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特許拒絶査定不服審判

2022-010307

抗疲労剤

審判番号
2022-010307
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-001190外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年07月04日
審決日
2024年05月08日
公報発行日
2024年07月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-1190「抗疲労剤」拒絶査定不服審判事件〔令和3年 4月1日出願公開、特開2021-50244〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成27年6月25日(以下、「本願の出願日」という。)に出願された特願2015-127862号の一部を、令和1年7月11日に新たな出願とした特願2019-129279号の一部を、さらに、令和3年1月7日に新たな出願としたものであり、その主な手続の経緯は、次のとおりである。

令和3年 4月22日 手続補正書の提出

同年 7月 5日付け 拒絶理由通知書

同年 9月10日 手続補正書及び意見書の提出

同年10月20日付け 拒絶理由通知書

令和4年 2月15日 意見書の提出

同年 3月30日付け 拒絶査定

同年 7月 4日 審判請求書の提出

同年 8月 1日 手続補正書(方式、請求の理由の補充)の提出

令和5年 8月16日付け 拒絶理由通知書(当審)

同年10月16日 手続補正書及び意見書の提出

第2 本願発明

本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、令和5年10月16日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「【請求項1】
オルニチン又はその塩と、ビタミンB1と、葉酸と、リジン塩酸塩と、二酸化ケイ素とを配合したことを特徴とする錠剤又はカプセル剤のサプリメント(ただし、1)スッポン粉末とシジミエキス末とオルニチン塩酸塩とを含むもの、2)ω-3多価不飽和脂肪酸と、L-アルギニン、L-オルニチン、L-アルギニン前駆体及びL-オルニチン前駆体のうち少なくとも1つとを有効成分とするダイエット用食品、並びに3)鉄及びジアミノ酸ペプチドを含むサプリメントを除く。)。」

第3 拒絶の理由

令和5年8月16日付けで当審が通知した拒絶理由のうち、請求項1に係る発明(本願発明に対応する。)に対する、引用文献2を主引用文献とする理由2(進歩性)は、次のとおりである。

請求項1に係る発明は、本願の出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献2に記載された発明に基いて、その出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

・引用文献2:MINTEL GNPD, ID No.1806873, Modified Release Swallow Tablets,2012年5月掲載,URL:https://portal.mintel.com
・引用文献3:MINTEL GNPD, ID No.1727651, Whey Isolate Complex,2012年2月掲載,URL:https://portal.mintel.com
・引用文献23:「オルニチンの機能性研究」, 食品と開発, 2005年, Vol.40, No.11, p.62~64
・引用文献24:特開2008-156294号公報

第4 引用文献の記載事項、引用発明及び周知技術

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各引用文献の記載事項、引用発明及び周知技術は以下のとおりである。なお、原文の一部は外国語で記載されているため、その場合、当審合議体による日本語訳も併記した。また、下線は当審合議体が付した。

1 引用文献2に記載された事項

引用文献2には、「GR StaminoGro」と称される製品について、以下の記載がある。

(摘記2a)

「
[図:0001411677000001.jpg]
」

(当審注:日本語訳は省略した。)

(摘記2b)

「GR StaminoGro Modified Release Swallow Tablets contain amino acids, antioxidants, calcium and other vitamins and minerals. The supplement provides the body with fuel that cells need to function. Amino acids are important building blocks of the body and may assist in cellular repair and the anti-ageing processes. Antioxidants play a role in maintaining healthy gums, skin and connective tissue to defend against free radicals. B-complex vitamins assist in the production of healthy red blood cells and are important for energy release, while calcium and vitamin D help to maintain healthy bones and teeth. This supplement can also help with increasing lean muscle mass and decreasing weight. It is free of artificial flavours,preservatives, salt, yeast and animal testing. The certified halal product, which is suitable for vegetarians, retails in a pack of 60 tablets.」(「商品説明」欄)

