特許拒絶査定不服審判
2024-008138
エアロゾル生成材料
- 審判番号
- 2024-008138
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-544808
- 請求日
- 2024年05月16日
- 審決日
- 2026年02月18日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
- 【請求人代理人】池田 成人
- 【請求人代理人】酒巻 順一郎
- 【請求人代理人】野田 雅一
- 【請求人代理人】江守 英太
- 審判長/審判官
- 審判長 大山 健
- 審判官 竹下 和志
- 審判官 山本 崇昭
- 分類
- P18 .121-WZ (A24B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-544808「エアロゾル生成材料」拒絶査定不服審判事件〔令和3年8月5日国際公開、WO2021/152334、令和5年3月23日国内公表、特表2023-511955〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、2021年(令和3年)2月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2020年1月30日、(GB)グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)を国際出願日とする出願であって、令和5年7月18日付けで拒絶理由通知がされ、令和5年10月25日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、令和6年1月26日付けで拒絶査定がされた。
これに対し、令和6年5月16日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに手続補正がされ、令和7年7月16日付けで拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由通知」という。)がされ、令和7年10月21日に意見書が提出されるとともに誤訳訂正がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1-44に係る発明は、令和7年10月21日提出の誤訳訂正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-44に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
少なくとも2つの別個の構成要素の混合物を含み、前記少なくとも2つの別個の構成要素の混合物が、タバコ材料の複数のストランド及び/又はストリップと、非晶質固体材料の複数のストリップとを含むエアロゾル生成材料であって、前記タバコ材料の複数のストランド及び/又はストリップ並びに前記非晶質固体材料の複数のストリップが各々、少なくとも5mmの長さを有し、前記非晶質固体材料が乾燥ゲルから形成される、エアロゾル生成材料。」
第3 当審拒絶理由通知の概要
当審拒絶理由通知の請求項1に係る発明に対する理由2(進歩性)の概要は、次のとおりのものである。
本願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された次の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献.特表2015-517817号公報
第4 引用文献等
1 引用文献の記載事項等
引用文献には、次の記載事項がある。なお、下線は、当審において付した。
(1)「【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品で使用するロッドを形成するように共にギャザー加工された2又はそれ以上のタバコ材料シートを含むロッドに関する。本発明は、このようなロッドを含むエアロゾル発生物品、及びこのようなロッドの形成方法にも関する。」
(2)「【0014】
