2022-009537
積層体およびそれを備える包装袋
- 審判番号
- 2022-009537
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-112912外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月21日
- 審決日
- 2024年10月03日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .575-WZ (B32B) / P18 .121-WZ (B32B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年6月7日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 令和6年6月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年6月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】少なくとも、基材層(但し、下記ポリエステルフィルムAを除く。)と、印刷層と、帯電防止層(但し、下記帯電防止層B~Dを除く。)と、シーラント層とをこの順に備える積層体を備える包装袋であって、前記基材層と前記印刷層とが接しており、前記印刷層と前記帯電防止層とが接しており、続きを表示(全11行)前記基材層は、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含み、前記シーラント層は、ポリプロピレンを含み、チャックテープが設けられている、包装袋。(ポリエステルフィルムA:単層のポリエステルフィルムであって、ジオール単位としてバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むバイオマスポリエステルと、ジオール単位として化石燃料由来のジオールおよび/またはバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むポリエステルを含むポリエステル樹脂製品をリサイクルして得られるリサイクルポリエステルと、を含むポリエステルフィルム。)(帯電防止層B:アルミニウム原子を含む帯電防止層。)(帯電防止層C:ホスホン酸単位を有する重合体を含む帯電防止層。)(帯電防止層D:静電気誘導防止性を有する架橋性重合体を主成分とするアンカーコート剤からなる帯電防止層。)」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和6年4月1日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】少なくとも、基材層(但し、下記ポリエステルフィルムAを除く。)と、印刷層と、帯電防止層(但し、下記帯電防止層B~Dを除く。)と、シーラント層とをこの順に備える積層体を備える包装袋であって、前記基材層と前記印刷層とが接しており、前記印刷層と前記帯電防止層とが接しており、前記基材層は、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含み、チャックテープが設けられている、包装袋。(ポリエステルフィルムA:単層のポリエステルフィルムであって、ジオール単位としてバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むバイオマスポリエステルと、ジオール単位として化石燃料由来のジオールおよび/またはバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むポリエステルを含むポリエステル樹脂製品をリサイクルして得られるリサイクルポリエステルと、を含むポリエステルフィルム。)(帯電防止層B:アルミニウム原子を含む帯電防止層。)(帯電防止層C:ホスホン酸単位を有する重合体を含む帯電防止層。)(帯電防止層D:静電気誘導防止性を有する架橋性重合体を主成分とするアンカーコート剤からなる帯電防止層。)」
2 本件補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1の「シーラント層」について、「前記シーラント層は、ポリプロピレンを含み、」という限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
3 独立特許要件について
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献に記載された事項、発明
ア 引用文献Aについて
(ア)引用文献Aの記載
