2022-009981
取り替え可能な機能モジュールを有する携帯型フィールド保守ツールシステム
- 審判番号
- 2022-009981
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-139312外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月29日
- 審決日
- 2024年10月30日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フィッシャー-ローズマウント システムズ,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】井上 誠一
- 分類
- P18 .121-WZ (G05B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年7月18日(パリ条約による優先権主張 2016年7月22日 (US)アメリカ合衆国)の出願であって、出願後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
1 令和2年 7月20日
手続補正書の提出
2 令和3年5月6日付け
拒絶理由を通知
3 令和3年8月10日
意見書及び手続補正書の提出
4 令和3年11月8日付け
拒絶理由を通知
5 令和4年2月9日
意見書の提出
6 令和4年3月3日付け
拒絶をすべき旨の査定
7 令和4年6月29日
審判請求書及び手続補正書の提出
8 令和5年3月29日付け
拒絶理由を通知
9 令和5年6月27日
意見書及び手続補正書の提出
10 令和6年1月17日付け
拒絶理由を通知(以下、この通知を「当審拒絶理由通知」という。)
11 令和6年4月11日
意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~14に係る発明(このうち請求項1に係る発明を、以下「本願発明1」という。)は、令和6年4月11日提出の手続補正書により補正をした特許請求の範囲の請求項1~14に記載した事項により特定されるとおりのものであって、このうち、本願発明1を特定する請求項1に記載した事項は以下のとおりである。
「【請求項1】複数の異なる機能タスクをプラント内の設備資産に対して実行する携帯型フィールド保守ツールシステムであって、前記携帯型フィールド保守ツールシステムは:コンピュータプロセッサと、前記コンピュータプロセッサからの情報を表示する電子ディスプレイと、前記コンピュータプロセッサ及び前記電子ディスプレイに給電する電源と、携帯ユニットとして整形され、かつサイズ設定される第1ハウジングに操作可能に一括支持される複数の第1電気コネクタと、を備える手持ち式基材と、前記コンピュータプロセッサからアクセス可能な複数のソフトウェアモジュールであって、各ソフトウェアモジュールが、異なる機能タスクをプロセス制御システムのフィールドデバイスに対して実行するように構成される、前記複数のソフトウェアモジュールと、前記手持ち式基材に取り付けられる複数の機能モジュールであって、各機能モジュールが、前記第1電気コネクタに着脱可能に連結される第2電気コネクタ集合体と、前記機能タスクを実行するように構成されるコンピュータ制御回路と、を備え、前記第2電気コネクタ集合体及び前記コンピュータ制御回路が、ユニットとして第2ハウジングに一括支持される、前記複数の機能モジュールと、を備え、各機能モジュールは、前記手持ち式基材に、前記第2電気コネクタ集合体が前記第1電気コネクタ群のうちの1つ以上の電気コネクタに連結されるように着脱可能かつ操作可能に個別に取り付けられ、前記複数の機能モジュールの第1機能モジュールは、前記手持ち式基材に操作可能に取り付けられると、前記複数のソフトウェアモジュールの第1ソフトウェアモジュールとやりとりを行なって、第1機能タスクを実行し、前記複数の機能モジュールの第2機能モジュールは、前記手持ち式基材に操作可能に取り付けられると、前記複数のソフトウェアモジュールの第2ソフトウェアモジュールとやりとりを行なって第2機能タスクを実行し、前記コンピュータプロセッサは、前記機能モジュールの前記コンピュータ制御回路から供給され、それぞれの異なる機能タスクに関連付けられる情報を読み取ることによって、前記複数の機能モジュールのうちいずれの機能モジュールが、前記手持ち式基材に操作可能に取り付けられるかを認識するように構成され、いずれの機能モジュールが前記手持ち式基材に操作可能に取り付けられるかによって異なるが、事前選択ソフトウェアモジュール部分集合を選択的に有効にするように構成される、携帯型フィールド保守ツールシステム。」
第3 当審拒絶理由通知
1 理由の概要
当審拒絶理由通知において、本願発明1に対して通知した拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
