熱された面と間欠的に接触するように撹拌されることを特徴とする請求項1記載の方法 。
【請求項3】
加熱された面の温度は、タバコ材と接触する前、少なくとも約100℃~約300℃であることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
加熱された面の温度は、タバコ材と接触する前に少なくとも約120℃~約250℃であり、またはタバコ材と接触する前に少なくとも約150℃~約300℃であることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
タバコ材を加熱された面と接触させることでタバコ材を約120℃~約230℃のピーク温度に加熱することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
加熱された面は加熱された金属面であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
処理されたタバコ材の水分量は、約2%OV以下であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
タバコ出発材料の水分量は、少なくとも約5%OVであることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
タバコ出発材料の水分量は、約5~約25%OVであることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項10】
タバコ出発材料の水分量は、約12~16%OVであることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項11】
タバコ材を加熱された面と少なくとも約1分~約15分間、間欠的に接触させることを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
タバコ材を加熱された面と少なくとも約2分~約10分間、間欠的に接触させることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
タバコ材を加熱された面と少なくとも約2分半~約5分間、間欠的に接触させることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
水とスチームの内の少なくとも1つが処理中にタバコ材にその水分量を多くするために加えられることを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
水とスチームの内の少なくとも1つは、処理中に繰り返しタバコ材に加えられることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
連続的な工程であることを特徴とする請求項1乃至15いずれか1項記載の方法。
【請求項17】
タバコ材は、スクリュー機構、デュアルスクリュー機構、エアーフローおよび回転ドラムからなる群から選択される少なくとも1つによって撹拌されることを特徴とする請求項1乃至16いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
タバコ出発材料は、刻み葉柄、刻み葉身、葉の状態の葉身、細断された葉身、葉柄繊維、細かな葉柄および長い葉柄からなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする請求項1乃至17いずれか1項記載の方法。
【請求項19】
処理されたタバコ材の糖分量は、タバコ出発材料の糖分量より約40%~約95%少ないことを特徴とする請求項1乃至18いずれか1項記載の方法。
【請求項20】
処理されたタバコ材の糖分量は、タバコ出発材料の糖分量より約70~約90%少ないことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
処理されたタバコ材のニコチン含有量は、タバコ出発材料のニコチン含有量より約10%~約80%少ないことを特徴とする請求項1乃至20いずれか1項記載の方法。
【請求項22】
処理されたタバコ材のニコチン含有量は、タバコ出発材料のニコチン含有量より約20%~約50%少ないことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
処理されたタバコ材のアンモニア含有量は、タバコ出発材料のアンモニア含有量より約30%~約99%少ないことを特徴とする請求項1乃至22いずれか1項記載の方法。
【請求項24】
処理されたタバコ材のアンモニア含有量は、タバコ出発材料のアンモニア含有量より約50%~約90%少ないことを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
タバコ出発材料は刻み葉柄であり、処理されたタバコの充填値は刻み葉柄出発材料の充填値の少なくとも約5%または少なくとも約15%大きいことを特徴とする請求項1乃至24いずれか1項記載の方法。
【請求項26】
処理されたタバコの充填値は、刻み葉柄出発材料の充填値より少なくとも約30%~約50%大きいことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
