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特許拒絶査定不服審判

2024-007572

エアロゾル生成基体

審判番号
2024-007572
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-504337
請求日
2024年05月08日
審決日
2026年03月16日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
  • 【請求人代理人】池田 成人
  • 【請求人代理人】酒巻 順一郎
  • 【請求人代理人】野田 雅一
  • 【請求人代理人】江守 英太
審判長/審判官
  • 審判長 平瀬 知明
  • 審判官 竹下 和志
  • 審判官 上田 雄
分類
P18 .121-WZ (A24B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2021-504337「エアロゾル生成基体」拒絶査定不服審判事件〔令和2年2月6日国際公開、WO2020/025727、令和3年11月25日国内公表、特表2021-531797〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件に係る出願(以下「本願」という。)は、2019年(令和元年)7月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年7月31日、(GB)グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)を国際出願日とする出願であって、令和5年6月30日付けで拒絶理由通知がされ、令和5年11月30日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、令和6年1月4日付けで拒絶査定がされた。 これに対し、令和6年5月8日に拒絶査定不服審判の請求がされ、令和7年6月23日付けで拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由通知」という。)がされ、令和7年11月21日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1~19に係る発明は、令和7年11月21日にした手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~19に記載された事項により特定されるところ、その請求項1は以下のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。 「【請求項1】 エアロゾル生成基体と、エアロゾル生成材料を加熱するが燃焼させないように構成された加熱器とを備えるエアロゾル生成組立品であって、前記エアロゾル生成基体がエアロゾル生成材料を備え、前記エアロゾル生成材料が非晶質固体を備え、前記非晶質固体が、 1~60重量%のゲル化剤と、 0.1~50重量%のエアロゾル生成剤と、 0.1~80重量%の香料と、 を備え、ここで、これらの重量は乾重量基準で計算され、前記エアロゾル生成材料が、70~120g/m2の面密度を有する、エアロゾル生成組立品。」 第3 当審拒絶理由通知の概要 当審拒絶理由通知の理由2(進歩性)の概要は、次の理由を含むものである。 本願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された次の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1.特表2018-515119号公報 引用文献2.国際公開第2010/113702号(周知技術を示す文献) 引用文献3.特開平2-53476号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4.特表2013-519384号公報(周知技術を示す文献) 引用文献5.特表2017-501687号公報(周知技術を示す文献) 第4 引用文献等 1 引用文献1について (1)引用文献1の記載事項 引用文献1には、次の記載事項がある。なお、下線は、当審において付した(以下同様。)。 ア 「【0001】 本発明は、加熱によってエアロゾルおよび/または気体を発するエアロゾル発生材に関する。」 イ 「【0008】 ここに記載されている重量パーセント(wt%で示される)は、特に明記しない限り乾式重量基準で算出されている。全ての重量比も乾式重量基準で算出されている。乾式重量基準で示される重量は、水以外の抽出物またはスラリーまたは材量の全体を意味し、グリセロールなどのそれ自体は室温および室圧で液体である成分を含んでもよい。逆に湿式重量は、水を含む全ての成分を意味する。」 ウ 「【0015】 本発明の第3の態様では吸引可能なエアロゾルおよび/または気体を発生する装置が提供され、該装置は、本明細書で説明されているエアロゾル発生材と、使用の際にエアロゾルおよび/または気体を形成する成分を揮発させる加熱する手段とを含む。 【0016】 一部の実施態様では加熱手段は、電気加熱手段である。一部の実施態様では電気加熱手段は、電気抵抗性加熱エレメントである。」 エ 「【0030】 タバコ抽出物 エアロゾル発生材は、タバコ抽出物を含む。タバコ抽出物は、溶媒によるタバコの処理を含み、さらに他の処理工程(濃縮などの)を含んでもよい方法によって得られるタバコの組成物である。抽出物は、バージニアおよび/またはバーレーおよび/またはオリエントタバコなどの単独グレードまたはブレンド、刻まれたラグまたは葉全体などの好適なタバコを処理することによって形成してもよい。 【0031】 固体エアロゾル発生材は、約5~35重量%のタバコ抽出物を含む。一部の実施態様ではエアロゾル発生材は、5~25重量%、5~20重量%、10~20重量%または10~15重量%のタバコ抽出物を含む。一部の実施態様ではエアロゾル発生材は、少なくとも重量で約5%、7%、10%または12%のタバコ抽出物を含んでもよい。一部の実施態様ではエアロゾル発生材は、重量で約35%、25%、20%18%または15%未満のタバコ抽出物を含んでもよい。一部の実施態様では固体エアロゾル発生材は、約12重量%のタバコ抽出物を含む。」 オ 「【0046】 固体エアロゾル発生材は、約10~35重量%のエアロゾル発生剤を含む。一部の実施態様ではエアロゾル発生材は、10~30重量%、15~25重量%または15~20重量%のエアロゾル発生剤を含む。一部の実施態様ではエアロゾル発生材は、少なくとも約10%、12%または15%のエアロゾル発生剤を含んでもよい。一部の実施態様ではエアロゾル発生材は、重量で約35%、30%、25%または20%未満のエアロゾル発生剤を含んでもよい。 【0047】 エアロゾル発生剤の最小量は、エアロゾルを効率よく効果的に発生させるために必要とされる。しかしながら、本発明者らはエアロゾル発生剤の量が多すぎると、エアロゾル発生材が形成しにくくなることを発見した。