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特許拒絶査定不服審判

2022-005487

遊技機

審判番号
2022-005487
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-186042外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年04月12日
審決日
2022年11月22日
公報発行日
2023年02月24日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-186042「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 4月18日出願公開、特開2019- 58409〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 13項目
理 由

第1 手続の経緯

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本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成29年9月27日の出願であって、令和3年7月28日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月24日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月6日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月3日に意見書及び手続補正書が提出され、令和4年1月11日付け(謄本送達日:同月18日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年4月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明は、令和3年12月3日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである(なお、記号A~Iは、分説するため合議体が付した。記号A等が付された事項を以下「特定事項A」等という。)。

「A 第一遊技領域および第二遊技領域を含む遊技領域が構築された遊技盤と、
B 遊技者に対して前記第一遊技領域に遊技球が進入するような遊技を促す第一遊技状態、および遊技者に対して前記第二遊技領域に遊技球が進入するような遊技を促す第二遊技状態を含む遊技状態を制御する遊技状態制御手段と、
C 遊技者に対し、遊技状態に応じた遊技を行うよう報知する遊技態様報知手段と、
D 前記第一遊技領域に進入した遊技球が入賞可能な第一始動入賞口と、
E 前記第二遊技領域に進入した遊技球が入賞可能な第二始動入賞口と、
F 当否判定手段による当否判定に用いられる情報であって、前記第一始動入賞口に遊技球が入賞することを契機として取得される第一当否判定情報、および前記第二始動入賞口に遊技球が入賞することを契機として取得される第二当否判定情報を所定数記憶する記憶手段と、
を備え、
G 前記遊技状態制御手段によって遊技状態が前記第二遊技状態から前記第一遊技状態に変化したとき、当該変化が発生した後の一定時間である特定期間が経過するまでは、どのような状況にあっても前記遊技態様報知手段による報知が行われないように設定されており、
H 前記特定期間が終了した期間終了時点で、前記第二当否判定情報に基づく全ての当否判定結果の報知が完了している場合には、当該期間終了時点の到達を契機として前記遊技態様報知手段による報知が行われる一方、
I 前記期間終了時点で、前記第二当否判定情報に基づく全ての当否判定結果の報知が完了していない場合には、当該報知が完了するまで、前記遊技態様報知手段による報知が行われないように設定されていることを特徴とする遊技機。」

第3 原査定の拒絶の理由の概要

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

・請求項1

・引用文献等1~2

<引用文献等一覧>

1.特開2011-45422号公報

2.特開2017-127376号公報

第4 引用例の記載及び引用発明

1 引用例1

原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-45422号公報(平成23年3月10日公開)(以下「引用例1」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。

