2022-005420
学習装置、および学習方法
- 審判番号
- 2022-005420
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-141314外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年04月11日
- 審決日
- 2023年03月28日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ヤフー株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .536-WZ (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条4項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号、特許法第17条の2第5項第4号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年7月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 本願発明
令和5年1月24日に提出された手続補正書による特許請求の範囲についての補正は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りようでない記載の釈明を目的とするものであるから、当該補正は、適法になされたものである。
本願の請求項1ないし7に係る発明は、令和5年1月24日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。下線部は補正箇所を示す。
「所定の文章に含まれる単語群を抽出する抽出部と、前記所定の文章における複数の単語が入力されると当該文章における複数の単語を符号化した情報を出力する符号化器と、前記符号化器が出力した情報が入力されると前記所定の文章のトピックを示す情報を出力するトピックレイヤと、トピックレイヤが出力した情報と前記符号化器が出力した情報とが入力されると、当該情報から前記所定の文章における複数の単語を復元する復元器とを含むニューラルネットワークであるモデルに対し、前記単語群に含まれる各単語を前記所定の文章中に出現する順序で入力した場合に、前記所定の文章を出力するように前記モデルの学習を行う学習部とを有し、前記学習部は、前記符号化器が、前記抽出部で抽出された所定の文章における前記単語群に含まれる各単語が前記所定の文章中に出現する順序で入力された際に、各単語の属性を前記復元器で復元することに使用される各単語の特徴であって、前記トピックレイヤにて、前記所定の文章全体のトピックを示す情報を生成することに使用される前記符号化した情報を出力し、前記トピックレイヤが、前記符号化器が出力した前記符号化した情報が入力された場合に、所定のトピックモデルに基づいて、前記所定の文章全体のトピックを示す情報を出力し、前記復元器が、前記符号化器が出力した前記符号化した情報と前記トピックレイヤが出力した情報とが入力された場合に、前記トピックレイヤが出力した情報が示すトピックを考慮して、前記符号化器が出力した前記符号化した情報から、前記単語群に含まれる各単語と、各単語の属性とを復元し、復元した各単語と各単語の属性とから、前記所定の文章を復元するように前記モデルを学習することを特徴とする学習装置。」
第3 当審において通知した拒絶理由
当審が通知した、令和4年11月22日付けの拒絶理由のうち、理由3(実施可能要件)の概要は、次のとおりである。
この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
「文章全体のトピックを示す情報、すなわち、文章のコンテキストを示すコンテキスト情報」を生成するために、モデルに入力するためのデータとして、「エンコーダが出力する特徴」は、「自然言語処理」の技術分野の一般的事項に合致するものとは認められず、「エンコーダが出力する特徴」から、「トピックレイヤ」が、「文章全体のトピックを示す情報、すなわち、文章のコンテキストを示すコンテキスト情報」を抽出するように(抽出機能を有するように)学習させることを、当業者が実施するためには、発明の詳細な説明には、トピックレイヤに対する学習処理を、具体的に記載する必要があるものと認められる。
しかるところ、当該学習処理に関する記載は、上記の記載のみであって、それ以外の記載はない。
また、通常、文章のコンテキストを示すコンテキスト情報を抽出するには、文章に含まれる単語群、すなわち、全ての単語の情報が必要となるところ、トピックレイヤには、エンコーダから出力される特徴が逐次入力されることが記載されているのみであり、文章に含まれる単語群(全ての単語)の情報をいかに得るかについて、発明の詳細な説明に記載されているとはいえない。
