特許拒絶査定不服審判
2022-014096
植物性材料を組み込む無煙タバコ組成物
- 審判番号
- 2022-014096
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-141950
- 請求日
- 2022年09月08日
- 審決日
- 2025年03月10日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アール・ジエイ・レイノルズ・タバコ・カンパニー
- 【請求人代理人】弁理士法人川口國際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 充
- 審判官 槙原 進
- 審判官 水野 治彦
- 分類
- P18 .121-WZ (A24B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-141950「植物性材料を組み込む無煙タバコ組成物」拒絶査定不服審判事件〔令和元年12月26日出願公開、特開2019-216726〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)9月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年9月9日(US)アメリカ合衆国、2013年11月5日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願である特願2016-540465号の一部を令和元年8月1日に新たな特許出願としたものであって、その手続は以下のとおりである。
令和元年 8月22日 :上申書、手続補正書の提出
令和2年10月 9日付け :拒絶理由通知書
令和3年 4月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 6月24日付け :拒絶理由通知書
令和3年12月20日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 5月 2日付け :拒絶査定
令和4年 9月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和5年 3月16日 :上申書の提出
令和5年 5月26日付け :拒絶理由通知書
令和5年11月29日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 3月 7日付け :拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由通知」という。)
令和6年 7月19日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし請求項4に係る発明は、令和6年7月19日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、以下のとおりのものである。
「 製品のユーザの口腔内への挿入のために構成される製品であって、前記製品が、タバコ由来のニコチン、微結晶性セルロースを含む充填剤及び少なくとも1つの非タバコ植物性材料を含み、前記タバコ由来のニコチン、前記微結晶性セルロース、及び前記非タバコ植物性材料が透水性小袋内に収容され、
前記非タバコ植物性材料が、前記製品の総乾燥重量の少なくとも5%を成し、
前記非タバコ植物性材料の少なくとも第一部分が、細断された又は粒子状の植物性材料の形態であり、
前記非タバコ植物性材料の第二部分が、前記製品の総乾燥重量の少なくとも1%であり、
前記非タバコ植物性材料の第二部分が、油又は水抽出物の形態であり、
前記非タバコ植物性材料の第二部分が、ローズマリー、オレガノ、セージ、ハイビスカス、クローブ、ローズヒップ、イエルバマテ、ココア、ターメリック、グアユサ、ハニーブッシュ、緑茶、紅茶、ルイボス、イエルバサンタ、バコパモンニエラ、イチョウ、アシュワガンダ、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、
前記製品。」
第3 当審拒絶理由通知における拒絶の理由
当審拒絶理由通知における拒絶の理由は、大略、次のとおりのものである。
1 (進歩性)この出願の請求項1ないし請求項5に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献一覧
1.特表2013-532490号公報
2.特表2005-527186号公報
3.特開2011-130689号公報
4.特表2013-523102号公報
第4 引用文献
1.引用文献1
引用文献1には、「構造繊維と交絡させたタバコを含むファブリック」に関して、次の記載事項及び認定事項がある(下線は当審が付したものである。以下同様。)。