(進歩性)本願発明1は、引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
2 引用文献
引用文献1 特開2011-164083号公報
第4 引用文献の記載事項及び引用発明
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1 引用文献1の記載事項
(1)発明の詳細な説明(下線は当審で付与。)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、即時的(real-time)検出機能を具備する携帯型センサー装置(portable sensor apparatus)に関し、特に着脱可能の不同なセンサー素子を使うことができる携帯型センサー装置に関する。
・・・
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、移動通信機能を具備し、且つ不同なセンサー素子を別々に1つの電子素子に着脱可能に装着して、不同なパラメーターを検出することができる多機能型携帯型センサー装置を提供することにある。
・・・
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の第一実施形態に係る携帯型センサー装置を示す図である。図1の携帯型センサー装置100は、センサー素子120と、携帯型電子素子140と、を含む。前記センサー素子120は、測定物(図に示さない)の物理或いは化学のパラメーターを検出する。前記携帯型電子素子140は、不同なセンサー素子120を1つずつ装着させる。前記携帯型電子素子140は、前記センサー素子120により形成されるデジタル信号を処理して、物理或いは化学パラメーター(検出結果)を得る一方、その検出結果を表示装置で表示する。
【0020】
図2は、図1のセンサー素子120と携帯型電子素子140を示す図である。図2に示したように、前記センサー素子120と携帯型電子素子140は、ユーエスビー手段(Universal Series Bus、USBと略称)により電気接続されている。前記ユーエスビー手段は、前記センサー素子120に設置されているユーエスビープラグ121と、前記携帯型電子素子140に設置されているユーエスビーポート141と、を含む。
【0021】
前記ユーエスビープラグ121を前記ユーエスビーポート141に係合させると、前記センサー素子120と前記携帯型電子素子140が電気接続されるので、センサー素子120と携帯型電子素子140との間の情報転送を実現することができる。
【0022】
前記センサー素子120は、センサー頭部122と、デジタルコンバーター123と、を含む。前記センサー頭部122は、測定物の物理或いは化学パラメーターを検出する一方、物理或いは化学パラメーターに関する比較信号を形成する。前記比較信号は、通常微電圧信号或いは微電流信号である。前記デジタルコンバーター123は、微電圧信号或いは微電流信号から構成される前記比較信号をデジタル信号へ変える。
【0023】
本実施形態の携帯型電子素子140は、携帯電話などうのような電子装置を指す。前記携帯型電子素子140は、メモリユニット142と、処理ユニット143と、表示ユニット144と、を含む。前記メモリユニット142には、不同なセンサー素子120に適用する少なくとも1つのソフトが記憶されている。前記処理ユニット143は、ユーエスビープラグ121とユーエスビーポート141との間の電気接続により前記センサー頭部122が検出したデジタル信号を接収する一方、前記メモリユニット142で選択する適用ソフトによりデジタル信号を分析して測定物のパラメーターを得る。前記表示ユニット144は、前記処理ユニット143により得る測定物のパラメーターを使用者が見るように表示する。
【0024】
本実施形態の即時性センサー装置の「即時性」とは、前記センサー頭部122が短い時間内に測定物の物理或いは化学パラメーターを検出し、且つ短い時間内に前記パラメーターに関する比較信号を形成するものを言う。
【0025】
前記センサー素子120が検出する測定物のパラメーターは、センサー素子120の種類と適用する領域により決定される。本実施形態のセンサー素子120は、イオンセンサー或いはガスセンサーなどのような化学センサーであるか、血糖センサー、血酸素センサーなどのような生物センサーであることができる。前記センサー素子120の不同なセンサー頭部122により、化学構成、水薬濃度、イオン構成(ion composition)、イオン濃度、ガス構成(gas composition)、ガス濃度(gas concentration)、ガス湿度(gas humidity)、ガス圧力、血糖濃度(blood glucose concentration)、血酸素飽和度(blood oxygen saturation)、タンパク質含有量(protein content)などを検出することができる。前記メモリユニット142には、前記センサー素子120が検出する不同なパラメーターに適用する複数のソフトが記憶されている。各々のソフトは、前記処理ユニット143が前記センサー素子120が検出するパラメーターに従って不同な分析方法を使用するようにする。