よって、本願の明細書の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1~7に係る発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
第4 当審の判断
発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすかを、以下に検討する。
1 特許請求の範囲の請求項1の記載について
特許請求の範囲の請求項1には、「トピックレイヤ」について、「前記符号化器が出力した情報が入力されると前記所定の文章のトピックを示す情報を出力するトピックレイヤと、トピックレイヤが出力した情報と前記符号化器が出力した情報とが入力されると、当該情報から前記所定の文章における複数の単語を復元する復元器と・・・(中略)・・・
前記符号化器が、・・・(中略)・・・各単語の属性を前記復元器で復元することに使用される各単語の特徴であって、前記トピックレイヤにて、前記所定の文章全体のトピックを示す情報を生成することに使用される前記符号化した情報を出力し、
前記トピックレイヤが、前記符号化器が出力した前記符号化した情報が入力された場合に、所定のトピックモデルに基づいて、前記所定の文章全体のトピックを示す情報を出力し、
前記復元器が、前記符号化器が出力した前記符号化した情報と前記トピックレイヤが出力した情報とが入力された場合に、前記トピックレイヤが出力した情報が示すトピックを考慮して、前記符号化器が出力した前記符号化した情報から、前記単語群に含まれる各単語と、各単語の属性とを復元し、復元した各単語と各単語の属性とから、前記所定の文章を復元する」
と、記載されている。なお、下線は、当審において付与した。
この記載によれば、請求項1に係る発明において、「トピックレイヤ」は、符号化器が出力した符号化した情報が入力された場合に、「所定のトピックモデルに基づいて、前記所定の文章全体のトピックを示す情報を出力」することを特定するものである。
2 本願明細書の発明の詳細な説明の記載事項
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明細書の発明の詳細な説明には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。
「 【0022】ここで、文章の構造によっては、文章が主として示す内容(トピック)が変化すると考えられる。例えば、同一の単語群を含む文章であっても、各単語の出願順序が異なる場合は、文章のトピックが変化する場合がある。より具体的な例を挙げると「彼はリンゴが好きです」という文章と「彼が好きなのはリンゴです」という文章とを比較した場合、後者の文章においては、「リンゴ」という目的語が「好き」という動詞よりも後に配置されているため、「リンゴ」という単語がより強調された文章となっている。このように、文章のトピックは、文章に含まれる各単語の属性と、各単語が文章中に出現する相対的な順序(例えば、目的語が動詞よりも前にあるか後ろにあるか等)によって変化すると考えられる。換言すると、文章中に含まれる各単語の重要性は、各単語の属性と、各単語が文章中に出現する順序(以下、「出現順序」と記載する。)とに関連していると考えられる。」
「 【0027】ここで、学習装置10は、属性レイヤとして、単語群に含まれる各単語の属性と各単語が文章中に出現する順序とに基づく各単語の所定の文章における重要度に基づいて、各単語が文章中に出現する順序を復元するレイヤを有するデコーダの学習を行う。すなわち、学習装置10は、前回の出力と新たな入力とに基づいて、次の単語の属性を重要性に基づいて推定し、推定した属性から次の単語を導出するデコーダーを生成する。このようなデコーダは、例えば、特徴から単語群に含まれる各単語の属性を復元するニューラルネットワークであって、入力された情報と、前回出力した情報とに基づいて新たに出力する情報を生成する機能を有するニューラルネットワークにより実現される。このようなニューラルネットワークは、例えば、RNN(Recurrent Neural Networks)やLSTM(Long short-term memory)と呼ばれる構造を有するニューラルネットワークにより実現される。なお、学習装置10は、全体としてLSTMの構成を有するデコーダを学習する必要はなく、少なくとも、属性を復元する属性レイヤがLSTMの構成を有していればよい。」