間欠的にタバコ材と接触し、タバコ材を加熱、乾燥させて0~約10%オーブン揮発分(OV)の水分量の処理されたタバコ材にするために設けられた加熱された面を含み、当該加熱された面との接触により、タバコが局所的に焼かれる又は焦がされるようにタバコ材が急な高温に晒されることを含むタバコ材の処理装置。
【請求項28】
タバコ材を撹拌する手段をさらに含むことを特徴とする請求項27記載の装置。
【請求項29】
タバコ材を撹拌する手段は、スクリュー機構、デュアルスクリュー機構、エアーフローおよび回転ドラムからなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項28記載の装置。
【請求項30】
加熱された面の温度は、タバコ材と接触する前、少なくとも約100℃~約300℃であることを特徴とする請求項27乃至29いずれか1項記載の装置。
【請求項31】
加熱された面の温度は、タバコ材と接触する前に少なくとも約120℃~約250℃であり、またはタバコ材と接触する前に少なくとも約150℃~約300℃であることを特徴とする請求項30記載の装置。
【請求項32】
タバコ材を加熱された面と接触させることでタバコ材を約120℃~約230℃のピーク温度に加熱することを特徴とする請求項27乃至31いずれか1項記載の装置。
【請求項33】
加熱された面は、加熱された金属面であることを特徴とする請求項27乃至32いずれか1項記載の装置。
【請求項34】
加熱された面は、加熱媒体によって加熱され、加熱媒体は、水、油、スチーム、電気またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項27乃至33いずれか1項記載の装置。
【請求項35】
表面が局所的に焦がされ、又は焼かれて、水分量が0~約10%オーブン揮発分(OV)である処理されたタバコ材。
【請求項36】
請求項1乃至26いずれか1項記載の方法によって得られるまたは得ることができる請求項35記載の処理されたタバコ材。
【請求項37】
処理されたタバコ材は、処理される前のタバコ材と比較して糖分量、ニコチンおよびアンモニアからなる群の1つ以上の量が減少していることを特徴とする請求項35または36記載の処理されたタバコ材。
【請求項38】
処理されたタバコ材の糖分量は、タバコ出発材料の糖分量の含有量より約40%~約95%または約70%~約90%少ないことを特徴とする請求項37記載の処理されたタバコ材。
【請求項39】
処理されたタバコ材のニコチン含有量は、加熱された面と接触させる前のタバコ材のニコチン含有量より約10%~約80%または約20%~約50%少ないことを特徴とする請求項37または38記載の処理されたタバコ材。
【請求項40】
処理されたタバコ材のアンモニア含有量は、タバコ材が加熱された面と接触する前のタバコ材のアンモニア含有量より約30%~約99%または約50%~約90%少ないことを特徴とする請求項37乃至39いずれか1項記載の処理されたタバコ材。
【請求項41】
タバコ出発材料は、刻み葉柄、刻み葉身、葉の状態の葉身、細断された葉身、葉柄繊維、細かな葉柄および長い葉柄からなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする請求項35乃至40いずれか1項記載の処理されたタバコ材。
【請求項42】
タバコ出発材料は刻み葉柄であり、処理されたタバコの充填値は刻み葉柄出発材料の充填値の少なくとも約5%または少なくとも約15%大きいまたは刻み葉柄出発材料の充填値より少なくとも約30%~約50%大きいことを特徴とする請求項35乃至41いずれか1項記載の処理されたタバコ材。
【請求項43】
請求項35乃至42いずれか1項記載の処理されたタバコ材を含むタバコ産業製品。
【請求項44】
タバコ産業製品を製造するための請求項35乃至42いずれか1項記載の処理されたタバコ材の使用。」
2 補正の適否
(1)本件補正後の請求項1において、「タバコ材が加熱されたスクリュー機構によって撹拌され」との発明特定事項を追加する補正は、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)における、請求項17及び段落0093の記載に基づくものであるから、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであって、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。
また、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された、「タバコが局所的に焼かれる又は焦がされるようにタバコ材を急な高温に晒すこと」について、本件補正後の請求項1において、「タバコ材が加熱されたスクリュー機構によって撹拌され」との事項を加えることにより、具体的な手段を限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(2)本件補正後の請求項26において、本件補正前の請求項27について「タバコ材が加熱されたスクリュー機構によって撹拌され」との発明特定事項を追加する補正は、上記(1)と同様の補正であるから、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(3)本件補正前の17、28及び29を削除する補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものであって、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