【0026】
以下、本実施形態のセンサー装置で測定物の化学構成とガス圧力を検出することを例にして、本実施形態の即時性センサー装置の検出の過程を説明する。
【0027】
まず、前記センサー素子120のユーエスビープラグ121を前記携帯型電子素子140のユーエスビーポート141に挿入させて、センサー素子120と携帯型電子素子140を電気接続させる。次に、前記センサー頭部122を測定物の内部に挿入させて、測定物の化学構成に関する比較信号を生じる。前記比較信号は、通常微電圧信号或いは微電流信号であり、前記デジタルコンバーター123によりデジタル信号へ変わる。前記デジタル信号は、ユーエスビープラグ121とユーエスビーポート141との間の電気接続により前記携帯型電子素子140の処理ユニット143に伝送される。前記処理ユニット143は、接収したデジタル信号により前記メモリユニット142で化学構成分析に適用するソフトを選択する。次に、前記処理ユニット143は、選択されたソフトにより、前記センサー素子120によって得るデジタル信号を分析して、化学構成に関するパラメーターを生じる。次に、前記表示ユニット144により化学構成に関するパラメーターが使用者が見られるように表示される。化学構成に関する検出が終わると、化学構成検出用センサー素子120を携帯型電子素子140から分離させる後、ガス圧力検出用センサー素子120を携帯型電子素子140に装着させて、ガス圧力に関する検出を始める。
【0028】
上述したように、不同なパラメーターを検出できる複数のセンサー素子120を前記携帯型電子素子140に別々に装着することができるので、1つのセンサー装置で複数のパラメーターを検出することができる。即ち、不同なパラメーターを検出するセンサー素子120を前記携帯型電子素子140に別々に装着させて、1つのセンサー装置で需要な複数のパラメーターを検出することができるので、センサー装置の数量を減少させるばかりでなく、携帯性を向上させることができる。
【0029】
上述したように、携帯電話などのような前記携帯型電子装置は、信号処理ユニットと、メモリユニット、表示ユニットを含む。複数のパラメーターを検出するセンサー素子を別々にセンサー装置100に装着させて、不同なパラメーターを検出することができるいろいろなセンサー装置を構成することができる。即ち、複数のパラメーターを検出しようとする場合に本発明のセンサー装置100を使用すると、1つの携帯型電子素子140と複数のセンサー素子120だけを準備するとよろしいから、必要するセンサー装置100の数量とセンサー装置100の使用コストを減少させることができる。
【0030】
図3は、本発明の第二実施形態に係る携帯型センサー装置のセンサー素子と携帯型電子素子を示す図である。第二実施形態のセンサー装置200と第一実施形態のセンサー装置100が違うところは、第二実施形態のセンサー装置200の携帯型電子素子240が識別ユニット245をさらに含むことである。前記識別ユニット245は、センサー素子220の種類を識別して、処理ユニット243がメモリユニット242で最適なソフトを選択するようにする。
【0031】
本実施形態のセンサー装置200で測定物のパラメーターを測定する場合、まず前記識別ユニット245が接収した前記センサー素子220のデジタル信号によりセンサー素子220の種類を判断する。次に、センサー素子220の種類に関する情報を前記処理ユニット243に伝送して、前記処理ユニット243が前記メモリユニット242でセンサー素子220の種類に適用するソフトを選択するようにする。次に、前記処理ユニット243が選択されるソフトを使って、センサー素子220が検出するデジタル信号を分析して、化学構成に関するパラメーターを得る。次に、表示ユニット244が化学構成に関するパラメーターを表示して、使用者が見るようにする。
(2)図面
ア 図1
[図:0001420615000001.jpg]
イ 図2
[図:0001420615000002.jpg]
ウ 図3
[図:0001420615000003.jpg]
(3)引用文献1の記載事項の整理
ア 段落【0019】、【0026】~【0027】、【0030】、図1~3の記載からみて、引用文献1には、化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの物理又は化学パラメーターの検出を実行する携帯型センサー装置200について記載されている。
