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特許拒絶査定不服審判

2024-016835

化粧シート及び化粧材

審判番号
2024-016835
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-040399外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年10月22日
審決日
2026年04月27日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B32B) / P18 .575-Z (B32B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022- 40399「化粧シート及び化粧材」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 9月28日出願公開、特開2023-135272〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和4年3月15日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年10月 2日付け:拒絶理由通知書 同年12月11日 :意見書、手続補正書の提出 令和6年 2月 8日付け:拒絶理由通知書 同年 4月19日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月11日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月23日 :原査定の謄本の送達) 同年10月22日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和6年10月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年10月22日にされた手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) 令和6年10月22日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1の補正を含むものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲(令和6年4月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲)の請求項1の記載は、(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1)本件補正前の特許請求の範囲の記載 「【請求項1】 着色熱可塑性樹脂層と、接着層と、透明熱可塑性樹脂層と、表面保護層とをこの順に備え、 前記表面保護層は、アクリル系樹脂組成物で形成された樹脂層であり、 前記透明熱可塑性樹脂層は、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された樹脂層であり、 前記着色熱可塑性樹脂層は、1.20g/cm3以上1.50g/cm3以下の範囲内の密度を有し、 前記透明熱可塑性樹脂層は、0.90g/cm3以上0.96g/cm3以下の範囲内の密度を有し、 前記着色熱可塑性樹脂層の密度は、前記透明熱可塑性樹脂層の密度よりも高いことを特徴とする化粧シート。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の記載 「【請求項1】 着色熱可塑性樹脂層と、絵柄層と、接着層と、透明熱可塑性樹脂層と、表面保護層とをこの順に備え、 前記表面保護層は、アクリル系樹脂組成物で形成された樹脂層であり、 前記透明熱可塑性樹脂層は、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された樹脂層であり、 前記着色熱可塑性樹脂層は、1.20g/cm3以上1.40g/cm3以下の範囲内の密度を有し、 前記透明熱可塑性樹脂層は、0.90g/cm3以上0.96g/cm3以下の範囲内の密度を有し、 前記着色熱可塑性樹脂層の密度は、前記透明熱可塑性樹脂層の密度よりも高く、 前記透明熱可塑性樹脂層は、樹脂として、前記バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンを含み、且つ前記透明熱可塑性樹脂層全体の質量に対し、前記バイオマス由来のポリプロピレンを40質量%以上75質量%以下の範囲内で含み、 前記着色熱可塑性樹脂層は、厚さが30μm以上70μm以下の範囲内であり、 前記透明熱可塑性樹脂層は、厚さが10μm以上150μm以下の範囲内であり、 前記透明熱可塑性樹脂層の厚さは、前記着色熱可塑性樹脂層の厚さよりも厚く、 前記絵柄層は、ウレタン系印刷インキで印刷された層であり、 前記透明熱可塑性樹脂層に含まれる前記バイオマス由来のポリプロピレンは、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のホモポリプロピレンであることを特徴とする化粧シート。」 2 補正の適否 (1)補正の目的 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「透明熱可塑性樹脂層」について、「樹脂として、前記バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンを含み、且つ前記透明熱可塑性樹脂層全体の質量に対し、前記バイオマス由来のポリプロピレンを40質量%以上75質量%以下の範囲内で含」むものに限定する補正を含む。そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、当該補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含む。 (2)独立特許要件の判断 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下、検討する。 ア 本件補正発明 (ア)本件補正発明の認定と分説 本件補正発明は、上記1(2)に示した本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、便宜上、以下のように分説する。 A 着色熱可塑性樹脂層と、絵柄層と、接着層と、透明熱可塑性樹脂層と、表面保護層とをこの順に備え、 B 前記表面保護層は、アクリル系樹脂組成物で形成された樹脂層であり、 C 前記透明熱可塑性樹脂層は、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された樹脂層であり、 D 前記着色熱可塑性樹脂層は、1.20g/cm3以上1.40g/cm3以下の範囲内の密度を有し、 E 前記透明熱可塑性樹脂層は、0.90g/cm3以上0.96g/cm3以下の範囲内の密度を有し、 F 前記着色熱可塑性樹脂層の密度は、前記透明熱可塑性樹脂層の密度よりも高く、 G 前記透明熱可塑性樹脂層は、樹脂として、前記バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンを含み、且つ前記透明熱可塑性樹脂層全体の質量に対し、前記バイオマス由来のポリプロピレンを40質量%以上75質量%以下の範囲内で含み、 H 前記着色熱可塑性樹脂層は、厚さが30μm以上70μm以下の範囲内であり、 I 前記透明熱可塑性樹脂層は、厚さが10μm以上150μm以下の範囲内であり、 J 前記透明熱可塑性樹脂層の厚さは、前記着色熱可塑性樹脂層の厚さよりも厚く、 K 前記絵柄層は、ウレタン系印刷インキで印刷された層であり、 L 前記透明熱可塑性樹脂層に含まれる前記バイオマス由来のポリプロピレンは、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のホモポリプロピレンである M ことを特徴とする化粧シート。 (イ)本願明細書の記載 本願明細書には、以下の記載がある。 a 背景技術、発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段、発明の効果 「【背景技術】 【0002】 ポリ塩化ビニル製の化粧シートに代わる化粧シートとして、例えば、特許文献1に開示されているように、オレフィン系樹脂を使用した化粧シートが提案されている。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 近年では、環境問題の背景から、化粧シートの材料を、従来の材料である石油由来の材料から、植物由来の材料へ代える要求がある。しかしながら、化粧シートに用いることが可能な植物由来の材料として、バイオマスポリエチレン等のバイオマスポリオレフィンを用いると、化粧シートとして用いるためには、表面硬度が低下するという課題があった。 【0005】 本発明は、上述した問題点を鑑み、植物由来の材料を用いて形成した場合であっても、表面硬度の低下を抑制することが可能な化粧シート及び化粧材を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記課題を解決するために、本発明の一態様は、着色熱可塑性樹脂層と、接着層と、透明熱可塑性樹脂層とをこの順に備え、前記透明熱可塑性樹脂層は、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された樹脂層であることを特徴とする化粧シートである。 【発明の効果】 【0007】 本発明の一態様によれば、植物由来の材料であるバイオマス由来のポリプロピレンを用いて形成した場合であっても、表面硬度の低下を抑制することが可能な化粧シート及び化粧材を提供することが可能となる。」 b 実施形態の表面硬度の低下を抑制する効果について 「【0051】 (本実施形態の効果) 本実施形態の化粧シート1であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。 (1)透明樹脂層5は、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された樹脂層である。 このため、例えば、ポリエチレン等を用いて形成した構成に比べて強度を高めることが可能となり、高い耐傷性等を有する透明樹脂層5を形成することが可能となる。 【0052】 その結果、植物由来の材料であるバイオマス由来のポリプロピレンを用いて形成した場合であっても、表面硬度の低下を抑制することが可能な化粧シート1を提供することが可能となる。 また、植物由来の材料であるバイオマス由来のポリプロピレンを用いた構成であっても、例えば、ポリエチレン等を用いて形成した構成と同等である高い透明度を有する透明樹脂層5を形成することが可能となる。」 c 実施例について 「実施例 【0060】 [実施例] 本実施形態を参照しつつ、以下、実施例1から11の化粧材と、比較例1から2の化粧材について説明する。 【0061】 (実施例1) 基材の一方の面にコロナ放電処理を施した後、基材の一方の面に、ウレタン系印刷インキで印刷された絵柄層と、ウレタン系接着剤層と、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂層(透明接着層)と、透明樹脂層と、アクリル系樹脂組成物を主成分とする表面保護層とをこの順に積層した。また、基材の他方の面にコロナ放電処理を施した後、ポリエステルウレタン樹脂からなるプライマー層(厚さ:1~2μm)を形成した。こうして、実施例1の化粧シート(総厚:135μm)を得た。 実施例1では、基材として、石油由来のポリエチレン樹脂組成物で形成された着色基材層(厚さ:55μm)を用いた。この樹脂組成物をカレンダー成形することで着色基材層を得た。なお、実施例1では、着色基材層の密度を1.20g/cm3とした。 透明樹脂層には、バイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された透明樹脂層(厚さ:70μm)を用いた。この樹脂をルーダーラミネートすることで透明樹脂層を得た。なお、実施例1では、透明樹脂層の密度を0.91g/cm3とした。また、透明樹脂層におけるバイオマス由来のポリプロピレンの含有量を、透明樹脂層全体の質量に対し90質量%とした。 【0062】 (実施例2) 透明樹脂層におけるバイオマス由来のポリプロピレンの含有量を、透明樹脂層全体の質量に対し5質量%に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2の化粧シートを得た。 【0063】 (実施例3) 透明樹脂層におけるバイオマス由来のポリプロピレンの含有量を、透明樹脂層全体の質量に対し99質量%に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例3の化粧シートを得た。 【0064】 (実施例4) 着色基材層の厚さを30μmとし、透明樹脂層の厚さを10μmとした以外は実施例1と同様にして、実施例4の化粧シートを得た。 