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特許拒絶査定不服審判

2022-007901

局所空調機システムおよび局所空調機システムの製造方法

審判番号
2022-007901
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-561069外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年05月25日
審決日
2022年11月09日
公報発行日
2023年01月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (F24F) / P18 .575-Z (F24F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-561069「局所空調機システムおよび局所空調機システムの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔2019年 6月27日国際公開、WO2019/124293〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2018年12月17日(優先権主張2017年12月22日、日本国)を国際出願日とする出願であって、その手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和2年6月5日に上申書及び手続補正書の提出

令和3年6月1日付けで拒絶理由通知

令和3年7月26日に意見書及び手続補正書の提出

令和3年9月29日付けで拒絶理由通知(最後)

令和3年12月8日に意見書の提出

令和4年2月28日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。;令和4年3月8日送達)

令和4年5月25日に拒絶査定不服審判の請求及びその請求と同時に手続補正書の提出

第2 令和4年5月25日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年5月25日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

「 【請求項1】
第1の局所空調機と、
前記第1の局所空調機と隣接して配置されていない第2の局所空調機、とを有し、
前記第1の局所空調機および前記第2の局所空調機はそれぞれ局所空調機であって、
続きを表示(全61行)
前記局所空調機は、
熱交換器と、
第1の主流管と、
第2の主流管と、
前記熱交換器と前記第1の主流管を接続する第1の支流管と、
前記熱交換器と前記第2の主流管を接続する第2の支流管、とを有し、
前記第1の主流管は、両端部に第1の接続構造を備え、
前記第2の主流管は、両端部に第2の接続構造を備え、
前記第1の局所空調機が備える前記第1の接続構造と前記第2の局所空調機が備える前記第1の接続構造とが、第1の接続管を介して接続され、
前記第1の局所空調機が備える前記第2の接続構造と前記第2の局所空調機が備える前記第2の接続構造とが、第2の接続管を介して接続された
局所空調機システム。
【請求項2】
前記熱交換器は、
熱交換部と、
前記熱交換部と接続する第1のヘッダー部と、
前記熱交換部と接続する第2のヘッダー部、とを備え、
前記第1のヘッダー部と前記第2のヘッダー部は、前記熱交換部を挟んで位置しており、
前記第1の支流管は、前記第1のヘッダー部と接続し、
前記第2の支流管は、前記第2のヘッダー部と接続している
請求項1に記載した局所空調機システム。
【請求項3】
前記第1の支流管は、前記第1のヘッダー部の中央部で前記第1のヘッダー部と接続し、
前記第2の支流管は、前記第2のヘッダー部の中央部で前記第2のヘッダー部と接続している
請求項2に記載した局所空調機システム。
【請求項4】
前記第1の支流管は、前記第1のヘッダー部の第1の端部で前記第1のヘッダー部と接続し、
前記第2の支流管は、前記第2のヘッダー部の第2の端部で前記第2のヘッダー部と接続しており、
前記第1の端部と前記第2の端部は、前記熱交換部の同一の側面の側に位置している
請求項2に記載した局所空調機システム。
【請求項5】
前記第1の支流管は、前記第1のヘッダー部の第1の端部で前記第1のヘッダー部と接続し、
前記第2の支流管は、前記第2のヘッダー部の第2の端部で前記第2のヘッダー部と接続しており、
前記第1の端部と前記第2の端部は、前記熱交換部の異なる側面の側に位置している
請求項2に記載した局所空調機システム。
【請求項6】
前記第1の主流管および前記第2の主流管の少なくとも一方は、伸縮が可能な柔軟配管を含む
請求項1から5のいずれか一項に記載した局所空調機システム。
【請求項7】
前記第1の支流管および前記第2の支流管の少なくとも一方は、支流管バルブを備える
請求項1から6のいずれか一項に記載した局所空調機システム。
【請求項8】
前記第1の主流管および前記第2の主流管の少なくとも一方は、主流管バルブを備える
請求項1から7のいずれか一項に記載した局所空調機システム。
【請求項9】
第1の熱交換器と、第1の主流管と、第2の主流管と、
前記第1の熱交換器と前記第1の主流管を接続する第1の支流管と、
前記第1の熱交換器と前記第2の主流管を接続する第2の支流管、とを有し、
前記第1の主流管は、両端部に第1の接続構造を備え、
前記第2の主流管は、両端部に第2の接続構造を備えた第1の局所空調機を形成し、
第2の熱交換器と、第3の主流管と、第4の主流管と、
前記第2の熱交換器と前記第3の主流管を接続する第3の支流管と、
前記第2の熱交換器と前記第4の主流管を接続する第4の支流管、とを有し、
前記第3の主流管は、両端部に第3の接続構造を備え、
前記第4の主流管は、両端部に第4の接続構造を備えた第2の局所空調機を、前記第1の局所空調機と隣接して配置されないように形成し、
前記第1の接続構造と前記第3の接続構造を、第1の接続管を介して接続し、
前記第2の接続構造と前記第4の接続構造を、第2の接続管を介して接続する
局所空調機システムの製造方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載

