特許拒絶査定不服審判
2021-010138
経口袋状スナッフ製品
- 審判番号
- 2021-010138
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-528740外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年07月29日
- 審決日
- 2022年06月17日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】スウィーディッシュ・マッチ・ノース・ヨーロップ・アーベー
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 分類
- P18 .121-Z (A24B) / P18 .575-Z (A24B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-528740「経口袋状スナッフ製品」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月 8日国際公開、WO2017/093488、平成31年 2月28日国内公表、特表2019-505174〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2016年12月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年12月2日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その手続きの主な経緯は以下のとおりである。
令和2年 9月 4日付け 拒絶理由通知
令和2年12月14日 意見書の提出
令和3年 4月 9日付け 拒絶査定
令和3年 7月29日 拒絶査定不服審判の請求、同時に手続補正書の 提出
令和4年 2月28日 上申書の提出
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年7月29日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は補正箇所である。)。
「【請求項1】
充填材料と、前記充填材料を包み込む唾液浸透可能袋とを備える経口袋状スナッフ製品であって、前記経口袋状スナッフ製品は、長手方向と、前記長手方向に対して垂直な横断方向とを有し、前記唾液浸透可能袋は、第1の細長い封止部と第2の細長い封止部とを備え、前記第1の細長い封止部および前記第2の細長い封止部の各々は、前記製品の前記横断方向に沿って延びる封止長さと、前記製品の前記長手方向に沿って延びる封止幅とを有し、
前記第1の細長い封止部および前記第2の細長い封止部の各々の前記封止幅は、0.1mm~2mm、0.1mm~1mm、または0.1mm~0.5mmの範囲内など、2mm以下であり、前記第1の細長い封止部は、前記袋の第1の最外端部分を封止し、前記第2の細長い封止部は、前記唾液浸透可能袋の第2の最外端部分を封止し、
前記少なくとも1つの細長い封止部は、超音波で提供される溶着部であり、
前記超音波溶着および切断は同時に実施され、それによって溶着領域において切断が提供され、
前記封止部は、前記唾液浸透可能袋の切断縁と境界を共有する
ことを特徴とする経口袋状スナッフ製品。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
充填材料と、前記充填材料を包み込む唾液浸透可能袋とを備える経口袋状スナッフ製品であって、前記経口袋状スナッフ製品は、長手方向と、前記長手方向に対して垂直な横断方向とを有し、前記唾液浸透可能袋は、第1の細長い封止部と第2の細長い封止部とを備え、前記第1の細長い封止部および前記第2の細長い封止部の各々は、前記製品の前記横断方向に沿って延びる封止長さと、前記製品の前記長手方向に沿って延びる封止幅とを有し、
前記第1の細長い封止部および前記第2の細長い封止部の各々の前記封止幅は、0.1mm~2mm、0.1mm~1mm、または0.1mm~0.5mmの範囲内など、2mm以下であり、前記第1の細長い封止部は、前記袋の第1の最外端部分を封止し、前記第2の細長い封止部は、前記唾液浸透可能袋の第2の最外端部分を封止することを特徴とする経口袋状スナッフ製品。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1を特定するために必要な事項である「細長い封止部」について、「前記少なくとも1つの細長い封止部は、超音波で提供される溶着部であり、前記超音波溶着および切断は同時に実施され、それによって溶着領域において切断が提供され、前記封止部は、前記唾液浸透可能袋の切断縁と境界を共有する」との限定を新たに付加する補正であって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許請求の範囲の請求項1に関する本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。