「 【0029】以下、より具体的なデコーダの構成例について説明する。例えば、モデルのエンコーダおよびデコーダは、ノードの状態を順次遷移させることで、単語群の符号化および復号化を実現する。例えば、エンコーダは、単語を文章中に出現する順(以下、「出現順」と記載する。)でノードに入力することで、単語群の特徴や各単語が文章中に出現する順序とともに、文章中における各単語の重要度を符号化した特徴を生成する。そして、学習装置10は、エンコーダが出力する特徴をデコーダのノードに入力し、ノードの状態を順次遷移させることで、符号化された単語を、文章中に出現する順序で属性系列とともに復元させることで、単語群の特徴や属性、出現順序に基づく重要度をデコーダに学習させる。【0030】例えば、デコーダは、入力層側から出力層側に向けて、状態レイヤ、属性レイヤ、および単語レイヤを有する。このようなデコーダは、エンコーダの出力を受付けると、状態レイヤが有する1つ又は複数のノードの状態を状態h1へと遷移させる。そして、デコーダは、属性レイヤにて、状態レイヤのノードの状態h1から最初の単語の属性z1を復元するとともに、単語レイヤにて、状態h1と属性z1とから最初の単語y1を属性系列とともに復元し、単語y1と状態h1から状態レイヤのノードの状態を状態h2へと遷移させる。なお、デコーダは、状態レイヤにLSTMやDPCNの機能を持たせることで、出力した属性z1を考慮して状態レイヤのノードの状態を状態h2へと遷移させてもよい。続いて、デコーダは、属性レイヤにて、前回復元した属性z1と状態レイヤのノードの現在の状態h2から、2番目の単語の属性z2を復元し、属性z2と前回復元した単語y1とから、2番目の単語y2を属性系列とともに復元する。【0031】すなわち、デコーダは、状態h2を前の状態h1と前回復元した単語y1と前回復元した属性z1とから生成し、属性z2を前の属性z1と状態h2と前回復元した単語y1とから生成し、単語y2を前回復元した単語y1と属性z2と状態h2とから生成する。なお、デコーダは、前回復元した属性z1を考慮せずに、前回の状態h1と前回復元した単語y1とから状態h2を生成してもよい。また、デコーダは、前回復元した単語y1を考慮せずに、前回復元した属性z1と状態h2とから属性z2を生成してもよい。」
「 【0035】〔1-4.エンコーダの構成について〕ここで、学習装置10は、必須ではないものの、単語群に含まれる各単語の特徴と、各単語が文章中に出現する順序とを、各単語の属性とともに符号化するエンコーダの学習を行ってもよい。すなわち、学習装置10は、単語群に含まれる各単語の特徴と、各単語が文章中に出現する順序とを、各単語の属性とともにエンコーダに学習させてもよい。【0036】続きを表示(全17行)例えば、学習装置10は、単語群に含まれる各単語を入力するレイヤと、各単語の属性を入力するレイヤとを含むエンコーダを学習する。より具体的には、学習装置10は、正解データとして取得した所定の文章に含まれる単語群と、単語群に含まれる各単語の属性とを抽出する。そして、学習装置10は、エンコーダとして、単語群に含まれる各単語を入力する単語レイヤと、各単語の属性を入力する属性レイヤとを有し、単語レイヤおよび属性レイヤの出力から、出力する特徴を生成するエンコーダの学習を行ってもよい。また、学習装置10は、DPCNの構造を有するニューラルネットワークをエンコーダとしてもよく、エンコーダが有する各レイヤごとに、DPCNの構造を有するニューラルネットワークを採用してもよい。【0037】〔1-5.トピックレイヤについて〕また、学習装置10は、いわゆるトピックモデル(例えば、非特許文献2を参照)を用いて、単語群から文章の生成を行ってもよい。例えば、学習装置10は、エンコーダが出力した特徴から、所定の文章が示すトピックを復元するトピックレイヤを有するモデルを生成する。そして、学習装置10は、トピックレイヤの出力から、単語群に含まれる各単語と、各単語の属性と、各単語が所定の文章中に出現する順序とを属性系列とともに復元するデコーダを学習してもよい。【0038】ここで、トピックモデルとは、ある文章が生成される過程を確率的に表現したモデルである。例えば、トピックモデルでは、文章に含まれる各単語が属する分野、すなわち文章毎のトピックの比率と、トピックの分布とから、文章を確率的に生成する。例えば、トピックモデルでは、文章に含まれる各単語の集合をθ、文章ごとのトピックの比率をP(z|θ)、トピックの分布をP(wn|z)とすると、以下の式(1)で表される過程により文章を確率的に生成する。なおnは、トピックの分布の種別を示す添え字である。【0039】【数1】[図:0001397824000001.jpg]【0040】トピックレイヤは、このようなトピックモデルに基づいて、エンコーダが出力した特徴から、文章全体のトピックを示す情報、すなわち、文章のコンテキストを示すコンテキスト情報を抽出する。そして、トピックレイヤは、抽出したコンテキスト情報をデコーダに入力する。このような処理の結果、デコーダは、文章全体のコンテキストを考慮して、エンコーダが出力した特徴から各単語や各単語の属性を復元するので、より自然な文章を生成することができる。【0041】なお、トピックレイヤは、文章が出現する位置(例えば、見出しや本文等)や、文章が出現する時間(例えば、文章が投稿されやすい日時)等、文章のコンテキストであれば任意のコンテキストを抽出してよい。」