拒絶理由通知2で引用された、「食品包装便覧」、第1版、社団法人日本包装技術協会、1988年(昭和63年)3月1日、480~483、490~505ページ(以下「引用文献A」という。)には、次の記載がある。(なお、下線は当審で付与したものであり、「・・・」は文章の省略を示す。他の文献についても同様。)
a ポリエステルフィルムについて
「1)概要ポリエステルフィルムとして広く用いられているものは、不飽和ポリエステルではなく、熱可塑性ポリエステルである。その代表的なものとしては、テレフタル酸とエチレングリコールとの縮重合物であるポリエチレンテレフタレート(PET)であり、共重合成分としてイソフタル酸やポリブチレンテレフタル酸(PBT)などがある。・・・・・・2)製造法と特性・・・ポリエチレンテレフタレート・フィルムの特性としては、優れた透明さと強靭さとが特筆される。フィルム・シートの強靭さと寸法安定性を出すためには、2軸延伸によって配向させた後、ヒートセットして作られる。・・・・・・3)用途PETフィルム・シートの包装分野における主要な用途は食品包装である。」(480ページ15行~482ページ末行)
b ラミネートフィルムについて
「1955年ポリエチレンのエクストルージョンコーティングが包装材料の製造方法として日本でも実用化されるようになって以来、ラミネートフィルムは包装機械、およびその周辺設備の進歩と相まって、食品工業、医薬品工業、あるいは他の諸産業分野で、その各々の包装現場が要求する機能や作業性に応じる形で多様化しつつ、改良が積み重ねられ、発展してきた。高分子フィルムは気体や水や有機溶媒を比較的透過しやすく、包装材料として使用する場合には、その他にも要求される諸機能が多岐に渡るので、単体フィルムで満足されないことが多く、2つ以上の材料を組合わせて各材料の欠点を補いつつ優れた特性を保有する集成材、ラミネートフィルムとして適用されるのが一般である。・・・・・・3)作業性包装作業性、包装機械適性の良好なラミネートフィルムを追求することは包装現場の最大の関心事である。包装現場の状況によりラミネートに要求される品質は種々多様であるが、帯電性が少ないこと・滑り性がよいことなどラミネートフィルムの表面の性質、腰の強さ・カールの強弱・折目の保持性・低温下での強度など材料物性上の性質、ボイル・レトルト殺菌適性・熱収縮性など材料の耐熱性、製袋充填シールのシール温度・高速シール性・熱間剥離の少ないこと・液中シール(夾雑物かみこみシール)性などシール機能に係る性質などが重要である。」(490ページ下から4行~492ページ末行)
c ラミネートフィルムの層構成について
493~494ページの「表1 ラミネートフィルムの主な用途と構成例」には、「PE:表7の各種ポリマーを含む、OV:両面PVDCコート延伸PVAフィルム、エバール:エチレンビニルアルコール共重合体、AL:アルミニウム箔」(表の欄外)とし、ラミネートフィルムの構成例のうちPETフィルムを有するものとして、次のものが記載されている。
「PET/PE」、「PVDCコートPET/PE」、「PET/エバール/PE」、「PET/PE/CPP」、「PET/Al蒸着CPP」、「PET/Al/PE」、「PET/PE/Al/PE」、「PET/Al/HDPE」、「PET/Al/CPP」、「PET/ONylon/Al/CPP」
d ラミネートフィルムの材料について
「内容品の性状、包装作業、包装機械、包装体が実際にさらされる状況などいろいろな設計条件に応じ、ラミネートフィルムの各素材料の基本物性はもとより、複合後のいろいろな環境下での挙動、長期に渡る実用実績、衛生性、コストパフォーマンスなど考慮しつつ、ラミネートフィルムとしての集成構成や複合加工方法が決められる。ラミネートフィルムの一般的構成は最外層に弾性率が高く、寸法安定性のよい2軸延伸フィルムやセロファン、紙などが適用され、中間層には酸素バリアー性のよいポリ塩化ビニリデン共重合体のフィルムやコート層、エチレンビニルアルコール共重合体、アルミニウム箔、アルミニウムやシリカの真空蒸着層などが適用される。最内層はヒートシール性や超音波シール性のあるシーラント材である。このシール層に適用される材料は多種多様で、各種のオレフィンポリマー、オレフィン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリブタジエン、コポリエステル系など広範である。・・・・・・ラミネートフィルムのシーラント層に適用するフィルムについても、低伸び率で加工に供することが複合構成の品質において重要で、低伸長下での加工が可能な品質を素材料フィルムの製造工程に求めることが多い。ラミネートフィルムのシーラント層に組み込まれるポリマーは、主としてα-オレフィン、α-オレフィン相互の共重合体、エチレンと各種ビニルモノマーとの高圧条件下でのラジカル共重合体である。・・・・・・エチレンとα-オレフィンとの共重合体はLLDPE(Linear Low Density Polyethylene)と呼ばれ、α-オレフィンとしてブテン-1(C4)、ヘキセン-1(C6)、4メチルペンテン-1(C6)、オクテン-1(C8)などが採用される。