(1)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、遊技状態に応じて右打ちや左打ちを促す報知を行う場合、盤面左側の遊技領域に第1の始動口が配置され、盤面右側の遊技領域に特定の遊技状態で開放し易くなる可動片を有する第2の始動口が配置され、該可動片が開放したときに第2の始動口に入球可能となる遊技機においては十分な報知ができないという問題がある。
【0007】
続きを表示(全15行)
すなわち、遊技状態に応じて報知を行う場合、遊技状態がいわゆる時短遊技状態であるときは前記可動片が開放し易いため第1の始動口よりも入球容易となっている第2の始動口付近に遊技球を打ち出すために右打ちを促す報知を行い、時短遊技状態が終了し通常遊技状態となったときには、入球困難となった第2の始動口付近への遊技球の打ち出しを終了して第1の始動口付近へ遊技球を打ち出すために左打ちを促す報知を行う。
【0008】
しかし、時短遊技が終了したのちも前記可動片が開放した状態である場合があり、そのような場合においても左打ちの報知を行うと、遊技者は、第2の始動口に入球させることが容易な状況であるにもかかわらず左打ちを行ってしまい第2の始動口への入球の機会を逸してしまうことになってしまう。
【0009】
そこで、遊技領域が複数の領域に分かれるように形成されたとしても、適切にどの遊技領域に遊技球を打ち出せばよいのかを促すことができる遊技機の提供が望まれている。
【0010】
本発明の目的は、遊技領域が複数の領域から構成された遊技機であって、遊技者に対して適切なタイミングで適切な領域に遊技球を打ち出すことを促すことが可能な遊技機を提供することである。
・・・略・・・
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、遊技領域が複数の領域に分けて形成されていたとしても、シンプルな制御によって、適切なタイミングで適切な領域に遊技球を打ち出すことができるように報知することができ、より遊技の興趣を向上させることができる。」
(2)「【0024】
遊技機1は、遊技球が流下する遊技領域6が形成された遊技盤2を設けており、遊技盤2の遊技領域6の外周部分には、ガラス枠110が備えられている。このガラス枠110には操作ハンドル3が回動可能に設けられている。また、遊技領域6は、遊技盤正面視左側に遊技球が進入する左打ち遊技領域6aと、遊技盤正面視右側に遊技球が進入する右打ち遊技領域6bとによって形成されている。さらに、左打ち遊技領域6aは左打ち進入路6cを有し、右打ち遊技領域6bは右打ち進入路6dを有している。後述する操作ハンドル3の回動操作によって発射された遊技球は、左打ち進入路6cを経由して左打ち遊技領域6aを落下するか、右打ち進入路6dを経由して右打ち遊技領域6bを落下することになる。本実施形態では、左打ち遊技領域6aが第1の遊技領域を構成し、右打ち遊技領域6bが第2の遊技領域を構成する。
・・・略・・・
【0028】
また、上記左打ち遊技領域6aの下部位置には、上記一般入賞口7と同様に、遊技球が入球可能な第1始動口9が設けられている。また、上記右打ち遊技領域6bの下部位置には、第2始動口10が設けられている。第2始動口10は、一対の可動片10bを有しており、これら一対の可動片10bが閉状態に維持される第1の態様と、一対の可動片10bが開状態となる第2の態様とに可動制御される。なお、第2始動口10が上記第1の態様に制御されているときには、当該第2始動口10の真上に位置する障害物10dによって、遊技球の受入れを不可能または困難としている。一方で、第2始動口10が上記第2の態様に制御されているときには、上記一対の可動片10bが受け皿として機能し、第2始動口10への遊技球の入球が容易となる。つまり、第2始動口10は、第1の態様にあるときには遊技球の入球機会がほとんどなく、第2の態様にあるときには遊技球の入球機会が増すこととなる。」
(3)「【0037】
また、後述するように、所定の場合に、遊技者に対して左打ち遊技領域6aに向けて遊技球を発射することを促す左打ち報知画像60(図33(a)参照)や、右打ち遊技領域6bに向けて遊技球を発射すること促す右打ち報知画像61(図33(b)参照)が表示される。本実施形態では、左打ち報知画像60を表示する液晶表示装置13が報知手段を構成するが、所定の態様の照明、音声および警告音などを用いて、演出用照明装置16や音声出力装置18を報知手段としてもよい。」
(4)「【図33】
[図:0001393863000001.jpg]
」
(5)「【0045】
さらに、特別図柄の変動表示中や後述する特別遊技中等、第1始動口9または第2始動口10に遊技球が入球して、即座に大当たりの抽選が行えない場合には、一定の条件のもとで大当たりの抽選の権利が留保される。より詳細には、第1始動口9に遊技球が入球して留保される大当たりの抽選の権利は第1保留として留保され、第2始動口10に遊技球が入球して留保される大当たりの抽選の権利は第2保留として留保される。
【0046】
これら両保留は、それぞれ上限留保個数を4個に設定し、その留保個数は、それぞれ第1特別図柄保留表示器22と第2特別図柄保留表示器23とに表示される。なお、第1保留が1つの場合には、第1特別図柄保留表示器22の左側のLEDが点灯し、第1保留が2つの場合には、第1特別図柄保留表示器22の2つのLEDが点灯する。また、第1保留が3つの場合には、第1特別図柄保留表示器22の左側のLEDが点滅するとともに右側のLEDが点灯し、第1保留が4つの場合には、第1特別図柄保留表示器22の2つのLEDが点滅する。また、第2特別図柄保留表示器23においても、上記と同様に第2保留の留保個数が表示される。」
(6)「【0106】
図9は、後述するように特別図柄の変動パターンを決定する変動パターン決定テーブルを示す図である。
【0107】
具体的には、変動パターン決定テーブルによって、大当たりの判定結果、停止する特別図柄、時短遊技状態の有無、特別図柄保留数、リーチ判定用乱数値および変動パターン用乱数値に基づき、変動パターンが決定される。そして、決定した変動パターンに基づいて、特別図柄の変動時間が決定されるとともに、演出制御基板102に特別図柄の情報を送信する変動パターン指定コマンドが生成される。したがって、「変動パターン」とは、少なくとも大当たりの判定結果および特別図柄の変動時間を定めるものといえる。また、大当たりまたは小当たりのときには、必ずリーチを行うように構成しているため、大当たりまたは小当たりのときにはリーチ判定用乱数値を参照しないように構成されている。なお、リーチ判定用乱数値および変動パターン用乱数値は、乱数範囲が100個(0~99)に設定されている。
【0108】
また、この図9に示す変動パターン決定テーブルの特徴として、大当たりの判定結果がハズレの場合に遊技状態が時短遊技状態であるときには、特別図柄の変動時間が短くなるように設定されている。例えば、大当たりの判定結果がハズレの場合に保留球数が2のときには、時短遊技状態であればリーチ判定用乱数値に基づいて95%の確率で変動時間が3000msの変動パターン9(短縮変動)が決定されるが、非時短遊技状態であれば変動時間が3000msを超える変動パターンが決定される。このように、時短遊技状態になると変動時間が短くなるように設定されている。」
(7)「【図9】
[図:0001393863000002.jpg]
」
(8)「【0114】
(遊技状態の説明)
次に、遊技が進行する際の遊技状態について説明する。本実施形態においては、「低確率遊技状態」「高確率遊技状態」「時短遊技状態」「非時短遊技状態」のいずれかの遊技状態にて遊技が進行する。ただし、遊技の進行中において、遊技状態が「低確率遊技状態」または「高確率遊技状態」である場合には、必ず「時短遊技状態」または「非時短遊技状態」となっている。つまり、「低確率遊技状態」であって、かつ「時短遊技状態」である場合と、「低確率遊技状態」であって、かつ「非時短遊技状態」である場合とが存在することとなる。なお、遊技を開始したときの遊技状態、すなわち遊技機1の初期の遊技状態は、「低確率遊技状態」であって「非時短遊技状態」に設定されており、この遊技状態を本実施形態においては「通常遊技状態」と称することとする。
【0115】
続きを表示(全17行)
本実施形態において「低確率遊技状態」というのは、第1始動口9または第2始動口10に遊技球が入球したことを条件として行われる大当たりの抽選において、大当たりの当選確率が1/299.5に設定された遊技状態をいう。ここでいう大当たりの当選とは、後述する「長当たり遊技」または「短当たり遊技」を実行する権利を獲得することである。
【0116】
これに対して「高確率遊技状態」というのは、上記大当たりの当選確率が1/29.9に設定された遊技状態をいう。したがって、「高確率遊技状態」では、「低確率遊技状態」よりも、「長当たり遊技」または「短当たり遊技」を実行する権利の獲得が容易となる。
【0117】
本実施形態において「非時短遊技状態」というのは、普通図柄ゲート8を遊技球が通過したことを条件として行われる普通図柄の抽選において、その抽選に要する時間が29秒と長く設定され、かつ、上述したように、当たりに当選した際の第2始動口10の開放制御時間が0.2秒と短く設定された遊技状態をいう。つまり、普通図柄ゲート8を遊技球が通過すると、普通図柄の抽選が行われるが、その抽選結果は、当該抽選が開始されてから29秒後に確定する。そして、抽選結果が当たりであった場合には、その後、第2始動口10が約0.2秒間、第2の態様に制御される。
【0118】
これに対して「時短遊技状態」というのは、上記普通図柄の抽選に要する時間が3秒と、「非時短遊技状態」よりも短く設定され、かつ、当たりに当選した際の第2始動口10の開放制御時間が3.5秒と、「非時短遊技状態」よりも長く設定された遊技状態をいう。さらに、「非時短遊技状態」においては普通図柄の抽選において当たりに当選する確率が1/11に設定され、「時短遊技状態」においては普通図柄の抽選において当たりに当選する確率が10/11に設定さる。
【0119】
したがって、「時短遊技状態」においては、「非時短遊技状態」よりも、普通図柄ゲート8を遊技球が通過した場合、第2始動口10が第2の態様に制御されやすくなるため、「時短遊技状態」では、普通図柄ゲート8と第2始動口10が設けられた右打ち遊技領域6bに遊技球を打ち出すことにより、遊技者は遊技球を消費せずに遊技を進行することが可能になり、また、大当たり抽選を行う機会も多くなる。
【0120】
これに対し、「非時短遊技状態」においては、たとえ普通図柄ゲート8を遊技球が通過したとしても、第2始動口10が第2の態様に制御される割合や時間は少ないため、第2始動口10に遊技球が入球することは困難である。そのため、右打ち遊技領域6bに遊技球を打ち出すよりも第1始動口9が設けられた左打ち遊技領域6aに遊技球を打ち出す方が大当たり抽選の機会を得る確率は高くなる。ただし、「時短遊技状態」における第2始動口10の開放制御時間は3.5秒となっているため、「非時短遊技状態」においても、「時短遊技状態」が終了した直後は、第2始動口10の開放が継続している場合があり、このときに左打ち遊技領域6aに遊技球を打ち出してしまうと、第2始動口10への入球機会を自ら放棄してしまうことになるので適切ではない。
【0121】
なお、普通図柄の抽選において当たりに当選する確率を「非時短遊技状態」および「時短遊技状態」のいずれの遊技状態であっても変わらないように設定してもよい。」
(9)「【0155】
図14を用いて、主制御基板101の報知指定コマンドセット処理を説明する。
【0156】
まず、ステップ120-1において、メインCPU101aは、報知待機中であるか否かを判定する。すなわち、報知待機フラグ記憶領域に記憶された報知待機フラグがオンされているか否かを判定し、報知待機フラグがオンされていれば報知待機中であると判定する。なお、報知待機フラグは、時短遊技状態が終了したときに後述する左打ち報知タイマカウンタをセットするときにセットされ、後述するステップS311-5またはステップS330-6の処理においてオンにセットされる。また、報知待機中である場合とは、時短遊技状態が終了したが、まだ左打ちを促す報知がなされていない場合である。そして、報知待機中であると判定した場合にはステップS120-1に処理を移し、報知待機中ではないと判定した場合には、報知指定コマンドセット処理を終了する。
続きを表示(全12行)
【0157】
ステップS120-2において、メインCPU101aは、報知待機時間が経過したか否かを判定する。すなわち、左打ち報知タイマカウンタ=0であるか否かを判定し、左打ち報知タイマカウンタ=0であれば、報知待機時間が経過したと判定する。報知待機時間がしたとは、時短遊技状態が終了して、所定の時間が経過したことを意味する。また、当該所定の時間とは、時短遊技状態中における第2始動口の開放時間(図10参照)と同じ長さの時間となっている。そして、報知待機時間が経過したと判定した場合にはステップS120-3に処理を移し、報知待機時間が経過していないと判定した場合には報知指定コマンドセット処理を終了する。
【0158】
ステップS120-3において、メインCPU101aは、上記ステップS120-2において報知待機時間が経過したと判定された場合は、演出制御基板102に送信する制御コマンドとして、データ「01」を含む報知指定コマンドを生成して演出用伝送データ格納領域にセットする。報知指定コマンドは、液晶表示装置13において、図33に示すような左打ち報知画像60や右打ち報知画像61を表示させるときにセットされるコマンドであり、データ「01」は、左打ち報知画像60の表示を行う場合にセットされる。これにより、時短遊技状態が終了し、所定時間が経過したときに、液晶表示装置13に左打ちを促す報知画像60が表示される。
【0159】
ステップS120-4において、メインCPU101aは、報知待機フラグ記憶領域に記憶されている報知待機フラグをオフにする処理を行う。これにより、報知待機中が解除される。この処理が終了した場合、報知指定コマンドセット処理を終了する。
【0160】
このように、時短遊技状態が終了し、時短遊技状態中における第2始動口の開放時間と同じ3.5秒が経過してから、液晶表示装置13に左打ちを促す報知画像60が表示されるので、報知画像60が表示されるときには、既に第2始動口が第2の態様から第1の態様へと移行されている。そのため、遊技者は、時短遊技状態が終了してからすぐに左打ちを行うことによりまだ開放されている第2始動口への入球機会を逸してしまうということはなく、確実に第2始動口への入球機会を消化してから左打ちへと切り替えることができる。」
(10)「【図14】
[図:0001393863000003.jpg]
」
(11)「【0304】
さらにメインCPU101aは、時短遊技フラグ記憶領域に時短遊技フラグをセットした場合は、演出制御基板102に送信する制御コマンドとして、データ「02」を含む報知指定コマンドを生成して演出用伝送データ格納領域にセットする。これにより、当該セットされた報知指定コマンドを受信したサブCPU102aは、後述するステップS1605-3において、液晶表示装置13に右打ち報知画像61を表示させる処理を行う。」
(12)「【0319】
ステップS410-9において、メインCPU101aは、時短遊技フラグ記憶領域にフラグがONされているか否かを判定する。時短遊技フラグ記憶領域にフラグがONされている場合というのは、遊技状態が時短遊技状態にあるときであり、上記フラグがONされていない場合というのは、遊技状態が非時短遊技状態にあるときである。
【0320】
そして、メインCPU101aは、時短遊技フラグ記憶領域にフラグがONされていると判定した場合には、ステップS410-10において普通図柄時間カウンタに3秒に対応するカウンタをセットし、時短遊技フラグ記憶領域にフラグがONされていないと判定した場合には、ステップS410-11において普通図柄時間カウンタに29秒に対応するカウンタをセットする。このステップS410-10またはステップS410-11の処理によって、普通図柄の変動表示の時間が決定されることとなる。なお、普通図柄時間カウンタは、上記ステップS110において、4ms毎に減算処理される。」
(13)「【0377】
次に、図32を用いて、報知態様設定処理について説明する。
【0378】
まず、ステップS1605-1において、サブCPU102aは、受信した報知指定コマンドにデータ「01」が含まれるか否かを判定する。受信した報知指定コマンドにデータ「01」が含まれる場合は、ステップS1605-2に処理を移し、受信した報知指定コマンドにデータ「01」が含まれない場合は、ステップS1605-3に処理を移す。なお、報知指定コマンドには、データ「01」かデータ「02」のいずれかが含まれており、受信した報知指定コマンドにデータ「01」が含まれない場合とは、受信した報知指定コマンドにデータ「02」が含まれる場合である。
【0379】
ステップS1605-2において、サブCPU102aは、液晶表示装置13に左打ち報知画像60を表示させるための左打ち報知態様設定処理を行う。具体的には、サブCPU102aは、左打ち報知画像60に対応する報知画像表示データを報知画像表示記憶領域にセットし、かかる報知画像表示データを画像制御基板105とランプ制御基板104に送信するため、報知画像表示データの情報をサブRAM102bの送信バッファにセットする。
【0380】
これにより、図33(a)に示すように、液晶表示装置13に「左に打つべし!」と表示する左打ちを促す報知画像60が表示される。当該報知画像60は、時短遊技状態が終了し、さらに、第2始動領域10が第2の態様から第1の態様に移行された後に表示されるので、遊技者は、当該報知に従って遊技球を打ち出す方向を右打ち遊技領域6bから左打ち遊技領域6aに切り替えるだけで、第2始動領域10への入球機会を最大限に生かしつつ、無駄に右打ち遊技領域6bに遊技球を打ち出すということもなくなる。すなわち、報知に従うだけで適切なタイミングで適切な遊技領域に遊技球を打ち出すことが可能になるので、遊技者は、どのタイミングでどの遊技領域に遊技球を打ち出せばよいのか戸惑うことなく、安心して遊技を行うことができる。本処理を終了すると、報知態様設定処理が終了する。
【0381】
ステップS1605-3において、サブCPU102aは、液晶表示装置13に右打ち報知画像61を表示させるための右打ち報知態様設定処理を行う。具体的には、サブCPU102aは、右打ち報知画像61に対応する報知画像表示データを報知画像表示記憶領域にセットし、かかる報知画像表示データを画像制御基板105とランプ制御基板104に送信するため、報知画像表示データの情報をサブRAM102bの送信バッファにセットする。これにより、時短遊技または長当たり遊技を開始する際に、図33(b)に示すように、液晶表示装置13に「右に打つべし!」と表示する左打ち(審決注:「右打ち」の誤記。)を促す報知画像61が表示される。」