「 【0045】また、学習装置10は、正解データとして取得した文章C10から、単語群C11を抽出する。そして、学習装置10は、単語群C11に含まれる各単語と、各単語の属性と、各単語が出現する順序との特徴をモデルL10に学習させる。より具体的には、学習装置10は、単語群C11をエンコーダL11に入力した際に、デコーダL12が出力する文章C20が文章C10と同じになるように、モデルL10の学習を行う。【0046】例えば、図1に示す例では、学習装置10は、単語群の各単語x1~x3を、各単語x1~x3が文章C10中に出現する順序で、エンコーダL11のノードに入力する。この結果、エンコーダL11は、各単語x1~x3と各単語x1~x3が文章C10に出現する順序との特徴Cを出力する。そして、学習装置10は、特徴C10をデコーダL12とトピックレイヤC13とに入力する。続きを表示(全12行)【0047】このような場合、デコーダL12は、特徴とトピックレイヤL13の出力とから単語y1~y3を復元する。より具体的には、トピックレイヤL13は、特徴Cから文章C10のトピックを示す情報を出力する。そして、デコーダL12は、特徴CとトピックレイヤL13の出力とから、属性レイヤL14(当審注:前後の記載を参酌して、「状態レイヤL14」を意味するものと認める。)の状態h1を生成し、状態h1から、各単語y1~y3の属性と各単語y1~y3の属性系列とともに、各単語y1~y3を、各単語y1~y3が文章C20中に出現する順序で復元する。【0048】例えば、デコーダL12の状態レイヤL14は、特徴Cに基づいて状態h1へと遷移する。このような場合、属性レイヤL15は、状態レイヤL14の状態h1から、単語群C11のうち、文章C10中に最初に出現する単語の属性z1を復元する。そして、単語レイヤL16は、状態レイヤL14の状態h1と属性レイヤL15が復元した属性z1とに基づいて、単語群C11のうち文章C10に最初に出現する単語y1を復元する。【0049】続いて、状態レイヤL14は、前回の状態h1と、復元された単語y1と、属性レイヤL15が前回復元した属性z1とに基づいて、状態h2へと遷移する。このような場合、属性レイヤL15は、状態レイヤL14の状態h2と、属性レイヤL15が前回復元した属性z1と、単語レイヤL16が前回復元した単語y1とに基づいて、単語群C11のうち、単語y1の次に出現する単語の属性z2を復元する。そして、単語レイヤL16は、状態レイヤL14の状態h2と属性レイヤL15が復元した属性z2と前回復元した単語y1とに基づいて、単語群C11のうち単語y1の次に出現する単語y2を復元する。【0050】続いて、状態レイヤL14は、前回の状態h2と、復元された単語y2と、属性レイヤL15が前回復元した属性z2とに基づいて、状態h3へと遷移する。このような場合、属性レイヤL15は、状態レイヤL14の状態h3と、属性レイヤL15が前回復元した属性z2と、単語レイヤL16が前回復元した単語y2とに基づいて、単語群C11のうち、単語y2の次に出現する単語の属性z3を復元する。そして、単語レイヤL16は、状態レイヤL14の状態h3と属性レイヤL15が復元した属性z3と前回復元した単語y2とに基づいて、単語群C11のうち単語y2の次に出現する単語y3を復元する。」
「 【0070】例えば、学習部42は、エンコーダL11とデコーダL12とを有するモデルL10を生成する。続いて、学習部42は、正解データデータベース31に登録された文章と、その文章に含まれる単語群とを抽出する。そして、学習部42は、抽出した単語群を、文章中に出現する順序でモデルL10のエンコーダL11に入力した際に、エンコーダL11が出力した特徴から、エンコーダL11に入力した単語群と、各単語の属性とを、抽出した文章中に各単語が出現する順で、抽出した文章に含まれる属性系列とともに復元するように、エンコーダL11およびデコーダL12の調整を行う。すなわち、学習部42は、モデルL10に入力した文章と出力した文章とが同じになるように、モデルL10の調整を行う。【0071】ここで、学習部42は、デコーダとして、特徴の元となる単語群に含まれる各単語の重要度に基づく順序で、各単語の属性を復元する属性レイヤL15と、属性レイヤの出力から単語群に含まれる各単語を復元する単語レイヤL16とを有するデコーダの学習を行う。例えば、学習部42は、状態h1から最初に出現する単語の属性z1を復元する属性レイヤL15と、状態h1および属性z1から最初に出現する単語y1を復元する単語レイヤL16とを有するデコーダL12の学習を行う。」