・・・ラミネートフィルムに組み込まれるポリプロピレンは、同じ構造をくりかえすIsotactic構造を多く含むポリマーである。・・・このポリプロピレンは規則正しい分子配列のために結晶化しやすく融点も高い。ラミネートフィルムに組み込まれるポリプロピレンはこの結晶化を抑制する必要があり、成膜時、急冷により非晶性に近い状態とし、良好なシール性を保持させる。このようにして得られたポリプロピレンは160℃の融点を持ち、耐熱性があるが故に広範な用途に展開されるが、シール温度は高温設定を余儀なくされ、包装現場の作業性は決してよいとは言い難い。プロピレンとエチレンを同時に反応させ、ポリプロピレンの性質を改善することは一般化されている。共重合反応に適した触媒の探索や共重合技術の改善で、今日ではエチレン成分6~7%をくりこんだポリプロピレンランダム共重合体が得られている。急冷により非晶性のフィルムを得ると、その融点は127℃近辺であり、ホモポリプロピレンの融点160℃に比較すると格段の相違があるといえる。触媒の種類やその添加の方法など触媒活性を一定に保つような技術的配慮を講じつつ共重合すれば、ポリプロピレンもかくも広域の熱的性能をもつ各種多様なポリプロピレンランダム共重合体が得られるのである。ラミネートフィルムが包装現場で使用されるに際して、140℃のような高温で殺菌処理がなされるような場合は融点160℃のホモポリマーが適用され、121℃での高温殺菌に供される場合は融点145℃クラスのランダムコポリマーが適用され、さらに100℃近辺のボイル殺菌や無殺菌処理で使用される場合はエチレン成分のより多い低融点ポリプロピレンが採用され、包装現場での包装作業性や包装機械適性の改善に寄与している。」(494ページ1行~497ページ6行)
(イ)引用文献Aに記載された発明
引用文献Aには、ラミネートフィルムに関し、最外層に弾性率が高く、寸法安定性のよい2軸延伸フィルムやセロファン、紙などが適用される旨記載され、テレフタル酸とエチレングリコールとの縮重合物であるポリエチレンテレフタレート(PET)からなるポリエチレンテレフタレート・フィルムが用いられることが記載されている。
また、ラミネートフィルムに関し、最内層にヒートシール性や超音波シール性のあるシーラント材が積層されることも記載されている。
さらに、ラミネートフィルムの構成例として、「PET/PE」が例示されており、上記(ア)dの記載を踏まえると、PEはシーラント材であるといえる。
そうすると、引用文献Aには、次の発明(以下「引用発明A」という。)が記載されている。
[引用発明A]
「外層をテレフタル酸とエチレングリコールとの縮重合物であるポリエチレンテレフタレート(PET)からなるポリエチレンテレフタレート・フィルムとし、 内層をヒートシール性や超音波シール性のあるシーラント材として積層した、ラミネートフィルム。」
イ 引用文献1について
(ア)引用文献1の記載
拒絶理由通知1及び拒絶理由通知2で引用された特開平11-58628号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、防湿性、フィルム強度、透明性などに優れたプラスチックフィルムを基材とする包装用積層体に粉塵などの異物付着を防止した帯電防止フィルムに関する。そして、更にくわしくは、積層材に4級アンモニウム塩基をもつアクリル酸エステル、アクリル酸エステル、メタアクリ酸エステルからなる共重合体、ポリエチレンイミン、及びグリシジル化合物からなる界面活性の帯電防止剤(以下、本明細書においては、架橋型帯電防止剤と記述する。)の帯電防止層をパターン状に設けて静電気による内容物の内面付着や、ヒートシール面に粉体の噛みこみを阻止するとともに、包装体の表面に外部からの粉塵による汚染を防止する効果を安定持続する帯電防止積層材とそれを用いた包装容器に属する。【0002】【従来の技術】従来、架橋型帯電防止剤の帯電防止効果を発揮させるために種々の構成の包装用積層材及びそれを用いた包装容器が開発され提案されている。通常の架橋型帯電防止剤は、その溶液を表基材フィルム又はヒートシーラント層(以下、本明細書においてはHS層と記載する。)に全面コートして使用されていた。そして、ヒートシールフィルムなどの所望のフィルムとを公知の方法で積層した帯電防止積層材を作成していた。更に、該積層材のHS層を相対してヒートシールし、所望形状の包装容器として利用されていた。」
「【0008】本発明の帯電防止層は、表基材のHS層との積層側に、架橋型帯電防止剤の溶液、又はそれを含むワニスを用いて印刷によりパターン状に形成される。架橋型帯電防止剤は、4級アンモニウム塩基をもつアクリル酸エステル、アクリル酸エステル、メタアクリ酸エステルからなる共重合体、ポリエチレンイミン、及びグリシジル化合物からなる界面活性の帯電防止剤を主成分とし、これを水溶液又は適当なバインダーに分散あるいは溶解して印刷することができる。」