そこで本件補正によって補正された請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかどうか)について、以下に検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用例の記載事項
ア 引用例1
原査定の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献である、特表2013-541962号公報(以下、「引用例1」という。)には、「無煙タバコ製品」に関して図面とともに以下の記載がある(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下、同様。)。
(ア)引用例1の記載
「【0002】
タバコは、いわゆる「無煙」形態で楽しむことができる。特に人気のある無煙タバコ製品は、ユーザの口中に加工タバコまたはタバコ含有製剤を何らかの形で挿入することによって、利用される。」
「【0025】
図1を参照すると、無煙タバコ製品18の実施形態が示されている。タバコ製品18は、透湿性パウチ78を含む。図示されるパウチ78は重複領域82においてその長さに沿って封止閉鎖されている。重複領域は、(たとえばヒートシール、適切な接着材、またはその他の適切な手段によって)パウチの対向する縁の上部にわたってパウチ78の1つの縁の底部を封止することによって、形成されてもよい。固形タバコ材料80は、パウチ82内に設けられる。
【0026】
無煙タバコ製品の製造に使用されるタイプの適切なパケットまたはパウチまたは容器は、「taboka」、CatchDry、Ettan、General、Granit、Goteborgs Rape、GrovSnus White、Metropol Kaktus、Mocca Anis、Mocca Mint、Mocca Wintergreen、Kicks、Probe、Prince、Skruf、TreAnkrare、Camel Snus Original、Camel Snus Frost、およびCamel Snus Spiceの商品名で入手可能である。タバコ製剤は、ある方法で、従来のスヌース製品の製造に使用されるタイプの成分を用いて、パウチに収容されて包装されてもよい。パウチまたはフリースは、ティーバッグの構造に使用されるメッシュ状のタイプの材料と特性が似ていると思われるタイプの、液体透過性容器を提供する。緩く配置された粒状のタバコ製剤の成分は、パウチ78を通じてユーザの口中に容易に拡散する。
【0027】
特定の実施形態において、例示的なパウチ78は、ユーザによる使用中に、パウチ78が制御された分散または溶解を受けるような材料から、およびそのような方式で、製造されてもよい。このようなパウチ材料は、メッシュ、スクリーン、有孔紙、透過性布、などの形態を有してもよい。たとえば、ライスペーパのメッシュ状形態、または有孔ライスペーパから製造されたパウチ材料は、ユーザの口中で溶解するだろう。その結果、パウチ78およびタバコ製剤は各々、通常使用条件の間にユーザの口中で完全な分散を受けてもよく、したがってパウチ78およびタバコ製剤はいずれもユーザによって摂取されてもよい。その他の例示的なパウチ材料は、水分散性成膜材料(たとえば、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、キサンタンゴム、プルランなどのような結合剤)、ならびに粉末セルロース誘導体(たとえば微粒子サイズの木材パルプ)などの材料と組み合わせたこれらの材料を用いて、製造されてもよい。水分散性または溶解性であっても、好適なパウチ材料は、通常使用の条件の下で、パウチがその物理的完全性の喪失を被る前に、大量のタバコ製剤含有物がパウチ材料を透過するように、設計および製造されてもよい。望ましければ、風味付け原料、分解助剤、およびその他の望ましい成分が、パウチ材料に組み込まれるか、または塗布される。」
「【0073】
1つの例示的なスヌースタイプ製品は、約35重量%の含水量を有するタバコ製剤を約1g保有する;このタバコ製剤は、全長約30mm、幅約16mm、および高さ約5mmの封止されたフリースパウチに収容されており、このパウチの区画領域の長さは、このパウチの各末端における約2mmの封止のため、約26mmとなっている。別の例示的なスヌースタイプ製品は、約35重量%の含水量を有するタバコ製剤を約0.5g保有する;このタバコ製剤は、全長約26mm、幅約12mm、および高さ約5mmの封止されたフリースパウチに収容されており、このパウチの区画領域の長さは、このパウチの各末端における約2mmの封止のため、約22mmとなっている。」
「
[図:0001391482000001.jpg]
」
(イ)上記(ア)から分かること
1a)段落【0025】、図1の記載から、無煙タバコ製品18は固形タバコ材料80をパウチ78に充填していることが分かり、段落【0026】、【0027】の記載から、パウチ78は液体透過性容器であって、唾液が浸透可能な袋であることが分かる。