(4)本件補正後の請求項17~41の請求項の番号の繰り上げ、並びに、本件補正後の請求項17~24、27~31及び33~41における引用する請求項の補正は、上記(3)の本件補正前の17、28及び29を削除する補正に伴い、特許請求の範囲の整合を図る補正であるから、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(5)そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。
<特許法第29条第2項(進歩性)について>
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)の請求項1に記載した事項により特定されるとおりのものである。
(2)引用文献
ア 引用文献1
(ア)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された文献であって、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2015/098743号(以下、「引用文献1」という。)には、次の記載がある。(なお、下線は理解の一助として当審において付したものであり、「・・・」は記載の省略を示す。以下同様。)
「[0001] 本発明は、たばこ材料の製造方法及びその製造方法により製造されたたばこ材料に関する。
・・・
[0005] 以上のように、各特許文献に記載の技術では、様々な目的でたばこ葉の乾燥処理を行っているものの、いずれも乾燥前のたばこ葉の水分含有量を高く調整したものを乾燥させることが記載されている。特に、乾燥工程においても、その水分量を極力減らさないようにすることが重要であることが特許文献1や3に記載されている。
上記のいずれの特許文献にも、たばこ葉の水分含有量が非常に少ない条件下で乾燥処理を行うことについては記載がない。また、たばこ葉の水分含有量が非常に少ない条件下で乾燥処理を行った場合のたばこ葉の膨嵩性や香味の変化との関係については記載されていない。
[0006] 本発明では、たばこ葉の膨嵩性を高めることができるとともに、香味を変化させたたばこ材料を得るための製造方法を提供する。
[0007] 本発明者が鋭意検討した結果、たばこ葉の処理方法として、水分含有量が2.5重量%以下のたばこ葉原料を、100~200℃の品温となる条件下で加熱する工程を含むことで、上記課題を解決できることがわかり本発明に到達した。
[0008] すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]たばこ材料の製造方法であって、水の含有量が2.5重量%以下のたばこ葉原料を、品温が100~200℃となる条件下で加熱する工程を含む、たばこ材料の製造方法。
[2]前記加熱工程の前に、たばこ葉原料の水の含有量を2.5重量%以下にまで減少させる乾燥工程を含む、[1]に記載の製造方法。
[3]前記乾燥工程に供されるたばこ葉原料の水の含有量が、10~40重量%である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]前記たばこ葉原料が、刻み幅0.1~2.0mmのラミナ、中骨またはこれらの混合物を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の製造方法で作製されたたばこ材料。
[6][5]に記載のたばこ材料を用いたたばこ製品。
[7][5]に記載のたばこ材料を用いたシガレット。
[8][5]に記載のたばこ材料を用いた無煙たばこ製品。
[0009] 本発明によれば、膨嵩性が高められているとともに、香味が変化されているたばこ材料の製造方法を提供することができる。」
「[0012] 本発明のたばこ材料の製造方法は、水の含有量が2.5重量%以下のたばこ葉原料を、100~200℃の品温で加熱する工程を含む。
水の含有量が2.5重量%以下のたばこ葉原料は、例えば以下の二通りの方法で得ることができる。
第一の方法としては、図1(a)で示すように、水の含有量が例えば10~40重量%であるたばこ葉原料を、後の加熱工程(本加熱)で用いる同じ加熱装置に入れ、常温から100~200℃の温度範囲(品温)で加熱する(予備加熱あるいは乾燥)工程を含ませる態様を挙げることができる。
第二の方法としては、図1(b)で示すように、水の含有量が例えば10~40重量%であるたばこ葉原料を、後の加熱工程(本加熱)で用いる加熱装置とは同じあるいは異なる装置を用いて乾燥処理を別途行う方法を挙げることができる。この際の加熱温度や加熱装置としては特に制限されず、たばこ葉原料の水分含有量を2.5重量%以下まで減少させることができればよい。
[0013] なお、たばこ葉原料における水の含有量は、以下の測定法により測定できる。
水分測定方法
1.ガラス製の試料容器に、たばこ葉原料を1~2g量り取る。試料容器全体の重量を測定する。
2.試料容器を、ロータリー式乾燥機(松山工業社製、M-104AT)に入れ、回転させながら乾燥させる。その際、ロータリー式乾燥機は100℃に予熱しておく。
3.100℃で1時間乾燥させた後、試料容器を取り出し、デシケーター内で放冷させる。
4.放冷後、試料容器の重量を測定する。
5.水分を下記の式で計算する。
水分=(W1-W2) / (W1-W0) * 100
W0:試料容器の空重量