(1)「【0003】
背景
無煙タバコは、口の中に置く、燃焼させないタバコである。無煙タバコには、噛みタバコ、湿性無煙タバコ、スヌースおよび乾燥スナッフを含む様々なタイプのものが存在する。噛みタバコは、粗く刻んだタバコの葉であり、典型的には大きなポーチ様の包装物で包装され、その一切れまたはねじったものを使用する。」
(2)「【0016】
本明細書に記載される製品および方法はまた、無煙タバコに加えて、その他の口内で消費される植物材料にも適用することができる。例えば、いくつかの非タバコまたは「ハーブ」組成物も、無煙タバコ組成物の代替物として開発されている。非タバコ製品は、茶葉、レッドクローバー、ココナツフレーク、ミント葉、朝鮮人参、リンゴ、トウモロコシ毛、グレープ葉、およびバジル葉を含むがこれらに限定されない多くの異なる主成分を含み得る。いくつかの態様において、非タバコ製品は、繊維構造を有する非タバコ材料と、非タバコ材料とは異なる組成を有する材料の構造繊維とを含む。構造繊維は、非タバコ植物交絡ファブリックを形成するよう、非タバコ材料の繊維構造と交絡する不織布の網を形成する。いくつかの態様において、非タバコ植物交絡ファブリックは、非タバコ植物の繊維構造を構造繊維と接触させ、非タバコ繊維構造と構造繊維を交絡させて非タバコ植物交絡ファブリックを形成することによって製造される。いくつかの態様において、非タバコ無煙製品は、構造繊維と交絡させた非タバコ繊維構造および1つまたは複数のタバコエキスを含む。非タバコ植物交絡ファブリックにタバコエキスを添加することにより、望ましい口内感覚(mouth feel)および香味プロフィールを提供する非タバコ製品を得ることができる。いくつかの態様において、タバコエキスは、キュアリングしたおよび/または発酵させたタバコを水と混合し、不溶性のタバコ物質を除去することによって、キュアリングしたおよび/または発酵させたタバコから抽出することができる。いくつかの態様において、タバコエキスは、ニコチンを含み得る。いくつかの態様において、非タバコ植物交絡ファブリックは、2つまたはそれ以上のタバコの感覚刺激成分を含むタバコのエキスを含む。」
(3)「【0028】
タバコ交絡ファブリックの使用方法
特定の態様において、各タバコ交絡ファブリック片100は、その中に無煙タバコを含む小ポーチと同様の様式で口内で使用される構成とすることができる。しかし、紙または紙様のポーチ材が成人タバコ消費者の頬および歯茎と接触する典型的な小ポーチ製品と異なり、本明細書に記載されるタバコ交絡ファブリック100は、成人タバコ消費者の口内で望ましい触感を提供することができる。例えば、構造繊維と無煙タバコ(タバコの繊維構造を含む)の組み合わせは、より柔らかい口内感覚を提供することができる。さらに、特定の態様において、構造繊維は、弾性があるかまたは変形し易いもの(例えば、ポリマー性ポリウレタン、例えばBayerから入手可能なDESMOPAN DP 9370A)であり、したがって口内での「加工」に耐え得るタバコ交絡ファブリックを形成することができる。例えば、タバコ交絡ファブリック100は、香味を提供するおよび/または頬と歯茎の間に心地よく順応するよう加工され得る。さらに、タバコ交絡ファブリック100は、無煙タバコの一部の直接的な組織接触を提供することができる。さらに、タバコ交絡ファブリック片は、結束性を維持し、したがって無煙タバコの実質部分が成人タバコ消費者の口内の望ましくない場所および/または位置まで浮遊する例を減らす。いくつかの態様においては、成人タバコ消費者の口内に置かれたときにほぐされるがそれでも結束性を維持する製品を提供するよう、口内安定性および口内溶解性の繊維の組み合わせが、無煙タバコと組み合わされる。構造繊維はまた、口内安定性および口内溶解性材料の両方を含み得る、複数の材料の複合物とすることができる。」
(4)「【0098】
タバコ交絡ファブリックは、乾燥重量基準で、15重量パーセントから85重量パーセントの間の無煙タバコを含み得る。乾燥重量基準でのファブリック片における無煙タバコの量は、事前に温めておいた110℃の強制通風オーブン内でタバコ交絡ファブリックを3.25時間乾燥させた後に計算される。残存する非揮発物は、タバコ材料および構造繊維材料に分類される。タバコ交絡ファブリック中の無煙タバコの比率は、無煙タバコの重量を非揮発物の総重量で割り算することによって計算される。いくつかの態様において、タバコ交絡ファブリックは、乾燥重量基準で、20から60重量パーセントの間のタバコを含む。いくつかの態様において、タバコ交絡ファブリックは、乾燥重量基準で、少なくとも28重量パーセントのタバコを含む。例えば、タバコ交絡ファブリックは、乾燥重量基準で、約57重量パーセントの総オーブン揮発物含有量、約3重量パーセントの構造繊維(例えば、綿)および約40重量パーセントの無煙タバコを含み得る。