一部の実施態様ではエアロゾル発生材はスラリーから形成され(本明細書にて詳しく説明するように)、エアロゾル発生剤の含有量が多すぎると得られるエアロゾル発生材が消費製品に加工するには粘ついたり、粘着質になりすぎたり、吸湿性になりすぎてしまう。本発明者らは本明細書で定義した含有量エアロゾル発生剤は、これらの特性のバランスを良好にする。 【0048】 バインダー エアロゾル発生材は、2.5~10重量%のバインダーを含む。一部の実施態様ではバインダーはアルギン酸塩、セルロース類または変性セルロース類、デンプン類または変性デンプン類および天然ゴムの内の1つ以上を含む。 【0049】 好適なバインダーとしては、あらゆる好適なカチオンを含むアルギン酸塩、セルロース類またはヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどの変性セルロース類、デンプン類または変性デンプン類、ペクチン酸ナトリウム、ペクチン酸カリウム、ペクチン酸カルシウムまたはペクチン酸マグネシウムなどのあらゆる好適なカチオンを含むペクチン塩などの多糖類、キサンタンガム、グァーガムおよびあらゆる他の好適な天然ゴム、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施態様ではバインダーは、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウムまたはアルギン酸アンモニウムから選択される1つ以上のアルギン酸塩を含む、実質的にからなるまたはからなる。」 カ 「【0057】 あらゆる好適な量の水をエアロゾル発生材に含有させてもよい。例えば一部の実施態様ではエアロゾル発生材は、湿式重量基準(即ち水を含む全ての組成の重量で)で約1~25%、1~15%、3~15%、3~10%、7~10%または約3~7%の水を含んでもよい。」 キ 「【0059】 一部の実施態様ではエアロゾル発生材は1つ以上の風味剤を含んでもよい。本明細書中で使用する「風味」および「風味剤」なる用語は各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味や香りを製品に加えるのに用いることができる材料を指す。 【0060】 「風味」および「風味剤」なる用語は、抽出物(例えば、ユーカリ、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、クローブ、メントール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ピメント、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油など)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物息消臭剤などのその他の添加剤などを含む。これら材料は模造品、合成または天然成分であってもよく、またはこれらのブレンドであってもよい。これらは例えば油、液体または粉末などのあらゆる好適な形体であってもよい。」 ク 「【0064】 エアロゾル発生部材 電気加熱によってエアロゾルを発生させるための部材は、本明細書で説明されているエアロゾル発生材と電気抵抗性加熱エレメントとを含み、加熱エレメントは、エアロゾル発生材に少なくとも部分的に埋め込まれている。 【0065】 「電気抵抗性加熱エレメント」と言った場合、それはエレメントに電流を印可した際にエレメントの抵抗が電気エネルギーをエアロゾル発生材を加熱する熱エネルギーに変換することを意味する。 【0066】 加熱エレメントは、メッシュ、コイルまたは複数のワイヤの形状であってもよい。 【0067】 加熱エレメントは、金属または金属合金を含んでもよい。金属は電気および熱エネルギーを良好に伝導する。好適な金属としては、銅、アルミニウム、プラチナ、タングステン、金、銀およびチタンが挙げられるが、これらに限定されない。好適な金属合金としてはニクロムおよび/またはステンレスが挙げられるが、これらに限定されない。 【0068】 エアロゾル発生部材はスラリーを加熱エレメント状にキャスト、押し出しまたは噴霧して形成してもよく、スラリーはエアロゾル発生材と水からなる組成物を含む。部材はシート状であってもよい。」 ケ 「【0080】 エアロゾル発生材の製造方法 一部の実施態様ではエアロゾル発生材は、スラリーから製せられ、スラリーはエアロゾル発生材の成分と水とを含む。一部の実施態様ではスラリーは押し出しまたはキャストされ、乾燥させてエアロゾル発生材を形成する。別の実施態様ではスラリーをスプレーし、乾燥させてエアロゾル発生材を形成してもよい。一部の実施態様ではエアロゾル発生材の製造方法は、スラリーの製造の初期の工程をさらに含む。 【0081】 スラリーを形成するためにエアロゾル発生材の成分を好適な順番で加える。一部の実施態様ではスラリーをその成分を加えている間および/または加えた後に混合してもよく、これらの実施態様では任意の好適な時間混合される。スラリーが混合される時間の長さは、その組成および量によって決まり、よってそれに応じて変化する。一部の実施態様ではスラリーは、スラリーの組成を実質的に均質にし、スラリーがキャストのために必要とされる流動および粘度特性を確実に有するように必要に応じて混合される。 【0082】 本明細書で定義するエアロゾル発生材を形成するために使用されるスラリーの相分離は、本明細書で定義するバインダーに対するタバコ抽出物の重量比で最小である。低いバインダー濃度で本発明者らはスラリーから水が分離することを観察した。従って、本発明者らは、本明細書で定義するような最小限のバインダー量が必要であることを証明した。また本発明者らは水に対するバインダーの重量比は、シネレシスを減少または最小限にするまたは妨げる上で重要であることを証明した。 【0083】 スラリー中のバインダーに対するタバコ抽出物の湿式重量比は、約10:1~約2:1、好適には約6:1~約3:1の範囲内である。バインダーに対する水(タバコ抽出物中の溶媒として使用される水などの他の成分に存在する水を含む)の重量比は、約100:1、80:1または75:1~約50:1、30:1または25:1の範囲内である。 【0084】 一部の実施態様では本発明の方法は、上記したようにタバコ抽出物を得るための工程を含む。得られるタバコ抽出物は、スラリーに加えてもよい。 【0085】 一部の実施態様ではスラリーの製造方法は、(1)グリセリンとバインダーを混合する工程と、(2)水を加えて混合する工程と、(3)充填材を加えて混合する工程と、(4)タバコ抽出物を加えて混合し、滑らかなスラリーを形成する工程とを含む。タバコ抽出物の添加した後の混合は、通常は高せん断混合である。バインダーが固体である実施態様では工程(1)は、エアロゾル発生剤中でバインダーの分散または懸濁液を製する。 【0086】 一部の実施態様ではスラリーの製造方法は、(1)バインダーを水に加えて混合する工程と、(2)エアロゾル発生剤を加えて混合する工程と、(3)充填材を加えて混合する工程と、(4)タバコ抽出物を加えて良く混合して滑らかなスラリーを形成する工程とを含む。 