イ 段落【0020】~【0021】、【0023】、【0030】、図2~3の記載からみて、引用文献1記載の第二実施形態に係る携帯型センサー装置200(図3)は、第一実施形態に係る携帯型センサー装置100(図2)に比べて、携帯型電子素子240が識別ユニット245を含む点が異なり、その他の構成は同一であると理解できる。そして、携帯型センサー装置200は、処理ユニット243と、処理ユニット243からの情報を表示する表示ユニット244、及び携帯電話などのような携帯型電子素子240のハウジングに支持されるユーエスビーポート141(図2及び図3)を備える。
ウ 段落【0023】、【0026】~【0027】、【0030】、図2~3の記載からみて、引用文献1記載の携帯型センサー装置200は、処理ユニット243が使う複数のソフト1、2・・・(図3)であって、各ソフト1、2が、化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの物理又は化学パラメーターの検出に適用される(段落【0027】)前記複数のソフト1、2・・・を備える。
エ 段落【0019】~【0023】、【0026】~【0027】、図2~3の記載からみて、引用文献1記載の携帯型センサー装置200は、携帯型電子素子240に取り付けられる複数の不同なセンサー素子220(段落【0028】)を備え、各センサー素子220は、ユーエスビーポート141に着脱可能に係合されるユーエスビープラグ121と、測定物の化学構成やガス圧力などの物理又は化学パラメーターの比較信号を生じるセンサー頭部122と、センサー頭部122により生じる比較信号をデジタル信号へ変えるデジタルコンバーター123とを含み、ユーエスビープラグ121及びデジタルコンバーター123が、センサー頭部122とともに支持されること(段落【0027】)が把握される。
オ 段落【0028】、【0030】、図2~3の記載からみて、各不同なセンサー素子220は、前記携帯型電子素子240に、前記ユーエスビープラグ121が前記ユーエスビーポート141に係合されるように着脱可能に別々に装着されるものである。
カ 段落【0023】、【0025】、【0027】~【0028】、【0030】、図2~3の記載からみて、複数の不同なセンサー素子220のうちの一つのものは、携帯型電子素子240に取り付けられると、複数のソフト1、2・・・のうちの一つを適用して、化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの物理又は化学パラメーターの検出のうちの一つを実行するものであり、複数の不同なセンサー素子220のうちの他の一つのものは、前記携帯型電子素子240に取り付けられると、前記複数のソフト1、2・・・のうちの他の一つを適用して、化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの物理又は化学パラメーターの検出のうちの他の一つを実行するものであることが理解できる。
キ 段落【0023】、【0027】、【0030】~【0031】、図2~3の記載からみて、処理ユニット243は、識別ユニット245が不同なセンサー素子220の前記デジタルコンバーターから接収したセンサー素子220のデジタル信号により、判断した複数の不同なセンサー素子220の種類に関する情報が伝送されるように構成されており、不同なセンサー素子220の種類に適用するソフト1、2・・・を選択することが認められる。
2 引用発明1
上記1(1)~(3)より、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの物理又は化学パラメーターの検出を実行する携帯型センサー装置200であって、前記携帯型センサー装置200は、処理ユニット243と、前記処理ユニット243からの情報を表示する表示ユニット244と、携帯電話などのような携帯型電子素子240のハウジングに支持されるユーエスビーポート141と、を備える携帯型電子素子240と、前記処理ユニット243が使う複数のソフト1、2・・・であって、各ソフト1、2が、化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの物理又は化学パラメーターの検出に適用される前記複数のソフト1、2・・・と、前記携帯型電子素子240に取り付けられる複数の不同なセンサー素子220であって、各センサー素子220が、前記ユーエスビーポート141に着脱可能に係合されるユーエスビープラグ121と、前記化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの物理又は化学パラメーターの比較信号をデジタル信号へ変える回路であるデジタルコンバーターと、を備え