「【0010】帯電防止層の印刷は、プラスチックフィルムの印刷に適したグラビア輪転印刷又はフレキソ輪転印刷など、積層などの後加工に適した巻取で行うことが好ましい。そして、絵柄層を設ける場合は絵柄層の印刷と同一工程で行う。・・・」
「【0014】本発明のHS層は、加熱溶融して融着できる材料から選択でき、ポリオレフィン系樹脂を主として殆どの熱可塑性樹脂が使用できる。例えば、ポリオレフィン系樹脂としては、低密度、中密度又は高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、・・・などのポリオレフィン系樹脂がヒートシール強度からいって好ましく使用できる。・・・」
(イ)引用文献1に記載された発明
上記(ア)の記載を参酌し、特に【0002】の記載を参酌すると、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
「表基材フィルムに架橋型帯電防止剤を全面コートし、ヒートシールフィルムを積層してなる帯電防止積層材を用いた包装容器。」
ウ 周知技術1
拒絶理由通知1及び拒絶理由通知2で引用された特開2017-81175号公報(以下「引用文献2」という。)の【0002】~【0005】、【0007】、【0008】、【0022】、【0030】の記載、及び、拒絶理由通知1及び拒絶理由通知2で引用された特開2012-96410号公報(以下「引用文献3」という。)の【0002】~【0005】、【0007】、【0008】、【0021】、【0029】の記載を踏まえると、以下の事項は周知技術(以下「周知技術1」という。)であるといえる。
「循環型社会の構築のため、包装材料を、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートとすることで、化石燃料由来の樹脂材料の使用を減らすこと。」
エ 周知技術2
拒絶理由通知1及び拒絶理由通知2で引用された特開2008-127042号公報(以下「引用文献4」という。)の【0017】、【0019】~【0020】、【0022】、【0024】、【0026】、【0030】、【0039】、【図1】、【図3】の記載、及び、拒絶理由通知1及び拒絶理由通知2で引用された特開2005-231677号公報(以下「引用文献5」という。)の【0027】~【0028】、【0030】、【0049】、【図3】、【図4】の記載を踏まえると、以下の事項は周知技術(以下「周知技術2」という。)であるといえる。
「チャックテープを有するスタンディングパウチ形式の包装袋。」
オ 周知技術3
拒絶理由通知1及び拒絶理由通知2で引用された特開平9-24572号公報(以下「引用文献6」という。)の【0019】、【0021】~【0022】、【0025】、【図2】の記載を踏まえると、以下の事項は周知技術(以下「周知技術3」という。)であるといえる。
「包装材料用積層体において、基材層、印刷層、帯電防止層、シーラント層、をこの順に備え、基材層と印刷層が接し、印刷層と帯電防止層が接する層構成とすること。」
(3)引用文献Aを主引例とする進歩性について
ア 対比
本件補正発明と引用発明Aを対比する。
引用発明Aの「テレフタル酸とエチレングリコールとの縮重合物であるポリエチレンテレフタレート(PET)からなるポリエチレンテレフタレート・フィルム」と、本件補正発明の「バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含」む「基材層(但し、下記ポリエステルフィルムAを除く。)」「(ポリエステルフィルムA:単層のポリエステルフィルムであって、ジオール単位としてバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むバイオマスポリエステルと、ジオール単位として化石燃料由来のジオールおよび/またはバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むポリエステルを含むポリエステル樹脂製品をリサイクルして得られるリサイクルポリエステルと、を含むポリエステルフィルム。)」は、「エチレングリコールをジオール単位とし、テレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートからなる基材層」である限りで一致する。
引用発明Aの「ヒートシール性や超音波シール性のあるシーラント材」である「内層」と、本件補正発明の「ポリプロピレンを含」む「シーラント層」は、「シーラント層」である限りで一致する。