【0065】 (実施例5) 着色基材層の厚さを70μmとし、透明樹脂層の厚さを150μmとした以外は実施例1と同様にして、実施例5の化粧シートを得た。 【0066】 (実施例6) 透明樹脂層の密度を0.90g/cm3とした以外は実施例1と同様にして、実施例6の化粧シートを得た。 【0067】 (実施例7) 透明樹脂層の密度を0.96g/cm3とした以外は実施例1と同様にして、実施例7の化粧シートを得た。 【0068】 (実施例8) 着色基材層の密度を0.90g/cm3とした以外は実施例1と同様にして、実施例8の化粧シートを得た。 【0069】 (実施例9) 着色基材層の密度を1.40g/cm3とした以外は実施例1と同様にして、実施例9の化粧シートを得た。 【0070】 (実施例10) 透明樹脂層の密度を1.00g/cm3とした以外は実施例1と同様にして、実施例10の化粧シートを得た。 【0071】 (実施例11) 着色基材層の密度を1.50g/cm3とした以外は実施例1と同様にして、実施例11の化粧シートを得た。 【0072】 (比較例1) 透明樹脂層の形成に用いたバイオマス由来のポリプロピレンを、石油由来のポリプロピレンとした以外は実施例1と同様にして、比較例1の化粧シートを得た。 【0073】 (比較例2) 透明樹脂層の形成に用いたバイオマス由来のポリプロピレンを、石油由来のポリエチレンとした以外は実施例1と同様にして、比較例2の化粧シートを得た。 【0074】 (性能評価、評価結果) 実施例1から11の化粧シートと、比較例1から2の化粧シートに対し、それぞれ、「意匠性」、「表面強度」、「押出適正」、「曲げ加工適性」、「石油依存性」を評価した。評価方法としては、以下に記載した方法を用いた。 【0075】 <意匠性> 各実施例・比較例の化粧シートに備わる絵柄層の絵柄がはっきりよれない状態であるもの(予定した絵柄がはっきりと視認できるもの)を「〇」と評価し、絵柄層に一部欠けが確認されたものを「×」と評価した。 なお、本実施例では、「○」を合格とした。 【0076】 <表面硬度> JIS K5600-5-4 引っかき硬度(鉛筆法)に準じた試験を行った。 各実施例・比較例の化粧シートに対して鉛筆に荷重を付加した状態でスライドさせ、表面保護層に凹み(傷)が形成されるか観察をした。 化粧シートとしての耐傷性を十分有しているものを「〇」と評価し、耐傷性が劣るものを「×」と評価した。 なお、本実施例では、「○」を合格とした。また、表に記載した「〇(6B)」とは、6Bであれば表面保護層に凹み(傷)が形成されないことを意味する。 【0077】 <押出適正> 生産ラインにおいて、押出成形する際に支障がなかったもの(問題なく成形できるもの)を「〇」と評価し、押出成形する際に少し支障があったもの(不良が出る可能性があるもの)を「△」と評価し、押出成形する際に、そのほとんどに支障があったもの(不良が出る可能性が極めて高いもの)を「×」と評価した。 なお、本実施例では、「○」を合格とした。また、評価が「△」であれば、使用上問題はない。 【0078】 <曲げ加工適性> MDFに貼り合わせた化粧シート(即ち化粧材)を用いてVカット加工適正(曲げ加工適性)に問題がないもの(折り曲げ頂上部に、表面保護層の割れ、白化等がほとんど無し)を「〇」と評価し、Vカット加工適正にほとんど問題がないもの(折り曲げ頂上部に、表面保護層の割れ、白化等が少し生じたもの)を「△」と評価し、Vカット加工適正に問題があったもの(折り曲げ頂上部に、表面保護層の割れ、白化等が多く生じたもの)を「×」と評価した。 なお、本実施例では、「○」を合格とした。また、評価が「△」であれば、使用上問題はない。 【0079】 <石油依存性> 化粧シートを作成する際の化石燃料への依存性を評価した。 【0080】 【表1】 [図:0001436772000001.jpg] 【0081】 上述した方法を用いて、各種の性能を評価した結果、実施例1から11の化粧シートは、全ての評価項目に対して、優れた性能を示した。一方、比較例1から2の化粧シートは、少なくとも一部の評価項目において不十分な性能を示した。」 (ウ)本件補正発明の各構成についての本願明細書における記載 本願明細書には、分説したそれぞれの構成について、以下の記載がある。 a 構成A、Mについて(化粧シートの層構成について) 「【0011】 (化粧シートの構成) 化粧シート1は、図1に示すように、着色基材層(着色熱可塑性樹脂層)2と、絵柄層3と、接着層4と、透明樹脂層(透明熱可塑性樹脂層)5と、表面保護層6と、凹凸部7と、プライマー層8とを備える。」 b 構成Bについて(表面保護層について) 「【0047】 <表面保護層> 表面保護層6は、透明樹脂層5の一方の面(図1では、上側の面)に積層されており、化粧シート1に対して、耐候性、耐傷性、耐汚染性、意匠性等の機能を付与するために設けられた層である。 また、表面保護層6は、熱硬化樹脂、電離放射線硬化樹脂が使用でき、例えば、アクリル系樹脂組成物を用いて形成されている。 また、表面保護層6には、必要に応じて、耐候剤、可塑剤、安定剤、充填剤、分散剤、染料、顔料等の着色剤、溶剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤等の各種添加剤等を含有させてもよい。 また、表面保護層6には、必要に応じて、抗菌剤、防カビ剤、抗ウイルス剤等の機能性添加剤等を含有させてもよい。」 c 構成C、G、Lについて(透明樹脂層の材料について) 「【0020】 <透明樹脂層> 透明樹脂層5は、接着層4の一方の面(図1では、上側の面)に積層され、熱可塑性樹脂を用いて形成された樹脂層であって、バイオマス由来(植物由来)のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された透明樹脂層である。つまり、透明樹脂層5は、バイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物を用いて形成された透明な樹脂層であればよく、バイオマス由来のポリプロピレン以外に、化石燃料由来のポリプロピレンを含んでいてもよい。 【0021】 (バイオマス由来のポリプロピレン) 本実施形態において、バイオマス由来のポリプロピレンは、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合してなるものである。バイオマス由来のプロピレンは、特に限定されず、従来公知の方法により製造されたプロピレンを用いることができる。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のプロピレンを用いているため、重合されてなるポリプロピレンはバイオマス由来となる。 なお、ポリプロピレンの原料モノマーは、バイオマス由来のプロピレンを100質量%含むものでなくてもよい。 【0022】 バイオマス由来のポリプロピレンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のプロピレンをさらに含んでもよい。 ・・・ 【0027】 本実施形態において、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーの重合方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。重合温度や重合圧力は、重合方法や重合装置に応じて、適宜調節するのがよい。重合装置についても特に限定されず、従来公知の装置を用いることができる。以下、プロピレンを含むモノマーの重合方法の一例を説明する。 【0028】 プロピレン重合体の重合方法は、目的とするポリプロピレンの種類、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等の違いにより、適宜選択することができる。例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒等のマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒等のシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合、および高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段または2段以上の多段で行うことが好ましい。 【0029】 また、バイオマス由来のポリプロピレンとして、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンをそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。 【0030】 (バイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物) 本実施形態において、樹脂組成物は、上記のポリプロピレンを主成分として含むものである。樹脂組成物は、バイオマス由来のプロピレンを樹脂組成物全体に対して5質量%以上、好ましくは5~99質量%、より好ましくは25~75質量%含んでなるものである。樹脂組成物中のバイオマス由来のプロピレンの濃度が5質量%以上であれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、カーボンニュートラルな化粧シートを実現できる。 上記の樹脂組成物は、異なるバイオマス度のポリプロピレンを2種以上含むものであってもよく、樹脂組成物全体として、バイオマス由来のプロピレンの濃度が、上記範囲内であればよい。 【0032】 上記の樹脂組成物は、化石燃料由来のプロピレンをさらに含んでもよい。つまり、本実施形態においては、樹脂組成物は、バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンとの混合物であってもよい。混合方法は、特に限定されず、従来公知の方法で混合することができる。例えば、ドライブレンドでもよいし、メルトブレンドでもよい。 【0033】 本実施形態によれば、樹脂組成物は、好ましくは5~99質量%、より好ましくは25~75質量%のバイオマス由来のポリプロピレンと、好ましくは1~95質量%、より好ましくは25~75質量%の化石燃料由来のポリプロピレンとを含むものである。このような混合物の樹脂組成物を用いた場合でも、樹脂組成物全体として、バイオマス由来のプロピレンの濃度が、上記範囲内であればよい。 【0034】 上記の樹脂組成物の製造工程において製造された樹脂組成物には、その特性が損なわれない範囲において、主成分であるポリプロピレン以外に、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。これら添加剤は、樹脂組成物全体に対して、好ましくは1~20質量%、好ましくは1~10質量%の範囲で添加される。 【0035】 以上のように、透明樹脂層5は、バイオマス由来のプロピレンを透明樹脂層5全体に対して5質量%以上、好ましくは5~99質量%、より好ましくは25~75質量%、最も好ましくは40~75%含んでなるものである。透明樹脂層5中のバイオマス由来のプロピレンの濃度が5質量%以上であれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、カーボンニュートラルな化粧シートを実現できる。」 d 構成D、E、Fについて(着色熱可塑性樹脂層及び透明熱可塑性樹脂層の密度について) 「【0013】 着色基材層2は、0.90~1.40g/cm3、好ましくは0.90~1.10g/cm3の密度を有するものである。着色基材層2の密度は、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。着色基材層2の密度が0.90g/cm3以上であれば、着色基材層2の剛性を高めることができる。また、着色基材層2の密度が1.40g/cm3以下であれば、着色基材層2の透明性や柔軟性、機械的強度を高めることができる。 ・・・ 【0036】 透明樹脂層5は、0.90~0.96g/cm3、好ましくは0.90~0.91g/cm3の密度を有するものである。透明樹脂層5の密度は、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。透明樹脂層5の密度が0.90g/cm3以上であれば、透明樹脂層5の剛性を高めることができる。また、透明樹脂層5の密度が0.96g/cm3以下であれば、透明樹脂層5の透明性、押出適正や機械的強度を高めることができる。 ・・・ 【0042】 本実施形態においては、透明樹脂層5の密度d1と着色基材層2の密度d2が、d2>d1を満たすことが好ましい。透明樹脂層5として機能するためには賦形性が要求され、着色基材層2として機能するためには生産性が要求されるからである。 なお、透明樹脂層5の密度d1と着色基材層2の密度d2との比(d2/d1)が、1.1以上1.5以下の範囲内であれば好ましく、1.1以上1.3以下の範囲内であればより好ましく、1.1以上1.2以下の範囲内であればさらに好ましい。透明樹脂層と着色基材層の密度の比がこの範囲であることによって、透明樹脂層5の構成樹脂にバイオマス由来のポリプロピレンを用いた場合であっても化粧シートとして必要な押出適正、曲げ加工適正を有することができる。」 