タバコ材料の第1のシートと、この第1のシートと共にギャザー加工されてラッパーに取り巻かれた、タバコ材料の少なくとも1つのさらなる連続要素とを含むロッドを提供することができ、このロッドは、第1のタバコ材料の第1のシートと、第1のタバコ材料とは化学的に異なる第2のタバコ材料の連続要素とを含む。連続要素は、第1のシートに比べて異なるブレンドのタバコ又は異なる種類のタバコを含むことができる。連続要素は、第1のシートに比べて異なるエアロゾル形成体を含むことができる。連続要素は、第1のシートに比べて異なる割合のエアロゾル形成体を含むことができる。タバコ材料の連続要素は、リボン、ストリップ、ヤーン、テープ、フィラメント、スレッド又はその他の細長い要素の形をとることができる。タバコ材料の連続要素は、タバコ材料の第2のシートとすることができる。
【0015】
共にギャザー加工されて紙ラッパーに取り巻かれた少なくとも2つの均質化タバコ材料シートを含むロッドを提供することもでき、このロッドは、第1のタバコ材料の第1のシートと、この第1のタバコ材料の第1のシートとは物理的又は化学的に異なる第2のタバコ材料の第2のシートとを含む。
【0016】
非限定的な例として、これらの2つのシートは、異なる物理的寸法、異なる表面組織、異なる形態、異なる密度又は異なる多孔率を有する場合に物理的に異なることができる。シートは、皺寄せすることによってテクスチャ加工することができ、一方のシートの皺寄せの程度は、他方のシートと皺寄せの程度と異なることができる。例えば、一方のシートを他方のシートに比べて異なる深さに皺寄せすることができ、或いは一方のシートが、他方のシートに比べて異なる皺寄せ密度、すなわち異なる数の単位距離当たり皺寄せ線を有することもできる。当業者であれば、2つのタバコ材料シートを特徴付けることができる他の物理的相違を認識するであろう。
【0017】
非限定的な例として、これらの2つのシートは、異なる化学成分を含んでいる場合、例えば異なるタバコブレンド、異なるタイプのエアロゾル形成体、異なるタイプの可塑剤、異なる香味料又は異なる割合のいずれかの要素を含んでいる場合に化学的に異なることができる。例えば、一方のシートは、他方のシートに比べて異なる割合のバージニアタバコを含むことができ、或いは一方のシートは、他方のシートに比べて異なる割合のグリセリンなどのエアロゾル形成体を含むことができる。
【0018】
第1のシート及び第2のシートは、ロッドの形にギャザー加工されると、ギャザー加工シートと呼ぶことができる。ギャザー加工した材料シートは、ロッドのほぼ全長に沿って、ロッドの横断面積のほぼ全体にわたって延びることが好ましい。
【0019】
この少なくとも2つのシートを形成するタバコ材料は、再構成タバコ又は均質化タバコであることが好ましい。タバコ材料は、エアロゾル形成体を含むことができる。」
(3)「【0073】
電気作動式エアロゾル発生装置と、この装置と共に使用するためのエアロゾル発生物品とを含むシステムを提供することができる。このエアロゾル発生物品は、本明細書で説明するロッド又はエアロゾル形成基材を含む。」
(4)「【0085】
好ましい実施形態では、加熱式エアロゾル発生物品内のエアロゾル形成基材として使用する本明細書によるロッドが、約5mm~約20mm又は約30mmのロッド長を有することができる。
【0086】
さらなる実施形態では、従来の着火式喫煙物品及び加熱式エアロゾル発生物品用のフィルタ内で使用する本明細書によるロッドが、約5mm~約30mmのロッド長を有することができる。」
(5)「【0091】
均質化タバコ材料のシートは、粒子状タバコを塊にする支援となるように、タバコの内部を発生源とする1又はそれ以上の内因性バインダ、タバコの外部を発生源とする1又はそれ以上の外因性バインダ、又はこれらの組み合わせを含むことができる。これとは別に、又はこれに加えて、均質化タバコ材料のシートは、以下に限定されるわけではないが、タバコ及び非タバコ繊維、エアロゾル形成体、保湿剤、可塑剤、香味料、充填剤、水性及び非水性溶媒、並びにこれらの組み合わせを含む他の添加物を含むこともできる。」
(6)「【0100】
本明細書で説明するロッドの形成において使用する均質化タバコ材料のシートは、一般に粒子状タバコ及び1種類又はそれ以上のバインダを含むスラリーをコンベアベルト又はその他の支持面上に成形するステップと、この成形したスラリーを乾燥させて均質化タバコ材料のシートを形成するステップと、支持面から均質化タバコ材料のシートを取り除くステップとを含むタイプの成形法によって生産されることが好ましい。
【0101】