、前記ユーエスビープラグ121及び前記デジタルコンバーターが、センサー頭部122とともに支持される、前記複数の不同なセンサー素子220と、を備え、各不同なセンサー素子220は、前記携帯型電子素子240に、前記ユーエスビープラグ121が前記ユーエスビーポート141に係合されるように着脱可能に別々に装着され、前記複数の不同なセンサー素子220のうちの一つのものは、前記携帯型電子素子240に取り付けられると、前記複数のソフト1、2・・・のうちの一つを適用して、化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの物理又は化学パラメーターの検出のうちの一つを実行し、前記複数の不同なセンサー素子220のうちの他の一つのものは、前記携帯型電子素子240に取り付けられると、前記複数のソフト1、2・・・のうちの他の一つを適用して、化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの物理又は化学パラメーターの検出のうちの他の一つを実行し、前記処理ユニット243は、識別ユニット245が前記不同なセンサー素子220の前記デジタルコンバーターから接収したセンサー素子220のデジタル信号により、判断した前記複数の不同なセンサー素子220の種類に関する情報が伝送されるように構成され、前記処理ユニット243が前記不同なセンサー素子220の種類に適用するソフト1、2・・・を選択するようにする、携帯型センサー装置200。」
第5 対比及び判断
1 本願発明1と引用発明1の対比
(1)上記第4の2で認定した引用発明1の「化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの測定物の物理又は化学パラメーターの検出」は本願発明1の「複数の異なる機能タスク」に相当する。
また、引用発明1の「検出を実行する」ことと、本願発明1の「プラント内の設備資産に対して実行する」ことは、「対象に対して実行する」という点で一致し、同様に「携帯型センサー装置200」と、「携帯型フィールド保守ツールシステム」を対比すると、「携帯型装置」という点で一致する。
ここで、「化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの測定物の物理又は化学パラメーターの検出」は本願発明1の「複数の異なる機能タスク」に相当すると認定したことの根拠については、この後の4の「請求人の主張」で詳述する。
(2)引用発明1の「処理ユニット243」は本願発明1の「コンピュータプロセッサ」に相当し、以下同様に「表示ユニット244」は「電子ディスプレイ」に、「携帯電話などのような携帯型電子素子240のハウジング」は「携帯ユニットとして整形され、かつサイズ設定される第1ハウジング」に相当する。そして、引用発明1の「ハウジングに支持されるユーエスビーポート141」と本願発明1の「第1ハウジングに操作可能に一括支持される複数の第1電気コネクタ」を対比すると、引用発明1のユーエスビーポート141は設置された携帯型電子素子140から「操作可能」に手が届くことが明らかであるから、「第1ハウジングに操作可能に支持される第1電気コネクタ」という点では一致する。また、引用発明1の携帯型電子素子240が備える処理ユニット243及び表示ユニット244に給電する電源について明示はないが、電源の存在は自明であり、特に他の箇所に電源を設ける事情も見いだせないから、当然に携帯型電子素子240が備えるものである。そして、引用発明1の「携帯型電子素子240」が、本願発明1の「手持ち式基材」に相当する。
(3)引用発明1の「前記処理ユニット243が使う複数のソフト1、2・・・」は本願発明1の「前記コンピュータプロセッサからアクセス可能な複数のソフトウェアモジュール」に相当する。また、引用発明1の「適用される」と、本願発明1の「プロセス制御システムのフィールドデバイスに対して実行するように構成される」は「対象に対して実行するように構成される」という点で一致する。
(4)引用発明1の「不同なセンサー素子220」は本願発明1の「機能モジュール」に相当し、以下同様に「係合される」は「連結される」に、「ユーエスビープラグ121」は「第2電気コネクタ」に、「デジタルコンバーター」は物理又は化学パラメーターの比較信号をデジタル信号へ変える回路であってコンピュータ制御回路の一部として動作するものであるから「コンピュータ制御回路」に相当する。
そして、引用発明1の「前記ユーエスビープラグ121及び前記デジタルコンバーターが、センサー頭部122とともに支持される、前記複数の不同なセンサー素子220」は、本願発明1の「前記第2電気コネクタ集合体及び前記コンピュータ制御回路が、ユニットとして第2ハウジングに一括支持される、前記複数の機能モジュール」とを対比すると、両者は「前記第2電気コネクタ及び前記コンピュータ制御回路が、ユニットとして第2ハウジングに支持される、前記複数の機能モジュール」という点では一致する。
