2022-007030
遊技機
- 審判番号
- 2022-007030
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-057561外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年05月11日
- 審決日
- 2023年02月08日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】特許業務法人上野特許事務所
- 分類
- P18 .113-WYA(A63F) / P18 .121-WYA(A63F) / P18 .575-WYA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成31年3月26日の出願であって、令和3年3月4日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月23日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月8日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年11月10日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和4年2月15日付け(送達日:同年2月22日)で、令和3年11月10日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和4年5月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 原審における補正の却下の決定の当否について
請求人は、審判請求書の「請求の趣旨」において、「令和4年2月15日になされた補正の却下の決定ならびに査定を取り消す。本願発明は特許すべきものとする、との審決を求める。」としていることから、令和4年2月15日付けの補正の却下の決定の当否について検討する。
[補正の却下の決定の当否の結論]
令和4年2月15日付け補正の却下の決定を取り消す。
[理由]
1 令和4年2月15日付け補正の却下の決定の概要
原審における令和4年2月15日付け補正の却下の決定(以下、単に「補正の却下の決定」という。)の概要は、
令和3年11月10日提出の手続補正書における補正(以下「本件補正」という。)による請求項1についての補正は限定的減縮を目的としているが、引用文献1に記載された発明に、引用文献2記載の事項を適用して、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)のように構成することは、当業者が容易になし得たことであって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、本件補正は同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下する、というものである。
2 本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲は、
(補正前:令和3年4月23日提出の手続補正書でした補正)
「【請求項1】演出音を出力する音出力手段と、遊技球が進入可能な特定領域と、演出音が出力されている状態で、前記特定領域に遊技球が進入することを契機として、前記演出音の出力が停止される無音演出を実行する無音演出実行手段と、表示装置に表示される識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出を構成するものとして、所定のリーチ用音が出力されるリーチ演出を実行するリーチ演出実行手段と、を備え、前記無音演出は、前記特定領域に遊技球が進入した時点で前記演出音として対象音が出力されているときには発生するものの、非対象音が出力されているときは発生することがないように設定されており、前記リーチ用音は前記非対象音であることを特徴とする遊技機。」から、
(補正後:本件補正)
「【請求項1】A 演出音を出力する音出力手段と、B 遊技球が進入可能な特定領域と、C 表示装置に表示される識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出の内容に応じた演出音が出力されている状態で、前記特定領域に遊技球が進入することを契機として、前記演出音の出力が停止される無音演出を実行する無音演出実行手段と、D 前記報知演出を構成するものとして、所定のリーチ用音が出力されるリーチ演出を実行するリーチ演出実行手段と、を備え、E 前記無音演出は、前記特定領域に遊技球が進入した時点で前記演出音として対象音が出力されているときには発生するものの、非対象音が出力されているときは発生することがないように設定されており、F 前記リーチ用音は前記非対象音であるG ことを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。また、A等は、分説のため当審で付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。
3 本件補正の適否
(1) 補正事項
本件補正は、本件補正前の請求項1の「演出音」を、本件補正後の請求項1の「表示装置に表示される識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出の内容に応じた演出音」とする補正を含むものである。
(2) 補正の目的について
前記補正事項は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「演出音」について、「表示装置に表示される識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出の内容に応じた」ものである点を限定することにより減縮する補正であり、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(3) 新規事項の追加の有無