(14)「【0037】また、後述するように、所定の場合に、遊技者に対して左打ち遊技領域6aに向けて遊技球を発射することを促す左打ち報知画像60(図33(a)参照)や、右打ち遊技領域6bに向けて遊技球を発射すること促す右打ち報知画像61(図33(b)参照)が表示される。本実施形態では、左打ち報知画像60を表示する液晶表示装置13が報知手段を構成するが、・・・」、「【0119】・・・「時短遊技状態」では、普通図柄ゲート8と第2始動口10が設けられた右打ち遊技領域6bに遊技球を打ち出すことにより、遊技者は遊技球を消費せずに遊技を進行することが可能になり、また、大当たり抽選を行う機会も多くなる。【0120】これに対し、「非時短遊技状態」においては、・・・左打ち遊技領域6aに遊技球を打ち出す方が大当たり抽選の機会を得る確率は高くなる。」、「【0304】・・・メインCPU101aは、時短遊技フラグ記憶領域に時短遊技フラグをセットした場合は、・・・」及び「【0319】・・・メインCPU101aは、時短遊技フラグ記憶領域にフラグがONされているか否かを判定する。時短遊技フラグ記憶領域にフラグがONされている場合というのは、遊技状態が時短遊技状態にあるときであり、上記フラグがONされていない場合というのは、遊技状態が非時短遊技状態にあるときである。」との記載より、メインCPU101aが、遊技者に対して左打ち遊技領域6aに向けて遊技球を発射することを促す非時短遊技状態、および遊技者に対して右打ち遊技領域6bに向けて遊技球を発射することを促す時短遊技状態を含む遊技状態を制御すると認められる。

(15)上記(1)~(14)からみて、引用例1には、次の発明が記載されている。なお、a~iについては本願発明のA~Iに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「a 左打ち遊技領域6aと右打ち遊技領域6bとによって形成されている遊技領域6が形成された遊技盤2(【0024】)と、
b、c 遊技者に対して左打ち遊技領域6aに向けて遊技球を発射することを促す非時短遊技状態、および遊技者に対して右打ち遊技領域6bに向けて遊技球を発射することを促す時短遊技状態を含む遊技状態を制御するメインCPU101a(上記(14))と、
遊技者に対して左打ち遊技領域6aに向けて遊技球を発射することを促す左打ち報知画像60や、右打ち遊技領域6bに向けて遊技球を発射すること促す右打ち報知画像61を表示する液晶表示装置13(【0037】)と、
d 上記左打ち遊技領域6aの下部位置に設けられた第1始動口9(【0028】)と、
e 上記右打ち遊技領域6bの下部位置に設けられた第2始動口10(【0028】)と、
を備え、
f 第1始動口9に遊技球が入球して留保される大当たりの抽選の権利は第1保留として留保され、第2始動口10に遊技球が入球して留保される大当たりの抽選の権利は第2保留として留保され、両保留は、それぞれ上限留保個数を4個に設定され(【0045】、【0046】)、
g-i メインCPU101aは、時短遊技状態が終了したときに左打ち報知タイマカウンタをセットするときに報知待機フラグをセットし、報知待機フラグがオンされていれば報知待機中、すなわち、時短遊技状態が終了したが、まだ左打ちを促す報知がなされていない状態であり(【0156】)、
時短遊技状態が終了し、時短遊技状態中における第2始動口の開放時間と同じ3.5秒が経過してから、液晶表示装置13に左打ちを促す報知画像60が表示されるので、既に第2始動口が第2の態様から第1の態様へと移行されており、このため、遊技者は、時短遊技状態が終了してからすぐに左打ちを行うことによりまだ開放されている第2始動口への入球機会を逸してしまうということはない(【0160】)、
遊技機1(【0024】)。」(以下「引用発明」という。)

