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特許拒絶査定不服審判

2022-007998

缶とその製造方法

審判番号
2022-007998
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-030669外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年05月27日
審決日
2023年09月13日
公報発行日
2023年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B65D) / P18 .575-Z (B65D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-30669「缶とその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和1年8月29日出願公開、特開2019-142574〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成30年2月23日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。

令和3年11月 2日付け:拒絶理由通知
令和3年12月24日 :意見書及び手続補正書の提出
令和4年 2月22日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和4年 5月27日 :審判請求書及び手続補正書の提出

第2 令和4年5月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年5月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。

「【請求項1】
缶胴と、前記缶胴の上端に巻締められ先端部に開口を有するねじ付き蓋と、を有する缶本体と、
前記開口の下方のみで前記缶本体に装着されたシュリンクフィルムと、を有し、
前記ねじ付き蓋は、巻締め部との間に溝部を形成する第1の側面と、前記第1の側面の上端に接続され、前記第1の側面より水平方向に傾斜した第2の側面と、を有し、前記シュリンクフィルムは前記ねじ付き蓋との間に、前記溝部を内包する閉じた空間を形成する、缶。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、令和3年12月24日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
缶胴と、前記缶胴の上端に巻締められ先端部に開口を有するねじ付き蓋と、を有する缶本体と、
前記開口の下方で前記缶本体に装着されたシュリンクフィルムと、を有し、
前記ねじ付き蓋は、巻締め部との間に溝部を形成する第1の側面と、前記第1の側面の上端に接続され、前記第1の側面より水平方向に傾斜した第2の側面と、を有し、前記シュリンクフィルムは前記ねじ付き蓋との間に、前記溝部を内包する閉じた空間を形成する、缶。」

2 補正の適否

本件補正における請求項1についての補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明の「開口の下方で缶本体に装着されたシュリンクフィルム」について、「開口の下方のみで缶本体に装着されたシュリンクフィルム」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項及び引用発明