1b)段落【0025】、【0073】、図1の記載からパウチ78は、パウチ78の各末端におけるパウチ78の第1の最外端部分である重複領域82と第2の最外端部分である領域(前記重複領域82と反対側の領域)とを封止する封止部(以下、「第1の封止部」、「第2の封止部」という。)を備えていることが分かる。
1c)段落【0073】の記載から、第1の封止部、第2の封止部の封止幅は約2mmであること分かり、また、封止部は「封止幅」だけでなく「封止長さ」も有していることは技術常識からみて明らかである。
(ウ)引用発明
上記(ア)及び(イ)からみて、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「固形タバコ材料80と、前記固形タバコ材料80を包み込むパウチ78とを備える無煙タバコ製品18であって、前記無煙タバコ製品18は、第1の封止部と第2の封止部とを備え、前記第1の封止部および前記第2の封止部の各々は、封止長さと、封止幅とを有し、
前記第1の封止部および前記第2の封止部の各々の前記封止幅は、約2mmであり、前記第1の封止部は、前記パウチ78の第1の最外端部分を封止し、前記第2の封止部は、前記パウチ78の第2の最外端部分を封止する無煙タバコ製品18。」
イ 引用例2
原査定の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献である、特表2013-523554号公報(以下、「引用例2」という。)には「噛みタバコ袋製品」に関して以下の記載がある。
(ア)引用例2の記載
「【0003】
本明細書で説明するのは、縦方向の一体型フィン及びラップシールを有する噛みタバコ袋製品である。本明細書でさらに説明するのは、一体型フィン及びラップシールを形成する方法及び装置である。好適には、袋は、例えば、ドイツ国リッヒのメルツ・フェアパックングスマシーネン社が製造販売する袋詰め装置のような高速な垂直方向充填密封マシンにおいて形成される。本明細書の教示内容は、例えば、米国アラバマ州のディケーターのロパック・マニュファクチャリング社が製造販売する他の袋詰め装置にも適用することができる。さらに好適には、縦向きの一体型フィン及びラップシールを有する噛みタバコ袋製品は、消費者の口に入れたときのラップシールの心地よさと、使用中に破れにくいフィンシールの強度とを兼ね備える。」
「【0018】
好適には、図2及び3に示すような装填材料22は、タバコ材料及び随意的な添加物を含むものとする。好適には、装填材料の水分含量は約5%?約50%とする。より好適には、装填材料の水分含量は約12%?約25%とする。さらに好適には、装填材料の水分含量は約15%?約20%とする。」
「【0040】
縦方向の一体型フィン及びラップシール70の密封及び/又は横シール14(図1参照)は、任意の適当な密封方法、例えば接着剤又は相互密封によって行うことができる。相互密封は、ウェブ素材の密封特性に基づいて、熱又は超音波による溶着とすることができる。好適には、密封は、上述したメルツ社の装置で使用されたような、刻み目付きの、回転可能な加熱密封ホイールを使用する熱的密封によって行う。このホイールによる密封作業は、袋10に沿って縦方向の密封ゾーンを作り出す。」
「
[図:0001391482000002.jpg]
」
「
[図:0001391482000003.jpg]
」
(イ)上記(ア)から分かること
2a)段落【0003】、図1の記載から、噛みタバコ袋製品10の形状を長手方向と横断方向とを有する長方形状としていることが分かる。
2b)段落【0040】、図1、図2の記載から横シール14は細長い形状の封止部であり、噛みタバコ袋製品10の横断方向に沿って延びる封止長さと、長手方向に沿って延びる封止幅とを有するように、横断方向に沿って、噛みタバコ袋製品10の第1の最外端部分と第2の最外端部分とを封止していることが分かる。
(ウ)引用例2技術
上記(ア)及び(イ)からみて、引用例2には、以下の発明(以下、「引用例2技術」という。)が記載されている。
「噛みタバコ袋製品10の形状を長手方向と横断方向とを有する長方形状とし、細長い形状の封止部である横シール14が、噛みタバコ袋製品10の横断方向に沿って延びる封止長さと、長手方向に沿って延びる封止幅とを有するように、横断方向に沿って、噛みタバコ袋製品10の第1の最外端部分と第2の最外端部分とを封止する技術。」
(3)対比・判断
引用発明における「固形タバコ材料80」は本願補正発明における「充填材料」に相当し、以下同様に、「パウチ78」は「唾液浸透可能袋」に、「無煙タバコ製品18」は「経口袋状スナッフ製品」に、それぞれ相当する。
また、引用発明における「第1の封止部」、「第2の封止部」は、それぞれ、本願補正発明の「第1の細長い封止部」、「第2の細長い封止部」と、「封止長さ」と「封止幅」とを有し、それぞれ、「第1の最外端部分」と「第2の最外端部分」とを封止する「一方の封止部」、「他方の封止部」という限りにおいて一致する。
したがって、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「充填材料と、前記充填材料を包み込む唾液浸透可能袋とを備える経口袋状スナッフ製品であって、前記唾液浸透可能袋は、一方の封止部と他方の封止部とを備え、前記一方の封止部および前記他方の封止部の各々は、封止長さと、封止幅とを有し、