「GR StaminoGro 放出調節飲み込み錠剤には、アミノ酸、抗酸化物質、カルシウム、その他のビタミンやミネラルが含まれている。このサプリメントは、細胞が機能するために必要な燃料を体に提供している。アミノ酸は体の重要な構成要素であり、細胞の修復と老化防止のプロセスに役立つ可能性がある。抗酸化物質は、フリーラジカルから身を守るために健康な歯肉、皮膚、結合組織を維持する役割を果たす。ビタミンB群は健康な赤血球の生成を助け、エネルギー放出に重要であり、カルシウムとビタミンDは健康な骨と歯の維持に役立つ。このサプリメントは、除脂肪筋肉量の増加と体重の減少にも役立つ。人工香料、保存料、塩、酵母は含まれておらず、動物実験もしていない。ベジタリアンに適した認定ハラール製品は、60錠入りのパックで販売されている。」

(摘記2c)

「L-arginine, L-glutamine, glycine, L-lysine,L-ornithine, antioxidants (beta-carotene, lipoic acid, selenium, vitamin C, vitamin E, zinc), folic acid, vitamin B1 (thiamine), vitamin B2 (riboflavin), vitamin B3 (nicotinamide), vitamin B5 (pantothenic acid), vitamin B6 (pyridoxine), vitamin B12 (derived from methylcobalamin), calcium, vitamin D, biotin, choline bitartrate, copper, magnesium, manganese」(「成分(パッケージ表示)」の欄参照)。

「L-アルギニン、L-グルタミン、グリシン、L-リジン、L-オルニチン、抗酸化剤(ベータ-カロテン、リポ酸、セレン、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛)、葉酸、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ニコチンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB12(メチルコバラミン由来)、カルシウム、ビタミンD、ビオチン、酒石酸水素コリン、銅、マグネシウム、マンガン」

2 引用文献2に記載された発明(引用発明)

上記1より、引用文献2には、「錠剤」形態である「サプリメント」が記載されており(摘記2a、2b)、また、その成分は、摘記2cに示されるとおりのものである。

そうすると、引用文献2には、以下の発明が記載されていると認められる。

(引用発明)

「L-アルギニン、L-グルタミン、グリシン、L-リジン、L-オルニチン、抗酸化剤(ベータ-カロテン、リポ酸、セレン、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛)、葉酸、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ニコチンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB12(メチルコバラミン由来)、カルシウム、ビタミンD、ビオチン、酒石酸水素コリン、銅、マグネシウム、マンガンを成分とする錠剤のサプリメント。」

3 引用文献23、24の記載事項

(1) 引用文献23に記載された事項

(摘記23a)

「2.オルニチンの生理活性
オルニチンは生体にとって重要な多くの機能を担っている。主要な機能を以下に紹介する。
(1)成長ホルモンの分泌促進
成長ホルモンの分泌を促進させることが知られている1)。成長ホルモンは、タンパク合成を促すことから筋肉作りや基礎代謝の向上に有効であると考えられているが、米国ではアンチエイジング物質としても注目されている。」(62頁中央欄2の項)

(当審注:上記において、「(1)」は丸囲いの1を意味する。)

(摘記23b)

「(1)疲労自覚症状の軽減作用
アンケートの作成にあたっては、産業疲労研究会撰「自覚症状調べ」12)を参考にした。この調査表は、1970年に提唱されてから近年改定されるまでの約30年間にわたり、労働者の疲労に関する自覚症状調査に用いられたものである。「眠気とだるさ」「注意集中の困難」「局在した身体違和感」の3群からなる質問で構成されている。ここでは主に、「眠気とだるさ」および「注意集中の困難」について評価を行った。結果を図2に示す。「注意集中の困難」のひとつである「考えのまとめ」は、プラセボ群に対して有意に高値を示し(図2B)、その他の質問項目でもオルニチン群で高値を示した(図2A、B)。このことから、オルニチンの摂取により疲労の自覚症状が軽減することが示された。」(63頁中央欄5の項)

(当審注:上記において、「(1)」は丸囲いの1を意味する。)

(摘記23c)

「
[図:0001411677000002.jpg]
[図:0001411677000003.jpg]
」(63頁図2A、2B)

(2) 引用文献24に記載された事項

(摘記24a)

