2022-010498
電子機器、電子機器の制御方法、及び電子機器の制御プログラム
- 審判番号
- 2022-010498
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-550364外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年07月05日
- 審決日
- 2023年08月10日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .575-Z (G01S) / P18 .536-Z (G01S) / P18 .113-Z (G01S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条、特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、2019年(令和元年)9月26日を国際出願日とする日本語特許出願であって(優先権主張 平成30年10月5日)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
同年 3月28日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 4月 5日 :原査定の謄本の送達)
同年 7月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 5月16日 :回答書の提出
第2 令和4年7月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年7月5日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和4年7月5日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についての補正を含むものであって、本件補正前(令和4年1月6日にされた手続補正後をいう。)の特許請求の範囲の請求項1及び本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ次の(1)及び(2)に示すとおりである(下線は補正箇所を示す。)。
(1) 本件補正前
「【請求項1】送信波を送信する送信アンテナと、前記送信波が反射された反射波を受信する受信アンテナと、前記送信波として送信される送信信号及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて、前記送信波を反射する物体を検出する制御部と、を備える電子機器であって、前記制御部は、前記送信信号及び前記受信信号によって前記物体を検出する範囲を可変にし、前記制御部は、前記送信波の送信に関連するパラメータを、過去に検出された物体の位置に基づいて設定する、電子機器。」
(2) 本件補正後
「【請求項1】送信波を送信する送信アンテナと、前記送信波が反射された反射波を受信する受信アンテナと、前記送信波として送信される送信信号及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて、前記送信波を反射する物体を検出する制御部と、を備える電子機器であって、前記制御部は、前記送信信号及び前記受信信号によって前記物体を検出する範囲を可変にし、前記制御部は、使用目的の異なる第1の検出範囲及び第2の検出範囲のうち少なくともいずれかを検出範囲とするように、前記送信波の送信に関連するパラメータを、過去に検出された物体の位置に基づいて設定し、前記第1の検出範囲は、前記送信アンテナ又は前記受信アンテナから最大検出点までの距離がL1であり、検出範囲の一方の水平範囲端部から他方の水平範囲端部までの角度θがθ1であり、前記第2の検出範囲は、前記送信アンテナ又は前記受信アンテナから最大検出点までの距離がL2>L1を満たすL2であり、検出範囲の一方の水平範囲端部から他方の水平範囲端部までの角度θがθ2<θ1を満たすθ2である、電子機器。」
2 本件補正の適否についての当審の判断
(1) 本件補正の目的について
ア 本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項について限定する次の(ア)及び(イ)に示す補正事項からなる。
(ア) 本件補正前の「制御部」が、送信波の送信に関連するパラメータを、過去に検出された物体の位置に基づいて設定する態様について、「使用目的の異なる第1の検出範囲及び第2の検出範囲のうち少なくともいずれかを検出範囲とするように、」設定することを限定すること。
(イ) 前記(ア)の補正事項における「第1の検出範囲」及び「第2の検出範囲」について、それぞれ次のa及びbに示す限定を更にすること。
a 前記第1の検出範囲は、前記送信アンテナ又は前記受信アンテナから最大検出点までの距離がL1であり、検出範囲の一方の水平範囲端部から他方の水平範囲端部までの角度θがθ1であること。
b 前記第2の検出範囲は、前記送信アンテナ又は前記受信アンテナから最大検出点までの距離がL2>L1を満たすL2であり、検出範囲の一方の水平範囲端部から他方の水平範囲端部までの角度θがθ2<θ1を満たすθ2であること。
イ そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
ウ したがって、本件補正のうち請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
(2) 独立特許要件について
前記(1)のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
ア 独立特許要件違反の判断の概要
(ア) 委任省令要件違反の判断の概要
後記イにおいて項を改めて詳細に検討するように、本願の明細書の発明の詳細な説明の記載は、経済産業省令(特許法施行規則24条の2)で定めるところにより(すなわち、当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することにより)、当業者が本件補正発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、本願は、発明の詳細な説明の記載が、本件補正発明について、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。
(イ) 実施可能要件違反の判断の概要
後記ウにおいて項を改めて詳細に検討するように、本願の明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件補正発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、本願は、発明の詳細な説明の記載が、本件補正発明について、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。
イ 委任省令要件違反について
(ア) 発明の詳細な説明の記載
請求項1で特定されている「過去に検出された物体の位置に基づいて」、使用目的の異なる第1の検出範囲及び第2の検出範囲のうち少なくともいずれかを検出範囲とすることに関連する発明の詳細な説明の記載としては、次の記載がある。下線は、特に関連すると思われる記載に対して当合議体が付したものである。
a 【0069】