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ア 引用文献1:特開2009-241944号公報

(ア) 引用文献1に記載された事項

引用文献1には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。

「【請求項1】
焙煎されたコーヒー豆を充填するための容器であって、
アルミニウム合金製で且つ底部および胴部を一体に有する全体がほぼ円筒形の容器本体と、
上記容器本体の胴部上端の開口部に巻き締め部を介して結合されるアルミニウム合金製の端材と、
上記端材における中央部に開口し且つ外周面にネジが刻設された開口部と、
上記端材における外周面のネジに倣って円周部が凹凸変形することで、上記開口部を閉塞するアルミニウム合金製のキャップと、を備える、
ことを特徴とする焙煎済みコーヒー豆用充填容器。」
「【0012】
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の焙煎済みコーヒー豆用充填容器(以下、単に充填容器という)1に用いる容器本体2、および蓋材10を示す部分側面図および部分垂直断面図である。
容器本体2は、図1に示すように、全体がほぼ円筒形を呈し、円筒形の胴部3と、リング形の底部5とを一体に有する。係る底部5は、外周側の傾斜面4と内周側の偏平なドーム6とを備えている。
続きを表示(全14行)
胴部3の上端における開口部には、テーパ部7と、断面がほぼ逆U字形の折り曲げ部8とが円環状に形成されている。係る折り曲げ部8と、次述する端材10の折り曲げ部12とが、相互に巻き付いて2重の巻き締め部Mを形成しており、係る巻き締め部Mを介して、容器本体2と端材10とが気密に結合されている。
【0013】
一方、図1に示すように、端材10は、偏平な円錐部11、その下端の周縁に沿って設けた断面ほぼ「の」字形の折り曲げ部12、上記円錐部11の中央部から立設し外周面に複数列のネジ山とネジ谷とからなるネジ(雄ネジ)13が刻設された口部14、および係る口部14の内側に位置する開口部15を一体に有している。前記巻き締め部Mを介して、容器本体2と端材10とが結合された充填容器1の内側(空間)9には、後述する焙煎済みのコーヒー豆が充填される。
【0014】
尚、前記容器本体2には、Al-Mn系のアルミニウム合金(例えば、A3004-H19)からなり、板厚が約0.5~0.6mm(例えば、0.54mm)の板材を深絞り加工したDI缶が適用され、例えば、内側9の容積が3リットルの場合、直径が約133mmで、高さが約220mmである。
また、前記端材10には、Al-Mg系のアルミニウム合金(例えば、A5052-H34)からなり、板厚が約0.5~0.6mm(例えば、0.58mm)の板材を絞り加工またはプレス成形したものが適用される。係る端材10の開口部15の内径は、後述する焙煎済みのコーヒー豆を充填し易くするため、約40~50mm程度(例えば、約45mm)が推奨される。
【0015】
図2は、容器本体2と端材10とが結合された充填容器1の内側(空間)9のほぼ全体に、焙煎された多数のコーヒー豆cbを充填し、端材10の開口部15を、キャップCによって密封する直前の状態を示す垂直断面図である。尚、図2,図3では、充填した多数のコーヒー豆cbの最上部分のみを図示している。
図2に示すように、キャップCは、全体がほぼ偏平な円筒形を呈し、平面視が円形の天板部16と、その周辺から垂下する円周部17とからなる。係る円周部17の上部には、その円周方向に沿って複数のベントホール19がほぼ等間隔で形成され、天板部16と円周部17との内隅に沿って、例えば、ポリ塩化ビニールからなるシール材sがリング状に配置されている。即ち、係るシール材sの下周縁に沿って、複数の上記ベントホール19が開設されている。
尚、前記キャップCには、例えば、Al-Mg系のアルミニウム合金(A5000系)からなり、板厚が約0.2~0.3mm(例えば、0.25mm)の板材に対し、プレス加工や剪断加工などを施したものが用いられる。」
「【0023】
【図1】本発明の充填容器における容器本体と端材とを示す部分側面図と部分垂直断面図。
【図2】キャップを上記端材に被着する直前の状態を示す垂直断面図。
【図3】本発明の充填容器の使用状態を示す垂直断面図。」
「
[図:0001404145000001.jpg]
」

(イ) 引用文献1に記載された事項から、以下のことが分かる。

a 図2の垂直断面図より、巻締め部Mと円錐部11との間には、水平面に対して円錐部11よりも急な角度の円錐部を有しており、当該巻締め部Mと急な角度の円錐部によって断面図上凹部が形成される。

(ウ) 上記(ア)及び(イ)の記載事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「アルミニウム合金製の容器本体の胴部と、
円錐部の下端の周縁に設けた折り曲げ部、前記円錐部の中央部から立設し外周面にネジ(雄ネジ)が刻設された口部、および口部の内側に位置する開口部を一体に有したアルミニウム合金製の端材と、
上記端材における外周面のネジに倣って円周部が凹凸変形することで、上記開口部を閉塞するアルミニウム合金製のキャップと、を有し、
前記胴部の断面がほぼ逆U字形の折り曲げ部と、前記端材の折り曲げ部とで相互に巻き付いて2重の巻き締め部を形成し、
前記ネジ(雄ネジ)が刻設された口部を備えた端材は、巻き締め部との間に凹部を形成する急な角度の円錐部と、前記急な角度の円錐部の上端に接続され、前記急な角度の円錐部より水平方向に傾斜した円錐部と、を有する、アルミニウム合金製の充填容器。」