前記一方の封止部は、前記袋の第1の最外端部分を封止し、前記他方の封止部は、前記唾液浸透可能袋の第2の最外端部分を封止
する経口袋状スナッフ製品。」
[相違点1]
本願補正発明の経口袋状スナッフ製品は、「長手方向と、前記長手方向に対して垂直な横断方向とを有し」ているのに対し、引用発明の無煙タバコ製品18は、「長手方向と、前記長手方向に対して垂直な横断方向とを有し」ているのか特定されていない点。
[相違点2]
「一方の封止部」、「他方の封止部」に関して、本願補正発明の「第1の細長い封止部」、「第2の細長い封止部」は「細長い」形状で、「前記製品の前記横断方向に沿って延びる封止長さと、前記製品の前記長手方向に沿って延びる封止幅」とを有しているのに対し、引用発明の「第1の封止部」、「第2の封止部」は「細長い」形状で、封止長さが無煙タバコ製品18の横断方向に沿って延び、封止幅が無煙タバコ製品18の長手方向に沿って延びているのか特定されていない点。
[相違点3]
本願補正発明の「第1の細長い封止部」、「第2の細長い封止部」の各々の封止幅は、「0.1mm~2mm、0.1mm~1mm、または0.1mm~0.5mmの範囲内など、2mm以下」であるのに対し、引用発明の封止幅は約2mmである点。
[相違点4]
本願補正発明の「少なくとも1つの細長い封止部」は、「超音波で提供される溶着部であり、前記超音波溶着および切断は同時に実施され、それによって溶着領域において切断が提供され、前記封止部は、前記唾液浸透可能袋の切断縁と境界を共有する」ものであるのに対し、引用発明の第1の封止部及び第2の封止部がどのように封止されているか、及び、パウチ78の各末端がどのように切断されているのか特定されておらず、その結果、「前記唾液浸透可能袋の切断縁と境界を共有する」ものであるのか不明である点。
以下、相違点について検討する。
[相違点1、2について]
引用発明と引用例2技術とは、ともに噛みタバコ製品に係るものであること及び噛みタバコ製品の第1の最外端部分及び第2の最外端部分を封止するものであることで共通するので、引用発明に引用例2技術を適用して、無煙タバコ製品18の形状を長方形状として、長手方向と、長手方向に対して垂直な横断方向とを備えるように構成し、細長い形状の封止部で無煙タバコ製品18の第1の最外端部分及び第2の最外端部分を横断方向に沿って封止して、封止長さが無煙タバコ製品18の横断方向で、封止幅が無煙タバコ製品18の長手方向となるように構成することは、当業者が容易になし得たことである。
また、引用例1の段落【0073】の「全長約30mm、幅約16mm、および高さ約5mmの封止されたフリースパウチに収容されており、このパウチの区画領域の長さは、このパウチの各末端における約2mmの封止のため、約26mmとなっている。」、「このタバコ製剤は、全長約26mm、幅約12mm、および高さ約5mmの封止されたフリースパウチに収容されており、このパウチの区画領域の長さは、このパウチの各末端における約2mmの封止のため、約22mmとなっている。」との記載から、引用発明の無煙タバコ製品18は長方形状(約30mm×約16mm又は約26mm×約12mm)で長手方向(約30mm又は約26mm)と、長手方向に対して垂直な横断方向(約16mm又は約12mm)とを備えているものであり、そうしてみると、第1の封止部および第2の封止部の封止長さ(約16mm又は約12mm)が無煙タバコ製品18の横断方向で、封止幅(約2mm)が無煙タバコ製品18の長手方向となるように構成された細長い形状(約2mm×約16mm又は約22mm)であるとも解釈でき、その場合、相違点1、2は実質的な相違点ではない。
[相違点3について]
引用発明の封止部の幅は「約2mm」であり、封止部の幅が「2mm」である場合においては、本願補正発明の「2mm以下」に包含されるものであるので、両者の封止部の幅は実質的に相違するものではない。
また、仮に本願補正発明の封止部の幅が、「2mm」より短いものである、又は引用発明の「約2mm」とは「2mm」より長いものであったとしても、引用発明の封止部の幅を「0.1mm」より長く、「2mm」より短いものとすることは、無煙タバコ製品18の寸法等及び封止部に求められる強度等の一般的な課題に照らして当業者が適宜設定しうる設計的事項に過ぎず、本願補正発明の範囲のようにすることに格別の困難性は認められない。
[相違点4について]
超音波溶着および切断を同時に行って容器の封止を行うことは、例えば、特表2008-515734号公報(段落【0014】、図5-7参照。)、特開2003-267322号公報(段落【0007】、図15参照。)、登録実用新案第3045061号公報(【請求項3】、段落【0028】-【0033】、図1、図2参照。)、登録実用新案第3050596号公報(段落【0013】、【0016】、図6参照。)に開示されているように周知技術である。