e 構成H、I、Jについて(着色熱可塑性樹脂層及び透明熱可塑性樹脂層の厚さについて) 「【0015】 また、着色基材層2には、必要に応じて、例えば、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤及び艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を添加してもよい。 着色基材層2の厚さは、30μm以上70μm以下の範囲内であることが好ましく、40μm以上65μm以下であることがより好ましく、50μm以上60μm以下であることがさらに好ましい。これは、着色基材層2の厚さが30μm以上である場合、下地となる床材等の凹凸や段差等を吸収して化粧シート1の施工仕上がりを良好にすることが可能であることに起因する。また、着色基材層2の厚さが70μm以下である場合、着色基材層2を必要以上に厚く形成することがなく、化粧シート1の製造コストを削減することが可能であることに起因する。 なお、着色樹脂層2は、バイオマス由来(植物由来)のポリオレフィンを含む樹脂組成物で形成された着色樹脂層であってもよいし、化石燃料由来のポリオレフィンを含む樹脂組成物で形成された着色樹脂層であってもよい。 ・・・ 【0039】 また、透明樹脂層5には、必要に応じて、例えば、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤及び艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を添加してもよい。 透明樹脂層5の厚さは、10μm以上150μm以下の範囲内であることが好ましく、51μm以上120μm以下であることがより好ましく、55μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。これは、バイオマス由来のポリプロピレンからなる透明樹脂層5の厚さが10μm以上である場合、エンボス加工が良好に形成することが可能であること、下地となる床材等の凹凸や段差等を吸収して化粧シート1の施工仕上がりを良好にすることが可能であることに起因する。また、透明樹脂層5の厚さが150μm以下である場合、透明樹脂層5を必要以上に厚く形成することがなく、化粧シート1の製造コストを削減することが可能であることに起因する。 ・・・ 【0043】 本実施形態においては、透明樹脂層5の厚さt1と着色基材層2の厚さt2が、t1≧t2を満たすことが好ましい。透明樹脂層5として機能するためには厚みが要求され、着色基材層2として機能するためには、透明樹脂層5ほどの厚みは必要ないからである。 なお、透明樹脂層5の厚さt1と着色基材層2の厚さt2との比(t1/t2)が、1.1以上3以下の範囲内であれば好ましく、1.1以上2以下の範囲内であればより好ましく、1.1以上1.5以下の範囲内であればさらに好ましい。」 f 構成Kについて 「【0061】 (実施例1) 基材の一方の面にコロナ放電処理を施した後、基材の一方の面に、ウレタン系印刷インキで印刷された絵柄層と、ウレタン系接着剤層と、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂層(透明接着層)と、透明樹脂層と、アクリル系樹脂組成物を主成分とする表面保護層とをこの順に積層した。また、基材の他方の面にコロナ放電処理を施した後、ポリエステルウレタン樹脂からなるプライマー層(厚さ:1~2μm)を形成した。こうして、実施例1の化粧シート(総厚:135μm)を得た。 実施例1では、基材として、石油由来のポリエチレン樹脂組成物で形成された着色基材層(厚さ:55μm)を用いた。この樹脂組成物をカレンダー成形することで着色基材層を得た。なお、実施例1では、着色基材層の密度を1.20g/cm3とした。 透明樹脂層には、バイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された透明樹脂層(厚さ:70μm)を用いた。この樹脂をルーダーラミネートすることで透明樹脂層を得た。なお、実施例1では、透明樹脂層の密度を0.91g/cm3とした。また、透明樹脂層におけるバイオマス由来のポリプロピレンの含有量を、透明樹脂層全体の質量に対し90質量%とした。」 イ 引用文献の記載事項及び周知技術 (ア)引用文献6 a 引用文献6に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2009-18439号公報(平成21年1月29日出願公開。以下「引用文献6」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 (a)「【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。図1に本発明の化粧シートの製造方法におけるエンボス付与の状態を示す。2軸延伸ポリエステルフィルム10を背面に貼り合せた状態として、着色熱可塑性樹脂層1と絵柄模様による絵柄層2と接着剤による接着剤層3と透明熱可塑性樹脂層4と表面保護層5を有する化粧シートとなっている状態で、表面からエンボス版20の凹凸部21により表面にエンボスを設け、その後背面から2軸延伸ポリエステルフィルム10を剥がしていく状態を示している。 【0009】 本発明における2軸延伸ポリエステルフィルム10はその表面をマット処理したものを用いる。これにより化粧シートの表裏に対して、表面側のエンボス版の摩擦係数より大きいものとなり、化粧シートがエンボス版20を押し付けても動かず、凹凸付与の再現性と残留応力が少なくなるので、剥離後のシボ戻りもし難くなり、凹凸の裏抜けがなくなる。 【0010】 本発明における着色熱可塑性樹脂層1としては、ポリ塩化ビニル樹脂、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂、2軸延伸ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂などからなる単層あるいは複数の層からなるものが用いられる。着色熱可塑性樹脂層1の厚みは、ハンドリング性、刃物摩滅度などを考慮すると、50~200μmが望ましく、特に取り扱いやすさと剥離時の切れにくさから12~25μmが最適である。 【0011】 絵柄層2としては、公知の不透明な無機、有機顔料からなる2液のウレタン系樹脂バインダー、アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル樹脂共重合体等からなるグラビアインキが使用可能であり、これを通常のグラビア印刷により設けることができる。 【0012】 接着剤層3としては、公知の2液ウレタン樹脂接着剤等が使用可能である。乾燥後の塗布量が1~10g/m2程度が望ましい。 【0013】 透明熱可塑性樹脂層4としては、前記着色熱可塑性樹脂層1と同様に、ポリ塩化ビニル樹脂、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂、2軸延伸ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂などからなる単層あるいは複数の層からなるものが用いられる。透明熱可塑性樹脂層4の厚みは、耐候性、耐熱性、巻取りのしやすさや、耐傷性等などを考慮すると70~200μmが望ましい。」 (b)「【実施例1】 【0016】 着色熱可塑性樹脂層1として厚み70μmのポリオレフィン樹脂着色シート(リケンテクノス(株)製:「リベストTPO」)を用い、これに絵柄層2としてグラビア印刷機にて2液ウレタン樹脂バインダーインキを用いた木目柄印刷を行なった。 この絵柄層2上に接着剤層3として、ポリエステルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート(硬化剤)を13重量部混合したものを用い、乾燥後の重量が1g/m2となるように塗工した。そして、この上に透明熱可塑性樹脂層4としてポリプロピレン樹脂を厚み70μmとなるように押出ラミネートした。 【0017】 この表面に表面保護層5として、ウレタンアクリレート(ダイセル・ユーシービ(株)製「Ebecryl4858」)100部とペンタエリスリトールテトラアクリレート(ダイセル・ユーシービ(株)製「PETA-K」)20部、ベンゾフェノン系光開始剤(ダイセル・ユーシービ(株)製「Ebecryl BZO」)0.5部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.5部、ヒンダードアミン系光安定剤0.5部、ガラスビーズ2部を添加した紫外線硬化型樹脂を用い、これを厚さ5μmとなるように塗布し、メタルハライドランプによる紫外線照射により硬化させた。」 (c)図1 「 [図:0001436772000002.jpg] 」 b 図から看取される事項 上記a(a)の記載を踏まえると、上記a(c)の図1から、化粧シートは、着色熱可塑性樹脂層1と、絵柄層2と、接着剤層3と、透明熱可塑性樹脂層4と、表面保護層5とをこの順に備えることが看取される(以下「看取事項」という。)。 c 引用発明 上記a及びbから、引用文献6には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明) 着色熱可塑性樹脂層1と、絵柄層2と、接着剤層3と、透明熱可塑性樹脂層4と、表面保護層5とをこの順に備える化粧シートであって、(看取事項) 絵柄層2としては、公知の不透明な無機、有機顔料からなる2液のウレタン系樹脂バインダー等からなるグラビアインキが使用可能であり、(【0011】) 着色熱可塑性樹脂層1の厚みは、ハンドリング性、刃物摩滅度などを考慮すると、50~200μmが望ましく、(【0010】) 透明熱可塑性樹脂層4としては、ポリプロピレン樹脂からなるものが用いられ、透明熱可塑性樹脂層4の厚みは、耐候性、耐熱性、巻取りのしやすさや、耐傷性等などを考慮すると70~200μmが望ましく、(【0013】) 表面保護層5として、ウレタンアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートを含む紫外線硬化型樹脂を紫外線照射により硬化させたものとできる、(【0017】) 化粧シート。 (イ)引用文献8 a 引用文献8に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された引用文献である、「プラスチック・機能性高分子材料事典」編集委員会,プラスチック・機能性高分子材料事典,初版第1刷,日本,産業調査会 事典出版センター,2004年2月20日,34及び35頁には、次の記載がある(四角枠は、強調のために付与した。)。」 (a)34頁 「 [図:0001436772000003.jpg] 」 (b)35頁 「 [図:0001436772000004.jpg] 」 b 引用文献8から理解できる事項 引用文献8より、以下の事項が理解できる (a)ホモPPの密度は、0.902~0.910g/cm3であること(34頁の表3 ホモPPおよびランダムPPの特性 の密度欄) (b)密度0.906g/cm3のホモPPに、タルク、CaCO3(炭酸カルシウム)、マイカ、ガラス繊維を所定量含有するPPの密度は、1.14~1.53g/cm3となり、ホモPPより密度が大きいこと(第35頁表5 無機質強化PPの特性 の密度欄)。 (ウ)引用文献3 a 引用文献3に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、国際公開第2014/065380号(2014年5月1日国際公開。以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 (a)「技術分野 [0001] 本発明は、植物由来原料からなる樹脂フィルム、および樹脂フィルム積層化粧板に関し、特に、石油原料の使用をできるだけ減らした地球環境にやさしい樹脂フィルム、およびその樹脂フィルムを基板に積層した樹脂フィルム積層化粧板に関する。」 (b)「[0006] 本発明の目的は、植物由来原料をできるだけ多く用いて、地球環境の悪化や有限資源の使用量削減の可能な、かつ高品質な樹脂フィルム及びそれを用いた化粧板を提供することにある。 本発明の他の目的は、上記樹脂フィルムを金属板などの基板に積層し、密着性や加工性に優れた化粧板を提供することである。 また、本発明のさらに他の目的は、バイオマスマークの条件を満たすように樹脂フィルムのバイオマス比率を上げ、かつ、従来の石油系プラスチックによる樹脂フィルムと同程度の性能を付与した植物由来原料を用いた樹脂フィルムを提供することにある。 ・・・ 発明の効果 [0008] 本発明によれば、石油系樹脂の量を削減し植物由来原料を用いて、バイオマスマークの条件を満たすように樹脂フィルムのバイオマス比率を上げ、かつ、従来の石油系プラスチックによる樹脂フィルムと同程度の性能を付与した植物由来原料を用いた樹脂フィルムとすることができる。 さらに、その樹脂フィルムを基板に積層した化粧板は、密着性、加工性、耐久性にすぐれたものである。」 (c)「[0026] <バイオマス度25wt%以上> なお、本実施形態の樹脂フィルムにおいては、樹脂フィルム全体としてのバイオマス度が25wt%以上であることが望ましい。 樹脂フィルム全体としてのバイオマス度が25wt%以上であることにより日本バイオプラスチック協会(JBPA)による、バイオマスプラスチック認定マークを取得すること可能となり樹脂フィルムに環境負荷の小さい商材としての、付加価値を付与することができるからである。 [0027] <バイオマーク> ここで、本発明において用いるバイオマークについて説明する。 社会法人日本有機資源協会(JORA)において、バイオマス材料を用いた商品に関してバイオマスマークの認定を行っている。バイオマスマークの認定は、バイオマス材料を利活用して生産された商品にバイオマスマークを付することにより、バイオマス商品への利活用を消費者に知らせ、これらの商品を普及させることにより、バイオマス材料の利用を促進して、自然の恵みで持続的に発展可能な社会構築に貢献することを目的としている。 [0028] また、日本バイオプラスチック協会(JBPA)は、ポリ乳酸のように、バイオマス原料から生産されるバイオマス材料を用いることに関して、有機資源(植物等)由来物質を、プラスチック構成成分として所定量以上含む、バイオマスプラスチック製品を地球温暖化防止の観点と、化石資源消費縮減の重要性をかんがみ、バイオマスプラの識別表示制度を制定し、当協会が定める基準に適合する製品を「バイオマスプラ」として認証し、一般消費者がバイオマスプラスチック製品を容易に識別できるように、シンボルマークの使用を許可している。 バイオマスプラ識別認定のためには、製品中のバイオマスプラスチック度(原材料、製品に含まれるバイオマスプラスチック組成中のバイオマス由来成分の全体量に対する割合)が、25wt%以上のプラスチック製品である必要がある。すなわち、樹脂フィルムにおけるバイオマス材料比率をできるだけ高く(最低でも25wt%以上)することは、地球環境への負荷を考えても非常に重要であり、バイオマスプラスチック認定マークを取得することで、消費者に対して付加価値として認識されることを考えると、必要な事項である。 本発明者等は、このような主旨に鑑み、本発明の樹脂フィルムも、バイオマス材料比率をできるだけ高くすることが望ましいと考えている。」 (d)「【産業上の利用可能性】 [0066] 本発明の樹脂フィルムは植物由来原料を用いて、バイオマスマークの条件を満たすように樹脂フィルムのバイオマス比率を上げ、かつ、従来の石油系プラスチックによる樹脂フィルムと同程度の性能を付与した植物由来原料を用いた樹脂フィルムとすることができる。 さらに、その樹脂フィルムを基板に積層した化粧板は、密着性、加工性、耐久性にすぐれたものであるので、産業上の利用可能性が極めて高い。」 b 引用文献3記載技術事項 上記aより、引用文献3には、以下の技術事項(以下「引用文献3記載技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (引用文献3記載技術事項) 植物由来原料をできるだけ多く用いて、地球環境の悪化や有限資源の使用量削減の可能な、かつ高品質な樹脂フィルムを提供するにあたり、([0006]) 石油系樹脂の量を削減し植物由来原料を用いて、樹脂フィルムのバイオマス比率を上げ、かつ、従来の石油系プラスチックによる樹脂フィルムと同程度の性能を付与した植物由来原料を用いた樹脂フィルムとすることができること。([0008])。 (エ)引用文献4 a 引用文献4に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、国際公開第2021/038972号(2021年3月4日国際公開。以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。 (a)「技術分野 [0001] 本発明は、樹脂組成物及び成形品に関する。 背景技術 [0002] ポリオレフィン系樹脂等を含む樹脂組成物(ポリオレフィン系樹脂含有樹脂組成物)から得られた成形品は、幅広い用途に利用されている。さらに、このような成形品の各種特性(印刷性や耐水性等)を向上させるべく、様々な成分を配合されたポリオレフィン系樹脂含有樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1~4)。 ・・・ 発明の概要 発明が解決しようとする課題 [0004] 他方で、ポリオレフィン系樹脂含有樹脂組成物から得られた成形品には、例えば成形品が、厚さが薄いもの(シート、フィルム等)である場合、成形品同士が密着してしまう問題(いわゆる「ブロッキング」)が知られている。 [0005] ブロッキングを防止するための方法として、樹脂組成物に対し、粒径が大きい成分を多く配合することが考えられる。しかし、このような樹脂組成物から得られる成形品の表面には凹凸が多く生じ、印刷性が顕著に劣るという問題が生じ得る。 [0006] 本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、印刷性を損なわずに、ブロッキングが抑制された成形品が得られる樹脂組成物の提供を目的とする。」 (b)「[0042] (ポリオレフィン系樹脂) ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィン成分単位を主成分とするポリオレフィン系樹脂であり、具体的には、上述の通り、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂、その他、ポリメチル-1-ペンテン、エチレン-環状オレフィン共重合体等、さらにそれらの2種以上の混合物等が挙げられる。 なお、上記「主成分とする」とは、オレフィン成分単位がポリオレフィン系樹脂中に50質量%以上含まれることを意味し、その含有量は好ましくは75質量%以上であり、より好ましくは85質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。 [0044] ポリオレフィン系樹脂は、植物由来のものであってもよい。例えば、バイオマス原料由来のモノマーをポリオレフィン系樹脂として用いることができる。」 b 引用文献4記載技術事項 上記aより、引用文献4には、以下の技術事項(以下「引用文献4記載技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (引用文献4記載技術事項) ポリプロピレン系樹脂等が挙げられるポリオレフィン系樹脂は、([0042]) 植物由来のものであってもよく、例えば、バイオマス原料由来のモノマーをポリオレフィン系樹脂として用いることができること([0044])。 (オ)引用文献5 a 引用文献5に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2011-38207号公報(平成23年2月24日出願公開。以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。 「【背景技術】 【0002】 ポリエチレン(PE)あるいはポリプロピレン(PP)は、機械的強度、化学的安定性に優れ、かつ安価であるため、各種の繊維、シート、フィルム、容器等として世界中で最も多く使用されている合成樹脂素材のひとつである。 【0003】 ところで、PEやPPは従来、石油から得られるナフサを熱分解して得られるエチレンやプロピレンを原料とし、これを重合して製造されている。このように従来のPEやPPは限りある貴重な化石資源である石油を原料としている。さらに、従来のPEやPPは廃棄の過程で化石資源中に封じ込められていた炭素が二酸化炭素となって空気中に放出され、地球温暖化の一因となっている。これに対し、バイオマスの起源である植物は、太陽エネルギーと二酸化炭素および水から光合成により澱粉、セルロースやリグニンなどの植物バイオマスを作ることができる。したがって、こういったバイオマス由来の成分を樹脂原料にすれば、化石資源の使用量を抑制することができ、使用後に焼却処理して二酸化炭素と水に分解されても、これらは再び光合成によって植物に取り込まれるものである。すなわち、これを構成する炭素源については循環系のライフサイクルを構築するものであり、究極のリサイクル素材とすることができる。よって、バイオマス由来成分を原料として用いた分、温室効果ガスとなる二酸化炭素の新たな発生を削減できることになる。このことは最近「カーボンニュートラル」と称されて、将来の望ましい姿であるとされている。(例えば、非特許文献1参照。) 例えば、(財)化学技術戦略推進機構では、石油の代わりにサトウキビの搾り汁を発酵させてアルコールを作り、これを化学反応でエチレンやプロピレンに変える「バイオマスコンビナート構想」を提起し、2007年秋より技術開発に着手している。(例えば、非特許文献2参照。)また、米国、ダウ・ケミカル社とブラジルのアルコール・精糖大手のクリスタルセブ社は、2011年稼動を目指してブラジルでサトウキビを原料とするエタノールからエチレン、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)までの一貫工場を建設することを発表した。(例えば、非特許文献3参照。) このように、バイオマス由来の成分を樹脂原料として得られたポリオレフィン、すなわちバイオマス由来炭素を含むPEやPPについては、一部の小規模製造から工業的生産に向けて検討されているのが現在の状況である。しかもバイオマス由来炭素を含むPEやPPは化学構造的には従来の化石資源起源のPEやPPとなんら変わらないため、優れた物性はそのまま維持されることが期待されている。 【先行技術文献】 ・・・ 【非特許文献1】バイオマス・ニッポン総合戦略骨子、農水省・環境省・経産省プレスリリース、平成14年7月30日 ・・・ 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者らは、上記の課題を解決するために検討を行い、PEやPPの原料であるエチレンやプロピレンをバイオマス由来の成分としたものにすればこの目的が達成されることに想到した。 ・・・ 【発明の効果】 【0008】 本発明の複合繊維は、バイオマス由来の成分を原料としたポリオレフィンを構成成分として使用しているため、汎用資材として使用するにあたって、石油資源の枯渇の抑制に寄与するところが大きく、また、焼却廃棄に際しても、地球温暖化の原因物質である二酸化炭素の大気中での増加を抑制することができる。」 b 引用文献5記載技術事項 上記aより、引用文献5には、以下の技術事項(以下「引用文献5記載技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (引用文献5記載技術事項) シートとして世界中で最も多く使用されている合成樹脂素材のひとつであるポリプロピレン(PP)は、従来、石油から得られるナフサを熱分解して得られるエチレンやプロピレンを原料とし、これを重合して製造されているところ、化石資源中に封じ込められていた炭素が二酸化炭素となって空気中に放出され、地球温暖化の一因となっているのに対し、バイオマスの起源である植物は、太陽エネルギーと二酸化炭素および水から光合成により植物バイオマスを作ることができ、したがって、こういったバイオマス由来の成分を樹脂原料にすれば、化石資源の使用量を抑制することができ、バイオマス由来成分を原料として用いた分、温室効果ガスとなる二酸化炭素の新たな発生を削減できることになるため、(【0002】、【0003】) PPの原料であるエチレンやプロピレンをバイオマス由来の成分としたものにして地球温暖化の原因物質である二酸化炭素の大気中での増加を抑制すること。(【0006】、【0008】) (カ)引用文献10 a 引用文献10に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特許第7004864号公報(令和4年1月21日特許公報発行。以下「引用文献10」という。)には、次の記載がある。 (a)「【技術分野】 【0001】 プロピレン系重合体、および該重合体の製造方法に関する。より詳しくは、バイオマス由来のプロピレンと化石燃料由来のプロピレンとからなるプロピレンを重合して得られるプロピレン系重合体、および該重合体の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 プラスチック製品の製造から利用、廃棄に至るライフサイクルにおける環境負荷(温室効果ガス発生)低減の観点から、バイオマス由来のプロピレンを製造すること、また、そのバイオマス由来のプロピレンを含む原料からプロピレン系重合体(バイオマス由来のプロピレン系重合体)を製造することが検討されている(特許文献1、特許文献2)。 【0003】 しかし、世界の化石燃料生産量は約79億トン(石油換算)/年(非特許文献1)であるのに対して、世界のバイオマス燃料生産量は約0.95億トン(石油換算)/年(非特許文献2)と少なく、またバイオマス由来のプロピレンは製造コストが高い。そのため、環境負荷の少ないバイオマス由来のプロピレンを原料とする重合体を含む材料を広く普及させるためには、製品価格、市場ニーズなどを考慮して、バイオマス度を調整した材料が求められている。 