イ 引用文献4:特開2005-193962号公報

(ア) 引用文献4に記載された事項

「【0019】
以下、この発明の第一の実施の形態を図1~図4に基づいて説明する。
図1~図4に示すように、ボトル缶100は缶本体1とシュリンクフィルム2とから構成されている。この缶本体1は、アルミニウム又はアルミニウム合金の薄板から形成され、胴体部3と、胴体部3の上端から上方に向かうに従い漸次縮径する肩部4と、肩部4上端に設けられた膨出部5と、膨出部5の上端に設けられ胴体部3より小径の口金部6とを備えている。口金部6には、ネジ部7が設けられてキャップ8が装着されることにより密閉される構成となっている。尚、キャップ8については第一の実施の形態の図1にのみ示し、以下の第二の実施の形態以降の実施の形態については図示を省略する。
尚、前記缶本体1の表面の略全面に下塗りとしてサイズコーティング層が設けられているが、図示都合上、図1~図4ではこのサイズコーティング層を省略する。」
「【0050】
【図1】この発明の第一の実施の形態の側面図である。
【図2】この発明の第一の実施の形態のA-A線に沿う断面図である。
【図3】図2におけるC部の拡大図である。
【図4】この発明の第一の実施の形態のB-B線に沿う断面図である。
【図5】この発明の第二の実施の形態の側面図である。
【図6】この発明の第二の実施の形態の部分断面図である。
【図7】この発明の第三の実施の形態の部分断面図である。
【図8】この発明の第三の実施の形態の側面図である。
【図9】この発明の第四の実施の形態の側面図である。」
「
[図:0001404145000002.jpg]
」

(イ) 引用文献4に記載された技術的事項

上記(ア)の記載事項より、引用文献4には、以下の技術的事項が記載されていると認められる。

「シュリンクフィルムは缶本体に装着されているとともに、該シュリンクフィルムは缶本体の口金部及び肩部上端の膨出部には延在していない。」

ウ 引用文献5:特開2003-280527号公報

(ア) 引用文献5に記載された事項

「【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態について、図面を参酌して説明する。図1は、本発明における装着形態の実施例を示すラベル付包装体の全体図である。図1に示すように、合成樹脂ボトルは、口部、肩部、胴部、底部とからなっており、二軸延伸ブロー成形されている。ブロー成形されたボトルには、内容液が無菌充填され、キャップで閉栓されている。上記のボトルに、ラベルのボトル側に文字、絵柄、図の印刷が施され、底部から肩部上端まで覆う本発明のラベルが巻き付けられているものである。」
「【0006】本発明にかかるラベルのボトルへのシュリンク過程は下記の通りに分けることができる。
(1)本発明にかかる熱収縮性合成樹脂フィルムを筒状にして、ボトルを覆う。
(2)ヒーター等による熱印加により、本発明にかかる熱収縮性合成樹脂が溶融する。
(3)溶融部分が熱収縮性合成樹脂フィルムからなるラベルの熱収縮応力によりラベルがボトルを締め付けて被覆される。
(4)自然冷却、放熱により、ラベルの温度が低下すれば、熱収縮応力も徐々に減少し、熱収縮応力が2.5MPa未満まで減少する。
(5)ラベル全体の温度が均一になれば、熱収縮応力も2.5MPa未満で保持される。」
「【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるラベル付包装体の正面図である。
【図2】縦軸に熱収縮応力、横軸に時間を取った場合における加熱時間20秒、加熱温度95℃での熱収縮応力と時間の関係を示すグラフである。
【図3】加熱時間20秒、加熱温度60~135℃における実施例1の熱収縮応力と時間の関係を示すグラフである。
続きを表示(全15行)
【図4】加熱時間20秒、加熱温度60~135℃における比較例1の熱収縮応力と時間の関係を示すグラフである。
【図5】加熱時間20秒、加熱温度60~135℃における比較例1の熱収縮応力と時間の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ラベル
2 無菌充填用PETボトル
3 口部
4 肩部
5 胴部
6 底部
7 ミシン目
8 ラベル付包装体」
「
[図:0001404145000003.jpg]
」