(5)引用発明1の「別々に」は本願発明1の「個別に」に相当し、同様に「装着され」は「取り付けられ」に相当する。そして、引用発明1の不同なセンサー素子220は設置された携帯型電子素子140から「操作可能」に手が届くことが明らかである。
そうすると、引用発明1の「各不同なセンサー素子220は、前記携帯型電子素子240に、前記ユーエスビープラグ121が前記ユーエスビーポート141に係合されるように着脱可能に別々に装着され」ることは、本願発明1の「各機能モジュールは、前記手持ち式基材に、前記第2電気コネクタ集合体が前記第1電気コネクタ群のうちの1つ以上の電気コネクタに連結されるように着脱可能かつ操作可能に個別に取り付けられ」ることと、「各機能モジュールは、前記手持ち式基材に、前記第2電気コネクタが1つ以上の前記第1電気コネクタに連結されるように着脱可能かつ操作可能に個別に取り付けられ」という点では一致する。
(6)引用発明1の「複数の不同なセンサー素子220のうちの一つのもの」は本願発明1の「複数の機能モジュールの第1の機能モジュール」に相当し、以下同様に、「前記複数のソフト1、2・・・のうちの一つを適用して」は本願発明1の「前記複数のソフトウェアモジュールの第1ソフトウェアモジュールとやりとりを行なって」に、「化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの物理又は化学パラメーターの検出のうちの一つ」は「第1機能タスク」に相当する。
(7)引用発明1の「複数の不同なセンサー素子220のうちの他の一つのもの」は本願発明1の「複数の機能モジュールの第2の機能モジュール」に相当し、以下同様に、「前記複数のソフト1、2・・・のうちの他の一つを適用して」は「前記複数のソフトウェアモジュールの第2ソフトウェアモジュールとやりとりを行なって」に、「化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの物理又は化学パラメーターの検出のうちの他の一つ」は「第2機能タスク」に相当する。
(8)引用発明1の「処理ユニット243は、前記識別ユニット245が前記不同なセンサー素子220の前記デジタルコンバーターから接収したセンサー素子220によって得られるデジタル信号により、判断した前記複数の不同なセンサー素子220の種類に関する情報が伝送されるように構成され、前記処理ユニット243が前記不同なセンサー素子220の種類に適用するソフト1、2・・・を選択するようにする」について、
ア 引用発明1の「前記不同なセンサー素子220の前記デジタルコンバーターから接収したセンサー素子220のデジタル信号」は、化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの物理又は化学パラメーターの検出を実行して得られる信号であるから、本願発明1の「それぞれの異なる機能タスクに関連付けられる情報」に相当する。
イ そして、引用発明1の「センサー素子220のデジタル信号により、判断した前記複数の不同なセンサー素子220の種類に関する情報が伝送されるように構成され、前記処理ユニット243が前記不同なセンサー素子220の種類に適用するソフト1、2・・・を選択するようにする」ことは、携帯型電子素子240に取り付けられたセンサー素子220を認識して、この取り付けられたセンサー素子220が操作可能になるように有効なソフト1、2を選択するのであるから、本願発明1の「機能タスクに関連付けられる情報を読み取ることによって、前記複数の機能モジュールのうちいずれの機能モジュールが、前記手持ち式基材に操作可能に取り付けられるかを認識するように構成され、いずれの機能モジュールが前記手持ち式基材に操作可能に取り付けられるかによって異なるが、事前選択ソフトウェアモジュール部分集合を選択的に有効にするように構成される」ことに相当する。
2 本願発明1と引用発明1の一致点、及び相違点
上記1より、本願発明1と引用発明1は次の(1)の点で一致し、(2)の点で相違する。
(1)一致点
複数の異なる機能タスクを対象に対して実行する携帯型装置であって、前記携帯型装置は:
コンピュータプロセッサと、前記コンピュータプロセッサからの情報を表示する電子ディスプレイと、前記コンピュータプロセッサ及び前記電子ディスプレイに給電する電源と、携帯ユニットとして整形され、かつサイズ設定される第1ハウジングに操作可能に支持される第1電気コネクタと、を備える手持ち式基材と、
前記コンピュータプロセッサからアクセス可能な複数のソフトウェアモジュールであって、各ソフトウェアモジュールが、異なる機能タスクを対象に対して実行するように構成される、前記複数のソフトウェアモジュールと、