2 引用例2

原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-127376号公報(平成29年7月27日公開)(以下「引用例2」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(1)「【実施例1】
【0030】
図1乃至図3に示すように、実施例1のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えており、遊技盤2は遊技機枠50から着脱自在に構成されている。図3は、遊技盤2を遊技機枠50から取り外した状態のものを示す。遊技機枠50は、装飾面を有する前面枠51と、遊技盤2等を取り付ける本体枠52と、パチンコ遊技機1をホールの島設備に取り付けるための外枠53と、を有して構成されており、前面枠51、本体枠52及び外枠53は、一側端側で軸支され夫々開閉可能に構成されている。
・・・略・・・
【0032】
遊技盤2には、発射ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、装飾用の盤面ランプ5が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技釘16が突設されている。また、レール部材4の先端には球戻り防止片6が設けられており、一旦遊技領域へ誘導された遊技球が発射装置側へ戻るのを防止することができる。また、遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置からなる画像表示装置7が設けられている。画像表示装置7の表示画面7aには、演出図柄8L、8C、8R(単に「演出図柄8」ともいう)が表示される演出図柄表示領域7b(「演出図柄表示部」ともいう)が設けられており、当該演出図柄8L、8C、8Rは、後述の第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄の変動表示に同期して変動表示を行う。演出図柄表示領域7bは、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなり、左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。
・・・略・・・
【0043】
このように各種入球口等が配されている遊技領域3を、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bと、に分けることができる。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちといい、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本パチンコ遊技機1では、遊技開始の際は左打ちにて第1始動口20への入球を狙う。一方、第1始動口20への入球に基づく当否判定において当りとなり遊技状態が変化した際には、右打ちにてゲート28、第2始動口21、第1大入賞口30、及び第2大入賞口35への入球を狙うこととなる。そして、第1始動口、第2始動口、第1大入賞口、第2大入賞口、及び一般入球口に遊技球が入球した場合には、夫々の入球口において予め定められた数の遊技球(「賞球」ともいう)が払い出される。」
(2)「【0053】
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20又は第2始動口21への遊技球の入球があると、その入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう)を取得し、取得した各種情報は、主制御部のRAMに形成される特図保留記憶部(図示せず)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入球であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部(図示せず)に記憶され、第2始動口21への入球であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部(図示せず)に記憶される。各々の特図保留記憶部に記憶可能な特図保留の数には上限が設定されており、本実施例1における上限値は、第1特図保留記憶部が「4」、第2特図保留記憶部が「1」となっている。これら第1特図保留記憶部及び第2特図保留記憶部を、夫々「第1取得情報記憶手段」及び「第2取得情報記憶手段」ともいい、総じて「取得情報記憶手段」ともいう。尚、各々の特図保留記憶部に記憶可能な特図保留の数(上限値)は、遊技機設計の段階で遊技性や仕様等を考慮して任意に設定可能で、第1特図保留記憶部と第2特図保留記憶部とで上限値を同じとしたり、第1特図保留記憶部の上限値を第2特図保留記憶部の上限値よりも多くしたり、第2特図保留記憶部の上限値を第1特図保留記憶部の上限値よりも多くしたりすることが可能である。」
(3)「【0060】
次に図2及び図5に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。本実施例1のパチンコ遊技機1は、特別図柄当否判定や普通図柄当否判定や遊技状態の移行など、遊技進行や遊技利益に関する制御を行う主制御基板80(「主制御部」ともいい、「遊技制御部」ともいう)、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板90(「サブ制御部」ともいい、「演出制御部」ともいう)、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110(「払出制御部」ともいう)、画像表示装置7に表示される演出図柄8、演出表示器102に表示される図柄、演出第1特図保留表示器103a、及び演出第2特図保留表示器103b等の表示制御を行う画像制御基板100(画像制御部)等を備えている。」
(4)「【0087】
ここで、本実施例1のパチンコ機1の遊技仕様について簡単に説明しておく。本実施例1のパチンコ機1では、通常状態(非時短状態)にて遊技球が第2始動口21に入球する頻度は時短状態よりも低くなっていることから、通常状態(非時短状態)にて遊技を進める場合、左打ち(遊技領域の左側領域に遊技球を発射)にて第1始動口20への入球を狙うこととなる。つまり、特図1の当否判定を主体的に行いつつ遊技を進行させることとなる。そして、特図1の当否判定の結果が大当りとなり、その大当りが「特図1大当りA(4R時短大当り)」となれば、当該大当りに係る大当り遊技の終了後の遊技状態が時短状態となる。時短状態では、遊技球が第2始動口21に入球する頻度が通常状態よりも高くなる(且つ第2始動口への入球頻度が第1始動口への入球頻度よりも高くなる)ことから、時短状態にて遊技を進める場合、右打ち(遊技領域の右側領域に遊技球を発射)にて第2始動口21への入球を狙うこととなる。つまり、特図2の当否判定を主体的に行いつつ遊技を進行させることとなる。そして、特図2の当りには、特図1の当りでは発生し得ない「15R時短大当り」や「15R時短大当りを発生可能な小当り」が存在し、また、特図1の小当り(特図1小当りA,B)に係る小当り遊技でのV通過により発生する大当り(以下「V大当り」ともいう)は「4R非時短大当り」しか存在せず特図1のV大当りを経て時短状態が発生することはない。このことから、本実施例1のパチンコ機1では、第2始動口21に遊技球が入球して行われる特図2の当否判定において当りとなる方が遊技者にとって有利となる可能性が高い(時短状態の発生可能性が高い)といえる。よって、第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能の作動中(時短状態)においては、開放延長機能が作動しない通常状態(非時短状態)に比べ遊技を有利に進めることが可能となるので、遊技者は時短状態(右打ち)での遊技を期待することとなる。」
(5)「【0097】
普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放延長機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、第2始動口21が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球の入球頻度が高くなる(「高頻度状態」ともいう)。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当りを狙うことができる。
【0098】
高ベース状態(高頻度状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能及び開放回数増加機能のうち少なくとも一つの機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも第2始動口が開放され易く(入球頻度が高く)なっていればよい。また、高ベース状態は、特別図柄の時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。この様な高ベース状態を発生する機能を「高ベース発生機能」ということもできる。
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【0099】
本実施例1のパチンコ遊技機1では、「特図1大当りA、D」又は「特図2大当りA、B、D」となった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は時短状態且つ高ベース状態となる(図6参照)。この遊技状態を「時短高ベース状態」ともいう。時短高ベース状態は、所定回数(例えば100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、大当りに当選してその大当り遊技が実行されるか、小当りに当選してその小当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過してV大当りとなりその大当り遊技が実行されることにより終了する。また、「特図1大当りB、C」又は「特図2大当りC」となった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は非時短状態且つ低ベース状態となる(図6参照)。この遊技状態を「非時短低ベース状態」ともいう。尚、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の(初期状態の)遊技状態は非時短低ベース状態(通常状態)である。
【0100】
さらに、「特図2小当りA、B、D」となって小当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過してV大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は時短高ベース状態となり(図6参照)、「特図1小当りA、B」又は「特図2小当りC」となってその小当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過してV大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は非時短低ベース状態となる(図6参照)。尚、小当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過しなかった場合(V大当りとならなかった場合)、小当り遊技終了後の遊技状態は原則、小当り遊技開始前と同じ状態となる。但し、時短高ベース状態にて当該時短高ベース状態が終了することとなる最終回(本実施例では100回目)の特別図柄の変動表示で小当り図柄が停止表示され、これに係る小当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過しなかった場合(V大当りとならなかった場合)には、小当り遊技終了後の遊技状態は非時短低ベース状態となる。
【0101】
高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域(右側領域)3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。第2始動口は、右遊技領域に発射した遊技球が入球可能であって、左遊技領域に発射した遊技球が入球不能な位置に配置されている。尚、ゲート28も右遊技領域に発射した遊技球が入球可能な位置に配置されている。そして、高ベース状態では、低ベース状態と比べて第2始動口21が開放されやすくなっており、左遊技領域に遊技球を発射して第1始動口20を狙うよりも、右遊技領域に遊技球を発射して第2始動口21へ狙って発射する方が始動口への入球可能性が高くされている。そのため、普通図柄当否判定の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入球させるべく右打ちを行う。これにより高ベース状態では、左打ちをするよりも右打ちをする方が、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができ、遊技者に有利である。この状態(高ベース状態)のとき、主制御部80によって表示制御される発射方向表示器47(「第1発射報知手段」ともいう)が所定の態様で点灯制御され、右遊技領域へ発射すべきことを報知するものとされる。また、本実施例では、大当り遊技や小当り遊技においても、右打ちにより遊技を行うため、発射方向表示器47は、右遊技領域へ発射すべきことを報知するものとされる。
【0102】
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域(左側領域)3Aへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。第1始動口は、左遊技領域に発射した遊技球が入球可能な位置に配置されている。また、第1始動口へは右遊技領域に発射した遊技球が入球不能に配置しても良いし、入球可能に配置しても良い。入球可能に配置する場合には、左遊技領域に遊技球を発射した方が、右遊技領域に遊技球を発射するよりも、第1始動口への遊技球の入球可能性を高くするものとする。また、低ベース状態では、高ベース状態と比べて第2始動口21が開放されにくくなっているため、右遊技領域に発射して第2始動口21への入球を狙うよりも、左遊技領域に発射して第1始動口20への入球を狙って発射する方が、始動口への入球可能性が高くされている。これにより、低ベース状態では、第1始動口20へ遊技球を入球させるべく左打ちを行う方が、右打ちするよりも、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができ、遊技者に有利である。この状態(低ベース状態)のとき、主制御部80によって表示制御される発射方向表示器47が高ベース状態のときとは異なる所定の態様で点灯制御(表示制御)され、左遊技領域へ発射すべきことを報知するものとされる。」
(6)「【0230】
S4401では、始動入球コマンドを受信したか否かを判定し(S4401)、始動入球コマンドを受信したと判定した場合(S4401でYES)、入球時演出開始処理を行い(S4402)、S4403の処理に移行する。S4401で始動入球コマンドを受信していないと判定した場合(S4401でNO)、入球時演出開始処理を行うことなく、S4403の処理に移行する。この入球時演出開始処理は、始動口(第1始動口20又は第2始動口21)への入球があったことを示す始動入球コマンドを、主制御部から受信した際に実行する処理であり、本処理を行うことで、サブ制御部90が有する演出保留記憶部(第1演出保留記憶部104及び第2演出保留記憶部105)に未消化の演出保留情報を記憶したり、画像表示装置7の表示画面7aに表示される演出保留(第1演出保留9a及び第2演出保留9b)の表示制御(表示個数や演出保留の表示態様の変化に関する制御)を行ったり、始動口への入球時に主制御部で取得した取得情報に基づいて所謂先読み演出(「事前演出」ともいう)を行ったりする。
【0231】
尚、第1始動口20に遊技球が入球した場合には、当該第1始動口20への入球に基づいて取得した取得情報を示す情報が、主制御部80からサブ制御部90に送信され、サブ制御部90の第1演出保留記憶部104に未消化の演出保留情報(演出情報)として、加算して記憶される。尚、第1演出保留記憶部に記憶される保留演出情報(「第1演出保留」ともいう)の数の上限数は、第1特図保留記憶部に記憶される第1特図保留の数と同じ数(4個)とされ、その時々の記憶数も同じとされる。また、第2演出保留記憶部に記憶される保留演出情報(「第2演出保留」ともいう)の数の上限数は、第2特図保留記憶部に記憶される第2特図保留の数と同じ数(1個)とされ、その時々の記憶数も同じとされている。また、後述の変動開始コマンドを受信した場合には、それが第1特別図柄を示すものである場合には、対応する第1演出保留記憶部104に記憶される最も古い演出保留情報が削除される。第2始動口21に遊技球が入球した場合も同様である。」
(7)「【0266】
[大当り遊技終了後発射報知処理]
