2022-010481
室外機及び空気調和機
- 審判番号
- 2022-010481
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-539931外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年07月05日
- 審決日
- 2023年09月11日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-WZ (F24F) / P18 .121-WZ (F24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
1.手続の経緯
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本件に係る出願(以下、「本願」という。)は、2018年(平成30年)8月29日を国際出願日とする出願であって、令和2年9月8日に手続補正がされ、令和3年2月5日に手続補正がされ、同年9月28日付けで拒絶理由通知がされ、同年12月6日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、令和4年4月7日付けで拒絶査定がされた。
これに対し、同年7月5日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、同年12月22日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由」という。)がされ、令和5年3月3日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。
2.本願発明
本願の請求項1~8に係る発明は、令和5年3月3日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。なお、下線は、令和5年3月3日にした手続補正で補正された発明特定事項である。
「 【請求項1】気流の吹出口を有する正面パネルと、前記正面パネルと向き合う背面パネルと、左側面パネルと、前記左側面パネルと向き合う右側面パネルと、底面パネルと、前記底面パネルと向き合う天面パネルとを有する筐体と、前記筐体の前記背面パネルの内側に向き合わせて設けられた熱交換器と、前記正面パネルに設けられ、前記吹出口を形作る円形の開口の縁から突き出る環状のベルマウスと、続きを表示(全11行)前記ベルマウスの内側に配置される送風機と、前記筐体の内部に設けられ、電気部品が設けられる制御基板と、前記筐体の内部であって正面から見て前記開口および前記ベルマウスと重ならない位置かつ前記熱交換器よりも前記正面パネル側に設けられて、前記熱交換器を通過した空気があたることで前記電気部品から発生する熱を放射する放熱部と、を備え、前記放熱部の全領域は、正面及び天面から見て前記送風機と重なっておらず、前記ベルマウスの前記背面パネル側の端部と接し、かつ、前記正面パネルの内側面と平行な仮想的な面を仮想面としたとき、上方から見た前記放熱部の風上側端面及び風下側端面は、前記仮想面と前記背面パネルとの間の領域に設けられる室外機。」
なお、令和5年3月3日にした手続補正で補正された請求項1の「前記ベルマウスの内側に配置される送風機と、」との発明特定事項は、願書に最初に添付された明細書の段落【0014】に「筐体2の内部において送風機13の配置位置は、ベルマウス9の内縁を、筐体2の正面パネル3から背面パネル8に向かう方向に投影した領域の内側である。」と記載されているから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内である。
そして、当該発明特定事項の技術的意味は、「ベルマウス9の内縁を、筐体2の正面パネル3から背面パネル8に向かう方向に投影した領域の内側」に「送風機」が配置されていることを含むものと解される。
3.当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由のうちの理由1の概要は、次のとおりのものである。
理由1(新規性)
本件出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
記
4.引用文献1に記載された事項及び引用発明
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、当審が付したものである。以下同様。)。
ア「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機の室外機用電装品ユニット及び空気調和機の室外機に関する。
【0002】
【従来の技術】空気調和機(エアコン等)の室外機は、通常、通風スペースと機械室とに分離されている。通風スペースは、外気にさらされるため、水分の侵入も多い。一方、機械室は、コンプレッサー等の水分に弱い機械を収納するため、外気から幾分密閉された空間となっている。
【0003】この室外機の中に配置される電装品ユニットは、最近ではコンプレッサーを駆動するための大型のインバータを搭載しているものが多くなってきている。このインバータに含まれる半導体スイッチ等は、発熱を伴うため適切な熱設計をする必要がある。一方、室外機は熱交換のための大型のファンを搭載しており、このファンの風を利用することにより、半導体スイッチ等を効率よく冷却することができる。すなわち、半導体スイッチ等を含む電装品ユニットを通風スペースに置き、ファンにより生じる風をこれに当てることにより、効率的に冷却することができる。