(イ) 引用文献5に記載された技術的事項

上記(ア)の記載事項より、引用文献5には、以下の技術的事項が記載されていると認められる。

「ボトルにシュリンクすることによって装着されるラベルは無菌充填用PETボトルに装着されているとともに、該ラベルは無菌充填用PETボトルの肩部まで延在しており、口部には延在していない。」

エ 引用文献6:特開2004-250040号公報

(ア) 引用文献6に記載された事項

「【0036】
また、図2~図4に示した遮光性のシュリンクラベル200~400のように遮光層を遮光層3a 、3b 、または遮光層3a 、3b 、3c のように2層または3層の複数の層で形成する場合は、前述したように、絵柄等の印刷層2の背面に接して設けられる遮光層3a は、白色乃至銀色系の色であることが好ましいが、それ以外の遮光層3b 、3c は白色乃至銀色以外の有色であっても、絵柄等の印刷層2の印刷効果を損なうことはそれほどないので、遮光層3b 、3c には有色の遮光性物質を使用することができる。そして、それにより前記波長域の紫外線および可視光線の透過率を1%以下に低下させることも容易であり、遮光性のシュリンクラベル200~400の遮光性を著しく向上させることができる。
【0037】
次に、図5は、本発明のシュリンクラベル付きボトルに用いるボトル本体の一例の構成を示す正面図である。
続きを表示(全11行)
また、図6は、本発明のシュリンクラベル付きボトルの一実施例の構成を示す縦断面図であり、図5に示したボトル本体に遮光性のシュリンクラベルを装着した一実施例の構成を示す縦断面図である。
図5に示したボトル本体Bは、通常、プラスチックの延伸ブロー成形などにより作製される形状であり、上部から、口頸部10とそれに続く肩部11、胴部12、底部13とで形成され、横断面が円形状となる丸形ボトルの例を示したものである。そして、口頸部10の上部外周にはネジ17が設けられ、その下に係止部18とサポートリング19が順に設けられており、底部13の下側の底面14の外周縁には下方に凸状となるリング状の接地部15が設けられ、接地部15の内側には多段形式などの凹部16が設けられて構成されている。
尚、胴部12の壁面には、図には示していないが、ボトルの形状を安定化させるため、縦および横方向の凹溝状のリブや、減圧吸収用壁板部などを設けることができる。
【0038】
また、図6に示したシュリンクラベル付きボトルは、前記図5に示したボトル本体Bの外周面に、遮光性のシュリンクラベルLを、その口頸部10の基部、即ち、この場合サポートリング19の下から、底部13の下側の接地部15の内側に至るまでの領域を覆うように装着して構成したものである。
上記遮光性のシュリンクラベルLには、例えば、前記図1~図4に示したような構成の遮光性のシュリンクラベル100~400を使用することができる。
そして、遮光性のシュリンクラベルLを、ボトル本体Bの前記領域を覆うように装着するためには、特にボトルの下部において、筒状の遮光性のシュリンクラベルLが、ボトル本体Bの下端よりも下側に突き出た状態に配置されることが必要であり、そのためには、熱収縮装置は、例えば、ボトルを底面の中心部とキャップ部とで持ち上げた状態で保持して回転させながら熱収縮できる装置、または、丸形ボトルの場合は、ボトルを横に寝かせて回転させながら熱収縮できる装置などを使用することができる。」
「
[図:0001404145000004.jpg]
」

(イ) 引用文献6に記載された技術的事項

上記(ア)の記載事項より、引用文献6には、以下の技術的事項が記載されていると認められる。

「シュリンクラベルはボトル本体に装着されているとともに、上部外周にネジ、その下に係止部とサポートリングが順に設けられているボトル本体の口頸部において、該シュリンクラベルはサポートリングの下まで延在しており、ネジ及び係止部には延在していない。」