本件補正前の、令和3年7月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。

「 【請求項1】
第1の局所空調機と、
第2の局所空調機、とを有し、
前記第1の局所空調機および前記第2の局所空調機はそれぞれ局所空調機であって、
続きを表示(全61行)
前記局所空調機は、
熱交換器と、
第1の主流管と、
第2の主流管と、
前記熱交換器と前記第1の主流管を接続する第1の支流管と、
前記熱交換器と前記第2の主流管を接続する第2の支流管、とを有し、
前記第1の主流管は、両端部に第1の接続構造を備え、
前記第2の主流管は、両端部に第2の接続構造を備え、
前記第1の局所空調機が備える前記第1の接続構造と前記第2の局所空調機が備える前記第1の接続構造とが、第1の接続管を介して接続され、
前記第1の局所空調機が備える前記第2の接続構造と前記第2の局所空調機が備える前記第2の接続構造とが、第2の接続管を介して接続された
局所空調機システム。
【請求項2】
前記熱交換器は、
熱交換部と、
前記熱交換部と接続する第1のヘッダー部と、
前記熱交換部と接続する第2のヘッダー部、とを備え、
前記第1のヘッダー部と前記第2のヘッダー部は、前記熱交換部を挟んで位置しており、
前記第1の支流管は、前記第1のヘッダー部と接続し、
前記第2の支流管は、前記第2のヘッダー部と接続している
請求項1に記載した局所空調機システム。
【請求項3】
前記第1の支流管は、前記第1のヘッダー部の中央部で前記第1のヘッダー部と接続し、
前記第2の支流管は、前記第2のヘッダー部の中央部で前記第2のヘッダー部と接続している
請求項2に記載した局所空調機システム。
【請求項4】
前記第1の支流管は、前記第1のヘッダー部の第1の端部で前記第1のヘッダー部と接続し、
前記第2の支流管は、前記第2のヘッダー部の第2の端部で前記第2のヘッダー部と接続しており、
前記第1の端部と前記第2の端部は、前記熱交換部の同一の側面の側に位置している
請求項2に記載した局所空調機システム。
【請求項5】
前記第1の支流管は、前記第1のヘッダー部の第1の端部で前記第1のヘッダー部と接続し、
前記第2の支流管は、前記第2のヘッダー部の第2の端部で前記第2のヘッダー部と接続しており、
前記第1の端部と前記第2の端部は、前記熱交換部の異なる側面の側に位置している
請求項2に記載した局所空調機システム。
【請求項6】
前記第1の主流管および前記第2の主流管の少なくとも一方は、伸縮が可能な柔軟配管を含む
請求項1から5のいずれか一項に記載した局所空調機システム。
【請求項7】
前記第1の支流管および前記第2の支流管の少なくとも一方は、支流管バルブを備える
請求項1から6のいずれか一項に記載した局所空調機システム。
【請求項8】
前記第1の主流管および前記第2の主流管の少なくとも一方は、主流管バルブを備える
請求項1から7のいずれか一項に記載した局所空調機システム。
【請求項9】
第1の熱交換器と、第1の主流管と、第2の主流管と、
前記第1の熱交換器と前記第1の主流管を接続する第1の支流管と、
前記第1の熱交換器と前記第2の主流管を接続する第2の支流管、とを有し、
前記第1の主流管は、両端部に第1の接続構造を備え、
前記第2の主流管は、両端部に第2の接続構造を備えた第1の局所空調機を形成し、
第2の熱交換器と、第3の主流管と、第4の主流管と、
前記第2の熱交換器と前記第3の主流管を接続する第3の支流管と、
前記第2の熱交換器と前記第4の主流管を接続する第4の支流管、とを有し、
前記第3の主流管は、両端部に第3の接続構造を備え、
前記第4の主流管は、両端部に第4の接続構造を備えた第2の局所空調機を形成し、
前記第1の接続構造と前記第3の接続構造を、第1の接続管を介して接続し、
前記第2の接続構造と前記第4の接続構造を、第2の接続管を介して接続する
局所空調機システムの製造方法。」

2 補正の適否

本件補正後の請求項1及び9において、「第2の局所空調機」について「前記第1の局所空調機と隣接して配置されていない」との発明特定事項を追加する補正は、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)における、段落【0042】、【0043】及び【0050】、並びに図9の記載に基づくものであるから、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであって、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。

また、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された、「第2の局所空調機」について、本件補正後の請求項1において、「前記第1の局所空調機と隣接して配置されていない」との事項を加えることにより、第2の局所空調機の配置構成を限定するものであって、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。

<特許法第29条第2項(進歩性)について>

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)の請求項1に記載した事項により特定されるとおりのものである。

(2)引用文献

ア 引用文献1

(ア)引用文献1の記載

原査定の拒絶の理由で引用された文献であって、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-134011号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。(なお、下線は理解の一助として当審において付したものである。以下、同様。)