【0087】 一部の実施態様ではエアロゾル発生材のスラリーは、風味料または着色剤などの1つ以上の添加剤を加えることを含む方法によって形成してもよい。 【0087】 スラリーは、キャスティングプレート上のシートまたはバンドキャスティング機のバンドにキャストしてもよい。一部の実施態様ではスラリーは、シートがほぼ均一な厚さまたは深さになるようにキャストされ、キャスティングナイフは確実に厚さを均一にするために使用してもよい。。一部の実施態様ではキャストされたシートは、約0.5~6mm、0.6~5mm、0.7~4mm、0.8~3mm、0.9~2.5mmまたは1~2mmの厚さまたは深さを有してもよい。一部の実施態様ではスラリーは約2mmまたは約1mmの厚さまたは深さになるようにキャストされてもよい。 【0089】 例えばキャスティングまたは押し出しによって成形された後、スラリーは好適な乾燥方法を使用して乾燥させてもよい。一部の実施態様ではスラリーは室温(即ち、約20~25℃)で乾燥させてもよい。一部の実施態様ではスラリーは、乾燥させるために温めてもよい。一部の実施態様ではスラリーは温風(即ち、オーブン中で)で乾燥させてもよい。一部の実施態様では濡れたスラリーが載っているプレートまたはバンドを温めて乾燥させてもよい。スラリーが温められる実施態様ではスラリーを好適な時間、あらゆる好適な温度で乾燥させてもよい。一部の実施態様ではスラリーは、約30~120℃、70~110℃、60~100℃、40~75℃、45~60℃または45~55℃の温度で乾燥させてもよい。 【0090】 キャストされたシートは、あらゆる好適な方法でバンドキャスティング機のキャスティングプレートまたはバンドから取り除いてもよい。場合によってはシートとプレートまたはバンドは、力を加えて簡単に分離する。場合によってはシートは、ナイフまたはブレード(「ドクターナイフ」)などの構造物とプレートの間の空間に挿入するための物を使用して取り除いてもよい。これとは別にまたは加えて 構造体は構造体とプレート間の接触ポイントの温度を上げることによって取り除かれる。一部のこのような実施態様では構造体は、構造体とプレート間の接触ポイントの温度を上げることに加えて取り除きやすくするためにエアロゾル発生材によって水を吸収させるスチームを使用してプレートから取り外してもよい。 【0091】 一部の実施態様ではシートはプレートから取り外した後、コンディショニングしてもよい。一部の実施態様ではシートは、約20~25℃、例えば約22℃でコンディショニングしてもよい。これとは別にまたは加えて部材は、約50~80%、例えば約60%の相対湿度の空気でコンディショニングしてもよい。一般にコンディショニングは、22℃、60%の相対湿度で適当な時間、例えば48時間行われる。 【0092】 一部の実施態様では部材を本発明の装置に組み入れる前に室温以下の温度(例えば、4~20℃)および好適な湿度で任意の好適な長さの時間貯蔵してもよい(例えば、密封容器に)。 【0093】 一部の実施態様ではスラリーを電気抵抗性加熱エレメント上にキャスト、押し出しまたは噴霧してスラリーの乾燥時に電気抵抗性加熱エレメントの少なくとも一部がエアロゾル発生材に埋まるようにしてもよい。 【0094】 形成されたエアロゾル発生材は、ロール、切断、刻み、ブレンドまたは好適な消耗品に形成され、そして任意に本発明の装置に組み入れられる前の他の処理を受けてもよい。」 (2)上記(1)から認められる事項 ア 記載事項ウから、エアロゾル発生材と、使用の際にエアロゾル及び/又は気体を形成する成分を揮発させる加熱手段とを含む装置における加熱手段は、電気加熱手段であるといえる。 イ 記載事項クから、エアロゾル発生材は、電気加熱によってエアロゾルを発生させるための部材として、電気抵抗性加熱エレメントとともにエアロゾル発生部材に含まれるものであり、記載事項エ及びオに記載されるとおり、固体エアロゾル発生材として用いられるものである。 また、上記エアロゾル発生部材は、記載事項クから、スラリーをキャストしてシート状に形成したものであって、スラリーは固体エアロゾル発生材と水からなる組成物を含むとされている。 そして、上記アで認定した装置に含まれる「エアロゾル発生材」は、上記「エアロゾル発生部材」として用いられるものといえる。 ウ エアロゾル発生部材に含まれる上記イで認定した固体エアロゾル発生材には、記載事項エから、約5~35重量%のタバコ抽出物を含み、記載事項オから、約10~35重量%のエアロゾル発生剤と、2.5~10重量%のバインダーとを含み、記載事項キから、風味剤を含むものといえる。 そして、記載事項イから、上記の「重量%」は、乾式重量基準で計算されたものといえる。 (3)引用文献1に記載された発明 上記(1)及び(2)を踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 〔引用発明〕 「エアロゾル発生部材と、使用の際にエアロゾル及び/又は気体を形成する成分を揮発させる電気加熱手段とを備える装置であって、前記エアロゾル発生部材が、スラリーをキャストしてシート状に形成したものであって、スラリーは固体エアロゾル発生材と水からなる組成物を含み、前記スラリーをキャストしてシート状に形成したものが、 約5~35重量%のタバコ抽出物と、 2.5~10重量%のバインダーと、 約10~35重量%のエアロゾル発生剤と、 風味剤と、 を含み、ここで、これらの重量は乾式重量基準で計算される、装置。」 2 引用文献2について(周知技術を示す文献) (1)引用文献2には、次の記載事項がある。 ア 「【0001】 本発明は、非燃焼型喫煙物品用シートおよびこのシートを含む非燃焼型喫煙物品、並びにそれらの製造方法に関する。」 イ 「【0016】 非燃焼型喫煙物品用シート10は、裏打ちシート11上に、炭素質熱源シート部分12と香味発生シート部分13とが横並びに隣接して一体化されたものである。炭素質熱源シート部分12の幅W1は、通常、5~20mmであり、香味発生シート部分13の幅W2は、通常、20~40mmである。」 ウ 「【0024】 香味発生シート部分13は、香味発生組成物で作られる。香味発生組成物は、シート形成材と香味発生剤を含む。シート形成材としては、炭素質熱源シート部分に使用されるバインダ、カードランのようなグルカン等の熱不可逆凝固性グルカンを使用することができる。熱不可逆凝固性グルカンは、ゲル化臨界温度以上の温度(例えば、カードランにあっては80℃以上の温度)に加熱すると、ゲル化し、このゲルは、これを再び加熱しても溶融することがない。さらに、シート形成材としては、パルプと上記バインダとの組み合わせを用いることができる。 【0025】 香味発生シート部分13に含まれる香味発生剤には、葉たばこ抽出エキス、天然植物性香料(例えば、リコリス、セントジョンズブレッド、スモモエキス、ピーチエキス等)、酸類(例えば、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等)、糖類(例えば、グルコース、フルクトース、異性化糖等)、ニコチン塩(例えば、クエン酸ニコチン等)等の親水性香味発生剤、メントール、ココア類(パウダー、エキス等)、エステル類(例えば、酢酸イソアミル、酢酸リナリル、プロピオン酸イソアミル、酪酸リナリル等)、天然精油類(植物性として、例えば、バニラエキス、スペアミント、ペパーミント、カシア、ジャスミン等;動物性として、例えば、ムスク、アンバー、シベット、カストリウム等)、単体香料(例えば、アネトール、リモネン、リナロール、オイゲノール等)等の疎水性香味発生剤が含まれる。