引用発明のパウチ78も封止を行うものであるので、引用発明に容器の封止に関する当該周知技術を適用して、超音波溶着および切断を同時に行って、パウチ78の端部に第1の封止部と第2の封止部を形成するように構成することは、当業者が容易になし得たことであり、その際、引用発明の第1の封止部と第2の封止部は、パウチ78の最外端部分を封止するのであるから、切断した場合に、パウチ78の切断縁と境界を共有するのは明らかである。
そして、本願補正発明は、引用発明から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
(4)審判請求人の主張
審判請求人は、令和3年7月29日に提出した審判請求書及び令和4年2月28日に提出した上申書で、それぞれ、次のとおり概略主張している。
ア 令和3年7月29日に提出した審判請求書における主張
「(4)新規性・進歩性について
(ア)本願発明の説明
上述しました通り、補正後請求項1に係るは、以下の特徴ある構成を備えております。
・少なくとも1つの細長い封止部は、超音波で提供される溶着部である。
・超音波溶着および切断は同時に実施され、それによって溶着領域において切断が提供される。
・封止部は、前記唾液浸透可能袋の切断縁と境界を共有する。
また、補正後請求項10に係る発明は、上述した補正後請求項1が備える特徴ある構成と同様の特徴ある構成を備えております。
本願発明にあっては、上述の補正後請求項1、10が備える特徴ある構成により、以下の顕著な効果を奏することが可能となります。
・切断および溶着は、時間的に同時に、同じ動作ステップで、互いに隣り合って行われることが可能となる(本願明細書[0133])。
・溶着部と切断部との間に空間はなく、つまり、切断部に隣接する溶着のない部分はない構成が実現される(本願明細書[0140])。
(イ)本願発明と引用発明との対比
上述した本願発明の特徴ある構成は、引用文献のいずれにも開示されておりません。
補正後請求項1、10が備える特徴ある構成のうち、
・少なくとも1つの細長い封止部は、超音波で提供される溶着部である。
との特徴について、原査定において審査官殿は、「引用文献1に記載の発明の封止部は、超音波で提供される溶着部である(段落[0054]を参照。)。また、引用文献2に記載の発明の封止部も、超音波で提供される溶着部である(段落[0040]を参照。)。」と認定され、当該構成は進歩性を備えていないとご説示になられました。
しかしながら、引用文献1、引用文献2のいずれにも、
・超音波溶着および切断は同時に実施され、それによって溶着領域において切断が提供される。
・封止部は、前記唾液浸透可能袋の切断縁と境界を共有する。
との構成は、開示も示唆もされておりません。
審査官殿が引用される引用文献の段落[0054]には「超音波パターン接合もまた利用可能である」と記載されているのみで、当該超音波パターン接合が切断を伴うものであるものについては、開示も示唆もされておりません。
また、引用文献2の段落[0040]には「相互密封は、ウェブ素材の密封特性に基づいて、熱又は超音波による溶着とすることができる。」と記載されているのみで、当該超音波パターン接合が切断を伴うものであるものについては、開示も示唆もされておりません。
このように、補正後請求項1に係る発明、及び補正後請求項10に係る発明は、引用文献のいずれにも開示されていない特徴ある構成を備えております。
そして、補正後請求項1に係る発明、及び補正後請求項10に係る発明にあっては、その特徴ある構成により、本願明細書の段落[0133]、[0140]に記載されているような、本願発明特有の効果を奏することが可能となるものであります。
よって、補正後請求項1に係る発明、及び補正後請求項10に係る発明は、引用文献1~3から当業者が容易に想到し得たものでは有りません。」
イ 令和4年2月28日に提出した上申書における主張
「(2)引用文献4、5について
本件前置報告書において、審査官殿は、「引用文献4(例えば、段落[0014]、図5-7等を参照。)や、引用文献5(例えば、段落[0007]、図15等を参照。)に記載のように、封止において、超音波溶着および切断を同時に行う技術は、本願出願前において周知の技術である。」とご説示になられました。
しかしながら、引用文献4や引用文献5に開示されている構成は、超音波溶着及び切断を行う対象は「外皮付き接着剤製品(引用文献4)」や「熱可塑性樹脂フィルム(引用文献5)」等のプラスティックフィルム(樹脂材料)であって、本願発明のように「不織布に対して超音波溶着及び切断」を行う構成ではありません。
具体的に、引用文献4には、外皮付きホットメルト接着剤製品をブロック形に詰めるための包装方法と、得られた外皮付きホットメルト接着剤製品のブロックと、外皮付きホットメルト接着剤製品を包装するための設備が開示されております。
引用文献4の段落[0063]には、「外皮材料は一般に高分子重合体材料であり、高分子量の変性ポリマー材料または高分子重合体の混合物である。そうした材料の例としてはエチレン/ 酢酸ビニールコポリマー(EVA)、エチレンアクリレートまたは高分子量低密度ポリエチレンコポリマー、メタロセンまたはシングルサイトまたはチーグラー-ナッタ触媒で作ったエチレンコポリマーが挙げられる。」と明確に記載されております。