「【0019】
続いて、これらの筋芽細胞活性化作用についてさらに詳しく探求したところ、これらの内の、刺梨,アガリクス茸,コレウス,クコシ,ユズ種子,ソバ葉,マカ,ガラナ,タイソウ,パフィア,エゾウコギ,トナカイ角,カキの各抽出物、コエンザイムQ10、γ-オリザノール、オクタコサノール、アスタキサンチン、ルチン、ヘスペリジン、プロタミン、カルニチン、γ-アミノ酪酸、オルニチン、システイン、ヌクレオプロテイン、大豆ペプチド、C12ペプチドに、筋芽細胞の増殖を促進する作用があることが判明した。また、筋芽細胞の分化を促進する作用が、刺梨,アガリクス茸,コレウス,ワランゴ,オウセイ,ウコン,ムイラプアマ,マカ,ガラナ,ミカン,ココア,タイソウ,パフィア,シリマリン,アサイ,エゾウコギ,トナカイ角の各抽出物、β-グアニジノプロピオン酸、アスタキサンチン、ヘスペリジン、DNA、オルニチン、システイン、大豆ペプチド、C12ペプチドにあることが判明した。」

(摘記24b)

「【0062】
オルニチンは、アミノ酸の一種で、尿素回路を構成する物質の一つであり、アルギニンの分解によって生成する。オルニチンは発酵法などにより製造される。このオルニチンには、本願発明に定義の筋芽細胞の増殖促進作用と分化促進作用の両作用が認められる。このオルニチンには、各種市販品があり、例えば、協和発酵工業株式会社(商品名「L-オルニチン塩酸塩協和」)から入手することができる。本発明にかかる筋芽細胞活性化剤の有効成分をこのオルニチンのみから構成する場合には、本活性化剤全量100重量部に対して、1~100重量部である。また、係るオルニチン単独構成の活性化剤をサプリメントとして調製し、筋力増強を目的に摂取する場合、一日当たりの摂取量は、1~10000mgが適当であり、好ましくは、10~3000mg、より好ましくは100~1000mgである。」

4 引用文献3、周知文献A~Dの記載事項及び周知技術

(1) 引用文献3に記載された事項

引用文献3には、「Collagen Sport Whey Isolate Complex」と称される製品について、以下の記載がある。

(摘記3a)

「
[図:0001411677000004.jpg]
」

(当審注:日本語訳は省略した。)

(摘記3b)

「Collagen Sport Whey Isolate Complex is an anti-aging protein powder for athletes. The product contains 30g protein per serving, and is a four in one breakdown for muscle recovery: whey protein isolate to refuel; collagen peptides to recover; L-glutamine and amino acids to regenerate; and vitamins and antioxidants to replenish. It features a Belgian chocolate flavour, and is free from gluten, sugar, lactose, artificial sweeteners or flavors, and fillers or synthetic ingredients. It needs to be added with either water or low fat milk, and retails in a 23.8-oz. pack.」(「商品説明」の欄)

「Collagen Sport Whey Isolate Complexは、アスリート向けのアンチエイジングプロテインパウダーである。この製品には1回分あたり30gのプロテインが含まれており、筋肉の回復のための4つの要素が1つにまとめられている:エネルギー補給のためのホエイプロテインアイソレート;回復のためのコラーゲンペプチド;再生するためL-グルタミンとアミノ酸;補給するためのビタミンや抗酸化物質。ベルギーチョコレート風味で、グルテン、砂糖、乳糖、人工甘味料や人工香料、増量剤や合成成分は含まれていない。水または低脂肪乳を加える必要があり、23.8オンスのパックで販売されている。」

(摘記3c)