「【0001】
本発明は、特に電算センターやデータセンター、サーバールーム等のコンピュータ関連施設に適用して好適な空調機および空調システムに関する。」
「【0004】
この種の空調システムにおいて使用される空調機は、筐体(ケーシング)の寸法が大きく、また分割もし難いので、製作時、搬入時、施工時における取り回しが容易ではないし、保守性の点でも難がある。また、空調負荷の変動に対応して空調能力を増強するようなことは容易に行えるものではないし、将来的な増改築に対しても十分に対応できるものではない。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は特にコンピュータ関連施設に適用するための有効適切な空調機およびそれによる空調システムを提供することを目的とする。
・・・
【発明の効果】
【0011】
本発明の空調機および空調システムによれば、ケーシングを縦型としてその内部にフィルタおよびプラグファン、コイル、熱媒管を上下に重ねた状態で予め設置しているので、空調機としての形状・寸法の小形化を十分に実現できるばかりでなく、同型の空調機を横方向に並べてケーシングおよび熱媒管どうしを接続することのみで容易に設置することができ、したがってその設置のための所要スペースを十分に削減することが可能であり、空調機の設置台数を容易に増減できるので将来的な増改築に対して十分に対応可能であり、電算センターやデータセンター、サーバールーム等のコンピュータ関連施設に適用するものとして有効である。」
「【0013】
以下、本発明の具体的な実施形態について図1~図4を参照して説明する。
本実施形態の空調機および空調システムは、空調負荷が大きくかつ高度の空調制御が必要とされるコンピュータ関連施設(電算センターやデータセンター、サーバールーム等)を対象とするもので、所定規格に基づいて製作した複数台の空調機を空調対象室の内部または外部近傍位置において横方向に並べて設置することにより、それら各空調機によって空調対象室に対する空調(以下に示す実施形態では冷房専用)を行うことを基本とするものであるが、特に本実施形態では、上記の空調機として、縦型のケーシング内にフィルタおよびプラグファン、コイル(冷水コイル)、熱媒管(冷水管)を上下方向に配置し、かつ隣接配置する空調機のケーシングどうしおよび熱媒管どうしを互いに連結可能に構成したものを使用することを主眼としている。
【0014】
続きを表示(全12行)
まず、図1~図2を参照して本発明の実施形態である空調機1の構成について説明する。これは、基本的には、ケーシング、フィルタ、ファン、コイル等の構成要素を予め所定規格に基づいて製作して、それらを任意に組み合わせることにより所望性能の空調機を構成するいわゆるエアハンドリングユニット(AHU)の範疇に属するものであり、それ自体で空調機としての必要な機能のほぼ全てを備えて負荷に応じた最適運転を行うように自動制御される構成のものである。
・・・
【0016】
この空調機1は後述するように複数台の同型のものが横方向に並設されて設置されることから、図1に鎖線で示すように隣接配置される空調機1のケーシング2どうしが互いに連結可能とされている。
・・・
【0017】
ケーシング2の上部のフィルタ・ファンセクション2a内には、還気RAを処理するためのフィルタ8が設けられているとともにプラグファン9が設置されている。
周知のようにプラグファン9は遠心送風機の一種であるが、通常の遠心送風機のようなケーシングは省略されて羽根車だけがフィルタ・ファンセクション2b内に設置される形式のものである。図示例ではそのプラグファン9を横向きとして設置していて、このプラグファン9によりケーシング2の側部に設けられている開口部7から還気RAをフィルタ8を通してフィルタ・ファンセクション2aに吸引し、コイルセクション2bから配管セクション2cを通してその背面側に設けられている通風用の開口部10から給気SAを吹き出すようになっている。したがって、この場合はフィルタ・ファンセクション2aは還気チャンバを兼用するとともに配管セクション2cは給気チャンバを兼用していて、フィルタ・ファンセクション2aからコイルセクション2bへの風圧が均一となって床吹出空調機として優れた性能を有するものとなっている。」
「【0019】
フィルタ・ファンセクション2aの下段のコイルセクション2bには2段のコイル11が設置されている。本実施形態の空調機1は冷房専用機であることから、コイル11としては冷水コイルが採用されている。
【0020】
そして、コイルセクション2bの下段の配管セクション2cには、各コイル11に対して熱媒体としての冷水を循環供給するための2系統全4本の冷水管12(往管12aおよび還管12bが各2本ずつ)が設置され、各冷水管12と各コイル11とは分岐管13(分岐往管13aおよび分岐還管13b)により接続され、分岐還管13bには流量調整弁としての電動弁14が組み込まれている。
【0021】
上述したようにこの空調機1は複数台が横方向に並べられて設置されて隣接配置されるケーシング2どうしが互いに連結されるものであるが、その際には各空調機1における冷水管12どうしが互いに連結されることで全体として一連の冷水管路を構成するようになっている。
そのため、各空調機1に設置されている冷水管12の両端部は他の空調機1における冷水管12に対して接続される接続端とされていて、一方(図1(c)における右側)の接続端は配管セクション2cからケーシング2の外部に突出せしめられているとともに、他方(同、左側)の接続端はこの配管セクション2cの内部に位置せしめられており、そこにはフレキシブル継手15が取り付けられ、それに対向するケーシング2の側面には冷水管12の接続端が挿入可能な大きさの貫通孔16が形成されている。
これにより、2台の空調機1を隣接配置して双方のケーシング2どうしを連結する際には、冷水管12の一方の接続端が他方の空調機1の配管セクション2c内に貫通孔16を通して挿入されて双方の冷水管12の接続端どうしが自ずと対向せしめられ、フランジどうしを締結することのみでそれらを容易に接続することが可能とされている。」
「【0023】
以上で本発明の空調機1の実施形態について説明したが、次に上記の空調機1による空調システムの実施形態について図3~図4を参照して説明する。
本実施形態の空調システムは、図3に示すように多数のコンピュータ20を設置した施設(具体的には電算センターやデータセンター、サーバールーム等)を対象として冷房を行うもので、空調対象室21の両側に空調機室22を設置し、各空調機室22内に上記の空調機1を必要台数だけ横方向に並べて配置して、隣接配置した空調機1のケーシング2どうしおよび冷水管12どうしをそれぞれ連結することにより、それら空調機1の全体により空調対象室21に対する冷房を行うようにしたものである。
この場合、空調対象室21のピーク冷房負荷に応じて各空調機1の冷房能力およびその設置台数を適正に設定したうえで、負荷変動時には各空調機1が個別に自動制御されて室温を所定の設計温度に維持するような運転を行えば良く、そのためには各空調機1が備えている電動弁14の開度を適宜調整して各空調機1への冷水量を制御することを基本として、必要であればそれに併せてプラグファン9による風量制御を行えば良い。
【0024】
この種の空調システムにおいては、通常であれば空調機室22内に予め冷水主管を配管してそれに各空調機1をそれぞれ個々に接続することになるので、その施工のために面倒な手間と少なからぬコストを要するばかりでなく、空調機1の設置スペースの他に冷水主管の設置スペースも確保する必要があるが、本実施形態の空調システムでは各空調機1に組み込んだ冷水管12(熱媒管)どうしを順次接続したうえで端部に配置した空調機1に対して熱媒主管としての冷水主管23を接続するだけで良く、したがってその施工を格段に簡略化し得るし、冷水主管を設置するための格別のスペースを確保する必要もないから、十分な工期短縮と工費削減および省スペース化を実現することができる。
また、将来的な負荷変動に対しては空調機1の設置台数を増減することで容易にかつ細かいステップ単位で対応可能であるし、空調機室22のスペースの範囲内で十分な増築対応が可能である。」
「
[図:0001392991000001.jpg]
[図:0001392991000002.jpg]
[図:0001392991000003.jpg]
[図:0001392991000004.jpg]
」