【0099】
いくつかの態様においては、タバコ以外の植物材料が、タバコ交絡ファブリックのタバコ代替物として使用される。タバコ代替物は、ハーブ組成物であり得る。ハーブおよびその他の食用植物は、一般的には、料理用ハーブ(例えば、タイム、ラベンダー、ローズマリー、コリアンダー、ディル、ミント、ペパーミント)および薬用ハーブ(例えば、ダリア、キナ(Cinchona)、キツネノテブクロ、シモツケ(Meadowsweet)、エキナセア、エルダーベリー、セイヨウヤナギ(Willow bark))に分類することができる。いくつかの態様において、タバコは、非タバコ植物材料の混合物と置き換えられる。そのような非タバコ組成物は、茶葉、レッドクローバー、ココナツフレーク、ミント葉、朝鮮人参、リンゴ、トウモロコシ毛、グレープ葉およびバジル葉を含むがこれらに限定されない多くの異なる主成分を有し得る。植物材料は、典型的には、約10重量%以上、例えば、約20重量%以上;約40重量%以上;約15重量%から約25重量%;約20重量%から約30重量%;約30重量%から約50重量%;約45重量%から約65重量%;または約50重量%から約60重量%の総オーブン揮発物含有量を有する。
【0100】
香味料および添加物
香味料および他の添加物を、本明細書に記載される組成物に含めることができ、これらを、本明細書に記載される様々なプロセスの様々な異なる段階で添加することができる。例えば、構造繊維を含む初期成分のいずれかは、香味付けした形態で提供することができる。いくつかの態様において、香味料および/または他の添加物は、無煙タバコ中に含められる。香味料および/または他の添加物は、構造繊維とタバコのセルロース繊維を組み合わせた後にタバコ交絡ファブリック100に吸着させることができる。他の態様において、香味料および/または他の添加物は、無煙タバコに混合する前に、構造繊維と混合される。代わりにまたは加えて、香味料は、さらなる処理(例えば、切断またはパンチによる成形)の前にタバコ交絡ファブリックに適用することができ、または香味料は、包装の前にタバコ交絡ファブリックに適用することができる。図15Aを参照して、例えば、タバコ交絡ファブリック200Aのいくつかの態様は、香味ストリップ205の形態で、香味料を含んでいる。
【0101】
適当な香味料には、ウィンターグリーン、チェリーおよびベリータイプの香味料、様々なリキュールおよびリカー、例えば、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、シナモン、カルダモン、セロリ(apium graveolents)、クローブ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、ジャパニーズミント、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、カモミール、メントール、イランイラン、セージ、フェンネル、ピメンタ、ジンジャー、アニス、コリアンダー、コーヒー、リコリッシュおよびメンタ(Mentha)属の種由来のミント油が含まれる。タバコ交絡ファブリック100の特定の態様において有用なミント油には、スペアミントおよびペパーミントが含まれる。
【0102】
いくつかの態様において、香味料は、構造繊維にコートされる。例えば、香味料は、溶解性のキャリア中に含めて、タバコ交絡ファブリック中に分散させることができる。香味料は、香味ビーズの形態で含めることもでき、これをタバコ交絡ファブリック内に分散させることができる。例えば、タバコ交絡ファブリックは、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2010/0170522号に記載されるビーズを含み得る。いくつかの態様において、香味ビーズは、タバコ交絡ファブリックのポーチの中に入れられる。タバコ交絡ファブリックと香味ビーズの組み合わせの他の構成も想定されている。
【0103】
いくつかの態様において、タバコ交絡ファブリック100中の香味料の量は、総量で10重量パーセント未満に限定される。いくつかの態様において、タバコ交絡ファブリック100中の香味料の量は、総量で5重量パーセント未満に限定される。例えば、特定の香味料は、約3重量パーセントの量で、タバコ交絡ファブリック100中に含めることができる。
【0104】