「Supplement facts: whey protein isolate, super collagen 1&3 protein, vitamin A palmitate, vitamin C (ascorbic acid), vitamin D3 (cholecalciferol), vitamin E (acetate),vitamin B1 (thiamine HCL), vitamin B2 (riboflavin), niacin (niacinamide), vitamin B6(pyridoxine HCL), folic acid (USP), vitamin B12 (cyanocobalamin), pantothenic acid(d-calcium pantothenate), calcium carbonate, iron (ferrous gluconate), iodine(potassium iodide), Magnesium (magnesium oxide), zinc (zinc oxide), selenium(sodium selenite), copper (copper gluconate), chromium (chromium chloride),molybdenum (sodium molybdate), L-glutamine, exogenous amino acid blend(L-arginine HCL, L-lysine HCL, L-theorine, L-ornithine HCL, L-leucine)
other ingredients: whey protein isolate (containing alpha and beta lactoglobulin, bovine serum albumin (BSA), lysozymes,glycomacropeptides, lactoferrin, lactoperoxides, lysozyme), super hydrolyzed collagen peptides, fiber blend (inulin, guar gum, rice bran, apple pectin), natural chocolate flavor, xylitol (natural sweetener)」(成分(パッケージ表示)欄)
「サプリメントファクツ: ホエイプロテインアイソレート、スーパーコラーゲン1&3プロテイン、ビタミンAパルミチン酸塩、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、ビタミンE(酢酸塩)、ビタミンB1(チアミン塩酸塩)、ビタミンB2(リボフラビン)、ナイアシン(ナイアシンアミド)、ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩)、葉酸(USP)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、パントテン酸(d-パントテン酸カルシウム)、炭酸カルシウム、鉄(グルコン酸第一鉄)、ヨウ素(ヨウ化カリウム)、マグネシウム(酸化マグネシウム)、亜鉛(酸化亜鉛)、セレン(亜セレン酸ナトリウム)、 銅(グルコン酸銅)、クロム(塩化クロム)、モリブデン(モリブデン酸ナトリウム)、L-グルタミン、外来アミノ酸ブレンド(L-アルギニン塩酸塩、L-リジン塩酸塩、L-テオリン、L-オルニチン塩酸塩、L-ロイシン)
その他の成分:ホエイプロテインアイソレート(アルファおよびベータラクトグロブリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、リゾチーム、グリコマクロペプチド、ラクトフェリン、ラクトペルオキシド、リゾチームを含む)、超加水分解コラーゲンペプチド、ファイバーブレンド(イヌリン、グアーガム、米ぬか、リンゴペクチン) 、天然チョコレートフレーバー、キシリトール(天然甘味料)」

(2) 周知文献Aに記載された事項

周知文献A:「DHC オルニチン 20日分 100粒」,[online],2014年8月5日[2024年3月21日検索],インターネット<URL: https://web.archive.org/web/20140805230705/https:/www.amazon.co.jp/DHC-%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%81%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%BC-602577-%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%83%8B%E3%83%81%E3%83%B3-20%E6%97%A5%E5%88%86/dp/B00I95KPFS>

(摘記A1)

「
[図:0001411677000005.jpg]
」

上記商品パッケージ右上の「1日5粒目安 ハードカプセル」という記載(商品パッケージ右上箇所)

(摘記A2)

「1日5粒を目安にシジミ貝約2,300個分に相当するオルニチン塩酸塩1.280mgを配合しました。更に必須アミノ酸のリジンや、オルニチンとともに働くアルギニンをプラスして、働きを強化。トリプルアミノ酸パワーで、忙しく過ごしている方や元気が必要な中高年の方の毎日はもちろん、お酒を飲む機会が多い方の健康をサポート。」(「商品紹介」の欄)

(摘記A3)

「【主要原材料】オルニチン塩酸塩、アルギニン、リジン塩酸塩 【調整剤等】 グリセリン脂肪酸エステル、二酸化ケイ素 【被包剤】 ゼラチン、着色料(カラメル、酸化チタン)」(「原材料・成分」の欄)

(3) 周知文献Bに記載された事項

周知文献B:特開2014-47182号公報

(摘記B1)

「【請求項5】
少なくとも1種の吸水性アミノ酸又はその塩と、外観変化抑制剤とを含有し、
前記外観変化抑制剤がケイ酸塩であり、
前記吸水性アミノ酸又はその塩に対する前記ケイ酸塩の量が、質量比(ケイ酸塩/吸水性アミノ酸又はその塩)で、0.01~10.0であることを特徴とする外観変化抑制錠剤。」