次に、図57を用いて、大当り遊技終了後発射報知処理(S4302)について説明する。大当り遊技終了後発射報知処理は、大当り遊技終了後の発射報知演出(発射方向報知)を制御するための処理である。大当り遊技終了後発射報知処理(S4302)ではまず、第2発射報知フラグがONかどうかを判定する(S5001)。第2発射報知フラグは、当り遊技の終了に際してONにされる(設定される)フラグであり、当り遊技終了後の遊技状態が、予め定めた特別状態である期間はONにされており、特別状態でなくなると、OFFにされる。S5001で、第2発射報知フラグがONでないと判定した場合(S5001でNO)、処理を終える。すなわち、本処理は、第2発射報知フラグがONの場合に行う処理といえる。
【0267】
続きを表示(全40行)
S5001で、第2発射報知フラグがONであると判定した場合(S5001でYES)、次いで高ベース状態であるか否か、すなわち、当り遊技終了後の遊技状態が高ベース状態に設定されているかどうかを判定する(S5002)。S5002で、遊技状態が高ベース状態であると判定した場合(S5002でYES)、前述した様に高ベース状態では右打ちにより遊技を行うので、左打ち報知禁止フラグをONにし(S5003)、S5004の処理に移行する。これにより、高ベース状態において、右打ち遊技が検知されても、左打ち報知演出は実行不能とされる。S5004では、第2右打ち報知演出の実行中かどうかを判定し(S5004)、既に第2右打ち報知演出の実行中であると判定した場合(S5004でYES)、処理を終える。また、第2右打ち報知演出の実行中でないと判定した場合(S5004でNO)、第2右打ち報知演出実行コマンドをセットし(S5005)、処理を終える。つまり、高ベース状態の開始に伴って、左打ち報知演出が実行不能に設定されると共に、所定の右打ち報知演出を実行するものとされる。
【0268】
また、S5005でセットされた第2右打ち報知演出実行コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPUは、図58に示す所定の演出画像を画像制御基板100のROMから読み出して、画像表示装置7の表示画面7a上で発射報知演出(発射方向報知演出)を行う。具体的に、「第2右打ち報知演出(第2発射報知演出)」では、「右側領域の電チューを狙って発射してください」との文字表示等を所定期間表示画面7a上に表示する。「電チュー」とは第2始動口21を指している。また、第2右打ち報知演出は、遊技状態が高ベース状態に設定されることに伴って実行される報知演出であり、高ベース状態の実行中ずっと表示してもよいし、所定条件の成立により、終了してもよい。例えば、ゲート28で遊技球が検知されること等により、実際に右打ちが検知された場合に当該報知演出を終了してもよい。また、高ベース状態において、所定時間経過することや、特別図柄(第2特別図柄)が所定回数変動表示すること等を条件として、報知演出を終了してもよい。また、高ベース状態の開始後、所定期間経過(所定条件成立)に伴って、報知演出の演出態様を変えてもよい。例えば、高ベース状態の開始当初は報知演出を大きく表示し、その後小さく表示してもよい。
【0269】
一方、S5002で、遊技状態が高ベース状態でないと判定した場合(S5002でNO)、次いで第2右打ち報知演出の実行中かどうかを判定する(S5006)。S5002で、遊技状態が高ベース状態でない、すなわち低ベース状態であると判定する場合として、例えば、大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定される非時短大当りの発生を挙げることができる。また、大当り遊技終了後の遊技状態が高ベース状態に設定される時短大当りが発生したものの、高ベース状態において、上限回数(本実施例では100回)の特別図柄当否判定を実行しても、大当り遊技が実行されなかった場合に、低ベース状態に設定される場合をあげることができる。S5006で、第2右打ち報知演出を実行中であると判定するのは、この後者の場合が挙げられる。S5006で、第2右打ち報知演出を実行中であると判定した場合(S5006でYES)、実行中の第2右打ち報知演出を終了させるべく、第2右打ち報知演出終了コマンドをセットし、S5007の処理に移行する。
【0270】
S5007では、第2演出保留の数(第2特図保留の数)が0より多いかどうかを判定する。本実施例1では、第2演出保留記憶部に記憶可能な第2演出保留の上限数は「1」とされているので、第2演出保留があるかどうか(「1」かどうか)ということも可能である。S5007で、第2演出保留記憶部に記憶される第2演出保留の数が0より多い、すなわち、これから第2特別図柄当否判定が実行されると共に第2演出図柄(第2特別図柄)が変動表示すると判定した場合(S5007でYES)、S5009の処理に移行する。また、S5007で、第2演出保留記憶部に保留情報は記憶されていないと判定した場合(S5007でNO)、次いで、第2演出図柄(第2特別図柄)が変動表示中であるかどうかを判定する(S5011)。S5011で、第2演出図柄(第2特別図柄)が変動表示中である、すなわち、これから第2特別図柄当否判定の結果が示されると判定した場合(S5011でYES)、S5009の処理に移行する。この様に、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示中である場合、すなわち、これから、第2特別図柄当否判定の結果が示されることが確定している状態であると、S5009の処理に移行するものとされている。
【0271】
S5009では、左打ち報知禁止フラグをONにし(既にONになっている場合にはONのまま維持し)(S5009)、再チャンスモードフラグをONにし(S5010)、処理を終える。これにより、大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定された場合であっても、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示中である場合には、左打ち報知禁止フラグがONにされる。この特別状態においては、低ベース状態で、右打ちが検知されても、特別に左打ち報知演出は実行されず、特別状態が終了したときの遊技状態が低ベース状態且つ非当り遊技状態であることを条件として、左打ち報知演出を実行可能な状態とする。また、サブ制御部90は、この特別状態においては、右打ち報知演出も実行しないので、左打ち報知演出及び右打ち報知演出の何れの報知演出も実行しない期間とされる。
【0272】
最も、前述の主制御部80で制御する発射方向表示器47(第1発射報知手段)は、遊技状態が低ベース状態であれば、第2特別図柄の保留の有無や、変動表示中かどうかにかかわらず、左打ち遊技を示す表示態様(報知態様)とされる。然しながら、この発射方向表示器47は、図3及び図4に示すように、比較的小型の表示部(LED)によって、右打ち遊技状態又は左打ち遊技状態を示すので、表示画面7aを用いて行う発射報知演出(「第2発射報知手段」ともいう)に比べて、遊技者が認識しづらいものとされている。また、大方の遊技者は、図4に示す主表示器40の表示態様ではなく、図3に示す表示画面7aの表示態様を注視して遊技を行うので、発射方向表示器47の表示態様の変化には気づき難いものとされている。
【0273】
ここで、『大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定された場合であっても、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示中である場合』に、左打ち報知禁止フラグをONにして、右打ちを検知しても左打ち報知を行わないものとしたり、低ベース状態の設定に基づいて、すぐに図58に示す第2左打ち報知演出を実行しないものとしたりしたのは、(保留中又は変動中の)実行が確定している第2特別図柄当否判定に基づいて、再度大当り遊技が発生する可能性があるからである。そして、再度大当り遊技が発生した場合には、右遊技領域(第2遊技領域)へ遊技球を発射する右打ち遊技を行う必要がある。例えば、大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定され、すぐさま第2左打ち報知演出(第4発射報知演出)を実行した場合には、その後保留又は変動中に係る第2特別図柄当否判定の結果に基づいて大当りとなった場合には、極短期間で、再度右打ち報知演出を実行することとなる。この様に、右打ち遊技状態(大当り遊技)の終了後の短期間の間に、一旦左打ち報知演出を行って左打ち遊技を行わせ、再度大当りとなった場合には、再度右打ち報知演出を行って右打ち遊技を行わせるといった、遊技態様(発射方向報知態様)を実行すると、遊技者は煩わしく感じ、遊技興趣を低下させる可能性がある。
【0274】
この様な煩雑な発射報知演出による遊技興趣の低下を防止するため、『大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定された場合であっても、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示中である場合』には、その第2演出図柄の変動表示が全て終了するまでは(第2特別図柄当否判定の結果が表示されるまで)、左打ち報知禁止フラグをONにし、且つ第2左打ち報知演出を実行しないものとしている。これにより、この特別状態においては、低ベース状態で遊技者が右打ち遊技を継続していても、発射を停止していても、左打ち報知演出が実行されることはない。
・・・略・・・
【0276】
具体的に、S5007で、第2演出保留記憶部に保留情報は記憶されていないと判定され(S5007でNO)、且つ、第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)が変動表示中でないと判定された場合(S5011でNO)、再チャンスモードフラグをOFFにし(OFFであればOFFのまま維持し)(S5012)、第2発射報知フラグをOFFにし(S5013)、左打ち報知禁止フラグをOFFにし(S5014)、第2左打ち報知演出実行コマンドをセットし(S5015)、処理を終える。また、S5015でセットされた第2左打ち報知演出実行コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPUは、図58に示す所定の演出画像を画像制御基板100のROMから読み出して、画像表示装置7の表示画面7a上で発射報知演出(発射方向報知演出)を行う。具体的に、「第2左打ち報知演出(第4発射報知演出)」では、「チャンスモードが終了しました 左側領域を狙って発射してください」との文字表示等を所定期間表示画面7a上に表示する。これにより、以後、ゲート28により遊技球が検知(右打ち遊技が検知)されると、図52に示すゲート通過時処理(S4420)に基づいて第1左打ち報知演出(第3発射報知演出)が実行されることとなる。
【0277】
また、本実施例1では、遊技状態が高ベース状態(第2遊技状態)に設定されている状態を、「チャンスモード」といい、第2始動口への入球頻度が高くされる(第2始動口への入球が容易な状態とされる)。そして、第2特別図柄当否判定で大当りと判定される確率は、第1特別図柄当否判定と同じであるが、第2特別図柄当否判定で小当りと判定される確率は、第1特別図柄当否判定よりも高く設定されている。これにより、小当りに基づいて大当りとなる(小当りV)により、短期間で次回の大当り遊技が実行される可能性が非常に高く設定されている。従って、チャンスモードでは、当該チャンスモード中に次回の大当り遊技が実行される可能性が高い、すなわち所謂連荘(連続して大当り遊技)が発生する可能性が高い状態とされる。また、大当りが時短大当りであると、大当り遊技終了後が再度チャンスモードに設定されることとなる。
【0278】
このチャンスモード中(時短状態、高ベース状態)においては、第2特別図柄当否判定の結果が大当りとなったときに時短状態となる確率は、49.5%とされる。また、第2特別図柄当否判定の結果が小当りとなって特定領域を通過することに基づいて大当りとなったときに時短状態となる確率は、49.8%とされる。すなわち、チャンスモード中に大当り遊技が実行され、当該大当り遊技の終了後に再度チャンスモード(時短状態)に設定される確率は、およそ50%とされている。
【0279】
一方、低ベース状態(非時短状態、通常状態)においては、第2特別図柄当否判定の結果が大当りとなったときに時短状態となる確率は、100%とされる。また、第2特別図柄当否判定の結果が小当りとなって特定領域を通過することに基づいて大当りとなったときに時短状態となる確率も、100%とされている。すなわち、低ベース状態(非時短状態、通常状態)において、第2特別図柄当否判定が実行されて大当り遊技が実行された場合には、当該大当り遊技の終了後にチャンスモード(時短状態、高ベース状態)に設定される確率は、100%とされている。また、第2特別図柄当否判定の結果が大当りと判定される確率は、第1特別図柄当否判定の結果が大当りと判定される確率と同じ「1/215.57」とされており、少ない判定回数(例えば「1」回)で大当りと判定することを困難な確率に設定されている。
【0280】
一方、第2特別図柄当否判定の結果が小当りと判定される確率は「1/4.07」とされ、第1特別図柄当否判定の結果が小当りと判定される確率は「1/19.99」とされている。従って、第2特別図柄当否判定の結果が小当りと判定される確率は、第1特別図柄当否判定の結果が小当りと判定される確率と比べて格段に高く設定されている。また、第2特別図柄当否判定において、少ない判定回数(例えば「1」回)で小当りと判定する可能性も比較的高くされている(1回で約25%)。従って、低ベース状態(通常状態、非時短状態)で、第2特別図柄当否判定が実行されると、大当り遊技が実行される可能性が高く、且つ大当り遊技の終了後は必ずチャンスモード(高ベース状態)に設定されるので、チャンスモードが実行される可能性が高いといえる。
【0281】
ここで、低ベース状態における第2特別図柄当否判定は、低ベース状態における第1特別図柄当否判定よりも有利に設定されているものの、低ベース状態においては、第2始動口への遊技球の入球頻度が低く設定されている。そのため、低ベース状態において、第2始動口に遊技球を入球させて、遊技者に有利な第2特別図柄当否判定を実行するのは困難とされている。また、低ベース状態においては、左打ち遊技を行うので、そもそもゲート28に遊技球を通過させたり、第2始動口21に遊技球を入球させたりするのは、非常に困難(不可能)であるといってもよい。
【0282】
一方、本実施例1のパチンコ遊技機で、低ベース状態において第2特別図柄当否判定を比較的容易に実行可能なのは、遊技状態が高ベース状態に設定されたときである。高ベース状態においては、第2始動口21への遊技球の入球が容易となっているので、第2始動口21へ遊技球を入球させて第2特別図柄を変動表示させると共に、第2特図保留記憶部に未消化の保留情報(第2特図保留)を記憶させた状態とする。そして、この状態で変動表示中の第2特別図柄の判定結果に基づいて大当り遊技が実行され、当該大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定された場合には、『低ベース状態において第2特別図柄当否判定を実行する状態(特別状態)』となる。
【0283】
従って、図57に基づいて説明した『大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定された場合で、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、又は、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示中である場合』は、これから、低ベース状態において実行された第2特別図柄当否判定の結果を示す状態であり、遊技者にとっては、再度「チャンスモード(高ベース状態)」に復帰する可能性が高い「再チャンスモード」とされる。そして、この再度「チャンスモード」に突入する可能性が高い期間(「再チャンスモード」)を示すためのフラグとして再チャンスモードフラグを設けており、S5010でこの再チャンスモードフラグをONにしている。サブ制御部では、この再チャンスモードフラグの状態を判定して、表示画面7a等において再チャンス演出を実行することが可能となる。
【0284】
この様に、『大当り遊技終了後の遊技状態が低ベース状態に設定された場合で、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、又は、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示中である場合』、すなわち、再チャンスモード(特別状態)では、低ベース状態(左打ち状態)に設定されているものの、短期間で再度(大当り遊技を経由して)高ベース状態(右打ち状態)に設定される可能性が高く設定されている。従って、この実行が確定している第2特別図柄の変動表示の終了を待って、大当り遊技が実行されなければ、左打ち報知禁止フラグをOFFにして、右打ち検知に基づく左打ち報知演出(第1左打ち発射報知演出)の実行を可能にしている。また、当該第2特別図柄の変動表示の終了に基づいて左打ち報知演出(第2左打ち発射報知演出)を実行するものとしている。これにより、遊技者は、左打ち遊技に切り替え、第1始動口20を狙って遊技を行うこととなる。
【0285】
前述のようにしたことで、右打ち報知演出や左打ち報知演出等の発射報知演出が、徒に高頻度で実行されることを防止して、遊技者が短期間で何度も発射方向を切り替える手間をなくし、遊技を煩わしいと感じることを防止することが可能となる。これにより、遊技興趣を高めることが可能となる。」
(8)「【図57】
[図:0001393863000004.jpg]
」