W1:乾燥前試料と試料容器重量
W2:乾燥後試料と試料容器重量
[0014] 水分含有量が2.5重量%以下であるたばこ葉原料の加熱は、たばこ葉原料の品温が100~200℃になるように行われる。具体的な加熱方法としては、高温蒸気(200℃以上)や高温空気を接触させる方法や、200℃以上に加熱された加熱容器に接触させる方法を挙げることができる。
高温蒸気を接触させる方法と、加熱された加熱容器に接触させる方法は、それぞれ単独で行ってもよく、それらを併用して行ってもよい。
高温蒸気を発生させる手段としては公知のもの、例えば加熱蒸気発生装置(例えば、富士電機サーモシステムズ株式会社製、型式:IHSS-20B)を用いることができる。
加熱された加熱容器としては、ドラム型の缶壁加熱型乾燥機を挙げることができる。加熱容器の設定温度(缶壁温度の設定)としては、200℃~330℃に設定する態様を挙げることができ、300℃程度に設定することが好ましい。
[0015] 水分含有量が2.5重量%以下であるたばこ葉原料の品温が100℃以上となる条件下で加熱を行うことで、たばこ葉の膨嵩性を高めるとともに香味の変化が大きくなり、一方、水分含有量が2.5重量%以下であるたばこ葉原料の品温が200℃以下となる条件下で加熱を行うことで、たばこ葉の炭化を防ぐことができる。より好ましい品温の条件としては120℃以上200℃以下が好ましい。
また、前記の加熱工程にかかる時間は、加熱されるたばこ葉原料の量や、装置の大きさなどにより条件が異なってくるが、たばこ葉原料の品温が100~200℃となる時間として2秒以上加熱することで、膨嵩性を十分に高めることができ、香味も大きく変化させることができるので好ましい。この加熱時間は、たばこ葉原料の品温が100~200℃となる時間として30秒以上、特に好ましくは120秒以上加熱するようにすることが、たばこ葉原料の膨嵩性を高める観点から好ましい。品温が200℃を超えた状態でたばこ葉原料を加熱しすぎることによりたばこ葉原料の破砕や炭化などの不都合が生じることを回避することが重要であり、品温が200℃以下になる状態を保持できる状態であれば加熱時間の上限は適宜設定可能である。
上記の加熱工程(本加熱)の時間は、たばこ葉原料の水分含有量が2.5重量%以下になっており、かつ品温が100~200℃になっているときの時間を意味する。
[0016] 本発明の製造方法には、先に説明した予備加熱(水分含有量が2.5重量%を超える状態で、品温が常温~100℃以上になっている状態)や、上記の本加熱以外に、たばこ葉原料の水の含有量が2.5重量以下になっている状態で品温が100℃未満のときの加熱(例えば加熱後の余熱による加熱状態)が含まれたり、本加熱の段階で、短時間であれば品温が200℃を超える状態で加熱が行われることがあってもよい。
[0017] 本発明でいうたばこの香味とは、ロースト感の強さ等をいい、本発明の製造方法を用いて得られるたばこ材料は、ロースト感が増大する。さらに、たばこ葉原料に中骨を含有させた場合には、中骨臭を低減できる。
[0018] なお、本発明でいうたばこ葉原料の品温とは、以下の方法により測定される温度のことである。
加熱手段により加熱されたたばこ葉原料を、熱電対を差し込んだデュアー瓶に2秒以内に流し込み、これを熱電対に十分に接触させ、コルク栓をして静置して表示される最高温度を品温とする。」
「[0025] 水分含有量が12重量%のたばこ葉原料(刻み幅0.2mmになるように裁刻された中骨)をシリンダー型の加熱乾燥器に投入し、常温(25℃)から加熱を行った。加熱は、300℃に加熱したシリンダー型の加熱乾燥機を用いた缶壁加熱と、320℃の加熱蒸気を接触させることにより行った。
本実施例で用いた加熱乾燥器は図4で例示されている型のものである。シリンダー1は内寸が直径400mm、長手方向長さが1900mmの円筒形であり、4rpmで回転し、原料入口位置が原料出口位置と比較して、高い位置となるように傾けている。傾ける角度は、水平方向に対して3°である。
たばこ葉原料は原料入口部2からロータリーバルブ3を介して、排気ダクト4および内部に羽根ブレード10を有するシリンダー1に投入した。
シリンダー1はヒーター6および過熱水蒸気発生装置7を用いて製造した過熱水蒸気によって加熱した。
たばこ葉原料はシリンダー1の回転および傾斜により搬送され、原料出口部9から取り出した。
加熱蒸気発生装置は、富士電機サーモシステムズ株式会社製(型式:IHSS-20B)を用いた。
[0026] 加熱時間とたばこ葉原料の品温の関係は表1に記載の通りである。
表1に記載の処理時間は、加熱を開始してからの連続時間を示している。また、品温が100℃以上であるときの加熱時間も示す。
[0027] [表1]
[図:0001402329000001.jpg]
・・・
[0032] 本発明のたばこ材料の製造方法を用いて得られたたばこ材料は、膨嵩性が著しく高められていた。また、本発明の製造方法を用いて得られたたばこ材料は、香味が大きく変化していた。具体的には、シガレットとして用いた場合にはロースト感が高められていた。また、中骨臭が低減されていた。
[0033] 本発明の製造方法を用いて作製されたたばこ材料は、膨嵩性が顕著に向上しているとともに、香味も大きく変化している。このようなたばこ材料は、種々のたばこ製品の材料として好ましく用いることができる。」
「
[図:0001402329000002.jpg]
」
(イ)上記(ア)の記載から認められる事項