その他の任意添加物には、増量剤(例えば、デンプン、リン酸二カルシウム、ラクトース、ソルビトール、マンニトールおよび微結晶セルロース)、可溶性繊維(例えば、Matsushita製のFibersol)、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウムおよびクレイ)、滑沢剤(例えば、レシチン、ステアリン酸、硬化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール4000~6000(PEG)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、パルミトステアリン酸グリセリル、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルクおよびステアリン酸塩(例えば、MgまたはK)、ならびにワックス(例えば、モノステアリン酸グリセロール、モノステアリン酸プロピレングリコールおよびアセチル化モノグリセリド)、可塑剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、トリアセチンおよび1,3ブタンジオール)、安定化剤(例えば、アスコルビン酸およびクエン酸モノステロール、BHTもしくはBHA)、人工甘味料(例えば、スクラロース、サッカリンおよびアスパルテーム)、崩壊剤(例えば、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、架橋PVP)、pH安定化剤、またはその他の化合物(例えば、植物油、界面活性剤および保存剤)が含まれる。いくつかの化合物は、これらのカテゴリーの2つ以上に分類される機能的貢献を示す。例えば、プロピレングリコールは、可塑剤および滑沢剤の両方として作用し得、ソルビトールは、増量剤および可塑剤の両方として作用し得る。」
(5)「【0110】
タバコ交絡ファブリックは、多くの異なる方法で利用することができる。例えば、図15Bに示されるように、タバコ交絡ファブリックの特定の態様200Bは、食用または溶解性フィルムでラップまたはコートすることができる。溶解性フィルムは、タバコ交絡ファブリック200Bが成人タバコ消費者の口内に置かれたときに容易に消失し得、それによって、その溶解後に、成人タバコ消費者に、物品200Bの外面に沿って無煙タバコ105の触感を提供する。加えてまたはその代わりに、タバコ交絡ファブリックのいくつかの態様は、デザイン(例えば、ロゴ、絵図、商標、商品名等)をエンボス加工または刻印され得る。例えば、図15Cに示されるように、タバコ交絡ファブリック200Cは、絵図を含むがこれらに限定されない任意のタイプのデザイン206をエンボス加工または刻印され得る。デザインは、タバコ交絡ファブリック200Cの外面に沿って配置された無煙タバコ材料105に直接形成することができる。他の態様において、構造繊維の外面がエンボス加工され得る。デザイン206はまた、図15Bに示されるように、溶解性フィルムが適用された態様にエンボス加工または刻印され得る。」
(6)「【図15】
[図:0001424854000001.jpg]
」
(7) (4)の記載事項から、乾燥重量基準でのタバコ交絡ファブリックにおける無煙タバコの残存する非揮発物であるタバコ材料および構造繊維材料の量は、事前に温めておいた110℃の強制通風オーブン内でタバコ交絡ファブリックを3.25時間乾燥させた後に計算されるものといえる。
これら記載事項及び図示事項を総合し、整理すると、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「 口の中に置く、燃焼させないタバコである無煙タバコ製品であって、前記製品は、タバコ以外の植物材料であるハーブおよびその他の茶葉を含む食用植物、ニコチンを含み得るタバコエキス、及び微結晶セルロースである増量剤を含み、
前記タバコ以外の植物材料は、約10重量パーセント以上の総オーブン揮発物含有量を有し、
タバコ以外の植物材料が、タバコ交絡ファブリックのタバコ代替物として使用され、
前記製品は、上記の他、総量で3重量パーセントの量で、香味料として、クローブ、セージ、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、ミント油がタバコ交絡ファブリックのタバコ代替物に添加される、前記製品。」
2.引用文献2
引用文献2には、「煙草ミント植物材料製品」に関して、次の記載事項がある。
(1)「【0020】
本発明に使用される煙草は、噛み煙草の技術で知られている他の添加物と混合してもよい。したがって、本明細書中で用いられる煙草のパーセンテージは、煙草単独、または種々の知られている添加物との組み合わせ中の煙草を指す。
【0021】
煙草―ミント植物材料製品の製造
適切な煙草のタイプを選択した後、つくられる製品のタイプに応じて、煙草は、適切な大きさに細断または粉砕される。また、材料を、さらに適当な大きさのふるいにかけることによって、大きさに基づいて分別してもよい。煙草の細断または粉砕には、その目的のために当該技術において知られている任意の方法を用いて行ってもよい。ミント植物材料もまた、同様な方法で細断または粉砕されてもよい。適切に細断または粉砕された煙草およびミント植物材料は、当該技術において知られている方法および装置を使用して一緒にブレンドされる。煙草とミント植物材料が一緒にブレンドされる前または後のいずれかにおいて、他の知られている添加剤を、煙草および/またはミント植物材料とブレンドしてもよい。煙草およびミント植物材料は、一緒に混合する前にさらに別個に処理してもよいし、混合後にさらに一緒に処理してもよい。」