(摘記B2)

「【0017】
-吸水性アミノ酸又はその塩-
前記吸水性アミノ酸とは、水をよく吸収する性質、空気中の水分乃至湿気をよく吸収乃至吸収する性質、少量の吸水乃至吸湿により潮解性や粘着性を呈する性質を有するアミノ酸をいう。
前記吸水性アミノ酸の具体例としては、プロリン、リジン、アルギニン、グルタミン酸、ヒスチジン、システイン(シスチンを含む)、オルニチン等が挙げられる。
前記吸水性アミノ酸の塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の無機酸又は有機酸との塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の塩基との塩等が挙げられ、具体的には、アルギニン-グルタミン酸塩、リジン塩酸塩等が挙げられる。
・・・。」

(摘記B3)

「【0047】
・・・。
前記機能性成分、各種ポリフェノール類、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤、結合剤、固着剤、着色剤、pH調整剤、緩衝剤、及び酸化防止剤のそれぞれの含有量としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
・・・。
前記滑沢剤の具体例としては、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、微粒二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、植物油脂、硬化油等が挙げられる。
前記賦形剤の具体例としては、乳糖、ビール酵母、デキストリン、コーンスターチ等のデンプン等が挙げられる。
・・・。」

(摘記B4)

「【0072】
前記実施例1の錠剤1錠あたりの各成分の配合量と、配合率は以下の通りである。
〔配合量(配合率)〕
・ リジン塩酸塩 15.22mg(3.44質量%)
・ ロイシン 14.52mg(3.29質量%)
・ フェニルアラニン 14.34mg(3.24質量%)
・・・
・ ステアリン酸カルシウム 4.40mg(1.00質量%)
・ セラック 2.00mg(0.45質量%)
合計 442.00mg(100.00質量%)」

(摘記B5)

「【0077】
本発明の外観変化抑制錠剤は、吸水性アミノ酸又はその塩を含有するにも関わらず、錠剤における斑点や褐変を抑制することができるので、プロリン等の吸水性アミノ酸又はその塩の補給のために用いられる栄養補助食品やサプリメントに好適に利用可能である。
・・・。」

(4) 周知文献Cに記載された事項

周知文献C:「なかったことに!R40 120粒」,[online],2015年4月24日[2024年3月21日検索],インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20150424024652/https:/www.amazon.co.jp/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%B3-%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%B3%E3%83%88%E3%81%AB-R40-120%E7%B2%92/dp/B00S0GOUR0>

(摘記C1)

「
[図:0001411677000006.jpg]
」

上記商品パッケージ右上の「丸型タブレット約30食分」という記載(商品パッケージ右上箇所)

(摘記C2)

「なかったコトに!から、40代からの大人なダイエットサプリが新登場!ヤムイモ成分でパワーアップ!!」(「商品説明」の欄)

(摘記C3)

「原材料・成分
還元麦芽糖水飴、白インゲン豆エキス、マルトデキストリン、キダチアロエ末、食用卵穀粉、デキストリン、ワイルドヤムエキス末、α-リポ酸、ハス葉エキス末、L-オルニチン、L-カルニチンフマル酸塩、メリロートエキス末、サラシアレティキュラータエキス末、パン酵母(亜鉛・マンガン・銅・ヨウ素・セレン・クロス・モリブデン含有)、植物発酵食品、難消化性デキストリン、セルロース、L-アルギニン、L-グルタミン、酸化Mg、ステアリン酸CA、二酸化ケイ素、ビタミンC、L-リジン、ビタミンB6、緑茶抽出物、抽出ビタミンE、ナイアシン、パントテン酸Ca、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンA、葉酸、ビタミンD、ビタミンB12、(原材料の一部に卵、大豆、やまいも、りんご、バナナを含む)」(「原材料・成分」の欄)

(5) 周知文献Dに記載された事項

周知文献D:製剤における流動化剤の機能発現機構-表面構造および濡れ特性の影響-,表面科学,2013年,Vol.24,No.10,pp.608-613,https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsssj/24/10/24_10_608/_pdf