前記手持ち式基材に取り付けられる複数の機能モジュールであって、各機能モジュールが、前記第1電気コネクタに着脱可能に連結される第2電気コネクタと、前記機能タスクを実行するように構成されるコンピュータ制御回路と、を備え、前記第2電気コネクタ及び前記コンピュータ制御回路が、ユニットとして第2ハウジングに支持される、前記複数の機能モジュールと、を備え、
各機能モジュールは、前記手持ち式基材に、前記第2電気コネクタが1つ以上の前記第1電気コネクタに連結されるように着脱可能かつ操作可能に個別に取り付けられ、
前記複数の機能モジュールの第1機能モジュールは、前記手持ち式基材に操作可能に取り付けられると、前記複数のソフトウェアモジュールの第1ソフトウェアモジュールとやりとりを行なって、第1機能タスクを実行し、
前記複数の機能モジュールの第2機能モジュールは、前記手持ち式基材に操作可能に取り付けられると、前記複数のソフトウェアモジュールの第2ソフトウェアモジュールとやりとりを行なって第2機能タスクを実行し、
前記コンピュータプロセッサは、前記機能モジュールの前記コンピュータ制御回路から供給され、それぞれの異なる機能タスクに関連付けられる情報を読み取ることによって、前記複数の機能モジュールのうちいずれの機能モジュールが、前記手持ち式基材に操作可能に取り付けられるかを認識するように構成され、いずれの機能モジュールが前記手持ち式基材に操作可能に取り付けられるかによって異なるが、事前選択ソフトウェアモジュール部分集合を選択的に有効にするように構成される、携帯型装置。
(2)相違点
ア 相違点1
携帯型装置が、本願発明1では「携帯型フィールド保守ツールシステム」であるのに対して、引用発明1では「携帯型センサー装置」であり、また、機能タスクの対象が、本願発明1では「プラント内の設備資産」、あるいは「プロセス制御システムのフィールドデバイス」であるのに対して、引用発明1ではプラント内の設備資産、あるいはプロセス制御システムのフィールドデバイスには限られていない点。
イ 相違点2
第1電気コネクタ及び第2電気コネクタについて、本願発明1は「複数の第1電気コネクタ」、「第1電気コネクタ群」、「第2電気コネクタ集合体」であり、第1電気コネクタと第2電気コネクタが複数のものであるのに対して、引用発明1においては、第1電気コネクタと第2電気コネクタにそれぞれ相当する「ユーエスビーポート141」と「ユーエスビープラグ121」は、いずれも1つである点。
3 相違点の検討
(1)相違点1
引用文献1の段落【0027】には、引用発明1の携帯型センサー装置に関して、第1のセンサー素子により測定物の化学構成に関する検出が終わると、第2のセンサー素子に交換してガス圧力を検出することについて記載されている。そして、このようなガス圧力の検出は、化学分野等の実験室内やプラント内の設備資産の点検における測定計測項目としてはごく一般的なものであり、本願明細書においても機能モジュールとして圧力トランスミッタも例示されている(段落【0039】)ものである。
したがって、引用発明1の携帯型センサー装置の複数の異なる機能タスクの対象を、プラント内の設備資産、あるいはプロセス制御システムのフィールドデバイスとして、上記相違点に係る本願発明1のような携帯型フィールド保守ツールシステムを構成することは、当業者が容易に想到し得たものである。
(2)相違点2
USBポートのようなコネクタを複数設けることは、情報機器に要求される通信仕様等に応じて、当業者が適宜設定すればよい程度の事項である。そうすると、引用発明1においてユーエスビーポートやユーエスビープラグを複数設けることに格別の困難性はない。
また、本願発明1の「各機能モジュールは、前記手持ち式基材に、前記第2電気コネクタ集合体が前記第1電気コネクタ群のうちの1つ以上の電気コネクタに連結されるように着脱可能かつ操作可能に個別に取り付けられ」という発明特定事項によると、本願発明1は、第1電気コネクタのうちの少なくとも一つと第2電気コネクタ集合体のうちの少なくとも一つが連結されるものがその技術的範囲として含まれるから、相違点2により、本願発明1と引用発明1との間に格別の差違があるものとはいえない。
4 請求人の主張
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(1)請求人の主張の概要
請求人は、令和6年4月11日提出の意見書(以下、単に「意見書」という。)の【意見の内容】における5-1「補正後の請求項1に係る発明」において、本願発明1の特徴的な構成について、「コンピュータプロセッサ」を備える「手持ち式基材」を備え、「前記コンピュータプロセッサは、前記機能モジュールの前記コンピュータ制御回路から供給され、それぞれの異なる機能タスクに関連付けられる情報を読み取ることによって、前記複数の機能モジュールのうちいずれの機能モジュールが、前記手持ち式基材に操作可能に取り付けられるかを認識するように構成され」る携帯型フィールド保守ツールシステムであると説明する。