「 【0092】なお、学習部42は、特徴から単語群に含まれる各単語の属性であって、それぞれ異なる属性を復元する複数の属性レイヤと、複数の属性レイヤの出力から単語群に含まれる各単語を復元する単語レイヤとを有するデコーダを学習してもよい。例えば、図6は、実施形態に係る学習装置が学習するデコーダのバリエーションを説明するための図である。例えば、図6に示す例では、デコーダL12は、単語レイヤL16と、第1属性レイヤL17と、第2属性レイヤL18とを有する。【0093】ここで、第1属性レイヤL17と第2属性レイヤL18とは、それぞれ異なる属性を復元する。例えば、第1属性レイヤL17は、単語の品詞を復元し、第2属性レイヤL18は、単語の原型を復元する。そして、単語レイヤL16は、第1属性レイヤL17と第2属性レイヤL18との出力から、単語を復元する。続きを表示(全14行)【0094】より詳細には、デコーダL12は、エンコーダL11が出力した特徴Cと、トピックレイヤL13の出力とに基づいて、状態h1を生成する。このような場合、第1属性レイヤL17は、状態h1から属性z1を復元する。また、第2属性レイヤL18は、状態h1から属性u1を復元する。そして、単語レイヤL16は、状態h1と、属性z1と、属性u1とから、単語y1を生成する。【0095】ここで、図6では矢印を省略したが、デコーダL12は、状態h1と、属性z1と、属性u1と、単語y1とから状態h2を生成する。そして、第1属性レイヤL16は、属性z1と状態h2とから属性z2を復元する。なお、第1属性レイヤL17は、単語y1をさらに考慮して属性z2を復元してもよい。また、第2属性レイヤL18は、属性u1と状態h2とから属性u2を復元する。なお、第2属性レイヤL18は、単語y1をさらに考慮して属性u2を復元してもよい。そして、単語レイヤL16は、状態h2と、属性z2と、属性u2と、単語y1とから、単語y2を生成する。【0096】また、学習部42は、特徴から所定の文章が示すトピックを復元するトピックレイヤの出力から、単語群に含まれる各単語と、各単語の属性と、各単語が文章中に出現する順序とを文章中における各単語の属性系列とともに復元するデコーダを学習してもよい。すなわち、学習部42は、トピックレイヤL13が文章C10のトピックを復元するように、モデルL10の調整を行ってもよい。【0097】また、学習部42は、エンコーダとして、単語群に含まれる各単語を入力する単語レイヤと、各単語の属性を入力する属性レイヤとを有し、単語レイヤおよび属性レイヤの出力から特徴を生成するエンコーダを学習してもよい。例えば、図7は、実施形態に係る学習装置が学習するエンコーダのバリエーションを示す図である。【0098】例えば、学習部42は、単語群に含まれる各単語x1~x3を出現順に受け付ける単語レイヤL19と、単語群の属性a1~a3を、各単語の出現順に受け付ける属性レイヤL20とを有するエンコーダL11を生成する。このようなエンコーダL11においては、属性a1が入力された属性レイヤL20のノードが状態c1となり、状態c1と単語x1とから単語レイヤL19のノードが状態d1となる。また、属性レイヤL20のノードは、状態c1および状態d1と属性a2とから状態c2となり、単語レイヤL19のノードが状態c2と状態d1と単語x2とから状態d2となる。また、属性レイヤL20のノードは、状態c2および状態d2と属性a3とから状態c3となり、単語レイヤL19のノードが状態c3と状態d2と単語x3とから状態d3となる。そして、エンコーダL11は、状態d3に基づく特徴Cを出力する。」
「図1[図:0001397824000002.jpg]」
「図6[図:0001397824000003.jpg]」
「図7[図:0001397824000004.jpg]」
3 判断
上記2の明細書の発明の詳細な説明及び図面の記載によると、以下のことがいえる。
(1)「エンコーダL11」について
請求項1記載の「符号化器」は、発明の詳細な説明に記載の「エンコーダL11」に対応するものである。
そして、段落【0029】、【0035】、【0036】、【0045】、【0046】、【0070】、【0097】、【0098】、図1及び図7の記載によると、「エンコーダL11」は、その内部に、単語群C11に含まれる各単語を入力する単語レイヤと、各単語の属性を入力する属性レイヤとを有し、各レイヤは、複数のノードを含むものであって、文章C10中に出現する順(出現順)で抽出された単語及び属性を、それぞれ、単語レイヤノードと属性レイヤのノードに入力し、ノードの状態を順次遷移させることで、単語群C11の符号化を実現するものである。そして、エンコーダL11は、単語群C11の「各単語x1~x3」と「単語群C11の各単語x1~x3が文章C10に出現する順序」との「特徴C」を出力する。特徴Cは、デコーダL12とトピックレイヤL13に入力される。