【0004】しかし、電気部品は一般に水分に弱いため、電装品ユニットは、水分の侵入しやすい通風スペースから分離された機械室内に配置されることが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように電装品ユニットを機械室に完全に配置すると、冷却が難しくなる。このため半導体スイッチ等の冷却を、例えば図7(a)、(b)に示すように、電装品ユニット140の一部を機械室S2から通風スペースS1へ突出するように配置し、この部分にファン33により生じる風(白抜き矢印A1~A3参照)を当てることにより行うこともある。図7(a)、(b)に示すように電装品ユニットを配置すれば、水分の侵入しやすい通風スペースに露出する部分を最小限に抑えつつ、ファンの風を利用した効率的な冷却が可能となる。」
イ「【0020】室外機3の概略図を図2(a)、(b)に示す。室外機3は主として、ケーシング20、仕切り板21、圧縮機34、熱交換器31、ベルマウス22、ファン33、ファンモータ台32、ファンモータ(図示せず)、および電装品ユニット40で構成される。ケーシング20は、前面に排気口20a、後面に吸気口20bを有しており、ファン33によって図2の白抜き矢印A1~A3のように風の流れが生じる。ケーシング内部は、仕切り板21により通風スペースS1と機械室S2とに分離されている。
【0021】機械室S2は、水分の侵入を防止するために、ある程度外気から密閉された空間となっている。通風スペースS1には、前面の排気口20aの内側にベルマウス22が設けられ、ベルマウス22の後方にはファンモータ台32が設置されている。ファンモータ台32にはファンモータ(図示せず)が固定され、ファンモータの駆動軸にプロペラファン33が止めナットによって取り付けられる。ファン33の後方から側方にかけてL字形状に形成された熱交換器31が取り付けられる。
【0022】機械室S2には、圧縮機34や図示しない冷媒回路部品等が取り付けられる。〔電装品ユニットの構造及び配置〕電装品ユニット40は空気調和機1の制御を行うための電気部品が内装される。また電装品ユニット40は、第1電装部41と第2電装部43とに分離され、これらはハーネス44で接続される。第1電装部41は、電気部品のうち、ダイオードやパワースイッチ等の放熱部材を必要とする程度の冷却が必要な発熱部品すべてを含む。また、第2電装部43は、このような冷却を必要としない電気部品により構成されている。第1電装部41には放熱フィン42が取り付けられ、ファン33により生じる風(図2の白抜き矢印A1~A3を参照)をこの放熱フィン42等に当てることにより第1電装部41が冷却される。」
ウ「【図2】
[図:0001404215000001.jpg]
」
エ「【図7】
[図:0001404215000002.jpg]
」
オ 上記イの用語及びウを参酌すると、上記エの【図7】(a)(b)から、室外機のケーシングと、ケーシングの背面側の内側に向き合わせて設けられた熱交換器と、ケーシングの正面側に設けられ、排気口を形作る円形の開口の縁から突き出る環状のベルマウスが看取できる。
カ 上記イの用語及びウを参酌すると、上記エの【図7】(a)(b)から、ケーシングの内部には、半導体スイッチ等を含む電装品ユニット140が設けられ、ケーシングの内部であって正面から見て排気口を形作る円形の開口およびベルマウスと重ならない位置かつ熱交換器よりもケーシング正面側に設けられ、熱交換器を通過した空気があたることで電装品ユニットを冷却するフィンが看取できる。
キ 上記イの用語及びウを参酌すると、上記エの【図7】(a)(b)から、ベルマウスのケーシングの背面側の端部と接し、かつ、ケーシングの正面側の内側面と平行な仮想的な面を仮想面としたとき、上方から見た電装品ユニット140を冷却するフィンは、前記仮想面とケーシングの背面側の内側との間の領域に設けられていることが看取できる。
ク 上記イの用語及びウを参酌すると、上記エの【図7】(b)から、正面側から見てベルマウスの範囲内にファンを看取することができる。
ケ 上記イの用語及びウを参酌すると、上記エの【図7】(a)から、全てのフィンは、天面から見てファンと重なっておらず、【図7】(b)から、全てのフィンは、正面から見てファンと重なっていないことを看取することができる。
(2)引用発明
以上の事項から、引用文献1には、次の発明が記載されているといえる(以下、「引用発明」という。)。
(引用発明)
「ケーシングと、ケーシングの背面側の内側に向き合わせて設けられた熱交換器と、ケーシングの正面側に設けられ、排出口を形作る円形の開口の縁から突き出る環状のベルマウスと、正面側から見てベルマウスの範囲内に配置されるファンと、ケーシングの内部に設けられ、半導体スイッチ等を含む電装品ユニット140と、ケーシングの内部であって正面から見て排気口を形作る円形の開口及びベルマウスと重ならない位置かつ熱交換器よりもケーシング正面側に設けられ、熱交換器を通過した空気があたることで電装品ユニット140を冷却するフィンと、を備え、全てのフィンは、正面及び天面から見てファンと重なっておらず、ベルマウスのケーシングの背面側の端部と接し、かつ、ケーシングの正面側の内側面と平行な仮想的な面を仮想面としたとき、上方から見た電装品ユニット140を冷却するフィンは、前記仮想面とケーシングの背面側の内側との間の領域に設けられている室外機。」
5.当審の判断
(1) 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「ケーシング」は、室外機3の「ケーシング」であり、一般に室外機のケーシングは、正面パネルと、正面パネルと向き合う背面パネルと、左側面パネルと、左側面パネルと向き合う右側面パネルと、底面パネルと、底面パネルと向き合う天面パネルとを有し、正面パネルに気流の吹出口が設けられていることが技術常識であるから、引用発明の「ケーシング」は、本願発明の「気流の吹出口を有する正面パネルと、前記正面パネルと向き合う背面パネルと、左側面パネルと、前記左側面パネルと向き合う右側面パネルと、底面パネルと、前記底面パネルと向き合う天面パネルとを有する筐体」に相当する。
