2022-008004
遊技機
- 審判番号
- 2022-008004
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-061101外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年05月27日
- 審決日
- 2023年02月14日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】特許業務法人上野特許事務所
- 分類
- P18 .121-WYA(A63F) / P18 .575-WYA(A63F) / P18 .113-WYA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成31年3月27日の出願であって、令和3年2月26日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月23日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月27日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月22日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和4年2月22日付け(送達日:同年3月8日)で、令和3年12月22日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、令和4年5月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 原審における補正の却下の決定の当否について
請求人は、審判請求書の「請求の趣旨」において、「特願2019-061101号について、令和4年2月22日になされた補正の却下の決定ならびに査定を取り消す。本願発明は特許すべきものとする、との審決を求める。」としているところ、令和4年2月22日付けの補正の却下の決定の当否について検討する。
[補正の却下の決定の当否の結論]
令和4年2月22日付け補正の却下の決定を取り消す。
[理由]
1 令和4年2月22日付け補正の却下の決定の概要
原審における令和4年2月22日付け補正の却下の決定(以下、単に「補正の却下の決定」という。)の概要は、
令和3年12月22日提出の手続補正書における補正(以下「本件補正」という。)による請求項1についての補正は限定的減縮を目的としているが、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、引用文献1に記載された発明であり、また、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願補正発明は、特許法第29条第1項及び第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、本件補正は同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下する、というものである。
2 本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲は、
(補正前:令和3年4月23日付け手続補正書でした補正)
「【請求項1】第一表示領域を有する第一表示装置と、前記第一表示装置の前方に設けられた第二表示領域を有する表示装置であって、当該第二表示領域の一部または全部を、後方に位置する前記第一表示領域に表示される画像を視認することが可能な透過部、および当該透過部よりも視認性に劣る画像表示部とすることが可能な第二表示装置と、前記第二表示領域の少なくとも一部を前記透過部とし、当該透過部を通じて視認される前記第一表示領域に表示される演出画像が所定態様となる切替時点に至ることを契機として、前記第二表示領域における前記透過部である部分が前記画像表示部とされる被覆演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記被覆演出では、前記切替時点に至った後も所定時間が経過するまでは前記第一表示領域に前記演出画像が表示されるものの、当該演出画像は前記画像表示部に覆われることを特徴とする遊技機。」から、
(補正後:令和3年12月22日付け手続補正書でした補正)