(9)上記(1)~(8)からみて、引用例2には、次の事項が記載されている。なお、a~iについては本願発明のA~Iに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「a 左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bとに分けられた遊技領域3が形成されている遊技盤2(【0030】、【0032】、【0043】)と、
b 左遊技領域へ発射すべきことを報知する非時短低ベース状態と、右遊技領域へ発射すべきことを報知する時短高ベース状態とを含む遊技状態の移行に関する制御を行う主制御部80(【0060】、【0099】、【0101】、【0102】)と、
c 表示画面7a上で発射方向報知演出を行う画像表示装置7(【0268】)と、
d 左打ちにて入球を狙う第1始動口20(【0043】)と、
e 右打ちにて入球を狙う第2始動口21(【0043】)と、
f 第1始動口20又は第2始動口21への遊技球の入球があると、その入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等の各種情報を取得し、取得した各種情報を一旦記憶する特図保留記憶部(【0053】)と、始動口(第1始動口20又は第2始動口21)への入球があったことを示す始動入球コマンドを受信した際に実行する処理を行うことで、未消化の演出保留情報を記憶する演出保留記憶部(第1演出保留記憶部104及び第2演出保留記憶部105)(【0230】)と、
を備え、
g-i 遊技状態が高ベース状態でないと判定した場合、すなわち、高ベース状態において、上限回数(100回)の特別図柄当否判定を実行しても、大当り遊技が実行されなかった場合に、低ベース状態に設定される場合(【0269】)であって、
第2演出保留記憶部に保留情報は記憶されていないと判定され、且つ、第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)が変動表示中でないと判定された場合、左打ち報知禁止フラグをOFFにし、第2左打ち報知演出実行コマンドをセットし、画像表示装置7の表示画面7a上で発射報知演出(発射方向報知演出)、具体的に、「チャンスモードが終了しました 左側領域を狙って発射してください」との文字表示等を所定期間表示画面7a上に表示し(【0276】)、
第2演出保留記憶部に未消化の保留情報が記憶されているか、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報は記憶されていないが第2特別図柄に係る演出図柄(第2演出図柄)の変動表示中である場合、左打ち報知禁止フラグをONにし、第2左打ち報知演出を実行しないものとする(【0270】、【0271】、【0274】)、パチンコ遊技機1(【0030】)。」(以下「引用例2記載の技術事項」という。)

第5 対比

本願発明と引用発明を対比する(以下の(a)~(h)(i)は、本願発明の特定事項A~Iに概ね対応する。)。

(a)引用発明の「左打ち遊技領域6a」、「右打ち遊技領域6b」及び「遊技領域6」は、それぞれ本願発明の「第一遊技領域」、「第二遊技領域」及び「遊技領域」に相当する。

そして、引用発明のaの「遊技盤2」は、左打ち遊技領域6a(第一遊技領域)と右打ち遊技領域6b(第二遊技領域)とによって形成されている遊技領域6(遊技領域)が形成されたものであるから、本願発明の「第一遊技領域および第二遊技領域を含む遊技領域が構築された遊技盤」に相当する。

そうすると、引用発明のaは、本願発明の特定事項Aに相当する。

(b)引用発明の「非時短遊技状態」は、遊技者に対して左打ち遊技領域6a(第一遊技領域)に向けて遊技球を発射することを促す遊技状態であるから、本願発明の「遊技者に対して前記第一遊技領域に遊技球が進入するような遊技を促す第一遊技状態」に相当する。