引用発明Aの「外層をテレフタル酸とエチレングリコールとの縮重合物であるポリエチレンテレフタレート(PET)からなるポリエチレンテレフタレート・フィルムとし、内層をヒートシール性や超音波シール性のあるシーラント材として積層した」層構成と、本件補正発明の「少なくとも、基材層(但し、下記ポリエステルフィルムAを除く。)と、印刷層と、帯電防止層(但し、下記帯電防止層B~Dを除く。)と、シーラント層とをこの順に備える積層体を備える包装袋であって、前記基材層と前記印刷層とが接しており、前記印刷層と前記帯電防止層とが接して」いる層構成は、「少なくとも、基材層と、シーラント層とをこの順に備える積層体」である限りで一致する。
引用発明Aの「ラミネートフィルム」と、本件補正発明の「チャックテープが設けられている」「積層体を備える包装袋」は、「積層体を備えるもの」である限りで一致する。
そうすると、本件補正発明と引用発明Aの一致点及び相違点は以下のとおりである。
[一致点A]
「少なくとも、基材層と、シーラント層とをこの順に備える積層体を備えるものであって、前記基材層は、エチレングリコールをジオール単位とし、テレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含むもの。」
[相違点A-1]
基材層について、本件補正発明では、「バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含」む「基材層(但し、下記ポリエステルフィルムAを除く。)」「(ポリエステルフィルムA:単層のポリエステルフィルムであって、ジオール単位としてバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むバイオマスポリエステルと、ジオール単位として化石燃料由来のジオールおよび/またはバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むポリエステルを含むポリエステル樹脂製品をリサイクルして得られるリサイクルポリエステルと、を含むポリエステルフィルム。)」であるのに対し、引用発明Aでは、「テレフタル酸とエチレングリコールとの縮重合物であるポリエチレンテレフタレート(PET)からなるポリエチレンテレフタレート・フィルム」であって、それ以外の材料や由来が不明な点。
[相違点A-2]
層構成について、
本件補正発明では、「少なくとも、基材層(但し、下記ポリエステルフィルムAを除く。)と、印刷層と、帯電防止層(但し、下記帯電防止層B~Dを除く。)と、シーラント層とをこの順に備える積層体を備える包装袋であって、前記基材層と前記印刷層とが接しており、前記印刷層と前記帯電防止層とが接して」いるのに対し、引用発明Aでは、印刷層及び帯電防止層を有することが特定されていない点。
[相違点A-3]
積層体を備えるものについて、本件補正発明では、「チャックテープが設けられている」「積層体を備える包装袋」であるのに対し、引用発明Aでは、「ラミネートフィルム」であり、そのような特定がない点。
[相違点A-4]
シーラント層について、本件補正発明では「ポリプロピレンを含」むのに対し、引用発明Aでは、かかる特定を有していない点。
イ 判断
上記各相違点について検討する。
(ア)相違点A-1について
引用発明Aのポリエチレンテレフタレート(PET)は、化石燃料由来の原料から製造されるのが通常であるところ、石油資源の枯渇を抑制し、地球温暖化の原因物質である大気中の二酸化炭素の増加を抑制することは一般的な課題であり、引用発明Aの「ポリエチレンテレフタレート・フィルム」の材料として、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートに代替する動機付けがある。
そうすると、化石燃料由来の樹脂材料の使用を減らすことに関する周知技術1を参照して、引用発明Aのポリエチレンテレフタレート・フィルムの樹脂材料を、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含むものとすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
その際、上記のバイオマス由来のポリエチレンテレフタレートをリサイクルポリエステルとしないことは、当業者が材料選択で適宜なし得たことである。
(イ)相違点A-2について
引用文献Aには、ラミネートフィルムは帯電性が少ないことが求められる旨記載(492ページ下から5行)されている。また、引用文献Aは食品包装に関するものであるところ、食品包装に用いられる積層体に商品名等を表示するための印刷層を設けることは慣用技術である。そして、包装用積層体において、基材層、印刷層、帯電防止層、シーラント層をこの順に備えることは周知技術(周知技術3)である。