(2)「デコーダL12」について
請求項1記載の「復元器」は、発明の詳細な説明に記載の「デコーダL12」に対応するものである。
そして、段落【0029】~【0031】、【0046】~【0050】、【0070】、【0071】、【0094】~【0096】、図1及び図6によると、「デコーダL12」は、その内部に、入力層側から出力層側に向けて、状態レイヤ、属性レイヤ、単語レイヤとを有し、各レイヤは、複数のノードを含むものであって、ノードの状態を順次遷移させることで、抽出した文章C10中に各単語が出現する順で、単語群の復号化を実現するものである。デコーダL12の状態レイヤL14には、エンコーダL11の出力である特徴Cと、トピックレイヤL13の出力である文章C10のトピックを示す情報とが入力される。そして、デコーダL12の状態レイヤL14は、状態h1へと遷移し、又は、特徴Cと文章C10のトピックを示す情報とから状態h1を生成し、属性レイヤL15は、状態レイヤL14の状態h1から、単語群C11のうち、文章C10中に最初に出現する単語の属性z1を復元し、単語レイヤL16は、状態レイヤL14の状態h1と属性レイヤL15が復元した属性z1とに基づいて、単語群C11のうち文章C10に最初に出現する単語y1を復元する。かかる状態遷移を、単語y2、y3についても順次行うことにより、単語y1~y3が、文章C20中に、文書C10に出現する順序で復元される。
(3)「トピックレイヤL13」について
請求項1記載の「トピックレイヤ」は、発明の詳細な説明に記載の「トピックレイヤL13」に対応するものである。
そして、段落【0037】~【0041】、【0046】、【0047】、【0094】、【0096】、図1及び図6によると、「トピックレイヤL13」は、トピックモデルに基づいて、エンコーダが出力した特徴Cから、「文章全体のトピックを示す情報、すなわち、文章のコンテキストを示すコンテキスト情報」(文章C10のトピックを示す情報)を抽出し、抽出したコンテキスト情報をデコーダに入力する機能を有するものである。
また、トピックモデルは、ある文章が生成される過程を確率的に表現したモデルであって、文章に含まれる各単語の集合をθ、文章に含まれる各単語が属する分野、すなわち、文章毎のトピックの比率P(z|θ)と、トピックの分布P(wn|z)とから、
[図:0001397824000005.jpg]
で表され、単語の集合である文章に対して、トピックがどのような比率で含まれているか、各単語がどのトピックにどのような分布で割り当てられているかをモデル化したものである。かかるトピックモデルの概念は、「自然言語処理」の技術分野の技術常識とも合致するものである。(例えば、参考文献(白井匡人ほか1名、オンライントピックモデルによる文書ストリームの適応的分類、電子情報通信学会技術研究報告、日本、一般社団法人電子情報通信学会、2013年9月5日、第113巻、第214号、77-82頁)参照。)
(4)上記(1)~(3)によると、エンコーダL11に対して、文章C10から抽出した単語群C11を、各単語が文章中に出現する順序で入力すると、エンコーダL11から特徴Cが「順次」出力される。そして特徴Cは、トピックレイヤL13とデコーダL12に入力される。なお、エンコーダL11から「順次」出力される特徴Cを最初から順に、「特徴c1」、「特徴c2」・・・という。
そして、特徴C1がデコーダL12に入力されると、デコーダL12は、状態レイヤL14、属性レイヤL15、単語レイヤL16の各ノードを「順次」遷移させることで、単語群C11のうち文章C10に最初に出現する単語y1を復元するものである。ここで、エンコーダL11の機能である、ノードの状態を順次遷移させることで、単語群C11の符号化を実現する機能、及び、文章C10から抽出した単語群C11が、各単語が文章C10中に出現する順序で入力されることで、単語群C11の「各単語x1~x3」と「単語群C11の各単語x1~x3が文章C10に出現する順序」との「特徴C」を出力する機能を参酌すると、特徴c1は、エンコーダL11に最初に入力された単語x1を、「状態遷移」を経て符号化したものであって、文章C10に出現する順序が特定できるものとなっている。そして、当該特徴c1は、デコーダL12に入力され、「状態遷移」を経て文章C10中に出現する順序で単語y1を復元するものと認められる。