また、引用文献5には、超音波を利用して被溶着体に発熱を起こさせ溶着または溶断を行う超音波溶接機によって超音波封止された積層物品とその製造方法、及びこれに用いる超音波溶接機が開示されております。
引用文献5の開示にあっては、超音波溶着及び切断を行う対象は「熱可塑性樹脂フィルム」であることが明確に記載されております(例えば、段落[0002]~[0005])。
このように、引用文献4、5の開示にあっては、そもそも超音波溶着及び切断を行う対象が、本願発明とは異なっております。
このため、引用文献4、5、に記載の事項は「プラスティック素材に対して」超音波溶着および切断を同時に行う技術について周知の技術であるということはできても、「不織布に対して」超音波溶着および切断を同時に行う技術について周知の技術である、とは言い得ないものであると思料致します。」
(3)更に、本願発明にあっては、「不織布」に対して超音波溶着および切断を同時に行うことにより、「袋は、突出する封止されていない最外端部分を持たない」という構成が実現されるものであります。
従って、上記構成は、「プラスティック素材に対して」超音波溶着および切断を同時に行う技術を開示している引用文献4、5の開示から、容易に想到され得るものでは無いと思料致します。」
上記主張について検討する。
上記アについて、上記[相違点4について]で上述したように、超音波溶着および切断を同時に行って封止を行うことは、例えば、特表2008-515734号公報(段落【0014】、図5-7参照。)、特開2003-267322号公報(段落【0007】、図15参照。)、登録実用新案第3045061号公報(【請求項3】、段落【0028】-【0033】、図1、図2参照。)、登録実用新案第3050596号公報(段落【0013】、【0016】、図6参照。)に開示されているように周知技術である。
そして、引用発明も封止を行うものであるので、引用発明に当該周知技術を適用して、超音波溶着および切断を同時に行って、第1の封止部と第2の封止部を形成するように構成することは、当業者が容易になし得たことであり、その際、引用発明の第1の封止部と第2の封止部は、パウチ78の最外端部分を封止するものであるから、切断した場合に、パウチ78の切断縁と境界を共有するものであると認められる。
上記イについて、上述した登録実用新案第3045061号公報(【請求項3】、段落【0028】-【0033】、図1、図2参照。)、登録実用新案第3050596号公報(段落【0016】、図6参照。)には、「不織布」に対して超音波溶着および切断を同時に行うことが開示されており、また、超音波溶着及び切断を行う対象が不織布であるからといって、超音波溶着及び切断が格別に困難であるとも認められない。
そうしてみると、封止部の構成に関して、引用発明に当該周知技術を適用して、本件補正発明の構成とすることに格別の困難性は認められない。なお、本願補正発明における唾液浸透可能袋の材料等について、何ら特定されていないことを付言しておく。
よって、審判請求人の主張は採用できない。
したがって、本願補正発明は、引用発明、引用例2技術及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
(5)むすび
以上のとおり、本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし13に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(2)に記載したとおりである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものであるから、本願は拒絶すべきものであるという理由を含むものである。
・請求項1に対して、引用例1、2
<引用例一覧>
1.特表2013-541962号公報
2.特表2013-523554号公報
3 引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1、引用例2の記載は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は上記第2[理由]2で検討した本願補正発明から、「細長い封止部」についての「前記少なくとも1つの細長い封止部は、超音波で提供される溶着部であり、前記超音波溶着および切断は同時に実施され、それによって溶着領域において切断が提供され、前記封止部は、前記唾液浸透可能袋の切断縁と境界を共有する」との限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2[理由]2に記載したとおり、引用発明、引用例2技術及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用例2技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定による特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-010138