「【0069】検出範囲決定部15は、送信信号及び受信信号によって送信波Tを反射する物体を検出する範囲(以下、「物体検出範囲」とも記す)を決定する。ここで、検出範囲決定部15は、例えば電子機器1が搭載された移動体100の運転者などによる操作に基づいて、物体検出範囲を決定してもよい。例えば、検出範囲決定部15は、移動体100の運転者などによって駐車支援ボタンが操作された場合、駐車支援に適切な物体検出範囲を決定してもよい。また、検出範囲決定部15は、例えばECU50からの指示に基づいて、物体検出範囲を決定してもよい。例えば、移動体100が後進しようとしているとECU50によって判定された場合、検出範囲決定部15は、ECU50からの指示に基づいて、移動体100が後進する際に適切な物体検出範囲を決定してもよい。また、検出範囲決定部15は、例えば移動体100におけるステアリング、アクセル、及びギア、又はこれらの任意の組合せの操作状態などの変化に基づいて、物体検出範囲を決定してもよい。さらに、検出範囲決定部15は、物体検出部14によって物体を検出した結果に基づいて、物体検出範囲を決定してもよい。」
b 【0085】
「【0085】さらに、一実施形態に係る電子機器1は、図4に示す物体検出範囲(1)から(4)までの範囲を、任意に切り替えて物体を検出することができる。この場合の切り替えは、上述したように、例えば移動体100の運転者などの操作に基づいて行ってもよいし、制御部10又はECU50などの指示に基づいて行ってもよい。一実施形態に係る電子機器1は、移動体100の速度、移動体100の位置、時間帯、ギアの状態、ハンドルの舵角、移動体100の周囲の物体の位置又はこれらの任意の組合せなどに基づいて、図4に示す物体検出範囲(1)から(4)までの範囲を切り替えてもよい。」
c 【0090】
「【0090】また、一実施形態において、制御部10は、物体の検出結果に基づいて、物体検出範囲を決定してもよい。例えば、物体検出によってすでに所定の物体が検出されている場合、制御部10は、その検出された物体の位置に応じて、物体検出範囲を決定してもよい。また、一実施形態において、制御部10は、物体検出範囲における送信信号及び受信信号のみを処理してもよい。」
d 【0110】-【0111】
「【0110】図6に示す動作が開始すると、制御部10の検出範囲決定部15は、物体検出範囲を決定する(ステップS1)。例えば、ステップS1において、検出範囲決定部15は、図4に示した物体検出範囲(1)から(4)までのいずれかのような範囲を、物体検出範囲として決定してよい。ステップS1において、検出範囲決定部15は、例えば移動体100の運転者などの操作に基づいて物体検出範囲を決定してもよいし、例えば制御部10又はECU50などの指示に基づいて物体検出範囲を決定してもよい。【0111】また、ステップS1に示す動作は、図6に示す動作の開始後に初めて行う動作ではなく、図6に示す動作が既に以前に行われた後で再び開始されたものとしてよい。再び行われたステップS1の時点で物体検出部14によって既に物体を検出した結果が存在する場合、検出範囲決定部15は、検出された物体の位置に基づいて、物体検出範囲を決定してもよい。」
(イ) 発明の詳細な説明の記載の検討
前記(ア)で摘記した記載を含め、発明の詳細な説明には、物体を検出した結果や検出された物体の位置に基づいて物体検出範囲を決定することが形式的には記載されているものの、どのような使用目的の物体検出範囲で物体を検出したときに、この物体を検出した結果に基づいてどのような使用目的の物体検出範囲とするのかについて、具体的にはなんら記載されていない。
この結果、発明の詳細な説明の記載からは、「過去に検出された物体の位置に基づいて」、使用目的の異なる第1の検出範囲及び第2の検出範囲のうち少なくともいずれかを検出範囲とするようにすることにどのような技術上の意義があるのか、理解することができない。
(ウ) 優先日時点の技術常識の検討
もっとも、本願の優先日時点の技術常識を考慮すると、例えば特開2017-215195号公報(拒絶査定において引用文献2として引用された文献)に記載した技術のように、不十分な精度で検出した物体を高精度で検出するために不十分な精度で検出した物体の位置近傍を検出範囲とすることは考え得る。
しかしながら、そのように検出された物体の位置に基づいて設定される検出範囲は通常、請求項1で特定される、所定の距離及び角度の関係を満たす「使用目的の異なる第1の検出範囲及び第2の検出範囲」(発明の詳細な説明の【0083】に記載されている、駐車支援の目的のための物体検出範囲(1)やフリースペース検知の目的のための物体検出範囲(2)など)とは異なる範囲であると考えられ、また、前記引用文献2における異なる検出範囲は使用目的が同じである。
このため、前記引用文献2に例示される本願の優先日時点の技術常識を考慮しても、請求項1で特定されているように、「過去に検出された物体の位置に基づいて」、発明の詳細な説明の【0083】に記載されている駐車支援の目的のための物体検出範囲(1)及びフリースペース検知の目的のための物体検出範囲(2)などに対応する、所定の距離及び角度の関係を満たす第1の検出範囲及び第2の検出範囲のいずれかを検出範囲として設定することの技術上の意義は、不明である。
(エ) 使用目的の異なる検出範囲について
また、「異なる」「使用目的」が共存するとき、ある一つの目的達成のために検出範囲を設定してしまうと、残りの目的の達成を犠牲にしなければならない事態が生じ得るため、それらの目的を同時に達成可能な検出範囲を設定することが困難となる場合が考えられる。
例えば、「検出範囲」を、駐車支援時にフリースペース検知のための物体検出範囲(2)に設定したり、フリースペース検知時に駐車支援のための物体検出範囲(1)に設定したりする場合では、それぞれ駐車支援、フリースペース検知の目的を十分には達成できなくなると考えられる。
この観点からみても、過去に検出された物体の位置に基づいて使用目的の異なる第1の検出範囲と第2の検出範囲のいずれかを検出範囲とすることの技術上の意義は、理解できない。
(オ) 回答書における請求人の説明について
a 回答書における請求人の説明の内容
当審において令和5年3月30日付けで審尋し、前記(ア)~(エ)の点を指摘した上で本願の明細書の発明の詳細な説明に基づいては請求項1に係る発明の技術上の意義が理解できないとの当審の見解を示し説明を求めたところ、請求人は回答書において次の説明をしている。
請求項1に記載の「前記制御部は、使用目的の異なる第1の検出範囲及び第2の検出範囲のうち少なくともいずれかを検出範囲とするように、前記送信波の送信に関連するパラメータを、過去に検出された物体の位置に基づいて設定し」との構成によれば、例えば以下の[参考図1]に示すように、過去に検出された物体(過去検出物体B)が、例えば過去に(4)死角検知BSDの検出範囲において検出されていたとすると、制御部は、現在の検出範囲を、(1)駐車支援PA又は(2)フリースペース検知FSDなどではなく、(4)死角検知BSDに設定することができる。したがって、請求項1に記載の上記構成は、使用目的の異なる検出範囲のうちの適切な検出範囲を設定できるという、明確な技術的意義を有する。
[参考図1]
[図:0001402326000001.jpg]
b 請求人の説明についての検討
(a)i まず、請求人が挙げる例に基づいて、前記(イ)において不明である旨指摘した「どのような使用目的の物体検出範囲で物体を検出したときに、物体を検出した結果に基づいてどのような使用目的の物体検出範囲とするのか」について検討する。
請求人の主張では、過去に「(4)死角検知BSD」の検出範囲において物体を検出した場合に、物体を検出した結果に基づいて、検出範囲を「(4)死角検知BSD」に設定するところ、この例は、「(4)死角検知BSD」の検出範囲において物体を検出した場合に検出する範囲を変更しないということになる。
ii ここで、「過去に」という用語の意味について検討する。