そうすると、引用発明Aにおいて、周知技術3を適用することで、引用発明Aの層構成を、ポリエチレンテレフタレート・フィルム、印刷層、帯電防止層、シーラント材をこの順に備え、基材層と印刷層が接し、印刷層と帯電防止層が接する層構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであり、その際、帯電防止層を、本件補正発明で特定する帯電防止層B~Dとは異なる層とすることは、帯電防止層を構成する材料選択の際に、当業者が適宜選択し得ることである。
よって、引用発明Aにおいて、周知技術3を参酌して、相違点A-2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ)相違点A-3について
包装材料を用いた容器の具体的な形態については、内容物等や販売形態等に応じて具体化の際に当業者が適宜選択し得るものである。
そうすると、引用発明Aのラミネートフィルムを用いて形成する包装容器の具体的な形態として、チャックテープを有するスタンディングパウチ形式の包装袋に関する周知技術2を採用することで、相違点A-3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(エ)相違点A-4について
ラミネートフィルムのシーラント材として、引用文献Aには、上記3(2)ア(ア)dで示したように、主にポリエチレンを用いるとしながらも、プロピレンとエチレンを同時に反応させてポリプロピレンの性質を改善することでポリプロピレンも広範に用いられていることが記載されている。
そうすると、引用発明Aのシーラント材として、引用文献Aに記載された上記事項を参照して、相違点A-4に係るポリプロピレンを含む本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(オ)本件補正発明の効果について
上述した相違点A-1~相違点A-4を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明A及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(カ)審判請求人の主張について
審判請求人は意見書2において、引用発明Aにおける「PE」にポリマーを含ませようとする場合、当業者であれば表7に挙げられている10種類のポリマーのいずれかを含ませようとするところ、表7に挙げられていないポリマーであるポリプロピレンを引用発明Aにおける「PE」に含ませようとする動機付けはなく、そのような動機付けが仮にあるとしても、「PE」にポリプロピレンを含ませたラミネートフィルムに該当する表1の4つのフィルムについては、「医薬品(粉末・顆粒)」の列、「粉末食品」の列および「粉末スープ」の列に「○」や「●」の記載はないことから、これら4つのフィルムは粉末を包装する用途に適さないラミネートフィルムであるから、帯電防止層を設ける動機付けはない旨主張する。
しかしながら、審判請求人は、引用発明Aのシーラント材がポリエチレンであることを出発点として主張を展開しているが、引用発明Aにおいてシーラント材がポリエチレンであることは特定していないから、上記主張はその前提において誤っている。さらに、審判請求人は表1の4つのフィルムが粉末の列に「○」や「●」の記載がないことをもって帯電防止層を設ける動機付けがない旨主張しているが、引用文献A(上記3(2)ア(ア)b)に記載されているように、ラミネートフィルムにおいて帯電性が少ないことは一般的に求められる事項であるから、内容物の性状にかかわらず、帯電防止層を適用する動機付けはあるといえる。
したがって、審判請求人の上記主張は採用できない。
(4)引用文献1を主引例とする進歩性について
ア 対比
本件補正発明と引用発明1を対比する。
引用発明1の「表基材フィルム」と、本件補正発明の「バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含」む「基材層(但し、下記ポリエステルフィルムAを除く。)」「(ポリエステルフィルムA:単層のポリエステルフィルムであって、ジオール単位としてバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むバイオマスポリエステルと、ジオール単位として化石燃料由来のジオールおよび/またはバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むポリエステルを含むポリエステル樹脂製品をリサイクルして得られるリサイクルポリエステルと、を含むポリエステルフィルム。)」は、「基材層」である限りで一致する。
引用発明1の「全面コートし」た「架橋型帯電防止剤」と、本件補正発明の「帯電防止層(但し、下記帯電防止層B~Dを除く。)」「(帯電防止層B:アルミニウム原子を含む帯電防止層。)(帯電防止層C:ホスホン酸単位を有する重合体を含む帯電防止層。)(帯電防止層D:静電気誘導防止性を有する架橋性重合体を主成分とするアンカーコート剤からなる帯電防止層。)」は、「帯電防止層」である限りで一致する。