引用発明の「ケーシングの背面側の内側に向き合わせて設けられた熱交換器」は、上記のとおり、ケーシングの背面側に背面パネルが設けられることが技術常識であるから、本願発明の「前記筐体の前記背面パネルの内側に向き合わせて設けられた熱交換器」に相当する。
引用発明の「ケーシングの正面側に設けられ、排出口を形作る円形の開口の縁から突き出る環状のベルマウス」は、上記のとおり、ケーシングの正面側に正面パネルが設けられることが技術常識であるから、本願発明の「前記正面パネルに設けられ、前記吹出口を形作る円形の開口の縁から突き出る環状のベルマウス」に相当する。
引用発明の「正面側から見てベルマウスの範囲内に配置されるファン」は、当該ファンが、ベルマウスの内縁をケーシングの正面側から背面側に向かう方向に投影した領域内に配置されていることが明らかであるから、本願発明の「前記ベルマウスの内側に配置される送風機」に相当する。
引用発明の「半導体スイッチ等」は、本願発明の「電機部品」に相当する。
そして、室外機において半導体スイッチ等の電機部品を制御基板に配置されることが技術常識であるから、引用発明の「ケーシングの内部に設けられ、半導体スイッチ等を含む電装品ユニット140」は、本願発明の「筐体の内部に設けられ、電気部品が設けられる制御基板」に相当する。
電装品ユニット140に設けられた半導体スイッチが発熱することは、技術常識であって、引用発明の電装品ユニット140は、フィンによって半導体スイッチから発生する熱を放射して冷却されることが明らかであるから、引用発明の「ケーシングの内部であって正面から見て排気口を形作る円形の開口及びベルマウスと重ならない位置かつ熱交換器よりもケーシング正面側に設けられ、熱交換器を通過した空気があたることで電装品ユニット140を冷却するフィン」は、本願発明の「前記筐体の内部であって正面から見て前記開口および前記ベルマウスと重ならない位置かつ前記熱交換器よりも前記正面パネル側に設けられて、前記熱交換器を通過した空気があたることで前記電気部品から発生する熱を放射する放熱部」に相当する。
引用発明の「全てのフィンは、正面及び天面から見てファンと重なって」いないことは、本願発明の「前記放熱部の全領域は、正面及び天面から見て前記送風機と重なって」いないことに相当する。
引用発明の「ベルマウスのケーシングの背面側の端部と接し、かつ、ケーシングの正面側の内側面と平行な仮想的な面を仮想面」は、本願発明の「前記ベルマウスの前記背面パネル側の端部と接し、かつ、前記正面パネルの内側面と平行な仮想的な面を仮想面」に相当する。
そして、引用発明のフィンは、電動品ユニット140の大きさに応じて風上側及び風下側に端部を備えることが技術的に明らかであるから、引用発明の「ベルマウスのケーシングの背面側の端部と接し、かつ、ケーシングの正面側の内側面と平行な仮想的な面を仮想面としたとき」、「上方から見た電装品ユニット140を冷却するフィンは、前記仮想面と筐体の背面側の内側との間の領域に設けられている」ことは、本願発明の「前記ベルマウスの前記背面パネル側の端部と接し、かつ、前記正面パネルの内側面と平行な仮想的な面を仮想面としたとき」、「上方から見た前記放熱部の風上側端面及び風下側端面は、前記仮想面と前記背面パネルとの間の領域に設けられる」ことに相当する。
引用発明の「室外機」は、本願発明の「室外機」に相当する。
してみると、本願発明と引用発明との間に相違点がないから、本願発明は、引用発明である。
(2)審判請求人の主張について
審判請求人は、令和5年3月3日に提出した意見書の「2.拒絶理由に対する意見」において、以下のように主張する。
「 本願請求項1の発明では、放熱部が筐体の内部であって正面から見て開口およびベルマウスと重ならない位置かつ熱交換器よりも正面パネル側に設けられるという構成と、上方から見た放熱部の風上側端面及び風下側端面が、仮想面と背面パネルとの間の領域に設けられるという構成に加え、放熱部の全領域が、正面及び天面から見て送風機と重なっていないという構成を備えています。これにより本願請求項1の発明では、放熱部の冷却効率が向上し、制御基板に設けられた電気部品が効率的に冷却されるという効果を奏します。これに対し、引用文献1においては、図7(a),(b)に示されるように、放熱フィンを含む電装品ユニット140の一部がファン33と重なる領域まで延在されています。また、引用文献2,3にも、本願請求項1の発明の、放熱部の全領域が、正面及び天面から見て送風機と重なっていないという構成は示されていません。」
しかしながら、引用文献1の【図7】(a)、(b)におけるいずれのフィンもファンと離れた位置にあることが看て取れる以上、上記3.(1)ケで説示したとおり、引用文献1の【図7】(a)、(b)において、「全てのフィン」が「ファン」と重なっていない態様が看取できるものといわざるを得ない。そして、「全てのフィン」が設けられた「電装品ユニット140」についても、「ファン」と重なることは、看取できないから、審判請求人の主張は、当を得ないものであるといわざるを得ない。
6.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の発明に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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