上記(ア)の段落[0014]及び[0025]並びに図4の記載によれば、たばこ葉原料が、缶壁温度が200℃~330℃に設定された、内部に羽根ブレード10を有する円筒形のシリンダー1を傾斜させて回転させる、シリンダー型の加熱乾燥機によって加熱されて搬送されることが認められる。
(ウ)引用発明
上記(ア)及び(イ)から、本件補正発明に倣って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「水の含有量が2.5重量%以下のたばこ葉原料を、品温が100~200℃となる条件下で加熱する工程を含むたばこ材料の製造方法であって、たばこ葉原料が、缶壁温度が200℃~330℃に設定された、内部に羽根ブレード10を有する円筒形のシリンダー1を傾斜させて回転させる、シリンダー型の加熱乾燥機によって加熱されて搬送されることにより、たばこ葉原料の品温が100~200℃となる時間として120秒以上加熱し、ロースト感が増大したたばこ材料を得ることを含むたばこ材料の製造方法。」
イ 周知例1
周知例として新たに引用する文献であって、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2001-263946号公報(以下、「周知例1」という。)には、次の記載がある。
「【0007】図1ないし図6は、本発明にかかる連続式乾燥機を例示するもので、この連続式乾燥機1は、胴体2のケーシング3内部に2本のスクリュー軸5,5が平行に設けられ、前端部と後端部がそれぞれ軸受け4,4によって回転自在に支承されている。スクリュー軸5は中空軸5aの外周部に中空スクリュー羽根(パドル)5bを螺旋状に設けたもので、互いに相対向する2本のスクリュー軸のスクリュー羽根が互いに噛み合ったまま逆向きに回転する。
【0008】スクリュー軸5の端部にはロータリージョイント8が設けられ、該ロータリージョイントを介して熱媒体の流入口6と流出口7がそれぞれ接続されている。流入口6から流入した熱媒体は中空軸5aと該中空軸の中空部に連通する中空スクリュー羽根5bの内部を流通して流出口7から流出する。
【0009】ケーシング3の外部には熱媒体ジャケット10が設けられている。このジャケット10にも熱媒体の流入口11と流出口12が設けられていて、該流入口11から流入した熱媒体が流出口12から流出する間にケーシングを加熱(又は冷却)する。ケーシング3の後端部には原料供給口14が設けられ、前端部には原料取り出し口15が設けられている。また、ケーシングの中間部には内部の水分等を排気する脱気口16,16と、内部を観察するための蓋付きの点検口17,17が設けられている。」
「【0014】この連続式乾燥装置1を用いて原料の処理を行うには、スクリュー軸5とジャケット10に熱媒体(例えば高温の熱媒油)を流通させつつ該スクリュー軸を回転させ、原料を原料入口14からケーシング3内に供給する。この原料はスクリュー羽根5bによって出口側へ移送されつつ攪拌され、移送の間に加熱乾燥が行われる。乾燥を終えた原料は原料出口15から徐々に排出される。この間ケーシング3内に発生するガスは脱気口16から排気される。必要に応じて脱気口16を真空吸引して排気を促進することもできる。
・・・
【0016】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明にかかる連続式乾燥機は、運転中に加熱・冷却される胴体が側方に張出するフランジを介して支脚に支持されているので、該支脚への熱伝導を低く抑えることができ、その熱膨張等による軸芯のズレを効果的に防止することが可能となった。この連続式乾燥機を原料の混合、反応、冷却等、乾燥以外の処理に効果的に使用できることは言うまでもない。」
「
[図:0001402329000003.jpg]
[図:0001402329000004.jpg]
[図:0001402329000005.jpg]
[図:0001402329000006.jpg]
[図:0001402329000007.jpg]
」
ウ 周知例2
周知例として新たに引用する文献であって、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開昭63-75478号公報(以下、「周知例2」という。)には、次の記載がある。
「本発明は、汚泥、パルプスラッジ等の泥滓やその他の湿潤物の乾燥に適した、殊にスチーム、高温油等を加熱媒体とする乾燥シリンダ一方式の乾燥機に関する。」(第1頁左下欄第17行~同頁第20行)
「以下本発明の実施例を図面に基いて説明する。
1は乾燥シリンダーであり、該乾燥シリンダー1は一端に被乾燥物投入口8を、他端に同排出口9を設け、投入口8より乾燥シリンダー内腔22へ被乾燥物を供給し、排出口9より排出する構成とする。
・・・
上記乾燥シリンダー1の軸心にシャフト2を貫装し、乾燥シリンダー1をフレーム3に固定して設けると共に、回転シャフト2は乾燥シリンダー1から突出する両端を軸受4で支え回転駆動可に設ける。5,6はモータ7の回転駆動力を上記シャフト2に伝達するウオームギヤ及びウオームホイルである。
上記回転シャフト2は加熱媒体供給兼加熱シャフトであり、シリンダーシャフトを用い内部に加熱媒体供給室11を形成し、シャフト2の一端に設けた加熱媒体導入口12を通じて該加熱媒体供給室11内へ所定圧の加熱媒体を導入してこれを満し、回転シャフト2の他端に設けた加熱媒体導出口18より導出する構成とする。