例えば、いくつかの実施形態では、粒子状タバコ、グアーガム、セルロース繊維及びグリセリンを含むスラリーから成形法によって均質化タバコ材料のシートを生産することができる。」
(7)「【0105】
本明細書で説明するロッドで使用するためのタバコ材料シートは、少なくとも約25mmの幅を有することが好ましい。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明するロッドで使用するためのタバコ材料シートが、約25mm~約300mmの幅を有することができる。
【0107】
本明細書で説明するロッドで使用するためのタバコ材料のシートは、約50μm~約100μmの組み合わせ厚を有することが好ましい。組み合わせ厚とは、ロッドを構成する全てのシートを合計した厚みのことを意味する。例えば、2つのシートからロッドを形成する場合、組み合わせ厚は、各個々のシートの厚みの合計である。本明細書で説明するロッドで使用するためのタバコ材料のシートは、約25μm~約100μmの個々の厚みを有することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明するロッドで使用するためのタバコ材料のシートが、10μm~約300μmの厚みを有することができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明するロッドの形成で使用するための均質化タバコ材料のシートが、100g/m2及び約300g/m2の坪量を有することができる。」
(8)「【0124】
図1に示すように、均質化タバコ材料の第1の連続シートを準備するための第1の供給手段は、第1のボビン4に取り付けられた均質化タバコ材料の連続シート2を含む。均質化タバコ材料の第2の連続シートを準備するための第2の供給手段は、第2のボビン5に取り付けられた均質化タバコ材料の連続シート3を含む。皺寄せ手段は、一対の回転式皺寄せローラ6を含む。使用時には、第1のボビン4から均質化タバコ材料の第1の連続シート2が引き出され、搬送機構により、一連のガイドローラ及び張力ローラを介して一対の皺寄せローラ6へと下流に搬送される。均質化タバコ材料の連続シート2が一対の皺寄せローラ6間に供給されると、この皺寄せローラは、均質化タバコ材料の第1の連続シート2に係合して皺寄せし、装置内を通る均質化タバコ材料のシートの長手方向軸に実質的に平行な複数の離間した隆起部又は皺を有する均質化タバコ材料の第1の連続皺寄せシート8を形成する。
【0125】
均質化タバコ材料の第1の連続皺寄せシート8は、一対の皺寄せローラ6からロッド形成手段に向けて下流に搬送される。第2のボビン5からは、ロッド形成手段に向けて均質化タバコ材料の第2の連続シート3が搬送される。均質化タバコ材料の第2の連続シート3及び皺寄せした均質化タバコ材料の第1の連続シート8は、いずれも収束漏斗又はホーン10を通じて同時に給送される。収束漏斗10は、材料の連続シート8、3を、シートの長手方向軸に対して横方向にギャザー加工する。材料の連続シート8、3は、収束漏斗10を通過する際に実質的に円筒形状になる。
【0126】
ギャザー加工した均質化タバコ材料及びPLAのシートは、収束漏斗10から出ると包装材料の連続シート12に包まれる。包装材料の連続シートは、エンドレスベルトコンベヤ又はガーニチャによってボビン14から供給され、ギャザー加工した材料シートの周囲を包み込む。図1に示すように、ロッド形成手段は、包装材料の連続シートの一方の長手方向端部に接着剤を塗布する接着剤塗布手段16を含み、これにより包装材料の連続シートの長手方向両端部が接触した時に、互いに接着し合って連続ロッドを形成するようになる。
【0127】
ロッド形成手段は、使用時に連続ロッドがロッド形成手段から切断手段へと下流に搬送される際に連続ロッドの継ぎ目に塗布された接着剤を乾燥させる、接着剤塗布手段16の下流の乾燥手段18をさらに含む。
【0128】
切断手段は、連続ロッドを単位長又は倍数単位の長さの複数の個別ロッドに切断する回転カッター20を含む。
【0129】
2つの連続する材料シートは、一方が他方の上に重なって収束漏斗内に供給されるので、ロッドではタバコ材料の第1のシートとタバコ材料の第2のシートの分布が均一になる。
【0130】
均質化タバコ材料の第2の連続シートは、皺寄せされずにロッドにギャザー加工されるように示しているが、この第2の連続シートは、ロッドにギャザー加工される前に一組の皺寄せローラに通して皺寄せできることが明らかである。