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の【0041】~【0042】、【0044】、【0052】~【0053】、図9、図11等に記載された事項であり、当該補正は、当初明細書等の記載の範囲内においてしたものであり、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、特許法第17条の2第3項の規定を満たす。
4 独立特許要件について
本件補正は、前記3(2)に示したように、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的として含むものであるから、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(同法同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下、検討する。
(1) 本願補正発明
本願補正発明は、前記2の「(補正後:本件補正)」の【請求項1】に記載したとおりのものである。
(2) 引用文献
ア 引用文献1
補正の却下の決定に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-214544号公報(平成28年12月22日出願公開、以下同じく「引用文献1」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(なお、下線は当審で付した。以下同様。)。
(ア) 「【実施例】【0018】図1はパチンコ機10(遊技機)の外観を示す外観斜視図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構成図であり、図3はパチンコ機10の制御回路の構成の概略を示すブロック図である。」
(イ) 「【0021】また、前面枠11の左上部と右上部には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするためのスピーカ28a,28bが設けられており、・・・」
(ウ) 「【0024】[遊技盤30の構成]遊技盤30は、図2に示すように、外レール31aと内レール31bとによって囲まれる遊技領域31が形成されている。この遊技盤30は、遊技領域31の右下部に配置された図柄表示装置40と、遊技領域31の中央部に配置された第1演出表示装置34と、遊技領域31の右部に配置された第2演出表示装置50と、第1演出表示装置34の周囲を囲むように配置されたセンター役物49と、センター役物49の下側に配置され遊技球の入球を検知する第1始動口スイッチ36a(図3参照)を有する第1始動口36と、センター役物49の右部に配置され遊技球の通過を検知するゲートスイッチ32a(図3参照)を有する普通図柄作動ゲート32と、普通図柄作動ゲート32の真下に配置され遊技球の入球を検知する第2始動口スイッチ38a(図3参照)を有する第2始動口38と、遊技領域31の下部に開閉可能に配置され遊技球の入球を検知する大入賞口スイッチ44a(図3参照)を有する大入賞口44と、遊技領域31の左下部と右下部とに配置され一般入賞口スイッチ45a(図3参照)を有する一般入賞口45と、いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口47と、を備える。・・・」
(エ) 「【0030】第1演出表示装置34は、特別図柄表示装置42よりも表示が大きい7セグメント表示器を用いて構成されており、表示画面上で演出図柄の変動表示やリーチ演出などの様々な演出表示が行われる。本実施例の第1演出表示装置34は、図7に例示する画面構成に示すように、横方向に並んで配置され数字や英字,記号等により構成される左,中,右の3つの演出図柄(疑似特別図柄)34L,34M,34Rを有している。この第1演出表示装置34は、遊技球が第1始動口36に入球した場合と、遊技球が第2始動口38に入球した場合に、3つの演出図柄34L,34M,34Rを変動表示させる。演出図柄34L,34M,34Rは、変動表示が開始されると、それぞれ高速で点滅するように変動表示され、変動表示の実行時間(変動時間)が経過すると、左の演出図柄34L,右の演出図柄34R,中の演出図柄34Mの順に停止表示される。このとき、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致しなかったときにはリーチなしの単純な外れとなり、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致したときにはリーチとなる。そして、所定のリーチ演出を伴って中の演出図柄34Mが停止したときに、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致しなかったときにはリーチありの外れとなり、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致したときに大当りとなる。本実施例では、3つの演出図柄34L,34M,34Rの全てが一致していない場合でも、大当り(「特図2通常大当りA」,「特図2通常大当りB」)となる場合がある。この第1演出表示装置34で表示される演出図柄の当否の結果は、基本的には、上述した特別図柄表示装置42により表示される特別図柄(第1特別図柄,第2特別図柄)の当否の結果と対応する。」
(オ) 「【0035】[制御回路の構成]次に、実施例のパチンコ機10の制御回路の構成について主として図3を参照しながら説明する。パチンコ機10の制御回路は、図3に示すように、遊技の基本的な進行の制御を司る主制御基板70(主制御部)と、賞球や球貸の払い出しに関する制御を司る払出制御基板80と、遊技の進行に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板90(副制御部)と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板100と、パチンコ機10の電源制御を司る電源基板105と、パチンコ機10が設置されたホールに設けられているホールコンピュータ115との通信に関する制御を司る外部制御基板110などの制御基板により構成されている。・・・【0038】サブ制御基板90は、図9に示すように、CPU90aやROM90b,RAM90cなどを備えており、主制御基板70から各種指令信号を受信してその指令に応じた遊技の演出を行う。サブ制御基板90は、第1演出表示装置34および第2演出表示装置50の制御を行う演出表示制御基板91や各種スピーカ28a,28bを駆動するアンプ基板92、前面枠11に設けられた枠ランプ93a(LEDランプ)や遊技盤30に設けられた盤ランプ93b(LEDランプ)を駆動したり可動役物を作動させるための装飾モータ93cを駆動したりする装飾駆動基板93,演出ボタン26に設けられ演出ボタン26の操作を検知する操作検知スイッチ27からの操作信号を入力する演出ボタン基板94などが接続されている。」