引用発明1の「ヒートシールフィルム」と、本件補正発明の「ポリプロピレンを含」む「シーラント層」は、「シーラント層」である限りで一致する。
引用発明1の、表基材フィルムに架橋型帯電防止剤を全面コートし、ヒートシールフィルムを積層してなる積層構造を有する「帯電防止積層材」は、本件補正発明の、基材層と帯電防止層とシーラント層とをこの順に備える積層構造を有する「積層体」に相当する。
引用発明1の「包装容器」と、本件補正発明の「チャックテープが設けられている、包装袋」は、「包装容器」である限りで一致する。
そうすると、本件補正発明と引用発明1の一致点及び相違点は以下のとおりである。
[一致点1]
「少なくとも、基材層と、帯電防止層と、シーラント層とをこの順に備える積層体を備える包装袋である、包装容器。」
[相違点1-1]
基材層について、本件補正発明では、「バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含」む「基材層(但し、下記ポリエステルフィルムAを除く。)」「(ポリエステルフィルムA:単層のポリエステルフィルムであって、ジオール単位としてバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むバイオマスポリエステルと、ジオール単位として化石燃料由来のジオールおよび/またはバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むポリエステルを含むポリエステル樹脂製品をリサイクルして得られるリサイクルポリエステルと、を含むポリエステルフィルム。)」であるのに対し、引用発明1では、「表基材フィルム」の材料や由来が不明な点。
[相違点1-2]
層構成について、本件補正発明では、「少なくとも、基材層(但し、下記ポリエステルフィルムAを除く。)と、印刷層と、帯電防止層(但し、下記帯電防止層B~Dを除く。)と、シーラント層とをこの順に備える積層体を備える包装袋であって、前記基材層と前記印刷層とが接しており、前記印刷層と前記帯電防止層とが接して」いるのに対し、引用発明1では、印刷層を有することが特定されておらず、帯電防止剤の材料が不明な点。
[相違点1-3]
包装容器について、本件補正発明では、「チャックテープが設けられている、包装袋」であるのに対し、引用発明1では、「包装容器」であって、その構造等が不明な点。
[相違点1-4]
シーラント層について、本件補正発明ではその材料が「ポリプロピレンを含」むのに対し、引用発明1ではその材料が不明な点。
イ 判断
上記各相違点について検討する。
(ア)相違点1-1について
引用文献1の【0024】には、表基材フィルムの材料をポリエチレンテレフタレートとすることが示唆されており、そのようなポリエチレンテレフタレートは、化石燃料由来の原料から製造されるのが通常であるところ、石油資源の枯渇を抑制し、地球温暖化の原因物質である大気中の二酸化炭素の増加を抑制することは一般的な課題であり、引用発明1の「表基材フィルム」の材料として、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートに代替する動機付けがある。
そうすると、化石燃料由来の樹脂材料の使用を減らすことに関する周知技術1を参照して、引用発明1の表基材フィルムの樹脂材料を、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含むものとすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
その際、上記のバイオマス由来のポリエチレンテレフタレートをリサイクルポリエステルとしないことは、当業者が材料選択で適宜なし得たことである。
(イ)相違点1-2について
a 印刷層について
引用文献1の「帯電防止層の印刷は、・・・、絵柄層を設ける場合は絵柄層の印刷と同一工程で行う」(【0010】)との記載を参照すると、引用文献1には印刷層を設けることが記載又は示唆されている。そして、印刷層を設けた場合の具体的な層構成として、周知技術3を参照することで、相違点1-2に係る本件補正発明の層構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
b 帯電防止層の材料について
引用文献1には、「架橋型帯電防止剤は、4級アンモニウム塩基をもつアクリル酸エステル、アクリル酸エステル、メタアクリ酸エステルからなる共重合体、ポリエチレンイミン、及びグリシジル化合物からなる界面活性の帯電防止剤を主成分とし、これを水溶液又は適当なバインダーに分散あるいは溶解して印刷することができる。」(【0008】)と記載されているから、引用発明1の帯電防止剤として四級アンモニウム塩基を含む帯電防止剤を選択することは、当業者が適宜なし得たことである。