「過去に」が直前ではなくより長い時間の前の時点である場合、自動車と物体の相対位置がそのままであることは通常は期待できないから、時間間隔としては長い時間を想定することは妥当ではなく(駐車する場合も、通常ほかの物体はその位置を変化させることが多い。)、「過去に」は「直前」を意味すると考えるのが相当である。
iii 前記iiの検討結果を踏まえると、「過去に」は「直前」を意味し、検出範囲はいずれも「(4)死角検知BSD」の検出範囲で不変ということになる。
他方、物体を検出しない場合の動作について考えてみると、本願の発明の詳細な説明には物体を検出しない場合に検出範囲を変更することは記載されておらず、一般的な物体検出の動作においても、例えば「(4)死角検知BSD」の検出範囲で検出中に物体を検出しないからといって検出範囲を変更することはないから、直前に設定した「(4)死角検知BSD」の検出範囲において、物体を検出しない場合であっても、設定済みの検出範囲が変更されることはないと考えられる。
iv そうすると、請求人が挙げる例においては、物体の検出結果によらず検出範囲を「(4)死角検知BSD」から変更しないことになるから、物体を検出した結果に基づいて検出範囲を設定しているとはいえない。
(b) そして、請求人は、設定された検出範囲が物体検出の前後で変更される例を挙げて説明していないから、「過去に検出された物体の位置に基づいて」「使用目的の異なる第1の検出範囲及び第2の検出範囲のうち少なくともいずれかを検出範囲とする」ことの技術上の意義は、不明である。
(c) したがって、回答書における請求人の説明を考慮しても、請求項1に係る発明の技術上の意義は、理解できない。
(ウ) 小括
以上検討のとおり、本願の明細書の発明の詳細な説明の記載は、過去に検出された物体の位置に基づいて、使用目的の異なる第1の検出範囲及び第2の検出範囲のうち少なくともいずれかを検出範囲とすることの技術上の意義を当業者が理解できるように記載されたものではない。したがって、本願の明細書の発明の詳細な説明の記載は、経済産業省令(特許法施行規則24条の2)で定めるところにより、当業者が本件補正発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。
ウ 実施可能要件違反
(ア) 発明の詳細な説明の記載
請求項1で特定されている「過去に検出された物体の位置に基づいて」「使用目的の異なる第1の検出範囲及び第2の検出範囲のうち少なくともいずれかを検出範囲とする」ことに関連する発明の詳細な説明の記載としては、前記イ(ア)に摘記した記載がある。
(イ) 発明の詳細な説明の記載の検討
発明の詳細な説明には、過去に検出された物体の位置に基づいて、第1の検出範囲と第2の検出範囲をどのように選択するのか、例えば、駐車支援のための物体検出範囲「(1)駐車支援PA」において物体を検出した場合の、その後の検出範囲がどのように設定されるのか、ということについては、なんら記載されていない。
(ウ) 優先日時点の技術常識の検討
そして、過去に検出された物体の位置に基づいて、具体的にどのようにして使用目的の異なる第1の検出範囲及び第2の検出範囲のうち少なくともいずれかを検出範囲とするのかは、前記イ(ウ)で検討した本願の優先日時点の技術常識を考慮しても前記イ(ウ)で検討したのと同様の理由により不明であり、そのほか、その理解の助けとなる技術常識については、請求人は提示しておらず、見当たらない。
(エ) 回答書における請求人の説明について
a 回答書における請求人の説明の内容
当審において令和5年3月30日付けで審尋し、前記(ア)~(ウ)の点を指摘した上で、本願の明細書の発明の詳細な説明の記載は、請求項1に係る発明について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないとの当審の見解を示し説明を求めたところ、請求人は回答書において次の説明をしている。
制御部は、過去に検出された物体の位置を例えばメモリなどに格納して利用することにより、検出範囲を決定すればよいので、その実施は、周知技術に基づいて、当業者によって実現可能である。
b 請求人の説明についての検討
請求人の説明を考慮しても、前記(イ)で指摘した、過去に検出された物体の位置に基づいて、第1の検出範囲と第2の検出範囲をどのように選択するのか、例えば、駐車支援のための物体検出範囲「(1)駐車支援PA」において物体を検出した場合の、その後の検出範囲はどのように設定されるのかは、発明の詳細な説明の記載からは理解できない。
(オ) 小括
以上検討のとおり、本願の明細書の発明の詳細な説明は、過去に検出された物体の位置に基づいて、使用目的の異なる第1の検出範囲及び第2の検出範囲をどのように選択するのか記載されていないから、本願の明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件補正発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。
エ 独立特許要件についての当審の判断のまとめ
以上検討のとおり、本願は、発明の詳細な説明の記載が、本件補正発明について、特許法第36条4項1号に規定する要件を満たしていないから、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
(3) 本件補正の適否についての当審の判断のまとめ
前記(2)に示したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由1(新規性の欠如)及び理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由1 (新規性の欠如) 本願発明は、本願の優先日前に発行された下記の引用文献2に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2 (進歩性の欠如) 本願発明は、本願の優先日前に発行された下記の引用文献2に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
3 引用文献2に記載された事項及び引用発明の認定
(1) 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された前記引用文献2には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体が付したものである。
ア 【0001】-【0005】
「【技術分野】【0001】本発明は、レーダ装置及びターゲット検出方法に関する。【背景技術】続きを表示(全13行)【0002】レーダ装置では、レーダ装置から送信された送信信号がターゲットにおいて反射することによって到来する反射信号を受信することによって、ターゲットが検知される。…(中略)…【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0004】しかしながら、従来のレーダ装置では、送信信号の反射率が高いターゲット(以下では「高反射ターゲット」と呼ぶことがある)は検知可能である一方で、送信信号の反射率が低いターゲット(以下では「低反射ターゲット」と呼ぶことがある)からの反射信号は利得が低くて雑音に埋もれてしまうことがあるため、低反射ターゲットが検知されないことがある。例えば、高反射ターゲットは、送信信号の反射率が所定の閾値以上のターゲットであり、低反射ターゲットは、送信信号の反射率が所定の閾値未満のターゲットである。【0005】開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、低反射ターゲットの検出率を向上することを目的とする。」
イ 【0009】-【0010】