また、引用発明の「時短遊技状態」は、遊技者に対して右打ち遊技領域6b(第二遊技領域)に向けて遊技球を発射することを促す遊技状態であるから、本願発明の「遊技者に対して前記第二遊技領域に遊技球が進入するような遊技を促す第二遊技状態」に相当する。

また、引用発明の「メインCPU101a」は、非時短遊技状態(第一遊技状態)および時短遊技状態(第二遊技状態)を含む遊技状態を制御するのであるから、本願発明の「遊技状態制御手段」に相当する。

そうすると、引用発明のb、cは、本願発明の特定事項Bを備える。

(c)引用発明のb、cにおいて、液晶表示装置13は、遊技者に対して左打ち遊技領域6a(第一遊技領域)に向けて遊技球を発射することを促す左打ち報知画像60や、右打ち遊技領域6b(第二遊技領域)に向けて遊技球を発射すること促す右打ち報知画像61を表示するものである。

そうすると、引用発明の「液晶表示装置13」は、本願発明の「遊技者に対し、遊技状態に応じた遊技を行うよう報知する遊技態様報知手段」に相当する。

してみると、引用発明のb、cは、本願発明の特定事項Cを備える。

(d)引用発明の「第1始動口9」は、上記左打ち遊技領域6a(第一遊技領域)の下部位置に設けられているから、本願発明の「前記第一遊技領域に進入した遊技球が入賞可能な第一始動入賞口」に相当する。

そうすると、引用発明のdは、本願発明の特定事項Dに相当する。

(e)引用発明の「第2始動口10」は、上記右打ち遊技領域6b(第二遊技領域)の下部位置に設けられているから、本願発明の「前記第二遊技領域に進入した遊技球が入賞可能な第二始動入賞口」に相当する。

そうすると、引用発明のeは、本願発明の特定事項Eに相当する。

(f)引用発明の「第1保留」は、第1始動口9(第一始動入賞口)に遊技球が入球して留保される大当たりの抽選の権利として留保されるものであるから、本願発明の「当否判定手段による当否判定に用いられる情報であって、前記第一始動入賞口に遊技球が入賞することを契機として取得される第一当否判定情報」に相当する。

また、引用発明の「第2保留」は、第2始動口10(第二始動入賞口)に遊技球が入球して留保される大当たりの抽選の権利として留保されるものであるから、本願発明の「前記第二始動入賞口に遊技球が入賞することを契機として取得される第二当否判定情報」に相当する。

また、引用発明の第1保留及び第2保留は、それぞれ上限留保個数を4個に設定されるものである。

そうすると、引用発明のfは、本願発明の特定事項Fに相当する。

(g)引用発明のg-iにおいて、メインCPU101a(遊技状態制御手段)は、時短遊技状態(第二遊技状態)が終了したときに左打ち報知タイマカウンタをセットするときに報知待機フラグをセットし、報知待機フラグがオンされていれば報知待機中であり、具体的には、時短遊技状態が終了し、時短遊技状態中における第2始動口の開放時間と同じ3.5秒が経過してから、液晶表示装置13に左打ちを促す報知画像60が表示されるから、言い換えると、遊技状態が時短遊技状態(第二遊技状態)から非時短状態(第一遊技状態)に変化したとき、当該変化が発生した後の3.5秒(本願発明の「一定時間である特定期間」に相当)が経過するまでは、報知が行われないように設定されているものである。

そうすると、引用発明のg-iは、本願発明の特定事項Gを備える。

(h)(i)引用発明のg-iにおいて、時短遊技状態(第二遊技状態)が終了し、時短遊技状態中における第2始動口の開放時間と同じ3.5秒(特定期間)が経過してから、液晶表示装置13に左打ちを促す報知画像60が表示される。

また、引用発明の「遊技機2」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

そうすると、引用発明のg-iと、本願発明の特定事項H及びIとは、「前記特定期間が終了した期間終了時点の到達を契機として前記遊技態様報知手段による報知が行われる可能性がある遊技機」で一致する。

上記(a)~(h)(i)からみて、本願発明と引用発明とは、

「A 第一遊技領域および第二遊技領域を含む遊技領域が構築された遊技盤と、
B 遊技者に対して前記第一遊技領域に遊技球が進入するような遊技を促す第一遊技状態、および遊技者に対して前記第二遊技領域に遊技球が進入するような遊技を促す第二遊技状態を含む遊技状態を制御する遊技状態制御手段と、
C 遊技者に対し、遊技状態に応じた遊技を行うよう報知する遊技態様報知手段と、
D 前記第一遊技領域に進入した遊技球が入賞可能な第一始動入賞口と、
E 前記第二遊技領域に進入した遊技球が入賞可能な第二始動入賞口と、
F 当否判定手段による当否判定に用いられる情報であって、前記第一始動入賞口に遊技球が入賞することを契機として取得される第一当否判定情報、および前記第二始動入賞口に遊技球が入賞することを契機として取得される第二当否判定情報を所定数記憶する記憶手段と、
を備え、
G 前記遊技状態制御手段によって遊技状態が前記第二遊技状態から前記第一遊技状態に変化したとき、当該変化が発生した後の一定時間である特定期間が経過するまでは、どのような状況にあっても前記遊技態様報知手段による報知が行われないように設定されており、
H’、I’前記特定期間が終了した期間終了時点の到達を契機として前記遊技態様報知手段による報知が行われる可能性がある遊技機。」で一致し、以下の点で相違している。

・相違点(特定事項H、J)

「前記遊技態様報知手段による報知が行われる」ことに関し、

本願発明では、「前記特定期間が終了した期間終了時点で、前記第二当否判定情報に基づく全ての当否判定結果の報知が完了している場合には、当該期間終了時点の到達を契機として前記遊技態様報知手段による報知が行われる一方、前記期間終了時点で、前記第二当否判定情報に基づく全ての当否判定結果の報知が完了していない場合には、当該報知が完了するまで、前記遊技態様報知手段による報知が行われないように設定されている」いるのに対し、

引用発明では、第二当否判定情報に基づく全ての当否判定結果の報知が完了しているか否かで、前記遊技態様報知手段による報知が行われるかどうかを設定していない点。

第6 判断

1 相違点について判断する。

(1)引用発明の解決すべき課題は、引用例1の【0010】、【0020】及び【0160】等の記載からみて、遊技領域が複数の領域から構成された遊技機において、遊技者に対して適切なタイミングで適切な領域に遊技球を打ち出すことを促すことにより、遊技者が、時短遊技状態が終了してからすぐに左打ちを行うことにより、まだ開放されている第2始動口への入球機会を逸してしまうことがないようにして、遊技興趣を向上させることである。

また、引用例2記載の技術事項は、引用例2の【0273】等の記載からみて、低ベース状態(第一遊技状態)の設定に基づいて、すぐに左打ち報知演出を実行しないものとしたのは、(保留中又は変動中の)実行が確定している第2特別図柄当否判定に基づいて、再度大当り遊技が発生する可能性があり、再度大当りが発生した場合には、再度右打ち報知演出を実行することとなり、右打ち遊技状態終了後の短期間の間に、一旦左打ち報知演出を行って左打ち遊技を行わせ、再度大当りとなった場合には、再度右打ち報知演出を行って右打ち遊技を行わせるといった、遊技態様(発射方向報知態様)を実行すると、遊技者は煩わしく感じ、遊技興趣を低下させる可能性があり、引用例2記載の技術事項の課題は、このような遊技興趣の低下を防止することであると認められる。

(2)引用例2記載の技術事項の「非時短低ベース状態」、「時短高ベース状態」、「保留情報」及び「発射報知演出」は、それぞれ本願発明の「第一遊技状態」、「第二遊技状態」、「第二当否判定情報」及び「遊技態様報知手段による報知」に相当する。

また、引用例2記載の技術事項のg-iにおいて、高ベース状態(第二遊技状態)において、低ベース状態(第一遊技状態)に設定される場合であって、第2演出保留記憶部に保留情報(第二当否判定情報)は記憶されていないと判定された場合、画像表示装置7の表示画面7a上で発射報知演出(遊技態様報知手段による報知)、具体的に、「チャンスモードが終了しました 左側領域を狙って発射してください」との文字表示等を所定期間表示画面7a上に表示し、第2演出保留記憶部に未消化の保留情報(第二当否判定情報)が記憶されている場合、左打ち報知禁止フラグをONにし、第2左打ち報知演出を実行しないものである。

そうすると、引用例2記載の技術事項のg-iは、本願発明の特定事項G~Iのうち、「前記遊技状態制御手段によって遊技状態が前記第二遊技状態から前記第一遊技状態に変化したとき」、「前記第二当否判定情報に基づく全ての当否判定結果の報知が完了している場合には、」「前記遊技態様報知手段による報知が行われる一方、」「前記第二当否判定情報に基づく全ての当否判定結果の報知が完了していない場合には、当該報知が完了するまで、前記遊技態様報知手段による報知が行われないように設定されている」との特定事項を備える。