「【請求項1】A 第一表示領域を有する第一表示装置と、B 前記第一表示装置の前方に設けられた第二表示領域を有する表示装置であって、当該第二表示領域の一部または全部を、後方に位置する前記第一表示領域に表示される画像を視認することが可能な透過部、および当該透過部よりも視認性に劣る画像表示部とすることが可能な第二表示装置と、C 前記第二表示領域の少なくとも一部を前記透過部とし、当該透過部を通じて視認される前記第一表示領域にて、所定の演出要素を表した演出画像が、当該演出要素が当該第一表示領域内で経時的に変位しているかのように表示された上で、前記演出画像の態様が、前記演出要素が所定位置まで到達したことを示す所定態様となる切替時点に至ることを契機として、前記第二表示領域における前記透過部である部分が前記画像表示部とされる被覆演出を実行する演出実行手段と、を備え、D 前記切替時点に至った後も所定時間が経過するまでは前記第一表示領域に前記演出画像が表示されるものの、当該演出画像は前記画像表示部に覆われるE ことを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために合議体により付した。また、A等は、分説のため合議体により付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。
3 本件補正の適否
(1) 補正の目的について
本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「演出画像」について、「所定の演出要素を表した」ものであることを限定するものであり、また、同「所定態様」について、「当該演出要素が当該第一表示領域内で経時的に変位しているかのように表示された上で、前記演出画像の態様が、前記演出要素が所定位置まで到達したことを示す」ものであることを限定するものである。
したがって、本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を減縮する補正であり、また、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(2) 新規事項の追加の有無
本件補正に係る補正事項は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の【0051】、【0052】及び【0054】等に記載された事項であり、当該補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、当初明細書等の記載の範囲内においてしたものであるから、特許法第17条の2第3項の規定を満たす。
4 独立特許要件について
本件補正は、上記3(1)に示したように、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(同法同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下、検討する。
(1) 本願補正発明
本願補正発明は、上記2の「(補正後:令和3年12月22日付け手続補正書でした補正)」の【請求項1】に記載したとおりのものである。
(2) 引用文献及び引用発明
ア 引用文献1に記載された事項
補正の却下の決定に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-250891号公報(平成23年12月15日出願公開、以下同じく「引用文献1」という。)には、遊技機、表示制御方法および表示制御プログラム(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている(なお、下線は合議体により付した。以下同様。) 。
(ア)「【0064】図3は、本発明の実施の形態における遊技機、演出方法および演出プログラムを適用して構成した遊技機の機能構成を示すブロック図である。」
(イ)「【0093】この画像制御基板105では、さらに表示制御部400を具備し、通常液晶表示装置13Aおよび透過型液晶表示装置13Bにより構成される液晶表示装置13にさまざまな演出画像を表示させる制御処理を行う。」
(ウ)「【0129】図6は、本発明の実施の形態における遊技機が具備する通常液晶表示装置および透過型液晶表示装置からなる液晶表示装置と、該液晶表示装置に表示された画像の配置構成を示す図である。【0130】図6(a)、図6(b)、図6(c)、図6(d)、図6(e)は、通常液晶表示装置とその前面に透過型液晶表示装置とが配置された液晶構造において、通常液晶表示装置に格子画像を表示し、透過型液晶表示装置に背面演出画像を表示した例を示している。続きを表示(全54行)【0131】図6(a)は、初期表示設定情報に基づく画像幅で格子画像および背面演出画像が表示された状態を示しており、この背面演出画像は、第1演出画像および第2演出画像を交互に配置して格子状となるような画像構成を上部から参照した状態であって、第1演出画像の画像幅と第2演出画像の画像幅とが「第1演出画像の画像幅>第2演出画像の画像幅」の関係にあり、この格子画像は、格子画像および透過画像を交互に配置して格子状となるような画像構成を上部から参照した状態であって、隠蔽画像の画像幅と透過画像の画像幅とが「隠蔽画像の画像幅>透過画像の画像幅」の関係にある。