(カ) 「【0071】[図柄変動演出時先読み予告演出処理]S604の図柄変動演出時先読み予告演出処理は、図26のフローチャートに従って実行される。図26の図柄変動演出時先読み予告演出処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、変動演出音変化演出中であるか否かを判定する(S750)。変動演出音変化演出中でないと判定すると、図11の特別図柄遊技処理のS212またはS224で主制御基板70により送信される保留発生時コマンドを受信したか否かを判定する(S752)。保留発生時コマンドを受信していないと判定すると、図柄変動演出時先読み予告演出処理を終了する。一方、保留発生時コマンドを受信したと判定すると、保留発生時コマンドに事前判定結果が含まれている場合に、今回発生した保留が、変動パターンとして特定リーチ(例えば、スーパーリーチA)を発生させる変動パターンであると事前判定された保留(特定リーチ保留)であるか否か(S754)、今回発生した保留および当該変動中の保留を含めて保留数が2以上であるか否か(S756)、今回発生した保留の前に消化される保留に当り保留が含まれていない(今回発生した保留の前に消化される保留の全てが外れ保留である)か否か(S758)、をそれぞれ判定する。S754~S758のいずれもが肯定的な判定である場合には、抽選処理を行い(S760)、抽選結果が当りであると判定すると(S762)、変動演出音変化演出を開始する(S764)。このように、演出図柄の変動表示に合わせて変動演出音が出力されている最中に特定リーチ保留が発生すると、演出図柄の変動表示を維持したまま変動演出音の出力態様を変化させる変動演出音変化演出を行うのである。変動演出音変化演出は、本実施例では、変動演出音を有音から無音に変化させる演出とした。これにより、第1演出表示装置34に表示されている変動演出表示(演出図柄)に注目している遊技者に対し、変動演出音が突然無音となったように感じさせて、驚きやインパクトを与えることができる。・・・【0073】図27は、変動演出音変化演出の様子を示す説明図である。図示するように、時刻t11に開始された変動演出表示(演出図柄の変動表示)中に始動口(第1始動口36または第2始動口38)に遊技球が入球して、特定リーチ保留が発生すると(時刻t12)、変動演出表示に合わせて出力されていた変動演出音が有音から無音となる変動演出音変化演出が実行される。変動演出音変化演出は、特定リーチ保留よりも前に消化される保留に係る演出図柄の変動表示が行われている間も維持され(時刻t13)、特定リーチ保留に係る演出図柄の変動表示が開始された後(時刻t14)、当該演出図柄がリーチ目で停止して特定リーチ(例えば、スーパーリーチA)に発展したタイミングで終了する(時刻t15)。これにより、演出図柄の変動表示に注目している遊技者に、変動演出音が突然無音となったように感じさせることができ、驚きとインパクトを与えることができる。また、特定リーチ(スーパーリーチA)に発展すると、変動演出音変化演出が終了し、特定リーチの変動演出表示に合わせて変動演出音が再び出力されるようになるため、特定リーチに一層注目させて遊技者の期待感を高めることができる。」
(キ) 「【0077】[大当り遊技演出時先読み予告演出処理]S608の大当り遊技演出時先読み予告演出処理は、図29のフローチャートに従って実行される。図29の大当り遊技演出時先読み予告演出処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、大当り遊技演出音変化演出中であるか否かを判定する(S850)。大当り遊技演出音変化演出中でないと判定すると、今回の大当り遊技の発生契機となった大当りの種類が「特図2確変大当り(16R大当り)」であるか否か(S852)、ラウンド遊技開始コマンドを受信したか否か(S854)、現在実行中のラウンドが所定ラウンド目(例えば、15R目)であるか否か(S856)、RAM90cの事前判定情報記憶領域に当り保留が記憶されているか否か(S858)、をそれぞれ判定する。S852~S858のいずれもが肯定的な判定である場合には、抽選処理を行い(S860)、抽選結果が当りであると判定すると(S862の「YES」)、大当り遊技演出音変化演出を開始する(S864)。このように、大当り遊技中の所定ラウンド目に当り保留が記憶されていると、大当り遊技演出音の出力態様を変化させる大当り遊技演出音変化演出を行うのである。大当り遊技演出音変化演出は、本実施例では、大当り遊技演出音を有音から無音に変化させる演出とした。これにより、第1演出表示装置34に表示されている大当り遊技演出表示に注目している遊技者に対し、大当り遊技演出音が突然無音となったように感じさせて、驚きやインパクトを与えることができる。・・・【0085】実施例のパチンコ機10では、大当り遊技中に当り保留が存在することを条件として大当り遊技演出音変化演出を実行するものとしたが、これに限定されるものではなく、特定リーチ保留が発生したことを条件として大当り遊技演出音変化演出を実行する等、事前判定結果に基づいて大当り遊技演出音変化演出を実行するものであれば、如何なる条件(特定保留)を定めるものとしてもよい。」
(ク) 「【図27】[図:0001394995000001.jpg]」
(ケ) 上記(ア)~(ク)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、引用箇所の段落番号等を併記した。
「遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするためのスピーカ28a、28bと(【0021】)、遊技球の入球を検知する第1始動口スイッチ36aを有する第1始動口36と(【0024】)、表示画面上で演出図柄の変動表示やリーチ演出などの様々な演出表示が行われ、左、中、右の3つの演出図柄34L、34M、34Rを有し、遊技球が第1始動口36に入球した場合に、3つの演出図柄34L、34M、34Rを変動表示させ、変動表示が開始されると、それぞれ高速で点滅するように変動表示され、変動表示の実行時間(変動時間)が経過すると、左の演出図柄34L、右の演出図柄34R、中の演出図柄34Mの順に停止表示され、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致しなかったときにはリーチなしの単純な外れとなり、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致したときにはリーチとなり、所定のリーチ演出を伴って中の演出図柄34Mが停止したときに、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致しなかったときにはリーチありの外れとなり、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致したときに大当りとなる、第1演出表示装置34と(【0030】)、第1演出表示装置34の制御を行う演出表示制御基板91や各種スピーカ28a、28bを駆動するアンプ基板92が接続され、遊技の進行に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板90とを備え(【0035】、【0038】)、変動演出表示(演出図柄の変動表示)中に第1始動口36に遊技球が入球して、変動パターンとして特定リーチ(例えば、スーパーリーチA)を発生させる変動パターンであると事前判定された保留である特定リーチ保留が発生すると、変動演出表示に合わせて出力されていた変動演出音が有音から無音となる変動演出音変化演出が実行され、変動演出音変化演出は特定リーチ保留よりも前に消化される保留に係る演出図柄の変動表示が行われている間も維持され、特定リーチ保留に係る演出図柄の変動表示が開始された後、当該演出図柄がリーチ目で停止して特定リーチに発展したタイミングで終了し(【0071】、【0073】、図27)、大当り遊技中に特定リーチ保留が発生したことを条件として、大当り遊技演出音を有音から無音に変化させる演出である大当り遊技演出音変化演出を実行する(【0077】、【0085】)パチンコ機10(【0018】)。」
ウ 引用文献2
補正の却下の決定に引用文献2として引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-93775号公報(平成29年6月1日出願公開、以下同じく「引用文献2」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(ア) 「【0014】(第1実施形態)第1実施形態について、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下では、単にパチンコ機という)10に適用した例について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図、図2、図3はパチンコ機10の主要な構成部分を展開した斜視図、図4はパチンコ機10の主要な構成部分を示す斜視図、図5はパチンコ機10における遊技盤43の正面図である。【0015】なお、第1実施形態および後述する第2~第7実施形態では、本発明の基本的な構成を含む参考例について説明する。」
(イ) 「【0029】また、前扉枠14には、窓部21の周囲にLED等の発光手段を内蔵した電飾部33が設けられていると共に、窓部21の上方における左右両端部に一対のスピーカ部34が備えられている。本パチンコ機10においては、当たり時やリーチ演出時等には、各電飾部33が点灯または点滅して、当たり中である旨、或いはリーチ中である旨が報知されると共に、スピーカ部34からの音声によって当たり中である旨、或いはリーチ中である旨が報知されることにより、遊技中の演出効果を高める構成となっている。・・・」
(ウ) 「【0059】図柄表示装置80は、17インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されている。そして、図7に示されるように、第1始動口54への入賞を契機とする第1遊技抽選の判定結果を示す第1特別図柄、および第2始動口55への入賞を契機とする第2抽選遊技の判定結果を示す第2特別図柄を表示する上側の上側表示領域Dmと、保留図柄(第1抽選遊技および第2抽選遊技の保留)を表示する下側の下側表示領域Dsとを有している。・・・【0060】なお、この図柄表示装置80は、後述する表示制御装置93によって表示画面80aの表示内容が制御される。・・・【0069】一方、下側表示領域Dsは、上側表示領域Dmよりも横長に設けられている。この下側表示領域Dsは、本パチンコ機10では、第1始動口54または第2始動口55への入賞(第1抽選遊技または第2抽選遊技)は、それぞれ最大4回まで保留されることで全体で最大8個まで保留されるように構成されているため、左右方向に8つの小領域の第1~第8保留図柄表示エリアDs1~Ds8に等区分されている。・・・」
(エ) 「【0132】音声ランプ制御装置92は、音声ランプ制御基板151を備え、当該音声ランプ制御基板151にはMPU152が搭載されており、MPU152にはROM153およびRAM154が内蔵されている。なお、以下では、音声ランプ制御装置92に設けられたMPU152、ROM153およびRAM154を音声側MPU152、音声側ROM153および音声側RAM154として説明する。・・・【0137】そして、音声側MPU152では、主制御装置91から受信した各種コマンド(後述する変動用コマンド、種別コマンド、確定停止コマンド、オープニングコマンド、エンディングコマンド、および保留コマンド等)に基づき、遊技回や開閉実行モード等において実行する演出の内容を決定する。そして、その決定した内容に対応した動作が行われるように、ランプ制御装置155を制御して電飾部33の発光制御を行うと共に、音声出力装置156を制御してスピーカ部34の音声制御を行う。・・・【0139】また、音声側MPU152は、表示制御装置93と電気的に接続されており、主制御装置91から受信したコマンドに基づいて決定した演出の内容を含む各種コマンドを表示制御装置93に送信する。・・・本実施形態の表示制御装置93は、音声ランプ制御装置92を介することなく主制御装置91からコマンド受信を行う構成とはなっておらず、主制御装置91との関係では音声ランプ制御装置92よりも通信方向の下流側に存在していると言える。」