(摘記D1)

「1.はじめに
医薬添加剤は,その使用目的により賦形剤,結合剤,崩壊剤など,実に70種類近くに分類される1)。これらの添加剤の中で,流動化剤は混合末や顆粒の流動性を改善する目的で使用され,代表例としてタルクや二酸化ケイ素である軽質無水ケイ酸や含水二酸化ケイ素があげられる2)。また,流動化剤を添加することで,錠剤の硬度が増加し,摩損度が改善されることが報告されている3)。」(608頁、左欄1~8行)

(摘記D2)

「2.流動化剤の役割および機能
流動化剤の代表例として軽質無水ケイ酸,タルクなどがあげられる。日本の製薬会社に対するアンケート結果では,77% の会社で流動化剤が使用されていた2)。また,使用頻度としては軽質無水ケイ酸が最も高く,次いで含水二酸化ケイ素,メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの順であった2)。これらの流動化剤の役割を下記に示す。
2. 1 流動性改善
カプセルや錠剤などの医薬品製造工程には,カプセル充填機や打錠機へ充填過程があり,含量のばらつきの少ない良好な製品を得るために,充填時の重量ばらつきを抑えることが重要である8)。そこで,粉粒体の流動性を与え流動性改善を目的に添加されるのが,流動化剤である。このような役割は流動化剤の最も代表的な機能であり,その最適添加量については多くの文献で,検討されている9~11)。Fig. 1 に直打用乳糖および結晶セルロースに流動化剤である軽質無水ケイ酸を添加した場合の安息角の変化を示す。添加率が増加するに従って,安息角が減少し,流動性が改善されていることがわかる。しかし,添加量がある一定量を超えると,反対に安息角が増加し,その添加量には最適値があることが知られている。
2. 2 硬度増加
打錠工程終了時から製品として患者の手元に届くまでには,包装や輸送ならびに保管工程がある。これらの工程中に欠けや破損を生じないために,錠剤特性として十分な硬度を有する必要がある。特に,成形性の悪い主薬含量の高い製剤などにおいては,一定以上の硬度を付与するために流動化剤を添加することがある3)。Fig. 2 に二酸化ケイ素の添加率を変えた医薬品粉粒体の打錠圧と硬度の相関を示す12)。流動化剤を 0.5% 添加しただけで,硬度の著しい改善が見られている。また,その添加率については,流動性改善と同様に添加量に最適値があるとする報告も見られる13)。しかしながら,全般に研究例が少なく,現象としても十分に把握されていないのが現状である。
2. 3 吸着担体としての利用
前述した機能に加えて流動化剤の広表面積や細孔構造を利用した吸着担体としての役割があげられる14)。油性薬物や漢方薬エキスを流動化剤表面に吸着させることにより粉末化する方法2,15)や,細孔中に薬物を担持させることにより包接化合物を形成するといった応用が検討されている16)。また,難溶性の主薬をエタノール溶媒などを用いて流動化剤に吸着させ,薬物の微細結晶を生成することで,溶出改善を試みる例などもある17)。新薬の製剤化において,溶出性改善は大きな課題であり,本技術の更なる応用が期待される。」(609頁、左欄2行~右欄2行)

(6) 引用文献3及び周知文献A、Bに記載された周知技術について

上記(1)~(3)より、サプリメントにおいて、リジンを塩酸塩として含有させることは、本願の出願日当時に周知技術であったといえる(特に、摘記3c、摘記A3、摘記B2、B4)。

(7) 周知文献B~Dに記載された周知技術について

上記(5)より、錠剤の製造において、流動性改善、硬度増加及び吸着担体とすること等を目的として、二酸化ケイ素を添加することは、本願の出願日当時に当業者が通常に行っていたといえるし(摘記D1、D2)、上記(3)、(4)に示されるように、二酸化ケイ素を錠剤のサプリメントに添加することは、本願の出願日当時に周知技術であったといえる(特に、摘記B3、摘記C3)。