これら香味剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これら香味発生剤の香味発生シート部分中の濃度は、香味発生材を加熱したときに、味覚・嗅覚を通じてヒトの嗜好を満足させるに充分な濃度であればよく、その濃度は、任意に調節することができる。より具体的には、香味発生剤は、最終香味発生材中に、極微量ないし20重量%、好ましくは5ないし10重量%の割合で存在する。さらに、香味発生剤としては、タバコ刻または粉末を用いることができる。タバコ刻または粉末は、香味発生シート部分中に、5~80重量%の量で配合することができる。」 (2)引用文献2記載技術事項 上記(1)から、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2記載技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 〔引用文献2記載技術事項〕 「非燃焼型喫煙物品用シート10を構成する香味発生シート部分13に含まれる香味発生剤が、最終香味発生材中に、5ないし10重量%の割合で存在すること。」 3 引用文献3について(周知技術を示す文献) (1)引用文献3には、次の記載事項がある。 ア 「1.(a)燃料要素と、 (b)少なくとも1種のエーロゾル生成物質を含む物理的に分離したエーロゾル発生手段と、 (c)エーロゾル発生手段により生成されるエーロゾルを喫煙者に排出する分離した手段とを含み、排出手段は少なくとも1種の風味剤を保持する炭素充填シート材料を含む喫煙品。」(1ページ左下欄:特許請求の範囲) イ 「8.風味剤が重量%により0.001~飽和までの量のメントールである特許請求の範囲第3項記載の喫煙品。 9.重量%によるメントールの量が3~6%である特許請求の範囲第8項記載の喫煙品。」(1ページ右下欄:特許請求の範囲) (2)引用文献3記載技術事項 上記(1)から、引用文献3には、次の技術的事項(以下「引用文献3記載技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 〔引用文献3記載技術事項〕 「喫煙品に含まれる炭素充填シート材料が保持するメントールが、炭素充填シート材料の3~6重量%の範囲であること。」 4 引用文献4について(周知技術を示す文献) (1)引用文献4には、次の記載事項及び図示事項がある。なお、「・・・」は、省略を意味する。 ア 「【請求項1】 少なくとも約0.09mg/mm2の質量対表面積比と、約12重量%と約25重量%の間のエアロゾルフォーマ含有量とを有する少なくとも1つのエアロゾルフォーマを備えた均質化されたタバコ材料のストランド。 ・・・ 【請求項3】 約0.25mg/mm2未満の質量対表面積比を有する、請求項1~2の何れかに記載の均質化されたタバコ材料のストランド。 ・・・ 【請求項5】 約15重量%と約25重量%の間のエアロゾルフォーマ含有量を有する請求項1~4の何れかに記載の均質化されたタバコ材料のストランド。 【請求項6】 約10重量%未満の量の少なくとも1つの香味料を更に含む、請求項1~5の何れかに記載の均質化されたタバコ材料のストランド。」 イ 「【0070】 本発明による均質化されたタバコのストランドは更に、1つ又はそれ以上の香味料を含むことができる。好適な香味料は、当該技術分野で公知であり、限定ではないが、メントール、スペアミント、ペパーミント、ユーカリ、バニラ、ココア、チョコレート、コーヒー、茶、スパイス(シナモン、クローブ、及びジンジャーのような)、果実香味料、及びこれらの組み合わせを含む。 【0071】 好ましくは、本発明による均質化されたタバコのストランドは、約10重量%未満の香味料含有量を有する。 【0072】・・・ 【0073】・・・ 【0074】 1つ又はそれ以上の香味料の代替として、又はこれに加えて、本発明による均質化されたタバコ材料のストランドは更に、公知の均質化されたタバコ材料に従来含められる他の添加剤を含むことができる。このような添加剤としては、限定ではないが、湿潤剤、可塑剤、バインダー、非タバコ繊維、及びこれらの混合物が挙げられる。 【0075】 好ましくは、本発明による均質化されたタバコ材料のストランドは、実質的に外因性のバインダー(すなわち、タバコ外因性バインダー)が実質的に無い。しかしながら、本発明による均質化されたタバコ材料のストランドは、必要に応じて1つ又はそれ以上の外因性バインダーを含むことができる点は理解されるであろう。本発明による均質化されたタバコ材料のストランドに含めるのに好適な外因性バインダーは、当該技術分野で公知であり、限定ではないが、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチル・セルロース、メチル・セルロース、及びエチル・セルロースなどのセルロースバインダー;キサンタンガム、グアーガム、アラビアゴム、及びローカスビーンガムなどのガム;例えば、スターチのような多糖類、アルギン酸のような有機酸、アルギン酸ナトリウム、寒天及びペクチンのような有機酸の共役塩基、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。 【0076】 好ましくは、本発明による均質化されたタバコ材料のストランドは、約3重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満、最も好ましくは約0.1重量%未満の外因性バインダー含有量を有する。 【0077】・・・ 【0078】・・・ 【0079】 本開示の1つの好ましい実施形態において、均質化されたタバコ材料のストランドは、粒子状タバコ、1つ又はそれ以上のエアロゾルフォーマ、水、及び任意選択的に1つ又はそれ以上の香味料のみを含む。本発明のこの好ましい実施形態による均質化されたタバコ材料のストランドは、例えば、約40重量%と約85重量%の間のタバコ含有量、約12重量%と約25重量%の間のエアロゾルフォーマ含有量、約10重量%と約20重量%の間の水含有量、及び約0重量%と約10重量%の間の香味料含有量を有することができる。」 ウ 「【0117】 (表1)注:E=押し出し、CL=キャストリーフ、DR=ドウ再構成 [図:0001437730000001.jpg] 」 (2)上記(1)から認められる事項 ア 記載事項ア及びイから、タバコ材料のストランドは、約3重量%未満のバインダー、約40重量%と約85重量%の間のタバコ含有量、約12重量%と約25重量%の間のエアロゾルフォーマ含有量、約10重量%と約20重量%の間の水含有量、及び約0重量%と約10重量%の間の香味料含有量を備えることが理解できる。 