「【発明を実施するための形態】【0009】以下に、本願の開示するレーダ装置及びターゲット検出方法の実施例を図面に基づいて説明する。なお、この実施例により本願の開示するレーダ装置及びターゲット検出方法が限定されるものではない。以下では、各実施例において同一の機能を有する構成及び同一の処理を行うステップには同一の符号を付す。【0010】本願の開示するレーダ装置の一例として、ミリ波レーダが挙げられる。また、本願の開示するレーダ装置は、例えば、車両に搭載され、周波数変調した連続波であるFM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)を用いて、車両の周辺に存在するターゲットを検出する。本願の開示するレーダ装置が検出対象とするターゲットには、静止しているターゲット(以下では「静止ターゲット」と呼ぶことがある)と、移動しているターゲット(以下では「移動ターゲット」と呼ぶことがある)との両者が含まれる。静止ターゲットの一例として、路面、路側帯及び歩道等に設置された、信号機、ポール、歩道橋、電柱、交通標識、ガードレール等が挙げられる。また、移動ターゲットの一例として、自車両の前方または側方を走行する他の車両等が挙げられる。」
ウ 【0011】-【0020】、【図1】
「【0011】[実施例1]<レーダ装置の構成>図1は、実施例1のレーダ装置の構成例を示す図である。図1において、レーダ装置1は、プロセッサ10と、メモリ20と、変調信号発生器11と、発振器12と、分配器13と、フェーズシフタ14と、送信アンテナ素子群15とを有する。また、レーダ装置1は、受信アンテナ素子群16と、ミキサ17-1,17-2,17-3と、ADC(Analog to Digital Converter)18-1,18-2,18-3とを有する。送信アンテナ素子群15は、送信アンテナ素子15-1,15-2,15-3を有し、受信アンテナ素子群16は、受信アンテナ素子16-1,16-2,16-3を有する。送信アンテナ素子15-1,15-2,15-3は、直線上に一列に並べて配列され、送信アンテナアレイを形成する。また、受信アンテナ素子16-1,16-2,16-3は、直線上に一列に並べて配列され、受信アンテナアレイを形成する。送信アンテナ素子群15及び受信アンテナ素子群16において、各アンテナ素子間の間隔dは、例えば、送受信される電波の波長λの2分の1に設定される。送信アンテナ素子群15が有する送信アンテナ素子の数は3本に限定されず、受信アンテナ素子群16が有する受信アンテナ素子の数は3本に限定されない。また、レーダ装置1が有する送信アンテナ素子及び受信アンテナ素子の何れか一方が複数であれば、他方は単数(1本)であっても良い。また、プロセッサ10の一例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。また、メモリ20の一例として、SDRAM等のRAM、ROM、フラッシュメモリ等が挙げられる。続きを表示(全24行)【0012】以下では、レーダ装置1によって検出されたターゲットを「検出ターゲット」と呼ぶことがある。プロセッサ10は、検出ターゲットの情報(以下では「検出ターゲット情報」と呼ぶことがある)を出力する。検出ターゲット情報には、レーダ装置1に対する検出ターゲットの方位、レーダ装置1から検出ターゲットまでの距離、及び、レーダ装置1に対する検出ターゲットの相対速度が含まれる。【0013】変調信号生成器11は、三角波状に電圧が変化する変調信号を生成し、生成した変調信号を発振器12へ出力する。【0014】発振器12は、変調信号生成器11から入力される変調信号に基づいて連続波の信号を周波数変調することによって、時間の経過に伴って周波数が変化する送信信号を生成し、生成した送信信号を分配器13へ出力する。【0015】分配器13は、発振器12から入力される送信信号を、送信アンテナ素子15-1,15-2,15-3の各々と、ミキサ17-1,17-2,17-3の各々とに分配する。【0016】フェーズシフタ14は、送信アンテナ素子15-1,15-2,15-3を重み係数Wa1,Wa2,Wa3によってそれぞれ重み付けしてビームを形成する。このとき、フェーズシフタ14は、プロセッサ10から入力される重み係数Wa1,Wa2,Wa3を用いてビームを形成する。重み係数Wan(ここでは、n=1,2,3)は、例えば以下の式(1)によって表される。但し、式(1)において、eは自然対数の底、jは虚数単位、dは送信アンテナ素子間の間隔、λは電波の波長を示す。このような重み係数Wa1,Wa2,Wa3によって送信アンテナ素子15-1,15-2,15-3が重み付けされることにより、送信アンテナ素子15-1,15-2,15-3の各々がθの方向へ放射する電波の位相が揃うため、θの方向にビームが形成される。【数1】[図:0001402326000002.jpg]【0017】送信アンテナ素子15-1,15-2,15-3の各々は、発振器12によって周波数変調され、かつ、フェーズシフタ14によって重み付けされた送信信号を送信する。【0018】受信アンテナ素子16-1,16-2,16-3の各々は、送信信号がターゲットにおいて反射することによって到来する反射信号を受信する。【0019】ミキサ17-1,17-2,17-3の各々は、分配器13から入力される送信信号と、受信アンテナ素子16-1,16-2,16-3から入力される受信信号とをミキシングする。ミキサ17-1,17-2,17-3でのミキシングにより、送信信号の周波数と受信信号の周波数との差分周波数である「ビート周波数」を示す「ビート信号」が生成される。ミキサ17-1,17-2,17-3は、ミキシングにより生成したビート信号を、ADC18-1,18-2,18-3へ出力する。【0020】ADC18-1,18-2,18-3は、アナログのビート信号をデジタルのビート信号に変換し、変換後のデジタルのビート信号をプロセッサ10へ出力する。」
「【図1】[図:0001402326000003.jpg]」
エ 【0021】-【0040】、【図2】
「【0021】<プロセッサの機能>図2は、実施例1のプロセッサの機能を示す機能ブロック図である。プロセッサ10は、プロセッサ10の機能として、ビート信号合成部101と、フーリエ変換部102と、データ処理部103と、ターゲット判定部104と、マップ更新部105と、ビーム方向制御部106と、タイマ107と、ターゲット情報出力部108とを有する。【0022】続きを表示(全25行)ビート信号合成部101は、ADC18-1,18-2,18-3の各々から入力される現在のビート信号に過去のビート信号を合成して「合成ビート信号」を生成し、生成した合成ビート信号をフーリエ変換部102へ出力するとともに、メモリ20に記憶させる。ビート信号合成部101は、例えば、ADC18-1,18-2,18-3の各々から入力されるビート信号を互いに位相を合わせて時系列的に累積加算することによって合成ビート信号を生成する。つまり、ビート信号合成部101は、送信信号の複数回の送信及び反射信号の複数回の受信によって得られる時系列な複数のビート信号を互いに位相を合わせて合成して合成ビート信号を得る。互いに位相を合わせて複数のビート信号を合成することで、時系列的に相関のある信号成分は増強され、時系列的に相関のないノイズ成分が相対的に抑制される。よって、互いに位相を合わせて複数のビート信号を合成することで、信号成分に対する利得を実質的に高めることができる。互いに位相を合わせて複数のビート信号を合成する方法としては、例えば、合成対象の2つのビート信号の所定区間に対して、位相差を少しずつずらしながら相関係数を演算し、相関係数が最大になる位相差において2つのビート信号を加算または平均化する方法が挙げられる。