上記回転シャフト2にその全長に亘って加熱媒体通流パイプ13を取付ける。該加熱媒体通流パイプ13は回転シャフト2周囲において螺旋軌跡となるような配置とし、上記加熱媒体供給室11と連通させる。
一実施例として第7図に示すような略馬蹄形の加熱媒体通流パイプ13を多数準備する。即ち、該加熱媒体通流パイプ13は夫々馬蹄形のパイプ両端において開口する。該加熱媒体通流パイプ13を第5図に示すように螺旋軌跡上に所定間隔で取付け、各加熱媒体通流パイプ13の両端で該螺旋軌跡上において加熱媒体供給室11と連通させる。該連通にて回転シャフト2の加熱媒体供給室11内から各加熱媒体通液パイプ13内へとスチームや高温油等の加熱媒体の供給が行われる。
・・・
上記螺旋軌跡上において相互に隣接する各加熱媒体通流パイプ13間を連結フィン14にて連結する。上記連結フィン14は一例として第8図に示すように隣接する加熱媒体通流パイプの対毎に形成し、各対の加熱媒体通流パイプ13をその頂部において連結する。又連結フィン14は他例として第4図に仮想線で示すように螺旋状連結フィンとなし、加熱媒体通流パイプ13・・・の側面に添えて螺旋状に巡らせ、各パイプ13への添接部において溶接等により固着する。
該各連結フィン14と各加熱媒体通流パイプ13とで連続した螺旋フィン、即ち搬送スクリューフィンを形成すると同時に該連結フィン14は各加熱媒体通流パイプ13の取付け強度を高め、これらを相互に剛結合する。
該連結フィンを設けない場合には加熱媒体通流パイプ13の前記配置(螺旋軌跡上における定間隔配置)によって断続的な搬送スクリューを形成することができる。
又シリンダー軸方向において隣接する加熱媒体通流パイプ13間を所定間隔をおいてすくいフィン26にて連結する。該すくいフィン26は筒状熱板15に接近して配置され、回転時筒状熱板15の内周面に沿い滞流しがちである被乾燥物を掻き寄せ、搬送を均一に促進させる。
上記により投入口8より投入された被乾燥物を回転シャフト2の駆動に伴なう上記加熱媒体通流パイプ13の回転にて乾燥シリンダー1の一端から他端へ撹拌しつつ搬送し排出口9より排出する構成とすると共に、被乾燥物を加熱媒体通流パイプ13群及び回転シャフト2の周面に接触させ、その伝導熱及び輻射熱にて加熱する構成とする。
更に上記乾燥シリンダー1の外周壁16の内面側に同外周壁と同心円状となるように筒状熱板15を配し、該筒状熱板15と乾燥シリンダー1の外周壁16との間に環状加熱媒体室17を画成する。
該環状加熱媒体室17は一端に加熱媒体導入口19を、同他端に加熱媒体導出口20を有し、該加熱媒体導入口19と前記回転シャフト2の加熱媒体導出口18とを接続し加熱媒体供給室11から導出された加熱媒体を導入口19を通じて上記環状加熱媒体室17内へ供給し、これを加熱媒体導出口20より排出する構成とする。
上記によって環状加熱媒体室17により加熱媒体通流パイプ13を包囲し、該加熱媒体通流パイプ13が筒状熱板15内周に沿い回転する如く構成する。
前記の如く投入口8より乾燥シリンダー内腔22へ投入された被乾燥物は回転シャフト2の駆動による加熱媒体通流パイプ13の搬送作用により乾燥シリンダー一端から他端へと撹拌、搬送され、該搬送過程において既述の如く加熱媒体通流パイプ13及び回転シャフト2の伝導熱及び輻射熱にて加熱されると同時に、上記環状加熱媒体室17の筒状熱板15とも接しつつ搬送され、その伝導熱及び輻射熱にて複合して加熱され、該加熱にて被乾燥物の水分は蒸気化されるに至る。」(第2頁左上欄第15行~第3頁右上欄第17行)
「
[図:0001402329000008.jpg]
[図:0001402329000009.jpg]
[図:0001402329000010.jpg]
[図:0001402329000011.jpg]
」
(3)引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
ア 後者の「たばこ葉原料」は、前者の「タバコ出発材料」に相当し、後者の「たばこ材料の製造方法」は前者の「タバコ材の処理方法」に相当する。
そして、後者の「水の含有量が2.5重量%以下のたばこ葉原料」について、「水の含有量」とは、引用文献1の段落[0013]に記載された、「5.」の「水分=(W1-W2) / (W1-W0) * 100(ここで、W0:試料容器の空重量、W1:乾燥前試料と試料容器重量、W2:乾燥後試料と試料容器重量である。)」との式により求められたものであり、本願明細書の段落【0037】において、「揮発分は固形物質の総質量に含まれる揮発性成分の割合として定義される。これは水とすべての他の揮発成分成分を含む。絶乾質量は、加熱によって揮発性物質が飛ばされた後に残った質量である。それは総質量の割合として表される。オーブン揮発分(OV)は、飛ばされた揮発性物質の質量である。」と説明されるところのオーブン揮発分(OV)の水分量と同じといえるから、「2.5%以下のオーブン揮発分(OV)の水分量のタバコ出発材料」といえる。
また、後者において、「水の含有量が2.5重量%以下のたばこ葉原料」を「加熱」したものは、さらに水分量が減少することが明らかであるから、前者の「0~約10%オーブン揮発分(OV)の水分量の処理されたタバコ材」に相当する。
さらに、後者において、「たばこ葉原料が、缶壁温度が200℃~330℃に設定された、内部に羽根ブレード10を有する円筒形のシリンダー1を傾斜させて回転させる、シリンダー型の加熱乾燥機によって加熱されて搬送される」ことは、たばこ葉原料を、加熱容器である羽根ブレード10を有する円筒形のシリンダー1を回転させて加熱することで、シリンダー1内の缶壁や羽根ブレード10を加熱された面として、羽根ブレード10によりたばこ葉原料を持ち上げ、落下させて撹拌しながら加熱された面に間欠的に接触させて加熱することになる。