これら記載事項及び図示事項を総合し、整理すると、引用文献2には以下の事項(以下、「引用文献2の技術事項」という。)が記載されている。
「煙草―ミント植物材料製品において、細断された煙草およびミント植物材料は、一緒にブレンドされること。」
3.引用文献4
引用文献4には、「汚れ抑止剤を含む固形経口感覚製品」に関して、次の記載事項及び図示事項がある。
(1)「【0008】
本明細書で使用される用語「経口ポーチ製品」は、一般的に、ユーザの口内に適合し、口腔内に置かれて好ましくは消費者の唾液を通じて消費者の味蕾、嗅覚受容体、又はその両方と接触した時に望ましい風味、芳香、化学審美的効果、又は楽しみのためにそれらの2つ又はそれよりも多くの組合せを送出するポーチ製品を意味する。経口ポーチ製品は、ポーチ包装紙に収容されたタバコ、コーヒー、及び/又は茶、及び少なくとも1つのリン酸塩含有汚れ抑止剤を含む充填材料を収容する。」
(2)「【0048】
実施形態では、固形経口感覚製品は、少なくとも1つのリン酸塩を含む汚れ抑止剤、少なくとも1つの植物性材料、及びポーチ包装紙を含む経口ポーチ製品である。本明細書に説明しかつ図1に示すように、経口タバコポーチ製品10は、ウェブ12によって形成されたポーチ包装紙と、少なくとも1つのリン酸塩含有汚れ抑止剤を含む充填材料22とを含み、少なくとも1つの植物性材料及び任意的な添加剤(図2及び3に示す)がウェブ12内に収容される。経口タバコポーチ製品10は、口の楽しみのために口中に、好ましくは、頬と歯茎の間に置かれるように設計される。
【0049】
図1及び2に示すように、ウェブ12は、透過性又は半透過性材料で形成された外側ウェブ20を含み、それによって唾液が外側ウェブ20をポーチ製品10の内側まで通過することができるようになり、かつポーチ製品10内に収容された充填材料22からの香味及びジュースがポーチの外からユーザの口まで吸引されるようになる。
【0050】
好ましい実施形態では、外側ウェブ20は、通例「スヌース」又はスナッフと呼ばれる経口ポーチ製品に適する紙を含む。例えば、ウェブは、ティーバッグ材料又は通常スヌースポーチを形成するのに使用される材料のようなセルロース繊維材料で形成することができる。望ましくは、多孔性ポーチ包装紙12の外側ウェブ20は、食品を包装するか又は処理するのに使用される材料のような食品との接触に適する材料で作られる。好ましい多孔性材料は、以下に限定されるものではないが、フィルム、ゼラチン、食品包装材、カラゲナン、生体ポリマー、繊維(織布又は不織布)、及び/又は濾紙、ティーバッグ、及びコーヒーフィルタなどを構成するのに使用される紙のような紙を含む。好ましくは、ウェブ20を形成するのに使用される材料は、無味又は心地よい風味又は芳香を有する。好ましくは、ウェブ20を形成するのに使用される材料は、汚れ抵抗、透水性、及び/又は多孔性、及び/又は水不溶性の望ましい特性を有するように選択される。」
(3)「【0059】
図5を参照すると、ウェブ12は、外側ウェブ20と、外側ウェブ20の外面24に適用されたコーティング16とを含むことができる。充填材料22は、外側ウェブ20内に含有される。
(4)「【図1】
[図:0001424854000002.jpg]
」
これら記載事項及び図示事項を総合し、整理すると、引用文献4には以下の事項(以下、「引用文献4の技術事項」という。)が記載されている。
「経口タバコポーチ製品10を、少なくとも1つの植物性材料及び任意的な添加剤を収容する、食品を包装するか又は処理するのに使用される材料のような食品との接触に適する材料で作られる、透水性を有する多孔性ポーチ包装紙12を含む経口ポーチ製品とすること。」
第5 対比・判断
1.対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「口の中に置く」は、本願発明1の「口腔内への挿入」に相当する。そうすると、引用発明の「口の中に置く、燃焼させないタバコである無煙タバコ製品」は、本願発明1の「製品のユーザの口腔内への挿入のために構成される製品」及び「前記製品」に相当する。