(オ) 「【0638】(第8実施形態)本発明の第8実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1実施形態に対して、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留された際に入賞音(表示音)を発生するようにすると共に、表示されている保留図柄または実行図柄が遊技回中に別の図柄に変化音を伴って変化するようにしたものである。・・・続きを表示(全16行)【0639】まず、本実施形態の下側表示領域Dsについて説明する。本実施形態の下側表示領域Dsは、上記第6実施形態と同様に実行図柄表示エリアDs0が設けられており(図78参照)、実行図柄表示エリアDs0には、第1保留図柄表示エリアDs1に表示されていた保留図柄に対応すると共に、図柄表示装置80で表示されている変動表示に対応する実行図柄が表示される。なお、以下では、実行図柄表示エリアDs0および第1?第8保留図柄表示エリアDs1~Ds8をまとめて図柄表示エリアDsともいう。但し、図柄表示エリアDs※と示す場合には、※は0~8の数字のうちの該当する数字を示している。【0640】次に、本実施形態の第1~第8保留図柄表示エリアDs1~Ds8に表示される保留図柄および実行図柄表示エリアDs0に表示される実行図柄について説明する。本実施形態では、基本的には、保留図柄または実行図柄として「○」が表示され、リーチ結果が発生したり当たりが発生したりするかもしれない(当たり抽選に当選するかもしれない)と遊技者に察知させる(期待させる)保留図柄または実行図柄として、「◎」、または「●」が表示される。つまり、本実施形態では、第1~第8保留図柄表示エリアDs1~Ds8に表示され得る保留図柄と、実行図柄表示エリアDs0に表示され得る実行図柄は共通の図柄とされている。なお、以下では、保留図柄および実行図柄をまとめて図柄ともいい、「○」を非報知図柄ともいい、「◎」および「●」をまとめて報知図柄ともいう。但し、保留図柄と実行図柄とを明確に区別する場合には、「○」を保留非報知図柄または実行非報知図柄ともいい、「◎」および「●」を保留報知図柄または実行報知図柄ともいう。また、以下では、「○」、「◎」、「●」の図柄の順に遊技者が当たり期待度が高いと認識する例について説明する。【0641】そして、本実施形態では、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留されると入賞音が出力される。具体的には、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留されると、基本的には保留図柄が保留図柄表示エリアDs※に表示されるため、表示される保留図柄に対応した入賞音が出力される。詳述すると、図89に示されるように、保留図柄として保留非報知図柄「○」が保留図柄表示エリアDs※に表示される場合には「チャリン」という入賞音が出力され、保留図柄として保留報知図柄「◎」が保留図柄表示エリアDs※に表示される場合には「チャリリン」という入賞音が出力され、保留図柄として保留報知図柄「●」が保留図柄表示エリアDs※に表示される場合には「チャリリリン」という入賞音が出力される。つまり、本実施形態では、各保留図柄に対応する入賞音は、それぞれ異なっているが、一部の音(リの音)が共通とされることで互いに類似する音声とされている。そして、遊技者に当たり期待度が高いと認識させる図柄の順に、共通の音(リの音)が増えていく構成とされている。なお、図89は、後述する変化音にも対応しているため、図中では効果音と示してある。【0642】また、具体的には後述するが、本実施形態では、リーチ演出としてのスーパーリーチ演出が搭載されており、図柄表示装置80でスーパーリーチ演出が表示されている際は、基本的には、図柄表示装置80に第1~第8保留図柄表示エリアDs1~Ds8を表示しない構成とされているため、この状態で遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留された場合には、入賞したことを遊技者に報知するための「チャリン」という入賞音(保留非報知図柄「○」が表示される場合と同じ入賞音)が出力される。【0643】さらに、本実施形態では、保留図柄が第1~第8保留図柄表示エリアDs1~Ds8に表示された後、または実行図柄が実行図柄表示エリアDs0に表示された後であっても、表示されている図柄が変化することがあるようにしている。例えば、保留図柄表示エリアDs※に保留非報知図柄「○」が表示されている場合には、当該保留非報知図柄「○」が保留報知図柄「◎」または「●」に変化することがあるようにしている。また、実行図柄表示エリアDs0に実行非報知図柄「○」が表示されている場合は、当該実行非報知図柄「○」が実行報知図柄「◎」または「●」に変化することがあるようにしている。【0644】そして、非報知図柄が報知図柄に変化する場合には、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞することを契機として保留図柄が表示される場合(入賞音)と同様の変化音が出力される。具体的には、非報知図柄「○」が報知図柄「◎」に変化する場合には、「チャリリン」という変化音を伴って変化し、非報知図柄「○」が「●」に変化する場合には、「チャリリリン」という変化音を伴って変化する(図89参照)。つまり、本実施形態では、図柄に対する入賞音および変化音を共通にし、後述する音声側ROM153に設けられた音声データ記憶エリア153kの記憶容量の削減を図ることができるようにしている。・・・」