3つ以上のビート信号を合成する場合には、まず、2つのビート信号を上記の方法で合成し、次いで、合成後の信号と3つ目のビート信号とを上記の方法で合成し、以降、合成後の信号と4つ目以降の各ビート信号とを対象として、同様の処理を繰り返せば良い。但し、ビート信号の合成方法は、複数のビート信号の位相を合わせて合成する方法であれば、上記の方法に限定されない。そして、実施例1において、時系列な複数の「ビート信号」は、レーダ装置1での時系列な複数の「探査結果」に相当し、「合成ビート信号」は、時系列な複数の探査結果を合成した「合成探査結果」に相当する。【0023】フーリエ変換部102は、ADC18-1,18-2,18-3の各々から入力されるビート信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)を実行することにより、ADC18-1,18-2,18-3から入力されるビート信号を周波数領域のデータである周波数スペクトルに変換する。また、フーリエ変換部102は、ビート信号合成部101から入力される合成ビート信号に対してFFTを実行することにより、合成ビート信号を周波数スペクトルに変換する。以下では、ビート信号合成部101を介さずにADC18-1,18-2,18-3から直接フーリエ変換部102へ入力されるビート信号に対応する周波数スペクトルを「瞬時スペクトル」と呼ぶことがある。また以下では、合成ビート信号に対応する周波数スペクトルを「合成スペクトル」と呼ぶことがある。フーリエ変換部102は、瞬時スペクトルをデータ処理部103へ出力し、合成スペクトルをターゲット判定部104へ出力する。…(中略)…【0031】次いで、データ処理部103は、抽出した周波数ピークPu,Pdに基づいてターゲットの方位を算出する。データ処理部103は、例えばESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)等の方位角度推定方式を用いて、ターゲットの方位を算出する。…(中略)…【0036】そこで、データ処理部103は、ビート周波数frを用い、式(4)に従って、レーダ装置1からターゲットまでの距離Rを算出する。式(4)において、「c」は光速である。【数4】[図:0001402326000004.jpg]【0037】また、データ処理部103は、周波数偏移fdが0(ゼロ)ではない場合、式(5)に従って、ターゲットの相対速度Vを算出する。【数5】[図:0001402326000005.jpg]【0038】そして、データ処理部103は、算出した方位、算出した距離R、及び、算出した相対速度Vをマップ更新部105及びターゲット判定部104へ出力する。データ処理部103が算出した方位及び距離Rによって、レーダ装置1の所定の探索エリアSAにおいて、ターゲットの位置が特定される。【0039】一方で、ターゲット判定部104は、フーリエ変換部102から入力される合成スペクトルと、メモリ20に記憶されている「検出ターゲット閾値TH1」及び「非ターゲット閾値TH2」とを用いて、ターゲットが存在するか否かという判定である「ターゲット判定」を行う。ここで、ターゲット判定部104での判定結果は、ターゲットが存在するという判定結果と、ターゲットが存在しないという判定結果と、ターゲットが存在するか否かの判定を保留にするという判定結果の三種に区別される。ターゲット判定部104によって存在すると判定されたターゲットは「検出ターゲット」に相当する。【0040】また、ターゲット判定部104は、データ処理部103から入力される方位及び距離Rを用いて、レーダ装置1の探索エリアSAにおいて、ターゲットが存在すると判定した位置(以下では「検出ターゲット位置」と呼ぶことがある)と、ターゲットが存在しないと判定した位置(以下では「非ターゲット位置」と呼ぶことがある)と、ターゲットが存在するか否かの判定を保留にした位置(以下では「ターゲット候補位置」と呼ぶことがある)とを特定する。換言すれば、ターゲット候補位置は、ターゲット判定部104が、「探索エリアSAにおいて、ターゲット存在すると判定できない位置」である。さらに換言すれば、ターゲット候補位置は、「探索エリアSAにおいて、ターゲットが存在するかもしれないが、ターゲットが存在することが未だ確定していない位置」であるターゲット判定部104は、特定した検出ターゲット位置、非ターゲット位置、及び、ターゲット候補位置をマップ更新部105へ出力する。」
「【図2】[図:0001402326000006.jpg]」
オ 【0044】
「【0044】メモリ20には、「二次元マップ」が記憶されている。メモリ20に記憶されている二次元マップは、レーダ装置1の探索エリアSAに対応する。また、レーダ装置1の探索エリアSAは、複数のブロックから形成される。つまり、メモリ20に記憶されている二次元マップには、探索エリアSAを形成する複数のブロックが含まれる。マップ更新部105は、ターゲット判定部104でのターゲット判定が行われる度に、二次元マップ内の各ブロックに「ターゲット情報」を対応付けて、二次元マップを更新する。二次元マップ内の各ブロックに対応付けられるターゲット情報には、各ブロックが検出ターゲット位置、非ターゲット位置またはターゲット候補位置の何れに該当するかを示す情報(以下では「位置種別情報」と呼ぶことがある)と、データ処理部103によって算出された方位、距離R及び相対速度Vとが含まれている。よって、メモリ20に記憶されているターゲット情報も、ターゲット判定部104でのターゲット判定が行われる度に、二次元マップの更新に同期して、マップ更新部105によって更新される。マップ更新部105は、二次元マップ及びターゲット情報の更新を行う度に、二次元マップ及びターゲット情報を更新したことを示す「更新通知」をビーム方向制御部106へ出力する。」
カ 【0046】
「【0046】ビーム方向制御部106は、マップ更新部105から更新通知が入力される度に、送信アンテナ素子群15から送信される送信信号のビーム方向をレーダ装置1の探索エリアSAにおいて順次変化させて、探索エリアSAを走査する。ビーム方向制御部106は、重み係数Wa1,Wa2,Wa3を順次変化させながら算出することにより送信信号のビーム方向を順次変化させる。ビーム方向制御部106は、算出した重み係数Wa1,Wa2,Wa3をフェーズシフタ14へ出力する。つまり、レーダ装置1は、APA(Active Phased Array)方式のレーダ装置である。」
キ 【0048】-【0062】、【図6】-【図13】
「【0048】<レーダ装置の動作>図6~図17は、実施例1のレーダ装置の動作例の説明に供する図である。図6~図17では、例えば、レーダ装置1は、進行方向をd1(図7)とする車両の側面に搭載され、車両の側方へ向かって送信信号を送信する。【0049】続きを表示(全24行)図6は、車両の側面から見た図である。図6に示すように、レーダ装置1が側面に搭載された車両の側方には、金属製の道路標識RSと、ゴム製のポールP1,P2,P3とが設置されている。道路標識RSは金属製であるため、道路標識RSの反射率は高い一方で、ポールP1,P2,P3はゴム製であるため、ポールP1,P2,P3の反射率は低い。つまり、道路標識RSは高反射ターゲットであり、ポールP1,P2,P3は低反射ターゲットである。そして、レーダ装置1から道路標識RS及びポールP1,P2,P3に対して、ビームBMが照射される。【0050】図7は、車両の上方から見た図である。図7に示すように、送信アンテナ素子群15から送信される送信信号のビームBMは所定の照射範囲IRを有する。また、ビーム方向制御部106は、ビームBMのビーム方向を探索エリアSA内で順次変化させる。探索エリアSAは、距離方向(X方向)における所定の長さX1と、方位方向(Y方向)における所定の長さY1とによって規定される二次元平面である。