引用発明の「タバコ以外の植物材料であるハーブおよびその他の茶葉を含む食用植物」、「ニコチンを含み得るタバコエキス」、「微結晶セルロース」は、各々、本願発明1の「少なくとも1つの非タバコ植物性材料」、「タバコ由来のニコチン」、「微結晶性セルロース」に相当する。また、引用発明の「微結晶性セルロースである増量剤」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明1の「微結晶性セルロースを含む充填剤」に相当する。そうすると、引用発明の「前記製品は、タバコ以外の植物材料であるハーブおよびその他の食用植物、ニコチンを含み得るタバコエキス、及び微結晶セルロースである増量剤を含」むことは、本願発明1の「前記製品が、タバコ由来のニコチン、微結晶性セルロースを含む充填剤及び少なくとも1つの非タバコ植物性材料を含」むことに相当する。
したがって、両者は
「 製品のユーザの口腔内への挿入のために構成される製品であって、前記製品が、タバコ由来のニコチン、微結晶性セルロースを含む充填剤及び少なくとも1つの非タバコ植物性材料を含む、前記製品。」
である点で一致し、次の4点で相違する。
[相違点1]
本願発明1は、「前記タバコ由来のニコチン、前記微結晶性セルロース、及び前記非タバコ植物性材料が透水性小袋内に収容され」ているのに対し、引用発明は、かかる事項を備えていない点。
[相違点2]
本願発明1は、「前記非タバコ植物性材料が、前記製品の総乾燥重量の少なくとも5%を成」すとしているのに対し、引用発明は、「前記タバコ以外の植物材料は、約10重量%以上の総オーブン揮発物含有量を有」するとしている点。
[相違点3]
本願発明1の「非タバコ植物性材料」は、「前記植物性材料の少なくとも第一部分が、細断された又は粒子状の植物性材料の形態であ」るのに対し、引用発明は、「タバコ以外の植物材料が、タバコ交絡ファブリックのタバコ代替物として使用され」ている点。
[相違点4]
本願発明1は、
「前記非タバコ植物性材料の第二部分が、前記製品の総乾燥重量の少なくとも1%であり、前記非タバコ植物性材料の第二部分が、油又は水抽出物の形態であり、前記非タバコ植物性材料の第二部分が、ローズマリー、オレガノ、セージ、ハイビスカス、クローブ、ローズヒップ、イエルバマテ、ココア、ターメリック、グアユサ、ハニーブッシュ、緑茶、紅茶、ルイボス、イエルバサンタ、バコパモンニエラ、イチョウ、アシュワガンダ、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される」としているのに対し、
引用発明は、
「総量で3重量パーセントの量で、香味料として、クローブ、セージ、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、ミント油がタバコ交絡ファブリックのタバコ代替物に添加される」点。
2.判断
上記相違点について検討する。
上記相違点1について検討する。
引用文献4の技術事項は、「透水性を有する多孔性ポーチ包装紙12に収容される経口ポーチ製品10」を開示するものといえる。そして、引用発明と引用文献4の記載事項は、口の中に置く燃焼させないタバコである点で共通する。また、引用文献1の段落【0110】に記載されるとおり、引用発明はコート又はラップできるものであるから、引用発明と引用文献4の技術事項とは作用・機能も共通する。
そうすると、引用発明に引用文献4の技術事項を適用し、コーティングを含む多孔性ポーチ包装紙12にタバコ交絡ファブリックを収容させることとし、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである、
上記相違点2について検討する。
第4 1.(7)の認定事項から、引用文献1におけるタバコ交絡ファブリックの非揮発物である無煙タバコ及び構造繊維の量、すなわち総乾燥重量は、タバコ交絡ファブリックから総オーブン揮発物を除いたものと理解できる。そして、タバコ交絡ファブリックにおける構造繊維の量は、約3重量パーセントである(引用文献1の段落【0098】を参照。)。
そうすると、タバコ以外の植物材料がタバコ交絡ファブリックのタバコ代替物として使用され、当該タバコ以外の植物材料の総オーブン揮発物を約10重量パーセント以上含む引用発明の総乾燥重量は、約90重量パーセント以下といえる。また、上述したとおり構造繊維の量は約3重量パーセントであるから、当該タバコ以外の植物材料は、総乾燥重量の約97パーセントを成すものといえるから、引用発明において、当該タバコ以外の植物材料は、引用発明の総乾燥重量の少なくとも5%を成していることは明らかである。
また、引用文献1の段落【0099】には、タバコ以外の植物材料の総オーブン揮発物について、約45重量パーセントから約65重量パーセントとしたものも記載されている。しかしながら、総オーブン揮発物について、約45重量パーセントから約65重量パーセントとした場合も、当該タバコ以外の植物材料を使用した引用発明の総乾燥重量は少なくとも約35重量パーセントである。そして、構造繊維の量は約3重量パーセントであることを踏まえると、当該タバコ以外の植物材料は総乾燥重量の約92パーセントといえる。すなわち、引用発明において、当該植物材料は、製品の総乾燥重量の少なくとも5%を成すものといえる。