そうすると、後者の「水の含有量が2.5重量%以下のたばこ葉原料を、品温が100~200℃となる条件下で加熱する工程を含むたばこ材料の製造方法」は、前者の「タバコ出発材料を加熱された面と間欠的に接触させて0~約10%オーブン揮発分(OV)の水分量の処理されたタバコ材を製することを含むタバコ材の処理方法」に相当する。
イ 後者の「缶壁温度が200℃~330℃に設定された」は、前者の「加熱された」に相当する。
また、後者の「内部に羽根ブレード10を有する円筒形のシリンダー1を傾斜させて回転させる、シリンダー型の加熱乾燥機」と、前者の「加熱されたスクリュー機構」とは、「加熱された機構」という限りにおいて一致する。
そして、後者の「たばこ葉原料が、缶壁温度が200℃~330℃に設定された、内部に羽根ブレード10を有する円筒形のシリンダー1を傾斜させて回転させる、シリンダー型の加熱乾燥機によって加熱されて搬送されることにより、たばこ葉原料の品温が100~200℃となる時間として120秒以上加熱し、ロースト感が増大したたばこ材料を得る」ことと、前者の「タバコ材が加熱されたスクリュー機構によって撹拌され、及び前記加熱された面との接触により、タバコが局所的に焼かれる又は焦がされるようにタバコ材を急な高温に晒す」こととは、上記アのとおり、後者のたばこ葉原料に対してする処理が、たばこ葉原料を持ち上げ、落下させて撹拌しながら加熱された面に間欠的に接触させて加熱することになり、その過程において、たばこ葉原料が加熱されたものであるたばこ材料についても、撹拌されながら加熱された面に間欠的に接触されて加熱されるものといえるから、「タバコ材が加熱された機構によって撹拌され」るという限りにおいて一致する。
以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「タバコ出発材料を加熱された面と間欠的に接触させて0~約10%オーブン揮発分(OV)の水分量の処理されたタバコ材を製することを含むタバコ材の処理方法であって、タバコ材が加熱された機構によって撹拌されることを含むタバコ材の処理方法。」
[相違点1]
「タバコ材が加熱された機構によって撹拌され」ることに関し、本件補正発明では、「タバコ材が加熱されたスクリュー機構によって撹拌され、及び前記加熱された面との接触により、タバコが局所的に焼かれる又は焦がされるようにタバコ材を急な高温に晒す」のに対して、引用発明では、「たばこ葉原料が、缶壁温度が200℃~330℃に設定された、内部に羽根ブレード10を有する円筒形のシリンダー1を傾斜させて回転させる、シリンダー型の加熱乾燥機によって加熱されて搬送されることにより、たばこ葉原料の品温が100~200℃となる時間として120秒以上加熱し、ロースト感が増大したたばこ材料を得る」ものの、たばこ材料を撹拌する加熱された機構がスクリュー機構ではなく、また、加熱された面との接触により、たばこが局所的に焼かれる又は焦がされるようにたばこ材料を急な高温に晒すことは特定されていない点。
(4)判断
ア 相違点1について
加熱されたスクリュー機構により搬送物を撹拌しながら搬送することは、周知例1及び周知例2にも記載があるように、本願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術」という。)である。
そして、周知技術の加熱されたスクリュー機構による処理は、搬送物が、撹拌による加熱された面との間欠的な接触をして、加熱搬送されるという機能において、引用発明のシリンダー型の加熱乾燥機と共通するものであり、スクリュー機構がコンベア装置として汎用されていることを考慮すると、引用発明において、周知技術を適用し、シリンダー型の加熱乾燥機に代えて加熱されたスクリュー機構を設けることは、当業者が容易に想到し得たことである。
次に、タバコ出発材料に起きる加熱処理の条件、および状態について検討する。本件補正発明の「タバコが局所的に焼かれる又は焦がされるようにタバコ材を急な高温に晒す」ことについて、本願明細書には、段落【0064】の「一部の実施態様ではタバコと加熱された面との間欠的な接触によってタバコ材の表面が焼かれるまたは焦がされることになる。これは急に高温に晒すことの結果である。」との記載において、タバコと加熱された面との間欠的な接触がされることが示され、その加熱条件として、加熱面の温度を、約100℃より著しく高く、少なくとも約150℃とし(本願明細書の段落【0063】)、タバコ材の温度を、メイラード反応により褐色化が得られる140~165℃とし(本願明細書の段落【0067】)、処理時間を少なくとも約1分~約15分とすること(本願明細書の段落【0088】)が示されている。
一方、引用発明においても、シリンダー型の加熱乾燥機によって、たばこ材料が、撹拌され、加熱された面との間欠的な接触をするものであって、加熱面の温度が、200℃~330℃に設定され、品温(タバコ材の温度)が100~200℃とされ、加熱時間が、120秒以上とされ、加熱条件が本件補正発明に関して示される具体的態様の条件、および状態と同様であるから、ロースト感が増大したたばこ材料を得るのに、たばこ(タバコ)が局所的に焼かれる又は焦がされるようにたばこ材料(タバコ材)を急な高温に晒すものである蓋然性が高い。