第5 本願発明と引用発明との対比、判断

1 対比

引用発明の「L-オルニチン」は、本願発明の「オルニチン又はその塩」に相当する。

また、引用発明の「錠剤のサプリメント」は、本願発明の「錠剤又はカプセル剤のサプリメント」に相当する。

そして、引用発明の「L-リジン」は、本願発明の「リジン塩酸塩」における「リジン」に相当し、両発明は、アミノ酸として「リジン」を含んでいる点において一致している。

加えて、引用発明は、「L-アルギニン、L-グルタミン、グリシン、L-リジン、L-オルニチン、抗酸化剤(ベータ-カロテン、リポ酸、セレン、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛)、葉酸、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ニコチンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB12(メチルコバラミン由来)、カルシウム、ビタミンD、ビオチン、酒石酸水素コリン、銅、マグネシウム、マンガン」を含むものであるから、本願発明において除くとされている、「1)スッポン粉末とシジミエキス末とオルニチン塩酸塩とを含むもの」、「2)ω-3多価不飽和脂肪酸と、L-アルギニン、L-オルニチン、L-アルギニン前駆体及びL-オルニチン前駆体のうち少なくとも1つとを有効成分とするダイエット用食品」及び「3)鉄及びジアミノ酸ペプチドを含むサプリメント」のいずれにも該当しない。

そうすると、本願発明と引用発明の一致点、相違点は以下のとおりである。

(一致点)

「オルニチン又はその塩と、ビタミンB1と、葉酸と、リジンとを配合したことを特徴とする錠剤又はカプセル剤のサプリメント(ただし、1)スッポン粉末とシジミエキス末とオルニチン塩酸塩とを含むもの、2)ω-3多価不飽和脂肪酸と、L-アルギニン、L-オルニチン、L-アルギニン前駆体及びL-オルニチン前駆体のうち少なくとも1つとを有効成分とするダイエット用食品、並びに3)鉄及びジアミノ酸ペプチドを含むサプリメントを除く。)。」

(相違点1)

本願発明は、「リジン」を塩酸塩とした「リジン塩酸塩」を含むものであるのに対し、引用発明は「L-リジン」を含むものの塩酸塩の形態としていない点。

(相違点2)

本願発明は、「二酸化ケイ素」を含むものであるのに対し、引用発明は「二酸化ケイ素」を含んでいない点。

2 判断

(1) 相違点1について

上記第4の4(6)で説示したように、サプリメントにおいて、リジンを塩酸塩として添加することは、本願の出願日当時の周知技術であるから、引用発明において「L-リジン」を配合する際に「L-リジン塩酸塩」として配合することは、当業者が適宜なし得ることにすぎない。

(2) 相違点2について

上記第4の4(7)で説示したように、錠剤の製造において、流動性改善、硬度増加及び吸着担体とすること等を目的として、二酸化ケイ素を添加することは当業者が通常に行っていることであるし、二酸化ケイ素は錠剤のサプリメントにおいても使用される周知の成分であるから、引用発明において、二酸化ケイ素を配合することは、当業者が必要に応じてなし得ることにすぎない。

(3) 本願発明の効果について

ア 本願発明は、抗疲労効果を発揮するもの(【0006】等)であって、当該効果を裏付ける記載として、本願明細書の実施例1(【0037】~【0051】)には、オルニチンと、他成分として、リジン-塩酸塩、ビタミンB1又は葉酸とを添加したサンプル(2成分系)について、マウス筋芽細胞株C2C12の細胞生存率を測定した結果(図4、6、7)、及び、それらにおける「疲労軽減相乗効果」の有無(表5、6)、が示されており、「オルニチンと、本発明の特定の他成分とを組み合わせることにより、筋細胞が相乗的に活発化した。したがって、本発明の抗疲労剤によれば、疲労をより有効に軽減することができる。」と結論づけられている(【0051】)。

イ しかし、上記第4の3(1)、(2)で示したように、オルニチンが疲労自覚症状を軽減する作用や、本願発明の抗疲労効果を裏付ける筋芽細胞の増殖促進作用及び分化促進作用疲労軽減作用を有するものであることは、本願の出願日当時に公知であったし、引用発明は、オルニチンを含むものであるから、当業者であれば、引用発明は、抗疲労作用を有するものであると理解できる。