(イ)上記(ア)の記載から認められる事項

上記(ア)の段落【0020】及び【0021】並びに図1、2及び4の記載によると、各空調機1における冷水管12の往管12aと還管12bは、それぞれ、一方の接続端にフレキシブル継手15が取り付けられ、他の空調機1における冷水管12の往管12a又は還管12bに対してフレキシブル継手15を介して接続されるものであり、一方の接続端にフレキシブル継手が接続された往管12a、還管12bについて、フレキシブル継手の端部と往管12a、還管12bの他方の接続端の端部にフランジが設けられた構造となっていることから、各空調機1において、冷水管12の還管12b及びフレキシブル継手15の組合せは、その両端部にフランジ(以下「第1のフランジ」という。)を備え、冷水管12の往管12a及びフレキシブル継手15の組合せは、その両端部にフランジ(以下「第2のフランジ」という。)を備え、空調機1が備える第1のフランジと他の空調機1が備える第1のフランジとが接続され、空調機1が備える第2のフランジと他の空調機1が備える第2のフランジとが接続されていることが認められる。

(ウ)引用発明

上記(ア)及び(イ)から、本件補正発明に倣って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「空調機1と、
前記空調機1と隣接配置される他の空調機1、とを有し、
前記空調機1および前記他の空調機1は、それぞれ電算センターやデータセンター、サーバールーム等のコンピュータ関連施設における空調対象室に対する空調を行う空調機であって、
前記電算センターやデータセンター、サーバールーム等のコンピュータ関連施設における空調対象室に対する空調を行う空調機は、
続きを表示(全14行)
コイル11と、
冷水管12の還管12b及びフレキシブル継手15の組合せと、
冷水管12の往管12a及びフレキシブル継手15の組合せと、
前記コイル11と前記冷水管12の還管12b及びフレキシブル継手15の組合せを接続する分岐還管13bと、
前記コイル11と前記冷水管12の往管12a及びフレキシブル継手15の組合せを接続する分岐往管13a、とを有し、
前記冷水管12の還管12b及びフレキシブル継手15の組合せは、その両端部に第1のフランジを備え、
前記冷水管12の往管12a及びフレキシブル継手15の組合せは、その両端部に第2のフランジを備え、
前記空調機1が備える前記第1のフランジと前記他の空調機1が備える前記第1のフランジとが接続され、
前記空調機1が備える前記第2のフランジと前記他の空調機1が備える前記第2のフランジとが接続された
空調システム。」

イ 引用文献2

原査定の拒絶の理由で引用された文献であって、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-247168号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。

(ア)引用文献2の記載

「【0001】
本発明は、水やブライン等の熱媒体を冷却又は加熱する冷凍サイクル装置に関し、特に他の冷凍サイクル装置と連結設置される冷凍サイクル装置に関するものである。」
「【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の一例を示す配管構成図である。
図1に示すように、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100は、冷媒回路50及び熱媒体回路60を備えている。
冷媒回路50は、内部を冷媒が循環するものであり、圧縮機1、凝縮器2、膨張装置である膨張弁4及び蒸発器5が順次冷媒配管で接続されて構成されている。また、本実施の形態1に係る冷媒回路50においては、凝縮器2及び蒸発器5のうちの一方が、冷媒と熱媒体回路60を流れる冷媒とを熱交換させる熱媒体熱交換器となっている。そして、凝縮器2及び蒸発器5のうちの他方が、冷媒と空気とを熱交換させる空気熱交換器となっている。
・・・
【0012】
熱媒体回路60は、水やブライン等の熱媒体を蒸発器5内へ導き、蒸発器5で冷却された熱媒体(換言すると、冷媒を加熱した熱媒体)を下流側(他の冷凍サイクル装置、冷却負荷、熱源等)に導くものである。この熱媒体回路60は、蒸発器5、熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bを備えている。詳しくは、熱媒体入口配管6aは、途中部が蒸発器5の熱媒体流入口5aに接続されており、上流側(他の冷凍サイクル装置、冷却負荷、熱源等)から流れてきた熱媒体を蒸発器5に流入させるものである(後述の図2参照)。熱媒体出口配管6bは、途中部が蒸発器5の熱媒体流出口5bに接続されており、蒸発器5で冷却された熱媒体(換言すると、冷媒を加熱した熱媒体)を下流側(他の冷凍サイクル装置、冷却負荷、熱源等)に導くものである(後述の図2参照)。」
「【0014】
図2に示すように、冷凍サイクル装置100は、例えば六面体等のケーシング7を備えている。そして、冷媒回路50の各構成及び熱媒体回路60の各構成は、接続口となる熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの片側端部(図2における右側端部)を除いて、ケーシング7内に配置されている。より詳しくは、接続口となる熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの一方の端部は、ケーシング7の左側側面から所定距離A(例えば100~200mm程度)だけケーシング7の内側に配置されている。また、接続口となる熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの他方の端部は、ケーシング7の右側側面から所定距離B(例えば、所定距離Aと同程度である100~200mm程度)だけケーシング7の外側に突出して配置されている。」
「【0017】
図3は、本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置を連結設置した場合の概略構成図(縦断面模式図)である。なお、図3に示す白抜き矢印は、熱媒体の流れ方向を示している。