【0132】図6(b)は、図6(a)に示す第2演出画像の画像幅を、幅変更率における幅拡大率によって画像幅を拡大し、さらに、隠蔽画像においても幅変更率における幅拡大率によって画像幅を拡大した状態を示す。これによって、第2演出画像の表示面積は拡大するとともに、隠蔽画像による隠蔽面積もが拡大する。【0133】すなわち、この場合、第2演出画像と隠蔽画像に幅変更率が設定された状態を示す。【0134】図6(c)は、図6(b)に示す状態からさらに拡大した状態を示す図であって、第2演出画像の画像幅と隠蔽画像の画像幅を幅拡大率によって拡大することに伴って、透過画像の画像幅の表示幅が小さくなることで第2演出画像の画像幅と透過画像の画像幅とが同一となった状態を示している。【0135】また、図6(d)は、図6(c)に示す画像幅の状態からさらに拡大した状態を示す図であって、第2演出画像の画像幅と隠蔽画像の画像幅を幅拡大率によって拡大することに伴って、透過画像の画像幅の表示幅が小さくなることにより、透過画像の画像幅が隠蔽画像の画像幅よりも小さくなった状態を示している。【0136】さらに、図6(e)は、図6(d)に示す画像幅の状態からさらに拡大した状態であって、第2演出画像の画像幅若しくは隠蔽画像の画像幅が「許容最大画像幅」となった状態を示す図である。【0137】第2演出画像の画像幅若しくは隠蔽画像の画像幅が許容最大画像幅となると、幅拡大率による画像幅の拡大を停止し、続いて、幅変更率の幅縮小率によって第2演出画像と隠蔽画像の画像幅とを縮小する。【0138】つまり、図6(e)の画像幅の状態から、図6(d)の画像幅の状態となり、また、図6(c)の画像幅の状態となり、さらに、図6(b)の画像幅の状態となり、そして、図6(a)の画像幅の状態と順次、遷移する。このときの図6(a)の画像幅が「許容最小画像幅」となる。【0139】この画像幅の状態を順次、繰り返し行い、画像幅の変更が開始されてから「画像幅変更許可時間」を経過すると、画像幅の変更処理を停止する。【0140】図7は、図6に示す演出画像の画像構成において液晶表示装置に表示される画面構成を示す図である。【0141】図7(a)は、図6(a)に示す画像の配置構成に基づいて表示される画面であって、通常液晶表示装置には、背面演出画像が表示された状態を示しており、この背面演出画像の第1演出画像は斜線からなる画像であって、第2演出画像は演出ボタンを「3回押して」という演出情報を含む画像である。【0142】また、透過型液晶表示装置には、格子画像が表示された状態を示しており、格子画像の隠蔽画像として図7では黒塗り画像を示し、透過画像として背面演出画像の第1演出画像および第2演出画像を透過する透明な画像を示している。【0143】このようにして表示された画像によって、第1演出画像である斜線画像に重畳して隠蔽画像が表示され、第1演出画像と第2演出画像に跨って重畳した透過画像が表示された状態となる。【0144】次に、図7(b)は、図6(b)に示す画像の配置構成に基づいて表示される画面であって、図7(a)同様、通常液晶表示装置に背面演出画像が表示され、透過型液晶表示装置に格子画像が表示された状態を示している。【0145】この背面演出画像を構成する第2演出画像の画像幅を図7(a)に示す第2演出画像の画像幅よりも拡大させた状態とともに、格子画像を構成する隠蔽画像の画像幅を図7(a)に示す隠蔽画像の画像幅よりも拡大させた状態を示している。【0146】これによって、図7(b)は、図7(a)に示す状態に比べて第2演出画像の視認できる表示面積が拡大した状態となる。【0147】次に、図7(c)は、図6(c)に示す画像の配置構成に基づいて表示される画面であって、図7(a)および図7(b)と同様、通常液晶表示装置に背面演出画像が表示され、透過型液晶表示装置に格子画像が表示されており、背面演出画像を構成する第2演出画像の画像幅が図7(b)に示す第2演出画像の画像幅よりも拡大させた状態とともに格子画像を構成する隠蔽画像の画像幅が図7(b)に示す隠蔽画像の画像幅よりも拡大させた状態である。【0148】このとき、第2演出画像の画像幅と、隠蔽画像の画像幅を拡大させることに基づいて縮小された透過画像の画像幅とが同一画像幅となった状態を示している。【0149】これによって、隠蔽画像によって第1演出画像が隠蔽された状態となり、遊技者からは第1演出画像は視認できない状態となる。また、透過画像を介したときに遊技者は画面に正対することで第2演出画像のみが視認できる状態となる。【0150】次に、図7(d)は、図6(d)に示す画像の配置構成に基づいて表示される画面であって、図7(a)および図7(b)および図7(c)と同様、通常液晶表示装置に背面演出画像が表示され、透過型液晶表示装置に格子画像が表示されており、背面演出画像を構成する第2演出画像の画像幅が図7(c)に示す第2演出画像の画像幅よりも拡大させた状態とともに格子画像を構成する隠蔽画像の画像幅が図7(c)に示す隠蔽画像の画像幅よりも拡大させた状態である。