(3)引用発明と引用例2記載の技術事項は、いずれも、遊技球を右遊技領域に発射する時短状態(第二遊技状態)から遊技球を左遊技領域に発射する非時短状態(第一遊技状態)に変化する際、即座に左打ち報知がなされないようにした遊技機である点で技術分野が共通するとともに、時短状態(第二遊技状態)から非時短状態(第一遊技状態)に変化する際の遊技興趣の低下を防止するという課題でも共通するから、引用発明及び引用例2記載の技術事項に接した当業者であれば、時短状態(第二遊技状態)から非時短状態(第一遊技状態)に変化する際の遊技興趣の低下を防止するために、引用発明に引用例2記載の技術事項を適用することは容易に想起し得たことであり、当該適用により、具体的に、引用発明において、第2始動口10(第二始動入賞口)へ入球する可能性のある報知待機中の期間(特定期間)に加えて、第2保留(第二当否判定情報)に基づく全ての当否判定結果の報知が完了するまでの間においても左打ち遊技領域6a(第一遊技領域)への発射を促す報知を制限させることは当業者が容易になし得る事項である。

そのようにした場合、報知待機中の期間(特定期間)と全ての当否判定結果の報知が完了するまでの期間のいずれか長い方が終了するまで左打ち遊技領域6a(第一遊技領域)への発射を促す報知が制限されるため、報知待機中の期間(特定期間)が終了した時点で、第2保留(第二当否判定情報)に基づく全ての当否判定結果の報知が完了している場合には、報知待機中の期間(特定期間)が終了した時点の到達を契機として、左打ち報知画像60の表示(遊技態様報知手段による報知)が行われる一方、報知待機中の期間(特定期間)が終了した時点で、第2保留(第二当否判定情報)に基づく全ての当否判定結果の報知が完了していない場合には、当該報知が完了するまで、左打ち報知画像60の表示(遊技態様報知手段による報知)が行われないものである。

(4)以上のとおり、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の特定事項となすことは、当業者が引用例2記載の技術的事項に基づいて容易になし得たものである。

(5)本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用例2記載の技術事項の奏する効果から、予測することができた程度のものである。

2 請求人の主張について

(1)請求人は、審判請求書の「(3)原査定が取り消されるべき理由」において、以下のとおり主張する。

「3-1)取消事由1(引用発明の認定の誤り)
原査定は、引用発明について
『引用文献1に記載された発明は、出願人が主張するように、時短状態が終了しても第二始動入賞口への入賞の機会を遊技者が逸しないようにすることを意図して前記特定時間を設けているものである([0014]、[0160]等を参照)。
しかしながら、意図しているのは、あくまで入賞の可能性を逃さないことだけであり、確実な入賞を保証しているわけではないことから、「第2始動口が閉鎖した時点(左打ち報知がなされる時点)で、「第2特別図柄保留」(本願の第二当否判定情報に相当)が取得された状態となることを目的」としているとまでは認められない。』
続きを表示(全23行)
としているが、意味不明である。
第二始動入賞口への入賞の機会を遊技者が逸しないようにするということは、第二始動入賞口への入賞を推進しているいうことであるから、(実際に入賞が実現できない場合は生じ得るかもしれないが)第2始動口が閉鎖した時点で第2特別図柄保留が取得された状態となるようにすることを目的としている(このような状態となることを理想としている)のは紛れもない事実である。
よって、原査定の引用発明の認定には明確な誤りがある。
3-2)取消事由2(出願人の主張の認定および容易想到性の判断の誤り)
原査定は、・・・としている。
すなわち、引用発明にて「入賞がないまま期間終了する場合があり得る」、「前記特定期間が終了した期間終了時点で、前記第二当否判定情報に基づく全ての当否判定結果の報知が完了している状態となることがあり得る」ことを根拠に、令和3年12月3日付意見書にて行った出願人の主張を退けている。
しかし、同意見書にて、出願人はこのような主張を行っていない(原査定は出願人の主張を正しく解したものではない)。
原査定も認めている通り、引用発明は、時短状態が終了しても第二始動入賞口への入賞の機会を遊技者が逸しないようにすることを目的としたものであることは確かである。
このような発明であるということは、当該引用発明に接した当業者は、当該入賞の機会を遊技者が生かして遊技すること(第2保留(特図2保留)の取得を実現するであろうこと)を想定するのが通常であり、引用文献に全く記載がないこれに反する事象(「前記特定期間が終了した期間終了時点で、前記第二当否判定情報に基づく全ての当否判定結果の報知が完了している」状態となること)は想定しないのであるから、特図2の保留消化を待って左打ち報知を行う引用文献2記載の技術を適用する動機付けは無いということを主張しているのである。
すなわち、「前記特定期間が終了した期間終了時点で、前記第二当否判定情報に基づく全ての当否判定結果の報知が完了している状態となること」があり得るかどうかではなく、第二始動入賞口への入賞を推進しているのが引用発明なのであるから、当該引用発明に接した当業者が引用文献に全く記載がない「入賞が無かった場合」までを想定して引用文献2記載の技術を適用する動機付けはないといえる。
よって、本願発明は、引用発明から容易想到ではない。
3-3)取消事由3(容易想到性の判断の誤り)
引用発明の報知待機時間は、第2始動口の開放時間と同じ3.5秒であると認められる(引用文献1の段落0160)。
また、引用発明の変動時間は、最も短いものであっても「5000ms」(5秒)であり(引用文献1の図9参照)、報知待機時間(3.5秒)よりも明らかに長い。すなわち、引用発明の報知待機時間は、たった一回の変動時間の最短時間(最短の変動時間)よりも短い。
しかも、時短遊技状態が終了した時点では、最大四つの第2保留(特図2保留)が残っている可能性があり、通常通り時短遊技状態の遊技(右打ち)を行っていれば時短遊技状態が終了した時点で全く第2保留が存在しないということは通常はあり得ない(※)のであるから、時短遊技状態が終了した時点で記憶される全ての第2保留の変動が終了するのに要する時間は、報知待機時間よりも明らかに長い時間であるということがいえる。
(※)時短の最終変動が終了するまで右打ちを継続するのが通常であり、そうであれば特図2保留=0であることは考えられない(時短の最終変動に相当する特図2保留が取得された後は保留を貯めないように右打ちを停止するといった到底考えられないような遊技を行わなければ時短終了時に特図2保留=0とはならない)
このような引用発明について、報知待機時間が終了した時点での特図2保留の有無に応じた制御を行うこと、すなわち本願発明のように「前記特定期間が終了した期間終了時点で、前記第二当否判定情報に基づく全ての当否判定結果の報知が完了している場合には、当該期間終了時点の到達を契機として前記遊技態様報知手段による報知が行われる一方、前記期間終了時点で、前記第二当否判定情報に基づく全ての当否判定結果の報知が完了していない場合には、当該報知が完了するまで、前記遊技態様報知手段による報知が行われない」ようにすることは通常であるとはいえない。
上述した通り、引用発明の報知待機時間は、一回の変動時間(最短の変動時間)にすら及ばない短い時間であることは明らかであって、時短遊技状態の終了時点で記憶されている第2保留(特図2保留)のうちの一つ分すら消化することができない(変動が終了しない)のであるから、「前記特定期間が終了した期間終了時点で、前記第二当否判定情報に基づく全ての当否判定結果の報知が完了している場合」は到底想定することができないものである。
よって、本願発明は引用発明から容易想到であるとはいえない。」

(2)請求人の主張について検討する。

ア 上記3-1)について

請求人が指摘する箇所は、令和3年12月3日提出の意見書における出願人(請求人)の主張に対して、補足的に見解を述べているにすぎず、原査定に引用発明の認定に明確な誤りがあるとまではいえない。

イ 上記3-2)について

上記1(3)で述べたとおり、引用発明と引用例2記載の技術事項は、いずれも時短状態(第二遊技状態)から非時短状態(第一遊技状態)に変化する際、即座に左打ち報知がなされないようにした遊技機である点で技術分野が共通するとともに、時短状態(第二遊技状態)から非時短状態(第一遊技状態)に変化する際の遊技興趣の低下を防止するという課題でも共通することを考慮すれば、引用例2記載の技術事項を引用発明に適用する動機付けがあるといえる。

ウ 上記3-3)について

引用例1には、時短遊技状態の特別図柄の変動時間として、【0108】に「3000ms」と、図9に「5000ms」の例示がなされているが、引用例1の【0108】には、時短遊技状態になると変動時間が短くなることが記載されており、また、一般的なパチンコ遊技機においても、時短遊技状態が非時短遊技状態に比べて、図柄の変動時間が短くなり保留の消化が早いことは技術常識であるから、時短遊技状態が終了した時点では、請求人の主張するように、最大四つの第2保留(特図2保留)が残っている可能性があるが、全く第2保留が存在しないことがあり得ないとまではいえず、また、遊技球の消費を抑えるために、所定数まで保留がたまると、全保留が消化されるまで遊技者が遊技球の発射を一旦待機することも一般的によく行われているため、時短遊技状態が終了した時点で記憶される全ての第2保留の変動が終了するのに要する時間が報知待機時間よりも長い時間であると断定することはできない。

そうすると、引用発明及び引用例2記載の技術事項に接した当業者であれば、「前記特定期間が終了した期間終了時点で、前記第二当否判定情報に基づく全ての当否判定結果の報知が完了している場合」を想定することができるものである。

エ 以上のとおり、請求人の主張は、本件の判断に影響を及ぼすものではないから、請求人の上記主張は採用できない。

3 まとめ

以上のとおりであるから、本願発明は、引用例1に記載された発明及び引用例2記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

第7 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-005487

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