【0004】 材料のバイオマス度を調整した材料としては、例えば、バイオマス由来のポリプロピレンに、粉砕再生ポリプロピレンなどを混合した材料(特許文献3)、バイオマス由来炭素の存在割合が、70%以上100%未満となるように、バイオマス由来のポリオレフィンチップと石油系素材のみからなるポリオレフィンチップを混合した材料(特許文献4)などが検討されている。 【0005】 また、バイオマス度が8.4~49である、バイオマスポリエチレンおよびプロピレン系重合体を含むプロピレン系重合体組成物が検討されている(特許文献5)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0006】 【特許文献1】国際公開第2007/055361号 【特許文献2】特表2010-511634号公報 【特許文献3】特表2014-508688号公報 【特許文献4】特開2013-076192号公報 【特許文献5】特開2021-091881号公報 【特許文献6】特開平10-237127号公報 【特許文献7】特開平9-031265号公報 【特許文献8】特開2004-292683号公報」 (b)「【0008】 しかし、特許文献3および4のように、バイオマス由来のポリオレフィンと化石燃料由来のポリオレフィンとを混合することによりバイオマス度を調整した材料は、バイオマス由来プロピレン系重合体に、従来の化石燃料由来プロピレン系重合体を混合する必要があり、混合工程が必要となり、そのための設備が必要であり、混合工程でエネルギーを消費し、結果的に環境負荷が多くなることも懸念される。」 (c)「【0012】 バイオマス由来オレフィン(エチレン、プロピレン、炭素数4~8のα-オレフィン)と化石燃料由来オレフィン(エチレン、プロピレン、炭素数4~8のα-オレフィン)との構造の違いは、14C同位体を含むこと(バイオマス由来オレフィンは全炭素に対して10-12程度の濃度で14Cが存在する)だけである。これらを原料としたプロピレン系重合体の分子構造の違いは14Cを有するか有さないかだけで、それ以外の分子量、分子量分布、立体規則性、立体規則性分布、組成、組成分布、デカン可溶部量など分子構造が同一であれば、バイオマス由来オレフィンからなるプロピレン系重合体と化石燃料由来オレフィンからなる従来のプロピレン系重合体に性能の違いは無いとされている。プロピレン系重合体の性能(例えば、剛性、耐衝撃性などの機械物性)は、プロピレン系重合体の立体規則性、分子量分布、組成分布(プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体)、ゴム量(プロピレン・エチレンブロック共重合体)など14C濃度以外の分子構造に依存する(特許文献6~8)ことは、バイオマス由来オレフィンから導かれる構成単位を含むプロピレン系重合体にも当てはまると考えらえる。」 b 引用文献10記載技術事項 上記aより、引用文献10には、以下の2の技術事項(以下、それぞれ、「引用文献10記載技術事項1」及び「引用文献10記載技術事項2」という。)が記載されていると認められる。 (a)(引用文献10記載技術事項1) プラスチック製品の製造から利用、廃棄に至るライフサイクルにおける環境負荷(温室効果ガス発生)低減の観点から、バイオマス由来のプロピレンを製造すること、また、そのバイオマス由来のプロピレンを含む原料からプロピレン系重合体を製造することが検討されていること。(【0002】) (b)(引用文献10記載技術事項2) バイオマス由来のポリオレフィンと化石燃料由来のポリオレフィンとを混合することによりバイオマス度を調整した材料とすること。(【0008】) (キ)引用文献A(当審において新たに引用する周知技術を示す文献) a 引用文献Aに記載された事項 本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、国際公開第2021/241745号(2021年12月2日国際公開。以下「引用文献A」という。)には、次の記載がある。 (a)「技術分野 [0001] 本発明は、多孔質延伸フィルム及び印刷用フィルムに関する。 背景技術 ・・・ [0004] 一方で、地球温暖化対策として、石油依存から脱却し、二酸化炭素ガスの排出量が少ない環境を構築するため、化石燃料由来のポリオレフィンにバイオマス由来のポリオレフィンを併用した樹脂フィルムも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。」 (b)「[0028] 以下、本発明の多孔質延伸フィルム及び印刷用フィルムについて詳細に説明するが、以下の説明は本発明の一例(代表例)であり、本発明はこれに限定されない。 ・・・ [0030] (多孔質延伸フィルム) 本発明の多孔質延伸フィルムは、少なくともポリオレフィン樹脂と無機フィラーを含み、ポリオレフィン樹脂として少なくともポリプロピレン樹脂を含む。本発明の多孔質延伸フィルムは、ポリプロピレン樹脂と無機フィラーを含む樹脂組成物を、溶融混練し、フィルム成形して、得られたフィルムを少なくとも1軸方向に延伸することにより得られる。本発明の多孔質延伸フィルムは、店舗メニューのような商業上の印刷用途に有用なものである。 [0031] 本発明の多孔質延伸フィルムに使用されるポリプロピレン樹脂は、植物由来のポリプロピレン樹脂を含む。植物由来のポリプロピレン樹脂は、石油由来のポリプロピレン樹脂と比べて二酸化炭素ガス排出係数が小さい値である。そのため、植物由来のポリプロピレン樹脂を用いた場合に多孔質延伸フィルムの単位体積あたりの二酸化炭素ガスの排出量を減らすことができ、環境負荷の低減に寄与することができる。また、本発明の多孔質延伸フィルムは、フィルム中の樹脂が樹脂よりも二酸化炭素排出係数が小さい無機フィラーに置き換えられ、さらに無機フィラーを含有するフィルムの延伸によってフィルム中に空孔が形成され、形成された空孔によって二酸化炭素排出係数がゼロの空気に置き換えられる。よって、製造過程においてフィルムの単位体積あたりの二酸化炭素ガスの排出量がさらに少ない多孔質延伸フィルムを提供することができる。」 (c)「[0035] <ポリプロピレン樹脂> 本発明の多孔質延伸フィルムに使用されるポリプロピレン樹脂は、上述のように植物由来のポリプロピレン樹脂を含む。植物由来のポリプロピレン樹脂は、原料が植物由来であるプロピレンをモノマーとして用いたプロピレン重合体である。原料として使用される植物は育成段階で二酸化炭素ガスを吸収しているため、そのような二酸化炭素ガスの吸収がない石油由来のポリプロピレン樹脂と比べて、植物由来のポリプロピレン樹脂の製造過程における二酸化炭素ガス排出係数は小さい。そのため、植物由来のポリプロピレン樹脂の使用によりフィルム製造における二酸化炭素ガスの排出量を減らすことができる。 [0036] 同ポリプロピレン樹脂の具体例としては、プロピレンを単独重合させたアイソタクティックホモポリプロピレン樹脂、シンジオタクティックホモポリプロピレン樹脂等のプロピレン単独重合体;プロピレンを主体とし、エチレンと共重合したプロピレン・エチレン共重合体;プロピレンを主体とし、炭素数4以上のアルキレンである1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン等を共重合させたプロピレン・α-オレフィン共重合体等;:プロピレンを主体としたプロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体等が挙げられる。プロピレン共重合体は、2元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもリアクターブレンド共重合体でもよい。より具体的には、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、プロピレン・3-メチル-1-ペンテン共重合体、プロピレン・エチレン・3-メチル-1-ペンテン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、フィルムへの延伸成形性やヒンジ特性が優れる観点から、プロピレンを単独重合させた結晶性のホモポリプロピレン樹脂が好ましく、アイソタクティックホモポリプロピレン樹脂がより好ましい。 ・・・ [0039] 本発明の多孔質延伸フィルムは、上述のように植物由来のポリプロピレン樹脂を少なくとも含むが、植物由来のポリプロピレン樹脂以外に石油由来のポリプロピレンをさらに含むこともできる。」 (d)「[0061] <<石油由来のポリプロピレン樹脂>> 石油由来のポリプロピレン樹脂は、原料が石油であるプロピレンをモノマーとして用いて得られたプロピレン重合体である。石油由来のポリプロピレン樹脂は、安価で入手が容易である。またこれらは重合条件を調整して溶融粘度を高めたものや化学的修飾を施したもの等があり、品種が豊富である。よって、これらを植物由来のポリプロピレン樹脂と併用することが、多孔質延伸フィルムの成形性及び品質を調整しやすい観点で好ましい。 石油由来のポリプロピレン樹脂は、質量数14の放射性炭素(14C)を含まないのに対し、植物由来のポリプロピレン樹脂は14Cを含むことから、両者の区別が可能である。植物由来の炭素の割合(植物由来度)は、14Cの含有量に基づき測定することができる。 [0062] <<植物由来のポリプロピレン樹脂と石油由来のポリプロピレン樹脂の質量比>> 植物由来のポリプロピレン樹脂と石油由来のポリプロピレン樹脂の質量比(植物由来のポリプロピレン樹脂:石油由来のポリプロピレン樹脂)は、1:99~99:1であることが好ましい。バイオマス度を増加させて二酸化炭素ガスの排出量を減らす観点からは、植物由来のポリプロピレン樹脂の含有割合が多い方が好ましい。一方、植物由来は石油由来に比べて高価であるため、製造コスト削減の観点からは石油由来のポリプロピレン樹脂の含有割合が多い方が好ましい。したがって、上記質量比は、より好ましくは5:95~70:30であり、さらに好ましくは10:90~40:60である。」 b 引用文献A記載技術事項 上記aより、引用文献Aには、以下の3の技術事項((以下、それぞれ、「引用文献A記載技術事項1」~「引用文献A記載技術事項3」という。)が記載されていると認められる。 (a)(引用文献A記載技術事項1) 地球温暖化対策として、石油依存から脱却し、二酸化炭素ガスの排出量が少ない環境を構築するため、化石燃料由来のポリオレフィンにバイオマス由来のポリオレフィンを併用した樹脂フィルムも提案されており、([0004])、 ポリプロピレン樹脂は、植物由来のポリプロピレン樹脂を含み、植物由来のポリプロピレン樹脂は、石油由来のポリプロピレン樹脂と比べて二酸化炭素ガス排出係数が小さい値であるため、植物由来のポリプロピレン樹脂を用いた場合に二酸化炭素ガスの排出量を減らすことができ、環境負荷の低減に寄与することができること。([0031]) (b)(引用文献A記載技術事項2) ポリプロピレン樹脂は、原料が植物由来であるプロピレンをモノマーとして用いたプロピレン重合体であってプロピレンを単独重合させたホモポリプロピレン樹脂とできること。([0035]、[0036]) (c)(引用文献A記載技術事項3) 石油由来のポリプロピレン樹脂は、原料が石油であるプロピレンをモノマーとして用いて得られたプロピレン重合体であり、安価で入手が容易であり、品種が豊富であって、植物由来のポリプロピレン樹脂と併用することが、成形性及び品質を調整しやすい観点で好ましく、([0061]) 植物由来のポリプロピレン樹脂と石油由来のポリプロピレン樹脂の質量比は、1:99~99:1であることが好ましく、バイオマス度を増加させて二酸化炭素ガスの排出量を減らす観点からは、植物由来のポリプロピレン樹脂の含有割合が多い方が好ましい一方、植物由来は石油由来に比べて高価であるため、製造コスト削減の観点からは石油由来のポリプロピレン樹脂の含有割合が多い方が好ましく、上記質量比は、より好ましくは5:95~70:30であり、さらに好ましくは10:90~40:60であること。([0062]) (ク)引用文献B(当審において新たに引用する周知技術を示す文献) a 引用文献Bに記載された事項 本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、国際公開第2007/055361号(2007年5月18日国際公開。以下「引用文献B」という。)には、図面とともに、次の記載がある。なお、引用文献Bは、引用文献10に示された特許文献1である。 (a)「技術分野 [0001] 本発明は、とうもろこしやサトウキビなどのバイオマス由来のエタノールから得られるエチレンと、n-ブテンをメタセシス反応させることによりバイオマス由来の炭素を少なくとも1/3含有するプロピレンを得る方法に関するものである。 背景技術 [0002] 地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素を削減する方法として、化石原料からバイオマス資源原料への転換が望まれている。具体的には、(1)バイオマス資源の高温ガス化により得られるメタノールを原料として得られるエチレン、又は(2)バイオマス資源の醗酵により得られるエタノールを原料としその脱水反応により得られるエチレンを、ナフサクラッカーにより得られるエチレンの代替にする検討がなされている。 [0003] 一方、ナフサクラッカーから得られるもう1つの重要な石油化学基礎原料がプロピレンであるが、メタノール又はエタノールから直接プロピレンを得るためには通常何らかの化学反応による変換が必要である。ここで、同種または異種のオレフィン同士が反応して異なる構造のオレフィンを与えるメタセシス反応は、エチレンを2-ブテンと反応させることによりプロピレンへ変換することができるので極めて有用な反応である。 ・・・ 発明が解決しようとする課題 [0007] 本発明は、バイオマス由来のエタノールから得られるエチレンを生成水と分離した後に吸着精製することにより効率よくメタセシス反応を進行させることによるプロピレンの製造方法を提供することを目的とする。」 (b)「発明の効果 [0011] 本発明の方法によれば、バイオマス由来のエタノールを原料としてもメタセシス反応触媒の劣化を抑制でき、そのため反応器の切り替え頻度を低減し、さらに収率もよく、プロセス上および経済上著しく優位に高品質のプロピレンを生産することが出来る。該プロピレンは環境中の二酸化炭素収支上極めて有用であり、その誘導体又は重合体としても地球環境への寄与は絶大である。」 (c)「[0071] 本発明の方法で得られたプロピレンは、バイオマス由来の不純物量が極めて少なく、高純度が要求されるポリマー原料としても石油資源由来のプロピレンと同等に使用することができる。 [0072] 本発明の方法で得られたプロピレンからなるプロピレン重合体及び共重合体は、植物由来の炭素を含むポリマーであり、ナフサ由来のプロピレンからなるポリマーに比べて、物質循環における環境負荷が極めて低いにもかかわらず、従来のナフサ由来のポリマーと同等の物性を有しており、非常に有用である。プロピレン重合体又は共重合体としては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレン-αオレフィン共重合体、プロピレン系エラストマー、プロピレン系ゴム等が挙げられる。これらは、さらに変性されていても良い。」 b 引用文献B記載技術事項 上記aより、引用文献Bには、以下の2の技術事項(以下、それぞれ、「引用文献B記載技術事項1」及び「引用文献B記載技術事項2」という。)が記載されていると認められる。 (a)引用文献B記載技術事項1 地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素を削減する方法として、化石原料からバイオマス資源原料への転換が望まれているところ、([0002]) バイオマス由来のエタノールから得られるエチレンと、n-ブテンをメタセシス反応させることによりバイオマス由来の炭素を少なくとも1/3含有するプロピレンを得る方法は、([0001]) バイオマス由来のエタノールを原料としても高品質のプロピレンを生産することが出来、該プロピレンは環境中の二酸化炭素収支上極めて有用であり、その重合体としても地球環境への寄与は絶大であること。([0011]) (b)引用文献B記載技術事項2 バイオマス由来のエタノールから得られるエチレンと、n-ブテンをメタセシス反応させることによりバイオマス由来の炭素を少なくとも1/3含有するプロピレンを得る方法で得られたプロピレンからなるプロピレン重合体は、植物由来の炭素を含むポリマーであり、ナフサ由来のプロピレンからなるポリマーに比べて、物質循環における環境負荷が極めて低いにもかかわらず、従来のナフサ由来のポリマーと同等の物性を有しており、非常に有用であり、プロピレン重合体としては、ホモポリプロピレンが挙げられること。」([0001]、[0072]) (ケ)周知技術1 引用文献3記載技術事項(上記(ウ)b)、引用文献5記載技術事項(上記(オ)b)、引用文献10記載技術事項1(上記(カ)b(a))、引用文献A記載技術事項1(上記(キ)b(a))、引用文献B記載技術事項1(上記(ク)b(a))より、「石油等の化石資源の使用に起因する二酸化炭素放出等による地球環境の悪化は周知の課題であり、その抑制のためにバイオマスプロピレン等のバイオマス由来の樹脂原料を化石資源に置換して用いること」は周知技術(以下「周知技術1」という)であると認められる。 (コ)周知技術2 引用文献A記載技術事項2(上記(キ)b(b))、引用文献B記載技術事項2(上記(ク)b(b))より、バイオマス由来のポリプロピレンを、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のホモポリプロピレンとすることは周知技術(以下「周知技術2」という)であると認められる。 ウ 本件補正発明と引用発明との対比 (ア)本件補正発明の構成A及びMについて a 引用発明の「化粧シート」が「着色熱可塑性樹脂層1と、絵柄層2と、接着剤層3と、透明熱可塑性樹脂層4と、表面保護層5とをこの順に備える」ことは、本件補正発明の「着色熱可塑性樹脂層と、絵柄層と、接着層と、透明熱可塑性樹脂層と、表面保護層とをこの順に備え」ることに相当する。 b 引用発明の「化粧シート」は、本件補正発明の「化粧シート」に相当する。 (イ)本件補正発明の構成Bについて 引用発明の「表面保護層5」が、「ウレタンアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートを含む紫外線硬化型樹脂を紫外線照射により硬化させた」ものであることは、本件補正発明の「前記表面保護層は、アクリル系樹脂組成物で形成された樹脂層であ」ることに相当する。 (ウ)本件補正発明の構成Cについて 「ポリプロピレン」がモノマーとしてのプロピレンが重合した樹脂組成物であることは技術常識であるから、本件補正発明の「前記透明熱可塑性樹脂層は、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された樹脂層であ」ることと、引用発明の「透明熱可塑性樹脂層4としては、ポリプロピレン樹脂からなるものが用いられ」ることとは、「前記透明熱可塑性樹脂層は、プロピレンを含むモノマーが重合したポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された樹脂層であ」る点で共通する。 (エ)本件補正発明の構成Kについて 引用発明の「絵柄層2」として、「公知の不透明な無機、有機顔料からなる2液のウレタン系樹脂バインダー等からなるグラビアインキが使用」されたものは、本件補正発明の「前記絵柄層は、ウレタン系印刷インキで印刷された層であ」ることに相当する。 (オ)上記(ア)~(エ)を総合すると、本件補正発明と引用発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 (一致点) A 着色熱可塑性樹脂層と、絵柄層と、接着層と、透明熱可塑性樹脂層と、表面保護層とをこの順に備え、 B 前記表面保護層は、アクリル系樹脂組成物で形成された樹脂層であり、 C’前記透明熱可塑性樹脂層は、プロピレンを含むモノマーが重合したポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された樹脂層であり、 K 前記絵柄層は、ウレタン系印刷インキで印刷された層である、 M 化粧シート。 (相違点1) 透明熱可塑性樹脂層を形成するポリプロピレンについて、本件補正発明は、モノマーであるプロピレンが「バイオマス由来」のプロピレンを含む「バイオマス由来のポリプロピレン」を含むものであって、(構成C) 「透明熱可塑性樹脂層は、樹脂として、前記バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンを含み、且つ前記透明熱可塑性樹脂層全体の質量に対し、前記バイオマス由来のポリプロピレンを40質量%以上75質量%以下の範囲内で含み」、(構成G) 「前記透明熱可塑性樹脂層に含まれる前記バイオマス由来のポリプロピレンは、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のホモポリプロピレンである」(構成L) のに対し、引用発明は、透明熱可塑性樹脂層4に用いられるポリプロピレン樹脂の由来が示されておらず、本件補正発明のように特定されていない点。 (相違点2) 着色熱可塑性樹脂層及び透明熱可塑性樹脂層の密度について、本件補正発明は、 「前記着色熱可塑性樹脂層は、1.20g/cm3以上1.40g/cm3以下の範囲内の密度を有し」、(構成D) 「前記透明熱可塑性樹脂層は、0.90g/cm3以上0.96g/cm3以下の範囲内の密度を有し」、(構成E) 「前記着色熱可塑性樹脂層の密度は、前記透明熱可塑性樹脂層の密度よりも高」い(構成F)と特定されているのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。 (相違点3) 着色熱可塑性樹脂層及び透明熱可塑性樹脂層の厚さについて、本件補正発明は、 「前記着色熱可塑性樹脂層は、厚さが30μm以上70μm以下の範囲内であり」、(構成H) 「前記透明熱可塑性樹脂層は、厚さが10μm以上150μm以下の範囲内であり」、(構成I) 「前記透明熱可塑性樹脂層の厚さは、前記着色熱可塑性樹脂層の厚さよりも厚」い(構成J)と特定されているのに対し、引用発明は、「着色熱可塑性樹脂層1の厚み」と「透明熱可塑性樹脂層4の厚み」は、それぞれ、「50~200μm」、「70~200μm」が望ましいとされる点。 エ 判断 (ア)相違点1について a 相違点1に係る構成の想到容易性について 石油等の化石資源の使用に起因する二酸化炭素放出等による地球環境の悪化への対処は周知の課題であり、その抑制のために、化石資源に置換してバイオマスプロピレン等のバイオマス由来の樹脂原料を用いることは周知技術(周知技術1)である。 そうすると、引用発明に用いられたポリプロピレンとして、バイオマス由来のポリプロピレンを用いることは当業者が容易に想到し得ることである。 そして、「ポリプロピレン」がモノマーとしてのプロピレンが重合した樹脂組成物であることは技術常識である。また、バイオマス由来のポリプロピレンを、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のホモポリプロピレンとすることも周知技術(周知技術2)であるから、引用発明において、ポリプロピレンとしてバイオマス由来のポリプロピレンを用いるにあたり、モノマーであるプロピレンが「バイオマス由来」のプロピレンを含む「バイオマス由来のポリプロピレン」を含むものとし(構成C)、「前記透明熱可塑性樹脂層に含まれる前記バイオマス由来のポリプロピレンは、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のホモポリプロピレンである」(構成L)ものとすることは、当業者が容易になし得たことである。 また、バイオマス由来の材料を化石燃料由来の材料と併用することは、引用文献10記載技術事項2のほか、引用文献A記載技術事項3にも示される周知技術であり、数値範囲の好適化は当業者が通常の創作能力を発揮してなし得ることであるから、「透明熱可塑性樹脂層」が樹脂として含むポリプロピレンについて、周知技術1を適用してバイオマス由来のポリプロピレンを含むものとするにあたり、化石燃料由来のポリプロピレンをも含むものとするとともに、バイオマス由来のポリプロピレンの質量比率を、「前記透明熱可塑性樹脂層全体の質量に対し、前記バイオマス由来のポリプロピレンを40質量%以上75質量%以下の範囲内で含」むものとし、もって、「透明熱可塑性樹脂層は、樹脂として、前記バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンを含み、且つ前記透明熱可塑性樹脂層全体の質量に対し、前記バイオマス由来のポリプロピレンを40質量%以上75質量%以下の範囲内で含」む(構成G)ものとすることは、当業者が適宜なし得たことである。 b 相違点1に係る構成の効果について 相違点1に係る構成について、本願明細書には、上記ア(ウ)cにおいて摘記したように、「透明樹脂層5」について、「バイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物を用いて形成された透明な樹脂層であればよく、バイオマス由来のポリプロピレン以外に、化石燃料由来のポリプロピレンを含んでいてもよい」こと(【0020】、下線は当審において付した。以下同様、)、「透明樹脂層5は、バイオマス由来のプロピレンを透明樹脂層5全体に対して5質量%以上、好ましくは5~99質量%、より好ましくは25~75質量%、最も好ましくは40~75%含んでなるものであ」り、「透明樹脂層5中のバイオマス由来のプロピレンの濃度が5質量%以上であれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、カーボンニュートラルな化粧シートを実現できる」こと(【0035】)が記載され、「バイオマス由来のポリプロピレン」について、「バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合してなる」ものであり、「バイオマス由来のプロピレンは、特に限定されず、従来公知の方法により製造されたプロピレンを用いることができる」こと(【0021】)及び「また、バイオマス由来のポリプロピレンとして、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンをそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい」こと(【0029】)が記載されるものの、相違点1に係る構成によって、格別の効果を奏するものであることは記載されていない。 (イ)相違点2について a 相違点2に係る構成の想到容易性について (a)着色熱可塑性樹脂層の密度について 引用文献8をみると、ホモポリプロピレン(ホモPP)の密度は、0.902~0.910g/cm3であり、ホモPPに、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラス繊維を所定量含有するポリプロピレン(PP)の密度は、1.14~1.53g/cm3となり、密度が大きくなることが記載されている(第35頁表5)。 そして、引用発明の着色熱可塑性樹脂層1は、求められる色調や物性に応じた顔料や適宜添加剤が含まれていると認められるところ、求められる色調およびシートの物性に応じて、顔料の種類、量等を調節し、着色熱可塑性樹脂層1を「1.20g/cm3以上1.40g/cm3以下の密度を有」する(構成D)ものとすることは、当業者が適宜なし得たことである。 (b)透明熱可塑性樹脂層の密度について 引用発明の透明熱可塑性樹脂層は、透明とするために、添加剤は少ないと解されるから、透明熱可塑性樹脂層の密度は、一般的なホモポリプロピレン(引用文献8参照)の密度に近く、0.902~0.910g/cm3と大きく異ならないと解され、0.90g/cm3以上0.96g/cm3以下を満たしていると解される。 また、仮に相違するとしても、0.90g/cm3以上0.96g/cm3以下の範囲内の密度を有するものとすることは、当業者が適宜なし得たことである。 (c)着色熱可塑性樹脂層と透明熱可塑性樹脂層の密度の関係について 引用発明において、密度の数値範囲を上記(a)及び(b)のようにすれば、引用発明は、本件補正発明の「前記着色熱可塑性樹脂層の密度は、前記透明熱可塑性樹脂層の密度よりも高」い(構成F)ことに相当する構成を備えるものとなる。 (d)以上のとおりであり、引用発明において、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。 b 相違点2に係る構成の効果について 相違点2に係る構成について、本願明細書には、上記ア(ウ)d及びfにおいて摘記したように、「着色基材層2は、0.90~1.40g/cm3・・・の密度を有するものであ」り、「着色基材層2の密度が0.90g/cm3以上であれば、着色基材層2の剛性を高めることができる。また、着色基材層2の密度が1.40g/cm3以下であれば、着色基材層2の透明性や柔軟性、機械的強度を高めることができる」こと(【0013】)が記載され、また、「なお、実施例1では、着色基材層の密度を1.20g/cm3とした。」こと(【0061】)が記載され、「透明樹脂層5は、0.90~0.96g/cm3の密度を有するものであ」り、「透明樹脂層5の密度が0.90g/cm3以上であれば、透明樹脂層5の剛性を高めることができる。また、透明樹脂層5の密度が0.96g/cm3以下であれば、透明樹脂層5の透明性、押出適正や機械的強度を高めることができる」こと(【0036】)が記載されている。 しかし、本件補正発明において、透明熱可塑性樹脂層が樹脂として、前記バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンを含むものであって、前記バイオマス由来のポリプロピレンを40質量%以上75質量%以下の範囲内で含むものであること、及び、上記aにおいて検討したように、一般的なホモポリプロピレンが0.902g/cm3以上0.910g/cm3であることに鑑みると、密度については格別の工夫をすることをせずとも一般的なポリプロピレンの備える性質によって、透明樹脂層の透明性、押出適正等を所望の性能とできることは、当業者が予測し得る程度のことである。 着色熱可塑性樹脂層についても、同様に、着色基材層2の含む熱可塑性樹脂と、求められる色調や物性に応じた顔料や適宜添加剤を含むものとした場合に、密度については格別の工夫をすることをせずとも剛性や柔軟性等の必要な性能とすることができるものと認められる。 また、実施例(上記ア(イ)c)においても、「着色基材層2」が「0.90g/cm3」であって、本件補正発明の範囲内ではない実施例8を含め、実施例1~9及び石油由来のポリエチレンを用いた比較例1、2は、評価された「表面硬度」、「意匠性」、「押出適正」、「曲げ加工適正」がすべて「合格」とされるものであり、着色基材層や、所定のバイオマスポリプロピレンを用いた透明熱可塑性樹脂層の密度に関して数値範囲に臨界的意義等の技術的な意味があるといえるものではない。 以上のとおりであるから、本願明細書の記載内容を検討しても、本件補正発明は、相違点2に係る構成によって、格別の効果を奏するものであるとはいえない。 (ウ) 相違点3について a 相違点3に係る構成の想到容易性について (a)着色熱可塑性樹脂層1の厚さについて 着色熱可塑性樹脂層1の厚さについて、引用発明は、「ハンドリング性、刃物摩滅度などを考慮すると、50~200μmが望まし」いとしており、本件補正発明と「50~70μm」の範囲で重複する。 そして、本件補正発明の着色熱可塑性樹脂層の厚さの数値範囲の下限値、上限値である「30μm」、「70μm」に臨界的意義は認められないから、引用発明の「着色熱可塑性樹脂層1」の厚さについて望ましいとされる数値範囲の「50~200μm」の上限及び下限を適宜調整して「30~70μm」という好適値とすることは、当業者が通常の創作能力を発揮してなし得たことである。 よって、引用発明において、「前記着色熱可塑性樹脂層は、厚さが30μm以上70μm以下の範囲内であ」る(構成H)ものとすることは、当業者が適宜なし得たことである。 (b)透明熱可塑性樹脂層4の厚さについて 透明熱可塑性樹脂層4の厚さについて、引用発明は、「耐候性、耐熱性、巻取りのしやすさや、耐傷性等などを考慮すると70~200μmが望まし」いとしており、本件補正発明と「70~150μm」で重複する。 そして、数値範囲の好適化は、当業者の通常の創作能力の発揮であるところ、本件補正発明の透明熱可塑性樹脂層の厚さの数値範囲の下限値、上限値である「10μm」、「150μm」に臨界的意義は認められないから、引用発明の「透明熱可塑性樹脂層4」の厚さについて好ましいとされる数値範囲の「70~200μm」の上限及び下限を適宜調整して「10~150μm」という好適値とすることは、当業者が通常の創作能力を発揮してなし得たことである。 よって、引用発明において、「前記透明熱可塑性樹脂層は、厚さが10μm以上150μm以下の範囲内であ」る(構成I)ものとすることは、当業者が適宜なし得たことである。 (c)着色熱可塑性樹脂層と透明熱可塑性樹脂層の厚さの関係について 引用発明の化粧シートにおいて、「着色熱可塑性樹脂層1」は、絵柄層2が積層される、ハンドリング性、刃物摩滅度等が考慮される層であり、「透明熱可塑性樹脂層4」は、表面保護層5が積層される、耐候性、耐熱性、巻取りのしやすさや、耐傷性等などが考慮される層であって、それらの厚さは、それぞれの層において、必要な厚さとされるべきものである。 そして、数値範囲の好適化は、当業者の通常の創作能力の発揮であるところ、着色熱可塑性樹脂層1の厚さが、透明熱可塑性樹脂層4ほど必要ない場合に、「前記透明熱可塑性樹脂層の厚さは、前記着色熱可塑性樹脂層の厚さよりも厚」い(構成J)ものとすることは、当業者が適宜なし得たことである。 b 相違点3に係る構成の効果について 相違点3に係る構成について、本願明細書には、上記ア(ウ)e及びfにおいて摘記したように、「着色基材層2の厚さは、30μm以上70μm以下の範囲内であることが好ましく」、「これは、着色基材層2の厚さが30μm以上である場合、下地となる床材等の凹凸や段差等を吸収して化粧シート1の施工仕上がりを良好にすることが可能であることに起因する。また、着色基材層2の厚さが70μm以下である場合、着色基材層2を必要以上に厚く形成することがなく、化粧シート1の製造コストを削減することが可能であることに起因する」こと(「【0015】)が記載され、「透明樹脂層5の厚さは、10μm以上150μm以下の範囲内であることが好ましく」、「バイオマス由来のポリプロピレンからなる透明樹脂層5の厚さが10μm以上である場合、エンボス加工が良好に形成することが可能であること、下地となる床材等の凹凸や段差等を吸収して化粧シート1の施工仕上がりを良好にすることが可能であることに起因する。また、透明樹脂層5の厚さが150μm以下である場合、透明樹脂層5を必要以上に厚く形成することがなく、化粧シート1の製造コストを削減することが可能であることに起因する」こと(【0039】)が記載されるものの、下地となる床材等の凹凸や化粧シート1の製造コスト等を考慮して層の厚さを好適化することは、当業者が通常の創作能力を発揮してなし得ることであり、相違点3に係る構成によって、格別の効果を奏するものであるとはいえない。 また、実施例(上記ア(イ)c)においても、「透明樹脂層の厚さ」が「10μm」であって、「着色基材層の厚さ」の30μm未満であることから本件補正発明の範囲内ではない実施例4を含め、実施例1~9及び石油由来のポリエチレンを用いた比較例1、2は、評価された「表面硬度」、「意匠性」、「押出適正」、「曲げ加工適正」がすべて「合格」とされるものであり、着色基材層や、所定のバイオマスポリプロピレンを用いた透明熱可塑性樹脂層の厚さに関して数値範囲に臨界的意義等の技術的な意味があるといえるものではない。 以上のとおりであるから、本願明細書の記載内容を検討しても、本件補正発明は、相違点3に係る構成によって、格別の効果を奏するものであるとはいえない。 オ 審判請求人の主張について (ア)審判請求人の主張の概要 a 審判請求人は、補正後の本願請求項1に係る発明は、透明熱可塑性樹脂層は、樹脂として、バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンを含み、且つ透明熱可塑性樹脂層全体の質量に対し、バイオマス由来のポリプロピレンを40質量%以上75質量%以下の範囲内で含むという構成を備えたものであり、引用発明は、本願の「透明熱可塑性樹脂層」に相当する層におけるバイオマス由来のポリプロピレンの含有量の下限値を具体的に規定したものではないため、当該構成は、引用文献3~12に記載された発明に基づいて当業者が容易に為し得たものではない。 また、補正後の本願請求項1に係る発明は、「前記着色熱可塑性樹脂層は、1.20g/cm3以上1.40g/cm3以下の範囲内の密度を有し、前記着色熱可塑性樹脂層の密度は、前記透明熱可塑性樹脂層の密度よりも高く、前記透明熱可塑性樹脂層は、樹脂として、前記バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンを含み、前記着色熱可塑性樹脂層は、厚さが30μm以上70μm以下の範囲内であり、前記透明熱可塑性樹脂層は、厚さが10μm以上150μm以下の範囲内であり、前記透明熱可塑性樹脂層の厚さは、前記着色熱可塑性樹脂層の厚さよりも厚く、前記絵柄層は、ウレタン系印刷インキで印刷された層であり、前記透明熱可塑性樹脂層に含まれる前記バイオマス由来のポリプロピレンは、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のホモポリプロピレンである」という構成と、透明熱可塑性樹脂層におけるバイオマス由来のポリプロピレンの含有量の下限値を特定の数値に規定した「前記透明熱可塑性樹脂層全体の質量に対し、前記バイオマス由来のポリプロピレンを40質量%以上75質量%以下の範囲内で含む」という構成とを一体的に(同時に)採用することにより、引用発明と比較して、優れた意匠性を維持しつつ、表面硬度の低下を抑制し、押出適性及び曲げ加工適性を優れたものとし、且つ石油依存性を低くすることができるといった格別顕著な効果を奏する旨主張する。 b 審判請求人は、由来の異なる樹脂同士では同じポリプロピレン同士であったとしても樹脂に含まれる不純物の含有量や種類等が異なること等に起因してガラス転移温度等の物性が異なり、均一分散性が低下して製造効率や形成された層における物性(例えば、表面硬度、押出適性や曲げ加工適性)の均一性が低下する可能性があるため、本願発明の属する技術分野における技術を知悉している当業者であれば、各層の一部をバイオマス由来のポリプロピレンに代えることは通常であればしない旨、審査官の、引用文献6に記載された発明の透明熱可塑性樹脂層のポリプロピレンとしてバイオマス由来の同じポリプロピレンを用いる場合にも、引用文献6に記載された透明熱可塑性樹脂と同程度の密度、つまり0.90g/cm3以上0.93g/cm3以下を満たす密度とすることは当業者が容易に為し得ることである旨の判断には、審査官の誤認がある旨主張する。 (イ)主張の検討 a 上記aの主張について バイオマス由来のポリプロピレンの前記透明熱可塑性樹脂層全体の質量に対する量に関し、下限を40質量%とし、40質量%以上75質量%以下の範囲内で含むとしたことについては、上記エ(ア)において検討したとおり、当業者が容易になし得たことである。 付言すると、植物由来のポリプロピレン樹脂の量について、植物由来の樹脂の含有割合が多い方がバイオマス度を増加させて二酸化炭素ガスの排出量を減らす観点からは好ましいこと、植物由来の樹脂は石油由来に比べて高価であるため、製造コスト削減の観点からは石油由来の樹脂の含有割合を多くすることは、例えば引用文献A記載技術事項3に示されるように技術常識であり、引用発明においても、バイオマス由来のポリプロピレンを用いるものとするにあたり、その配合量を、バイオマス度の向上、製造コストの観点等の種々の観点を考慮して40質量%以上75質量%以下等の適宜の量とすることは、当業者が通常の創作能力を発揮してなし得たことである。 また、審判請求人が、格別顕著な効果と主張する点について、意匠性については、着色基材層2の一方の面に絵柄層3が意匠性を付与するための絵柄を付加するための層として積層され(【0016】)、表面保護層6が透明樹脂層5の一方の面に、化粧シート1に対して、耐候性、耐傷性、耐汚染性、意匠性等の機能を付与するために設けられ(【0047】)、実施例1~11及び比較例1、2において絵柄層の絵柄がはっきりよれない状態として視認できるかを評価したことは記載されているが、実施例には「バイオマス由来のポリプロピレンを40質量%以上75質量%以下の範囲内で含む」ものはなく、「バイオマス由来のポリプロピレンを40質量%以上75質量%以下の範囲内で含む」ことが優れた意匠性の維持に寄与することが本願明細書等に記載されていたとはいえない。 さらに、表面硬度の低下の抑制及び押出適性及び曲げ加工適性を優れたものとすることについても、バイオマス由来のポリプロピレンについて、下限を40質量%とし、40質量%以上75質量%以下の範囲内で含むとしたこととの関係は示されていない。 そうすると、審判請求人の主張する、下限を40質量%とし、40質量%以上75質量%以下の範囲内で含むとしたことと、「前記着色熱可塑性樹脂層は、1.20g/cm3以上1.40g/cm3以下の範囲内の密度を有し、前記着色熱可塑性樹脂層の密度は、前記透明熱可塑性樹脂層の密度よりも高く、前記透明熱可塑性樹脂層は、樹脂として、前記バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンを含み、前記着色熱可塑性樹脂層は、厚さが30μm以上70μm以下の範囲内であり、前記透明熱可塑性樹脂層は、厚さが10μm以上150μm以下の範囲内であり、前記透明熱可塑性樹脂層の厚さは、前記着色熱可塑性樹脂層の厚さよりも厚く、前記絵柄層は、ウレタン系印刷インキで印刷された層であり、前記透明熱可塑性樹脂層に含まれる前記バイオマス由来のポリプロピレンは、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のホモポリプロピレンである」ことを「一体的に(同時に)」採用することにより、格別顕著な効果を奏するとの主張について、意匠性、表面硬度の低下の抑制、押出適性及び曲げ加工適性の好適化及び石油依存性の低下に関し、両者を同時に採用することによる格別顕著な効果を認めることはできない。 よって、審判請求人の上記主張は、上記エの判断を左右するものではない。 b 上記bの主張について (a)各層の一部を(石油由来から)バイオマス由来のポリプロピレンに代えることについて 本願明細書は、バイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された透明樹脂層について(上記ア(ウ)c)、「透明樹脂層5は、バイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物を用いて形成された透明な樹脂層であればよく、バイオマス由来のポリプロピレン以外に、化石燃料由来のポリプロピレンを含んでいてもよい」こと(【0020】)、「樹脂組成物は、バイオマス由来のプロピレンを樹脂組成物全体に対して5質量%以上、好ましくは5~99質量%、より好ましくは25~75質量%含んでなるものである。樹脂組成物中のバイオマス由来のプロピレンの濃度が5質量%以上であれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、カーボンニュートラルな化粧シートを実現できる」こと(【0030】)、「上記の樹脂組成物は、化石燃料由来のプロピレンをさらに含んでもよい。つまり、本実施形態においては、樹脂組成物は、バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンとの混合物であってもよい。混合方法は、特に限定されず、従来公知の方法で混合することができる。例えば、ドライブレンドでもよいし、メルトブレンドでもよい」こと(【0032】)を記載するものであり、バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンとの混合物である樹脂組成物について、特段、製造の困難性に言及することなく記載している。 また、引用文献にも、「バイオマス由来炭素を含むPEやPPは化学構造的には従来の化石資源起源のPEやPPとなんら変わらない」こと(引用文献5、上記イ(オ)a)、「バイオマス由来オレフィン(・・・プロピレン・・・)と化石燃料由来オレフィン(・・・プロピレン・・・)との構造の違いは、14C同位体を含むこと・・・だけである。これらを原料としたプロピレン系重合体の分子構造の違いは14Cを有するか有さないかだけで、それ以外の分子量、分子量分布、立体規則性、立体規則性分布、組成、組成分布、デカン可溶部量など分子構造が同一であれば、バイオマス由来オレフィンからなるプロピレン系重合体と化石燃料由来オレフィンからなる従来のプロピレン系重合体に性能の違いは無い」こと(引用文献10、上記イ(カ)a(c))が記載される。さらに、「バイオマス由来のポリオレフィンと化石燃料由来のポリオレフィンとを混合することによりバイオマス度を調整した材料とすること」(引用文献10記載技術事項2)、「石油由来のポリプロピレン樹脂を植物由来のポリプロピレン樹脂と併用」すること(引用文献A記載技術事項3)が記載される。 そうすると、由来の異なる樹脂同士において、仮に物性の均一性が低下する可能性があるとしても、そのことによって、バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンを含む樹脂について当業者が考えることができないといえるものではなく、審査官の判断に誤認があるといえるものでもない。 (b)引用文献6に記載された発明の透明熱可塑性樹脂層のポリプロピレンとしてバイオマス由来の同じポリプロピレンを用いる場合における透明熱可塑性樹脂の密度について 引用文献8においても、特段重合方法等を特定することなく「ホモPPの密度は、0.902~0.910g/cm3」との数値を示しているところ、本件補正発明において、「透明熱可塑性樹脂層」の密度は、「0.90g/cm3以上0.96g/cm3以下の範囲内」と、一般的なホモポリプロピレンよりさらに広範なものとなっているのである。そして、材料のプロピレンがバイオマス由来であることによって、ポリプロピレンの密度が大きく変化することが技術常識といえる証拠はなく、引用文献に、「バイオマス由来炭素を含むPEやPPは化学構造的には従来の化石資源起源のPEやPPとなんら変わらない」こと(引用文献5、上記イ(オ)a)、「バイオマス由来オレフィン(・・・プロピレン・・・)と化石燃料由来オレフィン(・・・プロピレン・・・)との構造の違いは、14C同位体を含むこと・・・だけである。これらを原料としたプロピレン系重合体の分子構造の違いは14Cを有するか有さないかだけで、それ以外の分子量、分子量分布、立体規則性、立体規則性分布、組成、組成分布、デカン可溶部量など分子構造が同一であれば、バイオマス由来オレフィンからなるプロピレン系重合体と化石燃料由来オレフィンからなる従来のプロピレン系重合体に性能の違いは無い」こと(引用文献10、上記イ(カ)a(c))が記載されることから、石油由来のポリプロピレンに置換してバイオマス由来のポリプロピレンを所定量含むものとしても、「透明熱可塑性樹脂層」の密度が大きく変化する蓋然性はなく、審査官の判断に誤認があるといえるものではない。 また、仮に多少数値範囲がずれるものであるとしても、「透明熱可塑性樹脂層」の密度は、その下限の「0.90g/cm3」ないし上限の「0.96g/cm3」との数値が臨界的意義を有するものではなく、当業者が適宜決定し得るものであるから、引用文献6に記載された発明の透明熱可塑性樹脂層のポリプロピレンとしてバイオマス由来の同じポリプロピレンを用いる場合にも、引用文献6に記載された透明熱可塑性樹脂と同程度の密度とすることは当業者が容易になし得ることである旨の判断は、是認できるものである。 以上のとおりであるから、審判請求人の上記主張は、上記エの判断を左右するものではない。 カ 独立特許要件の判断のまとめ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 補正の却下の決定の理由のむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和6年4月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の本願発明に対する拒絶の理由は、以下のとおりである。 ●理由1(特許法第29条第2項) この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.国際公開第2014/065380号 4.国際公開第2021/038972号 5.特開2011-038207号公報 6.特開2009-18439号公報 7.特開2013-63537号公報 8.「プラスチック・機能性高分子材料事典」編集委員会,プラスチック・機能性高分子材料事典,初版第1刷,日本,産業調査会 事典出版センター,2004年2月20日,2、3、34及び35頁 9.特開2017-165027号公報 10.特許第7004864号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3~10のうち、本件補正発明の判断に用いた引用文献の記載、引用文献6に記載された発明(主たる引用発明)、周知技術については、上記第2の[理由]2(2)イに示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]1(2)で示した本件補正発明において、「化粧シート」が「絵柄層」を着色熱可塑性樹脂層と接着層との間に備えず、着色熱可塑性樹脂層の密度の上限は、「1.40g/cm3」ではなく「1.50g/cm3」であり、また、透明熱可塑性樹脂層、着色熱可塑性樹脂層及び絵柄層についての「前記透明熱可塑性樹脂層は、樹脂として、前記バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンを含み、且つ前記透明熱可塑性樹脂層全体の質量に対し、前記バイオマス由来のポリプロピレンを40質量%以上75質量%以下の範囲内で含み、 前記着色熱可塑性樹脂層は、厚さが30μm以上70μm以下の範囲内であり、 前記透明熱可塑性樹脂層は、厚さが10μm以上150μm以下の範囲内であり、 前記透明熱可塑性樹脂層の厚さは、前記着色熱可塑性樹脂層の厚さよりも厚く、 前記絵柄層は、ウレタン系印刷インキで印刷された層であり、 前記透明熱可塑性樹脂層に含まれる前記バイオマス由来のポリプロピレンは、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のホモポリプロピレンである」との限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(2)ウ及びエに記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する

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2024-016835

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    共通の審決分類: 121・B32B、575・B32B
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    共通の審決分類: 121・B32B、575・B32B
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    共通の審決分類: 121・B32B、575・B32B
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    共通の審決分類: 121・B32B、575・B32B

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