そして、令和6年6月28日提出の意見書の「5.審尋事項について」における「上記補正後の本願請求項1における帯電防止層には、本願の当初請求項5および当初明細書の段落[0026]に記載の、四級アンモニウム塩類を含む帯電防止剤で形成した層が少なくとも該当します。」との回答内容を踏まえると、引用文献1の【0008】に記載されている帯電防止剤を全面コートしてなる層は、相違点1-2に係る本件補正発明の帯電防止層に相当する。
そうすると、引用発明1の架橋型帯電防止剤として、引用文献1の【0008】に記載された帯電防止剤を採用することで、相違点1-2に係る本件補正発明の帯電防止層の材料とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ)相違点1-3について
包装容器の具体的な構造については、内容物等や販売形態等に応じて具体化の際に当業者が適宜選択し得るものである。
そうすると、引用発明1の包装容器の具体的な構造として、周知技術2のものを採用することで、相違点1-3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(エ)相違点1-4について
ヒートシールフィルムの材料について、引用文献1には「本発明のHS層は、加熱溶融して融着できる材料から選択でき、ポリオレフィン系樹脂を主として殆どの熱可塑性樹脂が使用できる。例えば、ポリオレフィン系樹脂としては、低密度、中密度又は高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、・・・などのポリオレフィン系樹脂がヒートシール強度からいって好ましく使用できる。」(【0014】)と記載されている。
そうすると、引用発明1のヒートシールフィルムの具体的な材料として、【0014】に例示されたものを適宜選択することで、相違点1-4に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(オ)本件補正発明の効果について
上述した相違点1-1~相違点1-4を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明1及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(カ)審判請求人の主張について
審判請求人は、意見書1において、引用発明1の包装容器において、表基材フィルムの材料としてバイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とするポリエステルを採用すれば、引用発明1の課題である表基材フィルムの透明性(引用文献1の【0001】)に悪影響を及ぼすから、引用発明1における表基材フィルムにバイオマス由来のポリエステルを組み合わせることには、明確な阻害要因がある旨主張する。
しかしながら、引用発明1において、環境負荷軽減のために、表基材フィルムに求められる高い透明性を維持する範囲において、例えばバイオマス原料の配合量を少なくするといった調整等を試みる程度のことは、当業者が通常有する創作能力の範囲内のことであるから、上記適用に阻害事由があるとはいえない。
したがって、審判請求人の上記主張は採用できない。
(5)独立特許要件についてのまとめ
上記(3)及び(4)のとおりであるから、本件補正発明は、引用発明A及び周知技術、又は引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和6年6月28日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和6年4月1日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 拒絶理由通知2の概要
拒絶理由通知2のうち引用文献Aを主引例とする進歩性についての理由は、次のとおりのものである。
請求項1に係る発明は、引用文献Aに記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(1)引用文献の記載及び引用発明
拒絶理由通知2で引用された引用文献Aの記載事項及び引用発明Aは、上記第2[理由]3(2)アに記載したとおりである。
(2)対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2及び3で検討した本件補正発明から、「シーラント層は、ポリプロピレンを含み、」という限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]3(3)に記載したとおり、引用発明A及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明A及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-009537