【0131】
第1のタバコ材料のシートと、第1のタバコ材料とは異なる化学成分を有する第2のタバコ材料の連続要素とを含むロッドを生産するには、(図1に示す)第2のボビン上の均質化タバコ材料の第2のシートを、好適な連続要素を保持するボビンに置き換えることができる。このような要素は、リボン、ストリップ、テープ又はスレッドの形をとることができる。この工程の動作は、その他の点については上述した通りである。」
(9)「【0141】
当業者であれば、2又はそれ以上のタバコ材料シートのさらに多くの構成が可能であると理解するであろう。」
(10)「【実施例】
【0149】
均質化タバコ材料の第2の皺寄せシートと共にギャザー加工した均質化タバコ材料の第1の皺寄せシートを含む本発明の特定の実施形態によるロッドを紙ラッパーで取り巻いた。このロッドは、12mmのロッド長及び6.9mm~7.2mmの直径を有する。このロッドを、図1に示すタイプの装置を用いて約20m/分~25m/分の速度で生産した。
【0150】
110mm~134mmの幅、120μm~260μmの厚み、167g/m2~201g/m2の坪量及び5%~12%の湿度含有量を有する均質化タバコ材料の第1の連続シートを成形法によって生産した。この第1の連続シートは、約10重量%のグリセリンを含む。
【0151】
110mm~134mmの幅、120μm~260μmの厚み、167g/m2~201g/m2の坪量及び5%~12%の湿度含有量を有する均質化タバコ材料の第2の連続シートを圧延工程によって生産した。この第2の連続シートは、約10重量%のプロピレングリコールを含む。
【0152】
この均質化タバコの第1の連続シートと均質化タバコの第2の連続シートを、ロッドにギャザー加工する前に重ねて配置して共に皺寄せローラに通すことによって皺寄せした。」
(11)「【図1】
[図:0001436588000001.jpg]
」
2 上記1から認められる事項
(1)記載事項(8)及び(10)から、引用文献には、均質化タバコ材料の第1のシートと、均質化タバコ材料の第2のシートを含むロッドが開示されているといえる。
そして、このロッドは、記載事項(4)から、エアロゾル形成基材として使用されるものである。
(2)記載事項(5)から、均質化タバコ材料の第1のシートと、均質化タバコ材料の第2のシートは、タバコ材料を含むものであるとともに、バインダを含むスラリーから形成されたものであるといえる。
(3)記載事項(4)から、ロッドは、約5mm~約30mmのロッド長の範囲とされること、及び、記載事項(10)から、実施例におけるロッドは、12mmのロッド長とされることが理解できる。
そして、ロッド内に含まれる均質化タバコ材料の第1のシート及び均質化タバコ材料の第2のシートの長さは、記載事項(8)の製造方法から、ロッド長と一致するといえるから、約5mm~約30mmの範囲のものが採用され、実施例として、12mmの長さとされることが理解できる。
(4)記載事項(6)から、均質化タバコ材料の第1のシートと、均質化タバコ材料の第2のシートを形成するスラリーには、グアーガムが含まれることが理解できる。
3 引用文献1に記載された発明
上記1及び2を踏まえると、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
〔引用発明〕
「タバコ材料を含み、グアーガム及びバインダを含むスラリーから形成された均質化タバコ材料の第1のシートと、タバコ材料を含み、グアーガム及びバインダを含むスラリーから形成された均質化タバコ材料の第2のシートとを含むエアロゾル形成基材として使用されるロッドであって、均質化タバコ材料の第1のシート及び均質化タバコ材料の第2のシートが12mmの長さを有する、エアロゾル形成基材として使用されるロッド。」
第5 進歩性に関する判断
1 対比
本願発明と、引用発明とを対比すると、引用発明の「エアロゾル形成基材として使用されるロッド」は、本願発明の「エアロゾル生成材料」に相当する。
また、引用発明の「均質化タバコ材料の第1のシート」及び「均質化タバコ材料の第2のシート」は、「タバコ材料」を含むものであるから、本願発明の「タバコ材料」に相当する。