図3に示すように、冷凍サイクル装置100を連結設置する際、各冷凍サイクル装置100は、熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの一方の端部近傍の側面(図3における左側側面)と他方の端部近傍の側面(図3における右側側面)とが対向するように設置される。そして、熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bは、一方の端部(図3における左側端部)と他方の端部(図3における右側端部)とがケーシング7内で接続されている。このとき、熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの他方の端部(図3における右側端部)はケーシング7から突出して配置されているので、ケーシング7内に配置された一方の端部(図3における左側端部)と直接接続することができる。なお、端部の接続方法は特に限定されるものではなく、例えば管継手を用いた接続等、公知の方法で接続すればよい。
・・・
【0020】
以上、本実施の形態1のように構成された冷凍サイクル装置100においては、複数の冷凍サイクル装置100を連結設置する際、熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの他方の端部(図3における右側端部)はケーシング7から突出して配置されているので、ケーシング7内に配置された一方の端部(図3における左側端部)と直接接続することができる。このため、冷凍サイクル装置100の設置現場において熱媒体配管の設置工事(据え付け工事)が不要となり、設置現場での熱媒体配管の接続工事を省工事化できる。また、熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bを冷凍サイクル装置100のケーシング内に配置することができるので、設置スペース(より詳しくは配管スペース)を省スペース化できる。」
「【0021】
実施の形態2.
実施の形態1においては、熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bは一方の端部のみがケーシング7内に配置されていた。これに限らず、熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの双方の端部をケーシング7内に設置してもよい。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0022】
続きを表示(全17行)
図4は、本発明の実施の形態2に係る冷凍サイクル装置の一例を示す縦断面模式図である。
図4に示すように、本実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100においては、接続口となる熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの双方の端部が、ケーシング7の側面から所定距離(例えば100~200mm程度)だけケーシング7の内側に配置されている。
【0023】
このように構成された冷凍サイクル装置100を連結設置する場合、例えば次のように連結設置する。
【0024】
図5は、本発明の実施の形態2に係る冷凍サイクル装置を連結設置した場合の概略構成図(縦断面模式図)である。
上述のように、本実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100においては、接続口となる熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの双方の端部が、ケーシング7の側面から所定距離(例えば100~200mm程度)だけケーシング7の内側に配置されている。このため、本実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100を連結設置する際、隣接する冷凍サイクル装置100は、熱媒体入口配管6aの端部同士が接続配管10aを介して接続されている。同様に、本実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100を連結設置する際、隣接する冷凍サイクル装置100は、熱媒体出口配管6bの端部同士が接続配管10bを介して接続されている。
【0025】
以上、本実施の形態2のように構成された冷凍サイクル装置100においては、複数の冷凍サイクル装置100を連結設置する際、短い接続配管10a,10b(本実施の形態2では、例えば200~400mm程度)を冷凍サイクル装置100内に挿入するだけで、熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの端部をケーシング7内で接続することができる。このため、冷凍サイクル装置100の設置現場において、熱媒体配管の接続工事を省工事化できる。また、熱媒体入口配管6a、熱媒体出口配管6b及び接続配管10a,10bを冷凍サイクル装置100のケーシング7内に配置することができるので、設置スペース(より詳しくは配管スペース)を省スペース化できる。
【0026】
さらに、本実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100においては、熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの端部がケーシング7から突出していないので、冷凍サイクル装置100を設置しやすいという効果を得ることもできる。
【0027】
なお、上記の実施の形態1,2では、蒸発器5に熱媒体熱交換器を用い、凝縮器2に空気熱交換器を用いたが、上述のように、蒸発器5に空気熱交換器を用い、凝縮器2に熱媒体熱交換器を用いてもよい。また、圧縮機1の吐出側に四方弁等の流路切換装置を設け、凝縮器2と蒸発器5の機能を切り換えても勿論よい。」
「
[図:0001392991000005.jpg]
[図:0001392991000006.jpg]
[図:0001392991000007.jpg]
[図:0001392991000008.jpg]
[図:0001392991000009.jpg]
」