オ 周知技術について

上記引用文献4~引用文献6(上記イ~エ)に記載された技術的事項によると、以下の周知技術が認められる。

「開口の下方のみで容器本体に装着されたシュリンクフィルム」

(3)引用発明との対比

ア 本件補正発明と引用発明を対比する。

缶は金属製の容器を意味するところ、引用発明の「アルミニウム合金製の充填容器」及び「容器本体」の「胴部」は、本件補正発明の「缶」及び「缶胴」にそれぞれ相当する。

また、引用発明の「口部」の「開口部」、「ネジ(雄ネジ)が刻設された口部を備えた端材」、「巻き締め部」、「凹部」、「急な角度の円錐部」を形成する面、「円錐部」を形成する面は、それぞれ本件補正発明の「開口」、「ねじ付き蓋」、「巻締め部」、「溝部」、「第1の側面」及び「第2の側面」に相当する。

そして、引用発明の「胴部の断面がほぼ逆U字形の折り曲げ部と、端材の折り曲げ部とで相互に巻き付いて2重の巻き締め部を形成し」は、本件補正発明の「缶銅の上端に巻締められ」に相当する。

イ したがって、本件補正発明と、引用発明とは以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

<一致点>

「缶胴と、前記缶胴の上端に巻締められ先端部に開口を有するねじ付き蓋と、を有する缶本体を有し、
前記ねじ付き蓋は、巻締め部との間に溝部を形成する第1の側面と、前記第1の側面の上端に接続され、前記第1の側面より水平方向に傾斜した第2の側面と、を有する、缶。」

<相違点>

本件補正発明では、開口の下方のみで缶本体に装着されたシュリンクフィルムを有するとともに、シュリンクフィルムはねじ付き蓋との間に、溝部を内包する閉じた空間を形成するのに対して、引用発明では、当該構成を有しない点。

(4)判断

ア 以下、上記相違点について検討する。

上記したとおり、「開口の下方のみで容器本体に装着されたシュリンクフィルム」は周知技術である。

そして、引用発明及び周知技術は共に、容器の技術分野に属するものであり、容器の外面に文字、絵柄及び図等を施すことは通常態様であるところ、当該態様の一手段としてシュリンクフィルムは慣用されている(上記(2)ウ及びエ)。

そうすると、当業者であれば、格別の創意を要することなく引用発明に周知技術の適用を試みるものである。

そして、上記一致点で述べたとおり、引用発明は「巻締め部との間に溝部を形成する第1の側面と、前記第1の側面の上端に接続され、前記第1の側面より水平方向に傾斜した第2の側面」の構成を有するものであり、引用発明に上記周知技術を適用した際のシュリンクフィルムの配置態様は、第2の側面及び巻き締め部の上端に沿ったフィルムの装着となり、当該装着により「シュリンクフィルムはねじ付き蓋との間に、溝部を内包する閉じた空間を形成」されるものとなることは明らかである。

以上から、引用発明及び周知技術に基づいて、相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者にとって容易になし得たことである。

イ また、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術から予測される範囲内のものであり、格別顕著なものということはできない。

ウ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび

よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~5に係る発明は、令和3年12月24日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由の概要

原査定の拒絶の理由は、本願発明は引用文献1及び2に記載された発明並びに引用文献4~6に例示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、第2[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、第2[理由]2で検討した本件補正発明から、本件補正発明の「開口の下方のみで缶本体に装着されたシュリンクフィルム」という構成における、シュリンクフィルムの装着の態様について開口の下方のみで装着にすることに係る限定事項を削除し、「開口の下方で缶本体に装着されたシュリンクフィルム」としたものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、第2[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-007998

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  • 2024-008314拒絶査定不服審判 / 2025-11-25 / 請求不成立箱
    共通の審決分類: 121・B65D、575・B65D
  • 2023-021588拒絶査定不服審判 / 2025-10-03 / 請求不成立キャップ付きチューブ容器
    共通の審決分類: 121・B65D、575・B65D
  • 2023-010879拒絶査定不服審判 / 2025-08-12 / 請求不成立電子レンジ用パウチ
    共通の審決分類: 121・B65D、575・B65D

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