(カ) 「【0673】・・・すなわち、スーパーリーチは、通常、今回の遊技回が当たり結果であるか否かを遊技者に報知する(察知させる)最も重要な当否演出表示と、当該当否演出表示への導入のための導入演出表示、各演出を繋ぐ繋ぎ演出表示、当否演出表示が終了した後に図柄が停止表示される停止演出表示等が組み合わされて構成され、各演出表示が所定の順序によって図柄表示装置80に表示される。そして、通常、当否演出表示が表示されている際には、遊技者は、その他の導入演出表示、繋ぎ演出表示、停止演出表示より高い関心を持って遊技に注目する。また、当否演出表示が表示されている際には、その他の導入演出表示、繋ぎ演出表示、停止演出表示より遊技者を遊技に注目させるために、これらの演出表示中より大きな音声が出力される。・・・但し、ここでの当否演出表示とは、3つの同じ特別図柄が表示されることによって遊技者に当たり結果であることを報知する場合(図104参照)、または3つの特別特別図柄のうちの少なくとも1つが異なることによって遊技者に外れ結果であることを報知する場合(図104参照)に加えて、例えば、特別なキャラクタ図柄を表示する(いわゆるプレミア演出を遊技者に表示する)ことによって遊技者が当たり結果であると判定可能な状態も含むものである。」
(キ) 「【0792】(第12実施形態)本発明の第12実施形態について説明する。本実施形態は、上記第8実施形態に対して、スーパーリーチ中に第1始動口54または第2始動口55に遊技球が入賞した際(保留図柄が表示される際)には、入賞音を出力しないようにしたものである。・・・【0803】すなわち、本実施形態では、スーパーリーチ中では保留報知抽選処理を行わず(図113、S2221:NO)、かつ遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留されても入賞したことに起因する入賞音が出力されないようにしている。このため、遊技者は、例えば、実行報知図柄表示エリアDs※に実行非報知図柄が表示されている場合には、スーパーリーチ中に入賞音が発生することにより、実行非報知図柄が実行図柄に変化したと誤認することを抑制できる。【0804】(第12実施形態の変形例)上記第12実施形態の変形例について説明する。上記第12実施形態において、スーパーリーチ中である場合には(S2221:YES)、スーパーリーチ中のどの演出表示が表示されているかによって入賞音の出力の有無を変化させてもよい。具体的には、スーパーリーチ中では、当否演出表示の際、遊技者が高い関心を持って遊技に注目するため、当否演出表示が表示されている場合には入賞音を出力しないようにし、他の導入演出表示等が表示されている場合には入賞音を出力するようにしてもよい。これによれば、スーパーリーチ中において、遊技者が最も遊技に注目する当否演出表示では入賞音が発生しないため、遊技者が入賞音を煩わしいと感じることを抑制しつつ、入賞音によって遊技状態(保留図柄または実行図柄の状態)を誤認することを抑制できる。」
(ク) 上記(ア)~(キ)から、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2記載の事項」という。)が記載されている。
「音声によって当たり中である旨、或いはリーチ中である旨を報知するスピーカ部34と(【0029】)、第1始動口54への入賞を契機とする第1遊技抽選の判定結果を示す第1特別図柄、及び、第2始動口55への入賞を契機とする第2抽選遊技の判定結果を示す第2特別図柄を表示する上側の上側表示領域Dmと、保留図柄(第1抽選遊技および第2抽選遊技の保留)を表示する下側表示領域Dsとを有する図柄表示装置80と(【0059】)、実行する演出の内容を決定し、その決定した内容に対応した動作が行われるように、音声出力装置156を制御してスピーカ部34の音声制御を行い、図柄表示装置80の表示画面80aの表示内容を制御する表示制御装置93と電気的に接続され、決定した演出の内容を含む各種コマンドを表示制御装置93に送信する音声側MPU152とを備え(【0060】、【0137】、【0138】)、下側表示領域Dsには、8つの小領域の第1~第8保留図柄表示エリアDs1~Ds8と実行図柄表示エリアDs0が設けられ(【0069】、【0639】)、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留されると、保留図柄が第1~第8保留図柄表示エリアDs1~Ds8のいずれかに表示され、表示される保留図柄に対応した入賞音が出力され、保留図柄として保留非報知図柄「○」が第1~第8保留図柄表示エリアDs1~Ds8のいずれかに表示される場合には「チャリン」という入賞音が出力され、保留図柄として保留報知図柄「◎」が第1~第8保留図柄表示エリアDs1~Ds8のいずれかに表示される場合には「チャリリン」という入賞音が出力され、保留図柄として保留報知図柄「●」が保留図柄表示エリアに表示される場合には「チャリリリン」という入賞音が出力され(【0639】、【0641】)、さらに、保留図柄が第1~第8保留図柄表示エリアDs1~Ds8に表示された後、または実行図柄が実行図柄表示エリアDs0に表示された後であっても、表示されている図柄が変化することがあるようにし、非報知図柄「○」が報知図柄「◎」に変化する場合には、「チャリリン」という変化音を伴って変化し、非報知図柄「○」が「●」に変化する場合には、「チャリリリン」という変化音を伴って変化し(【0643】、【0644】)、スーパーリーチが、今回の遊技回が当たり結果であるか否かを遊技者に報知する当否演出表示と、当該当否演出表示への導入のための導入演出表示、各演出を繋ぐ繋ぎ演出表示、当否演出表示が終了した後に図柄が停止表示される停止演出表示等が組み合わされて構成され、当否演出表示が表示されている際には、その他の導入演出表示、繋ぎ演出表示、停止演出表示より遊技者を遊技に注目させるために、これらの演出表示中より大きな音声が出力され(【0673】)、スーパーリーチ中では、当否演出表示の際、遊技者が高い関心を持って遊技に注目するため、当否演出表示が表示されている場合には入賞音を出力しないようにし、遊技者が入賞音を煩わしいと感じることを抑制しつつ、入賞音によって遊技状態(保留図柄または実行図柄の状態)を誤認することを抑制できる(【0804】)、パチンコ遊技機10(【0014】)。」
(3) 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出しは(a)~(e)、(g)とし、本願補正発明の分説に対応させている。
(a) 引用発明の「スピーカ28a、28b」は、本願補正発明の特定事項Aの「音出力手段」に相当する。