イ 記載事項ア及びウから、エアロゾルフォーマを備えた均質化されたタバコ材料のストランドの質量対表面積比は、少なくとも約0.09mg/mm2であり、約0.25mg/mm2未満の範囲であり、表1における実施例3及び4では、それぞれ、質量対表面積比が、0.10mg/mm2及び0.11mg/mm2のものが示されている。 そして、これらの実施例3及び4について、質量対表面積比の単位をg/m2に換算すると、100g/m2であり、110g/m2であるといえる。 (3)引用文献4記載技術事項 上記(2)から、引用文献4には、次の技術的事項(以下「引用文献4記載技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 〔引用文献4記載技術事項〕 「エアロゾルフォーマを備えた均質化されたタバコ材料のストランドにおいて、タバコ材料のストランドが、約3重量%未満のバインダー、約40重量%と約85重量%の間のタバコ含有量、約12重量%と約25重量%の間のエアロゾルフォーマ含有量、約10重量%と約20重量%の間の水含有量、及び約0重量%と約10重量%の間の香味料含有量を備え、タバコ材料のストランドの質量対表面積比に、100g/m2又は110g/m2のものを採用すること。」 5 引用文献Aについて(周知技術を示す文献;新たに引用する文献) (1)本願優先日前に頒布された特許第4467617号公報(以下「引用文献A」という。)には、次の記載事項がある。 ア 「【0001】 本発明は、喫煙品用の喫煙可能な充填材、特にタバコに関連するホフマン検体が減少しているが、充填値が向上し、かつ、喫煙品のタバコに近い特性を示す喫煙品用の喫煙可能な充填材に関する。」 イ 「【0011】 図1は、本発明による紙巻きタバコなどの喫煙品の製造方法を示し、この方法ではシート状のものが製紙工程を介して製せられる。工程1では、木材、綿、またはフラックスから得られるセルロース含有材料が供される。工程1のセルロース含有材料が工程11で得られるシート材の5乃至50重量パーセントを構成する。特に工程1のセルロース含有材料は、工程11で得られるシート材の10乃至15重量パーセントを構成する。従って工程1のセルロースを使用することで充填材の充填値を向上させ、製紙工程でシートを製することが可能になり、この工程を改善することができる。工程2は、タバコを抽出する任意の工程である。タバコ抽出物およびタバコ固形物を得るために使用される工程2のタバコを抽出する方法は、水のみを使用する水性抽出または例えば酸または塩基などの他の添加剤を抽出工程において使用する水性抽出であってもよい。通常、工程2のタバコの抽出は、タバコ1部に対して水溶液を11乃至20部を用いて140乃至180°Fの温度で約15乃至45分間行われる。水溶液は、タバコペクチンを放出するために酸性または塩基性であってもよく、このタバコペクチンは、シートの製造中のシートの引っ張り強さを増加させ、シートの積層性を向上させ、例えばアルギナートなどのバインダーの量を減らすために加えられる。工程3ではタバコ固形物は、遠心分離またはろ過によってタバコ抽出物から分離される。 【0012】 工程4は、任意の工程であり、ここでは工程3で得られたタバコ固形物を工程1のセルロース含有材料に加える。工程1のセルロース含有材料および工程4の任意に加えられるタバコ固形物は、工程5で精製される。工程5での精製の後、不活性充填材および/またはバインダーが工程5で得られた精製された材料と工程6で混合される。工程6の不活性材は、有機および/または無機であってもよい。工程5で使用される有機充填材としては、キトサンおよびリポサンなどが挙げられ、無機充填材としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらの無機充填剤は、沈殿させ、精製することで粒径が小さくなる。不活性充填材の精製では充填材を約0.5μm乃至1μmの範囲の非常に細かい粒径に製粉される。このように粒径を小さくすることによって薄いシートを形成することが可能になり、ストリップに切断または裁断されると喫煙可能な充填材の充填値を向上させる役割を果たす。工程6の不活性材は、有機または無機のものを単独で用いてもよく、あるいは有機または無機に関係なくこれらを組み合わせたものであってもよい。工程6で加えられる不活性材の量は、工程11で得られるシート材の最大で35重量パーセントを構成する量である。好ましくは工程6の不活性材は、工程11で得られるシート材の約20乃至25重量パーセントを構成する。 【0013】 工程7では工程6で得られた材料を製紙工程によってシート状に形成する。工程7で得られたシート材は、任意ではあるが、工程11で加えられるタバコ抽出物含有材料を含んでもよい。工程3のタバコ固形物から分離された工程8のタバコ抽出物は、工程9で濃縮される。工程10では湿潤剤およびバインダーが工程9の濃縮されたタバコ抽出物と完全に混合される。工程10の湿潤剤は、工程11から得られたシートの乾燥重量基準で15重量パーセント以下を構成する濃度で加えてもよい。通常、工程10の湿潤剤は、工程11から得られたシートの乾燥重量基準で約12.5重量パーセントを構成する濃度で加えられる。工程10のバインダーは、工程11から得られたシートの乾燥重量基準で約5乃至25重量パーセントを構成する量で加えられる。好ましくは工程10のバインダーは、工程11で得られるシート材の約6乃至10重量パーセントを構成する。工程10のタバコ抽出物を含む材料は、工程11のシートに任意で加えられるタバコ抽出物であり、工程11から得られるシートの30重量パーセント以下を構成してもよい。さらに工程11から得られたシートは、工程4および/または11で任意に加えられるタバコ含有材料を50重量パーセント以下含んでもよい。工程11から得られるシートは、4cc/g超の充填値を有する。好ましくは工程11から得られるシートの充填値は、約6乃至10cc/gの範囲の充填値を有する。工程11で得られたシートは、ストリップ状に切断され、喫煙品を製造するために工程12でストリップ状のタバコブレンドに加えられる。 【0014】・・・ 【0015】・・・ 【0016】 工程102では工程100と101で得られた材料が完全に混合される。工程103ではバインダー溶液(例えばアルギナート、カルボキシメチルセルロースなど)が工程102で得られた材料に加えられ、工程104で混合される。工程103で加えられたバインダー溶液の量は、工程109で裁断される最終シートに乾燥重量基準で約5乃至25%のバインダーが含まれるような量である。工程105では湿潤剤(例えばグリセロール、プロピレングリコールなど)が工程109で裁断される最終シートに乾燥重量基準で約8乃至15%の湿潤剤が含まれる量である。工程109で裁断される最終シートは、約12.5重量パーセントの湿潤剤を含むと有利である。任意に工程106ではケーシングおよび風味料が混合物に加えられる。」 ウ 「【0022】 さらに必要に応じて風味料およびケーシングを喫煙可能な充填材に加えてもよい。風味料および味覚材としては、メンソール、甘草、コーヒー、タバコ、タバコ抽出物および当業界で知られているその他の風味料が挙げられる。本発明の充填材は、当業界で知られている従来の方法でケース処理してもよい。」 