【0051】また、図8に示すように、メモリ20には、探索エリアSAに対応する二次元マップMPが記憶されている。二次元マップMPは、探索エリアSAを形成する複数のブロックBLに分割されている。【0052】そして、図9に示すように、まず、ビーム方向制御部106は、二次元マップ上において未だビームが照射されていない位置(以下では「未照射位置」と呼ぶことがある)の方向へビームBMを照射する。【0053】図9でのビームの照射に対応する反射信号に基づいて、ターゲット判定部104は、図10に示すように、照射範囲IRにおいて、検出ターゲット位置TGと、ターゲット候補位置TCと、非ターゲット位置NTとを特定する。なお、図10において、未照射位置は「UI」によって示されている。【0054】例えば、ターゲット判定部104は、図11に示すようにしてターゲット判定を行って、検出ターゲット位置TGと、ターゲット候補位置TCと、非ターゲット位置NTとを特定する。すなわち、図11における周波数はレーダ装置1からターゲットまでの距離Rに対応するため、ターゲット判定部104は、探索エリアSAの全範囲の走査が完了する前は、瞬時スペクトルにおいて、検出ターゲット閾値TH1以上の範囲に対応する位置を検出ターゲット位置TGとして特定し、非ターゲット閾値TH2未満の範囲に対応する位置を非ターゲット位置NTとして特定する。また、ターゲット判定部104は、探索エリアSAの全範囲の走査が完了する前は、瞬時スペクトルにおいて、非ターゲット閾値TH2以上かつターゲット閾値TH1未満の範囲に対応する位置をターゲット候補位置TCとして特定する。【0055】そして、ビーム方向制御部106は、図12に示すように、時間の経過に伴ってビームBMのビーム方向を探索エリアSA内(つまり、二次元マップ内)において順次変化させながら、探索エリアSAを走査する。よって、ビーム方向制御部106による探索エリアSAの走査に伴って、ターゲット判定部104は、ビームBMの照射範囲IRにおいて、検出ターゲット位置TG、ターゲット候補位置TC及び非ターゲット位置NTとを順次特定する。また、ビーム方向制御部106による探索エリアSAの走査に伴って、マップ更新部105は、ターゲット判定部104での判定結果に従って、二次元マップを順次更新する。【0056】そして図12では、時刻tNに達した時点で、探索エリアSAの全範囲の走査が完了したものとする。つまり、図12では、時刻tNに達した時点で、未照射位置UIが存在しなくなったものとする。図6に示す道路標識RSは高反射ターゲットであり、図6に示すポールP1,P2,P3は低反射ターゲットであるため、時刻tNの時点では、探索エリアSA(つまり、二次元マップ)において、道路標識RSが存在する位置が検出ターゲット位置TGとして特定され、ポールP1,P2,P3が存在する位置がターゲット候補位置TCとして特定されている。【0057】ビーム方向制御部106は、探索エリアSAの全範囲の走査が完了して未照射位置UIが存在しなくなった後は、以下のようにして、探索エリアSAを繰り返し走査する。また、ビーム方向制御部106は、探索エリアSAを繰り返し走査する際に、以下のように、探索エリアSAにおいて、検出ターゲット位置TG、非ターゲット位置NT及びターゲット候補位置TCのうち、ターゲット候補位置TCの方向だけにビーム方向を設定する。【0058】すなわち、ビーム方向制御部106は、探索エリアSAの全範囲の走査が完了して未照射位置UIが存在しなくなった後は、二次元マップを参照し、図13に示すように、探索エリアSA内(つまり、二次元マップ内)に複数のターゲット候補位置TCがある場合は、それら複数のターゲット候補位置TCのうちの何れかの方向へビーム方向を設定する。これにより、レーダ装置1では、図13に示すターゲット候補位置TCに存在するポールP2(図6,図7)によって反射した反射信号が受信される。(後略)」
「【図6】[図:0001402326000007.jpg]」
「【図7】[図:0001402326000008.jpg]」
「【図8】[図:0001402326000009.jpg]」
「【図9】[図:0001402326000010.jpg]」
「【図10】[図:0001402326000011.jpg]」
「【図11】[図:0001402326000012.jpg]」
「【図12】[図:0001402326000013.jpg]」
「【図13】[図:0001402326000014.jpg]」
ク 【0095】-【0096】
「【0095】また、実施例1では、レーダ装置1は、ビーム方向制御部106を有する。ビーム方向制御部106は、送信アンテナ素子群15から送信される送信信号のビーム方向を探索エリアSAにおいて順次変化させて探索エリアSAを繰り返し走査する。ターゲット判定部104は、ビーム方向制御部106による走査に伴って、ターゲット候補位置TCを特定する。そして、ビーム方向制御部106は、ターゲット判定部104がターゲット候補位置TCを特定すると、以降の走査において、ターゲット候補位置TCの方向だけにビーム方向を設定する。【0096】こうすることで、探索エリアSAを繰り返し走査する際に、検出ターゲット位置TG、非ターゲット位置NT及びターゲット候補位置TCのうち、検出ターゲット位置TG及び非ターゲット位置NTをスキップしてターゲット候補位置TCだけを走査できるため、低反射ターゲットの検出率を向上するにあたり、探索エリアSAに対する走査の効率を向上させることができる。また、探索エリアSAを繰り返し走査する際に、検出ターゲット位置TG及び非ターゲット位置NTをスキップしてターゲット候補位置TCだけを走査できるため、ターゲット候補位置TCに対するビート信号の利得を相対的に高くすることができ、よって、低反射ターゲットを確実に検出できるようになる。」
(2) 引用発明の認定
前記(1)に摘記した引用文献2の記載事項を総合すると、引用文献2には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「プロセッサ10と、メモリ20と、発振器12と、分配器13と、フェーズシフタ14と、送信アンテナ素子群15と、受信アンテナ素子群16と、ミキサ17-1,17-2,17-3と、ADC(Analog to Digital Converter)18-1,18-2,18-3とを有するレーダ装置であって、(【0011】)送信アンテナ素子群15は、送信アンテナ素子15-1,15-2,15-3を有し、受信アンテナ素子群16は、受信アンテナ素子16-1,16-2,16-3を有し、(【0011】)発信器12は、送信信号を生成し、生成した送信信号を分配器13へ出力し、(【0014】)分配器13は、発振器12から入力される送信信号を、送信アンテナ素子15-1,15-2,15-3の各々と、ミキサ17-1,17-2,17-3の各々とに分配し、(【0015】)続きを表示(全31行)フェーズシフタ14は、送信アンテナ素子15-1,15-2,15-3を重み係数Wa1,Wa2,Wa3によってそれぞれ重み付けしてビームを形成し、このような重み係数Wa1,Wa2,Wa3によって送信アンテナ素子15-1,15-2,15-3が重み付けされることにより、送信アンテナ素子15-1,15-2,15-3の各々がθの方向へ放射する電波の位相が揃うため、θの方向にビームが形成され、(【0016】)送信アンテナ素子15-1,15-2,15-3の各々は、フェーズシフタ14によって重み付けされた送信信号を送信し、(【0017】)受信アンテナ素子16-1,16-2,16-3の各々は、送信信号がターゲットにおいて反射することによって到来する反射信号を受信し、(【0018】)ミキサ17-1,17-2,17-3の各々は、分配器13から入力される送信信号と、受信アンテナ素子16-1,16-2,16-3から入