また、引用発明の「スピーカ28a、28b」は、「各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板90」に「接続され」た「アンプ基板92」によって「駆動」されるものであって、出力する音には演出音が含まれていることは明らかであるから、引用発明は、本願補正発明の特定事項Aの「演出音を出力する」ことに相当する構成を備えている。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Aを備える。
(b) 引用発明の「第1始動口36」は、「遊技球の入球を検知する第1始動口スイッチ36aを有する」ものであり、遊技球が進入可能であることが明らかであるから、本願補正発明の特定事項Bの「遊技球が進入可能な特定領域」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Bを備える。
(c)
ア 引用発明の「第1演出表示装置34」は、本願補正発明の「表示装置」に相当し、
引用発明の「演出図柄34L、34M、34R」は、本願補正発明の「識別図柄」に相当し、
引用発明の「演出図柄34L、34M、34R」が「停止表示され」たときに「左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致しなかったときにはリーチなしの単純な外れとなり、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致したときにはリーチとなり、所定のリーチ演出を伴って中の演出図柄34Mが停止したときに、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致しなかったときにはリーチありの外れとなり、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致したときに大当りとなる」ことは、本願補正発明の「識別図柄」が「当否判定結果を示す態様で停止する」ことに相当する。
そして、引用発明の「演出図柄34L、34M、34R」の「変動表示」は、「変動表示が開始されると、それぞれ高速で点滅するように変動表示され、変動表示の実行時間(変動時間)が経過すると、左の演出図柄34L、右の演出図柄34R、中の演出図柄34Mの順に停止表示され」、当該「停止表示」が上記のとおり「外れ」又は「大当り」の当否判定結果を示すものであるから、本願補正発明の「報知演出」に相当し、
引用発明の「変動演出音」を「変動演出表示に合わせて出力」することは、本願補正発明の「報知演出の内容に応じた演出音」を「出力」することに相当する。
イ 引用発明の「変動演出表示に合わせて出力されていた変動演出音が有音から無音となる変動演出音変化演出」は、本願補正発明の「前記演出音の出力が停止される無音演出」に相当し、
引用発明の「変動演出表示(演出図柄の変動表示)中に第1始動口36に遊技球が入球して、」「特定リーチ保留が発生すると、」「変動演出音が有音から無音となる変動演出音変化演出が実行され」ることは、本願補正発明の「前記特定領域に遊技球が進入することを契機として、」「無音演出を実行する」ことに相当する。
ウ 引用発明の「遊技の進行に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板90」は、上記「変動演出音が有音から無音となる変動演出音変化演出」の制御も司るから、本願補正発明の「無音演出実行手段」に相当する。
エ 上記ア~ウより、引用発明は、本願補正発明の特定事項Cを備える。
(d) 上記(c)アを踏まえると、引用発明の「演出図柄34L、34M、34R」の「変動表示」において、「左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致したときにはリーチとなり、所定のリーチ演出を伴って中の演出図柄34Mが停止」することは、本願補正発明の「前記報知演出を構成するものとして、」「リーチ演出を実行する」ことに相当する。
引用発明の「遊技の進行に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板90」は、上記「リーチ演出」の制御も司るから、本願補正発明の「リーチ演出実行手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Dと「前記報知演出を構成するものとして、リーチ演出を実行するリーチ演出実行手段」を備える点で共通する。
(e) 引用発明の「特定リーチ保留が発生」した時点は、本願補正発明の「前記特定領域に遊技球が進入した時点」に相当し、
引用発明の「変動演出音変化演出」において「有音から無音となる」対象である「変動表示に合わせて出力されていた変動演出音」は、本願補正発明の「無音演出」の「対象音」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Eと「前記無音演出は、前記特定領域に遊技球が進入した時点で前記演出音として対象音が出力されているときには発生する」点で共通する。
(g) 引用発明の「パチンコ機10」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Gを備える。
以上のことから、本願補正発明と引用発明は、
「A 演出音を出力する音出力手段と、B 遊技球が進入可能な特定領域と、C 表示装置に表示される識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出の内容に応じた演出音が出力されている状態で、前記特定領域に遊技球が進入することを契機として、前記演出音の出力が停止される無音演出を実行する無音演出実行手段と、D′前記報知演出を構成するものとして、リーチ演出を実行するリーチ演出実行手段と、を備えたE′前記無音演出は、前記特定領域に遊技球が進入した時点で前記演出音として対象音が出力されているときには発生するG 遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1] 特定事項D
リーチ演出が、
本願補正発明では、「所定のリーチ用音が出力される」ものであるのに対し、
引用発明では、所定のリーチ用音が出力されるものかどうか不明である点。
[相違点2] 特定事項E、F
無音演出が、
本願補正発明では、「前記特定領域に遊技球が進入した時点で前記演出音として」「非対象音が出力されているときは発生することがないように設定されており、前記リーチ用音は前記非対象音である」のに対し、