【0151】隠蔽画像の画像幅を拡大させるとともに第2演出画像の画像幅をも拡大させているが、前面の透過型液晶表示装置に表示された隠蔽画像により第2演出画像の視認できる面積が小さくなっている状態を示している。【0152】そして、図7(e)は、図6(d)に示す画像の配置構成に基づいて表示される画面であって、図7(a)および図7(b)および図7(c)と同様、通常液晶表示装置に背面演出画像が表示され、透過型液晶表示装置に格子画像が表示されており、背面演出画像を構成する第2演出画像の画像幅が図7(c)に示す第2演出画像の画像幅よりも拡大させた状態とともに格子画像を構成する隠蔽画像の画像幅が図7(c)に示す隠蔽画像の画像幅よりも拡大させた状態である。【0153】このときの第2演出画像および隠蔽画像の画像幅が、「許容最大画像幅」となった状態を示しており、隠蔽画像の画像幅が拡大したことにより第2演出画像の表示される面積が最小となった状態を示している。【0154】この図7(e)に示すような画像構成となると、隠蔽画像の画像幅と第2演出画像の画像幅の拡大処理は停止し、幅変更率の幅縮小率に基づいて隠蔽画像の画像幅と第2演出画像の画像幅を縮小する縮小処理を行うことで図7(e)の状態が図7(d)の状態となり、さらに図7(c)の状態となり、続いて図7(b)の状態となる。【0155】そして、隠蔽画像の画像幅と第2演出画像の画像幅が「許容最小画像幅」となることで縮小処理を停止する。このときの許容最小画像幅となった状態が図7(a)である。」
(エ)「【図6】[図:0001395028000001.jpg]」
(オ)「【図7】[図:0001395028000002.jpg]」
イ 引用文献1に記載された事項より認定できる事項
(ア) 【0131】には「図6(a)は、初期表示設定情報に基づく画像幅で格子画像および背面演出画像が表示された状態を示しており、この背面演出画像は、第1演出画像および第2演出画像を交互に配置して格子状となるような画像構成を上部から参照した状態であって、・・・この格子画像は、格子画像および透過画像を交互に配置して格子状となるような画像構成を上部から参照した状態であって、・・・」と記載され、【図6】(a)から符号「13A」が付された「通常液晶表示装置」に「第1演出画像」と「第2演出画像」が交互に配置され、符号「13B」が付された「透過型液晶表示装置」に「隠蔽画像」と「透過画像」が交互に配置されていることが看取されることから、「通常液晶表示装置13A」には「第1演出画像」と「第2演出画像」が「格子状」に「交互に配置」された「背面演出画像」が表示され、「透過型液晶表示装置13B」には「隠蔽画像」と「透過画像」が「格子状」に「交互に配置」された「格子画像」が表示されること(以下「認定事項ア」という。)が認定できる。
(イ) 前記ア(ウ)で摘記した【0129】-【0155】の記載から、「遊技機」は、「液晶表示装置に表示される画面」を、図7(a)、図7(b)、図7(c)、図7(d)、図7(e)、図7(d)、図7(c)、図7(b)、図7(a)の順に「遷移」させることを「繰り返し行」うものであるといえる。
また、【0141】には「図7(a)は、図6(a)に示す画像の配置構成に基づいて表示される画面であって、通常液晶表示装置には、背面演出画像が表示された状態を示しており、この背面演出画像の第1演出画像は斜線からなる画像であって、第2演出画像は演出ボタンを「3回押して」という演出情報を含む画像である。」と記載されることを踏まえると、【図7】から、液晶表示装置に表示される画面において、演出ボタンを「3回押して」という演出情報を含む画像である第2演出画像の視認できる表示面積が拡大した後(同図(a)~(c))、縮小し(同図(c)~(e))、その後再び拡大した後(同図(e)~(c))、縮小する(同図(c)~(a))遷移を行うことが看取される。
そうすると、液晶表示装置に表示される画面において、液晶表示装置に表示される画面において、演出ボタンを「3回押して」という演出情報を含む画像である第2演出画像の視認できる表示面積が拡大した後縮小し、その後再び拡大した後縮小する遷移を繰り返し行うこと(以下「認定事項イ」という。)が認定できる。
ウ 引用発明
上記アの(ア)~(オ)の記載事項及び上記ア~イの認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が図とともに記載されている。また、【0093】、【0130】、【図6】(a)の記載から、「通常液晶表示装置」、「透過型液晶表示装置」及び「液晶表示装置」は、それぞれ、「通常液晶表示装置13A」、「透過型液晶表示装置13B」及び「液晶表示装置13」と同じものを指していると認められるから、引用発明の認定においては、「通常液晶表示装置13A」、「透過型液晶表示装置13B」及び「液晶表示装置13」に用語を統一した。なお、引用箇所の段落番号等を併記した。