また、引用文献1に記載された発明は、携帯型電子素子140が、異なるアルゴリズム(=化学構成分析に適用するソフト)を使用して、異なる入力データ(=測定物の物理或いは化学のパラメーター)に対して、単一の分析タスク(=化学構成分析)を実行するのに対して、本願発明1は、異なる機能タスクのためのソフトウェアモジュールを備える旨を説明する。
そして、請求人は、本願の明細書の段落【0038】の記載(特に「いくつかの構成による共通手持ち式プラットフォームを有することにより、ユーザは、共通ディスプレイ、バッテリ電源、ユーザインターフェース、及びコネクタを利用して非常に異なる機能を実行することができる。」(下線は請求人が付与。)を引用して、本願発明1の技術的利点は、「ユーザが共通ディスプレイ、バッテリ電源、ユーザインターフェース、及びコネクタを利用して非常に異なる機能を実行できるようにする共通手持ち式プラットフォームを有するという構成」からもたらされるのであって、引用文献1における「異なる入力データに対して、同一の機能(例えばパラメーター分析)を実行すること」とは異なり、本願発明1の携帯型フィールド保守ツールシステムが「異なる機能タスク」を対象とすることについては、引用文献1、あるいは当審拒絶理由通知で引用した他のいずれの文献にも記載されていない旨を主張する。
(2)主張に対する検討
ア 上記1(1)における相当関係について
引用文献1の明細書の【0026】~【0027】には、センサー装置で測定物の化学構成とガス圧力を検出することについて記載され、化学構成に関する検出が終わると、ガス圧力に関する検出を始めることが記載されているから、引用発明1の携帯型センサー装置は、「化学構成に関する検出」及び「ガス圧力に関する検出」を行うことができ、これら2つの検出を行うタスクは、前者が化学的パラメーター、後者は物理的パラメーターであって検出対象が違っており、機能モジュールとしての不同なセンサー素子の機能も異なるのであるから、「異なるタスク」であるといえる。
したがって、上記1(1)で認定したとおり、引用発明1の「化学構成に関する検出やガス圧力の検出などの測定物の物理又は化学パラメーターの検出」は本願発明1の「複数の異なる機能タスク」に相当する。
イ 本願発明1の「異なるタスク」について
本願発明における「異なるタスク」について、本願の明細書の段落【0023】には、次の記載がある。
「機能モジュール群のうちの1つ以上の機能モジュールは、タスクを、フィールドデバイス、回転設備、機械容器、及び/または配電設備を含む設備資産に対して実行するように構成することができる。機能モジュール群のうちの1つ以上の機能モジュールは、以下の機能タスク:デバイス通信;ループ型発電;ループ検証;データ収集;振動データ収集;キャリブレータ;圧力トランスミッタのような測定計測機器の構成及び/または設定;温度トランスミッタのキャリブレーション;フィールドデバイスの電気パラメータの測定;フィールドデバイスの振動の検出;及び/またはフィールドデバイスの点検復旧を図るためのデバイス診断の実行のうちの任意の1つ以上の機能タスクを実行するように構成することができる。」
当該記載からみて、本願の明細書における「1つ以上の機能タスク」は、引用文献1記載のものに比べて広範囲のものであるとしても、本願発明1の機能タスクは、上記列挙された、「デバイス通信;ループ型発電;ループ検証;データ収集;振動データ収集」等に限定されているわけではない。
そうすると、上記アのとおり、異なる機能タスクを実行できるという観点で、本願発明1と引用発明1との間に根本的な差違は存在しない。
さらに、請求人は、本願発明1の利点は「異なる機能モジュール、または同じ機能モジュールを、ユーザがプラント内の現場に居る状態で容易に取り換えのために取り付け、取り換えのために取り外すことができること」(本願明細書の段落【0025】)であると主張しているところ、引用発明1も機能モジュールとしての不同なセンサー素子により同様な利点を備えているものであるから、「異なる機能タスク」に対する利点の観点においても、本願発明1と引用発明1が異なるものとはいえない。
そうすると、請求人の主張は採用することができない。
5 小括
上記1~4より、本願発明1は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、その出願前(優先日前)に日本国内又は外国において、頒布された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である引用文献1に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-009981