エ 「【0025】 従来の充填材の組成および本発明のいくつかの実施例の組成を下記の表に示す。これら実施例は、55乃至100g/m2の坪量を有するシートを含む。以下の実施例のシート材は、図1の製紙工程および図2のバンドキャスト工程によって作成した。各サンプルの補正充填値の結果を各表の最下段に示す。 【0026】 シート坪量100g/m2 バンドキャストによって作成されたシート ・・・ 【0027】 シート坪量75g/m2 バンドキャストによって作成されたシート ・・・ 【0028】 シート坪量85g/m2 ・・・ 【0029】・・・ 【0030】 上記実施例は、本発明によって充填値が高められていることを示している。刻みタバコからなるラグは、約6乃至7cc/gの充填値を示し、従来の充填材の充填値は、約4乃至4.5cc/gである。従来の充填材の低充填値によって喫煙品が重くなり、燃焼速度、煙送出量および消火性に劣る。本発明の充填材の充填値は、実施例で示したように5.7乃至8.88cc/gであり、この範囲は、タバコカットラグの充填値に近いものである。充填値の高いこの充填材によってタバコに近い重量および他の特性を有する喫煙品を供する。さらにこの充填材は、良好な燃焼速度、煙送出量および消火性を有する。本発明によって発見された別の利点は、充填材が従来の充填材より裁断およびその他の紙巻きタバコ製造工程に耐え得る高い引っ張り強度を有するということである。従来技術にない本発明の利点は、本発明によりシガレットペーパーの染みを減少または除去するということである。」 (2)上記(1)から認められる事項 ア 記載事項イ及びウから、喫煙物品に用いるシートは、タバコ抽出物と、乾燥重量基準でシート材の約6乃至10重量パーセントのバインダーと、乾燥重量基準でシート材の約12.5重量パーセントの湿潤剤と、メンソール等の風味剤とを備えるものといえる。 イ 記載事項エから、喫煙物品に用いるシートの坪量として、100g/m2、75g/m2、85g/m2のものが採用されている。 ウ 記載事項エの段落【0030】から、上記イで認定した坪量の範囲について、100g/m2以下とすることが、喫煙品の重量をタバコと同程度に軽くすることを目的としたものと理解される。 (3)引用文献A記載技術事項 上記(2)から、引用文献Aには、次の技術的事項(以下「引用文献A記載技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 〔引用文献A記載技術事項〕 「喫煙物品に用いるシートにおいて、喫煙物品に用いるシートが、タバコ抽出物と、乾燥重量基準でシート材の約6乃至10重量パーセントのバインダーと、乾燥重量基準でシート材の約12.5重量パーセントの湿潤剤と、メンソール等の風味剤とを備え、坪量として、100g/m2、75g/m2、85g/m2のものを採用し、喫煙品の重量をタバコと同程度に軽くするために、坪量を100g/m2以下とすること。」 6 引用文献Bついて(周知技術を示す文献;新たに引用する文献) (1)本願優先日前に頒布された特表2015-517819号公報(以下「引用文献B」という。)には、次の記載事項がある。 ア 「【0001】 本明細書は、エアロゾル発生物品で使用するためのロッドを形成するように共にギャザー加工された、エアロゾル形成材料のシートと熱伝導材料のシートとを含むロッドに関する。本明細書は、このようなロッドを含むエアロゾル発生物品、及びこのようなロッドの形成方法にも関する。」 イ 「【0023】 エアロゾル発生物品、特に加熱式エアロゾル発生物品の構成要素としては、好適なエアロゾル形成材料のギャザー加工シートから形成されたロッドが特に有益である。 【0024】 加熱式エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基材を加熱することにより、基材の材料からエアロゾルを発生させるように動作する。この結果、消費者はエアロゾルを吸入することができる。しかしながら、エアロゾル形成材料のシートは、低い熱伝導性を有することがある。このことは、エアロゾル発生材料のシートから形成されたロッド又はプラグを均等に加熱するのが困難な場合があることを意味する。加熱に差があると、ロッド又はプラグの一部の箇所が高温に加熱されることがある。これらのロッド部分は焦げて、不快な味の揮発性成分を放出又は発生させることがあり、又はこれらの部分からの揮発性物質の発生又は消費が急速過ぎて、満足のいくユーザ体験が得られないこともある。ロッド又はプラグのうち熱源から離れた残りの部分は、揮発性物質を発生させるのに十分な温度に達しないこともある。」 ウ 「【0052】 本明細書で説明するロッドを含むフィルタは、粒子成分、気体成分又はこれらの組み合わせを除去するための1又はそれ以上のフィルタ材料をさらに含むことができる。当業では、好適なフィルタ材料が知られており、以下に限定されるわけではないが、例えばセルロースアセテートトウ及び紙などの繊維状フィルタ材料、例えば活性アルミナ、ゼオライト、分子篩及びシリカゲルなどの吸着剤、例えばポリ乳酸(PLA)、Mater-Bi(登録商標)及びバイオプラスチックを含む生分解性ポリマー、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。 【0053】 これとは別に、又はこれに加えて、本明細書で説明するロッドを含むフィルタは、1種類又はそれ以上の煙改質剤又はエアロゾル改質剤をさらに含むことができる。当業では、好適な煙改質剤及びエアロゾル改質剤が知られており、限定ではないが、例えばメントールなどの香味料が挙げられる。」 エ 「【0063】 いくつかの実施形態では、均質化タバコ材料のシートが、少なくとも約40乾燥重量%、又は少なくとも50乾燥重量%のタバコ含有量を有することができる。他の実施形態では、均質化タバコ材料のシートが、約70乾燥重量%又はそれ以上のタバコ含有量を有することができる。本明細書によるロッドが、加熱式エアロゾル発生物品内のエアロゾル形成基材として使用するためのものである場合、タバコ含有量の高い均質化タバコ材料のシートを使用することにより、タバコ香味が強化されたエアロゾルが有利に発生する。 【0064】 均質化タバコ材料のシートは、粒子状タバコを塊にする支援となるように、タバコの内部を発生源とする1又はそれ以上の内因性バインダ、タバコの外部を発生源とする1又はそれ以上の外因性バインダ、又はこれらの組み合わせを含むことができる。これとは別に、又はこれに加えて、均質化タバコ材料のシートは、以下に限定されるわけではないが、タバコ及び非タバコ繊維、エアロゾル形成体、保湿剤、可塑剤、香味料、充填剤、水性及び非水性溶媒、並びにこれらの組み合わせを含む他の添加物を含むこともできる。 【0065】 当業では、本明細書で説明するロッドの形成において使用する均質化タバコ材料のシートに含めるのに適した外因性バインダが知られており、以下に限定されるわけではないが、例えばグアーガム、キサンタンゴム、アラビアゴム、ローカストビーンガムなどのゴム、例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース及びエチルセルロースなどのセルロース系バインダ、例えばでんぷんなどの多糖類、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウムなどの有機酸の共役塩基、寒天及びペクチン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。」 