「 通常液晶表示装置13Aおよび透過型液晶表示装置13Bにより構成される液晶表示装置13にさまざまな演出画像を表示させる制御処理を行う画像制御基板105を備える遊技機であって(【0093】)、通常液晶表示装置13Aおよび透過型液晶表示装置13Bからなる液晶表示装置13を具備する遊技機であって(【0129】)、通常液晶表示装置13Aの前面に透過型液晶表示装置13Bが配置され(【0130】)、通常液晶表示装置13Aには第1演出画像と第2演出画像が格子状に交互に配置された背面演出画像が表示され、透過型液晶表示装置13Bには隠蔽画像と透過画像が格子状に交互に配置された格子画像が表示され(認定事項ア)、液晶表示装置13に表示される画面において、液晶表示装置に表示される画面において、「3回押して」という演出情報を含む画像である第2演出画像の視認できる表示面積が拡大した後縮小し、その後再び拡大した後縮小する遷移を繰り返し行い(認定事項イ)、背面演出画像の第1演出画像は斜線からなる画像であって、第2演出画像は演出ボタンを「3回押して」という演出情報を含む画像であり(【0141】)、格子画像の隠蔽画像は黒塗り画像であり、透過画像は背面演出画像の第1演出画像および第2演出画像を透過する透明な画像であり(【0142】)、隠蔽画像によって第1演出画像が隠蔽された状態となり、遊技者からは第1演出画像は視認できない状態となる(【0149】)遊技機(【0129】)。」
(3) 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア 特定事項A及びBについて
2つの表示装置の位置関係を鑑みれば、引用発明における「通常液晶表示装置13A」及び「通常液晶表示装置13A」「の前面に」「配置された」「透過型液晶表示装置13B」は、それぞれ、本願補正発明の特定事項Aにおける「第一表示装置」及び特定事項Bにおける「第一表示装置の前方に設けられた」「第二表示装置」に相当する。
そうすると、引用発明における「第1演出画像」と「第2演出画像」が「格子状」に「交互に配置」された「背面演出画像」が表示される「通常液晶表示装置13A」の表示領域は、本願補正発明の特定事項Aにおける「第一表示装置」の「第一表示領域」に相当し、引用発明における「隠蔽画像」と「透過画像」が「格子状」に「交互に配置」された「格子画像」が表示される「透過型液晶表示装置13B」の表示領域は、本願補正発明の特定事項Bにおける「第二表示装置」の「第二表示領域」に相当するから、引用発明における「背面演出画像の第1演出画像および第2演出画像を透過する透明な画像」である「透過画像」は、本願補正発明の特定事項Bにおける「第二表示領域」の「透過部」に相当し、引用発明における「遮蔽された」「画像」を「遊技者から」「視認できない状態」とする「隠蔽画像」は、本願補正発明の特定事項Bにおける「第二表示領域」の「画像表示部」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項A及びBを備える。
イ 特定事項Cについて
上記アを踏まえると、引用発明における「演出ボタンを「3回押して」という演出情報」を表した「背面演出画像の」「第2演出画像」は、本願補正発明の特定事項Cにおける「第一表示領域に」「表示され」る「所定の演出要素を表した演出画像」に相当し、引用発明における「演出ボタンを「3回押して」という演出情報」は、本願補正発明の特定事項Cにおける「所定の演出要素」に相当する。
また、上記アを踏まえると、引用発明における「通常液晶表示装置13Aおよび透過型液晶表示装置13B」「にさまざまな演出画像を表示させる制御処理を行う画像制御基板105」は、本願補正発明の特定事項Cにおける「前記第二表示領域の少なくとも一部を前記透過部とし、当該透過部を通じて視認される前記第一表示領域にて、所定の演出要素を表した演出画像が」「表示され」る「演出」を実行する演出実行手段」に相当する。
よって、引用発明と本願補正発明の特定事項Cは、第二表示領域の少なくとも一部を透過部とし、当該透過部を通じて視認される第一表示領域にて、所定の演出要素を表した演出画像が表示される演出を実行する演出実行手段を備える点で共通する。
ウ 特定事項Eについて
引用発明における「遊技機」は、本願補正発明の特定事項Eにおける「遊技機」に相当する。
以上のことから、本願補正発明と引用発明は、以下の点で一致する。
「A 第一表示領域を有する第一表示装置と、B 前記第一表示装置の前方に設けられた第二表示領域を有する表示装置であって、当該第二表示領域の一部または全部を、後方に位置する前記第一表示領域に表示される画像を視認することが可能な透過部、および当該透過部よりも視認性に劣る画像表示部とすることが可能な第二表示装置と、C’ 前記第二表示領域の少なくとも一部を前記透過部とし、当該透過部を通じて視認される前記第一表示領域にて、所定の演出要素を表した演出画像が表示される演出を実行する演出実行手段と、を備えるE 遊技機。」
そして、両者は、以下の点で相違する。
[相違点1](特定事項Cに関して)