また、引用発明の「均質化タバコ材料の第1のシート」及び「均質化タバコ材料の第2のシート」は、グアーガム及びバインダを含むスラリーから形成されたものであるから、本願発明の「非晶質固体材料」に相当する。
そして、引用発明の「均質化タバコ材料の第1のシート」及び「均質化タバコ材料の第2のシート」は、上記第4の1(2)から、化学的又は物理的に異なる別個のものであるとともに、上記第4の1(8)(段落【0129】)から、両者の分布が均一になることが意図されており、当該「第1のシート」及び「第2のシート」は「ロッド」内で混ざっているといえるから、本願発明の「少なくとも2つの別個の構成要素の混合物」に相当する。
さらに、一般に「ストリップ」とは、「(金属などの)薄板。細長い片。帯鋼おびこう。」[広辞苑 第七版]を意味するところ、「ストリップ」は「シート」を含むから、引用発明の「均質化タバコ材料の第1のシート」及び「均質化タバコ材料の第2のシート」もストリップであるといえる。
そうすると、引用発明の「タバコ材料を含み、グアーガム及びバインダを含むスラリーから形成された均質化タバコ材料の第1のシートと、タバコ材料を含み、グアーガム及びバインダを含むスラリーから形成された均質化タバコ材料の第2のシートとを含むエアロゾル形成基材として使用されるロッドであって、」は、本願発明の「少なくとも2つの別個の構成要素の混合物を含み、前記少なくとも2つの別個の構成要素の混合物が、タバコ材料の複数のストランド及び/又はストリップと、非晶質固体材料の複数のストリップとを含むエアロゾル生成材料であって、」と「少なくとも2つの別個の構成要素の混合物を含み、前記少なくとも2つの別個の構成要素の混合物が、タバコ材料のストリップと、非晶質固体材料のストリップとを含むエアロゾル生成材料であって、」との限りで一致する。
また、引用発明の「均質化タバコ材料の第1のシート及び均質化タバコ材料の第2のシートが12mmの長さを有する」ことは、本願発明の「タバコ材料の複数のストランド及び/又はストリップ並びに前記非晶質固体材料の複数のストリップが各々、少なくとも5mmの長さを有する」ことと、「タバコ材料のストリップ及び前記非晶質固体材料のストリップが各々、少なくとも5mmの長さを有する」ことの限りにおいて一致する。
また、本願発明の「非晶質固体材料」である「乾燥ゲル」は、本願明細書の段落【0051】~【0059】の記載から、「グアーガム」を含む。
そして、引用発明の「均質化タバコ材料の第1のシート」及び「均質化タバコ材料の第2のシート」は、「グアーガム及びバインダを含むスラリー」から形成されたものである。
そうすると、引用発明の「均質化タバコ材料の第1のシート」及び「均質化タバコ材料の第2のシート」が「グアーガム及びバインダを含むスラリーから形成された」ことは、本願発明の「前記非晶質固体材料が乾燥ゲルから形成される」ことに相当する。
よって、本願発明と、引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違するものと認められる。
〔一致点〕
「少なくとも2つの別個の構成要素の混合物を含み、前記少なくとも2つの別個の構成要素の混合物が、タバコ材料のストリップと、非晶質固体材料のストリップとを含むエアロゾル生成材料であって、前記タバコ材料のストリップ及び前記非晶質固体材料のストリップが各々、少なくとも5mmの長さを有し、前記非晶質固体材料が乾燥ゲルから形成される、エアロゾル生成材料。」
〔相違点〕
「タバコ材料のストリップ」及び「非晶質固体材料のストリップ」が、本願発明では、それぞれ「複数」であるのに対して、引用発明では、「均質化タバコ材料の第1のシート」及び「均質化タバコ材料の第2のシート」が、それぞれ複数であるか不明な点。
2 相違点についての判断
上記相違点について検討する。
上記第4の1(9)の「当業者であれば、2又はそれ以上のタバコ材料シートのさらに多くの構成が可能であると理解するであろう。」との記載を参酌すれば、タバコ材料シートを、2又はそれ以上とすることが示唆されているといえる。
そうすると、タバコ材料シートである引用発明の「均質化タバコ材料の第1のシート」及び「均質化タバコ材料の第2のシート」を、それぞれ2以上とすることで、相違点に係る本願発明の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得た事項にすぎない。