力される受信信号とをミキシングし、ミキサ17-1,17-2,17-3でのミキシングにより、送信信号の周波数と受信信号の周波数との差分周波数である「ビート周波数」を示す「ビート信号」が生成され、ミキサ17-1,17-2,17-3は、ミキシングにより生成したビート信号を、ADC18-1,18-2,18-3へ出力し、(【0019】)ADC18-1,18-2,18-3は、アナログのビート信号をデジタルのビート信号に変換し、変換後のデジタルのビート信号をプロセッサ10へ出力し、(【0020】)プロセッサ10は、プロセッサ10の機能として、ビート信号合成部101と、フーリエ変換部102と、データ処理部103と、ターゲット判定部104と、マップ更新部105と、ビーム方向制御部106とを有し、(【0021】)ビート信号合成部101は、ADC18-1,18-2,18-3の各々から入力される現在のビート信号に過去のビート信号を合成して「合成ビート信号」を生成し、生成した合成ビート信号をフーリエ変換部102へ出力し、(【0022】)フーリエ変換部102は、ADC18-1,18-2,18-3の各々から入力されるビート信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)を実行することにより、ADC18-1,18-2,18-3から入力されるビート信号を周波数領域のデータである周波数スペクトルに変換し、フーリエ変換部102は、ビート信号合成部101から入力される合成ビート信号に対してFFTを実行することにより、合成ビート信号を周波数スペクトルに変換し、フーリエ変換部102は、ビート信号合成部101を介さずにADC18-1,18-2,18-3から直接フーリエ変換部102へ入力されるビート信号に対応する周波数スペクトルである瞬時スペクトルをデータ処理部103へ出力し、合成ビート信号に対応する周波数スペクトルである合成スペクトルをターゲット判定部104へ出力し、(【0023】)データ処理部103は、ターゲットの方位、レーダ装置1からターゲットまでの距離R、ターゲットの相対速度Vを算出し、(【0031】、【0036】、【0037】)データ処理部103は、算出した方位、算出した距離R、及び、算出した相対速度Vをマップ更新部105及びターゲット判定部104へ出力し、データ処理部103が算出した方位及び距離Rによって、レーダ装置1の所定の探索エリアSAにおいて、ターゲットの位置が特定され、(【0038】)ターゲット判定部104は、フーリエ変換部102から入力される合成スペクトルと、メモリ20に記憶されている「検出ターゲット閾値TH1」及び「非ターゲット閾値TH2」とを用いて、ターゲットが存在するか否かという判定である「ターゲット判定」を行い、ターゲット判定部104での判定結果は、ターゲットが存在するという判定結果と、ターゲットが存在しないという判定結果と、ターゲットが存在するか否かの判定を保留にするという判定結果の三種に区別され、ターゲット判定部104によって存在すると判定されたターゲットは「検出ターゲット」に相当し、(【0039】)ターゲット判定部104は、データ処理部103から入力される方位及び距離Rを用いて、レーダ装置1の探索エリアSAにおいて、ターゲットが存在すると判定した位置(以下では「検出ターゲット位置」と呼ぶことがある)と、ターゲットが存在しないと判定した位置(以下では「非ターゲット位置」と呼ぶことがある)と、ターゲットが存在するか否かの判定を保留にした位置(以下では「ターゲット候補位置」と呼ぶことがある)とを特定し、(【0040】)メモリ20には、「二次元マップ」が記憶されており、メモリ20に記憶されている二次元マップは、レーダ装置1の探索エリアSAに対応し、レーダ装置1の探索エリアSAは、複数のブロックから形成され、マップ更新部105は、ターゲット判定部104でのターゲット判定が行われる度に、二次元マップ内の各ブロックに「ターゲット情報」を対応付けて、二次元マップを更新し、二次元マップ内の各ブロックに対応付けられるターゲット情報には、各ブロックが検出ターゲット位置、非ターゲット位置またはターゲット候補位置の何れに該当するかを示す情報が含まれており、マップ更新部105は、二次元マップ及びターゲット情報の更新を行う度に、二次元マップ及びターゲット情報を更新したことを示す「更新通知」をビーム方向制御部106へ出力し、(【0044】)ビーム方向制御部106は、マップ更新部105から更新通知が入力される度に、送信アンテナ素子群15から送信される送信信号のビーム方向をレーダ装置1の探索エリアSAにおいて順次変化させて、探索エリアSAを走査し、ビーム方向制御部106は、重み係数Wa1,Wa2,Wa3を順次変化させながら算出することにより送信信号のビーム方向を順次変化させ、(【0046】)ビーム方向制御部106は、探索エリアSAの全範囲の走査が完了して未照射位置UIが存在しなくなった後は、探索エリアSAを繰り返し走査し、探索エリアSAを繰り返し走査する際に、探索エリアSAにおいて、検出ターゲット位置TG、非ターゲット位置NT及びターゲット候補位置TCのうち、ターゲット候補位置TCの方向だけにビーム方向を設定する、(【0057】)レーダ装置」
4 対比
(1) 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「レーダ装置」は、本願発明の「電子機器」に相当し、「電子機器」の発明である本願発明と「レーダ装置」の発明である引用発明は、「電子機器」の発明である点において一致する。
イ(ア) 引用発明の「送信アンテナ素子群」が有する「送信アンテナ素子15-1,15-2,15-3」は、その各々が、放射する電波により形成されるビームである送信信号を送信するものであるから、本願発明の「送信波を送信する送信アンテナ」に相当する。
(イ) よって、本願発明と引用発明は、「送信波を送信する送信アンテナ」を備える点で一致する。
ウ(ア) 引用発明の「受信アンテナ素子群16」が有する「受信アンテナ素子16-1,16-2,16-3」は、その各々が、送信信号がターゲットにおいて反射することによって到来する反射信号を受信するものであるから、本願発明の「前記送信波が反射された反射波を受信する受信アンテナ」に相当する。
(イ) よって、本願発明と引用発明は、「前記送信波が反射された反射波を受信する受信アンテナ」を備える点で一致する。
エ(ア) 引用発明の「プロセッサ10」は、本願発明の「制御部」に相当する。
(イ) 引用発明の「プロセッサ10」は、その機能として有する「ターゲット判定部104」が、ターゲットが存在するか否かという判定である「ターゲット判定」を行うものであるところ、レーダ装置で検出されるターゲットは送信波を反射するものであるという技術常識を踏まえると、当該ターゲット判定を行うことは、本願発明の「前記送信波を反射する物体を検出する」ことに相当する。
(ウ) また、引用発明の「ターゲット判定部104」が行うターゲット判定は、フーリエ変換部102から入力される合成スペクトルを用いるところ、当該合成スペクトルは、ビート信号合成部101から入力される合成ビート信号に対してFFTを実行することにより変換されるものであり、当該合成ビート信号は、ADC18-1,18-2,18-3の各々から入力される現在のビート信号に過去のビート信号を合成して生成されるものであり、当該ビート信号は、ミキサ17-1,17-2,17-3の各々において、分配器13から入力される送信信号と、受信アンテナ素子16-1,16-2,16-3から入力される受信信号とをミキシングして生成されるものであるから、結局、ターゲット判定は、送信信号と受信信号に基づいて行っていることになる。したがって、引用発明のターゲット判定は、本願発明でいう「前記送信波として送信される送信信号及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて」行うものであるといえる。