ウ 加えて、本願明細書の【0022】には、サプリメントの配合成分について、「・・・本発明の抗疲労剤においては、オルニチン又はその塩と共に、有効成分として、・・・グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、・・・から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸類(塩を含む)を用いることが好ましい。塩としては、例えば、ナトリウム塩、塩酸塩等を挙げることができる。」との記載はあるものの、本願明細書全体の記載を参酌しても、「リジン塩酸塩」と「リジン」の配合効果を比較したデータの記載はないから、「リジン塩酸塩」と「リジン」とは同等の効果を有するものと認められる。

そして、「二酸化ケイ素」は、実施例の製剤例に記載されている成分ではあるものの、それを添加した効果についての記載はなく、また、錠剤の製造において、流動性改善、硬度増加及び吸着担体とすること等を目的として添加される周知の成分であることから(第4の4(7))、筋芽細胞の生存率を向上させる等の抗疲労効果を奏する成分ではないと認められる。

エ 一方で、引用発明は、L-オルニチン、ビタミンB1及び葉酸を含むものであるから、本願明細書の実施例1のオルニチン及びビタミンB1を含む態様(【表6】の1段目)及び、オルニチン及び葉酸を含む態様(【表6】の6段目)と同様の効果を有するものであるといえ、本願発明が、筋芽細胞の生存率が上昇し、疲労軽減相乗効果を有するのであれば、引用発明も同じ効果を有するものであるといえる。

オ そうすると、本願発明が当業者の予測を超える顕著な効果を発揮するとは認められない。

3 小括

以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献2に記載された発明、並びに、引用文献23、24に記載された事項及び引用文献3、周知文献A~Dに記載された周知技術から、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 審判請求人の主張について

審判請求人は、令和5年10月16日提出の意見書において、下記1、2の趣旨の主張をしているので、順に検討する。

1 引用文献2は、完成した商品(販売品)に関するものであり、商品企画から商品設計まで一連のコンセプトのもとに完成されたものであり、成分や形態等において変更の余地が小さいものであるし、引用文献2には、二酸化ケイ素を配合することについて、開示も示唆もないから、引用発明において、二酸化ケイ素を配合することは、困難である旨の主張。

しかしながら、商品の開発や企画において、商品を含む公知技術を基礎とし、様々な消費者のニーズに応じることができるもの等を検討して、改良を行うことは、当業者が通常に行っていることである。

そして、第5の2(2)で説示したように、引用文献2にその開示や示唆がなくとも、当業者であれば、引用発明に二酸化ケイ素を配合することは容易になし得たことといえる。

そうすると、審判請求人の上記1の主張は採用できない。

2 引用文献2には、商品説明の欄には、アミノ酸、ビタミンB群のそれぞれの機能が別々に説明されていることから、単に、各成分のもつ独自の機能を発揮するために配合されているのであって、成分の組合せにより、筋芽細胞の増殖の相乗的促進効果が得られるという本発明の技術思想は全く読み取れない旨の主張。

しかしながら、引用文献2には、成分の組合せが記載されているのであって、上記第5の2(1)及び(2)に説示したとおり、引用発明において、L-リジンを「L-リジン塩酸塩」とし(相違点1)、更に錠剤における周知の成分である「二酸化ケイ素」を配合して(相違点2)、本願発明の構成に至ることは当業者が容易になし得たことである。

そして、上記第5の2(3)に説示したとおり、引用発明が本願発明の抗疲労効果を裏付ける筋芽細胞の増殖促進作用を有するものであると当業者は理解することができる。

したがって、引用文献2において、審判請求人が主張する「本発明の技術思想」の存否は、進歩性の結論を左右するものではない。

そうすると、審判請求人の上記2の主張を検討しても、上記第5の2に説示した判断に誤りはない。

第7 むすび

以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用文献2に記載された発明、並びに、引用文献23、24に記載された事項及び引用文献3、周知文献A~Dに記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-010307

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