引用発明では、特定リーチ保留が発生したときに開始され、当該保留についての変動表示がリーチに発展したときに当該演出が終了するように設定されている点。
(4) 判断
事案に鑑みて相違点2について検討する。
ア 引用発明は、変動演出音変化演出(前記(3)(c)イより、本願補正発明の「無音演出」に相当)を開始する契機となった特定リーチ保留に基づく変動表示がリーチに発展して実行されるリーチ演出の演出音を、当該変動演出音変化演出の非対象音としたものであって、本願補正発明の「無音演出」のように「特定領域に遊技球が進入した時点で」出力されている「演出音」を「非対象音」とするものではない。
ところで、令和3年9月8日付けで通知された拒絶理由では、引用発明の大当り遊技演出音変化演出への言及があった。しかしながら、当該大当り遊技演出音変化演出も、演出音の出力を停止する演出ではあるが、本願補正発明の「無音演出」のように「特定領域に遊技球が進入した時点で」出力されている「演出音」を「非対象音」とするものではない。
イ 引用文献2記載の事項において、出力が停止される対象である「入賞音」は、入賞に基づいて出力される演出音であって、入賞したときに出力されている演出音ではないから、特定領域に遊技球が進入したときに出力されている演出音ではない。そうすると、引用文献2記載の事項は、演出音の出力を停止する演出が「特定領域に遊技球が進入した時点で」「演出音として対象音が出力されているときには発生する」という構成をそもそも備えていない。このため、引用文献2記載の事項は、演出音の出力を停止する当該演出が「前記特定領域に遊技球が進入した時点で前記演出音として」「非対象音が出力されているときは発生することがないように設定され」るという構成も備えていない。
ウ 上記ア、イより、引用発明、引用文献2記載の事項のいずれも、演出音の出力を停止する演出が「特定領域に遊技球が進入した時点で」「非対象音が出力されているときは発生することがないように設定されており、」「リーチ用音は前記非対象音である」という構成を備えていない。そればかりでなく、リーチ用音に限定せずその他の演出音に関してみても、引用発明、引用文献2記載の事項のいずれも、「特定領域に遊技球が進入した時点で」「非対象音が出力されているときは発生することがないように設定されて」いるという構成を備えていない。そうすると、引用発明の変動演出音変化演出に関する設定に、引用発明又は引用文献2記載の事項に基いて何らかの変更をしたとしても、本願補正発明の「非対象音が出力されているときは発生することがないように設定されており、」「リーチ用音は前記非対象音である」という構成を備えたものに至ることができない。
エ 上記ア~ウより、本願補正発明の上記相違点2に係る構成は、引用発明に引用文献2記載の事項を適用することにより当業者が容易になし得たものとは認められない。
よって、本願補正発明は、上記相違点1について検討するまでもなく、当業者が引用発明及び引用文献2記載の事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。
(5) まとめ
以上のことから、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定によって、特許出願の際独立して特許を受けることができないものではなく、他に特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由もない。
よって、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項(独立特許要件)に適合する。
(6) むすび
以上のとおりであるので、令和4年2月15日付け補正の却下の決定を取り消す。
第3 本願発明について
1 本願発明
以上のとおり、令和4年2月15日付け補正の却下の決定は取り消されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本願補正発明であって、上記第2[理由]2の「(補正後:本件補正)」の【請求項1】に記載したとおりのものである。
2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
理由1(新規性)
この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され、又は、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2(進歩性)
この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され、又は、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2016-214544号公報
3 引用文献1の記載事項、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、前記第2の4(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
(1) 理由1について
本願発明は、前記第2[理由]4で検討したとおり、引用発明との間に相違点1、2が存在し、引用発明と同一ではない。
したがって、本願は、原査定の拒絶の理由における理由1によって拒絶すべきものとすることはできない。
(2) 理由2について
前記(1)で述べたとおり、本願発明と引用発明は、相違点1、2で相違する。
そして、本願発明の少なくとも相違点2に係る構成は、前記第2の4(4)で説示したとおり、引用発明及び引用文献2に記載の事項から当業者が容易に想到できたものとはいえない。また、当該構成は、本願出願時に周知の技術的事項ともいえない。
したがって、その余の相違点を検討するまでもなく、本願は、原査定の拒絶の理由における理由2によって拒絶すべきものとすることはできない。
4 まとめ
以上のことから、本願について、原査定の拒絶の理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることができない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-007030