演出画像の表示態様について、本願補正発明は、「当該演出要素が当該第一表示領域内で経時的に変位しているかのように表示され」るものであるのに対して、引用発明は、液晶表示装置に表示される画面において、演出ボタンを「3回押して」という演出情報を含む画像である第2演出画像の視認できる表示面積が拡大した後縮小し、その後再び拡大した後縮小する遷移を繰り返し行うものであって、経時的に変更される対象が第2演出画像の視認できる表示面積である点。
[相違点2](特定事項Cに関して)
透過部が画像表示部に変わることについて、本願補正発明は、「前記演出要素が所定位置まで到達したことを示す所定態様となる切替時点に至ることを契機として、前記第二表示領域における前記透過部である部分が前記画像表示部とされる」「演出を実行する」ものであるのに対して、引用発明は、透過型液晶表示装置13Bに隠蔽画像と透過画像が格子状に交互に配置された格子画像を表示するだけのものである点。
[相違点3](特定事項Dに関して)
演出画像が画像表示部に覆われることについて、本願補正発明は、「前記切替時点に至った後も所定時間が経過するまでは前記第一表示領域に演出画像が表示されるものの、当該演出画像は前記画像表示部に覆われる」ものであるのに対して、引用発明は、第2演出画像の視認できる表示面積が拡大した後縮小し、その後再び拡大した後縮小する遷移を繰り返し行うものであって、第2演出画像が隠蔽画像に覆われることがないものである点。
(4) 判断
事案に鑑みて、相違点2について検討する。
本願補正発明と引用発明は上記[相違点2]に示した点で相違するから、本願補正発明は引用発明であるとはいえない。
そして、2つの表示装置が前後方向に重なるように設けられ、後方の表示装置に表示された演出要素が所定位置まで到達したことを示す所定態様となる切替時点に至ることを契機として、前方の表示装置における透過部である部分が当該透過部よりも視認性に劣る部分とされる演出を実行することが本願出願前に周知・慣用のものであったとも認められないから、本願補正発明は引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願補正発明は、引用発明であるとはいえず、また、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
(5) まとめ
以上のことから、本願補正発明は、特許法第29条第1項及び第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものではなく、他に特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由もない。
よって、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項(独立特許要件)に適合する。
(6) むすび
以上のとおりであるので、令和4年2月22日付け補正の却下の決定を取り消す。
第3 本願発明について判断
1 本願発明
以上のとおり、令和4年2月22日付け補正の却下の決定は取り消されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は令和3年12月22日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]2の「(補正後:令和3年12月22日付け手続補正書でした補正)」の【請求項1】に記載したとおりのものである。
2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
理由(新規性、進歩性)
本願の請求項1に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であり、また、引用文献1に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号及び第2項の規定により特許を受けることができない。
[引用文献等一覧]
3 原査定の拒絶の理由についての判断
本願の請求項1に係る発明は、上記第2[理由]2に示した本願補正発明である。
そして、上記第2[理由]4において検討したように、本願補正発明は、引用発明とはいえず、また、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
したがって、本願は、原査定の拒絶の理由における理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
4 まとめ
以上のことから、本願について、原査定の拒絶の理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることができない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-008004