(イ)引用文献2の記載事項

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上記(ア)(特に、段落【0001】、【0011】、【0012】及び【0021】~【0027】並びに図1、4及び5の記載)から、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2の記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「蒸発器5と、前記蒸発器5の熱媒体流入口5aに途中部が接続される熱媒体入口配管6aと、前記蒸発器5の熱媒体流出口5bに途中部が接続される熱媒体出口配管6bと、を有した冷凍サイクル装置を連結設置したものにおいて、
一方の冷凍サイクル装置が有する熱媒体入口配管6aの他方の端部と、他方の冷凍サイクル装置が有する熱媒体入口配管6aの一方の端部とを、接続配管10aを介して接続し、
一方の冷凍サイクル装置が有する熱媒体出口配管6bの他方の端部と、他方の冷凍サイクル装置が有する熱媒体出口配管6bの一方の端部とを、接続配管10bを介して接続すること。」

ウ 引用文献3

慣用手段を例証するために新たに引用する文献であって、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-257117号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。

(ア)引用文献3の記載

「【0001】
本発明は、電算機室空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
続きを表示(全16行)
サーバ装置等の電算機は、稼動中は発熱するものであり(主にそのCPU等が発熱する)、多数の電算機を収容している電算機室は、平均発熱密度が高い空間となると共に、電算機の設置位置や台数、稼動状態等に応じて、局所的に発熱密度が高いエリアや低いエリアが生じる場合がある。
【0003】
この様な電算機室の空調システムの一例として、複数の局所冷却装置を電算機室内の各所に配置して成る局所空調システムが知られている。この様な局所空調システムは、例えば、局所的に発生する高温問題を解決する為に、冷熱源ユニットと冷媒配管で接続した複数の局所冷却装置を、ラック上に分散設置して、局所的に発生する熱を除去している。
【0004】
図3に、従来の一般的な局所空調システム構成を示す。
図3において、まず、データセンタルーム5内は、床下1、部屋2、天井裏3、機械室4の各空間に区切られている。部屋2内にはサーバ装置等の電算機や各種電子機器等が収納されたラック6が複数配置されている。複数のラック6は、通常、整然と列を成して配置されており、図では1列のみ示すが、通常は複数のラック列が配置されているものである。
【0005】
局所空調システムは、基本的に、上記ラック列の上方に設けられた複数台の局所冷却装置13と、これら複数台の局所冷却装置13に共通の冷熱源ユニット7と、冷熱源ユニット7から複数の局所冷却装置13に冷媒を供給する為の冷媒往路配管11と、冷熱源ユニット7が各局所冷却装置13から冷媒を回収する為の冷媒復路配管12とから構成される。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した複数の局所冷却装置を用いる電算機室空調システム(局所空調システム)は、上記の通り各局所冷却装置は局所的に発生する熱に対応するものであり、その熱源は主にラック内に収納されている電算機(例えばサーバ装置等)である。そして、電算機室の運用において、任意のラック内のサーバ装置等を他のラックに移動したり、またはラックごと移動したり、あるいはサーバ装置等が収納されていなかった空のラックに、新たにサーバ装置等を収納すること(サーバ装置等の増設)等が行われている。これは、熱源が増加したり、熱源が移動することを意味することになり、これに対応して局所冷却装置を移動したり増設することが必要となる。」
「【0016】
本発明の課題は、複数の局所冷却装置に共通の冷媒配管によって冷媒を供給する構成の局所空調システムにおいて、局所冷却装置の移動や増設を容易に行えるようにする電算機室空調システム、その局所冷却装置の設置/移動方法等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
続きを表示(全13行)
本発明の電算機室空調システムは、電算機室内の各所に設けられる複数の局所冷却装置と、該複数の局所冷却装置に対して冷媒配管を介して冷媒を供給/回収する冷熱源ユニットとを有する電算機室空調システムであって、前記冷媒配管上に複数のジョイント部を備える配管ヘッダーを分散配置し、前記各局所冷却装置と前記配管ヘッダーのジョイント部との間を、フレキシブル配管によって接続した構成とする。
【0018】
そして、例えば、前記フレキシブル配管は余長を持つように設置される。
上記構成の電算機室空調システムにおける局所冷却装置の設置/移動方法は、任意の前記局所冷却装置を任意の場所に設置する際に、前記フレキシブル配管をその一端を該局所冷却装置に接続すると共にその他端を該設置場所近傍にある前記配管ヘッダーの任意の前記ジョイント部に接続し、且つ、該フレキシブル配管を余長を持つように設置し、前記設置済みの局所冷却装置を任意の他の場所に移動する際には、前記フレキシブル配管を前記配管ヘッダーのジョイント部と該局所冷却装置の両方に接続した状態のまま、該局所冷却装置を移動させて設置するものである。
【0019】
任意の場所に局所冷却装置を新規設置/増設する際には、この場所近傍の配管ヘッダーの任意のジョイント部に、フレキシブル配管を接続すればよい。また、その際にフレキシブル配管を余長を持つように設置(例えば“U字配管”等)しておくことで、後にこの局所冷却装置を移動する際に、フレキシブル配管を接続したままの状態で移動させることができ、容易に移動させることができ且つ冷媒が漏れる心配はない。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電算機室空調システム、その局所冷却装置の設置/移動方法等によれば、複数の局所冷却装置に共通の冷媒配管によって冷媒を供給する構成の局所空調システムにおいて、局所冷却装置の移動や増設を容易に行える。」
「【0023】
図1においても、上記図3と同様、データセンタルーム5内(部屋2内)には、サーバ装置等の情報処理機器等を上下方向に搭載したラック6のラック列が設置されている。一般的には複数列のラック列が存在する。このラック列に対応して、複数の局所冷却装置13が任意のラック上方に設置されている。
【0024】
これら複数の局所冷却装置13は、例えばラック列間に形成される空間部を冷却するために、任意の各ラックの上方に設置される。この空間部の空気(冷気)が、近接するラック内に流入して、収容されている電算機(サーバ装置等)を冷却することになる。局所冷却装置13には、不図示の蒸発器や送風機等を備えられ、蒸発器には冷媒が供給され、蒸発器によって空気が冷却されて、この冷気が送風機によって上記空間部に送り込まれる。
続きを表示(全12行)
【0025】
局所冷却装置13は、例えばサーバ装置等の台数が多い場合やフル稼動の状態等であることによって局所的に発熱密度が高いエリアがある場合に、このエリアに対して設置されるものであり、既に述べたように、移動や増設が必要となる場合が生じる。
・・・
【0036】
よって、任意の場所に設置済みの局所冷却装置13を任意の他の場所に移動する際には、フレキシブル配管17を配管ヘッダー16のジョイント部22と当該局所冷却装置13の両方に接続した状態のまま、当該局所冷却装置13を任意の移動先に移動させて設置することになる。よって、冷媒配管の新設或いは再配置といった大掛かりな工事を行わなくてもよく、あるいは冷媒を一旦全て抜き取るような大掛かりな作業を行わなくても冷媒が漏れる心配なく、しかも移動させる局所冷却装置を除いたシステム全体の冷却機能を維持しつつ、局所冷却装置13の移動作業を容易に行えるようになる。
・・・
【0039】
上記のように、局所冷却装置13近傍に敷設された冷媒配管11,12に配管ヘッダー16を分散配置し、配管ヘッダー16とその近傍にある局所冷却装置13との間を屈曲性のあるフレキシブル配管17を介してそれぞれ連通させた構成とすることで、局所冷却装置13の移動や増設に対して容易に対応可能となる。」
「
[図:0001392991000010.jpg]
[図:0001392991000011.jpg]
」

(イ)上記(ア)の記載から認められる事項

上記(ア)の図3の記載から、複数の局所冷却装置13を間隔を開けて配置することが認められる。

(ウ)引用文献3の記載事項

上記(ア)及び(イ)から、引用文献3には、次の事項(以下「引用文献3の記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「複数の局所冷却装置を用いる電算機室空調システムにおいて、ラック内に収容されているサーバー装置等の台数や稼働状況(負荷)等に応じて、複数の局所冷却装置13を間隔を開けて配置すること。」

(3)引用発明との対比

本件補正発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。

ア 後者の「コイル11」は、前者の「熱交換器」に相当し、以下同様に、「分岐還管13b」は「第1の支流管」に、「分岐往管13a」は「第2の支流管」に、「第1のフランジ」は「第1の接続構造」に、「第2のフランジ」は「第2の接続構造」に、それぞれ相当する。