オ 「【0069】 当業では、均質化タバコ材料のシートに含めるのに適したエアロゾル形成体及び保湿剤が知られており、以下に限定されるわけではないが、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール及びグリセリンなどの多価アルコール、モノアセテート、ジアセテート、トリアセテートなどの多価アルコールのエステル、及びドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなどのモノカルボン酸、ジカルボン酸又はポリカルボン酸の脂肪族エステルが挙げられる。 【0070】 例えば、本明細書によるロッドが、加熱式エアロゾル発生物品内のエアロゾル形成基材として使用するためのものである場合、本明細書で説明するロッドの形成において使用する均質化タバコ材料のシートは、約5乾燥重量%~約30乾燥重量%のエアロゾル形成体含有量を有することができる。加熱要素を有する電気作動式エアロゾル発生システムで使用するためのロッドは、約5%~約30%よりも多くのエアロゾル形成体を含むことが好ましい。加熱要素を有する電気作動式エアロゾル発生システムで使用するためのロッドでは、エアロゾル形成体がグリセリンであることが好ましい。」 カ 「【0082】 いくつかの実施形態では、均質化タバコ材料のシートが、100g/m2及び約300g/m2の坪量を有することができる。」 (2)上記(1)から認められる事項 ア 記載事項エ及びオから、均質化タバコ材料のシートは、約70乾燥重量%又はそれ以上のタバコ含有量と、外因性バインダと、約5乾燥重量%~約30乾燥重量%のエアロゾル形成体と、香味料とを備えるものといえる。 また、記載事項ウから、この香味料には、メントールが含まれていると理解される。 イ 記載事項カから、均質化タバコ材料のシートの坪量として、100g/m2のものが採用されている。 (3)引用文献B記載技術事項 上記(2)から、引用文献Bには、次の技術的事項(以下「引用文献B記載技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 〔引用文献B記載技術事項〕 「均質化タバコ材料のシートにおいて、均質化タバコ材料のシートが、約70乾燥重量%又はそれ以上のタバコ含有量と、グアーガム、キサンタンゴム、アラビアゴム、ローカストビーンガムなどのゴム、例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース及びエチルセルロースなどのセルロース系バインダ、例えばでんぷんなどの多糖類、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウムなどの有機酸の共役塩基、寒天及びペクチン、並びにこれらの組み合わせに例示される外因性バインダと、約5乾燥重量%~約30乾燥重量%のエアロゾル形成体と、メントールを含む香味料とを備え、坪量として、100g/m2のものを採用すること。」 第5 進歩性に関する判断 1 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 ア 対比 本願発明と、引用発明とを対比すると、引用発明の「エアロゾル発生部材」、「固体エアロゾル発生材」及び「装置」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明の「エアロゾル生成基体」、「エアロゾル生成材料」及び「エアロゾル生成組立品」にそれぞれ相当する。 また、引用発明の「使用の際にエアロゾル及び/又は気体を形成する成分を揮発させる電気加熱手段」は、「エアロゾル発生部材」が含む「固体エアロゾル発生材」を加熱するが燃焼させないように構成されたものといえるから、本願発明の「エアロゾル生成材料を加熱するが燃焼させないように構成された加熱器」に相当する。 そうすると、引用発明の「エアロゾル発生部材と、使用の際にエアロゾル及び/又は気体を形成する成分を揮発させる電気加熱手段とを備える装置」は、本願発明の「エアロゾル生成基体と、エアロゾル生成材料を加熱するが燃焼させないように構成された加熱器とを備えるエアロゾル生成組立品」に相当する。 また、引用発明の「エアロゾル発生部材がスラリーをキャストしてシート状に形成したものであって、スラリーは固体エアロゾル発生材と水からなる組成物を含」むことは、「エアロゾル発生部材」が「エアロゾル発生材」を備えるものといえる。 また、引用発明の「スラリーをキャストしてシート状に形成したもの」は、引用文献1の記載事項カ及びケによれば、キャストのために必要とされる流動及び粘度特性を有するスラリーを、湿式重量基準で約1~25%、1~15%、3~15%、3~10%、7~10%又は約3~7%の水を含む程度まで、乾燥させたものであって、このように形成したものは、規則的な原子配列が取れず非晶質となった固体であると考えられる。 また、引用発明の「キャストしてシート状に形成した」「スラリー」は、「固体エアロゾル発生材と水からなる組成物を含」んでおり、「固体エアロゾル発生材」が、上記非晶質固体を備えるといえる。 そうすると、引用発明の「エアロゾル発生部材がスラリーをキャストしてシート状に形成したものであって、スラリーは固体エアロゾル発生材と水からなる組成物を含」むことは、本願発明の「エアロゾル生成基体がエアロゾル生成材料を備え、前記エアロゾル生成材料が非晶質固体を備え」ることに相当する。 また、引用発明の「2.5~10重量%」、「バインダー」、「約10~35重量%」、「エアロゾル発生剤」及び「含み」は、本願発明の「1~60重量%」、「ゲル化剤」、「0.1~50重量%」、「エアロゾル生成剤」及び「備え」にそれぞれ相当する。 そうすると、引用発明の「スラリーをキャストしてシート状に形成したものが、」「2.5~10重量%のバインダーと、約10~35重量%のエアロゾル発生剤と、」「を含」むことは、本願発明の「前記非晶質固体が、1~60重量%のゲル化剤と、0.1~50重量%のエアロゾル生成剤と、」「を備え」ることに相当する。 また、引用発明の「風味剤」は、本願発明の「香料」に相当する。 また、引用発明の「ここで、これらの重量は乾式重量基準で計算される」ことは、本願発明の「ここで、これらの重量は乾重量基準で計算され」ることに相当する。 よって、本願発明と、引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違するものと認められる。 〔一致点〕 「エアロゾル生成基体と、エアロゾル生成材料を加熱するが燃焼させないように構成された加熱器とを備えるエアロゾル生成組立品であって、前記エアロゾル生成基体がエアロゾル生成材料を備え、前記エアロゾル生成材料が非晶質固体を備え、前記非晶質固体が、 1~60重量%のゲル化剤と、 0.1~50重量%のエアロゾル生成剤と、 香料と、 を備え、ここで、これらの重量は乾重量基準で計算される、エアロゾル生成組立品。」 