そうすると、相違点2は実質的な相違点ではなく、引用発明は、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものである。
上記相違点3について検討する。
引用発明の「タバコ交絡ファブリック」は、第4 1.(2)に記載されるとおり、タバコ以外の植物材料の繊維構造を構造繊維と接触させ、当該植物材料の繊維構造と構造繊維を交絡させて不織布の網を形成するものである。ここで、不織布の網を構成するための当該植物材料は、細断その他の手法により繊維状としたものから得ることは、例示するまでもない技術常識であるから、引用発明の「タバコ交絡ファブリック」は、細断その他の手法により繊維状としたものから得られる不織布の網と理解できることである。
そして、口腔内で使用されるタバコ製品において、非タバコ植物性材料の含有形態として、「細断」した材料を採用することは、引用文献2の技術事項に開示されるとおり、従来から知られている事項である。
そうすると、相違点3に係る本願発明1の発明特定事項は、引用文献2の技術事項を踏まえ、引用発明から当業者が容易に想到し得たことである。
上記相違点4について検討する。
引用発明において、総量で3重量パーセント の量で、香味料として添加される、クローブ、セージ、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、ミント油は、少なくとも油抽出物の形態を含むものであり、「セージ」、「グローブ」において、本願発明1の発明特定事項と重なるから、相違点4に係る本願発明1の発明特定事項を満たすものといえる。
そうすると、相違点4は実質的な相違点ではなく、引用発明は、相違点4に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものである。
仮に実質的な相違であるとしても、香味料を水抽出物又は油抽出物の形態で添加することは、例示するまでもない慣用手段に過ぎないことを踏まえると、引用発明において、相違点4に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、本願発明1は、全体としてみても、引用発明、引用文献2の技術事項及び引用文献4の技術事項から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。
したがって、本願発明1は、引用発明、引用文献2の技術事項及び引用文献4の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3.審判請求人の主張について
令和6年7月19日に提出した意見書において、審判請求人は次のとおり主張する。
(1)「なお、引用文献1においてポーチの使用を想定しているのは、香味ビーズを、タバコ交絡ファブリックのポーチの中に入れること(段落0102及び0111)のみであり、タバコ交絡ファブリックに代えてポーチを使用することは記載されていません。」
(2)「(4)引用文献1~3に、引用文献4を組み合わせても本願発明に想到し得ないこと
本願発明は、タバコ由来のニコチン、微結晶性セルロース、及び非タバコ植物性材料が透水性小袋内に収容されることを特徴の1つとしています。この特徴は、補正前の請求項5に記載の特徴となります。
拒絶理由通知書によれば、本願発明5で新たに特定される発明特定事項は、引用文献4の段落0048及び図1に開示されているとのご認定です。しかし、引用発明において、タバコ交絡ファブリックに代えて、引用文献4に記載のようなポーチを使用しても引用発明の目的を達成し得ず、引用発明の本質を損ないます。
引用発明は、口内における望ましい触感を提供することを目的に、ポーチ様組成物ではなくタバコ交絡ファブリックを使用しています。そのため、引用発明において、タバコ交絡ファブリックに代えて、透水性小袋等のポーチ様包装物により製品を覆うことは引用発明の本質を損ないます。当業者は、引用文献2~4を参照しても、引用発明において、タバコ由来のニコチン、微結晶性セルロース、及び非タバコ植物性材料をタバコ交絡ファブリックに代えて透水性小袋内に収容しようとは考えません。」
しかしながら、相違点1の検討で上述したとおり、引用発明のタバコ交絡ファブリックはコート又はラップできるものである。そして、コート又はラップするものとして引用文献4の技術事項を適用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
したがって、上記意見書における審判請求人の主張は当を得ない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-014096