上記(2)、(3)のとおり、デコーダL12には、エンコーダL11の出力とトピックレイヤL13の出力とが入力される。そして、上記(3)のとおり、トピックレイヤL13の出力である「コンテキスト情報」は、文章に含まれる各単語の集合をθ、文章に含まれる各単語が属する分野、すなわち、文章毎のトピックの比率P(z|θ)と、トピックの分布P(wn|z)とから、
[図:0001397824000006.jpg]
で表されるトピックモデル(式(1))に基づいて抽出されるものである。そして、エンコーダL11が出力した特徴Cを入力することで、当該式(1)から、「コンテキスト情報」を抽出するためには、文章C10から抽出される全ての単語と、それぞれの単語の属性が必要であることは、式の定義から明らかである。
なお、本願明細書の段落【0022】には、一文の中での単語の出現順序によりトピックが変化することを前提とした記載があるが、トピックモデルの出力は、式(1)のとおり一文の中での単語の出現順序には依存しないものである。
(5)以上を踏まえて、上述したエンコーダL11とデコーダL12の処理を検討する。エンコーダL11は、単語x1~x3を出現順に入力すると、ノードの状態を順次遷移させ、これらの単語に対応する特徴c1~c3を順次出力し、当該特徴c1~c3は、デコーダL12及びトピックレイヤL13に順次入力される。また、デコーダL12には、トピックレイヤL13の出力であるコンテキスト情報が入力される。そして、デコーダL12において、状態レイヤL14に、エンコーダL11から順次出力された特徴c1~c3と、トピックレイヤL13からの出力である文章C10のトピックを示す情報(コンテキスト情報)とが入力されると、状態レイヤL14のノードの状態が順次遷移するものである。
このとき、トピックレイヤL13では、エンコーダL11から順次出力された特徴c1~c3が順次入力されることになるものの、トピックレイヤL13のトピックモデルの出力である「コンテキスト情報」は、文章C10から抽出される全ての単語と、それぞれの単語の属性が必要であるから、特徴c1が1つ入力されただけでは「コンテキスト情報」を抽出することができないことは明らかである。このため、デコーダL12に、特徴c1と同時に入力されるトピックレイヤL13の出力は、文章C10全体のトピックを示す「コンテキスト情報」ではなく、どのような意味を有するのか不明である。すなわち、トピックレイヤL13から出力される情報について、特徴Cが入力される都度出力されることと、トピックモデル(式(1))の説明とは、整合しないものとなっている。
さらに、明細書の発明の詳細な説明の記載では、特徴Cが入力される都度、文章全体の入力が終わらないうちに、トピックモデル(式(1))で表される文章全体のトピックを示す情報を出力することができるとは考えられない。
そうすると、当業者であっても、文章全体のトピックを示す情報を出力することを実現するためには、発明の詳細な説明の記載では十分ではなく、構成の追加や変更が必要であることは明らかである。また、このような構成の追加や変更が本願出願時の技術常識であるともいえない。
4 請求人の主張について
請求人は、「補正後の請求項1では、1回の学習について、1つの文章単位で学習を行う点が明確です。」と主張する。
しかしながら、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された「トピックレイヤL13」は、「トピックモデル」に基づくものであり、「トピックモデル」とは、上記の参考文献に示されるように、文章に含まれる各単語の集合をθ、文章ごとのトピックの比率をP(z|θ)、トピックの分布をP(wn|z)として、式(1)に基づいて文章全体のトピックを確率的に生成するものであって、一つの文や単語に基づいて、トピックを示す情報を抽出するものではない。
したがって、エンコーダL11からトピックレイヤL13に逐次入力される特徴Cに関して、トピックレイヤL13に、文章中の全ての単語の情報が揃わない段階において、文章全体のトピックを示す情報を抽出することができないものとなっており、1回の学習について、1つの文章単位で学習を行ったところで、トピックレイヤL13が、文章全体のトピックを示す情報を抽出することができないことに変わりはない。
よって、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、請求項1に係る発明を実施することができる程度に記載されていないことは明らかであるから、請求人の主張は採用の限りでない。
5 まとめ
よって、発明の詳細な説明の記載は、当業者が請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
第5 むすび
以上のとおり、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-005420