イ 後者の「冷水管12の還管12b及びフレキシブル継手15の組合せ」は、全体として熱媒体としての冷水を循環供給するための冷水管の機能を有するものであるから、前者の「第1の主流管」に相当する。

同様に、後者の「冷水管12の往管12a及びフレキシブル継手15の組合せ」は、前者の「第2の主流管」に相当する。

そして、後者の「前記冷水管12の還管12b及びフレキシブル継手15の組合せは、その両端部に第1のフランジを備え」る態様は、前者の「前記第1の主流管は、両端部に第1の接続構造を備え」る態様に相当する。

また、後者の「前記冷水管12の往管12a及びフレキシブル継手15の組合せは、その両端部に第2のフランジを備え」る態様は、前者の「前記第2の主流管は、両端部に第2の接続構造を備え」る態様に相当する。

ウ 後者の「電算センターやデータセンター、サーバールーム等のコンピュータ関連施設における空調対象室に対する空調を行う空調機」は、「所定の空調機」という限りにおいて、前者の「局所空調機」に一致する。

そして、後者の「空調機1」は、「第1の空調機」という限りにおいて、前者の「第1の局所空調機」に一致する。

また、後者の「他の空調機1」は、「第2の空調機」という限りにおいて、前者の「第2の局所空調機」に一致する。

さらに、後者の「空調システム」は、「所定の空調機システム」という限りにおいて、前者の「局所空調機システム」に一致する。

以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

[一致点]

「第1の空調機と、
第2の空調機、とを有し、
前記第1の空調機および前記第2の空調機はそれぞれ所定の空調機であって、
前記所定の空調機は、
続きを表示(全14行)
熱交換器と、
第1の主流管と、
第2の主流管と、
前記熱交換器と前記第1の主流管を接続する第1の支流管と、
前記熱交換器と前記第2の主流管を接続する第2の支流管、とを有し、
前記第1の主流管は、両端部に第1の接続構造を備え、
前記第2の主流管は、両端部に第2の接続構造を備え、
前記第1の空調機が備える前記第1の接続構造と前記第2の空調機が備える前記第1の接続構造とが、接続され、
前記第1の空調機が備える前記第2の接続構造と前記第2の空調機が備える前記第2の接続構造とが、接続された
所定の空調機システム。」

[相違点1]

それぞれ「所定の空調機」である「第1の空調機」と、「第2の空調機」とを有する「所定の空調機システム」に関し、本件補正発明では、それぞれ「局所空調機」である「第1の局所空調機」と、「第2の局所空調機」とを有する「局所空調機システム」であるのに対して、引用発明では、それぞれ「電算センターやデータセンター、サーバールーム等のコンピュータ関連施設における空調対象室に対する空調を行う空調機」である「空調機1」と、「他の空調機1」とを有する「空調システム」であり、これらが「局所空調機」ないし「局所空調機システム」であることは特定されていない点。

[相違点2]

本件補正発明では、「第2の局所空調機」が「前記第1の局所空調機と隣接して配置されていない」のに対して、引用発明では、「他の空調機1」が「前記空調機1と隣接配置される」点。

[相違点3]

本件補正発明では、「前記第1の局所空調機が備える前記第1の接続構造と前記第2の局所空調機が備える前記第1の接続構造とが、第1の接続管を介して接続され、

前記第1の局所空調機が備える前記第2の接続構造と前記第2の局所空調機が備える前記第2の接続構造とが、第2の接続管を介して接続された」ものであるのに対して、

引用発明では、「前記空調機1が備える前記第1のフランジと前記他の空調機1が備える前記第1のフランジとが接続され、

前記空調機1が備える前記第2のフランジと前記他の空調機1が備える前記第2のフランジとが接続された」ものであるものの、そのように「第1の接続管を介して」接続されること及び「第2の接続管を介して」接続されたものであることは特定されていない点。

(4)判断

ア 相違点1について

引用文献1の段落【0017】、【0019】、【0020】及び【0022】の記載によれば、空調機1は、プラグファン9によりケーシング2の側部に設けられている開口部7から吸引した還気RAを冷水が循環供給される2段のコイル11が設置されたコイルセクション2bを通して、通風用の開口部10から冷却された給気SAを吹き出すようになっており、さらに、引用文献1の段落【0023】及び図3の記載によれば、空調機1は、空調機室22内に必要台数だけ横方向に並べて配置されて、各空調機1から吹き出す給気SAが並べた方向と直交する方向に平行に吹き出されて空調対象室21に対する冷房を行うようになっていることから、各空調機1が局所空調を行っていることは、明らかである。

そうすると、引用発明における「電算センターやデータセンター、サーバールーム等のコンピュータ関連施設における空調対象室に対する空調を行う空調機」は「局所空調機」といえるものであり、引用発明の「空調機1」及び「他の空調機1」は、本件補正発明の「第1の局所空調機」及び「第2の局所空調機」に相当するものといえ、また、引用発明の「空調システム」は、本件補正発明の「局所空調機システム」に相当するものといえるから、相違点1は実質的な相違点ではない。

イ 相違点2について

「電算センターやデータセンター、サーバールーム等のコンピュータ関連施設における空調対象室に対する空調を行う空調機」を複数備える「空調システム」において、ラックに対してサーバーや電算機の台数が少ない場合や、複数設置されたサーバーや電算機のうち一部のみが稼働している状況において、空調が必要なサーバーや電算機が配置されたラックに応じて、複数の空調機を間隔を開けて配置し、一方の空調機が他の空調機と隣接して配置されないようにすることは、例えば、引用文献3の記載事項からも認められるように、本願の優先日前にごく普通に行われていること(以下「慣用手段」という。)である。

そうすると、引用発明において、慣用手段を考慮して、他の空調機1(第2の局所空調機)が空調機1(第1の局所空調機)と隣接して配置されていないようにし、上記相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