(エ) 前記(ア)から(ウ)をまとめると、本願発明と引用発明は、「前記送信波として送信される送信信号及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて、前記送信波を反射する物体を検出する制御部」を備える点で一致する。
オ(ア) 本願発明の「制御部」に相当する引用発明の「プロセッサ10」(前記エ(ア)参照)は、その機能として有する「ビーム方向制御部106」が、送信アンテナ素子群15から送信される送信信号のビーム方向をレーダ装置1の探索エリアSAにおいて順次変化させるものであるところ、当該「ビーム方向」の変化させられる範囲は、ビームの方向の変化させられる範囲においてターゲットの探索を行うものであるから、本願発明の「物体を検出する範囲」に相当する。
(イ) また、引用発明のターゲット判定は、本願発明でいう「前記送信波を反射する物体を検出する」ことに相当し(前記エ(イ))、本願発明でいう「前記送信波として送信される送信信号及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて」行うものであること(前記エ(ウ))を前記(ア)と併せて考慮すれば、引用発明の「ビーム方向」の変化させられる範囲は、本願発明の「前記送信信号及び前記受信信号によって前記物体を検出する範囲」に相当する。
(ウ) そして、引用発明の「プロセッサ10」がその機能として有する「ビーム方向制御部106」は、「探索エリアSAにおいて、検出ターゲット位置TG、非ターゲット位置NT及びターゲット候補位置TCのうち、ターゲット候補位置TCの方向だけにビーム方向を設定する」ものであり、このことは、ターゲット候補位置TCに応じてビーム方向の変化する範囲を変更することを意味するから、引用発明の「プロセッサ10」は、ビーム方向の変化する範囲を、本願発明でいう「可変に」するものである。
(エ) 前記(ア)から(ウ)をまとめると、本願発明と引用発明は、「前記制御部は、前記送信信号及び前記受信信号によって前記物体を検出する範囲を可変に[する]」点で一致する。
カ(ア) 引用発明の「プロセッサ10」は、その機能として有する「ビーム方向制御部106」が重み係数Wa1,Wa2,Wa3を順次変化させながら算出することにより送信信号のビーム方向を順次変化させるものであるから、当該「重み係数Wa1,Wa2,Wa3」は、本願発明の「前記送信波の送信に関連するパラメータ」に相当する。
(イ)a 引用発明の「ビーム方向制御部106」は、「探索エリアSAにおいて、検出ターゲット位置TG、非ターゲット位置NT及びターゲット候補位置TCのうち、ターゲット候補位置TCの方向だけにビーム方向を設定する」ものであるところ、「検出ターゲット位置TG」は、「ターゲットが存在すると判定した位置」であり、すでに検出されたターゲットの位置を意味するから、本願発明の「過去に検出された物体の位置」に相当する。
b そして、引用発明は、「探索エリアSAの全範囲の走査が完了して未照射位置UIが存在しなくなった後は、探索エリアSAを繰り返し走査し、探索エリアSAを繰り返し走査する際に、探索エリアSAにおいて、検出ターゲット位置TG、非ターゲット位置NT及びターゲット候補位置TCのうち、ターゲット候補位置TCの方向だけにビーム方向を設定する」のであるから、ターゲットの存在がすでに確認された位置TGを除くように次のビーム方向が設定されており、「検出ターゲット位置TG」の方向にはビーム方向の変化する範囲を設定しないという意味において、本願発明でいう「過去に検出された物体の位置に基づいて」、ビーム方向を変化させるための重み係数Wa1,Wa2,Wa3を変化させながら算出、すなわち「設定」するものであるといえる。
(ウ) また、引用発明の「ターゲット候補位置TC」は、「ターゲットが存在するか否かの判定を保留にした位置」であり、「ターゲット」であることまでの断定はしていないものの、何らかの物体が存在する可能性のある位置であり、測定誤りの可能性が大きいかもしれないという意味で測定誤差が大きい状態でターゲットを検出したものであるといえるから、本願発明の「過去に検出された物体の位置」に相当するといえる。
よって、引用発明がターゲット候補位置TCの方向だけにビーム方向を設定することは、ターゲット候補位置TCに基づいてビーム方向の変化する範囲を設定するものであるという意味においても、本願発明でいう「過去に検出された物体の位置に基づいて」、ビーム方向を変化させるための重み係数Wa1,Wa2,Wa3を変化させながら算出、すなわち「設定」するものであるといえる。
(エ) 前記(ア)から(ウ)をまとめると、本願発明と引用発明は、「前記制御部は、前記送信波の送信に関連するパラメータを、過去に検出された物体の位置に基づいて設定する」点で一致する。
(2) 一致点及び相違点
前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次の点において一致点し、相違点はない。
<一致点>
「送信波を送信する送信アンテナと、前記送信波が反射された反射波を受信する受信アンテナと、前記送信波として送信される送信信号及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて、前記送信波を反射する物体を検出する制御部と、を備える電子機器であって、前記制御部は、前記送信信号及び前記受信信号によって前記物体を検出する範囲を可変にし、前記制御部は、前記送信波の送信に関連するパラメータを、過去に検出された物体の位置に基づいて設定する、電子機器」である点。
(3) 小括
以上検討のとおり、本願発明と引用発明は発明特定事項に差異がないから、本願発明は引用発明である。
5 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において以下の点を主張するが、当該主張は、前記第2で却下された本件補正により補正された請求項の記載に基づくものであり、採用できない。
「本件補正発明は、「使用目的の異なる第1の検出範囲及び第2の検出範囲のうち少なくともいずれかを検出範囲とするように、前記送信波の送信に関連するパラメータを、過去に検出された物体の位置に基づいて設定」すること、及び「前記第1の検出範囲は、前記送信アンテナ又は前記受信アンテナから最大検出点までの距離がL1であり、検出範囲の一方の水平範囲端部から他方の水平範囲端部までの角度θがθ1であり、前記第2の検出範囲は、前記送信アンテナ又は前記受信アンテナから最大検出点までの距離がL2>L1を満たすL2であり、検出範囲の一方の水平範囲端部から他方の水平範囲端部までの角度θがθ2<θ1を満たすθ2である」ことを特徴に含むものである。本件補正発明によれば、本願の出願当初明細書の段落0083及び図4に記載のように、例えば、第1の検出範囲は、例えば駐車支援目的の検出範囲とし、第2の検出範囲は、例えばフリースペース検知目的の検出範囲とすることができる。これに対し、引用文献1-4は、上述の本願発明独自の特徴を開示も示唆もしていない。本件補正発明と引用発明との相違点に起因して、本件補正発明は、本件補正発明独自の特徴とする構成により、検出範囲を、過去の検出結果に基づいて物体検出目的に合致して設定できるため、検出範囲を適切なものとすることができるという、顕著な効果を有する。」
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることがでない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-010498