そうすると、引用発明に周知技術を適用し、スクリュー機構を採用したものにおいても、たばこ材料が、撹拌され、加熱された面との間欠的な接触をするものであることに変わりはないから、たばこ(タバコ)が局所的に焼かれる又は焦がされるようにたばこ材料(タバコ材)を急な高温に晒すものとすることは、当業者が容易になし得たことである。
イ 請求人の主張について
請求人は、令和4年7月19日に提出した審判請求書についての手続補正書(方式)の「2.」「(4)本願発明と引用発明との対比」において、「補正前発明1は、タバコ出発材料を乾燥のための加熱された面と間欠的に接触させて、タバコ材を急な高温に晒して、タバコが局所的に焼かれる又は焦がされるように加熱処理することを規定しています。これは、タバコ材料の性質を変化させるために、タバコが局所的に焼かれる又は焦がされるように処理することであり、このような技術思想は、単に、従来の処理方法を開示する引用発明1や技術常識とされる周知例からは想起することはできないものであります。特に、今回補正後の請求項1に係る発明1(以下、本願発明1)では、そのような加熱処理のために、加熱されたスクリュー機構によってタバコ材を撹拌させることが特定されました。この処理により、「本願発明」の欄でも述べられているように、感覚的特性の向上や、タバコの風味特性又は感覚刺激特性が向上するといったような、タバコ材料の性質の変化が見出されたものであり、これは、本願発明1の処理が技術常識からは得られない発想により達成された、引用発明1や周知例からは予測することはできない効果であると考えます。本願発明1のように、タバコ材を急な高温に晒して、タバコが局所的に焼かれるなどの加熱処理のために、スクリュー機構を利用してタバコ材を撹拌させることは、引用発明1には開示や示唆は一切ありません。」(5ページ16行~同ページ30行)と主張する。
しかし、上記アで述べたとおり、引用発明に周知技術を適用し、加熱されたスクリュー機構を採用することは、当業者が容易に想到し得たことであり、また、ロースト感が増大したたばこ材料を得るのに、たばこ(タバコ)が局所的に焼かれる又は焦がされるようにたばこ材料(タバコ材)を急な高温に晒すものとすることは、当業者が適宜なし得たことといえ、引用発明のロースト感増大は、本件発明1において「タバコの風味特性又は感覚刺激特性が向上」することと同質の効果といえ、予測の範囲内であるから、請求人の上記主張を認めることができない。
ウ 効果について
そして、本件補正発明は、全体としてみても、引用発明及び周知技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
エ まとめ
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願にかかる発明は、令和3年10月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし44に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)の請求項1に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の一部は、以下のとおりである。
<理由1(特許法第29条第2項)について>
本願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:国際公開第2015/098743号
引用文献2:特開平5-219928号公報(技術常識を示す文献)
引用文献3:特開昭50-107197号公報(技術常識を示す文献)
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、その記載並びに引用発明は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比
本願発明と引用発明とは、前記第2の[理由]2(3)の対比を踏まえると、次の相違点(以下、「相違点1’」という。)で相違し、その余の点で一致する。
[相違点1’]
本願発明では、「前記加熱された面との接触により、タバコが局所的に焼かれる又は焦がされるようにタバコ材を急な高温に晒す」のに対して、引用発明では、「たばこ葉原料が、缶壁温度が200℃~330℃に設定された、内部に羽根ブレード10を有する円筒形のシリンダー1を傾斜させて回転させる、シリンダー型の加熱乾燥機によって加熱されて搬送されることにより、たばこ葉原料の品温が100~200℃となる時間として120秒以上加熱し、ロースト感が増大したたばこ材料を得る」ものの、加熱された面との接触により、たばこが局所的に焼かれる又は焦がされるようにたばこ材料を急な高温に晒すことは特定されていない点。
5 判断
引用発明において、シリンダー型の加熱乾燥機によっても、たばこ材料が、羽根ブレード10により撹拌され、シリンダー1内の缶壁や羽根ブレード10を加熱された面として、加熱された面との間欠的な接触をするものであり、前記第2の[理由]2(4)アの判断を踏まえると、加熱条件が本願発明に関して示される具体的態様の条件、および状態と同様であるから、上記相違点1’に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
したがって、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-010621