ウ 相違点3について

引用文献2の記載事項は、引用文献1の図1(b)(c)、図3及び図4に示された引用発明の実施形態と同様の、熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの一方の端部がケーシングの一方の側面から所定距離だけ内側に配置され、熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの他方の端部がケーシング7の他方の側面から所定距離だけケーシング7の側面に突出して配置された冷凍サイクル装置を、ケーシング7から突出した他方の端部をケーシング7内に配置された一方の端部と直接接続して連結設置する実施の形態1(引用文献2の段落【0014】、【0017】及び【0020】並びに図2及び3を参照。)とともに、実施の形態2として引用文献2に記載されたものである。

そして、引用文献2の記載事項は、「設置スペース(より詳しくは配管スペース)を省スペース化できる。」という実施の形態1においても奏する効果(引用文献2の段落【0025】を参照。)に加え、さらに「本実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100においては、熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの端部がケーシング7から突出していないので、冷凍サイクル装置100を設置しやすいという効果を得ることもできる。」という効果(引用文献2の段落【0026】を参照。)を奏することから、当該効果を期待して、引用文献2に記載された実施の形態1と同様の実施形態を含む引用発明において、引用文献2の記載事項を適用する動機付けがあるものといえる。

そうすると、引用発明に引用文献2の記載事項を適用して、空調機1(第1の局所空調機が備える第1のフランジ(第1の接続構造)と他の空調機1(第2の局所空調機)が備える第1のフランジとが、接続配管10a(第1の接続管)を介して接続され、前記空調機1が備える第2のフランジ(第2の接続構造)と他の空調機1が備える第2のフランジとが、接続配管10b(第2の接続管)を介して接続されたものとし、上記相違点3に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

エ 請求人の主張について

請求人は、審判請求書の「3.本願発明が特許されるべき理由」の「(4)本願発明と引用発明の対比」において、

「しかし、引用文献1および2のいずれにも、本願発明の特徴である、第1の局所空調機と、第1の局所空調機と隣接して配置されていない第2の局所空調機、とを有し、第1の局所空調機が備える第1の接続構造と第2の局所空調機が備える第1の接続構造とが、第1の接続管を介して接続され、第1の局所空調機が備える第2の接続構造と第2の局所空調機が備える第2の接続構造とが、第2の接続管を介して接続された構成とすることにより、冷却対象であるサーバーラックがサーバールーム内で隣接して配置されていない場合であっても、必要な個数の局所空調機だけを設置することが可能になり、そのため、局所空調機システムの導入コストを抑制することができる(本願明細書の段落[0043])という技術思想の開示も示唆もありません。
さらに、下記に述べますように、引用文献1に記載された発明に引用文献2に記載された発明を適用することには阻害要因があることは明らかです。
すなわち、冷水管12の一方の接続端が配管セクション2cからケーシング2の外部に突出せしめられている引用文献1に記載された空調システム(段落[0021]、図1(c))に、引用文献2に記載された熱媒体入口配管6a(熱媒体出口配管6b)の端部同士を接続する接続配管10a(10b)を適用すると、同型の空調機を横方向に並べてケーシングどうしを接続することにより、設置のための所要スペースを十分に削減する(引用文献1の段落[0011])という引用文献1に記載された発明の目的に反するものとなることは明らかです。
なお、引用文献2に記載された冷凍サイクル装置100は、熱媒体入口配管6a及び熱媒体出口配管6bの双方の端部が、ケーシング7の側面から所定距離だけケーシング7の内側に配置(段落[0022]、図4)された構成とすることにより、接続配管10a,10bを冷凍サイクル装置100のケーシング7内に配置することができるので、設置スペースを省スペース化できる(段落[0025])という効果を奏するものです。したがって、冷水管12の一方の接続端がケーシング2の外部に突出せしめられている引用文献1に記載された空調システムにおいては、このような効果は得られないことは明らかです。
以上より、本願発明は引用文献1、2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものとは到底言えないと確信します。」(5ページ24行~6ページ23行)と主張する。

しかしながら、上記相違点2の検討で述べたとおり、引用発明において、慣用手段を考慮して、他の空調機1(第2の局所空調機)が空調機1(第1の局所空調機)と隣接して配置されていないようにすることは、当業者が容易になし得たことであり、これにより、冷却対象であるサーバーラックがサーバールーム内で隣接して配置されていない場合であっても、必要な個数の空調機1だけを設置することが可能であり、空調システムの導入コストの抑制が可能である。

また、引用文献2の記載事項においても、引用文献2の図5に記載があるように、ケーシングどうしを接続することは可能であり、「設置スペース(より詳しくは配管スペース)を省スペース化できる。」という効果(引用文献2の段落【0025】を参照。)を奏するものであるから、引用発明に引用文献2の記載事項を適用することに、阻害要因があるとはいえない。

そして、引用発明に引用文献2の記載事項を適用することによっても、引用文献2の記載事項が「設置スペース(より詳しくは配管スペース)を省スペース化できる。」という効果(引用文献2の段落【0025】を参照。)を奏するのであるから、引用発明の奏する「空調機」の「設置のための所要スペースを十分に削減することが可能」(引用文献1の段落【0011】)という効果は得られるものである。

したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

オ 効果について

そして、本件補正発明は、全体としてみても、引用発明、引用文献2の記載事項及び慣用手段から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

カ まとめ

したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2の記載事項及び慣用手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし9に係る発明は、令和3年7月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由1における請求項1についての理由は、以下のとおりである。

<理由1(特許法第29条第2項)について>

本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

引用文献1:特開2013-134011号公報
引用文献2:特開2012-247168号公報

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用文献2の記載並びに引用発明及び引用文献2の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「第2の局所空調機」について、「前記第1の局所空調機と隣接して配置されていない」との限定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は、上記第2[理由]2(3)の「引用発明との対比」で示した相違点1及び3で相違し、その余の点は一致するから、上記第2[理由]2(4)の「判断」の検討を踏まえると、本願発明は、引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-007901

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