〔相違点1〕 「非晶質固体」が備える「香料」について、本願発明では、「0.1~80重量%」であるのに対して、引用発明では、含有量が不明である点。 〔相違点2〕 本願発明では、「エアロゾル生成材料が、70~120g/m2の面密度を有する」のに対して、引用発明では、面密度が不明な点。 2 判断 上記相違点について検討する。 まず、相違点1について検討する。 例えば、引用文献2記載技術事項及び引用文献3記載技術事項にみられるとおり、喫煙物品に含まれる香料が、エアロゾルを生成する固体材料の3~10重量%程度の範囲であること(以下「従来周知の技術1」という。)は、従来周知の技術である。また、加熱式たばこの風味を多様化するため、香料の含有量を3重量%以下又は10重量%以上とすることは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。 そして、引用発明と、上記従来周知の技術1とは、いずれも喫煙物品に関するものであるから技術分野が共通しており、また、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するという機能においても共通している。 してみると、引用発明の「スラリーをキャストしてシート状に形成したもの」が含む「風味剤」につき、上記従来周知の技術1を適用するに当たり、風味の多様化の観点から、その含有量の範囲を設計変更することにより、0.1~80重量%の範囲として、相違点1に係る本願発明の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。 次に、相違点2について検討する。 例えば、引用文献4記載技術事項並びに周知例を示すために新たに引用する引用文献A記載技術事項及び引用文献B記載技術事項にみられるとおり、タバコと、ゲル化剤と、エアロゾル生成剤と、香料とを備えるエアロゾル生成材料の面密度を、100g/m2程度とし、喫煙物品の重量を軽くするために、100g/m2以下とすることは従来周知の技術(以下「従来周知の技術2」という。)といえる。 そして、引用発明と、上記従来周知の技術2とは、いずれもタバコと、ゲル化剤と、エアロゾル生成剤と、香料とを備えるエアロゾル生成材料に関するものであるから技術分野が共通しており、また、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するという機能においても共通している。 してみると、引用発明の「固体エアロゾル発生材」の面密度の範囲につき、上記従来周知の技術2を適用するに当たり、喫煙物品の軽量化の観点も踏まえて、その含有量の範囲を設計変更することにより、70~120g/m2の範囲として、相違点2に係る本願発明の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。 また、本願発明は、全体としてみても引用発明並びに従来周知の技術1及び従来周知の技術2から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。 3 請求人の主張について 請求人は、令和7年11月21日提出の意見書において、以下の主張をしている。 ・「まず、本意見書とともに甲第1号証として提出するSupplementary Data(以下、「補足データ」ともいいます)に示すとおり、本願発明で規定される特定範囲内の面密度を選択することで、使用中におけるエアロゾルの収集質量(ACM)が改善されることが実証されています。ここで、ACMは、エアロゾル生成材料が加熱されたときに生成するエアロゾルの総量を示す指標であり、ACMの値が高いほど有利です。補足データによれば、本願発明で規定される範囲内(80g/m2、100g/m2、112g/m2)にある面密度を有するエアロゾル生成材料が、より高い面密度(135g/m2)を有するエアロゾル生成材料に比べてACMを改善することが明確に示されています。なお、135g/m2は本願発明で規定される面密度の範囲外です。 そして、本願明細書段落0069の第1~5行に記載されていますように、本願発明で規定される特定範囲の面密度を有するエアロゾル生成材料を用いることで、エアロゾル生成材料を刻みタバコと混合されたときに、予想外にも混合物の分離が低減するという利点ももたらします。 これら2つの利点(すなわち、ACMの向上及びエアロゾル生成材料を刻みタバコと混合した際の分離の緩和)は、いずれの引用文献にも示唆されていない顕著な効果です。 この点、引用文献4及び5のみエアロゾル生成材料の単位面積当たり質量の具体的数値を開示しています。具体的には、引用文献4の請求項1は、均質化されたタバコ材料のストランドについて「少なくとも約0.09mg/mm2(少なくとも約90g/m2)の質量対表面積比」であると開示し、請求項2はこの質量対表面積比を「約0.25mg/mm2未満(約250g/m2未満)」と開示しています。また、引用文献5の段落0055には、「一定の実施形態で、均質化したたばこ材料シートは、100g/m2~約300g/m2の坪量を持ちうる。」と記載されています。 しかしながら、引用文献4及び5のいずれも、上述した本願発明の予期せぬ利点(すなわち、ACMの向上及びエアロゾル生成材料を刻みタバコと混合した際の分離の緩和)について、本願発明で規定される面密度の特定の範囲と関連付けて示唆していません。本願発明に関する後知恵がなければ、当業者が引用文献4及び5に開示される均質化タバコの面密度範囲の下側の一部と重なる「70~120g/m2」という面密度を選択し、しかも当該選択された面密度範囲を引用文献1に記載の材料に適用して、上記の予期せぬ利点が得られると合理的に期待することはないものと考えます。」 しかしながら、上記2の相違点2についての判断で説示したとおり、引用発明においてエアロゾル生成材料の面密度を70~120g/m2の範囲とすることは、当業者にとって容易になし得た事項である。 また、請求人は、エアロゾル生成材料を刻みタバコと混合されたときに、予想外の利点をもたらす旨主張しているが、本願発明は、発明特定事項に「刻みタバコ」が混合されていることが特定されていないから、「ACMの向上及びエアロゾル生成材料を刻みタバコと混合した際の分離の緩和」に関する効果についての主張は、特許請求の範囲の記載に基づくものではない。 さらに、使用中におけるエアロゾルの収集質量(ACM)の向上については、本願の明細書に記載されておらず、かつ、本願の明細書及び図面の記載から当業者が推論できるものでもないので、その効果を参酌することはできない。 よって、上記主張を採用することはできない。 4 本願発明についてのまとめ したがって、本願発明は、引用発明並びに従来周知の技術1及び従来周知の技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-007572

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