なお、上記1において、引用発明の「均質化タバコ材料の第1のシート」及び「均質化タバコ材料の第2のシート」の両方の形態が「ストリップ」であると認定したところ、この点が仮に相違点であった場合について一応検討する。
まず、一般に「ストリップ」とは、「(金属などの)薄板。細長い片。帯鋼おびこう。」[広辞苑 第七版]を意味するところ、「ストリップ」は「シート」を含むから、引用発明の「均質化タバコ材料の第1のシート」及び「均質化タバコ材料の第2のシート」もストリップであるといえることは上述したとおりである。
さらに、少なくとも、引用発明の「均質化タバコ材料の第2のシート」については、上記第4の1(2)及び上記第4の1(8)から、ストリップからなるものを含むことが記載されているところ、上記第4の1(8)(段落【0129】)から、「均質化タバコ材料の第1のシート」及び「均質化タバコ材料の第2のシート」は、両者の分布が均一になることが意図されているから、「均質化タバコ材料の第1のシート」も、「均質化タバコ材料の第2のシート」との分布が均一となるよう、ストリップに統一して提供されると考えるのが、通常の理解である。
したがって、引用発明の「均質化タバコ材料の第1のシート」及び「均質化タバコ材料の第2のシート」を「ストリップ」とすることは、引用文献に記載されている又は引用発明から当業者が容易になし得た事項というべきである。
また、上記1において、引用発明の「第1のシート」及び「第2のシート」は「ロッド」内で混ざっているといえるから、本願発明の「少なくとも2つの別個の構成要素の混合物」に相当すると判断したところ、仮にこの点が相違点であった場合についても一応検討すると、「均質化タバコ材料の第1のシート」及び「均質化タバコ材料の第2のシート」は、上述のとおり、両者の分布が均一になることが意図されているのだから、両者がロッド内で混ざって混合物となることは明らか、ないしは当業者が容易になし得た事項にすぎない。
また、本願発明は、全体としてみても引用発明から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、令和7年10月21日提出の意見書において、本願発明について概ね以下の主張をしている。
ア 主張1
「確かに引用文献1は、第2のタバコ材料が連続要素であり、任意に「リボン、ストリップ、ヤーン、テープ、フィラメント、スレッド又はその他の細長い要素の形」を取り得ると教示しています(段落0014)。しかし、引用文献1は、図3~8に示されるように、収束漏斗又はホーンに供給される前の様々なシート配置を有する、2つのタバコ材料シートを寄せ集めることを主に教示しています。そして、引用文献1は任意例としての「ストリップ」は第2のタバコ材料にのみ言及されており、具体的な実施も示されていません。そうすると、引用文献1は、本願請求項1で規定する「少なくとも2つの別個の構成要素の混合物が、タバコ材料の複数のストランド及び/又はストリップと、非晶質固体材料の複数のストリップとを含む」ことを何ら教示していないと言えます。したがって、当業者は本願発明を知得した後でなければ(いわゆる後知恵がない限り)、引用発明に対してそのような変更を加えようと動機付けられることはありません。」
イ 主張2
「引用文献1には、非晶質固体材料が乾燥ゲルから形成されること及びその技術的利点について何らの記載も示唆もありません。この点、本願明細書段落0051に記載されていますように、当該構成を採用することにより、ゲルが硬化すると、ゲルマトリックス内で香料化合物が安定し、ゲル以外の組成物より大きい香料の添加を実現することが可能になり、製品の貯蔵寿命の向上にも寄与します。」
(2)主張1~2に対する判断
ア 主張1に対して
上記1及び2で説示したとおり、引用発明の「均質化タバコ材料の第1のシート」及び「均質化タバコ材料の第2のシート」を「ストリップ」とすることは、引用文献に記載されている又は引用発明から当業者が容易になし得た事項である。
よって、主張1を採用することはできない。
イ 主張2に対して
本願発明の「エアロゾル生成材料」は、香料が含まれることを特定していないから、香料の存在を前提とする利点についての上記主張2は、本願発明に基づくものということができない。
よって、主張2を採用することはできない。
4 本願発明についてのまとめ
したがって、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-008138